新年最初の薬師の縁日に当たる8日、薬師如来をまつる各寺院で初薬師の法要が営まれた。紀宝町では鵜殿の醫王山(いおうざん)東正寺や、平尾井の平尾井薬師堂であり、今年一年の平穏を祈願した。
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■東正寺
東正寺(片野晴友住職)では初薬師大般若会(だいはんにゃえ)が行われ、本尊の薬師瑠璃光如来が開帳された。
檀家(だんか)らが参列する中、片野住職と智博(ちはく)副住職、道雄(どうゆう)徒弟が家内安全や心願成就などを祈願した。
散華と水で道場を清めた後、600巻の大般若経典を波立たせながら一気に読み上げる転読が行われた。般若波羅蜜多心経の読誦(どくじゅ)、梅花講員の女性らによる御詠歌の合唱などがあり、参列した人たちが順に焼香をして、手を合わせた。
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■平尾井薬師堂
平尾井薬師堂では毎年1月8日に営まれている「冬の
大祭」が執り行われた。円通寺の山田耕治住職が読経し、1年の平穏、五穀豊穣(ほうじょう)、家内安全などを祈願した。
参拝者は石段を上った先にあるお堂で鐘を突き、薬師堂に手を合わせた。読経の後、餅まきがあり「薬師の庭」と呼ばれる境内に集まった人たちが袋いっぱいの餅を拾い集めていた。
西田健町長も参加し、新宮紀宝道路の開通など昨年を振り返った上で「皆さんにとって幸多い年になることを願っています」とあいさつした。
白河法皇が
熊野三山に御幸した際、逢野細谷(相野谷)の地に薬師堂の建立を勅願し許されたのが熊野三仏平尾井薬師だという。薬師堂上の巨岩には、仏足跡と呼ばれる足跡の形が彫られ、高貴な方の参詣の証しとして刻まれたものといわれている。
(2025年1月10日付紙面より)