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段ボールベッドを組み立てる5、6年生=24日、那智勝浦町立市野々小学校
災害の犠牲者ゼロ目指し
「市小防災の日」を開催
那智勝浦町

 那智勝浦町立市野々小学校(中地直樹校長)で24日、「市小防災の日」が開かれた。全校児童26人と家族、地域住民らが、改めて2011年の紀伊半島水害について振り返り、命を守るための行動を学んだ。

 紀伊半島水害で大きな被害を受けた同校では、災害から児童の命を守るため、地域と二人三脚でさまざまな防災教育を実施。地域や保護者へ成果を共有する場として、毎年「防災の日」の取り組みを継続している。

 前半の授業参観では、児童が土砂災害や早期避難の重要性について学習する様子を公開した。5、6年生は熊本地震で同世代の子どもたちが体験した避難所生活の様子を視聴。食事や通信環境、「みんなピリピリしていて、けんかの声が聞こえて怖かった」などの証言から、自分にできることや必要なルールを考えた。段ボールベッドの組み立ても行い、学校に備蓄されている避難所用マットと寝心地を比べた。

 後半では同町井関在住の防災・久保榮子さんが、自身の経験した紀伊半島水害を記した紙芝居をした。あっという間に濁流が押し寄せる様子や、家族や友人を亡くした心情を語り「大切な子どもたちの命。絶対になくしてはいけない。災害で犠牲者ゼロを目指している」と語りかけた。

 和歌山県土砂災害啓発センターの職員による教具学習もあり、最新の拡張現実(AR)技術や土石流の再現装置で災害が起こるメカニズムを伝えた。

 楠本小眞知さん(6年)は「本当に災害が起きたとき、避難所がどうなるのか知った。大きな声を出したり、走り回ったりするのは気を付けた方がいいと思った」。母親の君江さんは「お年寄りも多い地域なので、段ボールベッドの方が起き上がるのに楽と感じた。久保さんの紙芝居は、当時のことが思い出されて胸が痛いが、大切なお話だと思う」と話していた。

(2023年9月26日付紙面より)


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競技に臨む参加者=23日、北山村音乗の北山川
スポーツ 技とスピード競い合う
カヌー大会「じゃばらカップ」
北山村
 北山村音乗(おとのり)の北山川で23、24の両日、カヌー大会「第7回じゃばらカップ」が催された。37人が出場し、技とスピードを競い合った。

 北山村、同村観光協会、和歌山県カヌー協会、熊野カヌークラブが主催。じゃばらカップは、2015年に北山川が紀の国わかやま国体カヌー競技の会場となったことをきっかけに開催。例年7月に実施しているが、酷暑を考慮し今年は9月に変更された。

 開会式で山口賢二村長が遠方からの参加に感謝を述べ「次回の大会では国体の近畿ブロックも兼ねて行われます。くれぐれも、けがのないよう全力を尽くしてください」とあいさつし、競技がスタートした。

 23日は自由形式の艇で五つのゲートを通過し、速さを競うダウンリバーレースを展開。参加者17人は激流にもまれながら競技に臨み、ゲートをくぐる選手たちに対して観客から拍手や声援が送られた。

 24日には、スラロームレースがあり、20人が日本カヌー連盟スラローム競技規則に準じたK―1、C―1、スタンドアップパドルボート(SUP)やポリ艇など、多種多様な艇に乗り競技に挑んだ。

 滋賀県から初めてダウンリバーレースに出場し、K―1で優勝した馬場大(ばんば・ひろ)さん(20)は「昨年からカヌーを始め最高の結

果を出すことができてうれしいです。来年も参加して連覇を目指したい」と笑顔を見せていた。

(2023年9月26日付紙面より)

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約70人が支え合いの大切さを再確認した=24日、新宮市福祉センター
福祉 地域福祉はまちづくり
支え合いフォーラムに71人
新宮市
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防災
 新宮市と市社会福祉協議会は24日、市福祉センターで令和5年度地域支え合いフォーラム「みんなでつくろう! わがらのまち」を開催した。71人が基調講演や取り組み発表などを通して、地域における支え合いの大切さを再確認した。

 同フォーラムは、地域に必要な支え合いについて理解を深めることを目的に開催。市では「住み慣れた地域で生き生きと暮らしたい」という市民の思いを実現するため、地域包括システムの構築を目指している。

