新宮市と市社会福祉協議会は24日、市福祉センターで令和5年度地域支え合いフォーラム「みんなでつくろう! わがらのまち」を開催した。71人が基調講演や取り組み発表などを通して、地域における支え合いの大切さを再確認した。
同フォーラムは、地域に必要な支え合いについて理解を深めることを目的に開催。市では「住み慣れた地域で生き生きと暮らしたい」という市民の思いを実現するため、地域包括システムの構築を目指している。
地区活動発表では、高田地区福祉委員の石田千代さんが「高田区の野菜市」をテーマに、雲取温泉高田グリーンランド敷地内にある「木の薫る店」を有効活用した「野菜市」の取り組みや活動のきっかけなどについて紹介。「皆さんに少しでも長く元気で過ごしてもらえるように今後も活動を続けていきたい」と述べた。
社協職員の池上徹さんは「千穂第一地区の取り組み」をテーマに、防災避難訓練の地区懇談会を発端として立ち上がった「地域ささえ愛プロジェクト」について説明。「地域の課題を助け合いで解決し、みんなが活躍できてみんなが住みやすいと感じる地域を一緒につくっていきたい」と話した。
基調講演では、摂南大学現代社会学部講師の上野山裕士さんが「みんなが支え合い、だれもが活躍できる新宮市のために」を題目に講話。
社会福祉とは幸せな社会をつくる取り組みであるとし、法律やサービスなどの「制度的な取り組み」と支え合いやボランティアなどの「非制度的な取り組み」の両輪で成り立っていると主張。価値観・境遇が多様化する中、一人一人の思いや困り事に寄り添う取り組みが大事であるとした。
「みんなが支え合い、それぞれの『得意』を生かして誰もが活躍できる地域をつくる」といった地域共生社会の考え方について説明し「地域福祉は地域共生社会の実現のための方法。地域福祉はまちづくり」と話した。
具体的なステップとして▽優先課題の発見・共有▽社会資源を把握▽具体的な解決方法を考える▽多様な主体と協議して課題解決に取り組む▽活動に対する振り返りを行い、新たな課題に取り組む―を挙げ「地域の強みを踏まえて、それぞれの地域における地域共生社会の姿を明確に描くことが第一歩になる」。
「新宮市はそれぞれの活動団体・内容が個性豊かでさまざまな得意や思いを持っている。社協が地区担当を配置していることはすごいこと。多様な価値観と境遇を想像し、自分たちにできることを考え、対話して行動してみて」と呼びかけた。
閉会に当たり、田岡実千年市長は「日頃から活動していただいている多くの皆さまのお気持ちが新宮の強みだと思う。これからも皆さんと一緒により良いまちづくりを進めていきたい」とあいさつした。
(2023年9月26日付紙面より)
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