和歌山県立新宮高校(下村史郎校長、583人)で5日、外務省総合外交政策局政策企画室の山崎茉莉亜さんによる外交に関する講話「高校講座」があった。生徒の探究的な学びを目指す「くまの学彩」として実施した。1年生189人が受講、世界から見た日本の姿について考えた。
山崎さんは母親が新宮市の出身で、新宮高は母の母校。2010年に外務省に入省し、政府開発援助(ODA)、首相や閣僚の外交スピーチ原稿の執筆、外交政策の広報、各国との協議などに携わってきたという。フランスに駐在した経験もある。
講座の目的を「日本を外から眺める」と設定した。日本の食料自給率が低く、多くを輸入に頼っていることから「食卓を見ても世界とつながっている」。エネルギーの自給率も低く「輸入しないと日々の生活ができない」などと説明。「日本は世界とつながらないと成立しない」と話した。
山崎さんが生徒に対し「日本は平和で安全な国か」と問いかけ。多くの生徒が「平和と思う」に挙手したが「抑止力に欠ける印象があるので平和とは思わない」との意見を発表した生徒もいた。
山崎さんは国家安全保障会議が、周辺国の状況から「わが国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面」と考えていることを紹介。昨今の防衛費増額も絡め抑止力について「侵略したらやり返されると国際社会に分かってもらい、日本が自分を守る、仲間もたくさんいるとアピールしないと。平和と安全のためには外交努力が必要」と力を込めた。
日本がODAによる、発展途上国への経済的支援を行ってきたことに言及。「日本の経済力が落ちてきているのに、なぜ支援しないといけないか。豊かな国とだけ仲良くしていても安全保障を維持できない。世界中で仲間を増やす必要がある。海外進出する日本企業もたくさん。他も成長しないと日本も成長できない」と語った。
「世界と切り離して日本だけでは生活できない。話し合いや協力、すなわち外交は大切。世界は私たちの生活に密接に結び付いている」とまとめた。外国に出て日本を眺めることを「発見があるのでぜひ」と勧めた。
(2024年9月7日付紙面より)