新宮市教育委員会、(公財)和歌山県文化財センターが発掘調査を行っている同市木ノ川の八反田遺跡が18日、公開された。参加した地域住民らは、遺跡から出土した弥生土器や石器、作業風景などを見学した。
地中に埋まっている土器や石器、建物の跡などの文化財を「埋蔵文化財」といい、埋蔵文化財が埋まっている場所を「埋蔵文化財包蔵地」(遺跡)という。市内には現在、37カ所の埋蔵文化財包蔵地が確認されており、遺跡の範囲内で工事などを行う場合の手続きが文化財保護法で定められている。
工事着工前に、工事予定範囲の一部を調査し、埋蔵文化財の状態を確認。その結果、遺跡に影響があると判断された場合には工事内容の変更などについて協議される。なお、変更が不可能な場合には本発掘調査を実施することがある。
市では、市道比奈久保線交差点改良工事に伴い、埋蔵文化財包蔵地の一つである、八反田遺跡の発掘調査を開始した。なお、過去に佐野川周辺で行われた発掘調査では、弥生時代の竪穴建物などの遺構が確認され、弥生土器や石器が出土している。
今回の調査地は遺跡の西辺りの、西から延びる丘陵の山麓部で、調査を進める中で土器廃棄土坑やくい列、溝などの遺構を確認。約3㍍四方の廃棄土坑では、弥生土器が大量に出土した。
土器は完形に近い個体も複数あり、まとまって出土していることから意図的に廃棄されたものと思われる。現在、調査途中ではあるが、遺構は竪穴建物であった可能性もあるという。また、くい列は柵や塀などがあったと想定され、複数列見られることから、作り替えなどが行われたと考えられる。
遺跡は、出土土器から弥生時代中期から後期(約2200年前~約1700年前)にかけてのものと思われる。出土土器などは後の市立歴史民俗資料館での展示も視野に入れて調査を続けていくという。
(2023年11月21日付紙面より)
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