当地方の田園地帯の一つ、新宮市熊野川町で田植えが始まっている。一帯に広がる水が張られた田んぼには順に稲苗が植えられ、収穫はお盆明けごろを見込む。一方で売り場では米の高騰が続き、各所に影響を及ぼしている。
農林水産省による全国調査によると、今月の7日から13日までの1週間に販売された5㌔当たりの価格平均は、消費税込み4217円で、前の週より3円、値上がりした。備蓄米の流通が始まっているはずだが効果はまだ見られず、15週連続の値上がりとなった。
当地方の大手スーパーでは22日現在、5㌔当たり税込みで4158円から5163円の値を付けていた。ただし品切れも多く、1家族1点限りの制限が設けられたりしている。備蓄米や輸入米などの登場は今のところ見られない。
売り場では、険しい表情を浮かべて値段を確認する買い物客がたびたび現れた。40代女性は「うちは高校生と中学生の子どもがいて、両方とも男で食べ盛り。こんなに米が高いときつい。前は5㌔と同じような値段で10㌔が買えたのに」と話した。
販売側も苦悩を漏らす。ある店員は「まとめ買いする人も多く、どう考えても食べないであろう高齢者が30㌔も買ったりしている。おそらく親類に送ったりしているのだろうが、それをすると足りなくなり、結局高い米を仕入れざるを得なくなる悪循環。普通にこれまで通り買うだけなら足りる。制限もせず、値段も上げずに済む。冷静さを取り戻してほしい」と語る。
米農家も心境は複雑だ。「世間では米の値段が上がっているが、米農家の取り分はほとんど変わっていない。一体、何がどうなっているのか。しかも減反政策はそのまま。おかしなことだらけ」と首をかしげる。
(2025年4月24日付紙面より)