串本町の地産地消生産者組合(山下敏文組合長)が今年も、学校給食米として育てた稲の収穫作業を始めた。新型コロナウイルスの影響で町立小中学校は20日(木)から第2学期が始まり、24日(月)から学校給食が再開する予定。例年より10日ほど早まる再開に間に合わせるため、鋭意稲刈りに励んでいる。
同組合は学校給食における地産地消を進めるため、2009(平成21)年から学校給食米を生産。その当時は旧古座町域の町立小学校が実施する学校給食に向け年間4㌧を納入していたが、後に学校給食センターが完成して町立小中学校全校と古座川町立古座中学校を対象にした学校給食が始まり、現在は年間14㌧規模へと需要が増している。
相応に組合員の増強を図り、今年は22人がかりで品種・コシヒカリを育てて米12㌧を納入する計画。山下組合長(70)によると、梅雨の長雨の影響を一時心配したが出穂の時期は好天続きで実入りは上々。再興田の一部でサルとみられる鳥獣被害があったが影響は軽微で目標量に十分届く収量を見込んでいるという。
高富の町営住宅前にある再興田(約30㌃)は坂本渡副組合長(67)が担当。早まる再開に間に合わせるため10日から稲刈りを始めた。30度を超える暑さの中、愛用のコンバインで連日収穫を進めて12日には一通り刈り終えた。
組合員の最高齢は87歳、最年少は43歳、平均年齢は68歳。高齢化による退会と生産者減による新入確保の難しさが昨今の悩みで、今年は2人減になってしまったという。串本太地道路の用地取得にかかり生産できなくなる再興田も出るなど逆境が強まっているが、まちの子どもたちのためひるまず安全安心の米を届け続けたいと山下組合長は意気込む。坂本副組合長は「安全安心にこだわって作った米を『おいしい』と言ってくれることが何よりありがたい。新型コロナウイルスで大変な時期だけれど、地元産の米をしっかりと食べて頑張ってほしい」と学校給食米に込める思いを語った。
組合員の収穫作業は9月中旬まで続くという。
(2020年8月14日付紙面より)
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