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力強く餅をつく介釈たち=6日、新宮市の熊野速玉大社
「かがり御供」を作る
神事で供える特別な餅

御燈祭り

 新宮市の熊野速玉大社双鶴殿で6日午前、夜の御燈祭(おとうまつ)りで神倉神社神殿に供える特別な餅「かがり御供(ごく)」作りがあった。祭りで介釈(かいしゃく)を務める神倉青年団員たちが、祭りで使用するヒノキの介釈棒で回りながら餅をついた。

 中山忠吏団長をはじめとする団員たちと上野顯宮司、猪飼三雄・神倉神社奉賛会長ら約15人が参加。ふかしたもち米を石臼の中に入れ、8升分ついた。出来上がった餅は細長く伸ばし、はさみで約3㌢の正方形に切り、3枚合わせてからわらひもで十文字に縛って、上がり子たちが胴に巻く荒縄と同じ男結びにした。

 中山団長は「あいにくの雨ですが、天候が回復に向かうこともあり、防災に関しては良かったと捉えています。足場が滑りやすいので、上がり子たちにはより一層けがのないよう注意してもらいたい」と呼び掛け、「介釈、大たいまつ役として状況を見て、特に開門時には十分に注意し任務を遂行したい」。

 上野宮司は「御燈祭りは世界遺産登録、国の重要無形民俗文化財として『祭りの国宝』のようなもの。神職全員がみそぎを行い、肉食を絶つなどしてこの日に備えている。祭りに対して思い入れをより強くし、身を慎んでおります」と話していた。

(2019年2月7日付紙面より)


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精進潔斎給食を味わう児童ら=6日、新宮市立神倉小学校
学校 町の歴史と文化学ぶ
神倉小で御燈祭りの授業
新宮市
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神倉小
 新宮市立神倉小学校(松本広明校長)で5、6の両日、御燈祭(おとうまつ)りについての授業があった。児童らは絵本の読み聞かせや「精進潔斎給食」などを通じて、御燈祭りに対する学びを深めた。

 同授業は神倉小学校運営協議会(下岡輝子会長)による「ヤタガラス子ども未来プロジェクト」の一環として初めて開催。子どもたちに新宮や神倉の歴史などを学んでもらおうと、同協議会メンバーを中心に有志ボランティアの協力により授業を設けた。

 このたびの「御燈祭りプロジェクト」で児童らは御燈祭りのタイムスケジュールや実際のわらじ・たいまつを用いて、製作の大変さなどを学習した。同協議会をはじめ、関係者らが協力し作成した絵本「約束~はると君のお燈まつり」を、スライドを使って読み聞かせた。児童らは物語の世界に真剣な表情で耳を傾けた。

 6日の給食では、全て白い食べ物からなる「精進潔斎給食」を試食し、児童らはおいしそうに味わっていた。

 下岡会長は「たくさんの方々の協力により授業を開くことができました。今後もさまざまな授業を設け、子どもたちはもちろん、大人も町の歴史や文化を知ってもらえれば」と話していた。

 同協議会は、学校が家庭や地域と連携を図り、学校の運営や教育に外部の意向を反映させることにより、子どもたちの豊かな成長を支えることを目的に設置。▽ふるさとへの愛着や誇り、地域貢献の心を育むための地域と共にある学校づくり▽これからの社会で生き抜くための力を付けるためのコミュニケーション能力の育成―を重点要項として取り組みを進めている。

(2019年2月7日付紙面より)

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1階ロビーで行われた除幕式=5日、くしもと町立病院
地域 温かい雰囲気を院内に
ホスピタルアート除幕
くしもと町立病院
 くしもと町立病院(竹村司病院事業管理者、阪本繁院長)が5日、ホスピタルアートを除幕した。同日現在で、龍神村在住のイラストレーター・やのともこさんやくしもとこども園年長児の作品が展示されていて、今後も同アートの趣旨にかなう作品の提供を受け充実を図るとしている。

 ホスピタルアートは、医療・福祉機関の利用者に癒やしをもたらし、精神的なケアに貢献する絵画や音楽などの芸術作品の総称。同病院は患者の癒やしとなる温かい雰囲気を院内に宿すため、同アートの趣旨にかなう絵画作品を飾ることを決めた。

