那智勝浦町の勝浦八幡神社例大祭=9月14日(土)宵宮、15日(日)本宮=に向け、勝浦港で2日、櫂伝馬(かいでんま)の練習が始まった。台風の影響で、例年より1週間遅れてスタート。櫂伝馬保存会や愛友会、中高生が汗を流し、夜の港にかけ声と櫂の音が響いた。
櫂伝馬船は全長約9㍍の木製の舟。祭りでは色とりどりのささ飾りを立てて港をこぎ回り、海上神事で重要な役割を果たす。青年らの「愛友会舟」、中学1年生が乗る「赤舟」、2年生の「白舟」、3年生の「黄舟」などからなり、昨年まで南紀くろしお商工会青年部が乗っていた船には高校生が奉仕する。
初めて練習に入る中学1年生は、こぎ方の基礎や作法を教わるところから始め、一生懸命先輩たちを追った。港では多くの家族や同級生、観光客らが見守った。
3歳から憧れてきたという武田蒼久さん(13)は「毎年見てきたかっこいい祭り。本番でも頑張る」。太鼓を務める仲野佑汰郎さん(13)は「すごく緊張しているけれど、祭りを楽しめたらいいな」と語った。
保存会の林宣行会長は「少子化で人がそろわない船もあるが、憧れてくれる子どもたちのため、存続させていきたい。夜の港で船をこぐ高揚感や一体感は何物にも代え難い経験」と話していた。
(2024年9月4日付紙面より)
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