近大出身・黒川なおさんが初の著書 (新宮市 )
新宮市出身のライター、黒川なお(旧姓・芝直子)さん(41)=神奈川県横浜市=による初の著書「ゼロからわかるITほんき入門+マンガ 生成AIのなかみ」(株式会社インプレス)が今月出版された。「AI(人工知能)ってなに?」と感じている人が無理なく理解できることを目指した実用書で、黒川さんは「AIの進化は止まらない。怖がらず、使いこなす方向へシフトして」と話している。
黒川さんは市立千穂小学校を卒業し、近畿大学附属新宮高校・中学校へ進学。授業を通して生物学の面白さに触れ、近大生物理工学部、横浜国立大大学院で学んだ。
2017年にフリーランスとして独立し、マネジメント、テクノロジー、教育、ライフスタイルと幅広く取材し、書籍や雑誌、ウェブマガジンなどで構成、執筆に携わっている。
11日に出版された著書は第1~6章で構成し、AIの概念、AIにできること、AIが仕事や暮らしにどう関わっていくかなどを紹介。スマートフォンやインターネットと同じように、生活に欠かせないツールの一つとして使いこなしていくことを提案している。
対話型AI「チャットGPT」などに「人並みに関心があった」ものの、IT分野に強いわけでなく、一度は断るつもりだったが「分からない人に向けて、分かりやすく書いてほしい」と打診され「それなら自分が書く意味があるかもしれない」と引き受けた。
近大新宮には19日、黒川さんが訪れて献本した。教え子を迎えた池上博基校長は「多くの卒業生がさまざまな分野で活躍しているが、社会をより良くしていこうという思いを土台にしながら頑張っている姿を見られるのはうれしい」と伝えた。
黒川さんは「マスメディアではネガティブな面が取り上げられがちだが、人の生活を良くするために生まれたもの。ざっくりとした仕組みを理解した上で、ポイントを押さえれば使いこなせる。人に寄り添ってくれるツール」と表現していた。
(2024年9月21日付紙面より)
串本町役場で活動報告会 (ことこらぼ×きのくに線 )
地域外の企業社員と地域の行政職員や大学生による協働プロジェクト「ことこらぼ×きのくに線」の2024年度活動報告会が19日、串本町役場本庁舎を会場にして開かれた。
このプロジェクトは、西日本旅客鉄道株式会社和歌山支社(富澤五月支社長)主催、日本能率協会マネジメントセンターと株式会社南紀白浜エアポートと国立大学法人和歌山大学が共催。JRきのくに線と沿線地域の共生をテーマにした越境学習プログラムとして前年度から年1期の頻度で開かれている。
本年度は「地域に暮らし人々から必要とされ愛される2030年のきのくに線の姿を描き、そのために現在から取り組める小さな一歩の提案や実践」を小テーマ、沿線の串本町・那智勝浦町・太地町をフィールドに設定して参加者を募集。16人が町別3チームに分かれ7~9月に3回のフィールドワーク、その間に週1回程度の頻度でオンラインミーティングも重ねて提案内容をまとめて活動報告会に臨んだ。
実施に当たり富澤支社長はこのプロジェクトの趣旨と提案実装の思いを掲げて報告に期待し「発表者の皆さまは思いを存分に伝えていただければ」とあいさつ。来賓の田嶋勝正・串本町長も「いかにきのくに線と地域をつないで持続可能な状態にするか」と視点を述べて期待した。
各チームが掲げた一歩のキーワードは▽串本町チーム「和(あ)える場」▽那智勝浦町チーム「中辺路ぷらすONE」▽太地町チーム「コネクト旅」で、串本は地域振興の熱意を紡いで事業を興す場づくり、那智勝浦は注目度が高い中辺路と絡めた大辺路ツアーの実践、太地は地域課題の打破にもつながる学術研究誘客と三者三様のアプローチを提案し、富澤支社長、同大学の西川一弘教授、南紀白浜エアポートの岡田信一郎代表取締役社長らコメンテーターの講評を受けた。
最後に同支社の芹川至史副支社長が総評し、これら一歩を進めるのは関わる人々の情熱だと発想を共有し本来の立場でも周囲に広げて生かすことを願って締めくくった。
この報告は最終提案の位置付けで、提案先は同支社や3町など。翌20日の結果発表で、報告内容の評価とともに各提案先の意向も伝えられた。
(2024年9月21日付紙面より)
漁業協同組合市場で (太地町 )
太地町漁業協同組合の市場で20日、初のニタリクジラの競りが行われた。試食会もあり、ベテランの仲買人らが「生のニタリクジラを目にするのは20~30年ぶりか。臭いイメージがあったが、くせもなく、甘くておいしい」「刺し身やユッケもいいが、ステーキで焼いてもやわらかくておいしいはず」と絶賛した。
第七勝丸(太地町漁協)と共同で操業する第五十一純友丸(外房捕鯨)が16日に釧路沖約40㌔で捕獲したもの。体長11・4㍍、体重14㌧。
漁協の貝良文専務理事(日本小型捕鯨協会長)は「基地式の小型捕鯨としては初の捕獲。ニタリクジラはミンククジラと比べて大きい種だが、今回体制が整った。少しだけくせはあるが、それがうま味でもある。初めて太地でも販売するため、ぜひ楽しんでほしい」と語る。
市場では赤身72㌔が落札され、周辺地域のスーパーなどへ出荷された。午前中には早くも太地漁協スーパーに新鮮な鯨肉が並んでいた。
(2024年9月21日付紙面より)
那智勝浦町の那智山青岸渡寺信徒会館で11月23日(土・祝)午後2時30分から、世界遺産登録20周年記念「西国第一番札所落語会―熊野三部作披露―」が開かれる。五代目桂文枝さん(1930~2005年)が残した創作落語「熊野詣」をはじめとする三つの落語を披露する。
熊野「落語を愛する会」(熊野家三九郎代表)主催。落語を通じ、熊野の持つ信仰の聖地としての特性を改めて広く知ってもらおうと企画。落語で熊野詣での参詣道中を描いた作品はまれだが、そのうち「熊野詣」、上方・江戸の両方に伝わる古典落語「三枚起請」、江戸落語の大ネタ「宗珉の那智の滝」(原題は「宗珉の滝」)を予定している。
18日に記者会見を開き、三九郎さん、那智山青岸渡寺の髙木亮英住職、堀順一郎町長、文枝さんの直弟子である桂坊枝さん、桂枝曾丸さんが思いを語った。
三九郎さんは、文枝さんに熊野地方を案内したことを振り返り「那智の滝を見つめ『熊野の神様が、私に落語を作れと言っている』とおっしゃっていた。命の残り火を燃やすがごとく、作ってくださった落語。その恩に報いたい」と語った。
