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上野顯宮司らが豆で鬼を追い払った=3日、新宮市の熊野速玉大社
「福は内、鬼は外」
熊野三山で節分行事

 新宮市の熊野速玉大社、那智勝浦町の熊野那智大社、田辺市本宮町の熊野本宮大社で3日、節分行事が営まれた。境内に「福は内、鬼は外」の声が響く中、参拝客らは疫病退散や除災招福などを祈願した。

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熊野速玉大社

 熊野速玉大社(上野顯宮司)では、鬼を払う追儺式(ついなしき)と正月に飾ったしめ縄などを燃やすどんど焼きがあった。

 追儺式では境内に赤鬼と青鬼が登場。上野宮司をはじめ大社関係者らが「福は内、鬼は外」と豆をまき、鬼を鳥居の外に。子どもたちも加わり、元気いっぱいに鬼を追い払った。

 新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、最後に行われる福豆やお菓子まきは中止とし、上野宮司らが子どもたちにお菓子を配った。

 毎年多くの人が求める縁起物の「吉兆(きっちょう)」は同日午前中に完売。どんど焼きでは午前中から多くの人が訪れ、境内に掘られた穴に御神火がついたお焚き上げたいまつと一緒にしめ縄などを投げ入れていた。どんど焼きに協力した新宮市消防団丹鶴分団は、火災防止のために午前8時から神社敷地内に放水を行った。

 上野宮司は「冬と春が分かれる日に新しい命と力を得るため邪気を払って福を呼び込む神事。このような伝統神事を続けていくことは意味深いこと。健康な1年であることを心から願っています」と話していた。

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熊野那智大社

 熊野那智大社(男成洋三宮司)は、午前と午後の2回に分け、2年ぶりに「鬼追い追儺式」を営んだ。午前の式では、大檀那(だんな)と呼ばれる特別崇敬者の約60人が参列。鬼役が面を着けて福升の豆をまき、社殿前の石階段を青竹で3回打ち付け、「家内安全、延命息災、家運隆昌」と唱えて邪を払い、福を呼び込んだ。

 「お弓の儀」もあった。神職が弓を引き、「鬼」の字が書かれた的を射抜いた。放った2本の矢はどちらも命中し、見学者や参拝者の拍手と歓声が湧いた。宝物殿の回廊からの、男成宮司や大檀那による豆まきもあり、福を求めて多くの人が手を伸ばす姿が見られた。

 男成宮司は「鬼に例えて邪を払い、福を呼ぶ伝統的な行事。こういう時代こそ絶やさないことが大事」と語った。

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熊野本宮大社

 熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)では、神職や大社役員らが参加する中、3年ぶりに通常規模で節分祭と追儺式が執り行われた。

 追儺式では、神職や大社関係者らが豆をまきながら拝殿の回廊を3周。鬼を前に、泣き叫ぶ子どももいる中、九鬼宮司が天に向かって3本の矢を放ち鬼を追い払った。

 追儺式後には、多くの地域住民らが集まる中、大社関係者や今年厄年を迎える人らによって餅やお菓子などがまかれた。

 九鬼宮司は「昨年はコロナの影響で餅まきも控えたが、今年は一歩でも前進するという意味で餅やお菓子をまかせていただいた。久しぶりににぎやかな節分。子どもたちにも力をもらいました」と述べた。

(2023年2月5日付紙面より)



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オンライン・対面を併用して授業を行う=4日、近畿大学附属新宮中学校
学校 ハイブリッド授業の感触は?
近大新宮中でテスト運用
 近畿大学附属新宮中学校(池上博基校長)で4日、「ハイブリッド・サタデー」と題し、在宅オンライン授業を併用したハイブリッド授業のテスト運用が行われた。1年生48人中39人が在宅、9人が対面で授業を受け、その感触を確かめた。

 同校は現在の中学1年生より、生徒に1人1台のタブレット端末「iPad(アイパッド)」を配布し、学習に活用している。授業で配布するプリント数が激減し、アプリ「Kahoot!(カフート)」を用いた復習クイズが定着するなど、さまざまな変化が生まれている。

