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会場の全員で「花は咲く」を合唱した=5日、新宮市の「丹鶴ホール」
名取老女と信仰が縁つなぐ
新宮・名取RCが勧請900年記念事業

 「名取老女勧請(かんじょう)900年記念事業実行委員会」(新宮・名取ロータリークラブ〈RC〉)は5日、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で名取老女勧請900年記念事業「名取老女はなぜ1000kmを超える道のりを熊野へ48回も来たのか」を開催した。地域住民や地元高校生らが来場。パネルディスカッションなどを通して名取市との関わりについて学び、熊野の魅力を再確認する機会とした。

 新宮市の姉妹都市・宮城県名取市。平安時代に名取老女が設けたと伝わる熊野三山(新宮・本宮・那智)が祭られ「東北の熊野」と呼ばれるほど熊野信仰と縁深い。今年は名取老女の徳が、熊野三山の名取熊野三社への勧請につながって900年を迎える。

 2011年の東日本震災の際に、姉妹都市の縁で名取RCを訪問して以来交流を重ねてきた両RC。このたびの記念事業は、名取老女を通して地域の人が熊野の魅力を再発見する機会につながればとの思いから実施に至った。

 開催に当たり、福田一郎・新宮RC会長があいさつ。名取RCとの関係や事業実施に至った経緯を説明し、関係者や来場者に感謝を伝えた。

 続いて、国際熊野学会代表委員の山本殖生さんが「名取老女熊野参詣伝承」を演題にビデオ講演。熊野信仰の広がりや誘因などについて話し、名取老女研究会の虹乃美稀子さんが、名取熊野三山や名取老女の墓、民家の敷地内にある「もう一つの熊野三社」などを紹介した。

 パネルディスカッションでは、新宮高校から磯﨑咲良さん、問芝璃音菜さん、新翔高校から中村美優さん、苫谷雄基さん、近大新宮高校から前田一成さん、月輪覚嗣さんが登壇し「実際に三山を自転車で回って、名取老女や参詣者らがはるばるこの地を訪れた気持ちが分かる気がした」などとそれぞれが感じる熊野の魅力を発表。

 名取老女研究会メンバーは「名取老女はなぜ48回も足を運んだか。熊野の神様はもちろんのこと、熊野の人々も何でも受け入れるという魂のありようをしていたのでは」と語り、紙芝居「名取老女物語」を披露。新宮高校吹奏楽部による演奏もあった。

 また、文化ホール前では、事前に市内高校3校の生徒から「熊野の魅力再発見」をテーマに募った作品55点を展示。開演前に来場者らによる投票があり、イベント内で審査結果の発表と表彰が行われた。新宮高校の寺地鷗さんが最優秀賞に輝き、郷内知明・名取RC会長が熊野材で作られた盾と商品券を手渡した。

 新宮高校の磯兼美栞さん、東里佳さん、久保絆さんが東日本震災の被災者の声を代読。震災当時に名取市長だった、名取RCの佐々木一十郎(いそお)さんが「2008年に姉妹都市の盟約を締結し、その3年後に震災が起こったが、新宮市の方々にたくさん応援いただいた。熊野や名取老女が取り持つ縁が今もこのような形で続いている」とあいさつした。

 最後に、会場内の全員で東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」を合唱。12年前の東日本震災紀伊半島水害に思いをはせるとともに、両市の末永い友好を願った。

(2023年2月7日付紙面より)


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紀伊半島地域連絡意見交換会が一般社団法人那智勝浦観光機構のツアーを視察=2日、那智勝浦町の勝浦地方卸売市場
地域 機構のガイドツアーを視察
紀伊半島地域連絡意見交換会
那智勝浦町
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熊野速玉大社
熊野本宮大社
 和歌山、三重、奈良3県の行政や民間事業者などで構成される紀伊半島地域連絡意見交換会のメンバーらは2日、那智勝浦町を訪れ、一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT)が実施する「生まぐろ競り(入札方式)ガイドツアー」や現地を視察した。機構の南條絢子さんらがガイドを務め、参加した23人は勝浦地方卸売市場やにぎわい市場を巡り、生マグロの魅力に触れた。

 意見交換会は一般財団法人奈良県ビジターズビューローが主体となり、行政やバス・鉄道事業者、観光地地域づくり法人(DMO)などが集まり設置。3県をまたいだ広域周遊・長期滞在の促進および紀伊半島としての海外プロモーションの展開や商品・ツアーの造成などを議論することを目的としている。

 第1回は奈良、第2回は三重で実施され、和歌山での開催は初。1日は田辺市本宮町の世界遺産熊野本宮館で、令和4年度広域周遊促進事業実施状況や紀伊半島エリアブランド化に向けての話し合いが行われ、講演もあった。

 2日は、観光分野の有識者である独立行政法人国際観光振興機構の蔵持京治理事長代理と株式会社Intheoryの村木智裕代表取締役も視察に加わった。

 南條さんに加え、NACKT公認ガイドの山縣弘明さんと寺本亜衣さんも参加し、3班に分かれてツアーを行った。

 一行は軽量無線機を取り付けて、活気ある市場の様子やマグロの入札、漁船を見学。南條さんらは、那智勝浦町で水揚げされるマグロの種類を紹介。はえ縄漁にも触れ、マグロに傷やストレスを与えず、持続可能な方法であるなどを解説した。