髙木住職も「落語は寺の説法から始まったともいわれ、縁がある。文枝さんとは何度もざっくばらんにお話しさせていただき、『熊野詣』に西国第一番札所の御詠歌を入れてはと提案させていただいた」。堀町長も「那智の滝を望むロケーションでご披露いただける。地元の方にも改めて熊野の素晴らしさを知り、自信を持っていただける場に」と話した。坊枝さん、枝曾丸さんも熊野に魅了された師の思い出を語り、鋭意稽古を積んでいると力を込めた。
入場料は2000円。チケットは那智勝浦町の熊野カフェ、明慶家具工芸、熊野のめざめ、吾作、摩天楼、ミナミ写真館、ホンダCars南和歌山那智勝浦店、有限会社上松モータースと新宮市観光協会で取り扱っている。
(2024年9月20日付紙面より
北山社協と協定を締結 (新宮LC )
新宮ライオンズクラブ(新宮LC、田中肇会長)と北山村社会福祉協議会(山口賢二会長)の「災害におけるボランティア支援に関する協定書締結式」が17日、北山村高齢者生活福祉センターであった。田中会長と山口会長が協定書に押印し、災害時のボランティア後方支援の約束を交わした。
ライオンズクラブは全国的な運動として災害時支援の取り組みを進めており、新宮LCも同様の趣旨で昨年6月に、新宮市社会福祉協議会(濵前泰弘会長)と協定を締結している。今回は新宮LCとしては2例目、北山社協としては同様の協定は初めてとなる。
協定の内容は、ボランティアに向けた支援が迅速かつ効果的に行われるようにするもので▽ボランティアの移動に使用する車両などの手配や提供▽ボランティアセンターや活動支援拠点の設置・運営や資機材の提供▽ボランティアの飲食物の提供―などに取り組む。
新宮LCが北山社協の協力要請を受けての支援が基本だが、通信の途絶などが生じた場合は、自主的に支援を開始できるようになっている。
田中会長は「ボランティアの後方支援で協力していきたい。会員としていろいろな業種が集まっている。能力もさまざまなので、協力できると考えている。協定の締結でこちらも準備や行動がしやすくなる。地震や洪水など大災害を想定して準備していきたい」と話した。
山口会長は「(協定は)ありがたい話。いずれ災害は起こる。その際は後方支援をぜひともお願いしたい」と感謝を伝えた。
(2024年9月20日付紙面より)
大学設立準備財団が指導 (近大新宮の中高生有志 )
熊野地方への私立大学設立を目指す、一般財団法人立初創成大学設立準備財団(樋口祥子理事長)による国際情報分析「知の探究合宿」プログラムが15、16の両日、新宮市新宮のキナン研修センターであった。近畿大学附属新宮高校・中学校の生徒有志12人が参加。探究学習の手法を教わり、定めたテーマについて多角的に検証、真実に迫った。
同プログラムは、兵庫県の関西学院大学の關谷武司教授が高校生を対象とし、8年前からゼミで行っているもの。關谷教授は同財団の理事で、他のメンバーも教え子であることから、關谷教授の監修の下で同財団として行った。近大新宮の生徒がプログラムの存在を知り、關谷教授に実施を打診、実現した。
同財団の辻彩さんが、国際情報分析と探究学習について説明した。辻さんは「テレビや新聞の情報は本当?」と問いかけ。日本の情報のうのみ度は70・2%との調査結果を語り、むやみな信用の危険性を喚起した。
湾岸戦争の開戦に際して米国で、クウェートの少女がイラク侵攻による惨状を証言したが、広報会社の指導によるうその報告だったことに言及。広報会社が感情をたきつけ、軍事行動を支援するよう取り組んだことを明かした。「これが国際社会。世の中の全部を、へえ、そうなんだと言っていてはいけない。必要なのは情報の分析力」と強調した。
探究学習についての解説では「ある情報は、著者がある観点からある事象を見た時の影のようなものに過ぎない」とし、背景や利害関係も含めたあらゆる観点から分析し、別の情報からも同様の手法で調査することで、より真実に近づけることを伝えた。
この後、生徒らが探究学習を実践。4人ずつ3班に分かれ▽日本に輸入されている食料は子どもに食べさせたくない?▽地方の人口減少は仕事がないからって本当?▽地球温暖化説って本当?―のテーマの分析に挑んだ。生徒らは同財団のメンバーから指導や助言を受けて取り組み、最終的な発表に臨んだ。
高3の月輪覚嗣さんは「こんな見方もあるんだという、新しい視点がつくれて面白かった。分析では情報を疑う必要があるが、つい信じてしまうところもあり、葛藤があった。(学びは)今後に生かせそう」と話した。
(2024年9月20日付紙面より)
「中秋の名月」の17日、新宮市の正明保育園(山田みつの園長)でお団子クッキングがあった。4、5歳児24人が月見団子作りに挑戦し、給食のデザートで味わった。
伝統文化を知る取り組みとして毎年、この時期に開催。コロナ禍で中断した年もあったが、昨年から再開した。今回初めて白玉粉のみだった生地に絹ごし豆腐を加えた。
絵本で「十五夜」について学んだ後、クッキングを開始。保育士が白玉粉と絹ごし豆腐を混ぜ合わせ、出来上がった生地を小分けにして渡した。
園児たちは生地をちぎって、丁寧に丸めて形を整えた。団子を鍋でゆでて、白玉が浮いてくる様子を間近で見入っていた。鍋からすくい上げると「つるつるや」「きれいやな」などの声が響いた。
団子は氷水で冷やして完成。全員で仲良く頬張った。「丸めるのが大変だった」「大きさ(をそろえるの)が難しかった」と苦労した作業を振り返りつつ、全員が「楽しかった」と口をそろえ、満足げな表情を見せていた。
料理を通じて食への興味を持ってもらうことが目的。幼児のそしゃく力低下や誤飲事故の多発に配慮したもので、辻本幸子主任は「事故の恐れがあるからと取りやめるのは簡単だが、行事そのものの本質的な部分は伝えていきたい。こういう工夫で時代に合わせていかないと」と話していた。
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この日、新宮市内は晴天に恵まれ、夜には「中秋の名月」が夜空を照らした。
