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磯に生息する生物を探す参加者=15日、太地町の森浦湾
魚類などの生態学ぶ
「磯のいきもの観察会」
太地町立くじらの博物館

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太地小
 太地町立くじらの博物館(稲森大樹館長)は15日、森浦湾の磯で「磯のいきもの観察会」を開いた。同館水族館担当の荻原拓さんらの解説の下、町内外から参加した親子4組13人は磯や潮だまりに生息する生き物を観察し、生態などを学んだ。

 観察会は魚類やヤドカリ、エビなどの無脊椎動物の観察、採集を通して種類や生態を学ぶとともに、海を利用する際の危険や注意の普及啓発を行う目的で昨年から実施している。

 参加者は同館園内に集合し、徒歩で森浦湾の磯へ移動。荻原さんから、湾内に生息するウツボやハオコゼ、ガンガゼ、カツオノエボシなどの危険な生物の紹介や海での事故防止について説明があった。

 参加者はライフジャケットや軍手を装着後、網とバケツを持って、磯や潮だまりで生き物の観察や採集に取り組んだ。

 「ヤドカリ見つけた」「魚おった」「海草が柔らかい」と笑顔ではしゃぐ子どもたちの姿が見られた。その後、各自で採集した生き物約20種類を大きな水槽に移し、荻原さんが特徴や生態を解説した。

 町内から参加した山下みつきさん(太地小5年)は「生き物を捕まえたり、観察ができてすごく楽しかった。いろいろなことを知れたので、家でも家族に話してあげたいです」と語った。

 荻原さんは「当館はクジラを専門としている博物館。そのクジラやイルカが生息する豊かな海を支えている小さな生物たちにも目を向けていただきたかった。子どもさんたちには観察会を通して、水温を直接感じ、海草を踏む感触や生き物に触れることなどを体感して、楽しんでいただけたら幸いです」。

 稲森館長は「皆さま方に、自然に直接触れて体験していただける機会として昨年から実施している。どのような頻度や形になるかは検討中だが、今後も観察会などの催しを拡充していく予定です」と話した。

(2022年5月18日付紙面より)


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ヒラメの稚魚を放つ宇井晋介事務局長(右)とそらなさゆりさん=16日、串本町くじ野川
地域 ヒラメ稚魚1200匹を放流
南紀串本観光協会協力し
日本釣振興会
 串本町くじ野川にある橋杭ビーチで16日、ヒラメの稚魚放流があった。公益財団法人日本釣振興会和歌山県支部による釣りを楽しむ環境づくりの一環で、会員の南紀串本観光協会(島野利之会長)が協力し稚魚約1200匹を串本の海へ送り出した。

 同協会がフィッシングタウンとしての地域振興に打ち込む一環で同振興会の団体会員となったことで始まった取り組みで、同支部はまず4年ほど定点実施し放流効果のデータを得る方向で同協会に協力を求めている。

 2回目となる今回も、県南部栽培漁業センターからふ化後約3カ月、体長8・5㌢前後まで育った稚魚を入荷。同協会の職員や会員、西向出身のアングラーズアイドル・そらなさゆりさんら関係者計8人が協力し、同ビーチ駐車場から波打ち際まで急ぎ稚魚を運び入れ、今回は沖へ出やすいよう引き波へ乗せることを意識して放った。

 稚魚が同振興会の見据える大きさになるまでには3~4年ほどかかるとされ、このことが定点放流を続ける期間の一目安となっている。

 2回目の実施を経て同協会の宇井晋介事務局長は「フィッシングタウンとして振興を目指す中、資源が増えてほしいなぁという思いで協力しています。稚魚は来年の今ごろには30㌢ぐらいになる予定。橋杭ビーチの活用ということでいろいろ使っていますが、(その中でレンタル提供している)フィッシングカヤックなどいろいろな形でヒラメの釣りを楽しんでいただければ」と話した。

(2022年5月18日付紙面より)

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思い紡いだ星野真弓さんの刺しゅう画「レジリエンス~千手観音菩薩~」が展示中=16日、那智勝浦町浜ノ宮の補陀洛山寺
地域 暗闇照らす千手観音菩薩
星野さんの刺しゅう画展示
補陀洛山寺
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復興
 「東日本震災から10年。東北の皆さまの心や思いなどを考えた際に千手観音菩薩(ぼさつ)の姿が浮かんだ」。そう話すのは刺しゅう作家として国内外で活躍する東京都在住の星野真弓さんだ。「慈愛」をテーマとし、一針一針に東北復興への思いなどを込めて作成した「レジリエンス~千手観音菩薩~」の特別展示会が16日から、那智勝浦町の補陀洛山寺(髙木智英住職)で始まった。

 慈愛に満ちた表情を浮かべる千手観音菩薩が座した大作は約44万針刺し、およそ22万個のマスをクロスステッチで仕上げた。作成に使用した針も同じく展示されている。7月1日(金)まで観覧できる。

 星野さんは国際平和芸術協会の特別会員や一般社団法人三月のひまわりの代表なども務め、日本代表団の一員として、スイス・ジュネーブ国連欧州本部で作品の展示も行われるほど。今年6月にはフランス・パリの国連教育科学文化機構(ユネスコ)本部において、桜をイメージした作品の展示も決まっている。

