和歌山県立新宮高校(深野泰宏校長)は15日、国土交通省中部地方整備局紀勢国道事務所の協力の下、熊野市や尾鷲市で近畿自動車道紀勢線の工事現場を見学した。1年生200人が参加、工事の概要と、並行して行われる環境保全の取り組みを学んだ。
同校は文部科学省の普通科改革支援事業の指定校に採択されており、その改革の具体策の一つとして、地域や大学、研究機関と協力した学際的な学びを生徒に提供する「くまの学彩」に取り組んでいる。今回はこの「くまの学彩」の一環として行った。
現場見学に先立ち10月に、事前学習を行っていた。紀勢国道事務所のほか、ヤマネ・いきもの研究所が講師を務め、紀勢線の工事では現場周辺に生息するヤマネの保護の取り組みを行っていることを伝えていた。ヤマネはネズミやリスに似た小動物で、国の天然記念物となる。
現場見学は、生徒らを5班に分けて実施した。見学するのは▽尾鷲市小原野の動植物(ヤマネ)の保全対策現場▽熊野市井戸の熊野道路トンネル工事現場▽熊野市有馬の熊野道路の熊野インターチェンジ(IC)=仮称=工事現場―の3カ所で、生徒らは交代しながら巡った。
熊野IC工事現場では、紀勢国道事務所の紀勢線推進室の高橋誠建設監督官が説明した。熊野道路の概要として「熊野市の大泊から有馬を結ぶ、延長約7㌔の自動車専用道路。今いる所は、熊野ICを造る場所」と話した。
現在行われている工事を紹介。「地盤改良といって、地盤を強くする工事をしている。コンクリートの柱のようなものを打ってもらっている。そのまま土を盛ると崩れたり沈んだりするので、地盤を強くした後に盛って、車が走れる状態までもっていく」と語った。
大矢胡春さんは「私たちの知らないところで地域の発展のために、こんなにたくさんの人が働いていることを知らなかった。もっとたくさんの人に知ってもらえたらと思う」と感想。
この後に見学するヤマネ保全対策現場について「道を造るのは環境を壊すイメージだったので、環境を保全しながら造られていることは興味深く、見学が楽しみ」と述べた。
(2023年11月17日付紙面より)