那智勝浦町の那智山区の区民らが現在、県道46号(那智山勝浦線)沿いの美化活動に奮闘している。「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年を迎える今年、「参拝者の目線で改めて環境の見直しを」と始まった。
神仏習合の一大霊場として、古くから熊野詣での人々の目的地となってきた那智山。那智の滝や那智山両社寺など、世界遺産を構成する数多くの文化財を有し、現在でも町の主要観光地として年間を通じて国内外から多くの参拝者が訪れる。
県道46号は勝浦方面から那智山へ向かうつづら折りの山道だが、沿道には外来種の大きなヨシススキが繁茂して車から見通しの悪い所や、脱輪の多発箇所、草刈りが行き届いていない斜面などがあった。
これらの現状を受け、那智山区(髙木喜三区長)、那智山青岸渡寺(髙木亮英住職)、熊野那智大社(男成洋三宮司)の三者で環境美化活動に取り組むこととし、土地所有者や県の協力も得ながら進めている。
「素晴らしい文化財を与えていただいたのだから、保全をしていくのはわれわれの義務。参拝者目線で見たときに、反省すべき点は多くある」と話すのは那智山区の髙木区長。「数ある観光地の中から熊野の地を選んでいただいた方々には、きれいに整備した道を通って参拝し、心願成就をして、気持ちよく帰っていただきたい。観光に必要なのは水、道、見晴らしの三つ。特に那智川は、車窓から魂と心でみそぎをしてもらう役目がある」と思いを語る。
区民らが順次沿道の草刈りを進めている他、バス停周辺には歩き疲れた参拝者らが休めるベンチなども設置したい考えだ。
(2024年5月12日付紙面より)