投資を名目とした詐欺を水際で防止したとして、新宮警察署(矢野勝正署長)は7月30日、株式会社紀陽銀行新宮支店業務課の森裕子チーフと窓口担当の松島由佳さんに感謝状を贈呈した。
被害者の70代女性は6月13日、知人を通じて知り合った証券会社の営業をかたる外国人に投資を任せようと、外国人名義の口座に100万円を振り込むよう指示を受けて銀行に来店。振り込み依頼を受けた松島さんが▽投資目的の高額の振り込み▽振込先が外国人の個人名義▽早く振り込みたいと焦っている▽ずっとスマートフォンを操作している―といった様子を不審に思い、個室で事情を聞いた。上司の森チーフと連携し、新宮警察署に通報した。
矢野署長は第三者が介入しづらい投資関連の詐欺防止における金融機関の重要性を強調し「今後も一件でも多くの被害を防いでほしい。お客さまへの聞き取りや通報で困り事があれば、警察も協力する」と述べた。
森チーフは「毎月朝礼で詐欺被害防止について周知し、高額の振り込みではヒアリングなどの対策をしている。今後も社内や警察と連携してお客さまの財産を守りたい」。松島さんは「投資関連の高額振り込みでは、投資経験や普段の口座の動き、振込先の方と会ったことはあるかなどを細かく聞き取るようにしている。新しい手口も出てくると思うので、情報共有を大切にしたい」と語った。
和歌山県内では今年、6月末時点で交流サイト(SNS)型投資詐欺が48件約5億319万円、架空料金請求詐欺が42件約1億3304万円、SNS型ロマンス詐欺が20件約1億3460万円など、計8億8606万円の深刻な被害が発生。新宮警察署管内では7月にSNS型投資詐欺で1件約150万円の被害が出ている。
和歌山県警は特殊詐欺被害防止専用フリーダイヤル「ちょっと確認電話」(0120・508・878)を開設しており、「『必ずもうかる』『投資の仕方を教える』などの電話やメール、SNSがあった際は確認を」と呼びかけている。
(2024年8月1日付紙面より)