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生徒が車座になり忍足謙朗さんの講話に耳を傾けた=5日、和歌山県立新宮高校
世界の不公平を知る
元国連WFP職員が講話
新宮高校

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 和歌山県立新宮高校(下村史郎校長)は5日、元国際連合世界食糧計画(WFP)アジア地域局長の忍足謙朗(おしだり・けんろう)さんを講師に招き、国連セミナーを開いた。1年生190人が受講、世界の不公平を知り、未来に行うべきことを考えた。

 生徒の探究的な学びを目指す「くまの学彩」として実施した。忍足さんは30年以上にわたって国連で勤務。1989年からはWFPに所属し、紛争地や自然災害地などで緊急食糧支援を行った。スーダン共和国で77国籍からなる3000人のスタッフを統括したり、アフガニスタンや北朝鮮に入って指揮を執った経験を持つ。

 忍足さんは「世界は大して広くない。そこに住む人は、環境や経済で全てつながっている。しかし残念なことに不公平。これに関心を持ってほしい」と語った。食料問題について「飢餓で苦しむ人が世界には約8億3000万人いる。世界の10人に1人は、十分な食事ができない」と明かした。

 栄養不良で5歳未満で亡くなる子どもの数が約300万人と紹介。「その原因の第一は貧困。世界中の人が食べられるだけの食料はあるけど、買えない人がいる」と伝えた。自然災害や紛争も状況悪化の要因と説明した。

 紛争地で仕事をした際の苦悩を吐露。「人災のせいで莫大な予算を使い、人の命を助け壊されたインフラを直す。そのお金を学校や病院や道路を造るのに使えたらどんなにいいか」と嘆いた。

 「おなかをすかせ、水もトイレもなく、紛争で迫害を受け、病院に行けば簡単に治る病気で死ぬ子どもらはたくさんいる。世界には不公平がある。『困った時はお互いさま』をいま一度、世界レベルで考えてほしい。関心を持ってほしい」と力を込めた。

 生徒らは、忍足さんの周囲で車座になり、熱心に講話を聞いていた。質疑応答では競って手を挙げ、活発に質問していた。

(2024年7月12日付紙面より)


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扇神輿の張り替え作業に汗を流す氏子ら=11日、那智勝浦町の熊野那智大社
祭礼 12体の扇神輿張り替え
例大祭を前に氏子らが
熊野那智大社
 那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)の大祭「那智の扇祭り(火祭)」(国重要無形民俗文化財)を目前に控えた11日、同大社で扇神輿(みこし)と馬扇の張り替えがあった。熊野十二所権現の神霊をうつす12体の扇神輿は、高さ6㍍、幅1㍍の細長い形で那智の滝を表すとされ、毎年祭り前に張り替えられる。

 早朝に本殿で奉告祭を営んだ後、白装束の氏子25人が作業に取りかかった。作り方のほとんどが口伝のため、先輩が後輩に手順と作法を教え、声をかけあって進めた。

 扇神輿は細長い木の枠に赤い緞子(どんす)を留め、金地に朱の日の丸を描いた扇32本、白銅鏡8面、スギ板で作った「光」「縁松」、ヒノキで作った「蝶(ちょう)の髭(ひげ)」などを飾ったもの。祭り当日の14日(日)にヒオウギの花を飾り付けて完成を迎える。

 扇神輿は1カ月を意味し、12体で1年を、32本の扇は1カ月の30日と残る2本は月の満ち欠けを、365本の竹くぎは1年の日数を表している。8面の白銅鏡は「神威八弦絃(あまねく広く輝かすの意)」といわれている。

(2024年7月12日付紙面より)

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啓発物資を配る関係者ら=11日、新宮市のイオン新宮店
社会 夏の交通安全運動始まる
観光シーズン前に啓発
和歌山県
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交通安全協会
安全協会
 夏の行楽シーズンを前に「わかやま夏の交通安全運動」が11日に始まった。交通量の増加や暑さからくる疲れ・気の緩みなどによる交通事故が多発する時季を捉え、20日(土)までの10日間、各所で交通ルール遵守(じゅんしゅ)と正しい交通マナーの実践を呼びかける啓発が展開される。

 和歌山県、交通事故をなくする県民運動推進協議会など主催。▽歩行者優先意識の徹底とサイン+サンクス運動の推進▽高齢者の交通事故防止▽自転車・特定小型原動機付自転車等の交通ルール遵守の徹底とヘルメット着用促進▽飲酒運転の根絶―を重点に、県民に注意を呼びかけていく。

 11日朝には雨の中、新宮市のイオン新宮店で決起集会と街頭啓発があった。市交通事故をなくする市民運動推進協議会をはじめ、県交通安全協会新宮支部、新宮警察署、市交通指導員協議会など関係団体が参加。買い物客に啓発物資を配布した。

 市交通事故をなくする会の田岡実千年会長(=新宮市長)は「誰もが安全で安心して暮らせる交通事故のない社会を目指し、あらゆる機会を通じて交通ルールと交通マナーの遵守を訴えていきたい。私どもの願いが多くの人に伝わるように」。新宮警察署の交通課長代理で岡本暢夫係長が「これから学生は長期の夏休みが始まり、夏の行楽期に向けて観光客の増大も見込まれる。街頭啓発を通じ、地域の交通安全マインドを高め、行楽期に備えたい」とあいさつした。

 和歌山県警が公表している統計によれば、県内の交通事故件数は7月10日現在で654件、死者数は12人、負傷者数は749人。新宮警察署管内では5月末時点で25件の人身事故が発生しており、死者数1人、傷者30人となっている。

(2024年7月12日付紙面より)

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