食推さんの料理教室 (那智勝浦町 )
那智勝浦町産の秋ナスやサトイモ、ダイコン、ニンジンなどの旬野菜を使った料理教室が30日、同町の町民センターで開かれた。13人が参加し、町食生活改善推進員(食推さん)に教わりながら、冬を健康に乗り切る栄養たっぷりのメニューを作って試食した。
食推さんは「私達の健康は私達の手で」をスローガンに、栄養・食育を通じた健康づくりを支援するボランティア。今年は町健康増進計画に掲げる「1日の野菜摂取目標量(350㌘)」の普及啓発のため、同町太田地区の農家・松本安弘さんを訪ねて学習会を実施。土作りや旬野菜の特徴や栄養効果を学び、オリジナルレシピを考案した。
教室では、和気あいあいと▽ナスのピカタ▽サトイモのサラダ▽野菜たっぷり筑前煮▽ナスの皮のきんぴら▽みそ汁―を調理。「晩ご飯はいろいろ作るけれど、朝と昼は残り物で済ませているので、野菜が足りていない」「朝にタジン鍋で蒸し野菜を作り、たっぷり食べている」など情報交換をする姿もあった。
今年の食推養成講座に参加している堀千寿子さん(49)は「以前入院を経験した時、同室に高齢の方が多く、健康の大切さを感じた。高齢の方が多い地域なので、自分も知識を身に付け、ボランティアで皆さんの健康の役に立ちたい」。注目のレシピは「サトイモのサラダ」で「材料の一つに柿が入っており、食べてみるのが楽しみ。煮物以外のレパートリーを増やしたい」と語る。
レシピの一部は今後、「広報なちかつうら」で公開予定。食推さんたちは「高齢になると便秘で悩む人が増えてくるが、そういうときは食物繊維が大切。子どもたちも緑黄色野菜に含まれるビタミンA・Cやミネラルを取ることで、風邪をひきにくく、丈夫な体になる。野菜をたっぷり食べて、自分の体を健康に」と呼びかけていた。
(2024年10月31日付紙面より)

上野山こども防災キャンプ (串本町 )
このキャンプは、南海トラフ地震に備え自分の力でライフラインによらず3日間を生き抜く発想と知識を託すとともに、周辺の低地から高台の上野山へ避難する人々を支援できるようにすることを目的にして計画。その趣旨に賛同したみくまの農業協同組合がJA共催地域貢献活動として協賛し、初実施するに至った。
巽会長は南海トラフ地震が起こると電気、水道、通信などのライフラインが止まるかもしれないことやそういうときは自衛隊や行政、警察や消防などが助けてくれるがすぐには来てくれないと伝え、そうなった場合に自分たちの力で3日間ほど生き延びなければならないと意識付けをしてキャンプを始めた。
今回準備した経験は▽同広場に埋設されている耐震性貯水槽から水をくみ上げる方法▽消火器の取り扱い方▽テントの組み立て方▽電気以外の熱源で炊飯する方法(土鍋とカセットコンロ・耐熱ポリ袋で湯煎)▽火をおこす方法(弓切り式火おこし器やファイヤースターターを経験、子ども対象でマッチを経験)―などで、こども会の成人役員が手分けして講師になり要領を紹介した。
炊いたごはんにレトルト食品を合わせて夕食とし、以降は希望者対象でテント泊の経験も託した。
巽会長は「経験したからといってすぐできるようになるわけではないが、今後も何度か経験してどれか一つでもできるようになれば『次はこれ』という気持ちが芽生えて自発的に動きやすくなる。その積み重ねで自分や周りの人を助けられるようになってくれれば」と参加した子どもたちの成長を期待。そのために協賛で得た資材を活用し、今後もこのキャンプを続けていきたいと語った。
(2024年10月31日付紙面より)


中学生交えて検討委員会
和歌山県立新宮高校と新翔高校を統合した「新宮高校」の新制服について27日、検討プロジェクトチームの委員会が開かれた。新宮高校会議室に両校の生徒6人と教職員、新宮市立光洋中学校・緑丘中学校・城南中学校の中学生4人が集まり意見を交わした。
事前に新宮市・那智勝浦町・太地町の中学校10校の生徒を対象にアンケートを実施。制服の製造を手がける瀧本株式会社、流通・販売を行う大谷被服産業株式会社の協力で、希望の多かった紺色の上着をベースに、上着とボトムスの生地が異なる「ブレザースタイル」、全く同じ生地を使う「スーツスタイル」の4パターンのサンプルを用意した。
生徒からは「新しい学校になるので、今と雰囲気が変わった方がいい」「スラックスは無地、スカートはチェックがいい」とブレザースタイルを推す声が。チェックの色合いは「山と海に囲まれた学校に合わせた青と緑がいいのでは」との意見があった。一方「現在の新宮高校のスーツスタイルに憧れがあり、上下同じ素材がいい」との意見もあった。
近年は制服にも性的マイノリティー(LGBTQ)など多様な価値観への対応が求められている。スカートとスラックスを性差の少ない同柄にするか、別柄にするかの議論もあり、生徒からは「差を少なくするより、それぞれかっこいい制服、かわいい制服を目指した方がいい」。季候への対応や洗濯のしやすさ、自分らしさの表現などの観点から、ポロシャツやカーディガンなど多様な着こなしのオプションを求める意見もあった。
今回の意見を「再編に係る校名等検討部会」に上げ、「両校学校運営協議会委員による再編整備協議会」で最終決定する。
(2024年10月31日付紙面より)

ロケット活用セミナー (那智勝浦町 )
スペースワン株式会社のロケット「カイロス」2号機の12月の発射決定を受け、那智勝浦町は28日、体育文化会館で「ロケット活用セミナー」を開いた。約20人が参加、外部講師の講話を聞き、観光促進のヒントを探した。
セミナーでは、那智勝浦町と串本町のロケット関連事業をプロデュースしている、株式会社USPジャパンの新津研一代表による「知って、盛り上がろう!」の講話や、関連商品の展示などがあった。
新津代表は、ロケットを活用した地域振興に言及。「この町で宇宙に関係する仕事ができる環境が整えられる」「ホテルの屋上や自宅の庭を見学場にして商売をしてもいい」「ロケットも温泉もマグロもあるのはここしかない。掛け合わせで誘客を」などと語った。
白浜町や串本町はかつて観光客を取り合う「敵」だったが、ロケットの要素が加わり「仲間」になると主張。「お客は鹿児島やフロリダと比べる。那智勝浦だけではさばけない。紀南全体で客を呼ぶことが重要に」と伝えた。
那覇空港で外国人観光客に一番人気のお土産は「白い恋人」と紹介。「パリでボルドーワインを買うのと一緒。来る人はマグロだけでなく、ミカンや梅干しも期待する。来てもらったらいろいろ伝えることができる。きっかけはロケットでもいい」と力を込めた。
グーグルの写真検索で用語にロケットを加えると、ヒット数が一気に下がることを説明。「世界的にレアな目的地。ぜひ活用を」と呼びかけた。
那智勝浦町勝浦で旅行業を営む佐藤由明さん(43)は「今後どれぐらいのスケジュールで打ち上げを実施か。発表はいつ頃か」と質問。新津代表は「2、3カ月前に発表かと。打ち上げは翌々日ぐらいまではずらす可能性も高いので、それを含めて提案した方が、お客にも地元にもいいと思う」と助言した。
(2024年10月30日付紙面より)


きほう健康ぷらざの竣工式 (紀宝町 )
紀宝町鵜殿の旧鵜殿保育所に開所する「きほう健康ぷらざ」の竣工(しゅんこう)式が28日にあった。医療・保健・福祉を一体化した地域医療の複合施設で▽在宅医療の充実▽健康相談の強化▽健康教育の推進―の目標を掲げ、11月1日(金)から事業を開始する。
西田健町長、谷川孝栄県議、東豊県議、向井健雅町議会議長、木下起査央・町社会福祉協議会長、東口高士・町区長会長、森本真之助・町地域医療研修センター長がテープカットで祝った。
健康で豊かな生活を続けられるよう、保健・医療・福祉などを一体的に提供する「地域包括ケアシステム」の中核を担う。
在宅医療の要となる町立訪問看護ステーション、乳幼児ら中心の健康診断などを行う母子保健施設、地域医療研修センター、町民の健康相談に対応する総合健康相談窓口などのほか、飲食・休憩スペースを備える。移住・定住サポートデスクも用意し、地域おこし協力隊が町への移住希望者や定住に関する相談などを受ける。
敷地面積約2562平方㍍、延べ床面積約839平方㍍。鉄骨平屋建て。園庭部分に24台分の駐車場スペースを設けた。
竣工式には約40人が出席した。西田町長が施設の概要を紹介し「町民の健康を増進させ、日常から普段使いできる温かみのある施設にしたい」とあいさつ。建築工房くまの、夏山組三重支店に感謝状を贈呈した。
谷川県議は「地域福祉のために竣工したことをうれしく思う」、向井議長は「紀宝町の方が気軽に寄れる施設にしてほしい」と祝辞を述べた。
(2024年10月30日付紙面より)


金融への知識深める (近大新宮高 )
新宮市の近畿大学附属新宮高校(池上博基校長)で28日、野村ホールディングス株式会社(東京都中央区)による出張授業があった。2年生99人が理想とするライフプランとそれを実現するために必要な資産形成を考えた。
成年年齢の引き下げにより、金融に関する契約が18歳から可能になったことから、若年層への金融教育の重要性が高まっている。授業は金融に関する基本的な知識やトラブルから身を守る方法を習得し、判断力を養おうと昨年度に続いて開催した。12月には中学2年生対象のワークショップも予定している。
講師に迎えた同社ファイナンシャル・ウェルビーイング室学校教育支援課シニア・アソシエイトの佐藤由紀さんは「どんな将来にしたい? 夢とお金を結び付けて考えたことはありますか」と問いかけ。金融の知識を付けることは、生きるためのスキルを高めることだと伝えた。
20代前半の給料明細の例を挙げ、約21万円支給されても、社会保険料と税金が天引きされ、手元に残るのは約17万円だと説明。家計管理のポイントは「収入と支出のバランスを取ること」で、収入から支出して余った分を貯蓄する考え方ではなく、収入からあらかじめ貯蓄して、残りを支出に充てる習慣をつけてほしいと呼びかけた。
人生の三大支出は子どもの教育費、住宅の購入費、老後の生活費。ライフイベントを考慮しつつ、「何にどれくらいお金がかかり、どのように準備するか考えてほしい」と伝えた。生徒らはワークショップを通して、家計管理をイメージしたり、就職、結婚、住居、子どもなど想像した人生に必要なお金を計算したりして自分の将来を考えていた。
(2024年10月30日付紙面より)


第207回職場対抗ボウリング大会
新熊野少年野球大会
ボクシング「東日本トーナメント新人王戦」 (那智勝浦町出身 )
子どもが神像複製に彩色 (熊野速玉大社 )
「熊野速玉大社国宝御神像 複製彩色ワークショップ」が27日、熊野速玉大社(上野顯宮司)であった。主に新宮市内の小学生14人と中学生4人を含む約40人が参加。3Dプリンターで出力した樹脂製の御神像複製の磨き、下地塗り、彩色を行い、地域が誇る文化財への理解を深めた。
和歌山県立博物館施設活性化事業実行委員会の主催。未来を担う世代が地域の歴史・文化に触れる機会として行った。同大社はいずれも国宝の熊野速玉大神坐像(くまのはやたまのおおかみざぞう)、夫須美大神坐像(ふすみのおおかみざぞう)、家津御子大神坐像(けつみこのおおかみざぞう)、国常立命坐像(くにとこたちのみことざぞう)を所蔵しており、県立博物館が保管している。
これを県立和歌山工業高校の生徒らが計測と出力を行い、実物大と彩色テスト用の約2分の1サイズの複製を製作。全8柱のうち3柱は神道芸術家の平野薫禮さんの手でほぼ完成しており、ワークショップはそれ以外の5柱で作業した。
参加者は、作業に先立ち正式参拝したほか、神宝館で県立博物館学芸員の島田和さんより説明を受けた。上野宮司は「文化財を守ることが有意義で重要であることを感じてもらえれば」。島田さんは「御神像は9世紀末から10世紀初頭に作られただろう。これほどの大きさや美しさで残っていることはまずなく、どれだけの奇跡か」などと伝えた。
作業は平野さんが彩色監修を行った。子どもらは3班に分かれて交代で、三つの工程に挑戦。和歌山大学の学生のサポートを受けながら、一心にやすりがけをしたりスポンジで色をのばしたりしていた。
兄の真義君(8)と共に参加した、神倉小2年の上野晄義君(8)は「ここの神様がこんな顔とは知らなかった。スポンジでぺたぺたと色を塗るのが楽しかった」と話した。
これ以降の作業は平野さんが引き継ぐ。速玉大神の複製は正月から、それ以外は2028年までに、神宝館で順次展示するという。
(2024年10月29日付紙面より)


熊野那智大社で献湯祭 (南紀勝浦温泉旅館組合 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で27日、南紀勝浦温泉旅館組合(清水貞吾組合長)による「献湯祭(けんとうさい)」が営まれた。組合に加盟する10の旅館・ホテルの代表者ら14人が、清らかな一番湯を神前にささげ、自然の恵みに感謝。5年ぶりに境内で餅まきもあった。
県内随一の177の源泉数を誇る同町で、業界の隆盛と繁栄を祈願する行事として毎年実施している。神事では、朝一番にくんだ温泉水をたるで供え、清水組合長が代表して玉串を奉てん。餅まきでは、観光客らも物珍しげに参加していた。
男成宮司は「コロナ禍を乗り越え、世界遺産登録20周年で国内外から多くの観光客の方々が訪れている。温泉で体を癒やし、おいしい食事で心を満たしていただくことが大切。心を尽くしておもてなしをしてほしい」と語った。
清水組合長は「お客様の数もコロナ禍前に戻っており、国連教育科学文化機関(ユネスコ)で日本の温泉文化を無形文化遺産にとの動きもある。温泉を目当てに訪れていただき、癒やされてほしい」と力を込めた。
同日には、那智山青岸渡寺(髙木亮英住職)で物故者追善法要も営んだ。南紀勝浦温泉の礎を築き故人となった、経営者や従業員などの功績に感謝し冥福を祈った。
(2024年10月29日付紙面より)


第78回読書週間に賛同し (串本町図書館 )
第78回読書週間が27日から始まった。期間は11月9日(土)までの14日間。その趣旨に賛同する串本町図書館(池田三明館長)は週間前後の1日を加えた期間設定で複数の企画を重ねて読書の推進を図っている。
読書の力で平和な文化国家をつくるという決意により1947年に始まり、現在は読書推進運動協議会が文化の日を含む期間設定で主唱している同週間。同館は今回、大人のためのおはなし会が開かれる今月26日から関係行事を始めることとした。
おはなし会は同館で月例のよみきかせ会を開いているグループ「ぶっくらぶ串本」による行事で、大人3人が絵本の読み聞かせや民話の語りといった「耳で読む読書」に親しんで日頃の目で読む読書とは違った刺激を得るなどした。
玄関から入ってすぐにある特集コーナーでは、「どの探偵がお好き?」と題して探偵が登場する推理小説約150冊を紹介。借りることもでき、同週間後も年末まで設置を続けるという。
同館で購入した婦人雑誌の付録をプレゼントするコーナーを貸し出しカウンター横へ設置し、この日から応募券の配布と応募の受け付けを始めた。応募は中学生以上が対象で、貸し出し1回につき応募券1枚を配り欲しい付録の番号などを書いて応募してもらう仕組み。応募は11月10日(日)まで何度でもでき、以降抽選し館内で当選者を発表して進呈する。
9月に発表された町小中学生ポップコンクール入賞作品の紹介コーナーもいよいよ形が整い、新たな趣向として作品と対で推奨本を並べて貸し出しも実施中。複数の読書推進企画を重ね、同週間を契機とした本との出合いを後押ししている。
期間中は月末と月曜日(祝日の場合は翌日も)が休館となる。問い合わせは同館(電話0735・62・4653)まで。
(2024年10月29日付紙面より)