1年で月が最も美しく見えるとされ、大浜展望駐車場には、市民らが観賞に集まった。多くの人たちがスマートフォンを構え、明るい月を撮影していた。
(2024年9月19日付紙面より)
トルコ大使一行大島小へ (串本町 )
トルコ共和国のコルクット・ギュンゲン特命全権大使一行が17日、串本町立大島小学校(貴志純子校長、児童24人)を訪問し交流を重ねるなどした。
一行の内訳はギュンゲン大使、ダムラ・ギュミュシュカヤ総領事とその通訳の3人で、児童は前任のハサン・ムラット・メルジャン特命全権大使から贈られたトルコの民族衣装を着て出迎え、代表して児童会の岩谷百恵会長(6年)があいさつし全員でダンス「ダーマット・ハライ」を披露して歓迎した。
以降は質疑応答で交流し、トルコの学校の様子や日本語を話せるか、日本の好きな場所や食べ物、トルコのお勧め料理や有名なスポーツやアニメなどざっくばらんな児童の質問に時間が許す限り答え続けたギュンゲン大使は「これからも何だろうと思うことがあったら大人に聞いて学んでほしい」と励みを託してこの日の出会いを喜んだ。
一行は児童のトルコ学習の様子などを話題にして貴志校長と懇談し、普段の授業の様子も見学。5、6年生はギュンゲン大使やギュミュシュカヤ総領事に記念のサインをお願いして交流の印象をさらに強めつつ、貴志校長と一緒に送り出した。
稲田功君(6年)は「初めて大使に会えてうれしかった。僕たちがトルコ語を勉強しているように、大使も日本語を勉強しているところが特に印象に残った。教わったことを忘れずにこれからも頑張りたい」と訪問を受けて気持ち高まるところを語った。
(2024年9月19日付紙面より)
超極早生温州ミカン、小玉でも濃厚 (JA伊勢 )
熊野地方の露地栽培温州ミカンのトップを切って収穫される「味一号」のうち、基準を満たしたブランドミカンとして売り出される「みえの一番星」の出荷が17日、御浜町下市木のJA伊勢統一柑橘(かんきつ)選果場で始まった。今月下旬にかけて県内、愛知県を中心に岐阜県、大阪府などの市場に昨年並みの約900㌧を出荷する見込み。
三重県が開発した味一号は、極早生(ごくわせ)の主力品種、崎久保早生とサマーフレッシュを交配させた品種で、極早生より2週間ほど収穫が早く、果皮の色づきより先に果実が成熟するのが特徴。紀宝町から熊野市までの約400軒が栽培している。
味一号の中から外観の美しさや糖度、酸味の基準を満たしたミカンを「みえの一番星」として出荷。JA伊勢によると、今年は雨不足で小玉傾向だが、味は濃く仕上がっているという。
選果場では、従業員が傷や色合いを確認してミカンを選別し、センサーでサイズ別に分けられるなどして機械で箱詰めされていった。JA伊勢の担当者は「雨がほとんどなく、大きさは小さめだが、その分、味は濃厚」と話していた。
みえの一番星は市場を通して店頭に並ぶ。販売についての問い合わせはJA伊勢営農柑橘グループ(電話05979・2・4545)まで。
(2024年9月19日付紙面より)
神輿渡御や奉納行事 (三輪崎八幡神社例大祭 )
新宮市の三輪崎八幡神社(上野顯宮司)例大祭が15日、同神社と三輪崎漁港周辺で営まれた。悪天候の中、神輿(みこし)や山車が区内を練り歩き、奉納行事は多くの人でにぎわった。
漁労加護や五穀豊穣(ほうじょう)、商売繁盛など地域の繁栄を願い、現在の三輪崎漁港付近にあった元宮に神様が年に1度里帰りする伝統の祭り。昨年、4年ぶりに通常斎行された。
本殿大前ノ儀は中村武・氏子総代会長をはじめ祭り関係者約30人が参列した。厳かな雰囲気の中、中村総代会長らが金幣を返還。熊野速玉大社神職が祝詞、仲西博光区長が祭詞を奏上し、参列者が玉串を供えた。
神輿渡御では、担ぎ手たちが同神社を出発。続いて、大勢の大人や子どもに引かれた恵比寿(えびす)、二十四孝(にじゅうしこう)、大黒天の山車が、三輪崎漁港前の御旅所まで豪快にぶつかり合いながら町を練り歩いた。
御旅所に到着後、三輪崎郷土芸能保存会が獅子神楽と日本遺産に登録されている「鯨踊り」を奉納。勇壮な踊りでは「ヨイハ!」の力強いかけ声が響いた。三輪崎婦人会、台楽(だいがく)保存会による華やかな手踊りや「HAL CREW」のダンス、熊野曼荼羅(まんだら)太鼓の迫力ある演奏も披露された。
今年の天狗(てんぐ)役を務め上げた中村縁君(7)は「最初は緊張したけど、楽しくできた。たくさんの人に見てもらえてよかった」と語った。保存会員として、わが子の踊りを見守った父・優さん(39)は「最後まで集中できていたので頼もしかった。練習時から熱心に取り組んでいたので成果が結果に表れた。満点をあげたい」と目を細めた。
保存会の濱口仁史会長は「天気が心配だったが、無事に終えられて安心している。多くの方の前で舞を披露できて感無量。天狗役の縁君も練習するたびに上達し、立派に踊ってくれた。祭りを継承するためにも地域の子どもたちに関心を持ってもらえれば」と話していた。
前日14日の宵宮には、市立三輪崎小学校体育館で同校創立150周年記念「音楽フェス」と、地区内で同時開催イベント「灯(とも)る、三輪崎。」が開催。例大祭の斎行を盛り上げた。
(2024年9月18日付紙面より)
宇久井神社の例大祭 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の宇久井神社(男成洋三宮司=熊野那智大社宮司)の例大祭本宮が15日に執り行われた。神輿(みこし)行列が地域を練り歩き、海上安全と豊漁、地域の繁栄を願って華やかな奉納行事が営まれた。
本殿での式典に続き「チョーサヤ、チョーサヤ」のかけ声も勇ましく、神輿行列が神社を出御。雨が降る中、御旅所を巡り、小中学生も威勢良く子ども神輿で活躍した。
各所で獅子舞の奉納があり、秋葉会(梶誠仁会長)は勇壮に、宇久井青年会(柴原寛会長)は華麗に舞った。秋葉会の岸下侑生君(5)は父親の篤生さん(30)と共に天狗(てんぐ)の舞、宇久井青年会は扇の舞を東奈ノ華さん(9)、天狗の舞を南壮真君(9)が担った。
宇久井漁港で海上渡御があり、神輿は渡御用神船にうつされ、宇久井中学校の男子生徒がこぐ御船に先導されて厳かに漁協広場へ。到着した御船は生徒たちが「御船キヤリ」を歌いながら陸へ引き上げた。
