北山村地域医療研修センター(内川宗大センター長)は17日、医療関係者向けの講演会「腹膜透析に触れる会in北山村~腹膜透析と在宅医療~」を村民会館で開催した。村内と近隣地域から看護師、保健師ら約30人が集まり、腎代替療法の一つ、腹膜透析について知識を深めた。
村が昨年に開設した地域医療研修センターは学生、研修医の受け入れをはじめ、現場の医療者が学べる機会づくりに取り組んでいる。今回は日本赤十字社和歌山医療センター(和歌山市)の腎臓内科部副部長・杉谷盛太さんと、看護部で腹膜透析認定指導看護師の楠本洋子さんを迎え、近隣市町の医療関係者にも参加を呼びかけて開催した。
腎機能が悪化し、自分の腎臓で体の環境が維持できなくなったときに腎臓の代わりをする治療「腎代替療法」には血液透析と腹膜透析(PD)、腎移植がある。
PDは、手術で腹部に留置したカテーテルと透析液バッグをつなぎ、体内の老廃物や過剰な水分が染み出た透析液を出し、きれいな透析液を入れる治療法で、自宅で行えるのが特徴。
講演で杉谷さんはPDについて、在宅医療で自由度の高い生活が可能なこと、社会復帰が望めること、通院負担が少ないこと、終末期を自宅で過ごせること―が日常生活上のメリットだと説明。日本での腎代替療法は血液透析が圧倒的に多いものの、「PDは優しい治療法。普段の生活を維持できるよう、無理のない範囲でメニューを組める」と紹介した。
看護師の楠本さんはPD看護の事例を紹介し、「透析開始はゴールではなく、半永久的に続く治療。透析生活を楽しみながら、その人らしい人生を送ることが大切」と伝えた。
この日はPDに使う医療機器が展示され、製造販売しているヴァンティブ(東京都)の社員に教わりながら参加者が使用方法を確認した。
あいさつした内川センター長は「数年後には腹膜透析の患者さんが増えて、受け入れることもあるかもしれない。どんな準備が必要かを考え、まずは知るきっかけになれば」と呼びかけた。
(2025年4月20日付紙面より)