人権教育研究会が発表会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立市野々小学校で25日、町小・中学校人権教育研究会(草下博昭会長=勝浦小学校長)の発表会があった。町内小中学校教諭や教育委員会から約100人が参加。公開授業や子どもの発達科学研究所副所長の大須賀優子さんによる講演を通じ、いじめ予防における科学的アプローチの重要性を学んだ。
市野々小は「できる・わかる・楽しい授業を目指して~自己効力感を高める指導法の研究~」を主題に、2023、24年の2カ年で研究を実施。「シンキングエラー まちがいをみとめてあやまる『相手をきずつけてしまったら』」をテーマに、1~6年生の道徳の授業を公開した。
大須賀さんはオンライン講演で、被害者だけでなく加害者、傍観者の全てに一生にわたって深刻な影響を及ぼす「いじめ」について、問題が起こってから支援する従来のモデルを「子どもの失敗を待つモデル」と批判。「いじめが起きてしまった後では、既に子どもたちは傷ついている。傷つかなければ支援がもらえない体制を取り続けていいのか。いじめに先んじて予防的支援を行い、リスクを下げることが重要」と語った。
「いじめ予防には科学が必要」と述べ、米国などの先行研究を踏まえて開発したいじめ予防プログラム「トリプルチェンジ」を紹介。実際に学校現場で起きそうな事案を通して、いじめ問題に対してどう捉え、行動するべきかを子どもたちが学ぶもので「いじめ予防だけでなく、社会性発達を促すことにもつながる」とした。
最後に「多くのいじめにはモデルがいる。子どもがいじめを目にしているうちに共感性をなくし、『やっていいこと』として学んでしまうことがある」と話し「大人がいじめのモデルになっていることはないか? 『これは指導』『正しいこと』と思って強い指導を行うことで、相手が心身の苦痛を感じていることはないか? いじめは子どもだけでなく、広く大人社会の問題でもあり、まずは大人が気付き、変わる必要がある。学校が果たす役割は大きい」と警鐘を鳴らした。
(2024年10月27日付紙面より)

防災訓練で対応を確認 (南紀プロパンガス )
新宮市清水元の南紀プロパンガス株式会社(市川浩一郎代表取締役)は24日、本社・充塡(じゅうてん)所で総合防災訓練を実施した。本社や各営業所から19人が参加し、水害や停電、地震津波、火災などの際の対応を確認。有事のLPガス早期供給に備えた。
同社は2012年度に経済産業省から、大規模な災害が発生した際にいち早く被災地域でLPガスを供給できる体制を構築する国家事業「中核充塡所」の指定を受けている。災害で電気や通信などのライフラインが途絶えた場合でも、LPガスを燃料に自家発電を行うことで、充塡設備を含めた社内の全電力を賄える。液化石油ガス(LPG)車のトラックも所有している。訓練は毎年恒例で53回目となる。
開始に当たり、田嶋通夫・専務取締役があいさつ。毎年の訓練について「同じことを続けるのが大事。何をするかを頭に入れ、考えずに行動できるようにしてほしい。真冬の大雨の時に1人や2人で対応することもあるかも。自分はその場合、どうすればいいかを真剣に考えてやってほしい」と呼びかけた。
大型家具の固定、枕元への靴の用意、備蓄食料の確保など、自宅での備えにも言及。「今日を契機に意識を新たにして、何が必要かを考え用意してもらえれば、訓練はより意義あるものに。しっかりと励んでほしい」とまとめた。
この後、訓練を開始。▽非常用LPG発電機を起動させてガスを充塡▽地震津波からの避難▽衛星電話による通信▽ガスタンクへの放水―などを行った。いずれも機敏な動作で、真剣に取り組んでいた。
中家茂樹・新宮市消防本部次長兼消防署長は講評で「すごくよかった。組織だって動けていた」と評価。「(災害時の)皆さんの尽力が地域になくてはならないということを考え、備えてほしい。引き続きよろしくお願いします」と伝えた。
(2024年10月27日付紙面より)


開運暦の発送作業大詰め (那智山青岸渡寺 )
那智勝浦町の那智山青岸渡寺で、来年の「那智山開運暦」の発送作業が大詰めを迎えており、25日には髙木亮英住職ら4人が封入作業に追われた。北海道から沖縄県まで全国47都道府県の信者約1万7000人に発送する予定だ。
開運暦は太陽や月、諸惑星の観測技術に陰陽思想や五行思想が加えられたもので、物事の吉日を選ぶなど、日々の行動の指針を得るための道具として作られた。▽方位吉凶図と解説▽九曜星の年齢と吉凶▽六曜星と七曜星の吉凶▽結婚の吉凶▽1月から12月の運勢▽二十四節気の解説―などを記している。
那智山開運暦はB6判32㌻で、同寺本尊の如意輪観世音菩薩(にょいりんかんぜおんぼさつ)が表紙を飾る。「紀伊山地の霊場と参詣道」世界遺産登録20周年を機に、三重の塔や仁王門の塗装工事を行っていることなどを報告した。
髙木住職は「今年は大きな災害もあり、パレスチナの戦火にも心を痛めている。来年は心穏やかで、明るい年になってほしい。地上に平和が訪れるように」と語る。干支(えと)は巳(み)年で「辛抱強く、粘り強く、何事にもチャレンジの年になれば」と話していた。
希望者には1部300円(送料込み)で発送する。問い合わせは那智山青岸渡寺寺務所(電話0735・55・0001、〒649―5301 那智勝浦町那智山8番地)まで。
(2024年10月27日付紙面より)

町民ら招きモニターイベント (くじらの博物館 )
太地町民や地域の旅館・ホテル事業者を招いたモニターイベント「夜のくじらに会いに行こう!太地町立くじらの博物館ナイトミュージアム」が24日、同館で開催された。300人超が来場し、クジラの鳴音が響く幻想的な館内や、日中とは異なる鯨類の姿に触れた。
観光庁の地域観光新発見事業を活用し、普段は日中しか開館していない博物館の夜のコンテンツを造成することで、新たな魅力を発見してもらおうと実施。モニター参加者のアンケート結果を踏まえ、企画・開発の参考にしていく。
館内では、クジラの骨格標本やイルカショープールなどをライトアップ。湾内のいけすでは、日中とは異なるリラックスモードのハナゴンドウたちを公開した。参加者の「クジラはどうやって寝ているの?」との質問には、飼育員が「水中で寝たり、浮きながら、泳ぎながら寝ることもある。それぞれいけすの中にお気に入りのスポットがある」と答えた。
あっという間の1時間で、参加者はまだまだ見足りない様子。漁野汐栞さん(8)は「すごかった。マリナリュウムのプロジェクションマッピングのクラゲがきれい。昼にも来たことがあるけれど、夜の方がもっと好き! これから桟橋に行く」。一緒に参加した母親の香織さんは「ワクワク感があっていいですね」と話す。
一方、暗い中で階段や桟橋を移動する際の安全面などを指摘する声も。稲森大樹館長は「来年度以降、日が短い秋から春の週末イベントなどとして販売し、コンテンツの充実につなげたい。イベントでは飼育員が館内をガイドし、直接声を届けることができる。暗い中だからこそ資料の陰影がはっきりし、より展示に集中して良さを感じられると思う」と話していた。
(2024年10月26日付紙面より)


新宮保健所が衛生講座 (那智勝浦町 )
那智勝浦町は24日、町福祉健康センターで食品衛生講習会を開催した。町食生活改善推進員向け講座には13人が参加。新宮保健所衛生環境課の流谷博貴さんを講師に、冬場に多発するノロウイルスや腸管出血性大腸菌などの予防法を学んだ。
イベントなどで調理機会がある町食生活改善推進員(食推)や、保育所の給食調理従事者を対象に年1回開催している。
食中毒は、原因となる細菌やウイルス、有害・有毒物質が付いた食べ物を食べることで、下痢や腹痛、発熱、吐き気などの健康被害を引き起こすこと。
冬場に多いノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒について、流谷さんは「10~100個のごく少量のウイルスが体内に入るだけで嘔吐(おうと)や下痢、発熱、しびれ、呼吸困難などの症状が現れる。生がきなどの汚染された食品を食べる以外にも、調理従事者の手の汚染、患者の嘔吐物の処理などでも感染し、過去には餅つき大会の餅が汚染されたことで100人以上の感染者を出したこともある」と説明。消毒は90度90秒以上の加熱または塩素系消毒剤が有効だが、アルコールは効かないとした。
細菌性食中毒は、過去には集団食中毒で死者を出した腸管出血性大腸菌(O157など)やサルモネラ菌、カンピロバクターなどが知られている。食品が腐った場合とは異なり、味・臭い・見た目が変わらず、食べてすぐに症状が出るわけではないため、日常生活で細菌を▽付けない(手洗い、調理器具の洗浄)▽増やさない(食品の冷温保存)▽やっつける(中心部までの十分な加熱)―の三つを習慣化することが重要になる。
その他、フグやキノコによる自然毒も原因となるとし、確実に食用と判断できない場合は▽採らない▽食べない▽売らない▽人にあげない―を徹底するよう呼びかけた。
(2024年10月26日付紙面より)

公証人に学ぶ終活セミナー (こうけんくしもと )
串本町権利擁護サポートセンター「こうけんくしもと」(町福祉課内)主催の学習会「公証人に学ぶ終活セミナー」が23日に文化センターであり、25人が相続や後見制度を教わり判断能力があるうちにしておくべき終活の在り方を考えるなどした。
成人としての判断能力が寿命により消滅または認知症などで低下した場合に備え、しっかりとあるうちにしておくべきとの機運が年々高まっている終活。この学習会は終活により残る生涯も安心して暮らしていくためのきっかけとして計画し、町民を対象にして参加を呼びかけた。
講師は新宮公証役場の公証人・三橋豊さんで、演題「相続・遺言・後見等について」を掲げて登壇した。序~中盤は相続と遺言の話で、まずは法定相続人の範囲と適切な遺言がない場合に行われる遺産分割協議の流れを解説。相続の仕方にはこの方法以外に遺言があり、例えば子の配偶者(法定外)にとても世話になったので相続させたい場合は自由相続が認められている遺言を残すしかないとした。遺言には自筆証書と公正証書の2種類があるが、内容に不備があると遺言として認められず同協議が必要となるので費用(数万円前後)はかかるが公証人と相談して公正証書遺言を作るのが良いと勧めるなどした。
終盤は後見人制度の話で、法定と任意の2系統があるが判断能力があるうちに信頼できる人を自分の意思で選べる任意後見契約を終活の一端でしておくことを推奨。三橋さんのお勧めは財産管理事務委任が連動する移行型の同契約で、子が親の代理権を持たないことで困らないようその契約で前もって自分の代理権を託しておくのも考え方の一つだとするなどした。
三橋さんは公証人による事務手続きには相応の費用が必要だがそのための相談は無料だとして終活を進めるときには遠慮なく頼ること、そういう世の中になってきていることを近所で終活に困っている人がいたら話すことを呼びかけて締めくくった。同センターもその取り次ぎができ、終活に悩んだ場合は気軽に申し出てほしいとしている。
(2024年10月26日付紙面より)

3年生47人が林業学習 (近大新宮中 )
近畿大学附属新宮中学校(池上博基校長)の3年生47人は23日、新宮市内で林業学習に取り組んだ。あけぼのの製材所で生徒たちは、機械で木材が製造される各過程を巡り、地元の森や産業への学びを深めた。
広大な森林を有する和歌山県の林業や環境問題への関心を高め、森林を守り育てる意識を育む目的で6年目となる。熊野川町森林組合、紀南木材新緑会が協力している。今年は雨天により、間伐体験が取りやめとなるなど、予定を一部変更して行われた。
最初に学校で講話があり、新緑会の山本盛都さんが当地方は日本有数の森林地帯であることを紹介した。「山に水を蓄え土砂災害を防ぐなど、木が持っている優れた機能を発揮させるには、森林の適切な管理や伐採、利用が不可欠」などと林業の重要性を説明した。
講話後、生徒たちは佐野で紀南木材副製品株式会社の工場を見学し、熊野川町へ移動。熊野川ドームさつきで丸太切り体験に励んだ。
午後には木材の競りを行う原木市場や、木材にホゾ・仕口の加工をするプレカット工場などを見て回った。
後半には学校へと戻り、棟上げを体験。新緑会メンバーらのアドバイスを受け、協力して柱やはりを組み立てた。スマートフォンを立てかけるスタンドも制作した。
橋本実侑さんは「森林の伐採は環境が悪くなると思っていたけど、植樹などのバランスが大切だと知った」と振り返った。田伏智裕さんは「林業について深く考える機会が少なかった。製造工程が自動化されていたことに驚いた」と話していた。
(2024年10月25日付紙面より)


西昭嘉和尚が晋山式 (那智勝浦町 )
那智勝浦町宇久井の曹洞宗鳳凰山延命寺で23日に開創千年記念の大般若法要、24日に第19世西昭嘉和尚(48)の晋山式(しんさんしき)が営まれた。近隣寺院の関係者や、延命寺をよりどころとする地域の檀信徒(だんしんと)らが出席し、開創千年と新住職就任を祝った。
延命寺は平安時代末期の1024年、宇久井の西側の海岸に打ち上がった地蔵菩薩(ぼさつ)の仏像をまつったのが始まりと伝わる。平安末期には、現在の宇久井駅周辺に五重塔や宿坊のある大寺院があったとされるが、1498年に大津波などによって崩壊。その後曹洞宗の僧侶が現在の地で再興した。
西和尚は宇久井出身で、15歳で出家。2010年4月に延命寺の住職に任命された。東南アジアに学校を造る会の運営や社会福祉法人弘德会の設立、木の川認定こども園設立など多方面で活躍している。
24日の晋山式は、新たに住職の任命を受けた僧侶が正式に寺に入る儀式。古式にのっとり、4色の彩幡(いろばた)に先導されて安下所を出発した西和尚は、延命寺山門へ到着し「この山門はいつでも大きく開かれている。誰でもこの門をくぐり、仏の道を求めなさい」と漢詩で唱えて入堂した。
本尊である延命地蔵菩薩や開山・歴代住職に就任を報告。地蔵講・檀信徒総回向の大法要で世界平和や仏道の興隆、檀信徒各家の繁栄と心願成就などを願った。禅の修行や悟りについて先輩僧侶と問答を交わす首座法戦式も営んだ。
西和尚は参列した僧侶や檀信徒に「延命寺の地蔵菩薩が海から上がって1000年の時に法要と晋山式を行うようにとの師匠の遺言により、それに向けて伽藍(がらん)整備を行ってきた。この日を迎えられたこと、皆さまに感謝申し上げます」と語った。境内では宇久井青年会による獅子舞や記念の餅まきもあった。
(2024年10月25日付紙面より)


下露で第24回七川まつり (古座川町 )
古座川町下露にある七川総合センターふるさとで20日、第24回七川まつりがあり約120人(主催者発表)が来場して盛り上がった。
町公民館七川分館(東明分館長)が主催する、住民の作品出展と芸能出演を組み合わせた文化行事。年1回の頻度で回を重ねていて、今回も先行して展示の部を開場、次いで演芸の部を開演する流れで計画して住民の来場を誘った。
展示の部は絵画や写真、手芸や生け花などの出展があり、会場周囲に並べて鑑賞を集めた。演芸の部は12演目構成でカラオケや邦楽、踊りといったジャンルの発表が続いた。後半の半ばでは町マスコットキャラクター「瀧之拝太郎」と県PRキャラクター「きいちゃん」を伴って三尾川(みとがわ)小学校児童6人が踊り「紀州っ子かがやきエクササイズ」を元気いっぱいに披露。七川小学校校歌を来場者と共に歌って場を盛り上げた。
最後は来場者も含めた全員を対象にして踊り「炭坑節」の輪を描き、当選付きの餅まきをして締めくくった。
東分館長(75)は「また来年も開くので、それまで皆さん健康でいてほしい」と参加一同の今後に期待。主催者側も高齢化が進んでいるが、25回の節目をしっかりと迎えられるよう地区と共に頑張りたいと語った。
(2024年10月25日付紙面より)


新宮市スポ祭弓道競技の部
新宮市スポ祭バドミントン競技
橋本市民総体空手道競技の部 (太地拳和会支部 )
太田川流域がモデル地域に (那智勝浦町 )
那智勝浦町の太田川流域が、JTB総合研究所の「持続可能な農泊モデル地域創出支援事業」のモデル地域に選定された。22日には日比谷国際ビルコンファレンススクエア(東京都)で選定発表会があり、太田川流域農泊振興協議会の西山十海会長(大泰寺住職)が出席した。オンラインでも公開した。
「農泊」とは、農山漁村に滞在し、地域の日常に溶け込みながら、日本の伝統的な生活体験や人々との交流を楽しむ旅行スタイル。テーマ性の高い目的型旅行や「暮らすように過ごす」ことを志向する旅行者・インバウンド(訪日外国人観光客)の受け入れで期待されている。
同事業は、株式会社JTB総合研究所が農林水産省の農山漁村振興交付金を活用して実施。国内656の農泊地域から、高付加価値かつ持続的、関係人口増加に資するなどの観点で▽岩手県遠野市▽福島県郡山市▽山梨県身延町▽京都府南丹市▽和歌山県那智勝浦町―を選定。農泊地域磨き上げのため、専門家が伴走支援を行う。
西山会長は発表会で、開創1200年の寺院を宿坊「Temple Hotel 大泰寺」として再生し、熊野古道の巡礼や地域の自然・食・文化の体験拠点にしようと取り組んでいることを紹介。「禅などの仏教文化は、私たちが思う以上に世界中の人々を引き付けている。集めたお客さまを地域につなげたい。土や水、木に触れる農泊体験は仏教と相性が良く、人生を変えるような、心を満たす体験になり得る」と力を込めた。
今後、同町色川地域の楞厳寺(りょうごんじ)(国登録有形文化財)の宿坊としての再生を目指しており「古い建物は天井が低いなど、インバウンドの方には使いづらい面もある。協賛企業の方々の協力も得て、デザイン面も学びたい」と語った。
農林水産省は農泊地域の年間延べ宿泊者数を2025年度までに700万人泊とするとの目標を掲げている。選定委員の1人である帝京大学経済学部の五艘みどり准教授は「ヨーロッパでは農泊のスタイルが観光客の選択肢として定着しており、ホテル並みの質の部屋を持ち、宿泊者が長期滞在する地域もある。大きなポテンシャルを秘めている」と語っていた。
(2024年10月24日付紙面より)

