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石段を一段ずつ踏みしめて確認した=14日、神倉神社
上がり子の安全確認
神倉神社で石段の検分
危険箇所を修繕して備え

 「御燈祭(おとうまつ)り」を来月に控え、熊野速玉大社(上野顯宮司)の摂社の神倉神社で14日、石段検分が行われた。関係者13人が危険箇所を確かめ、斎行に備えた。祭典当日までに修繕を行う。

 「御燈祭り」は、毎年2月6日に行われる神倉神社大祭で、1400年以上前から続くとされる。当日は、白装束をまとい腰に荒縄を巻いた「上(あ)がり子」が神倉山に参集。山頂で松明(たいまつ)に御神火を受け、山門が開くと同時に急峻(きゅうしゅん)な石段を一気に駆け下りる。同大社の大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」と合わせて国の重要無形民俗文化財に指定されている。

 検分は、同大社や神倉神社奉賛会(猪飼三雄会長)、神倉青年団(清岡尚寿団長)などが実施した。鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝(1147~99年)が寄進したと伝わる、自然石を積み上げた538段の石段を、一段ずつ踏みしめて確認。石が動いた問題箇所にチョークで印を付けていった。最終的には52カ所が見つかった。土やセメントで固めて補修するという。

 猪飼会長(72)は、コロナ禍を経て昨年4年ぶりに再開したことに言及し「再開2年目となるけど今からわくわくしている。みんな御燈祭りを楽しみにしてくれている。こんな祭りは全国でも珍しく、和歌山や新宮の誇り。石段検分もしっかりとやりたい」と話した。中止としていた御燈祭り翌日祭の餅まきも「やっぱりやる」と明かした。

 清岡団長(45)は「新宮で育った僕らが子どもの頃から見てきた祭りで、介釈(かいしゃく)として奉仕できるのはすごくありがたい。誇りを持ち、上がり子にきちんと御神火を渡し、無事に下山してもらえるように頑張りたい」と意気込んだ。今年の大松明は、柚木芳文さんが務めるという。

(2025年1月15日付紙面より)


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協定締結や射場見学を含むツアーについて発表する新津研一代表取締役社長ら=10日、串本町田原
地域 射場など見学ツアー発表
2町との協定締結踏まえ
USPジャパン
 串本町や那智勝浦町と共にロケットを基軸にした地域振興に取り組む株式会社USPジャパン(以下USP、新津研一代表取締役社長)が10日、両町との包括連携協定締結とその内容を踏まえたロケット射場「スペースポート紀伊」など見学ツアーについて発表した。

 同社は2020年7月、スペースワン株式会社(以下スペースワン)の紹介により2町を訪問。以降、官民連携で前述した振興を形にし、地域内外の機運醸成を図っている。その取り組みをさらに強化し「ロケットで元気になる」まちづくりを推進するため、昨年10月1日に同協定を締結。連携事項は▽ロケット▽地域振興―の2系統で、それらを背景にしつつ観光庁「特別な体験の提供等によるインバウンド消費の拡大・質向上推進事業」の採択を受け同ツアーの催行を目指している。

 スペースワンの協力により同射場「スペースポート紀伊」の見学を含む内容で、▽2月12日(水)に日帰り(串本町内と那智勝浦町内発着、各80人)▽15日(土)と16日(日)に1泊2日(新大阪駅と和歌山市内発着、各40人)―と2種類を立案中。日帰りは射場と宇宙ふれあいホールSora―Miru(先行公開)の見学、1泊2日はさらにモデルロケット製作・打ち上げ体験や打ち上げ特別祈とう会・本尊開帳(世界遺産補陀洛山寺)など地元体験も盛り込んだ行程を考えている。

 射場は打ち上げの余韻が残る射点(屋外)を間近に見る状況を想定し、どこまで見学を許容できるかを目下調整している。これら内容の詳細を今月16日(木)午後1時からホームページ「ロケットのある町SpaceTown串本町・那智勝浦町」(名称で検索可)で紹介し、翌17日(金)午後1時に料金などの確定情報を発表して受け付けを始める。興味がある人はまず閲覧してほしいという。

 10日は串本町田原にある同射場総合指令棟前で新津社長自らこれら内容を発表。立ち会った串本町の田嶋勝正町長、那智勝浦町の堀順一郎町長、スペースワンの下瀬滋・スペースポート紀伊所長がそれぞれあいさつをして歩み寄り、新津社長はロケットを基軸にした地域振興に懸ける現在の思いを掲げ「串本町、那智勝浦町、スペースワンの皆さまには今後ともぜひ協力関係を強固にし、共にチャレンジをお願いしたい」と応えた。

 このツアーには採択に基づく実証実験としての側面もあり、新津社長はその実績を契機にして2町やスペースワンとの検討をさらに深め次年度以降の機会創出につなげていければと展望を見据えている。

 その他、新津社長が中継ぎとなり日本宇宙少年団の上垣内茂樹理事から宇宙ふれあいホールSora―Miruへ向け書籍「宇宙兄弟リアル」、株式会社タカラトミーアーツから那智勝浦町の幼稚園・保育園・小学校へ向け宇宙・ロケット打上げ応援アンバサダー「宇宙なんちゃらこてつくん」グッズの贈呈伝達もこの機会に実施した。

(2025年1月15日付紙面より)

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縁起物の「脊美」を持って疾走=12日、那智勝浦町の鹽竃神社
祭礼 捕鯨文化伝え「脊美祭り」
手踊りやだんじり、獅子舞も
那智勝浦町
【この記事のキーワード】
神事
 那智勝浦町浦神の鹽竃(しおがま)神社(山本貞夫宮司)で12日、捕鯨文化を伝える伝統の「脊美(せみ)祭り」があった。豊漁や航海安全を祈って神事を営み、コロナ禍を経て5年ぶりに手踊りやだんじりも復活した。

 セミクジラを模したわら製の「脊美」を縁起物として用いる祭り。脊美まつり保存会(谷洋久会長=浦神西区長)が伝統を継承し、2016年には日本遺産「鯨とともに生きる」にも認定されている。

 今年の脊美子は谷口颯さん(13)、畑下波依司さん(12)、西山賢星君(9)。山本宮司が「鬼」と書かれた的を矢で射抜くと同時に、3人が「脊美」をつかみ取り、西区区民会館まで全力疾走。西山君は「風が気持ちよかった。楽しい一年になったらいいな」と笑顔を見せた。大皿に「脊美」を乗せ、舟盛りや伊勢エビが並ぶ直会(なおらい)で3人をねぎらった。

 境内では勇義社による獅子舞があり、午後からも境内、JR紀伊浦神駅前、浦神西区民会館の3カ所で地域住民が輪になり、手踊りをした。

 保存会の並川廣前会長は「数年ぶりに通常通りの開催ができ、うれしく思う。今年も祭り直前にインフルエンザなどで人手の確保が大変だったが、今後も地域の祭りとして継承していきたい」と話していた。

(2025年1月15日付紙面より)

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