串本町大島にある株式会社岩谷(岩谷耕三代表取締役)の主力商品「紀州梅真鯛梅〈1個入り〉」がこのほど、第5回チーム・シェフコンクールの最高賞「審査員特別賞(チーム・シェフコンクール賞)」など4賞を獲得した。県特産・南高梅の種子を抜き紀伊大島特産・紀州梅真鯛の身を甘酢みそで味付けして詰めた加工品で、岩谷代表取締役(31)は「ただただ光栄であり、今後の励みになる評価」と喜んでいる。
このコンクールは、首都圏の料亭シェフや百貨店のバイヤーら品定めのエキスパートがまだ知られていない全国の美味を発掘する目的で実施。販路の確立や付加価値の向上、PRなどの機会を各賞に提供するほか、投票審査上位の商品に審査員特別賞を贈るなどしている。第5回では全国から102点の応募があり、審査員約90人による投票審査で上位5点に審査員特別賞、以下選考により各賞を贈っている。
紀州梅真鯛は父親が経営する有限会社岩谷水産(岩谷裕平代表取締役)のブランド商品。梅酢エキスを配合した飼料で育てた養殖マダイで、天然と並び立つ品質だと高評価を集めている。生鮮ではない商品を新たに開発し、さらなる認知度向上に努めているのが岩谷耕三代表取締役。平成23年に株式会社岩谷を設立し、特許取得した製法で半年間の保存期間を実現した商品「紀州梅真鯛梅」の販売を始めた。
同コンクールへの応募は今回が初で、国内のエキスパートに商品を知ってもらい、販路開拓やそこに至るためのステップアップのヒントを得るのが目的だった。その思惑を大きく越えて一気に最高賞を獲得した「紀州梅真鯛梅」には、審査員から地産地消のストーリー性の強さや梅に身を詰めるという斬新さをたたえる声が寄せられている。
併せて三つの販路支援賞(エブリシングフロムジェービー賞、日本百貨店賞、まるごとにっぽん逸品賞)も受賞。うち日本百貨店とは商談がまとまり、すでに納品が始まっているという。
「地元にも知ってほしい」
商品「紀州梅真鯛梅」は鯛のめでたいイメージにあやかり、主に縁起物や贈答用として販売(1個540円)。町内ではオークワ串本店そばにある加工場直営店舗(午前9時~午後5時、不定休)やAコープ紀南VASEO店、串本ロイヤルホテルで取り扱っている。岩谷代表取締役は「紀州梅真鯛誕生から15年。ブランド促進を目指して開発した紀州梅真鯛梅も6年半となり、他府県でも知られるようになってきた。メイドイン串本のプライドを持ってこれからも頑張りたいし、そのような商品があることを今回の受賞を機に地元の皆様にも知っていただければ」と話している。
(2017年11月21日付紙面より)