猛暑の影響か例年より少なめ (御浜町 )
旅するチョウとして知られる「アサギマダラ」が、御浜町上野のフジバカマの花畑で飛び交っている。手入れをしている「尾呂志アサギマダラとコスモスの会」によると、今夏の猛暑の影響か例年より飛来時期は遅く、数も少なめだという。
アサギマダラが飛び交う里にしようと地元出身の山田俊弘さん(阿田和)と上之谷久さん(紀宝町井田)が2021年から国道311号沿いの休耕田を手入れし、アサギマダラの好むフジバカマ(キク科)と産卵場所となるキジョラン(ガガイモ科)を植えている。解説用の看板を立て、近くに駐車場を用意するなどして飛来時期に一般開放。チョウを保護する観点からこの場所ではマーキングをしないよう協力を求めている。
今年は10日に初めて2匹を確認したものの、気温が下がらず、数は例年に比べて少なめ。22日午前10時ごろには約30匹が花の蜜を吸っていた。例年通りなら11月10日ごろまで見られるという。
山田さんと上之谷さんは「蜜をある程度吸ったら1日、2日で飛び立っていくよう。長野から1カ月かけて飛んできたチョウもいた。県外のフジバカマを植えている所にいくつか確認したが、どこも今年は同じような状況だった」と話していた。
(2024年10月24日付紙面より)

田辺市本宮町の熊野本宮大社で23日、来年のえと「巳(み)」の大絵馬が完成した。大社の春の例大祭を象徴する桜の花をバックに、前を見据える金色のヘビを中央に描き、平和の象徴の折り鶴を左右に描き、「平穏無事」の文字を配した。
この日、ヘビの目を入れ「平穏無事」の揮毫(きごう)をした九鬼家隆宮司(68)は「自然災害がなく、世界中の人々が平穏無事な日常を過ごせるようにとの願いを込めた」と語り、「ヘビは脱皮を繰り返して成長する。来年は皆さんがヘビのように脱皮し、成長し続けることを願っている」と話した。
大絵馬は縦約1・1㍍、横約2・3㍍。7月から制作に取りかかり、白浜空港の大絵馬や新宮駅などに掲げる絵馬と合わせて7枚を仕上げた。白浜空港などの絵馬は神聖な熊野の水をイメージし、水色をバックに描かれている。
JRの新宮、紀伊田辺、白浜の各駅と南方熊楠記念館では11月18日(月)に昨年の絵馬とかけ替える予定。この日完成した大絵馬は、12月1日(日)に迎春準備として大しめ縄とともに神門でかけ替える。
(2024年10月24日付紙面より)

関係11機関が対策訓練 (手順を確認、連携強化 )
新宮港テロ対策訓練が21日、新宮港三輪崎第4号岸壁であった。港湾保安の関係機関から約70人が参加。合同で不審者逮捕などの訓練を行い連携を強化、水際対策を再確認した。
田辺海上保安部や新宮警察署などの11機関で組織する新宮港港湾保安委員会(笹山真一委員長=県東牟婁振興局新宮建設部長)の主催。組織機関が訓練の参加機関でもある。テロ事案に対する関係機関の対応を相互に確認し、的確に対応することを目的に、2006年から毎年実施している。
開始に当たり、笹山委員長があいさつ。23年度の新宮港の利用実績として、輸入貨物船が18隻、外航クルーズ船が11隻であること。多くの外国人観光客が新宮港から当地方を訪れていることなどに言及。「テロ訓練の実施で水際における対策の重要性、必要性を再確認し、つながりを強化し、より安心安全な港にしたい」と力を込めた。
杉山陽二郎・新宮港港湾危機管理担当官(=田辺海上保安部長)もあいさつした。新宮港では外国クルーズ客船を狙ったテロが想定されること。来年4月からは大阪・関西万博が開催されることを説明。「各機関が担当する役割を確認し、どのような能力、装備を持ち、どのような取り組みをしているかを知ることが連携強化にもつながる」と呼びかけた。
訓練は▽不審小型ボートの追跡、逮捕▽入国審査での不審旅客の逮捕▽旅客の所持品から拳銃を発見し逮捕▽船内不審旅客の捜索と逮捕▽船上の負傷者の救助と火災消火―を行った。不審小型ボートからは発砲があり、不審旅客はナイフを振り回すなど、実践さながらに実施。いずれも各機関で連携して対応した。
(2024年10月23日付紙面より)


小学校創立150周年に
太地町立太地小学校のグラウンドで19日、5年ぶりの「太地大運動会」が開催された。小学校をはじめ太地こども園、小学校PTA、小学校児童会、町民運動会実行委員会が一体となって開催。小学校の創立150周年も記念し、子どもから高齢者まで一体となってスポーツの秋を楽しんだ。
スローガンは「出し切れ!笑顔で全力で!」。この日は晴天から雨にころころ天気が変わり、スケジュールを変更しつつ実施。園児、児童のかけっこと徒競走で始まり、児童のダンス「ダンスホール~太地小ver.~」や「飛べ2024」で会場を盛り上げた。
「くじらの町」らしく、全校児童で伝統の「あや踊り」を披露。一般参加の「見習い砲手」では、古式捕鯨と南氷洋捕鯨をイメージし、クジラが描かれた的にもりを投てき。見事命中すると、会場から拍手喝采が送られた。恐竜の着ぐるみを着た「恐竜レース」や敬老種目「宝つり」もあった。
閉会式では同小の海野文宏校長は「小学校の創立150周年に、思い出に残る運動会になったのでは」。児童を代表して松野星渚さん(6年)が「みんなで心を一つに、あや踊りができてよかった」とあいさつしていた。
(2024年10月23日付紙面より)



新宮高校の生徒らに啓発 (和歌山県 )
新宮市の県立新宮高校校門前で17日朝、薬物乱用防止などを目的とした校舎校門前早朝啓発活動があった。新宮保健所や薬物乱用防止指導員、新宮ライオンズクラブ、勝浦ライオンズクラブ、新宮警察署など関係機関職員が参加。同校生徒会やサッカー部員らも協力し、登校する生徒に啓発物資を手渡した。
10月は「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動」および「薬と健康の週間」に係る運動月間。近年、若年層の薬物乱用、特に大麻の乱用が大きく増加。警察庁の発表によると、昨年の大麻事犯の検挙人員6482人のうち20歳未満は1222人。うち高校生が214人、中学生が21人となっている。「大麻は安全」「依存性がない」などとの誤った情報がインターネットで拡散され、深刻な社会問題となっている。
そうした現状を鑑み、新宮保健所では青少年に対し、薬物や医療などの正しい知識を啓発することを目的に活動を展開。付箋や定規、ポケットティッシュなどにリーフレットを添えて手渡し、薬物乱用の恐ろしさを訴えた。
(2024年10月23日付紙面より)

高校サッカー和歌山大会
新宮市スポーツ祭典卓球競技
第80回社会人大会 (紀南バレーボール連盟 )
バレーボール、剣道、バドミントン
三輪崎剣道クラブが体験会 (新宮市 )
生まぐろ市場コンサート (那智勝浦町 )
「さわかみオペラin紀州勝浦 生まぐろ市場コンサート」が19日、那智勝浦町築地の勝浦地方卸売市場であった。300人超が来場し、今年は世界三大オペラに数えられる「カルメン」を上演。地域住民らで結成したオペラ合唱団「TUNA GOOD(ツナぐ)」の約60人も出演し、圧巻の歌声を響かせた。
「生まぐろの市場」で「オペラ」という、世界でここだけの取り組みとして同実行委員会(山縣弘明実行委員長)が主催。オペラを通じた社会や地域の活性化を目指すさわかみオペラ芸術振興財団と共に開催しており、3回目を迎える。
舞台は、工場で働く女性たちや町の男たちが行き交う1820年ごろのスペインのセビリア。自由奔放で魅惑的なカルメンが、生真面目な衛兵ドン・ホセを誘惑する。ホセの婚約者ミカエラ、スター闘牛士エスカミーリョと共に「カルメン前奏曲」や「闘牛士の歌」など有名な楽曲に乗せて物語が進行していった。
合唱団メンバーも町民役になりきり、歌に演技に大活躍。会場から「ブラボー!」「ブラビー!」と歓声が上がった。
鑑賞に訪れた小賀柚那さん(17)は「知り合いが出演すると聞いて見に来た。オペラを間近で見るのは初めてだけれど、声がすごく響いて、見に来て良かった」と語る。
合唱団に参加した赤岡那南さん(8)、向井香桜さん(8)は、衛兵ごっこをして遊ぶ子ども役などで冒頭から出演。フランス語の歌詞ながら「全部楽しい。今日も車で音楽を聴きながら来た」「緊張したけれど、楽しかった」と笑顔を見せた。
さわかみオペラ芸術振興財団の澤上篤人理事長も来場し「社会や地域の活性化のためにオペラを開催しており、見ているだけではつまらない。自分たちで歌い、町の誇りに思ってもらえるイベントに」と話していた。
(2024年10月22日付紙面より)


慣習も交えて養春秋祭り (串本町 )
串本町姫にある旧養春小学校で19日、イベント「セ・ラ・セゾン!養春秋祭り」があり、出店やアトラクション、ハロウィーンを交えた趣向などでにぎわいを見せた。
中湊出身の串本ふるさと大使・清水康生さん(有限会社セ・ラ・セゾン)が校舎内で営んでいる洋菓子店(セ・ラ・セゾン!和歌山串本養春店)を軸にして企画。町内近隣へ旧養春小敷地への出店やパフォーマンス出演を誘い時節柄の慣習も取り入れて、子どもを含め世代を問わずわくわくするひとときを準備して来場を呼びかけた。
当日は同店を含めて29組の出店があり、ステージでは▽GEONG▽フラハプナ▽LuckyClover串本教室▽HALCREW▽串本古座高校吹奏楽部▽とっくんバンド―の6組が順次アトラクションを繰り広げて場を盛り上げた。
同店は小学生以下を対象にし、イベントチラシを持って「トリックオアトリート」と迫るとクッキーをプレゼント。その触れ込みに刺激されたのか、子どもの中には仮装で来場する姿もちらほらと見受けられた。
バンパイアの仮装をして全体進行をした清水さんは「出店者は年々広がっていて、今回は田辺市から三重県の鵜殿辺りまで広く連携してやっている。そういうつながりを大事にしたいし、近所の皆さんから子どもたちの声が響いてうれしいという話も聞いていて共に楽しむことも大切にしていきたい。そのために、今後も頑張って継続していきたい」と実施に込めた思いを語った。
(2024年10月22日付紙面より)



新宮・新翔の再編説明会
2026年度の統合を控え、和歌山県教育委員会による「新宮高等学校・新翔高等学校の再編整備に係る説明会」が20日、和歌山県立新宮高校であった。進学を考える生徒の保護者や地元の中学校関係者など約50人が参加。統合後はどう変わるのかを確かめた。
県教委がこれまでの経緯を説明した。新設する定時制の昼間部について「中学時代に不登校を経験した生徒や、多様な課題を抱える生徒が対象と考えている。終日学校にいることに負担を感じる生徒が、過度な負担なくゆっくり学べるように導入。学び直しや個々の学習履歴に応じた学びを提供できる。4年生課程だが通信制などとの組み合わせで、3年で卒業も可能」と明かした。
両校の校長による、設置される課程や学科の紹介もあった。「高校選びから、学ぶ内容選びに変わる。統合すると両校は一つになり、制服もクラブも行事も一緒に。適性や興味、関心に応じて学ぶ場を用意する。どんな勉強がしたいか、どんな力を付けたいかを調べて、どこに進むかを決めてほしい」と伝えた。
質疑応答では「定時制や通信制に入った生徒は、文化祭や体育祭などの学校行事はどう参加か。全日制と一緒か別か」「基本的に行事や部活は課程で分かれる」。「全日制の学彩探究科や総合学科で受かった後に、自立支援系(定時制)の昼間部に変更はできるか」「それは可能かと」。
「全日制の普通科から学彩探究科への変更はできないのか」「今の方向性としては難しい」。「小中学校では一人一人、必要な支援も違い、配慮してもらっている。総合学科ではそういう対応はしてもらえるのか」「支援学校ではないので、やれることに限界はあるかと。小中のような個別対応までは難しい部分も。相談には乗れる」などのやりとりがあった。
なお説明会は23日(水)午後6時から、新翔高校でも開かれる。
(2024年10月22日付紙面より)


「多様な性」を学ぶ講座 (新翔高校 )
和歌山県立新翔高校(宮井貴浩校長、生徒263人)でこのほど、県が行うLGBT啓発事業出前講座として、特定非営利活動法人チーム紀伊水道の倉嶋麻理奈理事長による「多様な性を知ろう」~和歌山で自分らしく生きる~の講話があった。全学年が参加。性の知識を深め認識を新たにした。
チーム紀伊水道は、県内を中心にセクシュアルマイノリティー(性的少数者)支援のための活動を行う当事者団体。交流会や人権啓発イベントへの参加、相談受け付けや講演などを行っている。
倉嶋理事長は、セクシュアリティーについて「広い意味では性に関わる人間の活動全般、狭い意味では性的指向や性自認などを示す」と説明。その多様性を考える4要素として▽身体の性▽心の性▽社会的性▽性的指向―があることを語った。
L(レズビアン)G(ゲイ)B(バイセクシュアル)T(トランスジェンダー)とは何かを解説。「LGBは性的指向だが、Tは性自認。Tは相手がいてもいなくても関係ない」と話した。
4要素は人それぞれで、自身でもよく分からないQ(クエスチョニング)もいるなど多様であることから「さまざまな性的指向、性自認、性表現、身体的性の存在がある。性に関わることはみんなが当事者」と伝えた。
同性婚に関する国内の裁判や、条例制定の動向に言及。「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度を、23年4月から那智勝浦町が、10月から新宮市が、24年4月から串本町が実施」などと述べた。
「身近な人が当事者かも。異性愛が当たり前とは思わない、考えないで。(性的少数者が)特別じゃない、当たり前の生活が送れる、性自認を尊重した生き方が受け入れられる学校や社会を」と呼びかけた。
(2024年10月20日付紙面より)


シルバー人材センター (新宮市 )
「シルバー人材センター事業普及啓発促進月間」に加え第3土曜日の「シルバーの日」でもある19日、公益社団法人新宮市シルバー人材センター(品田顕二郎理事長)は市内各所で清掃作業や街頭啓発を行った。総勢で約60人が参加、美化や周知に努めた。
全国のシルバー人材センターは事業の発展・拡充を図るためにこの日、一斉に啓発、奉仕活動を展開している。新宮市では、市役所周辺や浮島の森、徐福公園の清掃に約30人が参加。他に医療センター玄関周辺を清掃したほか、橋本のイオン新宮店と丹鶴のオークワ新宮仲之町店で街頭啓発を行った。
市役所では、開始に当たり、品田理事長と田岡実千年市長があいさつ。「今日は晴天にも恵まれ、清掃と啓発を行う。皆さんの日頃の腕を信じている。けがに気を付けてよろしくお願いします」。「市の人口は2万5000人台となり、高齢化率は約40%で、2・5人に1人は高齢者。元気に生きがいを持ち生活できるまちづくりを、皆さんと一緒に取り組みたい」などと話した。
この後、清掃を実施。一部は浮島の森や徐福公園に移動し、他は市役所周辺の植え込みの剪定(せんてい)や草抜き、清掃を行った。参加者は協力しながら作業を進め、汗を流していた。
(2024年10月20日付紙面より)

