新宮市と紀宝町を結ぶ一般国道42号「新宮紀宝道路」が7日午後3時に開通した。要望開始から20年、事業化から11年の歳月を経て、90年前の熊野大橋架橋から2本目のルートがつながった。地域の悲願だった新たな「命の道」として、未来への夢と希望を乗せ、地域住民のさらなる利便性向上、観光・経済活動の活性化、医療機関への輸送時間短縮による緊急医療活動支援、
災害発生時の広域交通ネットワークの安全性と信頼性を高め、地域の発展に期待されている。
紀伊半島を一周する近畿自動車道紀勢線の一部で、紀宝町神内から新宮市あけぼのに至る延長2・4㌔の自動車専用道路。建設を願う両市町の住民グループ発足を契機に、「熊野川河口に橋を架ける会」を設立し、官民が連携して要望活動や1000人規模の決起大会などの活動が実を結び、2013年度に事業化された。
幅員12㍍の2車線。紀宝インターチェンジ(IC)、紀宝鵜殿IC、新宮北ICを整備、眼下に雄大な熊野川と熊野灘が広がる熊野川河口大橋(延長821㍍)は23年2月に連結した。
近畿自動車道紀勢線は大阪府松原市を起点とし、和歌山県を経由して三重県多気町に至る延長約340㌔の高速自動車国道。すでに全線事業化され、約8割が開通、新宮紀宝道路は和歌山県と三重県をつなぐ初の高速自動車道となった。
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■開通式典
午前には、紀宝町生涯学習センターまなびの郷で開通式典があり、和歌山、三重両県の知事や国、県、市町村の関係者ら約300人が開通を祝い、紀宝鵜殿ICでテープカット、くす玉開披、通り初めをした。
式典は、近大附属新宮吹奏楽部のウエルカム演奏、新宮市の三輪崎郷土芸能保存会による「鯨踊り」の披露に続き、国土交通省の山本巧道路局長が式辞。三重県の一見勝之知事、和歌山県の岸本周平知事がそれぞれあいさつした。
高速自動車道紀南延長促進協議会特別顧問の二階俊博氏は「皆さんの熱意で開通がかなった。この道路にもたらされる新しい躍動をしっかり味わってほしい。皆さんに心から感謝申し上げます」と述べた。
衆院議員の鈴木英敬氏、世耕弘成氏、中川康洋氏、参院議員の山本佐知子氏、鶴保庸介氏、足立敏之氏、三重県議会の稲垣昭義議長、和歌山県議会の鈴木太雄議長が祝辞した。
紀宝町の西田健町長が「この道路が当地域の発展に大きく寄与することは間違いありません。紀伊半島一周高速道路の実現に向けて、皆さまのさらなるご支援、ご協力を」と謝辞し、新宮市の田岡実千年市長の音頭で万歳三唱。地区住民を招いて餅まきも行った。
紀宝鵜殿ICに移動後、地元の子どもたちと関係者約40人がテープカットとくす玉を開披し、念願の開通を盛大に祝った。
(2024年12月8日付紙面より)