 東日本の震災後、作品の寄贈や刺しゅう教室を開くなどして、10年にわたって東北地方の復興のために尽力してきた。

 10年を機に癒やしや鎮魂の願いを込めた作品に取り組むことを決意。一針入魂の思いで作業に没頭し、約80色の糸を使い用いた針は1本。5㌢ほど短くなったが折れることはなかった。

 作成期間中には最愛の父を亡くした。その悲しみにも耐えながら作品に力を注ぎ、1年3カ月をかけて仕上げた。サイズは縦124㌢、横106㌢、重さ16㌔(額含む)。

 災害などの困難に負けないという思いも込めて、作品名には「回復力」「復元力」「しなやかな強さ」などの意味を持つレジリエンスを加えた。完成後は東北地方、千葉、佐賀県など各地で巡回展を実施してきた。

 今年1月、母と共にクルーズ船の旅に出かけ、船が新宮港へ着岸。タクシーで周遊した際、偶然にも最初に立ち寄ったのが同寺だったとし、「補陀洛山寺のご本尊は十一面千手観音菩薩。ご縁を感じた。自身の作品や巡回展のお話をさせていただいた」と述べ、今回の展示に至ったと話した。

 同寺の管理人である南善文さんは「素晴らしい作品の展示、ありがとうございます。ぜひ、多くの皆さまに見に来ていただけましたら」。

 星野さんは「糸には思いが宿る。多くの方々のさまざまな思いと一緒に全国を回っている。現在、コロナ禍で世の中が沈んでいるが、暗闇の中にも必ず光がある。この作品が皆さまの光となり、心の豊かさにつながれば」と語った。

 刺しゅう画の観覧は午前8時30分から午後4時まで。年中無休。問い合わせは補陀洛山寺(電話0735・52・2523)まで。

(2022年5月18日付紙面より)

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会員らが出席した総会の様子=15日、新宮市福祉センター
地域 本年度事業など承認
新宮ユネスコ協会が総会
新宮市
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新宮ユネスコ協会
ユネスコ協会
 新宮ユネスコ協会(個人60人、法人12社)は15日、新宮市福祉センターで令和4年度総会を開いた。会員約20人が出席する中、本年度事業や予算などを承認した。

 日本では、民間ユネスコ活動から起こったユネスコ運動が、政府、国会などに波及し、ユネスコ加盟の機運が高まって

いったという経緯がある。1947年に宮城県で、世界で最初の民間ユネスコ運動団体「仙台ユネスコ協力会」が発足。新宮ユネスコ協会は2012年10月20日、和歌山県で7番目に立ち上げられた。

 開会に当たり、中谷剛会長があいさつ。いまだ世界的に猛威を振るう新型コロナウイルス情勢、ロシアのウクライナ侵攻に言及し「日々、大変悲惨な状況が耳に入ってくる。国際社会や国連の無力さを感じるが私たちもなすすべなく見守っていくしかないのが現状。平和や戦争について考えていかなければならない。この総会が祈りの場となるような、実り多きものになれば」と思いを語った。

 来賓の田岡実千年市長は、同協会の日頃の尽力と新型コロナ対策への協力に感謝を伝え「多くの皆さま方からの支持を受けられるようになったのは、設立メンバーの皆さま方がユネスコの理念の持つ素晴らしさと民間ユネスコ運動の意義の正当性を信じ、この世界に誇れる歴史と伝統と文化の地『新宮』を守るため、そしてより世界に開かれた地域とすべくため、熱意をもって呼びかけられた成果」と活動や取り組みをたたえた。

 本年度の事業計画は▽熊野古道の実地学習と保全活動▽市町村行事、学校行事への団体参加▽ユネスコ協会連盟、連絡協議活動への参加▽書き損じはがきキャンペーンへの参加▽組織ならびに活動の活性化に向けての方策▽平和への取り組み▽会議の充実―などを予定している。新型コロナウイルス感染症の状況を見ながら、ユネスコ文化講演会の実施に向けて準備を進めていくという。

  □     □

■ジェンダー平等とは

 総会後には、勢古啓子副会長による講話があった。勢古副会長は「ジェンダー平等について」をテーマに、日本におけるジェンダーバイアス(性的役割の固定的価値観)の現状について話した。

 勢古副会長は、1975年に国連によって制定された「国際女性デー」(3月8日)に触れ「日本でも『女性の生き方を考える』として全国に拡大している。47都道府県中22県で開催されたが、和歌山県は不参加だった」。

 また、ジェンダーギャップ指数は国連加盟156カ国中、日本は120位であるとし「日本は男女の賃金格差が大きく、役員や管理職、女性議員の割合が低く深刻な状況」と説明した。

 ▽管理職には男性の方が適している▽喪主は長男がすべきだ▽育児休業を男性が取るなんて考えられない―などの項目を挙げて意識チェックを促し「ジェンダーバイアスの影響を受けている人は少なくない。ジェンダー平等を実現するためには身の回りの当たり前に気付き、見直しと気付きを深めていくことで自分らしく生きられる社会が実現できるのでは」と締めくくった。

(2022年5月18日付紙面より)

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