キイジョウロウホトトギス (熊野那智大社 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)境内で現在、「山里の貴婦人」とも呼ばれるキイジョウロウホトトギス(紀伊上臈杜鵑草)が優雅な黄色い花を咲かせている。宝物殿横の池や参道の一ノ鳥居横の太鼓橋(紫陽花園の近く)で見ることができる。
ユリ科ホトトギス属の多年草で、紀伊半島南部の固有種。直射日光の当たらない山中の湿った崖に垂れ下がるように生え、釣り鐘形の花をつける。朝ドラ「らんまん」の影響で、近年知名度が高まっている一方、園芸採取などが減少の原因となっている。
「上臈」は宮中に奉仕した貴婦人、ホトトギスは花の内側の紫褐色の斑点を鳥のホトトギスの胸の斑点に例えたとされる。
毎年楽しみに訪れる人も多いが、今年はシカによる食害や夏の暑さで、例年と比べると花は少ない。井戸大輔禰宜(ねぎ)は「季節の珍しい花なので、見て楽しんでもらえれば」と話す。一ノ鳥居横の太鼓橋では、同属のホトトギスも紫色の花を咲かせている。
(2024年10月20日付紙面より)


ヤングケアラー講演会 (新宮市 )
本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども「ヤングケアラー」。中学2年生、高校2年生、定時制高校2年生相当を対象に和歌山県が行ったアンケートでは、全回答者(1万4237人)のうち、家族のケアをしているのは全体の4・4%(626人)に上った。ヤングケアラーを地域で支えるために、どういった支援が必要となるのか。新宮市は子育て支援として、NPO法人「ふうせんの会」の事務局の三島俊祐さん、運営メンバーで元ヤングケアラーの川嵜大介さんを招き講演会を開催。約40人がヤングケアラーの実態を知り、必要な支援を考えた。
三島さんはヤングケアラーを「ケアを担う子ども・若者たち」と説明。日本ケアラー連盟ヤングケアラープロジェクトの定義である「家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている、18歳未満の子ども」も伝えた。
過度な負担が続くと▽子どもの心身の健康が保持・増進されない▽学習面での遅れや進学に影響が出る▽社会性発達の制限▽就労への影響―などが懸念されると指摘した。
「自分の将来を考えられない、進学を諦める、自立が遅くなるなどが起こり得る。自分のことを考えること自体が難しいケースもある」と述べた。
必要な支援として「まずは理解を。ケアから離れられる場、時間が必要。公的サービスの紹介を」などと話した。「今すぐに全て解決は難しい。今よりも少しでも良い状況を目指すことが重要。伴走する、待つことが必要な支援もある」とまとめた。
川嵜さんは、ヤングケアラーとして家事や介護に追われた経験を語った。「ヤングケアラーと思われる生徒、学生がいたら、負担が減るよう福祉関係者につなげてほしい」「子どもが部活や修学旅行などを諦めないように、負担を減らす方法を」「ヤングケアラーに理解のある介護職が増えるとありがたい」「ケアが終わった後の就労支援が必要」などと訴えた。
(2024年10月19日付紙面より)


村上和弥さんが生涯学習講座 (太地町 )
太地町公民館で17日、生涯学習講座があった。村上和弥さんが「時代はわれわれを追い越していく」と題し、日本の伝統的な童謡や御詠歌、詩吟の魅力を語った。
村上さんは、町子育て支援室・子どもの居場所づくり指導員。本紙にて「大きい価値はゆったりと」を連載中。
思い入れのある唱歌として「里の秋」を紹介。古座川町で校長をしていた頃のエピソードで「『父親のない子どもには耐えがたい内容』と言われたことがあったが、3番の歌詞では父親はまだ亡くなっていないことが分かる。南方に取り残された日本軍将兵が復員してくるときの歌として作られ、私の母親はこの歌の事情をよく知っていて、よく口ずさんでいた。母子の仲をこれほど素晴らしく歌ったものはない」と語った。
唱歌「夏は来(き)ぬ」についても、卯(う)の花(ウツギ)や楝(おうち)(センダン)、忍び音、玉苗といった用語の意味を解説。死者が旅立つときに歌い継がれてきた「追弔和讃」にも話を広げた。
詩吟「元二を送る」を披露し「最近では時代に取り残されている感が否めないが、取り残されて改めてその素晴らしさが見えてくる側面がある。ぜひ残していきたい」と述べた。
会場からは「『里の秋』は私も大好きな歌で、小学校で習ったのではないかと思う。やはり童謡はいい。今の歌は言葉がたくさんでテンポも速く、私も時代に取り残されている感がある」「デイサービスの方が『里の秋』や『夏は来ぬ』、数え歌を歌い、『懐かしいね』と戦争の話をされている。そうやってつながっていると思う」などの声があった。
(2024年10月19日付紙面より)


寺地恒文さん宅で (那智勝浦町 )
那智勝浦町南大居の寺地恒文さん宅で、秋にもかかわらずクマノザクラが咲き出した。同町玉の浦のクマノザクラから取った実生から育てた木で、現在七分咲きとなり、秋風に揺れている。
寺地さんはクマノザクラを観光資源の一つとして地域活性化につなげようと、7年ほど前から苗木作りを研究。実生から育てた苗木は、受粉によって花の色や形が親木とは違ったものになってしまうため、親木の形質を保存できる「接ぎ木」の手法にこだわっている。
実生でも接ぎ木でも、サクラの木が花を咲かせ始めるには数年かかる。今回花をつけたのは、実生から育てて6年目の木で「花も1、2個ではなく、本格的な咲き方。自分で植樹をした方も、このくらいで咲き出すと参考にしてもらいたい」と語る。秋に咲かせた理由については、強風などの影響で葉を失ったことに加え、気温の高さが影響していると予想した。
2018年に新種として発表されたクマノザクラの苗木生産技術は知見が少なく、試行錯誤が重ねられている。「クマノザクラはソメイヨシノなどと比べて非常に繊細で、接ぎ木の定着率も低く、苗木の値段も高くなってしまうが、いずれは手に取りやすい値段にしていきたい。今育てている個体が咲き出せば比較もでき、さらに苗木作りの手法の良しあしが分かってくる」と話す。接ぎ木苗の問い合わせは、寺地農園(電話0735・57・0124)まで。
(2024年10月19日付紙面より)


【第76回】早寝早起き朝ごはん
私が食育についてとことん調べよう!と思ったきっかけは、本当に「母親の手作り」や「一汁三菜」が子どもにとってベストなのか?という疑問でした。調べていくと、そこには強いエビデンスは見つけられなかったので、それを伝えたい!と思い、発信することを始めたのです。ですが、そんな私でも、これは大切だな、と思っている食育ワードがあります。それが「早寝早起き朝ごはん」です。
子どもの食育にも、体内時計は大きく関係します。空腹を感じないと、少食や偏食になる可能性が高まるからです。夕食を食べてから、朝食までに10時間以上絶食することで、体内時計が正しく動きます。これは大人でも同じことで、生活習慣病にも大きく作用します。夜遅くに食事をすると、血糖値が上がりやすくなり、糖尿病のリスクを高めます。近年日本では糖尿病患者が増えていますが、食事などでの摂取カロリーは減少しているそうです。カロリーは減っているのに、糖尿病患者が増えた要因の一つとして、夜遅くに夕食を取る人が増え、夜更かしをする人が増えているからではないかといわれています。それくらい、夜更かしは健康に影響するわけです。
そして、朝食もとても大切です。子どもにとっても、朝食をきちんと取れている子は、そうでない子に比べて、栄養素や食品摂取量が多い、ストレスを感じにくい、学力が高いなど、さまざまな研究結果が報告されています〈農林水産省ホームページ「食育の推進に役立つエビデンス(根拠)(2)朝食を毎日食べるとどんないいことがあるの?」より〉。成人を対象にした研究でも、朝食抜きの生活を続けると、心筋梗塞で亡くなる危険性が2倍に増えるという報告もあります(Rong S, et al.Association of skipping breakfast with cardiovascular and all-cause mortality. J Am Coll Cardiol73, 2025-2032, 2019.)。これは、朝食を抜くと、動脈硬化が進み、心臓に血液が十分に供給されなくなるためです。他にも、スペインでは朝食を取るタイミングが、乳がんに影響するという研究結果もあります。朝食が1時間遅れると、乳がんのリスクが18%も増えるというものです(Musse GNV, et al. Skipping breakfast concomitant with late-nightdinner eating is associated with worse outcomes following ST-segment elevation myocardial infarction. Eur J Prev Cardiol27, 2311-2313, 2020.)。
つまり、体内リズムを整えるということは、子どもにとっても、大人にとっても、心と体の健康にいい影響を与えるということなんです。
今世の中は、健康ブームで、さまざまなサプリメントや、スーパーフードがたくさん出回っていますが、お金をかけず、今すぐできる健康法が、この「早寝早起き朝ごはん」だと私は思っています。毎日忙しくて、大変な日々だと思いますが、この習慣を始めるには、この秋の夜長はうってつけです。ぜひ、今日から意識してみてはいかがでしょうか?
(2024年10月19日付紙面より)
御船は明神、37年ぶり (新宮の速玉祭 )
熊野速玉大社(上野顯宮司)の例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」の2日目となる16日、神輿(みこし)渡御式が営まれた。熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)(イザナミノミコト)の御霊(みたま)が神輿に遷(うつ)され、雨天のまちなかを巡行した。御船祭(みふねまつり)もあり、37年ぶりに明神が優勝した。
新宮の速玉祭は、15日の神馬(しんめ)渡御式と16日の神輿渡御式から成り、神輿渡御式の一部として御船祭がある。川渡御に際し御霊が遷された神幸船(しんこうせん)を先導する形で、市内9地区の早船が競漕(きょうそう)する。下りでも競う。
当日は雨天のため、渡御の距離が短縮された。上野宮司の手で御霊が神輿に遷され、渡御へと出発。大量の紙垂(しで)や扇が付いた「お旗さん」、神馬に乗った「一ツ物」人形などが先導する行列は権現河原へ、神輿は分かれまちなかを練り歩いた。
やがて神輿も権現河原に至り、御霊が神幸船に遷された後、御船祭が開始。市内9地区の早船が丹鶴ホール下の下札場をスタートして約1・6㌔を遡上(そじょう)、御船島を3周してゴールとなる相筋雇用促進住宅付近の上札場を目指した。先行する明神を阿須賀が懸命に追ったが、そのまま島の周回に突入、明神が制した。タイムは14分46秒だった。
とも取りの尾屋一成さん(37)は「37年遠ざかっていたので、最高の気分。手伝ってくれたOBや地域の方に感謝を伝えたい。こぎ手も練習通りやってくれた。今はとりあえずゆっくりしたい」と話した。
続いて御旅所での神事が営まれた。杉ノ仮宮に御霊が遷され、上野宮司が祝詞を奏上。夕闇が迫るなかでたいまつの火がゆらめいた。
□ □
■早船競漕の結果
【上り】
①明神②阿須賀③王子④堤防⑤神倉⑥春日⑦丹鶴⑧御幸⑨千穂
【下り】
①神倉②王子③千穂④春日⑤堤防⑥丹鶴⑦阿須賀⑧御幸⑨明神
(2024年10月18日付紙面より)


南紀くろしお商工会でセミナー (那智勝浦町 )
南紀くろしお商工会は11日、那智勝浦町の町商工会館で「圧倒的生産性向上を図る! 生成AI活用セミナー」を開いた。10人が参加し、世界的に注目されている人工知能(AI)チャットボット「チャットGPT」などの活用法を学んだ。
グローカルマーケティング株式会社の武田知浩さんが講師を務めた。冒頭、日本の生成AIの活用は9・1%と、米国の46・3%や中国の56・3%と比較しても、個人レベルではほとんど活用が進んでいないことを指摘。「ネットに強い人だけでなく、誰でも簡単に利用でき、周りと差をつけられる。『間違ったことを言うのでは』『事業所で使うイメージが湧かない』などの不安を解消するきっかけになれば」と呼びかけた。
チャットGPTについて「皆さん専属の相棒や秘書のようなもので、文章や画像を作るのが得意。英語への翻訳などもできる。他のAIでは動画や音声、BGM音声なども作れる」と説明。実際にチャットGPTで文章やキャッチコピー生成をしながら「最初に出てくる文章は50点くらいのたたき台。そこから文体など指示して手直しし、100点の表現を目指していく。途中で『もっといい文章にするために、必要なことがあれば質問して』とこちらから質問を求めるのもいい」とアドバイスした。
参加者からの「会議を録音しておいて、自動で議事録をつくれないか」とリクエストがあり、武田さんは約5分間の会話を「CLOVA Note」で文字起こしし、チャットGPTで形式を整理する方法を実演。「大きな声で話せば、かなり文字起こしの精度もいい」と語った。
既にAIを活用している参加者からは「外国人とのメールや口コミ返信はとても楽で、仕事に必須のツールになっている。エクセルの関数生成も精度が高い。一方で、画像生成はまだうまくいかない」「計画書や報告書で活用し、文章が分かりやすくなった」などの声があった。
(2024年10月18日付紙面より)

5年ぶりウミガメ放流会 (環境ファースト連合会 )
NPO法人環境ファースト連合会(椋野玲史会長)の主催によるウミガメ見学放流会が13日、新宮市の大浜(王子ヶ浜)海岸であった。一般参加での開催は5年ぶりとなる。市内外から約100人が参加。無事な成長を願い、海へと向かう小さなアカウミガメを見送った。
同海岸でのウミガメの保護活動は約50年前から始まり、時代とともに実施団体を変え、現在は同連合会に所属する紀伊半島の海亀を守る会(山舗徹哉会長)が引き継いでいる。今シーズンは7月16日に、122個のアカウミガメの卵を保護。人工ふ化で9月2日から66匹がかえり、体長8㌢ほどに育ってこの日を迎えた。
会場では容器に放流するアカウミガメを入れてあり、触れるようになっていた。多くの子どもらが手に取り、感触や重さを確かめていた。開会のあいさつで椋野会長は「ウミガメは三重県ではほとんど(産卵に)あがっていないと聞く。王子ヶ浜海岸が貴重な浜と証明している。将来に残していきたい。環境保護の気持ちを持ち、協力していただきたい」と呼びかけた。
来賓の田岡実千年市長もあいさつ。「王子ヶ浜は世界でも貴重といわれるウミガメの上陸地となっている。今日は素晴らしい体験になるかと。楽しみましょう」と述べた。山舗会長は「ウミガメとの触れ合いを通し、命や自然環境の大切さを知ってほしい。この海岸の素晴らしさを忘れないで」と語った。
当日は波が高く危険だったので、放流は同連合会のスタッフが行った。参加者は安全な位置で、波打ち際へ放たれ海へと向かうアカウミガメに手を振った。市内から両親と共に訪れた、神倉小2年の山本和夏菜さんとマリア保育園年長の山本晴真君は「初めて触った。思っていたより怖くない。鳥などに食べられず、元気に生きてほしい」と話した。
(2024年10月18日付紙面より)

4年生サッカー大会東牟婁予選
新熊野少年野球大会が開幕
総合体育大会総合開会式 (那智勝浦町 )
全国高校選抜バドミントン大会県予選会 (新宮高校 )
「新宮の速玉祭」で渡御 (熊野速玉大社 )
2日間にわたって営まれる熊野速玉大社(上野顯宮司)の例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」が15日、始まった。この日は午前の本殿大前ノ儀に続き、午後から神馬(しんめ)渡御式を斎行。主神の熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)(イザナギノミコト)の御霊(みたま)を神馬の背に遷(うつ)し、熊野川の河原にある乙基(おとも)の御旅所(おたびしょ)へと渡御した。
例大祭は神馬渡御式と、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)(イザナミノミコト)の御霊を神輿(みこし)に遷しまちを練る、16日の神輿渡御式から成る。神輿渡御式の一部として、市内9地区の早船が競漕(きょうそう)する「御船祭(みふねまつり)」も行われる。
神馬渡御式では、同大社で上野宮司が熊野速玉大神の御霊を懐に抱き、神馬と共に行列で渡御へと出発。登坂を越え阿須賀神社に至り、神子役の垣下みのりさん(神倉小4)と田中玲璃さん(王子ヶ浜小4)による神鎮めの「鈴剣(すずけん)の舞」の後、神馬の背に遷された。
再び行列は渡御へと出発。復路で再び登坂を越えて同大社へと至り、続いて相筋の雇用促進住宅付近にある乙基の御旅所へと向かった。御旅所では、杉の葉で覆われた「杉の仮宮」に御霊を遷し、特殊神饌(しんせん)のオミタマや掛魚(かけうお)を供え、宮司が祝詞をささげた。
なお神輿渡御式は、天候の関係で渡御の時間を短縮。同大社からの神輿の出発は変わらず午後2時からだが、権現河原の到着が午後3時ごろ、御船祭のスタートが午後3時30分ごろになる。
「新宮の速玉祭」は、2月に行われる神倉神社の例大祭「御燈祭(おとうまつ)り」と合わせ、「新宮の速玉祭・御燈祭り」として国の重要無形民俗文化財(重文)の指定を受けている。
(2024年10月17日付紙面より)