 今回のテスト運用について教務部の松田頼義部長は「先日の大雪で教職員や生徒の通勤通学に大きな影響が出た。遠方から通う生徒も多いため、天候によるアクシデントが起きても、いつでもどこでも授業ができるようICT(情報通信技術)機器の活用を進めたいと考えた。本校は土曜日も授業があるが、中体連などのスポーツ大会と重なることも多い。今回の検証を経てハイブリッド型授業が導入されれば、こうした場合も役に立つのでは」と語る。

 この日は生徒自身が在宅・通学を選択する形で実施し、午前中に社会、理科、道徳、数学の授業が行われた。

 在宅でのオンライン授業を選択した前田里空さんは「思っていた以上に画質がきれいで、クラスとの一体感を感じることもでき、特に不足は感じなかった」。対面授業を選んだ小谷恵菜さんは「分からないことがあっても直接質問できるので、通学を選んだ。A組で教室にいるのは4人だけなので、少し寂しい感じもある」と話していた。

(2023年2月5日付紙面より)

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不法廃棄物を撤去する=3日、御浜町山地
地域 道路脇の不法廃棄物を撤去
3団体がボランティアで
御浜町
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連合会
 御浜町山地の町道平山寺前線の沿道で、昨年11月ごろから、不法投棄が目立つようになった。この状況を改善し、環境美化に努めようと地元団体が3日、ボランティアで撤去作業に取り組んだ。

 町道平山寺前線は夜になると通行する車両が少なく、2~3年ほど前からペットボトルや空き缶などが道路脇の斜面に不法投棄されていたという。

 撤去作業には、NPO法人環境ファースト連合会事務局、山地地区企業会、山地地区と六部海岸の環境を守る会が参加。町も協力した。

 約30人が作業し、急斜面に不法投棄されたタイヤや水槽、瓶、缶、ペットボトル、扇風機、炊飯器、照明器具などの一般廃棄物、コンテナ、消毒用容器、マルチシートなど農業廃棄物を集めた。

 約1時間の作業後、回収した廃棄物を分別して処理した。今後、現場にはフェンスと不法投棄禁止を呼びかける看板を設置する。

 同連合会事務局では「今後、このような不法投棄が多発するようであれば法的手段も考える」としている。

(2023年2月5日付紙面より)

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約30人が聴講した=2日、新宮市の「丹鶴ホール」
地域 世界遺産・熊野その価値
歴探スクールで速水盛康さん
新宮市
 熊野学研究委員会歴史部会・新宮市教育委員会が主催する令和4年度熊野学講座「第37回歴史探訪スクール」が2日、同市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」であった。熊野学研究委員会の速水盛康さんが「世界遺産・熊野の聖地信仰―その価値と意義―」を題目に講話。約30人が聴講した。

 速水さんは、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」について「文化遺産でありながら自然の占める割合が多い。個々の資産の価値ではない、道と

霊場、自然が一体となった人と自然との共同作品(文化的景観)」とその概要や価値を説明。

 「かつては山、川、海など自然と一体となった生活をしていた。単なる文化財という『もの』から、人々の視点も構成要素として考えていくと面白い見方ができる。地域の持っている力を大切にしていくことが必要」と話した。

 同じく世界遺産であるサンティアゴ・デ・コンポステラの巡礼路を挙げ「ヨーロッパ的思考では征服地に自分たちの文化をつくる。道が先にあって信仰の文化を築いていく」と特徴的な違いについて述べ「文化的景観には歴史的な背景を持った目には見えないものの存在がある。熊野には人と対比する空間が今もなお生きている」と話した。

 補陀落渡海、小栗判官伝説、熊野比丘尼(びくに)などを挙げ「これらのストーリーを先人たちが神仏を仲立ちとして聖地熊野で創り上げていったのは事実」と熊野地域の個性に言及。

 「物証がなくても十分なストーリーが存在する。見えないものの存在を一つの価値観として発信していく力が、グローバル的な発信力になり得る。これはお金では買えない宝物。文化から多様性を国際的に発信していける。挑戦できる世界遺産、そういう捉え方をしてもいいのでは」と話していた。

(2023年2月5日付紙面より)

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