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曽越亮君。切った髪の毛と一緒に=29日、新宮市新宮
誰かが喜んでくれたらいいな
小5男児がヘアドネーション
新宮市
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神倉小
 「病気なんかで髪の毛がない子がたくさんいる。誰かが喜んでくれたらいいな」。

 新宮市立神倉小学校に通う曽越亮君(11)は、11年間にわたり伸ばし続けた髪の毛約40㌢を23日にカット。切った髪の毛を小児がんや先天性の疾患、事故などで頭髪を失った子どものためにウィッグを提供する「ヘアドネーション」に協力する。髪の毛は現在乾燥中。8月に入り次第宮城県でヘアドネーションプロジェクトを展開するNPO法人に送付するという。

 亮君が髪の毛を伸ばし始めたのは、特撮テレビドラマ「仮面ライダー電王」(2007~08年)のお気に入りキャラクターに影響を受けたことがきっかけ。当時、頭髪がないことに苦しむ男児のインタビューをニュースで目にした母の公子さんがヘアドネーションの話を持ちかけたところ、亮君は参加の意思を示したという。

 「女の子みたい、とクラスメイトにからかわれて泣きながら帰ってくる日もあった」と公子さん。しかし亮君の意思は固かった。ヘアドネーションへの協力には原則として31㌢以上の長さがあることが条件となっているため、根気よく髪の毛を伸ばし続けた。

 「今でも癖で髪の毛を触っちゃう」と亮君。「でも、やって良かった」と笑顔を見せる。女性の髪の毛で作られたウィッグに抵抗を示す男児もいることから「同じ年くらいの男の子に使ってもらいたい」と話す。

 公子さんは「たとえ嫌なことがあっても11年目にして認めてもらえた。そのことは息子の自信や成長にもつながったと思います。理解を示し協力してくれた学校の先生方にも感謝しています」。

 亮君の行動に影響を受けた妹の睦ちゃん(4)も現在髪の毛を伸ばし中。来年、ヘアドネーションへの協力を予定しているという。

(2020年7月31日付紙面より)



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第五福竜丸について伝える強力修さん=29日、紀宝町立相野谷中学校
学校 非核と平和の大切さ学ぶ
相野谷中学校で学習会
紀宝町
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相野谷中
 紀宝町立相野谷中学校(佐藤光一校長、20人)で29日、平和学習会があり、水爆実験で被ばくした「第五福竜丸」の悲劇を通して全校生徒が非核と平和の大切さを学んだ。

 講師は第五福竜丸事件の語り部で、被ばく後の1956年に同船の改装工事を請け負った強力(ごうりき)造船所(現ゴーリキ)=伊勢市=の3代目・強力修さん(69)と同社の阪本典子さん。

 54年3月1日にビキニ環礁でアメリカによる水爆実験で被ばくした遠洋マグロ漁船「第五福竜丸」。47年に串本町の古座造船で第七事代丸として建造された際、木材の松は紀宝町の井田海岸や東正寺(鵜殿)の裏山から切り出されたという。

 「悲劇の第五福竜丸から希望のはやぶさ丸へ」と題し、強力さんは「ビキニから160㌔離れた第五福竜丸以外にも何百隻もの日本のマグロ船や現地の漁船が被ばくした」と話した。

 被ばく後、「はやぶさ丸」として改造され、工事を請け負った強力造船所の社員は犯罪者扱いされるなど、つらい経験をしたという。最後に強力さんは、元第五福竜丸無線長の久保山愛吉さんが残した言葉「原水爆の被害は私を最後にしてほしい」を生徒たちに伝えた。

 阪本さんは、強力造船所創業者で福竜丸を改装した強力善次さんの生涯を描いた紙芝居を伊勢弁で披露した。

 第五福竜丸は現在、東京都立第五福竜丸展示館で永久保存されており、4月に修学旅行で同館を訪れる予定だった3年生は「戦争や平和の本を読んでみようと思った」「平和の大切を教わり、勉強になった」「いろいろな人の思いを知った」などと話していた。

(2020年7月31日付紙面より)

