新宮原木市場(谷口泰仁社長)は18日、新宮市あけぼのの同市場貯木場で、恒例の「新春初市」を開いた。新宮周辺地域を中心に買い方が集まり、開始の合図とともに威勢よいかけ声が響く中、スギなどが次々と競り落とされた。
今回は熊野川町や那智勝浦町、紀宝町などから、樹齢60、70年が中心のスギやヒノキ、約1540立方㍍が出荷された。目玉として、長さ約6㍍、直径約60㌢のヒノキがあった。この大きさになると珍しいという。
開催に当たり、所用で不在の谷口社長に代わり久保勝靖取締役があいさつ。「本日初市を迎え、多量のご出荷をいただいた。原木は自然が育てたもので、中には節あり、曲がりありと多種多様。意に沿わないものもあるかもだが、出荷主の苦労に寄り添い、気分良くお買い上げを願う」と呼びかけた。
「木材業界を取り巻く環境は厳しいが、将来に向けて明るい展望を描き、木材の集荷に努力していく所存。ご支援をよろしくお願いします。皆さんにとって良い1年となることを願う」とまとめた。
同市で木材の市売(いちうり)販売が始まったのは1956(昭和31)年。当地の有力原木生産業者が共同事業体として「新宮電柱木材協同組合木材市売部」を創設した。その後、利用度の増大に伴い公共性が重視され、新宮木材協同組合が中核となり66(昭和41)年、現在の原木市場が設立した。
77(昭和52)年には全国植樹祭の一環行事として「第1回熊野木まつり」展示即売会を開催。以降、毎年4月の恒例記念行事となっており、熊野材のPRや需要開拓などに取り組むきっかけとしている。
(2024年1月19日付紙面より)