 地区活動発表では、高田地区福祉委員の石田千代さんが「高田区の野菜市」をテーマに、雲取温泉高田グリーンランド敷地内にある「木の薫る店」を有効活用した「野菜市」の取り組みや活動のきっかけなどについて紹介。「皆さんに少しでも長く元気で過ごしてもらえるように今後も活動を続けていきたい」と述べた。

 社協職員の池上徹さんは「千穂第一地区の取り組み」をテーマに、防災避難訓練の地区懇談会を発端として立ち上がった「地域ささえ愛プロジェクト」について説明。「地域の課題を助け合いで解決し、みんなが活躍できてみんなが住みやすいと感じる地域を一緒につくっていきたい」と話した。

 基調講演では、摂南大学現代社会学部講師の上野山裕士さんが「みんなが支え合い、だれもが活躍できる新宮市のために」を題目に講話。

 社会福祉とは幸せな社会をつくる取り組みであるとし、法律やサービスなどの「制度的な取り組み」と支え合いやボランティアなどの「非制度的な取り組み」の両輪で成り立っていると主張。価値観・境遇が多様化する中、一人一人の思いや困り事に寄り添う取り組みが大事であるとした。

 「みんなが支え合い、それぞれの『得意』を生かして誰もが活躍できる地域をつくる」といった地域共生社会の考え方について説明し「地域福祉は地域共生社会の実現のための方法。地域福祉はまちづくり」と話した。

 具体的なステップとして▽優先課題の発見・共有▽社会資源を把握▽具体的な解決方法を考える▽多様な主体と協議して課題解決に取り組む▽活動に対する振り返りを行い、新たな課題に取り組む―を挙げ「地域の強みを踏まえて、それぞれの地域における地域共生社会の姿を明確に描くことが第一歩になる」。

 「新宮市はそれぞれの活動団体・内容が個性豊かでさまざまな得意や思いを持っている。社協が地区担当を配置していることはすごいこと。多様な価値観と境遇を想像し、自分たちにできることを考え、対話して行動してみて」と呼びかけた。

 閉会に当たり、田岡実千年市長は「日頃から活動していただいている多くの皆さまのお気持ちが新宮の強みだと思う。これからも皆さんと一緒により良いまちづくりを進めていきたい」とあいさつした。

(2023年9月26日付紙面より)

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児童教職員にプロの演奏を披露=22日、串本町立大島小学校
国際 音楽で深いつながり示す
日ト友好記念コンサート
串本町
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大島小
 串本町立大島小学校(貴志純子校長、児童29人)で22日、同町文化センターで23日に日ト友好記念コンサートがあり児童と教職員や一般約160人が日本とトルコのプロ演奏者の共演を鑑賞し両国友好の一端を感じるなどした。

 オーストラリア・メルボルン交響楽団に所属するトルコ人バイオリニストのイシン・チャクマクチオールさんと日本人ピアニストの五十嵐明美さんによる公演。

 チャクマクチオールさんからエルトゥールル号遭難救助を起点とする友好関係がトルコと日本の間にあると教わった五十嵐さんが感銘を受け、その親密な友好を起点の地で祝いたいと同町へ申し入れ。同町は地域に加えて学校でも公演をしたいという希望にも応え、来日日程も考慮し前述した2公演を設定したという。

 大島小では児童を代表して中川暁音さん(6年)が歓迎のあいさつを述べ、2人は40分強の限りある時間の中でクラシックや童謡、アニメの楽曲、チャクマクチオールさんからのサプライズでトルコ民謡の楽曲を奏でた。

 同センターは一般を対象にした90分の公演で、ヨハン・ゼバスティアン・バッハやルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン、ベドルジハ・スメタナ、カミーユ・サン=サーンスの楽曲を連番でつづって旋律とその世界観を届けるなどした。

 町は広報くしもと9月号にエルトゥールル号追悼式典と対の位置付けで地域公演実施を事前告知。気軽に親しみやすいよう、当日受け付けで来場を呼びかけた。五十嵐さんは「長年の友好へ急に入って何ができるのかという思いもありましたが、音楽はユニバーサル。私たちの演奏から何かを感じ取ってもらえたら」、チャクマクチオールさんは「日本とトルコの関係は学校で教わる歴史的な事実だけではない。トルコ人と日本人が一緒に音楽をする姿を通して、今でも友好は深くつながっているというところを示せたら」と今回の公演に込めた思いをそれぞれ語った。

(2023年9月26日付紙面より)

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