前日の14日には、地下回しがあり、宇久井青年会と秋葉会の獅子舞が地区内を巡った。地下回しは、五穀豊穣(ほうじょう)、大漁祈願、例大祭を知らせるとされる。
宇久井青年会は、10月23、24日に営まれる「開創千年法要」を記念して初めて曹洞宗延命寺(西昭嘉住職)で奉納。本堂で鈴之舞、天狗之舞、終之舞を披露した。
祭典委員長の亀井二三男さんは「それぞれの団体の大人も子どもたちも、けがなく元気に回ってくれてよかった。地域の文化を次につなげていきたい」と語っていた。
(2024年9月18日付紙面より)
勝浦八幡神社例大祭 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の勝浦八幡神社(髙橋正樹宮司)の例大祭が15日に営まれた。華やかな神輿(みこし)の渡御や奉納行事、櫂伝馬(かいでんま)、豪快な海中神事で港町が活気づいた。
勝浦の繁栄と平穏を祈る伝統の祭り。午前10時から例大祭式典、正午から渡御祭式典が営まれ、餅つき、徒士(かち)山伏、獅子神楽、子供手踊り、舟謡(ふなうた)奉納で境内が華やいだ。威勢良いかけ声とともに神輿が神社を出発。勝浦各区を練り歩き、御旅所の勝浦漁協魚市場で奉納行事を営んだ。
今年は輿姫会(中村美奈子会長)の奉仕により、約50年ぶりに護国神社の神輿も、英霊の御霊(みたま)を乗せて地域を巡った。
一時激しい雨が降ったが、夕暮れには上がり、「いざかた船溜(ふなだまり)」で愛友会、高友会、中学生男子が色とりどりの笹飾りを立てた櫂伝馬を力強くこいだ。クライマックスの海中神事では、神輿かきが神輿もろとも海へ飛び込み、見物人らから歓声が上がった。
朗々と舟謡が響く中、神輿は「御神船」に乗せられて海路、神社へ還御。人々が海の祭りの情緒に浸った。
髙橋宮司は「無事に祭りを終えることができ、感無量。皆も楽しんでくれ、神様も喜んでくれた」と語っていた。
(2024年9月18日付紙面より)
樫野で町主催の追悼式典 (串本町 )
串本町樫野にあるトルコ軍艦遭難慰霊碑で16日、町主催のエルトゥールル号(エ号)追悼式典があり招待と一般合わせて約40人(町発表)が参列して殉難将士の冥福を祈るなどした。
この碑は、1890年9月16日に樫野沖であった旧オスマン帝国(現トルコ共和国)軍艦エルトゥールル号の遭難で命を失った将士580人余りを追悼するため、県知事ら有志が翌年に建立。後にトルコ共和国の資金で霊廟(れいびょう)を備えた形となり碑を塔屋に掲げる形で1937年6月3日に完成したと現地案内されている。
串本町は月命日として毎月16日に花をたむけていて、遭難日に当たる16日はその大祭としてこの式典を営んでいる。今年は6月に外交関係樹立100周年記念の一環でトルコ側の大使館・海軍主催による追悼式典があり日本側も相応に応えた状況もあるため、駐日トルコ共和国大使館とも協議し今年の大祭は規模を抑えて執り行うこととした。
当日は田嶋勝正町長を筆頭とし、町側から町議会の鈴木幸夫議長や大島地区の高山カヤ子・樫野区長と福島三男・須江区長と寺町忠・大島区長、トルコ側からコルクット・ギュンゲン特命全権大使とダムラ・ギュミュシュカヤ総領事とムハンメッド・ラーシト・アラス社会参事官が招待、他は一般として参列。黙とうや両国の国歌斉唱、アラス社会参事官によるイスラム教の礼拝を経て田嶋町長は友好関係が始まった契機となるこの日の再会を喜ぶとともに参列に感謝し、「微力だが今後も両国友好関係の発展寄与できるよう活動を続けることを改めて誓う」と式辞を霊前にささげた。
参列一同が献花を終え、ギュンゲン大使は外交関係樹立100周年の歓待、134年前の生存将士への救護への感謝を掲げ「慰霊碑の側面に刻まれている『生キテ築ケル日土(=ト)親善ヲ雄々シク死シテ永劫トナセル名誉アル殉難者』に哀悼の意をささげ、敬意を表す。トルコと日本の友好と連帯は永遠に」と閉会の辞を述べて締めくくった。
6月に続いて参列したギュンゲン大使は「殉難した将兵は日本とトルコの友好の歴史の礎を築いた人たち。今回はまさに串本町の方々がわれわれの祖先に手を差し伸べてくださった日で、それがなかったら助からなかった。今年は外交関係樹立100周年。その観点からわれわれが6月に開催した追悼式典、そして本日の追悼式典はどちらも非常に有意義な意味を持っている。改めてこの慰霊碑を守り続けてくださっている串本にお礼を申し上げたい」と思うところを語った。
(2024年9月18日付紙面より)
「市小防災の日」を開催 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立市野々小学校(木村享照校長)で14日、「市小防災の日」が開かれた。全校児童29人と家族、地域住民らが地震・津波について学習するとともに、今年1月に発生した能登半島地震被災地の様子に触れた。
紀伊半島大水害で大きな被害を受けた同校では、災害から児童の命を守るため、地域と二人三脚でさまざまな防災教育を実施。地域や保護者へ成果を共有する場として、毎年「防災の日」の取り組みを継続している。
前半の授業参観では、児童の防災学習の様子を公開。後半の全体会では、大規模土砂災害対策技術センターの小林正直さんが、緊急災害対策派遣隊「テックフォース」の砂防班の一員として能登半島地震の被災地へ派遣されたことを講話。地震で発生した土砂災害の現地調査に当たったことを語り、ドローン操作の実演をした。
土砂災害啓発センターの峐山雄亮さんは、能登半島地震被災地で避難所となった石川県の能登町立宇出津小学校で支援に当たった職員の記録を紹介。通い慣れた小学校が被災者の寝泊まりする避難所に作り替えられた様子を写真で見せ「水食料が最優先ではあるが、閉鎖的な避難所の空間で心身の健康を保つには、心の栄養も大切」と語った。
5、6年生をリーダーに段ボールベッドの組み立て体験もあり、児童からは「小さい子でも運べるのがいいな」「寝相が悪かったら落ちるかも」などの意見があった。
参加した保護者からは「紀伊半島大水害当時、私は自宅避難だったが、小学校に避難していたらこんな感じだったのかと考えた」「5、6年生の授業で備蓄の目標量を見たが、普段のローリングストックでは全然足りない」「避難所生活では娯楽も必要ということで、ゲームを持ってきたいという子どもの意見にも考えさせられた」などの声があった。
