来年3月31日をもって閉荘が決定している新宮市木ノ川の市立養護老人ホーム「寿楽荘」(松畑理荘長)で21日、「新たな出発を祝う会」があった。入所者や施設関係者、田岡実千年市長、養護老人ホーム「南紀園」の金田健治園長、堀切健・木ノ川区長らが出席。同施設の歩みを振り返りながら、新生活への期待を高めた。
同施設は1979年、養護老人ホーム(さまざまな理由により、現在置かれている生活状況では在宅生活を送ることができない高齢者などを市が措置して入所する施設)として現在地に完成。2011年から指定管理者制度を導入しており、19年度から社会福祉法人「真福会」に運営を委託している。
築44年を迎える中で、設備の老朽化が進み、十分なバリアフリー化がされていない状況となっており、また長期入所により高齢化・要介護化し現在の施設では入所者の日常生活に不便がかかるといった状況を鑑み、内部協議を重ね閉荘するに至った。高齢者施設の充実により、養護老人ホームのニーズが全国的に低下しているといった背景もある。
閉荘に当たり、説明会や見学会などを経て、16人の入所者は全て太地町の「南紀園」に移行することが決まっており、10月26日から4人ずつ順次移行する予定。市によれば、同施設の跡地に関しては、地域住民らの意見を聞きながら、今後協議を進めていくという。
「祝う会」では、田岡市長が「施設の老朽化により皆さま方にご不便をおかけすることもあったと思う。南紀園はバリアフリー化されており設備も新しく、日当たりの良い施設。新しい生活に向けて体調を整えていただきながら楽しみにお待ちいただければ」とあいさつ。金田園長は「来て良かった、そう感じてもらえるように職員一同、準備万端でお迎えをしているので、楽しみにお越しいただければ」と歓迎した。
田岡市長が入所者一人一人に記念品を手渡した後、松畑荘長が季節の行事などをスライド写真で紹介。「短い時間ですが皆さまと関われたことを本当にうれしく思っています。指定管理を引き継いだ1年目は支援の方法が分からず、皆さまにご迷惑をかけた。南紀園にも優しく優秀な職員さんがたくさんいると聞いています。健康で、そして笑顔で過ごされることを心から願っています」と思いを伝えた。
入所者を代表して屋敷幸代さんは「これからも健康に気を付けて、楽しく暮らしていこうと思います」と応えた。
(2023年9月23日付紙面より)