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簡易トイレを手に、長男で住宅アドバイザーの倉本亮さん(左)と倉本博美代表取締役=29日、紀宝町井田の井田オフィス
地域 子どもたちが笑顔になれば
被災地に簡易トイレ寄贈
令和2年7月豪雨
 今月3日から発生した「令和2年7月豪雨」の被災地を支援しようと、紀宝町鵜殿に本社を構える倉本工務店(倉本博美代表取締役)はこのほど、非常用簡易組み立て式トイレ20個を制作した。トイレは豪雨により甚大な被害を受けた熊本県の球磨(くま)村役場を通して、現地の避難所や仮設住宅へと贈られる。

 倉本代表取締役は、自身が鵜殿地区の自主防災組織の役員を務めていた経験に基づき「災害時はトイレが一番困る」と思い立ち、従業員と2人、5日間で20個のトイレを制作。建築業に携わる観点から「木を使いたい」と国産ヒノキを使用した。

 トイレは組み立て式。もともと商品化を見据え改良を加えてきた自社のオリジナルだ。4、5㌔と軽量で、3分ほどで組み立て可能。平時では椅子や収納庫としても使用できる。

 背の部分をカエルの顔に見立てており一つ一つの表情も異なる。「笑顔あふれる家に、早く帰る(カエル)ことができますように」と願いを込めた。表情豊かなカエルのトイレを見て、子どもたちが少しでも笑顔になれたらという思いもある。

 「紀伊半島水害の時は、全国の人からお世話になった。少しでもお返しできれば」。倉本代表取締役は制作に込めた思いを語る。

 「ヒノキ材は匂いが良く、癒やしの効果がある。トイレが避難所から離れている場合、お子さんたちは夜中のトイレなどが大変だと思う。避難所の方々が一日でも早く家に帰ることができるよう、そしてカエルのトイレで少しでも笑顔になってくれるように祈っています」と話していた。

(2020年7月31日付紙面より)

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浸水家屋の屋根に避難した孤立者を警察ヘリで救助=29日、古座川町佐田
警察 管内機関等と連携し救助
佐田などで災害警備訓練
串本警察署
 古座川町佐田、七川ダム湖などで29日、串本警察署(﨑口忠署長)と管内関係機関等の合同災害警備訓練があった。

 この訓練は、大規模災害時における管内関係機関等との緊密な連携をあらかじめ培う目的で計画。同署は今回、県警本部警備部の警備課と機動隊および生活安全部の警察航空隊、航空自衛隊串本分屯基地、串本町消防本部、串本町役場、古座川町役場、株式会社POSとの連携を構築し、集中豪雨により佐田一帯の河川流域で多数の孤立者や行方不明者が発生しているとの想定で▽部隊輸送訓練▽情報伝達訓練▽救出救助訓練―を順次実践した。

 部隊輸送訓練は警察ヘリにより串本町上野山から古座川町蔵土まで救出救助部隊を輸送、情報伝達訓練は防災相互通信用無線機などを使って関係機関と情報を送受する内容。

 救出救助訓練は同湖を訓練区域とし、▽浸水家屋の屋根に避難した孤立者を警察ヘリで救助▽POSと連携し無人航空機(ドローン)で湖畔の孤立者を捜索▽POS・自衛隊・消防(救急)と連携し、輸送した警察のボートで湖畔の孤立者を救助―といった項目を実践した。

 一連の実践後、﨑口署長が「今年も全国各地で集中豪雨による災害が発生している。その事態が串本地域で発生した場合、串本警察署のみで対処することは到底無理。引き続き関係機関の皆様と緊密な連携をさせていただき、被害を最小限に抑えられるよう活動したいので今後ともよろしくお願いしたい」と講評を述べて締めくくった。訓練指揮者として統括に当たった同署警備課の井口潔課長は「今回は集中豪雨による災害訓練だったが、大水だけでなく津波や河川氾濫、地震といろいろな(災害の)パターンが考えられる。今後もバリエーションを加えて訓練の練度を上げていきたい」と思うところを語った。

(2020年7月31日付紙面より)

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