木村校長は「防災学習はこの地域の歴史であり、復興してきた誇りでもある。市野々小学校を拠点に、子どもたちの未来のためにこの地域を残していきたい」と語っていた。
(2024年9月15日付紙面より)
井田区全世帯に配布へ (紀宝町 )
「必ず来る 南海トラフ巨大地震・津波への備え」と題した井田区の第3回ワークショップが13日、紀宝町の井田公民館であり、第1回から協議を重ねてきた「地震・津波ルールブック」が完成した。
井田区全世帯に配布し、11月の防災訓練で活用する。訓練後に第4回ワークショップを開催し、振り返りを行う。
ルールブックは、井田区内5地区の特徴を反映し、地区ごとに作成。南海トラフ巨大地震に備えて、地震や津波への知識を深め、各家庭で「自分や家族が何をするか」などを考え、地震の被害者を一人も出さないことを目指している。
地震・津波から命を守るポイントの他、各地区の危険箇所マップ、津波避難カルテ、事前対策チェックシート、地震・津波タイムラインなどで構成した。
ワークショップは、南海トラフ地震の被害軽減を図るための官民一体となった取り組み。これまで、5地区の地理的な特性などを踏まえ協議や避難路確認などの町歩きを行った。
区役員、自主防災組織、町消防団、民生委員、小中学校、介護医療事務所、役場などから約70人が参加した。
南海トラフ地震の防災対策をテーマに、愛知工業大学地域防災研究センターの横田崇センター長が講演。「地震は予知できない。突発する地震への備えを基本にし、家屋の耐震化をはじめ、一人一人の備えが大切になる」と示した。
各地区で、ルールブックの内容を確認した。西田健町長は「ワークショップでの意見をまとめたルールブックを中心に、家庭で地震・津波対策に活用してほしい」と呼びかけ、町総合防災行政アドバイザーの松尾一郎さんは「南海トラフ地震は確実に起こる。命を守るため、町の耐震補強事業を活用し、揺れから強い部屋を一つでも作ることが大事」と伝えた。
(2024年9月15日付紙面より)
すぽとれ、マルチスポーツ体験 (新宮市 )
NPO法人スポーツトレーニングクラブ(通称すぽとれ)は11日夜、和歌山県立新翔高校体育館で初のマルチスポーツ体験企画「スポーツ雪合戦を楽しもう!」を開催した。小学生48人が障害物に隠れながら、玉入れ用のボールを投げ合うなどして体を動かした。
マルチスポーツは一つの種目だけでなく、複数の競技に参加するスポーツ方法。筋力や瞬発力、持久力、柔軟性、俊敏性、心肺機能など、さまざまな身体能力を伸ばすことが可能となる。異なる体の部位や筋力を鍛えることができ、総合的な体づくり向上を図れるとされている。
子どもたちは準備運動の後、6チームに分かれて雪合戦をはじめ逆立ちやジグザグ走、綱引きに挑戦。スタッフから「今のいいよ」「できた、できた」「大丈夫!」などの声が上がる中、各種目で汗を流した。
体験した村田陽恵梨さん(10)は「少し暑かったけど、夢中になれて楽しかった。運動は苦手な方だけど、体を動かすのは大切だと感じた」と語った。
加藤誠人代表は「練習を重ね、少しずつ俊敏さなどが備わっているように思う。運動神経が急激に発達するゴールデンエージ期には、動きの習得が重要。けがをしにくい体をつくり、将来いろんなスポーツで活躍してほしい」と話していた。
(2024年9月15日付紙面より)
那智山エリアで日常的に
観光客がカメラを向ける先には数頭のニホンジカの姿。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部である那智山エリアで日常的に見られる光景だ。昨年から顕著に出没頭数が増加し、毎日のように熊野那智大社・那智山青岸渡寺境内や大門坂に現れている。
近年の状況を受け、那智山区では今月、車道沿いに「鹿などの出没注意!!車の走行はゆっくりと!!」の看板を設置。「特に下りは車のスピードが出やすく、事故は時間の問題」と危機感を強めている。アジサイなどの植栽の食害も深刻だ。
那智原始林を含む山内の生態系への影響も懸念される。シカはアセビなどを除くほとんどの植物を採食し、中にはキイジョウロウホトトギスなどの固有種も含まれている。町も鳥獣保護区外であれば猟友会によるわなの設置を許可しているという。
観光客でにぎわう世界遺産・吉野熊野国立公園内での捕獲はハードルが高いが、全国の事例を見ると、世界遺産・国立公園とシカの関係は保護一辺倒ではない。世界文化遺産「春日大社」境内や奈良公園に群生する「奈良のシカ(国の天然記念物)」は、周辺エリアが「保護地区」「緩衝地区」「管理地区」に分けられており、管理地区では駆除が実施されている。今年3月には駆除可能エリア拡大にかじを切るなどの動向もある。嚴島神社を有する宮島では、人慣れしたシカによるごみあさりやプラスチックの誤食、観光客などによる餌付け問題も起きており、対策協議会を設立して解決策を模索している。
世界自然遺産を有する知床や屋久島、白神山地などでも、頭数モニタリングなどの科学的知見に基づき、世界遺産の一部または周辺で捕獲が試みられているという。
これらの事例はいずれも歴史的経緯や地域・地理特性を踏まえたもので、熊野地方に直接適用できるものではないし、駆除は最終手段。とはいえ、未来のため、一歩踏み込んだ対応を検討すべき時期に来ているのではなかろうか。
(2024年9月14日付紙面より)
新宮警察署が説明会 (JAみくまの )
みくまの農業協同組合(JAみくまの、石田守代表理事組合長)は11日、みさき支所(新宮市三輪崎)で「特殊詐欺およびSNS型投資・ロマンス詐欺被害防止活動説明会」を行った。
新宮警察署(矢野勝正署長)と5月に締結した「地域安全活動に関する協定」に基づくもので、各支店の支店長らが出席。同署生活安全刑事課生活安全係の𠮷田紘一郎係長が特殊詐欺の交流サイト(SNS)型投資詐欺・ロマンス詐欺による被害現状を報告、防止活動の協力を依頼した。
𠮷田係長は、SNSを通じて投資を持ちかけたり、相手の恋愛感情を利用して金銭をだまし取る手口の具体例を説明。
