ブラジル和歌山県人会創立70周年を記念した「日本・ブラジル音楽交流コンサート~新宮城に思いをはせて~」が11日、新宮市の丹鶴ホールであった。ブラジルのトップアーティスト、和歌山県や新宮市の出身者、地元バンドなどが出演。両国の音色が美しく溶け合い響いた。
日伯音楽交流コンサート実行委員会(小渕伸二実行委員長)の主催、駐日ブラジル大使館などが協力。音楽を通した県とブラジルの交流を目的として、新宮城跡の見える丹鶴ホールで開催した。会場では新宮城のジオラマや写真、予想図なども展示。市内外から約650人が来場した。
地元バンドのコスモスがリコーダーなどを奏でたほか、新宮市出身の山口ちなみさんがピアノを演奏した。県出身者は箏や津軽三味線を、ブラジルの奏者は尺八やフルート、アコーディオン、ギター、ベース、パーカッションなどを担当した。
ブラジルの奏者を代表して、シェン・響盟・リベイロさんが「ホールいっぱいに来てくれてありがとう。とてもいい企画。一緒にやれてうれしい」などとあいさつした。コスモスはブラジルの奏者らと一緒にとなりのトトロの主題歌「さんぽ」を演奏した。両国の奏者が「新宮節」や「串本節」を演奏する一幕もあり、会場では手拍子が響いた。
山口さんとブラジルの奏者らによる「さくらさくら」の合奏もあった。ゆっくりした曲調で始まり途中でアップテンポになる大胆なアレンジが加えられ、来場者を楽しませた。津軽三味線は単独では勇壮に響き、箏や西洋楽器が加わると調和して会場を包んだ。アンコールが沸き起こる盛り上がりを見せ、来場者は奏者を拍手で称賛した。
串本町から妻と長女と共に訪れた玉置佳徳さん(43)は「こんな演奏は初めてで心に残った。串本節が特によかった。串本町から来たかいがあった」と話した。
(2024年12月13日付紙面より)