 絵本作家でもあるやのさんの作品は、竹村管理者の推挙により購入。寄贈分も含め4点があり、そのうちの2点は拡大複製画(102㌢×71㌢→364㌢×252㌢)にして待合所となっている1階ロビーに掲げた。絵柄は1点が太陽、1点が月で、やのさん自身が入院時に外の空気を感じられず寂しい思いをした経験から、特に思い入れを寄せている2点だという。

 年長児の作品は32人が4人一組になって仕上げた共同画8点。額装して外来受付周辺の壁面に飾っていて、やのさんの作品(原画)4点も近い場所に掲げている。

 除幕に当たり竹村管理者は「病院はみんなで病気を治すところ。患者さんは君ら(=年長児)の絵を見て元気を出し、病気を治そうという気持ちになる。だから君らも今日から病院の仲間。今の病院は機能性や効率性を追求するあまり、無機質で温まらない施設になりがち。その改善を目的としたのが同アートで、癒やしだけでなく闘病意欲と希望を持って未来を考えるものであるべきという点でやのさんの絵は共感が持てる。やのさんは人が人をいたわることを大事にされている。そういう点で見てもらえたらと思う」とあいさつ。やのさんは同席できず「病院は元気で健康な人が来る場所ではないので、ほっと心休まりぬくもりが感じられるような絵を提案させていただいた。院内にいてもお日様やお月様を感じ、健康になられることを心より願っています」とメッセージを寄せた。

 年長児を代表して女児18人が拡大複製画に掛けられた幕を外し、阪本院長は同アートが患者のケアにつながるとともに病院と地域の懸け橋になることを期待し、小さな美術館をつくる思いで今後も町民の参加を得ながら取り組むことを誓った。

 この日は同町の日ト友好キャラクター「まぐトル」も祝いに駆け付け、除幕や女児による共同作品の飾り付けに立ち会った。地域の子どもからの贈り物を涙ながらに喜ぶ患者もいるなど、同アートは披露そうそう好評を集め始めている。

 同病院事務部の名田倍也事務長によると、患者のケアに貢献するという観点で今後は病棟も含めた院内全体に同アートを広げる考え。趣旨にかなう作品提供の相談は同部(電話0735・62・7111)まで。

(2019年2月7日付紙面より)

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出席した7人の委員に委嘱状を手渡す堀順一郎町長=5日、那智勝浦町役場大会議室
地域 「流れる姿守る」
那智の滝保全委が第1回会議
那智勝浦町
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熊野那智大社
明治神宮
土砂災害
災害
 1月1日に設置された那智勝浦町長の諮問機関「那智の滝保全委員会」は5日、同町2階大会議室で第1回会議を開いた。那智の滝の源流域を守り、観光につなげる構想の実現に向け、具体的な協議が始まった。

 堀順一郎町長は「滔々(とうとう)と流れる那智の滝は、町の顔でもあり日本の宝でもある。未来永劫(えいごう)流れる姿を守っていかねばならない」とあいさつ。委嘱状交付の後、委員長と副委員長を決め、会議では各委員の現地視察の所見報告があり、今後の予定などを話し合った。

 同委員会は、那智の滝源流域の水源かん養機能の向上と景観の保全などを提言する。大学教授や国、県、町の職員など8人の委員で構成する。

 同町では2001(平成13)年のふるさと創生事業基金の1億円を元に「那智の滝源流水資源保全事業基金」を設置。ふるさと納税からの配分などにより、現在約3億円が集まっている。那智の滝の源流域は約500㌶あり、民間事業所、国、県、明治神宮熊野那智大社が所有している。

 諮問事項の中で堀町長は「基金設置当初の目的は、民有地の購入を掲げていたが、現在の社会情勢を踏まえ、購入よりも地権者の理解を得ながら水源域の管理をしていくべき」との考えを示し、▽高い保水力があり、災害(土砂ダムなど)の発生しない森づくりを進めていく方策▽保全構想を機に新たな町の魅力を発見し、国内外から観光客が訪れたくなる町、町民が郷土愛を持てる町にしていく方策―の2点の答申を求めている。

(2019年2月7日付紙面より)



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