県内で発生した特殊詐欺事件は154件で被害総額約9億9千万円、うち80件、約6億9千万円がSNSを悪用した投資型詐欺やロマンス詐欺だった。
「新宮署管内でもすでに2件の特殊詐欺事件が発生している」と述べ、「広いネットワークを活用して、渉外担当者が客先に行った際など、SNS型詐欺について注意喚起を積極的に行ってもらいたい」と協力を求めた。
今後の取り組みについて、和歌山県警察犯罪抑止総合対策室のSNSアカウントや、県警情報サービス・きしゅう君の防犯メールなどで県内の事件事故、防犯に関する最新情報を入手できると話し「これらを利用して、詐欺や防犯に関する情報を継続的に広げてほしい」と呼びかけた。
(2024年9月14日付紙面より)
高池小5、6年が稲刈り (古座川町 )
古座川町立高池小学校(中井清校長)の5、6年生24人が12日、池野山にある淡佐口幸男さんの水田で稲刈りに励んだ。
同校歴代の5年生が取り組んでいる稲作体験(通称・米米クラブ)の一環。本年度も淡佐口さん、中根和夫さん、奥根公平さんの3人が広さ約1・5㌃の水田を準備し、同校からは主役の5年生と水利の都合で前年度に体験できなかった6年生が一丸となって5月17日にもち米「かぐらもち」の苗を植え草引きなどもこなしながら育ててきた。
当初心配していた水源地の工事に伴う栽培中の水利の中断はなく、イネは穂を実らせる段階まで成長した。稲刈りは2人一組で刈り役と束ね役の役割分担をし、適時水分補給をして入れ替わりながら苗全部を刈り取り、さがりにかけて一連の作業を終えた。
淡佐口さんによると同日のような好天が続けば7~10日で脱穀ができる見込みで、今後の穂の乾き具合や学校と3人の都合を見て日時を詰めていくそう。実入りは鈍いが何とか例年通りの体験を提供でき「今年は夏に水がなかったら稲刈りはできないと子どもたちに分かってもらった上で始めたので、何とか稲刈りができて良かった。どうやって米が作られているかを(経験的に)知らない子どもたちが大半なので、この体験を頭の片隅に留め置いてもらえたら何より。奥根さんは今年で引退するが、これからもできる限り提供を続けていきたい」と語った。
この日は町立三尾川(みとがわ)小学校も児童教職員一丸で稲刈りを実施。明神小は24日(火)に実施予定という。
(2024年9月14日付紙面より)
筏師志して若者が奮闘 (北山村 )
全国唯一の飛び地の村、北山村の観光筏(いかだ)下りを運航する北山振興株式会社に今夏、新宮市三輪崎の大野百虹さん(20)が筏師を志して入社した。1979年の運航開始以降、女性は初めて。村の大切な観光資源の筏下りを若い世代が継ぎ、未来に残していきたいと汗を流している。
観光筏下りは、切り出した木材を下流まで運ぶ手段として行われていた伝統産業「筏流し」を観光ツールに転換させたもので、村が出資する北山振興が毎年5月から9月末まで運航している。
大野さんは県立新翔高校出身で、以前はジムでトレーナーとして働いていた。「元々、体を動かすことが好きで、人と話すのも苦手じゃない」。体力が必要な筏師には男性しかいないのは知っていたが、若い世代が入ることで「村だけでなく、東牟婁全体が盛り上がるかもしれない」と8月に入社した。後継者不足で途絶えてしまうのも「もったいない」と感じた。母親に心配されたが、入社前に客として一緒に乗船し、「大丈夫」と説得した。
筏師として一人前になるには一般的に3年かかるといわれている。今は見習いとして乗船し、解体された筏を組む作業をしたり、櫂(かい)でこぐ練習をしたりしている。毎朝午前4時40分に起き、新宮から通っているが「早寝早起きは苦になっていない」と笑い、客がかけてくれる温かい言葉が励みになっているという。
今年の運航はもうすぐ終えるが、次のシーズンに向けて、さらに技術を身に付けて成長し「少しでも、上の人たち(先輩筏師)の役に立てたら」と笑顔を見せる。
指導する北山振興代表取締役の山本正幸さんは「忙しい時期に入ったので練習できる機会は少なかったが、頑張って取り組んでくれている。お客さんからも見守られ、私たちも期待している。地域を盛り上げていってほしい」と話していた。
(2024年9月13日付紙面より)
じじばば喫茶大盛況 (新宮市熊野川町 )
地域住民組織「チームくまのがわ」は10日、新宮市熊野川町の熊野川総合開発センターで「じじばば喫茶」を開いた。多くの地域住民が訪れ、新米を使ったおにぎりやコーヒー、菓子を味わい楽しいひとときを過ごした。
高齢化率の高い町内で「男性が1人暮らしで食事に困っている」「誰かと一緒に楽しく食べたい」などの声を聞いたことから企画し、6月にオープン。開発センターの調理室を活用し、子どもから高齢者まで誰でも気軽に立ち寄れる交流の場として毎月行われている。
新米は、地域で休耕田の解消活動を行う「MYNS(マインズ)」が3㌔を提供。メンバーによると夏の猛暑が続き、収穫量が例年の2割以上減少する不作となったが、少しでも来場者に喜んでもらおうと振る舞ったという。
センターのロビーには椅子とテーブルを設置し、花瓶やグラスにヒマワリやバラなどの花が飾られた。ふれあい商店での買い物や熊野川診療所の通院、熊野川行政局への用事を済ませた来場者が途絶えることなく訪れ、近況報告や世間話などで盛り上がった。
初めて足を運んだ80代女性は「診療所の通院ついでに寄りました。町内でも少し離れているため頻繁には無理だが、いい取り組み。機会があれば皆さんと、にぎやかに交流したい」と笑顔を見せた。
チームの南本安信さんは「たくさんの人の笑顔が見られてよかった。米不足に加え、熊野川町も高齢化が進んでおり後継者が必要」と語った。2011年の紀伊半島大水害から13年が経過したことにも触れ「当地方に暮らす全ての人たちにとって、悲しみや苦しみを味わった忘れられない出来事。活動を通して、今後も笑顔が絶えない催しを企画していければ」と話していた。
次回は10月8日(火)午前10時~正午に同所で行う予定。飲み物代(菓子付き)は100円。問い合わせは、チームくまのがわ事務局(電話0735・44・0595)まで。
(2024年9月13日付紙面より)
北大の学生が平井で演習 (古座川町 )
