紀宝町立
矢渕中学校(立嶋信雄校長)は26日、「
防災学習」を開き、1年生56人が
防災啓発車による
地震体験や、
災害時の警察活動を学んだ。
災害時の警察活動を知り、
地震発生時の安全な行動を身に付けることが目的で、紀宝警察署の署員を招いて初めて開催。午前中の4限目に「
防災ノート」を活用した事前学習にも取り組んだ。
午後からは体育館に集合後、紀宝署で
防災を担当する署員が講話。
災害は身近にあるとした上で、2011年に発生した東日本
大震災の被害写真などをスライドに映し「三重県警察も被災地の
救助活動などに派遣された」と紹介した。
同年の
紀伊半島大水害では、県内で2人が死亡、1人が行方不明、17人が負傷、5081人が避難したと説明。当時の写真で
災害を振り返った。
県内で想定される
災害として「南海トラフ
地震」を挙げ「今後、30年以内に70~80%の確立で発生するといわれ、県による人的被害は約5万3000人と想定されている。訓練の大切さを再認識してほしい」と語った。
災害発生時には警備本部を設置し、避難誘導、自衛隊や自治体と連携した救出・
救助活動、生存者・行方不明者の捜索、交通対策、避難所での被害者支援、検視活動、警戒パトロールなどに取り組むことを説明。「警察に興味のある方は紀宝署に連絡を」と呼びかけた。
生徒たちは、負傷者を1人で背負う「パックストラップキャリー」、2人一組で担ぐ「ヒューマンチェーン」など、
災害時に役立つ搬送法を実践。県が所有する
起震車で南海トラフ
地震の最大震度6強~7の揺れを体験した。
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地域と連携した訓練を 紀宝警察署協議会
防災学習には、紀宝警察署協議会の委員5人と同署の福田利章署長らが訪れ、生徒たちの取り組みを見学した。視察後、同署で本年度2回目の協議会を開催した。
視察した委員は「熊野市には津波到達地点に碑が建っている。
地震体験をきっかけに、過去、津波が来たことを知ってほしい」「被害を減らすための対策や心構えが大切」「体験することの大切さを知った。各学校に広がることを願っている」などと述べた。
福田署長は「南海トラフ
地震が発生した際、最大11㍍の津波が到達すると想定されている。警備課を中心に、先般、
災害警備本部の設置訓練を実施した。発災時に素早く対応できるよう、署員には普段から意識を持つよう伝えた。大雨や
土砂災害に向けて地域と連携した避難誘導訓練、講話なども実施したい」と伝えた。
県内で刑法犯認知件数、交通事故による死者が増加しているとし「県民の安全安心の確保に向け、皆さんの意見・要望を反映させ、地域の実情に応じた活動を展開したい」と述べた。
子どもの安全対策への要望に「学校、行政、警察も含めて行方不明事案が発生しないよう、広報啓発活動などで取り組みを進めたい」と示した。
(2022年9月30日付紙面より)