新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で14日、「扇立祭(おうぎたてまつり)」が営まれた。神職が社殿前で7握の檜扇(ひおうぎ)を開帳。参列者が玉串をささげ、無病息災や世界平和などを祈った。神賑行事のサックス演奏や福引大会も行われたほか、境内には露店も並び、にぎわいを見せた。
熊野地方の夏の風物詩として1000年以上の伝統を持つ祭典。神前に立てられた檜扇に神を招き、あおぎ起こす風で疫病や害虫を払い、無病息災や五穀豊穣(ほうじょう)を願う意味がある。同大社には日本に18握ある国宝の檜扇のうち10握があり、「熊野檜扇」と称される。ヒノキの木目の美しさを生かしつつ花鳥風月が描かれている。祭りでは複製を使用している。
祭典は拝殿での神事で開幕した。大社崇敬会や扇立祭奉賛会、敬神婦人会など約50人が参列。上野宮司が祝詞を、巫女(みこ)が神楽を、参列者が玉串をささげた。続いて、台湾のサックス奏者のルビーさんが、奉納演奏を実施。懐かしの昭和歌謡の名曲の数々を奏でた。数曲を神前で演奏した後、拝殿の石段上に移動。多くの来場者に向けて演奏し、拍手喝采を浴びた。
境内では、小学生以下を対象とした福引大会が行われた。豪華景品を求め、多数が列を成した。露店は参道の両側に立ち並び、買い求める客であふれていた。
上野宮司は「今日は何とか雨も降らず、檜扇も開帳できた。ルビーさんの素晴らしい演奏も感動した。檜扇の風(で払うこと)によって、平和が訪れ、疫病もない世の中になってほしい」などと話した。
(2024年7月17日付紙面より)
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