全国的なコメの品薄状態が続いている。当地方の売り場でも、平時は複数の銘柄が山積みされているが、8月29日現在は一つも置かれていなかったり、限られた銘柄がわずかに残るが10㌔の大袋は売り切れていたりする。たまに入荷があってもすぐに売れてしまう。
新宮市内のあるスーパーでは、コメが全て売り切れていた。別のスーパーでは、5㌔以下の無洗米のみが残り、さらに購入できるのは1人10㌔までの制限がかけられていた。入荷時期未定の張り紙がある店もあった。
一方で、新宮市緑ヶ丘のJAみくまの米工房では、山積みまではいかないものの在庫があり、10㌔の大袋も販売され、1人当たりの購入制限もない状態だった。スタッフは「うちは在庫が切れることはなく、何かしらのコメが必ずある」と胸を張る。
ただ、今はちょうど古米と新米の切り替え時期で、かつ精米に時間がかかるため、店先に多くを出せない実情があるという。「他のコメと交ざらないように精米した後に掃除をして次を精米する。最近は土日も休まず精米している」と明かす。実際に、店先に並んでいるのは新米だった。
例年ならこの時期は、誰もが新米を求めるため通常なら古米が残るが、今年は売り切れたとのこと。「大阪にいる家族や親類に送ると買う人もいる。いつも5㌔の人が20㌔や30㌔を買ったりする」と話していた。
なお、新宮市立の医療センターや蓬莱保育所など、給食を提供する公立施設では29日現在、コメの調達が滞るような事態は生じていないという。小中学校は夏休み中のため、給食は不要。また社会福祉法人黒潮園が運営する新宮市の特別養護老人ホーム黒潮園でも、同様に不足は生じていないとのことだった。
コメの品薄の要因としては、昨年の天候不順や、コロナ禍からの回復による外食需要の増加や外国人観光客の急増、パンや麺類の値上がりなどが伝えられている。ただ新米はすでに出回り始めており、品薄は9月以降、解消に向かうと予測されている。
(2024年8月31日付紙面より)