県津波災害対応実践訓練が14日、県南部の沿岸(白浜町~太地町)を訓練区域として実施された。串本町域では串本港一帯で各種洋上訓練があり、航空自衛隊串本分屯基地内で船上拠点である洋上救護所の設置訓練(仮想訓練)も実施。上野山防災広場では近畿総合通信局による通信確保訓練と区民への紹介などもあった。
この訓練は、県と県内自治体や自衛隊、警察や消防、海上保安庁など関係機関が連携し、大規模災害時における救助活動など初動面での災害対応力の強化を図るのが目的で、約45機関が参加して関係する訓練項目を実践した。
訓練想定は、県南方沖で震源の深さ約10㌔、マグニチュード9・1の地震が発生したという内容。串本漁港一帯では、各機関のヘリコプターが情報収集などのため飛行する中、自衛隊の水陸両用車やヘリコプター、県水難救済会紀南東部救難所属漁船による漂流者の救助、近畿地方整備局和歌山港湾事務所所属港湾業務艇はやたまによる緊急支援物資の搬送、海上保安庁巡視艇むろづきと同漁船間での物資の引き継ぎなどが行われた。
洋上救護所は船舶に設けるのが本来だが、今回は航空自衛隊串本分屯基地を船舶に見立てて設置訓練を実施。災害派遣医療チーム(DMAT)などが空路で搬送され、同所を立ち上げるなどした。
上野山防災広場では上野山区の区民十数人が立ち会う中、近畿総合通信局が被災や停電などの影響で停止した通信環境を災害対策用移動電源車と可搬型ICTユニットで応急確保する訓練を実践した。
同ユニットは半径100㍍圏内でWi―Fi(ワイファイ)環境を構築し専用アプリで圏内通話やデータ通信を実現し、衛星電話と同ユニットをつないで回線数は限られるが圏外通話も可能とする内容で、同局は必要時にこれらを貸し出せることをアピール。区民はより現実的に防災倉庫がある状況を背景にして自前で導入する上での諸条件や同ユニットで実現できることなどを活発に質問するなどした。
同局は併せて役場防災・防犯グループやシステム開発者の富士通株式会社と連携して映像伝送システムを利用した情報収集と伝達の実証訓練も実施。公共BB移動通信システムで同広場―同町消防防災センター間の無線通信を確立し訓練映像を送信し、さらに有線「きのくにe―ねっと」経由で県庁災害対策本部へ伝送する経路の構築を試みた。
他町では道路や橋の応急復旧や倒壊家屋からの救助、広域搬送拠点臨時医療施設(SCU)の開設や運営、避難所運営や自衛隊の部隊派遣など、多岐にわたる訓練項目も行われ、県は各機関から寄せられる映像などの情報を災害対策本部室で集約受信し、被災情報の代替として各訓練の進捗状況を整理することに努めるなどした。
(2018年10月16日付紙面より)
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