JR西日本が運行する観光長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」を使用した、きのくに線の新宮―紀伊田原間の往復、約2時間のミニツアーが23日、行われた。県内外から親子連れ95人が参加、特別な列車での小旅行を楽しんだ。
銀河は、観光を中心とした西日本エリアの活性化を目指し、紀南の京都―新宮間のほか、山陰、山陽などの方面で運行している。今回のミニツアーは、JR西日本和歌山支社が主催。銀河が運行3年目を迎えたことから、地域と一緒に盛り上げたいと企画した、初の試みとなる。
小学生以下の子どもを含む2~4人のグループ、約100人を募集した。料金も、大人1000円、子ども500円と格安だった。県内外から1057人が応募、倍率10・5倍で抽選となった。
当日は新宮駅員が考案、手作りしたバッジが参加者に配られた。駅員の名札を模したもので、フェルトペンで名前を書き込めるようになっていた。また駅員や支社職員は、新宮駅と
近大新宮高校・中学校でデザインしたTシャツを着込み出迎えた。
参加者の席は当日の出発前、新宮駅での抽選で決まった。良い席が決まり歓喜する参加者もいたという。移動中の車内では、制服の試着や車内アナウンスの体験も行われた。往復を終えて戻った参加者には、この日から使用開始となる新宮駅オリジナル銀河乗車記念スタンプが押された紙が、記念に手渡された。
愛知県から岡本英大君(3)を連れて訪れた敬吾さん、恵美さん夫妻は、銀河のロゴマークの「銀河」を「英大」に変えてプリントしたTシャツを英大君に着せて参加していた。繰り上げ当選が決まり制作したという。敬吾さんは「感動した。銀河に乗るのも、紀南に来るのも初めて。車窓から海も見えて気持ち良かった。子どももアナウンス体験をしたりして楽しんでいた」と話した。
新宮駅の道本隆文駅長は「皆さんにこの地方の良さを実感していただけたら。これを機会にこの地方や鉄道に興味を持っていただけたら」。JR西日本和歌山支社の松田彰久副支社長は「皆さん喜んでいただけたかと。やって良かった。これをきっかけに来訪者が増え、また銀河に乗っていただけたら」と語った。
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■交流イベントも実施
学生で組織する和歌山大学きのくに線活性化プロジェクト(宮井凜晴代表)による、プラレールを使った交流イベントも当日、新宮駅前で行われた。ミニツアー運行に併せ、にぎわいの創出や盛り上げを目的としたもの。多くの子どもらが集い、おもちゃの列車を走らせて楽しんでいた。
那智勝浦町出身で、
新宮高校卒業である宮井代表(22)は「(交流イベントが)駅や電車に興味を持ち、好きになり、楽しい場所になるきっかけになれば」と述べた。
(2023年9月27日付紙面より)