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4作目を奉納した篠田教夫さん(左)=10月31日、那智勝浦町の熊野那智大社
4作目の那智瀧図、朧を奉納
細密鉛筆画家の篠田教夫さん
熊野那智大社

 細密鉛筆画家の篠田教夫さん(77)が10月31日、那智勝浦町の世界遺産、熊野那智大社(男成洋三宮司)に「那智瀧図Ⅳ―朧(おぼろ)―」の原寸大デジタル版画を奉納した。那智瀧図の奉納は4作品目で「微妙な時間帯を意識し、夜とは違う暗さや明るさを試行錯誤しながら描き上げた」と語った。

 「滝を描き続けてきた。描き尽くした感覚は全然ない」。2026年4月に熊野那智大社で計画している「那智大滝展」に向けて、5作目に取りかかっている。

 10年に初めて熊野那智大社を訪れ、那智の滝に出合った。それまで滝を描いたことがなく、画家の立場から那智の滝をどう描くか考えた。11年11月に再度、那智の滝を訪れる予定だったが、9月の紀伊半島水害で延期に。3年を経て実現した。落差133㍍を誇る那智の滝は、その高さゆえ、霧や雨、風などにより、さまざまな表情を持っていることに気付いた。

 4年後の17年に1作品目「那智瀧図」、22年に那智瀧図の「夜」「霧」を奉納した。今回の「朧」は縦98㌢、横35㌢。22年から描き始め、当初のビジョンを堅持しながら3年かけて完成させた。

 「自然の作用を生かしてこその那智の滝。岩間の層、水のボリュームなど滝を支えているものを描けば、おのずと滝が浮かび上がってくる」。直瀑ではなく、風の影響を受けて曲がっているよう表現した。本来、滝の上に月はかからないが、おぼろ月夜も加えた。

 男成宮司は「素晴らしい作品。世界遺産登録20周年の記念の年に奉納していただきありがたく思う」と話していた。

 奉納後、篠田さんは同町のホテルサンライズ勝浦であった那智勝浦ロータリークラブ(松下裕次郎会長)の第3000回記念例会に出席。那智瀧図と那智の滝への思いを語った。最後は、松下会長が篠田さんに記念品を進呈した。

(2024年11月2日付紙面より)


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本番に向けたセッティングのため投光された橋杭岩=10月31日、串本町くじ野川
地域 本番に向け光源設置
橋杭岩ライトアップ
串本町
 串本町が1日から3日(日・祝)までの3日間、くじ野川で橋杭岩ライトアップを実施する。投光時間は午後5時30分~8時30分(予定)で、小雨決行、荒天中止。10月31日は本番に向け光源設置の作業があり、投光角度などのセッティングを整えるなどした。

 国指定の名勝であり天然記念物の橋杭岩を、深まる夕闇の中へ幻想的に浮かび上がらせる趣向。その光景は2017年に日本夜景遺産(ライトアップ夜景遺産)に認定され、実施中は町内外から多くの見物を集めるところとなっている。

 投光範囲は弁天岩より陸側の岩々で、本年度は光源のパーライトの配色を日替わりで変更する。併せて32基の発光ダイオード(LED)ライトを見物場所となる道の駅くしもと橋杭岩の海沿いに並べて橋杭岩手前へ投光し幻想的な光景を線から面へと広げるという。

 実施中は一面を見下ろせる同駅展望デッキも時間延長で開放。安全のため国道上での写真や動画

の撮影はしないでほしいとしている。光源装置設置の都合で一部立ち入りが制限されている場所があり、そちらも協力してほしいという。

 その他、試行として展望デッキ前の敷地(大型バス駐車場)でプロジェクションマッピングも行われる。今月2日(土)は同駅の運営委託を受ける熊野観光開発株式会社主導で正午前から明治安田生命保険相互会社による健康増進イベント、午後1時~3時に消防フェアも実施予定だが、屋外実施のため荒天により中止する場合がある点はあらかじめ了承してほしいという。

 ライトアップの期間中は1、2日が雨、3日は曇りの天気予報(1日午前9時現在)が出されている状況。実施中は橋杭漁港と橋杭園地に臨時駐車場を設けるという。実施の有無の問い合わせは町産業課(電話0735・62・0557、平日日中のみ)か町観光協会(電話0735・62・3171)まで。

(2024年11月2日付紙面より)

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中学校グラウンドへ駆け上がる=1日、那智勝浦町宇久井
防災 「世界津波の日」を前に
こども園と合同避難訓練
宇久井小、中
 5日の「世界津波の日」を前に、熊野地方各地で津波避難訓練が行われている。1日には、那智勝浦町立宇久井小学校(中地直樹校長、児童179人)、宇久井中学校(川口徹校長、生徒67人)、宇久井こども園(荘司千保園長、園児52人)が合同で訓練を実施し、息を切らして高台まで逃げた。

 授業時間中の午前9時35分に巨地震が発生し、直後に津波が到達することを想定。校内放送が鳴ると、子どもたちは一斉に机の下などに潜って頭を保護した。園児はライフジャケット、中学生はヘルメットを身に着け、1次避難場所の中学校グラウンド(海抜約26・6㍍、安全レベル3)へ。点呼の後、さらに10㍍高い中学校の校舎屋上へ2次避難した。

 中地校長は「釜石の奇跡」で知られる、高台への避難する小中学生の写真を見せ「東日本震災の時、中学生が率先して避難をしたことで『逃げなければ』と集団心理が働き、結果として多くの人の命が救われた。自分たちの命を守るための訓練。しっかりと取り組んで」と呼びかけた。

  □     □

■町内統一津波避難訓練

 2日の午前9時~9時30分には、那智勝浦町内で統一津波避難訓練がある。午前9時、非常に強い揺れを感じる地震が発生し、直後から「大津波警報」が発表され、10分以内に津波第一波が到達、最大8㍍の津波が襲来するとの想定。訓練後、下里・浦神地区、築地区、二河区、浦神西区、ニュータウン勝浦区などでは防災講話なども実施する。小雨決行。中止の場合は、午前8時に防災行政無線で周知する。

(2024年11月2日付紙面より)

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