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段ボールベッドを組み立てる児童=14日、那智勝浦町立市野々小学校
小学校が避難所になったら
「市小防災の日」を開催
那智勝浦町

 那智勝浦町立市野々小学校(木村享照校長)で14日、「市小防災の日」が開かれた。全校児童29人と家族、地域住民らが地震・津波について学習するとともに、今年1月に発生した能登半島地震被災地の様子に触れた。

 紀伊半島水害で大きな被害を受けた同校では、災害から児童の命を守るため、地域と二人三脚でさまざまな防災教育を実施。地域や保護者へ成果を共有する場として、毎年「防災の日」の取り組みを継続している。

 前半の授業参観では、児童の防災学習の様子を公開。後半の全体会では、大規模土砂災害対策技術センターの小林正直さんが、緊急災害対策派遣隊「テックフォース」の砂防班の一員として能登半島地震の被災地へ派遣されたことを講話。地震で発生した土砂災害の現地調査に当たったことを語り、ドローン操作の実演をした。

 土砂災害啓発センターの峐山雄亮さんは、能登半島地震被災地で避難所となった石川県の能登町立宇出津小学校で支援に当たった職員の記録を紹介。通い慣れた小学校が被災者の寝泊まりする避難所に作り替えられた様子を写真で見せ「水食料が最優先ではあるが、閉鎖的な避難所の空間で心身の健康を保つには、心の栄養も大切」と語った。

 5、6年生をリーダーに段ボールベッドの組み立て体験もあり、児童からは「小さい子でも運べるのがいいな」「寝相が悪かったら落ちるかも」などの意見があった。

 参加した保護者からは「紀伊半島水害当時、私は自宅避難だったが、小学校に避難していたらこんな感じだったのかと考えた」「5、6年生の授業で備蓄の目標量を見たが、普段のローリングストックでは全然足りない」「避難所生活では娯楽も必要ということで、ゲームを持ってきたいという子どもの意見にも考えさせられた」などの声があった。

 木村校長は「防災学習はこの地域の歴史であり、復興してきた誇りでもある。市野々小学校を拠点に、子どもたちの未来のためにこの地域を残していきたい」と語っていた。

(2024年9月15日付紙面より)


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スポーツ雪合戦で盛り上がる子どもたち=11日夜、和歌山県立新翔高校体育館
スポーツ 雪合戦などで体動かす
すぽとれ、マルチスポーツ体験
新宮市
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新翔高
 NPO法人スポーツトレーニングクラブ(通称すぽとれ)は11日夜、和歌山県立新翔高校体育館で初のマルチスポーツ体験企画「スポーツ雪合戦を楽しもう!」を開催した。小学生48人が障害物に隠れながら、玉入れ用のボールを投げ合うなどして体を動かした。

 マルチスポーツは一つの種目だけでなく、複数の競技に参加するスポーツ方法。筋力や瞬発力、持久力、柔軟性、俊敏性、心肺機能など、さまざまな身体能力を伸ばすことが可能となる。異なる体の部位や筋力を鍛えることができ、総合的な体づくり向上を図れるとされている。

 子どもたちは準備運動の後、6チームに分かれて雪合戦をはじめ逆立ちやジグザグ走、綱引きに挑戦。スタッフから「今のいいよ」「できた、できた」「大丈夫!」などの声が上がる中、各種目で汗を流した。

 体験した村田陽恵梨さん(10)は「少し暑かったけど、夢中になれて楽しかった。運動は苦手な方だけど、体を動かすのは大切だと感じた」と語った。

 加藤誠人代表は「練習を重ね、少しずつ俊敏さなどが備わっているように思う。運動神経が急激に発達するゴールデンエージ期には、動きの習得が重要。けがをしにくい体をつくり、将来いろんなスポーツで活躍してほしい」と話していた。

(2024年9月15日付紙面より)

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地震・津波ルールブックの内容を確認する=13日、紀宝町の井田公民館
防災 「地震・津波ルールブック」完成
井田区全世帯に配布へ
紀宝町
 「必ず来る 南海トラフ巨地震・津波への備え」と題した井田区の第3回ワークショップが13日、紀宝町の井田公民館であり、第1回から協議を重ねてきた「地震・津波ルールブック」が完成した。

 井田区全世帯に配布し、11月の防災訓練で活用する。訓練後に第4回ワークショップを開催し、振り返りを行う。

 ルールブックは、井田区内5地区の特徴を反映し、地区ごとに作成。南海トラフ巨地震に備えて、地震や津波への知識を深め、各家庭で「自分や家族が何をするか」などを考え、地震の被害者を一人も出さないことを目指している。

 地震・津波から命を守るポイントの他、各地区の危険箇所マップ、津波避難カルテ、事前対策チェックシート、地震・津波タイムラインなどで構成した。

 ワークショップは、南海トラフ地震の被害軽減を図るための官民一体となった取り組み。これまで、5地区の地理的な特性などを踏まえ協議や避難路確認などの町歩きを行った。

 区役員、自主防災組織、町消防団、民生委員、小中学校、介護医療事務所、役場などから約70人が参加した。

 南海トラフ地震防災対策をテーマに、愛知工業大学地域防災研究センターの横田崇センター長が講演。「地震は予知できない。突発する地震への備えを基本にし、家屋の耐震化をはじめ、一人一人の備えが大切になる」と示した。

 各地区で、ルールブックの内容を確認した。西田健町長は「ワークショップでの意見をまとめたルールブックを中心に、家庭で地震・津波対策に活用してほしい」と呼びかけ、町総合防災行政アドバイザーの松尾一郎さんは「南海トラフ地震は確実に起こる。命を守るため、町の耐震補強事業を活用し、揺れから強い部屋を一つでも作ることが大事」と伝えた。

(2024年9月15日付紙面より)

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