町立図書館で本気フェス (那智勝浦町 )
那智勝浦町立図書館(久保敏晴館長)で14日、地域交流イベント「本気(マジ)フェス~本とフリマとラクガキと~」があった。3連休最終日とあって、多くの家族連れや地域住民らが来館し、古本市や子ども対象の催しを楽しんだ。
図書館を利用したことのない地域住民の来館につなげようと、4年前に始まった地域交流イベント。駐車場での「チョークでラクガキ」や館内での各種催しを繰り広げた。
一般書や児童書、絵本、雑誌など図書館の廃棄本と排架できない寄贈本を有効活用してらおうと無料の「古本市」も開いた。来館者は2000冊近くから気に入った本を持ち帰った。地域住民が出店する「一箱フリマ」には店主お薦めのバッグや缶バッジ、食器、衣類などが並んだ。
ミニ絵本作りコーナーは、町内の絵手紙教室で講師を務める阿部由美子さんが教えた。子どもたちはA4サイズの用紙を折り、折り紙やスタンプを貼って「だるまさん」シリーズの小さな絵本を作った。
無料のカフェコーナーでゆったりと時間を過ごす人たちも見受けられ、普段と違った図書館の光景が広がった。
(2024年10月17日付紙面より)



潮崎本之宮神社の例大祭 (串本町 )
串本町串本にある潮崎本之宮神社の例大祭が13日に本祭を迎えた。宵宮の12日夜半に獅子舞を受け継ぐ四つの氏子会(北氏子会、東氏子会、西春秋会、南氏子会)がゆっくりと宮上りをし、その道中各所で注目を浴びて活気づくなどした。
この神社は県立串本古座高校の隣に鎮座し、海神三神(底筒男命、中筒男命、表筒男命)を主祭神として祭る。現在は大字串本・サンゴ台が氏子区域となって護持し、毎年10月第2日曜日を本祭日にして例大祭を営んでいる。
宵宮夜半に繰り広げられる氏子会の宮上りは近年、獅子屋台を電飾で飾るなど華やかさと威勢を兼ね備えた光景としてひときわ多くの見物を集めるところとなっている。
午後6時の召集サイレンを合図にして四つの氏子会が旧稲村亭そばへ集まり、今年の主奉仕当番・北氏子会(矢倉健裕会長)を先頭にして宮上りを開始。銀座通りと商栄会通りのつじで獅子屋台を高々と押し上げるなど見せ場をつくりつつ進行した。
約3時間をかけて宮入りした後は北東西南の順で本殿と境内社・恵比須神社へ幣の舞を奉納し、代表して北氏子会が剣の舞と乱獅子を舞わして宵宮奉納を形にした。
本祭式典後も各氏子会が順に幣の舞を奉納し、代表して北氏子会が残りの舞全てを舞わして全頭奉納を形にし、その後は氏子会それぞれに地区回りへと出発した。四つの氏子会の活気を社務所から見守っていた吉村健三総代長(82)は最後まで感染症に気を付けつつそれぞれの奉仕をやり遂げることを各氏子会に期待し「ここは漁神様をお祭りする場所。第一には大漁満足、その先で氏子安泰を願いたい」とこの奉仕の先で求めるところを語った。
(2024年10月17日付紙面より)


「新宮の速玉祭」が開幕 (熊野速玉大社 )
国の重要無形民俗文化財(重文)の指定を受ける新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」が15日、同大社での「本殿大前ノ儀」で厳かに幕を開けた。神迎えの喜びを示す祭典が2日間にわたり、盛大に行われる。
例大祭は同大社の主神、熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)(イザナギノミコト)の御神霊が神馬(しんめ)で阿須賀神社へ渡御し、熊野川河原の乙基(おとも)の御旅所(おたびしょ)へ渡る「神馬渡御式」と、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)(イザナミノミコト)の御神霊が神輿(みこし)でまちを練り、神幸船(しんこうせん)で御船島(みふねじま)を回る「神輿渡御式」からなる。神輿渡御式の一部として、市内9地区の早船が競漕(きょうそう)する「御船祭(みふねまつり)」も行われる。
本殿大前ノ儀では、上野宮司の祝詞奏上の後、2人の巫女(みこ)が「神なぎの舞」を奉奏。参列者が玉串を奉奠(ほうてん)した。正調新宮節保存会の演舞奉納もあった。上野宮司は祝詞の中で、自然災害や異常気象、紛争や環境破壊に言及。「これらの速やかな安寧を願いつつ、お祈りさせていただいた」などと話した。
同日は午後2時より、神馬渡御式を斎行。御旅所での神事を経て御神霊が還御した。
16日の神輿渡御式は、午後2時に同大社を出発する。「御船祭」の早船競漕は、御神霊の川渡御を先導し、午後4時30分ごろに始まる。スタートは丹鶴ホール下の下札場、ゴールは相筋の雇用促進住宅付近の上札場となる。
午後5時30分ごろ、御旅所神事が始まる。夕闇迫る中で火が揺らめく「原初の祈りの光景」を垣間見ることができる。
(2024年10月16日付紙面より)


新たな営農形態の模索始まる (紀宝町神内 )
新たな営農形態の可能性を考えようと、子安の里の会(中西和益会長)は14日、紀宝町神内の田んぼでブロッコリーとダイコンの定植作業を行った。稲作中心から複合的農業への転換に向けて、春から夏の米作り、秋から冬の野菜栽培の二毛作への挑戦が始まった。
神内地区は「日本の聖地ベスト100」10位の神内神社をはじめ、16もの観光名所、古跡が存在する。中心部には約30㌶の農地が広がり、美しい田園風景とともにその歴史を刻んできた。
一方、近年は人口減少に伴う農家の担い手不足が深刻で、耕作放棄地が目立ち始めた。地元農家が協力して稲作中心の農業を進めているが、田園風景を守ることが困難な状況にあるという。
神内の農業を未来につなぐため、昨年度から三重県、町、地域が一体となり、協議を進めてきた。今回は第1弾として、試験的に野菜栽培に取り組むこととした。
田んぼは約3㌃。畝を高くするなど野菜栽培に適した畑にし、野菜は冬に収穫できる2種類を選んだ。定植作業には子安の里の会、県、町と地元、神内小学校の古根川正樹君(5年)、睦実さん(2年)のきょうだいも参加した。
ブロッコリーの収穫は12月下旬を予定しており、町内で販売するほか、JA伊勢に出荷する。
来年1月には、地域住民らを招いてブロッコリーの収穫体験、神内の歴史・稲作講座を開く予定だ。
中西会長(77)は「神内の農家は若くて60代。野菜作りの経験が少ない農家が多く、うまく野菜が育ってくれることを願っている。取り組みをきっかけに農家が増えれば」と話していた。
地域住民の集いの場にしようと、畑の名前を募集しており、応募は紀宝町役場産業振興課(電話0735・33・0336)、熊野農林事務所農村基盤室(電話0597・89・6128)まで。
(2024年10月16日付紙面より)


熊野修験が採燈大護摩供 (那智山青岸渡寺 )
世界平和と国土安穏を祈念し「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年を祝う採燈大護摩供(さいとうおおごまく)が12日、那智勝浦町の那智山青岸渡寺境内の三重の塔前で営まれた。熊野修験の行者たちの読経が響く中、燃え盛る炎と噴煙に、参拝者らが一心に願いを込めた。
屋外で行われる大規模な護摩法要で、約20人の行者たちが「山伏問答」を経て三重の塔前の結界に入った。法弓、法斧(ほうふ)、法剣で魔を払った後、護摩壇に火を放った。今回は初めて、宗派の違いを超え、同じく世界遺産の高野山奥之院・維那(ゆいな)の仁賀大善師も参列した。
火渡り(火生三昧式)も行われた。護摩壇に燃え残った薪炭の上に丸太を渡し、参列者らが素足で渡って家内安全や無病息災を祈願した。
新宮市から参加した向畑晴瀬君(10)は「火渡りは怖かったけれど、大丈夫だった」。母親のめぐみさんは「初めてで圧倒され、とてもいい経験ができた」と語る。
髙木智英大先達(青岸渡寺副住職)は「世界中からここ熊野に来られた方々の幸せと安寧を祈った。今回は子ども修験体験や那智勝浦観光機構の温泉ウィークなどとも併せ、今までになく多くの若い方、海外の方にもご参加いただいた。日本の修験の世界観と神仏に触れていただきたい」と話していた。
(2024年10月16日付紙面より)


御船祭のスタート抽選 (熊野速玉大社 )
熊野速玉大社(上野顯宮司)で11日夜、例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」の中で行われる「御船祭(みふねまつり)・早船競漕(きょうそう)」の旗番抽選会があった。出船9地区の代表者がくじを引き、スタート位置を決定。最も有利とされる最上流の9番は阿須賀区が引き当てた。
新宮の速玉祭は、同大社の主神である熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)の御霊(みたま)が神馬(しんめ)で渡御する15日(火)の「神馬渡御式」と、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)の御霊が神輿(みこし)で渡御する16日(水)の「神輿渡御式」から成る。「御船祭」は、神輿渡御式の中で行われる川渡御に際し、御霊を乗せた神幸船(しんこうせん)を先導する形で、9地区の早船が競漕する。
早船は16日の午後4時30分ごろに、丹鶴ホール下の下札場をスタート。熊野川を約1・6㌔遡上(そじょう)し、御船島を3周回り、相筋の雇用促進住宅付近の上札場までの順位を競う。競漕は下りでも行われる。
抽選会は各出船区のメンバーのほか、神職、審判委員などが出席した。上野宮司はあいさつで、長い歴史を持つ祭りであること、国の重要無形民俗文化財にも指定されていること、多くの協力のおかげで祭りができることを説明。「皆さんには事故やけがなく、誇りを持って祭りに奉仕いただきたい」と呼びかけた。
審判委員による注意事項などの説明の後、旗番抽選が行われた。代表者は神妙な面持ちでくじを引き、他の出船メンバーはその結果を固唾(かたず)をのんで見守っていた。
最上流となった阿須賀区のとも取りを務める橋本将大さん(35)は「全ての船が上流を向いてこぎ出してくるのでぶつかる可能性があり、むしろ(最下流の)1番がよかったが、しかし頑張りたい」と気合を入れていた。
(2024年10月13日付紙面より)


11月末までに16㌧見込む (熊野市 )
熊野市特産の香酸かんきつ「新姫(にいひめ)」の収穫が10日に始まった。作業は11月下旬まで続き、今年は16㌧の収穫を見込んでいる。
新姫は、温州と日本たちばなが自然交配したものと推測され、1985年に新鹿町で発見されたもの。市が97年に新しい香酸かんきつとして品種登録、2004年から産地化に向けて本格的な取り組みを行っている。
高血圧抑制作用などがあるといわれる「ノビレチン」や、がん予防・血糖値の上昇抑制に効果があるといわれる「ヘスペリジン」などの成分が含まれているという。
この日、熊野市ふるさと振興公社が管理する熊野市紀和町の長野ほ場で、職員12人が収穫作業に取り組み、直径3㌢、重さ25㌘ほどに実った新姫を丁寧に収穫した。
サイダー、ポン酢、ドリンク、キャンディーなどさまざまに加工されるほか、果実は鬼ヶ城センターや道の駅熊野・花の窟(いわや)「お綱茶屋」、駅前特産品館で販売する。
(2024年10月13日付紙面より)


鹽竃神社で例大祭営む (那智勝浦町 )
那智勝浦町浦神の鹽竃(しおがま)神社(山本貞夫宮司)で12日、秋の例大祭が営まれた。通常規模の斎行は5年ぶり。澄んだ秋晴れの下、勇義社(畑下隆生社長)が伝統の獅子舞を奉納し、区民らが豊漁や家内安全を祈願した。
160年以上の歴史を持つといわれる祭り。本宮朝には獅子屋台を乗せた船が、海上に祭り囃子(ばやし)を響かせ、浦神湾を渡った。式典では山本宮司が祝詞を奏上し、西・東の両区長や宮総代、番元らが玉串をささげた。併せて氏子入詣もあり、坂野紬希ちゃん(1)と塩地叶舵君(2カ月)が参拝した。
境内では迫力ある獅子舞や天狗(てんぐ)が奉納され、地下回しや家固めでは地元の子どもたちも笛や太鼓で活躍。地区の女性らによる「祭り盛り上げ隊」によるフランクフルトやうどん、ぜんざいの振る舞い、子どもたち向けのくじ引きもあった。
畑下社長は「天気も良く、ようやく通常の形で斎行できて良かった。皆さんのおかげと思う。夕方には自分の仕事場でも新築の家固めがあり、楽しみにしている」と話していた。
(2024年10月13日付紙面より)


盆栽職人としての経験を生かし、新宮市高田で2023年6月から活動する地域おこし協力隊の松露将典さん(38)が、市の木「天台烏薬(てんだいうやく)」を使った小さな盆栽「苔玉(こけだま)」を作っている。苔の生育に適した高田に魅せられ、3年間の任期は折り返し地点に。ゆくゆくは地域の資源を生かしながら高田の魅力を発信していきたいと考えている。
市立城南中学校、県立新宮高校を卒業し、関東で進学。広告代理店に就職し、忙しい日々を送っていたが、堂々と「自分が作った」と言えるものを作っていきたいと考え、江戸時代から続く老舗盆栽園「清香園」(埼玉県)の門をたたいた。庭がなくても楽しめ、思い描いた景色をつくっていけるところに魅力を感じたという。
10年間の勤務を経て、自然豊かな場所で子育てをしながら培った技術を生かそうと、高田を拠点に活動する故郷の協力隊に応募した。
松露さんによると、山間部の高田は霧の影響で湿気が多く、苔が至る所に生えている。ところが、苔むした道は滑りやすく、地元では雑草と同じように取り除かれていた。「都会ではわざわざ美しい苔が見られる場所を訪れるほど需要があるのに、ここでは草と同じ邪魔な存在だった」。
高田の山林には徐福伝承がある天台烏薬の木が多く植えられており、これらを生かせないかと、気軽に自然を愛(め)でられる苔玉を制作。市所有地にある苗木と苔を使用して作られており、23年12月には市のふるさと納税の返礼品に登録された。
盆栽ブームは若い世代や海外にも広がっており、松露さんはワークショップなどで魅力を伝えている。一度、都市に出たからこそ、自然に恵まれた故郷の素晴らしさに気付いたと言い、「都会の人がどれだけ自然を欲しているか。国外への持ち出しは制限されるが、体験を大切にする海外の観光客にも需要がある。高田の資源を生かして、PRしていきたい」と話していた。
(2024年10月12日付紙面より)


串本中の1年生を迎えて (くしもと町立病院 )
くしもと町立病院(城谷学病院事業管理者)が10日、串本町立串本中学校(濱﨑和司校長)の1年生を対象にした企画「一日病院見学・体験」を実施して院内各医療従事者の現場や業務を一通り紹介するなどした。
城谷管理者が前任地で実践していた取り組みのノウハウを発揮し、院内各部が考えた紹介内容を束ねて作り上げた中学生対象の企画。町内に四つある中学校を代表して串本中を誘い、同校は1年生を参加させたいと希望してこの日実現するに至った。
同病院内はユニバーサルマスキング環境で、生徒と引率教員は医療従事者同様誰一人鼻出しなしの適切なマスク着用をこなして参加。序盤は城谷管理者自らこの企画の趣旨や概要を紹介するなどし、中盤はまず診療部と看護部が業務の一端を実感できる内容を提供し以降生徒は7グループに分かれ入れ替わりで▽看護部▽薬剤部▽放射線部▽臨床検査部▽リハビリテーション部▽栄養部―の各現場を事務部の案内で巡り、業務の説明や体験提供を受けるなどした。
生徒の岡地翔星さんは城谷管理者が提供した心エコー体験で自分の心臓の動きを確かめ緊張すると本当に速くなるのを初めて見られた、中村栞理さんは城谷管理者の話を聞いて今自分たちが勉強していることが将来にも役立っているのが分かったと、刺激になった事柄をコメント。
終盤は質疑応答で、生徒は磁気共鳴画像装置(MRI)や体験をさせてもらった聴診器の値段、手術をするときの人数など見学や体験をしていて気になった事柄を質問して疑問を解消し円滑に理解を深めた。
城谷管理者は「病院というと医師と看護師しかいないと思われがちだが実際はいろいろな職種の人がいて、チームを組むことで成り立っている。そのことをメモリーとして頭の片隅でいいので残してもらえれば」とこの企画の狙いをコメント。「そのメモリーが将来の自分のやりたい職業と結び付き、この病院の担い手としてふるさとへ戻る結果につながれば」と長い目で見た期待も語った。
(2024年10月12日付紙面より)