古座川町平井で9日、北海道大学一般教育演習(フレッシュマンセミナー)が始まり、学生15人が社会貢献をしながら学びを深めている。
この演習は、2年進級時に属する学部を決める北大の1年生が所属する総合教育部設定科目の一つ。平井へ訪れているのは北大和歌山研究林の林長を務める岸田治准教授が担当する題目「南紀熊野の自然と人々のくらし・夏期編」を選択した学生で、同研究林本館に13日(金)まで滞在して暖温帯の自然と暮らし(生活や産業)に触れつつ、ボランティアワークとして地域の課題を知り解決策を考え実践する探究的社会貢献の実動も意識した演習に臨むという。
同ワークの課題はあらかじめ住民の困り事を聞くことで把握。滞在中は区民館の清掃、老朽化した倉庫の解体、里道の保全、休耕田の草刈りや稲刈り支援といった困り事解消に貢献した。併せて同研究林の樹勢確認やオオサンショウウオ、ウナギなど川の生態観察、ニホンミツバチの蜜切り作業の見学、住民との昼食会やその延長で聞き取り調査をし、これら経験を基にして山村の暮らし体験実習の企画を考えるグループワークに取り組むという。
11日は同研究林職員と共に二手に分かれ、老朽倉庫の解体と里道のコンクリート敷きに献身して住民の困り事解消に貢献するなどした。その状況を監督した岸田准教授は「汗を流してボランティアワークに取り組むことで話すだけでは分からない気付きを得るなどより深い学びを得る」とこの演習の狙いを語り、99年来のつながりで学生を歓迎し受け入れてくる平井ならではの協力の中で山村に対する理解を脱却する(=超える)有意義な学びを得る成果を学生の今後に期待した。
(2024年9月13日付紙面より)
県大会への出場目指し (サッカー東牟婁ブロック大会 )
全日本選手権和歌山大会 (高校女子サッカー )
近大工学部と京産大の空手道部が合同稽古 (太地町 )
新宮市で初の宇宙出前授業 (高田中 )
新宮市立高田中学校(山本健司校長)で11日、宇宙出前授業が開かれた。山間部にある小規模特認校で、全校生徒5人が体験を通じてロケットへの関心を高めた。
民間ロケットの打ち上げが、串本町で予定されている。そこで、同町にある県立串本古座高校に開設された「宇宙探究コース」で指導する元宇宙航空研究開発機構(JAXA)職員でもある宇宙教育専門教員・藤島徹教諭が始めた取り組み。同市では初開催となった。
「宇宙へ行こう」をテーマにした宇宙開発の話と工作をセットにしたワークショップで、藤島教諭が話題を提供。「12月に予定されているスペースポート紀伊からの小型ロケット『カイロス』の打ち上げが成功すれば、町の未来が大きく変わる。人が集まって元気になる」と熱く語った。
続いて、ペットボトルなどを使った水ロケットの工作にチャレンジ。藤島教諭は「ロケットは風船と同じ原理で飛ぶ」と説明。完成後にグラウンドで飛翔実験を行い、手作りロケットが空に向かって発射すると中学生から歓声が上がった。
この授業は、宇宙からの視点で物事を考え、創造できる青少年を育成することを目的としている。
(2024年9月12日付紙面より)
えとのヘビとクジラ (太地町 )
太地町の飛鳥神社(髙橋正樹宮司)で7日、大絵馬作りがあった。こども園~中学生の子どもたちと、過疎地域神社活性化推進委員会、町赤十字奉仕団、町地域連絡協議会の約30人が、来年のえとの「ヘビ(巳〈み〉)」とクジラをモチーフに元気いっぱいの2枚を仕上げた。
日本画家・土長けいさんの協力で実施し、今年で5回目。地域活性化や子どもたちの思い出づくり、郷土愛を育むことなどが目的。大絵馬は縦120㌢、横150㌢のヒノキ製。
子どもたちは色とりどりのアクリル絵の具で、白蛇とダイナミックにジャンプするクジラを描いた。最後はステンシルシートで、白蛇の絵馬にイルカ、クジラにはヘビを型押しした。絵馬を乾かす時間には、一人一人が小さな絵馬も作った。
白蛇の仕上げに赤い目を描いた宮本和加子さん(6)は「ヘビを描いた。好きな水色やピンクを塗ったよ」とはにかむ。
土長さんは「勢いのある面白い作品になった。その年のモチーフや参加する子どもごとに、選ぶ色や勢いに個性が出る」。町赤十字奉仕団の和田千明委員長は「自由に伸び伸び描いてくれ、神社に飾られるのを見るのが楽しみ」。町地域連絡協議会の法花真左美会長は「楽しく明るい作品になった。たくさんの方に見に来ていただき、元気になってもらえたら」と話していた。
大絵馬の1枚は同社に、もう1枚は金刀比羅(ことひら)神社に掲げる。
(2024年9月12日付紙面より)
11分団が一斉に秋季訓練 (串本町消防団 )
串本町消防団(井道一馬団長)の各分団が8日、一斉に秋季訓練に取り組んだ。
年長から若手への技術継承を着実に進めるとともに有事に向ける統率の強化を狙いとして年1回、初秋に設定している同訓練。11ある分団がそれぞれに訓練項目を計画して取り組み、団本部(団長と副団長)が激励訪問する流れで実施している。
今年は各分団の機関員(ポンプ車や小型ポンプを取り扱う団員)を対象にした講習会を同日実施したため、各分団は実放水を伴わない範囲で礼式やホース延長の技術指導を項目にし狙いの達成を目指したという。
小佐田優副団長、宮下漁次副団長と共に各分団や講習会の様子を見て回った井道団長は年長―若手間の規律の醸成を今年の目的として重視。有事はもちろん11月に秋季全国火災予防運動、12月に年末警戒、1月に消防出初め式と行事が続く状況も見据えて各分団の統制が強まる成果を願って各分団の状況を確かめるなどした。
(2024年9月12日付紙面より)
9月16日(月・祝)は敬老の日。多年にわたり社会に尽くしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う国民の祝日で、熊野地方各所でも敬老行事が開かれている。9日には、那智勝浦町の交流センター「太田の郷」で南大居・長井区の福祉プログラムがあり、高齢者ら約20人が参加。町立太田小学校の1、2年生7人をゲストに、ニュースポーツのボッチャとカローリングで一緒に遊んだ。
ボッチャはパラリンピック正式種目で、ジャックボール(目標球)に、赤・青のそれぞれ6球ずつのボールを投げたり転がしたりして、いかに近づけるかを競う。カローリングは氷上のスポーツ「カーリング」を室内向けにアレンジしたもので、車輪がついた「ジェットローラー」と呼ばれる円盤をポイントゾーンへ転がす。
