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徐福の墓前で祭詞祭文を読む田岡実千年市長=12日、新宮市の徐福公園
徐福の遺徳しのぶ
供養式典に15人参列
新宮市

 新宮市徐福の徐福公園で12日、徐福供養式典が営まれた。熊野徐福万燈祭運営委員長の田岡実千年市長をはじめ、一般財団法人新宮徐福協会の山口泰郎代表理事ら関係者15人が参列し、徐福の遺徳をしのんだ。

 徐福は今から約2200年前、中国を統一した秦の始皇帝の命を受け、不老不死の霊薬を求めて熊野に渡来したという伝説がある。公園内には、紀州藩初代藩主・徳川頼宣の命で1736年に建立された墓碑(市指定文化財)がある。

 今年の式典は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、規模を縮小し関係者のみで執り行った。また、関連行事である「熊野徐福万燈祭(新宮花火大会)」は中止が決定している。

 山口代表理事は、一日も早い新型コロナの終息を祈願しつつ「今年も徐福さんに思いをはせる日がやってきました。徐福さんが取り持つご縁は、友好的で平和的な交流の礎構築に寄与してきた」とあいさつ。

 「今年は新型コロナウイルスのまん延という大変な世界情勢ではあるが、『徐福さん』顕彰の理念である『友愛の絆』を忘れることなく、徐福さんを媒介として国内外の関係者の皆さまとの交流が一日も早く訪れる日が来ることを願ってやみません」と述べ、来年の式典と花火大会が盛大に開催されることを願った。

 徐福の墓前で田岡市長が、農耕や捕鯨などの技術を日本に伝えたとされる徐福に感謝し、「新宮市の発展と、日中両国や徐福の縁につながる多くの人々、国内の伝承地のより一層の繁栄と友好を、永遠(とわ)の平和へのお導きとともに、お守りくださらんことを祈念します」などと祭詞祭文を読み上げた。参列者たちは新宮仏教会の読経の中、墓前に線香を手向けた。

(2020年8月14日付紙面より)


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創作活動に励んでいた岡本実氏
文化 32年ぶりに「台風一過」展示
郷土の芸術を支えた岡本実氏
三重県立美術館
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伊勢湾台風
木本中
木本高
台風
 65年前、絵画集団「うつなみ画会」(現・三重自由美術うつなみ)を結成し、当地方の芸術文化を支えてきた熊野市出身の故・岡本実氏(1917~2002年)。数多くの遺作が存在する中、1960年に描いた「台風一過」が32年ぶりに三重県立美術館(津市)で開催中の「ステイミュージアム」で展示されている。

 岡本氏は県立木本中学校(現・木本高校)、東京美術学校(現・東京芸術大学)を卒業。第2次世界大戦中の43年、シベリアで抑留生活を送り、戦後の49年に32歳でふるさとに帰還した。

 木本高校で教師をしながら郷土の生活を描き、地域文化に貢献しようと55年に「うつなみ」を結成した。現在でも2年に1回、作品展を開いている。

 「台風一過」は59年9月に甚大な被害をもたらした伊勢湾台風を描いた作品。モスクワでの日本現代美術展に招待出品された。その後、88年に三重県立美術館で開催された企画展で展示され、そのまま同美術館が保管していた。

 85歳で永眠するまで芸術文化の発展に寄与し、数々の芸術家を輩出してきた。次女で芸術活動に取り組む女性グループ「なでしこArtists」の代表、榎本優子さんは「父が亡くなって18年になる。数え切れないほどの遺作がある中、この機会に県立美術館で父の作品を見てほしい」と話している。

(2020年8月14日付紙面より)

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よく実った稲穂をコンバインで刈り取る桒野稔近さん=12日、那智勝浦町中里
地域 猛暑に負けずに稲刈り作業
各地区で収穫始まる
那智勝浦町
 那智勝浦町各地区の田んぼで稲刈りが始まっている。12日、中里地区の田んぼでは川関在住の専業農家・桒野稔近(くわの・としちか)さん(36)が日差しに照らされた稲穂をコンバインで刈り取り、収穫作業に汗を流していた。

 桒野さんは、子どもたちに米の大切さや地域の農業を身近に感じてもらうためにJAみくまのが実施している「食農体験」の稲刈りにも協力している。今年も実施予定。

 米の品種はコシヒカリで一部、もち米も育てている。桒野さんによると、稲刈りは5日から開始され、盆ごろにピークを迎えるという。

 昨年と比較すると、今年は日照不足の関係から収穫量は少ないというが、品質は良いと太鼓判を押す。

 田んぼを全て併せると400㌃の稲刈りを行うという桒野さんは「15㌧の収穫を見込んでいる。猛暑に負けずに頑張りたい」と笑顔で語った。

(2020年8月14日付紙面より)

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2学期の学校給食再開に間に合わせるため収穫に励む坂本渡さん=12日、串本町高富
地域 早まる再開に向け稲刈り
学校給食米の収穫始まる
串本町
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古座中
 串本町の地産地消生産者組合(山下敏文組合長)が今年も、学校給食米として育てた稲の収穫作業を始めた。新型コロナウイルスの影響で町立小中学校は20日(木)から第2学期が始まり、24日(月)から学校給食が再開する予定。例年より10日ほど早まる再開に間に合わせるため、鋭意稲刈りに励んでいる。

 同組合は学校給食における地産地消を進めるため、2009(平成21)年から学校給食米を生産。その当時は旧古座町域の町立小学校が実施する学校給食に向け年間4㌧を納入していたが、後に学校給食センターが完成して町立小中学校全校と古座川町立古座中学校を対象にした学校給食が始まり、現在は年間14㌧規模へと需要が増している。

 相応に組合員の増強を図り、今年は22人がかりで品種・コシヒカリを育てて米12㌧を納入する計画。山下組合長(70)によると、梅雨の長雨の影響を一時心配したが出穂の時期は好天続きで実入りは上々。再興田の一部でサルとみられる鳥獣被害があったが影響は軽微で目標量に十分届く収量を見込んでいるという。

 高富の町営住宅前にある再興田(約30㌃)は坂本渡副組合長(67)が担当。早まる再開に間に合わせるため10日から稲刈りを始めた。30度を超える暑さの中、愛用のコンバインで連日収穫を進めて12日には一通り刈り終えた。

 組合員の最高齢は87歳、最年少は43歳、平均年齢は68歳。高齢化による退会と生産者減による新入確保の難しさが昨今の悩みで、今年は2人減になってしまったという。串本太地道路の用地取得にかかり生産できなくなる再興田も出るなど逆境が強まっているが、まちの子どもたちのためひるまず安全安心の米を届け続けたいと山下組合長は意気込む。坂本副組合長は「安全安心にこだわって作った米を『おいしい』と言ってくれることが何よりありがたい。新型コロナウイルスで大変な時期だけれど、地元産の米をしっかりと食べて頑張ってほしい」と学校給食米に込める思いを語った。

 組合員の収穫作業は9月中旬まで続くという。

(2020年8月14日付紙面より)

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