全国の「勝浦」3市町で (那智勝浦町 )
全国で「勝浦」の名前を持つ3市町が一堂に会する「第19回全国勝浦ネットワーク会議」が10日、那智勝浦町役場で開かれた。那智勝浦町の堀順一郎町長、千葉県勝浦市の照川由美子市長、徳島県勝浦町の野上武典町長が出席し、災害時の代理寄付受け付けに関する合意書を締結した。
教育、文化、産業の各分野で交流し、新たな発展の礎を築こうと2001年に初開催。03年に3市町で友好都市盟約書に調印した。05年には災害時に食料・飲料水などの生活必需物資を提供して助け合う災害時相互応援協定も結んでいる。
今回合意書を締結した代理寄付は、災害で被災した自治体の代わりに、被災していない自治体がふるさと納税ポータルサイトで寄付を受け付け、被災自治体に送付する仕組み。寄付受領証明書の発行などの事務作業を受付自治体が行うため、被災自治体は災害対応に集中できるなどのメリットがある。
堀町長は「南海トラフ巨大地震などが懸念される中、大変ありがたい」。野上町長も「最も自治体規模が小さく、職員数も少ないため、災害時の支援はありがたい」。首都直下地震などの影響が懸念される千葉県勝浦市の照川市長も賛同した。
会議では、引き続き青少年・文化・産業分野で相互に交流を図ることも再確認。那智勝浦町のロケット発射や生マグロ、勝浦町の恐竜化石やビッグひな祭り、「110年以上猛暑日知らずの町」として近年知名度を高めている勝浦市の魅力を映像媒体で交換する案も出され、今後各市町に持ち帰って検討することとした。
(2024年10月12日付紙面より)

城南中で2色のリボン制作 (新宮市 )
11月の児童虐待防止月間に合わせて、新宮市立城南中学校(吉田元紀校長)の育友会人権部(伊藤光嗣部長)は9日、生徒に身に着けてもらうオレンジとエンジのリボン約300個を制作した。
人権意識が高い大人に成長してほしいと願い、2015年から「オレンジリボン運動」に賛同し、今年で10年目となる。
学校のイメージカラー「エンジ色」を用いた独自の「エンジリボン運動」は20年から開始。校訓を取り入れ「あらゆる差別と偏見をなくし、明るく・仲良く正しい社会(未来)をつくる運動」をテーマに掲げている。
リボンを通じて生徒が保護者の気持ちを受け取り、児童虐待防止などを学ぶ機会となっている。11月には、各学年の授業で学習していく予定。月間中、生徒らは制服にリボンを着けて登校する。
この日の作業には保護者と教職員約20人が参加。リボン用のテープをはさみで切り、輪にして接着剤で固定すると安全ピンを取り付けた。
1時間ほどかけて作業し、伊藤部長は「多忙な中、保護者の方々が制作に参加してくれ、感謝しています。生徒、一人一人のことを思いながら心を込めて作らせてもらった。差別や偏見など、あってはならないこと。リボンを目にし、改めて思いやりの心を忘れないでくれれば」と話していた。
(2024年10月11日付紙面より)


市野々・井関区に思い託す (那智勝浦町 )
2011年の紀伊半島大水害から13年が経過し、那智谷遺族会(岩渕三千生代表、会員25人)が解散の運びとなった。9日には那智勝浦町の井関倶楽部(集会所)で岩渕代表が、紀伊半島大水害記念公園の維持管理・運営資金を市野々区の太田博久区長と井関区の石井康夫区長に託した。
遺族会は、水害犠牲者の慰霊と地域の復興を目的に、水害翌年の12年1月に設立。毎年9月4日に、故人をしのんでキャンドルをともす追悼供養などの活動をしてきた。
当初の目標だった十三回忌が過ぎ、会員へのアンケートを踏まえ、今年9月4日の慰霊祭後の総会で解散を決定。9月中に能登半島地震被災地への義援金送付、建設業有志による記念公園清掃などを終え、公表に至った。
運営資金は「紀伊半島大水害 災害記録写真集」の収益や、会に寄せられた支援金を分配したもの。今後は両区が、記念公園の維持管理、毎月4日の月命日と18日の献花、町花火大会での追悼花火などを引き継ぐ。
岩渕代表は「両区がこれまでの活動と思いを受け継いでくれるということで、大変ありがたく思う。何年たとうと思いは同じで、死ぬまで背負っていくが、一つの節目と思う。キャンドルナイトや公園清掃などの活動は、自分が中心となってこれからも実施していく」と語る。
太田区長と石井区長は具体的な使途や管理の分担を岩渕代表と協議。水害当時の地域の様子を振り返りつつ「受け継いだ使命を、責任を持って果たしていく」と話していた。
(2024年10月11日付紙面より)


2号機の予定日時を発表 (スペースワン )
カイロスロケットを運用するスペースワン株式会社が9日午後3時、2号機の打ち上げ予定日時を12月14日(土)午前11時~11時20分ごろとすることを公表した。予備期間は15日(日)から27日(金)までと設定。変更や情報更新は都度同社ホームページ上で伝えるとしている。
このロケットは、串本町田原に射点がある射場「スペースポート紀伊」で運用中。3月13日に初号機を打ち上げたが、約5秒後に自律飛行安全システムにより飛行中断(=空中分解)し搭載した内閣衛星情報センターの短期打上型小型衛星(試験機)を軌道投入するには至らなかった。
以降、同社は8月25日に飛行中断の原因とその起因ならびに対策を報告し、併せて12月中の2号機打ち上げを目指す旨を明かし2カ月前に打ち上げ予定日時を発表するとしていた。その状況を受け、スペースポート紀伊周辺地域協議会は2号機についても公式見学場を設けるとし、現在その準備を進めている。2号機は民間発注の衛星5基を搭載し、軌道投入を目指す。同社の次の発表は、変更がなければ打ち上げ2日前となる見込み。
(2024年10月11日付紙面より)

三重ホンダヒートがスクール (熊野市 )
第22回くろしお剣道大会 (那智勝浦RC )
スーパーカーミーティングも (27日、新宮港緑地 )
多彩な団体が踊る「南紀海彩(かっさい)まつり」が27日(日)午前10時~午後5時、新宮市の新宮港緑地で開かれる。小雨決行。荒天時は会場をオークワ仲之町店周辺に変更する。
海彩まつりは2006年に開始。コロナ禍に伴う中断を経て昨年、4年ぶりに復活した。今年は県内外から46チームが集結し、よさこい、フラダンス、日本舞踊、書道パフォーマンスなどバラエティー豊かなステージを繰り広げる。
飲食や雑貨の「彩海てらす」をはじめ、地元銘菓の振る舞いや、さまざまな出店がある。エアー遊具やシャボン玉遊び、駄菓子くじ、風船プレゼントなどのアクティビティーも用意する。
主催する実行委員会の北道江利委員長は「昨年よりチームが増え、愛知県や三重県などから参加してくれます。スーパーカーミーティングと同時開催できることを楽しみにしています。いろんなイベントとコラボすることが夢だった。皆さんが楽しんでもらえる祭りにしたい。ぜひ、ご来場ください」と呼びかけている。
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外国製高級スポーツカーが集う「スーパーカー新宮ミーティング」も同時開催する。雨天中止。FM新宮放送局(床浦勝昭代表)と新宮スーパーカークラブ(岡﨑武人会長)が主催。
新宮や東京、大阪、京都、兵庫などからランボルギーニ、ポルシェ、マクラーレン、ロールスロイスなど約50台が集まる。
午前11時過ぎに中央通りを走行し、11時30分ごろ、会場の新宮港緑地に到着予定。正午から午後2時まで展示する。レースクイーン3人が参加し、写真撮影に応じる。会場には、新宮市に寄付する募金箱を設置する。
床浦代表は「踊りイベントとスーパーカーの華やかさが融合し、地域全体が盛り上がる特別な1日になります。一緒に盛り上げましょう」と話している。
両イベントの内容や岸本周平知事のメッセージなどを掲載したパンフレットも作製しており、詳しくはFM新宮放送局(電話0735・21・2350)まで問い合わせを。
(2024年10月10日付紙面より)

膨張式救命いかだ訓練など (那智勝浦町 )
那智勝浦町築地の勝浦市場で8日、船員の生存対策講習会が開かれた。船員災害防止協会主催で、町内での開講は約25年ぶり。地域の船員、船舶所有者、海事・漁業関係者ら約30人が参加し、遭難時に使用する膨張式救命いかだなどの取り扱い訓練に取り組んだ。
国土交通省の統計によると、船員の死傷災害・疾病発生率は年々減少しているが、近年は鈍化傾向。2022年には北海道で死者・行方不明者26人を出した知床遊覧船沈没事故も発生し、船員の高齢化が原因と考えられる事故も増えているという。
講習では、2017~21年に71人(一般船舶20、漁船37、その他14)の海中転落事故が発生し、6割超の47人が死亡・行方不明となっていることに言及。今年3月に発生したマグロ漁船の座礁事故の様子も紹介した。
実技では、船舶の放棄・待避が必要になった際に使用する「膨張式救命いかだ」を膨らませ、低体温症対策の「イマーションスーツ」を身に着けた船員役が乗り込んだ。信号紅炎や海面着色剤の投下実演もあった。
和歌山県水産試験場で調査船きのくにの機関長を務める鳥居英希さんは「これまでも習ったことはあるが、実際にやるのは久しぶり。観測機械の設置で沖まで行くため、安全には気を付けたい」。
同協会近畿支部勝浦地区支部の夏山晃一支部長は「海上を航行する船舶は、常に気象・海象の影響を受け、転落などの人命に関わる事故の可能性がある。知床の遊覧船のような事故が起きれば、一度に多くの人命と財産が失われる。講習を船員の安全対策に役立ててほしい」と話していた。
(2024年10月10日付紙面より)


串本西中がロケット教室で (串本町 )
串本町立串本西中学校(森田成一校長、生徒17人)が7日、モデルロケット教室に参加しロケットの打ち上げから着地までの挙動を一通り体験するなどした。
県宇宙教育研究会が同町内で中学校2校に協力を求めて3年来続けてきた実践研究を経て、本年度は町ロケット推進事業の位置付けで開くことになった同教室。串本西中は生徒の規模を鑑みて3年に1回、全学年で参加するとしている。
2年前に2年生が実践研究に協力した経緯があるが当時の生徒はすでに卒業しているため、今回は生徒全員が同教室初参加となる。この日は同研究会事務局長の藤木郁久さん(県立桐蔭高校教諭)が講師、藤木さんと同じ日本モデルロケット協会の指導講師ライセンスを持つ南紀串本観光協会の青木圭さんと県立串本古座高校CGS部ロケット班の部員5人や顧問が補佐を担当した藤木さんはカイロスロケットが飛ぶ原理を伝え、モデルロケットキット「アルファⅢ」の組み立てを指導。完成後は潮岬にある望楼の芝へ移動して全員が打ち上げて体験を得た。
カイロスロケットはその仕様上宇宙への片道飛行だが、有人飛行の場合は往復し地球に帰還するまでがミッションとなる。「アルファⅢ」のモデルは有人ロケット。その挙動を体験した串本西中の末本凛さん(2年)は「こういう単純なロケットでも飛ぶんだなと文明のすごさを感じた。12月にカイロスも見れたらと思うし、謎の多い宇宙への興味も湧いてきた」と気持ち高まるところを語った。
打ち上げ後は残りの活動時間が許す範囲でドローンの操縦体験も提供し、機体を制御する感覚も託すなどした。
(2024年10月10日付紙面より)


熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で迎春準備として、来年のえと「乙巳(きのとみ)」の色紙の制作作業が進んでいる。8日は九鬼宮司が白蛇に模様を描き「天下泰平(たいへい)」を揮毫(きごう)して仕上げた。色紙は揮毫(手描き)1000枚、印刷2800枚、ミニ2000枚を用意する。
揮毫色紙は、初日の出の中央でとぐろを巻く白蛇を描き「天下泰平」を書き添えている。社頭で12月15日(日)以降に新春特別祈とう(5000円から)を申し込んだ参拝者に、先着順で授与する。制作は8月下旬から始め現在、200枚強を完成させている。
印刷色紙は、同大社の春の例大祭をイメージしたサクラの中央で、先に進もうとする金色の蛇が描かれ、「新たな出発」の文字が書き添えられている。新たなスタートを切る年となることを祈念した図柄とした。ミニ色紙は、図柄は揮毫色紙と同じで、文字が「弥栄(いやさか)」となる。ともに12月1日(日)から授与所で、2000円と1000円で販売する。
印刷色紙・ミニ色紙は送料別途で郵送も受け付ける。問い合わせは同大社(電話0735・42・0009)まで。3種類全ての色紙において裏面に切り込み加工を施し、自立させて飾ることも可能となっている。
九鬼宮司は、蛇は脱皮を繰り返して成長を遂げることから巳年は「復活と再生」の年といわれており、蘇(よみがえ)りの地である熊野本宮大社の在り方と重なると説明。「今までを脱して新たな自分を探す年にしてほしいとの願いを込めた」と語った。
頻発する災害にも言及。「平穏で何事も起こらない年であってほしいと天下泰平を選んだ」と伝えた。
(2024年10月9日付紙面より)


潮岬でNASAハッカソン (串本町 )
米航空宇宙局(NASA)の公開データを活用するアイデアを短期集中で形にするハッカソン「NASA Space Apps ChallengeKUSHIMOTO」が5、6日の2日間にわたって串本町内であり、桐蔭高校科学部チームが最優秀賞、地元の串本古座高校CGS部ロケット班など3チームが審査員特別賞を獲得した。
このハッカソンは、NASAが毎年複数のミッション(テーマ)を発表し世界規模で挑戦を呼びかけている競技会の一つ。2019年から実行委員会主催で、民間ロケット射場「スペースポート紀伊」設置の機運に乗って県立潮岬青少年の家を会場にし開かれている。
本年度は県内外の中高生~社会人8組が参加。満田成紀実行委員長(和歌山大学学長補佐)による激励、東京科学大学地球生命研究所の関根康人さんによる基調講演「地球外生命の探し方」を受けて気持ちを高め、丸1日の短期集中で挑戦するミッションを決め活用のアイデアや形にするソフトウエアの開発に取り組んだ。
関根さんは同研究所が演題に掲げた内容を探究する上で何を情報として捉えて前提にし、どのように究明の筋道を組み上げて取り組もうとしているかを紹介。8組はその発想に刺激を得てそれぞれの取り組みを進め、2日目終盤に発表した。その内容を▽藤木郁久さん(県宇宙教育研究会事務局長)▽重藤和明さん(一般財団法人雑賀技術研究所理事)▽坂本直弥さん(株式会社古座MORI代表取締役)―が審査し、入賞4組を決めた。審査員特別賞は串本古座高校CGS部ロケット班のほかスペスク、木星3号の各チームが選ばれた。
桐蔭高校科学部チームのアイデア「STAR LINER」はミッション「Exosky!」を選択して構築。地球から全天88星座や失われた星座を眺めさらに他の恒星系からの視点でも星空を眺めて自分なりの星座を作り評価する仕掛けで主に小学生低~中学年層の宇宙への興味を引き出す内容で、最優秀賞に選ばれたことでこのハッカソンからNASAの本選へ応募されることとなった。リーダーの寺田侑史さん(2年)は3年続けての参加だそうで「(この挑戦は)こんな空気かなと分かってきている分、もちろん大変ではあったけれど4人で和気あいあいと頑張れた。2日間の努力が報われたようでうれしい」と結果を喜び、本選でもいい結果に結び付けばと期待した。
同実行委員会の中西豊事務局長(同研究所公益事業推進室)によると、次年度もこの会場でこのハッカソンを実施予定。引き続きの挑戦を8組に呼びかけて締めくくった。今回の様子は、ユーチューブチャンネル「KUSHIMOTO Space Apps Challenge」内で視聴できる。
(2024年10月9日付紙面より)


