古座川町相瀬にある国指定天然記念物・一枚岩で今年も、守り犬の影が鑑賞のシーズンを迎えている。
守り犬は一枚岩に伝わる民話に登場するイヌで、那智勝浦町浦神から道すがら岩をかじりながら奇岩の多い古座川流域へ入り込んだ魔物が一枚岩へ差し掛かった時、果敢にほえて追い払ったとされている。
流域の所々にある岩の虫食い状況を見た先人が伝承してきた話で、内容を後押しするように虫食い状況は一枚岩より上流にはほとんど見られない。同町小川にある県指定天然記念物・滝ノ拝の伝承(瀧之拝太郎)と並んで同町を代表する民話になっていて、同町作成の絵本冊子などを通して啓もうも図られている。
そのような民話のワンシーンを再現するかのように出現するのが守り犬の影。対岸にある犬鳴岩の影が西日の差し込み加減で一枚岩の壁面に落ちる現象で、近隣住民が愛犬を連れて散歩中、愛犬とそっくりのシルエットを持つ影があることに気付いて以来話題になっている。
同駅内に設けられている案内板によると年2回、4月19日前後と8月25日前後の数日内、午後5時ごろが見頃とされている。出現場所は上流側のどんどろの森入り口付近。春のシーズンは空がかすんで影の輪郭がにじみがちだが、条件がよければ下流側に向かってほえるイヌのような影が見られる。16日は薄曇りの弱光条件ながらおぼろげにその輪郭を見せ、居合わせた人の注目を集めた。
セッコクの白花も巨大な壁面のくぼみに点々と咲きそろい、今年は見どころの多い春のシーズンとなっている。夏のシーズンはより鮮明に鑑賞しやすく、ここ数年は地元主催の鑑賞会を兼ねた夏祭りも開かれている。
(2018年4月18日付紙面より)
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