 参加者はにぎわい市場に移動し、ツアーオプション「まぐろのっけ寿司体験」に取り組み、新鮮なマグロに舌鼓を打った。株式会社ヤマサ𦚰口水産の職員が、マグロや持続可能な資源の活用、取り組みを説明した。

 和歌山県観光局観光交流課の板谷吉浩さんは「外国人観光客はサステナブルな観光を重視する。このツアーはインバウンド向けの商品として、絶好のコンテンツだと思う」と話した。

 南條さんは「交換会の皆さまとつながることができ、ありがたい。観光のプロの方々にアドバイスを頂けた」。

 ツアーについては「多人数の対応は初。良い経験になった。可能性のあるツアーだと思っている。今後はモデルチェンジも含め、試行錯誤しながら磨き上げていきたい」と語った。

 その後、一行はNACKT職員の案内で那智山へ。続いて、熊野本宮大社熊野速玉大社も視察した。

(2023年2月7日付紙面より)

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「かがり御供」を作る関係者たち=6日、新宮市の熊野速玉大社
祭礼 「かがり御供」作る
神事で供える特別な餅
御燈祭り
 新宮市の熊野速玉大社双鶴殿で6日午前、夜の御燈祭(おとうまつ)りで神倉神社神殿に供える特別な餅「かがり御供(ごく)」作りが行われた。祭りで介釈(かいしゃく)を務める神倉青年団員たちが、祭りで使用するヒノキの介釈棒で回りながら餅をついた。

 この日は、中山忠吏団長をはじめとする団員と上野顯宮司、猪飼三雄・神倉神社奉賛会長ら約10人が参加。ふかしたもち米を石臼の中に入れ、6升分をついた。出来上がった餅は細長く伸ばしてはさみで約3㌢の正方形に切り、3枚に合わせてわらひもで十文字に縛り、男結びにしていった。

 上野宮司は関係者らに感謝し「通常の祭りが斎行できた際には、上がり子の皆さんに心構えや責任をより強く持っていただくことを願っています」。

 中山団長は「コロナの影響で3年連続となる少人数での神事ではありますが、思いは例年と同じです。『来年こそ』の思いを込めて奉仕していければ」と話していた。

(2023年2月7日付紙面より)

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新宮警察署と串本海上保安署が連携し倒壊家屋救出を実践=4日、串本町消防防災センター
防災 連携見据えて防災意識培う
消防防災セで津波対応訓練
串本・古座川官公署等連絡協
 串本・古座川官公署等連絡協議会の津波災害対応訓練が4日に串本町消防防災センターであり、13官公署等が各訓練項目に取り組んで相互連携を見据えた防災意識を培った。

 同協議会は地域防災を高める上で関係官公署等の連携は不可避かつ重要との観点による職員等発起の結び付きで、おおむね2カ月に1回の頻度で各官公署等の防災担当者が集まり話し合う機会を持っている。うち年1回、同訓練を計画し有事に求められる連携の実践に充てている。

 2019年度に当時の串本警察署代替指揮所で実施して以降、新型コロナウイルスの情勢で20、21年度は中止を余儀なくされたため今回は3年ぶり。同日午前9時30分に紀伊半島~四国沖でマグニチュード9・1の地震が発生し3分後に気象庁が同町沿岸に大津波警報を発表したと想定し、県や国の救援活動が本格化する前段階(発生から約72時間程度)に対処する流れで実施した。

 参加した官公署等の内訳は▽新宮警察署▽串本海上保安署▽航空自衛隊串本分屯基地▽串本町役場▽古座川町役場▽串本国道維持出張所▽県水産試験場▽東牟婁振興局串本建設部▽新宮保健所串本支所▽県立潮岬青少年の家▽関西電力送配電株式会社▽JR西日本串本駅▽串本町消防本部―で、約80人が各訓練項目に臨んだ。今回は会員外だが前段階での連携が考えられる県防災航空隊も参加し、一部訓練項目で連動した。

 訓練内容は避難広報、情報収集、現場指揮本部設置、情報伝達、倒壊家屋救出(警察と自衛隊が救助隊、海上保安庁が搬送隊として連携)、多数傷病者対応(同本部救急隊によるトリアージ)、県防災航空隊連携(同本部と連携し孤立避難者ピックアップ救出を展開)、建物消火など。これら項目に直結しない官公署等の参加者は傷病者役として協力しつつ見学し、実動する官公署等の連携やその状況の把握に努めた。

 約2時間にわたる連携を前提とした実動の始終を見届けた官公署等の長を代表して訓練講評を寄せた串本町の田嶋勝正町長は、「南海トラフの巨地震が高い確率で発生する地域であることを踏まえると、こういった組織が一丸となって行動し防災意識を高めていくのは大事なこと。大変有意義な訓練だと思う」とコメント。同訓練をきっかけにし各官公署等の有事を見据えた連帯がいっそう深まることを願った。

(2023年2月7日付紙面より)

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