新宮市名誉市民で芥川賞作家の中上健次(1946~92年)が最後に愛用したステレオの展示が7日から、丹鶴ホール4階の新宮市立図書館「中上健次コーナー」で始まった。
9月に健次の妻かすみさんが中上健次顕彰委員会に寄贈したもの。レコードプレーヤー、スピーカー、カセットデッキなどのオーディオセットで、東京で保管していた山下達郎や日野皓正、ロッド・スチュワート、ポール・マッカートニー、クイーンなどのレコードもある。
図書館では今後、イベントなどで活用したいとしている。
健次の長女で作家の中上紀さんが「記憶にない」と話すステレオ。かすみさんによると、87年ごろに購入し、新宿の仕事場に置いてあったという。
音楽が好きで、自宅にオーディオセットがあったが、火事で焼失した。かすみさんは「今のステレオは亡くなった後、新宿から自宅に移して保管していた。ジャズが好きだった」と話していた。
市立図書館には、健次が那智勝浦町のマンションで所有していたジャズのレコードが100枚以上保管されている。
紀さんは「もともと、レコードがたくさんあり、父が大切にしていた。ステレオはどこにあったか知らなかった。母が大切に持っていて、故郷新宮市に寄贈した」と振り返り「機会があれば見てみたい」と語っていた。
(2024年11月8日付紙面より)