「病気なんかで髪の毛がない子がたくさんいる。誰かが喜んでくれたらいいな」。
新宮市立神倉小学校に通う曽越亮君(11)は、11年間にわたり伸ばし続けた髪の毛約40㌢を23日にカット。切った髪の毛を小児がんや先天性の疾患、事故などで頭髪を失った子どものためにウィッグを提供する「ヘアドネーション」に協力する。髪の毛は現在乾燥中。8月に入り次第宮城県でヘアドネーションプロジェクトを展開するNPO法人に送付するという。
亮君が髪の毛を伸ばし始めたのは、特撮テレビドラマ「仮面ライダー電王」(2007~08年)のお気に入りキャラクターに影響を受けたことがきっかけ。当時、頭髪がないことに苦しむ男児のインタビューをニュースで目にした母の公子さんがヘアドネーションの話を持ちかけたところ、亮君は参加の意思を示したという。
「女の子みたい、とクラスメイトにからかわれて泣きながら帰ってくる日もあった」と公子さん。しかし亮君の意思は固かった。ヘアドネーションへの協力には原則として31㌢以上の長さがあることが条件となっているため、根気よく髪の毛を伸ばし続けた。
「今でも癖で髪の毛を触っちゃう」と亮君。「でも、やって良かった」と笑顔を見せる。女性の髪の毛で作られたウィッグに抵抗を示す男児もいることから「同じ年くらいの男の子に使ってもらいたい」と話す。
公子さんは「たとえ嫌なことがあっても11年目にして認めてもらえた。そのことは息子の自信や成長にもつながったと思います。理解を示し協力してくれた学校の先生方にも感謝しています」。
亮君の行動に影響を受けた妹の睦ちゃん(4)も現在髪の毛を伸ばし中。来年、ヘアドネーションへの協力を予定しているという。
(2020年7月31日付紙面より)