江戸千家宗家が献茶式 (熊野那智大社 )
新宮生まれの茶人・川上不白(1719~1807年)を流祖とする江戸千家宗家蓮華菴による献茶式が6日、那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で営まれた。川上閑雪(かんせつ)家元が流祖をしのび、濃茶と薄茶の2わんを神前に奉じた。
不白は紀伊新宮藩水野家に仕える藩士の次男として生まれ、表千家七代如心斎に師事。32歳で江戸に出て千家流茶道を広め、皇族や大名、旗本から町人まで指導した。生涯龍神を信仰し、背景には故郷熊野の「那智の滝」への崇敬があったとされている。没後200年に当たる2007年の翌年より毎年奉納を続け、今年で17回目を迎える。
礼殿に関係者らが参列し、厳かな雰囲気の下で神事を営んだ。記念茶会もあり、江戸千家宗家蓮華菴による拝服席、表千家くまの清和会による副席、境内珍重庵による点心席が催された。
男成宮司は世界遺産登録20周年に寄せ「コロナ禍中も変わらずご奉仕いただき、感謝している。世界に誇る伝統文化を守っていくという覚悟をお見せいただいた」。川上家元は「平穏を祈り、無心で茶を供えた。変わらず献茶させていただき、ありがたいことと思う」と話していた。
(2024年10月9日付紙面より)

那智勝浦町の下里こども園ホールで5、6の両日、古き良き時代の「教育と文化の町 下里」を振り返る資料写真展「下里アーカイブス~懐かしい故郷 下里のいろいろ~」が開かれた。近代日本の詩人・作家として活躍した佐藤春夫の父・豊太郎の生家である「懸泉堂」関連の資料が展示され、地域内外から多くの人々が訪れた。「懸泉堂」が那智勝浦町に寄贈され、今後の活用が期待されていることにちなみ、5日には、新宮市立佐藤春夫記念館の辻本雄一館長による講演があった。下里の町並みを守る会主催。
懸泉堂は山側に滝が落ちていたことから名付けられたとされ、代々医家と家塾を営んでいた。塾則には「貴賤(きせん)貧富親疎之差別を論ぜず」と掲げられ、高い教育がなされていた。
講演には約50人が参加。辻本館長は近年発見された懸泉堂前での家族写真や書簡の研究成果に言及。春夫と千代夫人が結婚してまもなく、春夫が倒れ、1930(昭和5)年末から半年ほど下里で静養したことを述べ「谷崎潤一郎との『細君譲渡事件』でセンセーショナルに報じられた後だったが、当時の手紙から、下里の人々から温かく迎えられたことが分かってきた」と語った。
春夫作詞の下里小学校校歌から「学ぶべきもの書(ふみ)のみか まなこをあげて山にとえ 耳かたむけて波に聞け」を引用し「豊太郎は俳人で、春夫が小学生の頃から初蛙(かわず)を聞きに行こうと連れだし、自然、環境教育をしていた。だからこそ、熊野の地の自然から学べと歌っている」と強調。「少しでも興味を持っていただき、資料の充実・保存につなげてほしい」と訴えた。
6日には下里祭典部による獅子舞と天狗(てんぐ)披露もあり、会場が華やいだ。
(2024年10月8日付紙面より)


しあわせフェアー初開催 (太地町 )
「福祉の和をひろげよう」をテーマにした「しあわせフェアーin太地」が5日、初めて太地町多目的センターで開かれた。飲食ブースやダンス・演奏ステージがあり、多くの来場者がイベントを楽しむとともに、交流を深めた。
新宮市のワークランド「そら」、第二なぎの木園、那智勝浦町の南紀ひまわり作業所、串本町のエコ工房四季で組織するしあわせフェアー実行委員会(橋上慶一実行委員長)が主催した。
コロナ禍も5類移行で一段落する中、新宮・東牟婁の福祉施設が集まり、地域に還元したいとの思いで企画した。
センター前にはコロッケや焼き鳥、イカ焼き、焼き菓子や雑貨、メダカすくいなど、福祉施設や当事者グループらが出店。地元ダンスチームの子どもたちのステージや、笑音風、コスモス、ハリケーンによるバンド演奏があり、会場全体を巻き込んで盛り上がった。
橋上実行委員長は「多様性の社会。小さなお子さんから高齢者、障害のある人、ジェンダーにかかわらず、いろいろな人々で共生社会をつくっていきたい」と話していた。
(2024年10月8日付紙面より)


中山杯・物故者追悼ソフトテニス大会
紀南テニス協会ダブルス大会
北道院拳法和歌山支部
新宮ジュニアレスリングクラブ
世界遺産登録20周年記念 (熊野那智大社 )
「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年を記念した新作能「神武」の奉納公演が4日、那智勝浦町の熊野那智大社で行われた。シテ方宝生流・辰巳満次郎氏(重要無形文化財総合指定保持)が演出・主演する神武御東征の物語で、300人が幽玄の世界に浸った。
「神武」は、神武天皇即位の日である建国記念の日(2月11日)のために作られ、2022年に明治神宮会館の「建国記念の日奉祝中央式典」で初演。橿原神宮(奈良県)や宮崎神宮(宮崎県)で奉納されてきた。那智の滝の滝本で公演予定だったが、雨天により本社礼殿で執り行った。
熊野修験の山伏によるほら貝が鳴り響く中、烏帽(うぼう)を身に着けた神職がかがり火に点火。導入部として辰巳和磨氏が現代語による能物語を朗読し、能の幕が開いた。
武士の世が終わる頃、熊野詣での途中で迷った旅人の前に1人の宮人が現れ、かつてカムヤマトイワレビコ(後の神武天皇)もこの地で迷ったと語る。続いて八咫烏(やたがらす)が現れ、旅人を那智の滝まで導く。滝を拝して涙を流す旅人の前に現れた神武の霊神が、苦難を乗り越え初代天皇として即位するまでの道のりを語り舞い「お前の悩みを含む世の中の全ての苦難は神が与えたもうたもの。すなわち清めであることを知れ。己の生きる意味を知れ」と諭して天空に消えた。
男成洋三宮司は「神様の堪能の雨と思う。神武天皇が熊野に上陸し、紀伊山地を越えて大和の国・橿原にご東征されるわが国の建国神話。那智の滝で演じられるのは誠にふさわしく、意義あること」と語った。
(2024年10月6日付紙面より)


県内商工会議所女性会
県内商工会議所女性会の事業推進会議および体験講習会・講演会が4日、熊野速玉大社などであった。新宮商工会議所女性会(下地雅子会長)の約20人のほか、和歌山市、橋本市、海南市、有田市、田辺市から約20人が参加、交流を深めた。
若手後継者等育成事業として実施した。当日は雨天だったが、始めに瀞峡めぐり川舟クルーズを体験。続いて同大社で、事業推進会議、さんま寿司(ずし)作り体験、講演会を実施した。
さんま寿司作り体験は、徐福寿司の店主の里中陽互さんが講師を務めた。当地方でさんま寿司が生まれた背景として「(南下してきて)ここらで(取って)食べるサンマは脂が抜けて、一手間かけないとおいしくない。そこでさんま寿司や丸干しができた」と明かした。
サンマの調理には腹開きと背開きがあることを紹介。「この辺りは背開き。腹開きなら腹骨を取るのは簡単だが、おいしいところを取ってはもったいないということで背開きにしている」と話した。
この後、腹骨を取る体験を実施。里中さんが指導し、新宮以外の女性会の参加者が挑戦した。あまり一般的に行う作業ではなく、参加者は里中さんに手ほどきを受けながら、懸命に作業していた。
里中さんは「さんま寿司は地元の食文化であり、大事にしていかないと。これからも頑張っておいしいさんま寿司を作っていきたい」と結んだ。
なお、続く講演会では上野顯宮司が「熊野速玉大社の御由緒」を演題に講演した。同日夜は同大社での「光の演出」もあり、参加者は見学して楽しんだ。
(2024年10月6日付紙面より)

熊野速玉大社で光の演出
新宮市の世界遺産登録20周年記念事業「世界遺産 熊野速玉大社光の演出」が4日、同大社の境内で始まった。6日(日)まで、午後6時30分ごろから同9時に実施する。初日は神門でプロジェクションマッピングを行ったほか、参道や社殿などをライトアップし、幻想的な姿に一変させた。
新宮市観光地魅力アップ協議会の主催。光の演出は7月に計4回開催したが、今回はバージョンアップ。同大社全域での大規模なライトアップおよびプロジェクションマッピングは初となった。
参道脇の木々は色鮮やかにライトアップ。神宝館横の芝生にも色とりどりの球状の光源が無数に置かれていた。手水鉢には花を敷き詰めて光で演出。神門ではプロジェクションマッピングを投影した。社殿はライトアップに加えてスモーク演出も行った。
4日は雨天だったが、神門前にはプロジェクションマッピングを見ようと多くの人が集まり、傘を差して眺めていた。境内各所では、家族や友人と写真撮影を楽しむ姿が見られた。
(2024年10月6日付紙面より)

統合校名を県教委が発表 (定時制の昼間部を新設 )
2026年度の統合を予定している、和歌山県立の新宮高校と新翔高校の統合校名が「和歌山県立新宮高等学校」に正式決定した。県教育委員会が4日に発表した。定時制課程で普通科の昼間部を新設することも決まった。
校名については6月に候補を募り、地域住民や両校の生徒、進学予定の中学生と保護者、卒業生などが応募。総数2565件の約94%が「新宮高校」だった。これを伝えられた県教委が「地域の声や思いを反映した校名である」と認め決定した。また新宮高校となった場合は現在の校歌を引き継ぐ方針も決まっていた。
統合後は「全日制課程」として学彩探究科、普通科、総合学科、「定時制課程」として普通科(昼間部)と普通科(夜間部)、「通信制課程」として普通科に再編整備されることも決まった。両校が県教委に提出した再編整備案では、総合学科の自立支援系でやろうとしていた教育内容を定時制課程の普通科(昼間部)で展開することになった。
校舎名として、現在の新宮高校を「新宮校舎」、新翔高校を「新翔校舎」とすることも正式決定となった。新宮校舎に全日制の学彩探究科、普通科、総合学科1年、定時制の普通科(夜間部)、通信制の普通科。新翔校舎に全日制の総合学科2、3年と定時制の普通科(昼間部)を設置する。
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■再編整備の説明会も
県教委の主催による再編整備の説明会の実施も発表した。第1回は20日(日)午後2時から午後4時まで新宮高校で、第2回は23日(水)午後6時から午後8時まで新翔高校で行う。内容は▽校名について▽校舎名・校舎活用について▽設置する課程・学科について▽課程・学科の内容について(両校からの説明)▽質疑応答―となっている。問い合わせは、和歌山県教育庁学校教育局県立学校教育課(電話073・441・3681)まで。
(2024年10月5日付紙面より)


5年生が運動会に向け綾踊り練習 (三輪崎小 )
新宮市立三輪崎小学校(竹本明央校長)で3日、地元三輪崎の伝統的な「綾踊(あやおど)り」の練習があった。三輪崎郷土芸能保存会の濱口仁史会長をはじめ会員10人が指導。5年生75人が、26日(土)の運動会で披露する踊りの動きを確認し、元気な「ヨイハ」の掛け声を響かせた。
綾踊りは竹製で両端に房が付いている銛(もり)を模した「綾棒」で鯨を突く動きを繰り返す踊り。扇子を持って鯨を追い込む場面を再現した「殿中(でんちゅう)踊り」と並び、「鯨踊り」として和歌山県の無形民俗文化財に指定されている。同校では毎年、5年生が運動会で綾踊りを披露している。
児童は9月18日に事前学習し、濱口会長らから踊りの歴史や、法被の由来などを学んだ。練習は今回2回目で、17日(木)に最後の調整に臨む。運動会当日は、保存会も太鼓やお囃子(はやし)で参加する。
この日は前回の復習をした後、4グループに分かれて会員の指導を受けながら練習。成果を確認した濱口会長は「周囲の人を見ながら、動きをそろえるのが重要。綾棒や腕を真っすぐ伸ばすことに意識して」などと呼びかけた。
牧煌翔君は「少し動きが難しいけど、練習を重ねるうちに成果は出ている。本番までにしっかり覚えて、完璧に踊れるようになりたい」と意気込みを語った。
濱口会長は「動作が素晴らしく、掛け声も大きい。覚えようという意欲に感心している。運動会では失敗を恐れず、自信を持って力いっぱい踊ってもらえれば」と話していた。
(2024年10月5日付紙面より)


築地の津波避難施設建設 (那智勝浦町 )
那智勝浦町のにぎわい市場前に建設中の「築地地区津波避難施設」で1日から、基礎くいの設置工事が始まった。オーガスクリューで支持層となる岩盤まで掘削し、孔内に長さ約40㍍、直径60㌢の鉄筋コンクリート製のPCくい11本を建て込む計画。3日には現場に巨大な掘削装置が設置された。
和歌山県の「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」に基づき、築地地区の津波避難困難地域を解消する事業。周辺住民や勝浦港を訪れる観光客の避難を想定し、高さ約20㍍、収容人数400人規模のタワーとなる。
防災施設ではあるが、平常時も観光客向けに開放し、勝浦湾の眺望などを楽しむ場所として活用する計画。今年6月に着工し、完成は来年秋ごろ。総工費は2カ年で4億4110万円を見込む。
基礎くい設置は最も大がかりな工事で、Smart―MAGNUM工法を用いる。工期は機材解体・搬出も含めて14日(月・祝)までの約2週間の予定。町は周辺地域への振動や騒音の可能性もあるとし、理解を呼びかけている。
町によるとタワー建設は町内7カ所目で、東海・東南海・南海の3連動地震を想定したハード整備は本施設で一段落。用地確保などに時間を要したものの、一目で避難場所と分かる施設が完成することで、来町者らの安心・安全を図っていくという。
(2024年10月5日付紙面より)


なちかつグラウンドゴルフ大会
5年ぶりの黒潮杯ソフトテニス大会
耳が聞こえにくい来庁者に (新宮市・那智勝浦町 )
新宮市と那智勝浦町で、耳が聞こえにくい来庁者らとのやりとりを円滑にしようと「軟骨伝導イヤホン」が導入された。団塊の世代が後期高齢(75歳)を迎える2025年を目前に、議会などで導入に向けた議論があり、既に窓口に設置されている。
国立長寿医療研究センターによると、難聴有病率(軽度難聴以上の難聴がある人の割合)は65歳以上で急増し、70歳代前半では男性の約5割、女性の約4割、70歳代後半では男女とも約7割、80歳代では男性の約8割、女性の約7割に軽度難聴以上の難聴がみられる。一方、さまざまな理由で補聴器をつけることをためらう人も多いという。
軟骨伝導イヤホンは、小さな球状のイヤホンが耳の入り口に触れると、耳の穴(外耳道)を取り巻く軟骨組織に振動を与え、音が聞こえる仕組み。耳をふさがないので外部の音も聞こえ、逆にイヤホンの音はほぼ漏れないなどのメリットがある。聴力が低下している来庁者に、大きな声を出さなくても音声をクリアに伝えることができ、相談内容のプライバシー保護にも役立つと期待されている。
新宮市では市役所1階窓口と別館の高齢者総合相談窓口に各1台を導入。窓口職員は「少し耳が聞こえづらい方に使ってみないか提案し、『聞こえる』と反響を頂いたことも」と語る。那智勝浦町では役場1階の福祉課窓口に1台を設置した他、介護認定調査で高齢者宅へ訪問する調査員用にも1台を購入し、今後活用を図っていくという。
(2024年10月4日付紙面より)


大泰寺で星空観察会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町下和田の大泰寺(西山十海住職)で9月29日夜、星空観察会があった。寺周辺で天の川を眺める予定だったが、雨のため本堂で星空ガイドの角田夏樹さん(38)が星空解説をした。子どもから「一番でっかい星は?」との質問があり「オレンジ色の星が大きい。宇宙では無限にでっかい星があるよ」と答えた。
西山住職が知人の角田さんに依頼して初開催した。角田さんはニュージーランドで4年間、星空ガイドをし、帰国後は和歌山大学で観光を学んだ。現在は、みなべ町で星空ツアーを企画する「STAR FOREST」を運営している。
本堂にプロジェクターを設置。「天の川」をテーマに角田さんは「さそり座といて(射手)座が天の川で星が密集している部分。正体は2000億個の星の集まりで、一粒一粒が輝いている」と話し、見つけるポイントを紹介した。
スライドの星空を動かし「星は季節や時間によって動き、時間とともに西の空に沈んでいく」と説明。「北斗七星は夏が終わると北の空に沈み、秋が深まると夜空に出てこなくなる。北斗七星の上から2番目のミザールの近くにある暗い星アルコルは昔、視力検査代わりにしていたといわれている」と解説し「見えるかチャレンジを」と呼びかけた。
「若い星は温度が高く、青白っぽく光る。オレンジの星は温度が下がり、寿命が後半になると大きくなる。どんな星も同じ運命をたどる」。
星の寿命は100億年ほどあり、人間とは時間軸が違うとし「織り姫とひこ星は1年に1回会うとされるが、私たちの感覚では0・3秒。実は常に会っている」と明かした。
「どの国でも真北を指しているのが北極星。昔、熊野古道を歩いた人たちも北極星を頼りに旅をしていた」などと語り、小説「銀河鉄道の夜」と星空の関係、世界で見える星なども紹介した。
(2024年10月4日付紙面より)

