今年に入り、新宮市などでツキノワグマの目撃情報が相次いでいる。新宮保健所では「クマを引き寄せないために、釣りやキャンプをするときは、食べ物の置き場所に注意し、ごみは必ず持ち帰りましょう。生ごみや不要になった農作物を放置しないように管理を徹底してください」と呼びかけている。
保健所によると、6月1日から7月28日にかけて、新宮市熊野川町の宮井、九重、四滝、西敷屋、北山村の小松、大沼、竹原の各地区で10件の目撃情報があった。宮井地区の国道169号から北山川を横断し、三重県の熊野市紀和町に渡ったケースもあったという。
昨年、新宮市内での目撃は3件だった。今年は民家から遠くない場所で目撃が多発しており、どこで遭遇してもおかしくないという。
子グマの目撃情報もあり、近くに親がいる可能性が高い。1日の移動距離は約50㌔とされ、発情期になると縄張りを越えて雌を求めて移動する雄もいる。
クマが生息している森に入るときは、2人以上で行動し、クマに自分の居場所を知らせる工夫が必要。出合ってしまったら、静かに身を引くことが大切だという。
世耕直行副主任は「クマは基本的に臆病な動物だが、餌に対する執着が強い。2㌔先まで匂いを嗅ぎつけるといわれており、餌がなくなるまでその場所に現れる。餌さえなければ人里に来ない。クマを引き付けない対策をお願いしたい」と話している。
クマを目撃したり、足跡などの痕跡を見つけた場合は▽場所▽日時▽大きさ▽移動方向▽何をしていたか―などの情報を新宮保健所衛生環境課(電話0735・21・9631)か、最寄りの市町村に連絡を。
(2024年8月3日付紙面より)