那智勝浦町の太田川周辺の事業者などで組織する太田川流域農泊振興協議会(西山十海会長=大泰寺住職)がこのほど、アトリエちきゅうの道の絵地図作家・植野めぐみさんと共に「太田川つれもていこら絵図」の英語版マップを完成させた。
農林水産省の農山漁村振興交付金(農山漁村発イノベーション対策)を活用した訪日外国人(インバウンド)対応事業の一環で、ポータルサイトの多言語化やマップ作りに取り組んできた。
同町色川、太田、下里、浦神にまたがる太田川流域の魅力について西山会長は「海外の方にとっては、キリスト教の教会に禅宗寺院、密教寺院、修験道といった宗教的多様性、そのベースにある熊野の自然という、日本人の精神世界を感じてもらえる地域。そこに漁業者や農業者の文化が密接に関わっている」と話す。
マップでは飲食店やビーチ、イチゴやブルーベリー農家、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部である大辺路の市屋峠や二河峠、浦神峠も紹介。中辺路ルートに比べてまだ知名度が低い大辺路ルートだが「ヨーロッパ系の方を中心に『熊野古道を歩いていて夜になってしまったので、テントを張らせてもらえないか』との問い合わせもあり、少しずつ宣伝効果も出ているのでは」。リモートワークで世界中を旅する「デジタルノマド」誘致などにも注目が集まる中「長期滞在して、この地域の『生活』を体験してほしい」と展望を語っていた。
(2024年9月1日付紙面より)