熊野地方唯一の地酒メーカー、新宮市船町の尾﨑酒造株式会社(尾﨑征朗社長)で新酒の仕込み作業が本格化している=写真。来年4月中旬までに一升瓶で約10万本造る予定で、正月用の太平洋しぼりたて生原酒、大吟醸、純米酒など約30種の銘柄になる。
紀伊半島の和歌山県田辺市以南から三重県松阪市周辺までの間で唯一、本州最南端の蔵元。6代目の尾﨑社長(74)が「地元の皆さんにかわいがってもらえるお酒を」と1880(明治13)年から約130年の伝統を守っている。熊野川の伏流水、那智勝浦町産「コシヒカリ」を使用するなど、地元「熊野」にこだわった酒造りを続けている。
今月から杜氏(とうじ)の小林武司さん(43)らが早朝から、タンクに入ったもろみ約2500㍑を櫂(かい)でかき混ぜる“櫂入れ作業”に取り組んでいて今月末から初搾りを予定している。小林さんは「順調に良いお酒が出来上がってきています」。
同社の純米酒『太平洋』は今年6月、フランスの日本酒コンクールでプラチナ賞を受賞している。尾﨑社長は「日本酒は最近、若い人、特に女性に人気が出てきています。外国の方にも喜んでいただいています」と話していた。
(2017年11月22日付紙面より)