新宮市市制施行記念日である1日、市政功労者表彰式が市役所別館で行われた。社会福祉や消防水防、保健衛生、教育文化などの功労者11人(代理を含む)が、表彰と祝福を受けた。
田岡実千年市長が1人ずつ、表彰状を手渡した。田岡市長はあいさつで「多年にわたり各分野で献身的な活動を頂き、地域社会の発展と住民福祉の向上、市の発展への貢献にお礼申し上げます」と謝辞。「今後も知恵と経験を貸していただきますようお願いします」と呼びかけた。
来賓として、三栗章史・新宮市議会議長と濱口太史・県議会議員が祝辞。「今後、皆さんの知見と経験はますます重要になる。市議会も皆さんの意見を取り入れ、市政の発展に尽力したい。変わらない支援と協力を」。「行政が行き届かないところを補われているのが皆さん。市の発展には、今後も皆さんの活動が必要になる。引き続きご尽力をお願いします」などと語った。
同表彰は同記念日に伴い、1977年度から始まった。表彰件数は本年度を含み、個人1032人と102団体となっている。なお、この日で旧新宮市が市制を施行して91年、旧熊野川町が町制を施行して68年、旧新宮市と旧熊野川町が合併して19年目を迎える。
(2024年10月4日付紙面より)

姉妹都市50周年式典に向けサ市へ (新宮市 )
新宮市の姉妹都市、米サンタクルーズ市(サ市)で5日に開催される姉妹都市提携50周年記念式典に出席するため、田岡実千年市長や新宮市姉妹都市親善協会の岩澤卓会長らが2日、JR新宮駅を出発した。
訪問団は15人。式典出席のほか、サ市長との面会、カリフォルニア大学サンタクルーズ校、ファーマーズマーケット、インターネットプロバイダー企業への訪問も予定している。8日(火)に帰国する。
両市は1974年に姉妹都市提携を締結。訪問団の相互派遣などを通して友好関係を築いてきた。コロナ禍を経て今春、2019年4月以来、5年ぶりにサ市から中高生らが訪問した。
新宮市からは夏に高校生9人が訪問。サ市で約2週間ホストファミリーの元に滞在し、現地のカリフォルニア大学サンタクルーズ校や企業などを訪れた。
今回、田岡市長の訪問は40周年記念式典以来、10年ぶり。「毎年のように中高生がサンタクルーズでホームステイし、異国の生活、文化といった貴重な体験をさせていただいている。姉妹都市ならではの交流で、感謝の気持ちをもって式典に出席し、さらに絆を深めたい。今後の交流を通じて観光振興につながれば」と話していた。
新宮市姉妹都市親善協会は1978年に設立し、さまざまな交流事業を続けてきた。岩澤会長(72)は「これまで10回以上サンタクルーズを訪問した。コロナ禍はオンラインで交流し、今回は5年ぶりとなる。次の50年に向けて、互いの長所や文化の違いを交換しながら交流を図りたい」と語った。
(2024年10月3日付紙面より)

専門アドバイザーがサポート (紀宝町が締結 )
紀宝町は1日、空き家活用株式会社(和田貴充・代表取締役CEO)と空き家対策に関する事業連携協定を締結した。11月1日(金)に、無料の空き家相談窓口「町アキカツカウンター」を開設することなどを決めた。
アキカツカウンターは、空き家の所有者、相続者が相談しやすい環境をつくり、未流通の空き家を掘り起こすことで、中古住宅市場の活性化を図るとともに、空き家の解消や発生が抑制される仕組みの構築を促進することが狙い。
空き家であれば地域、状態、課題を選ばず、どんな物件でも相談が可能。所有者、利活用者、事業者が無料で登録できる。専門アドバイザーが中立の立場でサポートする。
ウェブや電話での問い合わせを受け付ける予定で、内容などは今後、町のホームページなどで紹介する。詳しくは役場企画調整課(電話0735・33・0334)まで。
締結式は役場小会議室であり、西田健町長と和田CEOが協定書に調印。西田町長は「空き家の利活用が推進されることで、住民定住の促進にもつながり、地域の活性化が図られることに期待したい」と述べた。
和田CEOは「空き家対策は町づくりにつながる。地域の空き家所有者の相談窓口を設置し、紀宝町と地域の方々が主役となるようサポートしたい」と話した。全国11自治体にカウンターを設置し、紀宝町は三重県内で初となる。
町では、2015年度から空き家を有効活用し、移住定住を図るため、空き家バンク制度などを推進してきた。22年度には「町空家等対策計画」を策定。昨年度は地域おこし協力隊が中心となり、町内全域の5064件で空き家調査した結果、725件(14・32%)が空き家と思われる状況と分かった。
現在、空き家所有者にアンケートを行っており、活用状況を把握した上で、空き家問題解決に取り組んでいくという。
(2024年10月3日付紙面より)

きのくに野外博物館イベント (那智勝浦町 )
自然は学びの宝庫。那智勝浦町の宇久井半島で9月29日、和歌山県立自然博物館によるきのくに野外博物館イベントがあり、近畿圏各地から参加した親子ら約30人が、森に生育する多種多様なキノコを観察して楽しんだ。
自然博物館学芸員の川上新一さん、木の子クラブ和歌山の山東英幸さんを講師に迎えた。キノコの専門家である山東さんは、キノコがカビの仲間であることや、大きく子嚢(しのう)菌と担子菌の2種類があることなどを解説した。
駒崎灯台への遊歩道では数㍉ほどのビョウタケや漢方薬にもなる大型のマンネンタケ(霊芝〈れいし〉)などが顔をのぞかせており、参加者たちが観察しつつ採取。環境省宇久井ビジターセンターに持ち帰り、同定作業をした。
中にはまだ名前が付いていないキノコもあり、山東さんは「学会発表すれば『新種』とされる可能性が高いが、そのためには世界中の先行研究を調べる必要がある。若い人たちの頑張りに期待したい」。川上さんも「特にベニタケ類は分類が難しく、これからもどんどん新種が見つかっていくと思う。興味を持つきっかけになれば。ただし、食べる時は自分だけで判断せず、専門家に相談を」と呼びかけた。
田辺市から参加した沖見亞音さん(10)は「アンズタケやコテングダケモドキを見つけた。名前を知らないキノコばかりで、面白かった」と話していた。
(2024年10月3日付紙面より)



健康フェスタを初開催 (那智勝浦町 )
那智勝浦町は9月29日、体育文化会館アリーナで「なちかつ健康フェスタ2024」を初開催した。家族連れ約250人が来場。野菜摂取レベルが分かる「ベジチェック」測定会の他、ニュースポーツ体験や運動教室、コミュニケーションビンゴ、骨密度測定など盛りだくさんの内容で、健康長寿への意識を高めた。
9月の「健康増進月間」に合わせたイベント。▽栄養▽運動▽健康管理▽こころの健康―に重点を置く「町健康増進計画」に基づき、普段あまり健康を気にかけていない層にも、気軽に参加して健康意識を高めてもらうことが目的。多世代の交流拠点として整備が進む体育文化会館の利活用を進める狙いもある。
「ベジチェック」は手のひらを当てるだけで普段の推定野菜摂取量が分かる機器で、目標は7以上。野菜不足となりがちな現代だが、好数値を出す人もおり、70代夫婦は「夫婦で9~10の値だった。普段からたくさん野菜を食べており、血圧の一番弱い薬は飲んでいるけれど、それ以外には不調もない」と笑顔。野菜不足の人には、朝食にサラダや野菜スープを取り入れるなどのアドバイスや簡単なレシピを添えた。
親子3世代で参加した寺前結登君(9)は「運動やゲームをした。野菜は好きだけれど、好きなのがキャベツとかキュウリみたいな淡色野菜で、ベジチェックの数値は4。健康のためにたくさん運動したい」。祖母の米地光恵さん(68)は「普段から町の運動教室にも参加している。久しぶりに会う方もいて、とても楽しめた」と話していた。
前日の28日にはJAみくまのの協力の下、Aコープなち店入り口で「健康測定イベント」も開催。各種測定に加え、野菜サラダや野菜スムージー、まりひめイチゴのスムージー、焼き芋、スイートポテトの振る舞いもあり、朝から大勢の町民でにぎわっていた。
(2024年10月2日付紙面より)


秋晴れの下で体育祭 (新翔高校 )
和歌山県立新翔高校(宮井貴浩校長)で1日、第18回体育祭があった。秋晴れの下、全校生徒264人が縦割りの3ブロックで優勝を目指して各競技に臨んだ。
今年は「勝敗笑美戦(かっぱえびせん)~次の時代へ新翔体育祭~」をテーマに掲げた。当初は9月27日に行われる予定だったが、雨天のため延期となっていた。
開催に当たり、宮井校長が「クラスや学年、学校の絆を感じられるような、思い出に残る体育祭になることを願っています」とあいさつ。実行委員長の内田小晴さんは「ブロックごとに精いっぱい力を出し切って競い、最後まで協力して頑張りましょう」と呼びかけた。
大山文惺さん、玉置優羽さん、名古小春さんの各ブロック長が「日頃から支えてくれている先生や保護者の方々、学校で出会ったかけがえのない友達に感謝の気持ちを込め、正々堂々と競技に挑むことを誓います」と力強く宣誓し、競技が始まった。
生徒たちはリレーや大縄跳び、綱引き、ムカデ競走などで熱戦。観戦していた生徒たちは応援の声を張り上げ、訪れた保護者らも大きな拍手を送っていた。
(2024年10月2日付紙面より)

御船祭の実施に向け (熊野速玉大社 )
熊野速玉大社(上野顯宮司)で1日早朝、例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」の中で行われる御船祭(みふねまつり)の実施に向けた早船の蔵出しが、関係者により行われた。竹の「ころ」を敷いて倉庫から引き出し、傷みがないかを確認した。
例大祭は15日(火)の神馬(しんめ)渡御式と16日(水)の神輿(みこし)渡御式から成り、御船祭は神輿渡御式の一部として行われる。神輿から遷(うつ)した神霊の川渡御に際し、神霊が乗る神幸船(しんこうせん)を先導する形で、市内9地区の早船が熊野川を上り競漕(きょうそう)する。下りでも競われる。
蔵出しは御船祭の祭典委員や各地区の乗船者の手で行われた。並んで舷側をつかみ、ころの上を滑らせて倉庫から引っ張り出した。9艘(そう)の早船を屋外に運んで並べた。
御幸区でこぎ手を務める後岡賢さん(42)は「気持ちが引き締まる。ついにこの時が来たかと思う。御幸区は輪番区でコロナ禍もあり、5年ぶりの出場。感覚を思い出しながら(練習を)やっている。優勝したい」と話した。
御船祭は11日(金)に旗番抽選が行われ、勝敗の鍵にもなるスタート位置が決定。本番は16日の午後4時30分ごろ、丹鶴体育館裏の下札場からスタートする。約1・6㌔を遡上(そじょう)して御船島を3周し、相筋河原にある上札場までの順位を競う。下りは周回数が変わる。
なお、例大祭は2月の御燈祭(おとうまつ)りと合わせ、「新宮の速玉祭・御燈祭り」として2016年3月に、国の重要無形民俗文化財に指定されている。
(2024年10月2日付紙面より)

スポーツウエルネス吹矢 (那智勝浦町体育協会 )
那智勝浦町体協秋季ソフトバレー
東牟婁スポ少空手道交流大会
開通記念イベント大盛況 (新宮紀宝道路 )
新宮紀宝道路開通記念イベント(同実行委員会地域活性化部会主催)が9月29日、新宮木材協同
組合前道路や熊野川河口大橋上であった。木材並べはギネス世界記録を達成。二県交流綱引き大会は子どもの部、大人の部ともに和歌山県が勝利した。ステージ発表や飲食ブース出店もあり、大盛況で幕を閉じた。
同部会の野中亮伸部会長と古屋敷久副部会長が開会を宣言。「共に地域の活力となることを誓う」と声をそろえた。同実行委の田岡実千年委員長(=新宮市長)が「(同道路が)いよいよ年内に完成し、供用開始になる。命の道、地域活性化の道など、いろいろと価値がある道路。今日はイベントを楽しんで」とあいさつした。
木材並べは、橋上の600㍍間で和歌山県側と三重県側から、長さ4㍍、10・5㌢角の紀州材を端が密接した状態で並べていき、中央でつなげるもので、総勢約300人で挑んだ。木材には熊野古道の道中にある王子社や熊野三山の名称などが入ったプレートを置き「道がつながる」を表現した。参加者が雨天の中で協力して並べ、最後は新宮市と紀宝町の両市町長でつないだ。ギネスの公式認定員が確認した。
二県交流綱引き大会も橋上で実施した。子どもの部は各120人、大人の部は各200人が、長さ250㍍、直径6㌢の綱を引き、3回勝負で対戦。両部ともに和歌山、三重、和歌山の順で勝利した。
同組合前道路の会場にはステージが設けられ、ダンスや日本舞踊、吹奏楽などが披露された。お笑い芸人によるネタ発表もあり、会場を盛り上げた。ステージ脇には巨大モニターが設置され、橋上での木材並べや綱引きの様子を映し出した。多くの飲食ブースやキッチンカーが並んだ。多数が訪れ、飲食やステージを楽しんでいた。
(2024年10月1日付紙面より)


町民対象の内覧会を実施 (南紀月の瀬温泉ぼたん荘 )
古座川町月野瀬にある施設「南紀月の瀬温泉ぼたん荘」本館で9月27日、町民を対象にした内覧会があり237人(町発表)が改修・修繕後の状態を確かめるなどした。
この施設は1996年開設。本館、温泉館、いろり館、RVパークおよび駐車場などで構成され、宿泊、飲食、会合・集会、温泉浴場と多彩な機能を発揮する仕様を特色としている。
昨年4月からいったん運営を休止し、修繕と部屋割り変更の改修を開始。その設計を経て今年3月13日から8月30日までの期間で所要の工事を進めた。工事費は2億1131万円、うち1億9430万円は過疎対策事業債を充てていて70%が交付税措置されるという。
以前の部屋割りは和室(8畳)10室。町地域振興課によると、改修では1階宴会場を洋室4室(シングル3、ツイン1)とミーティングルーム、2階和室10室を洋室9室(シングル6、トリプル3)と和室4室(現状でベッド2基を設置)へと仕切り直した。全室にユニットバスまたはシャワー、各洋室にサイクルハンガー、1階トイレへオストメイトを新設し、車寄せ軒裏の改修も実施。修繕では館内のクロス張り替えや屋上防水工事などをした。別事業で温泉館への源泉供給設備の修繕も実施。他は従来の状態となっている。
今後は株式会社楽帆に施設運営を託すことが決まっていて、実運営はグループ会社の株式会社リゾートシェアが担う。同社は11月上旬~中旬ごろのオープンを目指して準備を進めているという。
内覧会序盤には大屋一成町長も駆け付け、内覧した町民の反応を聴取。改修・修繕完了の節目を受け「この改修は前任者からの引き継ぎで、元議員として若干遅れたかなと感じるが完成して良かった。今後は運営者が大いに生かしてくれることを期待するばかり。町は来年度、裏の用地の基本構想を策定する。着実に進めていきたい」と気持ち高まるところを語った。
(2024年10月1日付紙面より)


紀伊半島大水害記念公園で清掃 (那智勝浦町 )
那智勝浦町井関の紀伊半島大水害記念公園で9月28日、那智谷大水害遺族会の岩渕三千生代表と地元建設業有志ら23人が慰霊碑の清掃と周辺の草刈りに取り組んだ。
2011年に発生した紀伊半島大水害で、同時多発的な土石流による甚大な被害を受けた那智谷。例年、水害発生日の追悼供養や慰霊祭を前に清掃を実施してきたが、今年は台風などの影響で中止になっていた。有志らの申し出で、日を改めて実施した。
清掃に協力したのは▽㈱庵野組▽井筒建設㈱▽カミジ技建㈱▽大和建設㈱▽木原造林㈱▽岡山組▽㈱下山組▽下山建設工業㈲▽田中建設㈱▽中川建設㈲▽松岡組㈲▽㈱オカダ▽㈱関三吉商店―の13社。小雨が降る中、公園周辺の草刈りや慰霊碑周辺の落ち葉清掃の他、お参りする人に向けた看板の設置工事なども実施した。
岩渕代表は参加者らに「皆さんの協力があって実施できている」と感謝。水害から13年が経過する中「何年たっても気持ちは同じ。災害を忘れないよう、今後も取り組み続ける」と話していた。
(2024年10月1日付紙面より)

