和歌山城郭調査研究会(白石博則代表)の公開見学会が18日、新宮城跡であった。新宮市とその周辺、遠くは和歌山市から約50人が参加。石垣の魅力やかつての姿の説明を受け、在りし日の新宮城に思いをはせた。
国指定史跡新宮城の近世城郭としての立地・構造上の特徴を知り、さらに歴史的な位置付けを考えたいとの趣旨で行われた。新宮市在住で同会会員の小渕伸二さん、新宮市教育委員会の小林高太さんが案内した。
参加者は丹鶴ホールの駐車場に集合した。開会に当たり、白石代表があいさつ。「会員は紀北に多いが、最近は新宮城に注目している。石垣もロケーションも素晴らしいと見直しが進んでいる。その突破口を開いた小渕さんと小林さんの2人に案内をお願いしたい」と話した。
この後、一行は新宮城跡へと出発。小渕さんは大手門があった場所や、各所に残る石垣、石階段周辺の防御の工夫など。小林さんは新宮城とその周辺のかつての姿や、時代に伴う変化などを紹介した。
小渕さんは、石垣を実際に指し示しながら「亀甲積みは切り出す時にここで使うことを決めて持って来ている。かなり高度な技術」「算木積みは直方体の長い部分と短い部分を交互に積んでいる。強く安定していて、地震で崩れた熊本城を支えているのもこの積み方」などと説明した。参加者は実物と資料を交互に見ながら、熱心に耳を傾けていた。
なお、公益財団法人日本城郭協会の公認サイト「城びと」では、新宮城について4月20日に「近世城郭の模範的完成品。石垣が多種多様ですごい。野面積み、打込接ぎ、切込接ぎ、算木積み、布積み、亀甲積み、面取り石積みなど時代背景、技術表現方法等見どころ盛り沢山です」との投稿が寄せられている。
(2025年5月20日付紙面より)