どちらも年齢や性別、障害の有無にかかわらず楽しめるが、頭脳や下肢の筋肉、繊細な力加減が求められ、熱中できる要素もある。
小学生と高齢者たちは混合チームになり、代わり番こに投てき。うまくいくと手を取り合って喜んだ。
谷口せつ子さん(81)は「とても楽しかった。やっぱり子どもの声が聞こえる地域でないと。一病息災。持病もあるけれど、こうして日常生活を送れています」と語る。
引地たおさん(7)は「みんな優しくて、うれしかった」。西紗代さん(6)は「ボールを投げるのが楽しかった」と笑顔で話していた。
太田の郷では17日(火)、30日(月)に「地区対抗カローリング&ボッチャ大会」を開催予定。大会に向けて練習試合も企画しているという。
(2024年9月11日付紙面より)
元日本代表サッカー教室も (明治安田生命 )
明治安田生命保険相互会社からの「私の地元応援募金」の寄付目録贈呈式が9日、新宮市役所であった。同社の村尾和義和歌山支社長が田岡実千年市長に、55万円の目録を手渡した。元日本代表の坪井慶介氏などが指導するサッカー教室を新宮市で11月に開催することも明らかにした。
私の地元応援募金とは、地域貢献を目的に同社の営業拠点が所在、または連携協定を締結している自治体などに対し、会社と従業員からの寄付を贈るもの。従業員はゆかりのある寄付先を選ぶことができる。
新宮市への「私の地元応援募金」の寄付は2020年から毎年度で5回目。また同社と新宮市は22年10月に包括連携協定を締結しており、これに基づき今年の熊野徐福万燈祭にも寄付を贈ったほか、23年10月には小学生向けサッカー教室を、24年2月にはこども航空教室を開催していた。
式には新宮営業所の吉田修一営業所長と松山裕美支部マネージャーも訪れた。村尾支社長は、会社と従業員からの「私の地元応援募金」の全国での寄付総額は約8億8000万円になること、県内では県、市、町など22自治体に寄付していることなどを紹介。「取り組みを通じて地域の活動に役立ててもらい、豊かな社会づくりに貢献したい」と思いを伝えた。
田岡市長は寄付に加え、これまでのサッカー教室や航空教室の開催に感謝を伝えた。「大変ありがたい。寄付は豊かなまちづくりのため、有効に使わせていただきます」と述べた。
またあいさつの中で、前回好評だったサッカー教室を11月9日(土)にやたがらすサッカー場で再度行うことにも触れた。村尾支社長らは、坪井氏をはじめ元プロの4人が指導に訪れる予定と話した。
(2024年9月11日付紙面より)
「人権の花」写真コンテスト (那智勝浦町 )
「第42回和歌山県小学校人権の花運動」写真コンテストで、那智勝浦町立勝浦小学校が最優秀賞に選ばれた=写真。
県人権啓発活動ネットワーク協議会(代表=堤秀昭・和歌山地方法務局長)主催。県内の全小学校にチューリップの球根とプランターを配布し、児童に協力して育ててもらうことで、情操や人権尊重思想を育くもうと取り組んでいる。
勝浦小学校では5年生後期から園芸委員を務めた的場陽瀬さん(11)、和田琴音さん(11)、庄司花音さん(11)、矢熊真子さん(12)の4人がチューリップを育てた。当時の6年生や先生から植え方や世話の仕方、水をやりすぎないなどのこつを教わったという。
最優秀賞に選ばれたという知らせとともに「4人の笑顔がとても良かった」との言葉をもらい、4人は「びっくりしたけれど、うれしいです」とはにかんでいた。
最優秀賞・優秀賞校の作品は12月7日(土)に有田川町で開催予定の「人権のつどい」で展示される。
本紙エリアからの入賞校は次の通り。
【最優秀賞】
那智勝浦町立勝浦小学校
【優秀賞】
那智勝浦町立下里小学校
古座川町立高池小学校
古座川町立三尾川(みとがわ)小学校
古座川町立明神小学校
【奨励賞】
新宮市立神倉小学校
新宮市立王子ヶ浜小学校
新宮市立三輪崎小学校
那智勝浦町立宇久井小学校
太地町立太地小学校
串本町立串本小学校
(2024年9月11日付紙面より)
魅力発信、受け入れをPR (北山村地域医療研修センター開設 )
北山村は、国保北山村診療所内に「北山村地域医療研修センター」を開設した。診療所内の医療にとどまらず、村全体を学びの場にすることを目指し、地域医療に貢献する人材を育成する。診療所の内川宗大医師(37)がセンター長に就任した。
和歌山県立医科大学地域医療支援センターなどと連携し、医学生、研修医、看護学生らを受け入れるほか、地域医療に関する村民向けの普及事業、現場で働く医療者に学習の機会を援助する事業に取り組む。
センターを開設することで、受け入れ体制を整えていることを外にPRする狙いも込めている。2022年に開設された紀宝町地域医療研修センターの森本真之助センター長を村地域医療アドバイザーに迎える。
医学生や研修医の研修では内川医師が指導医となり総合診療を軸にしながら、疾患だけでなく、患者の生活を把握する上で大切になるコミュニケーションの取り方も指導する。
内川医師は、7月に開催されたイベント「わっしょ医!北山村」や交流サイト(SNS)を通して、村から地域医療の魅力を発信し続けている。開設式は7日に村福祉センターで開かれ「地域医療の本質である顔の見える医療、親身になれる医療を大切に、育み、広げていく。村全体をフィールドと捉え、皆でまい進していきたい。未来の医療人の育成に注力することは村民の健康維持にもつながる」と力を込めた。
あいさつした泉清久村長は、前村長の山口賢二村社会福祉協議会長の思いを引き継ぎ、村社協などと連携して取り組んでいくとし「人生100年の超高齢化時代。一人一人の顔が見える予防医療を目指し、村民の健康維持に貢献していきたい」と語った。
和医大地域医療支援センターの蒸野寿紀・副センター長や県新宮保健所の和田安彦所長も祝辞を贈った。
(2024年9月10日付紙面より)
串本町で和歌山地方大会 (缶サット甲子園 )
缶サット甲子園2024和歌山地方大会が7、8日の2日間にわたり、串本町内で開かれた。今回は県内外の11チームが出場。打上競技や事後プレゼンに臨んだ結果、兵庫県西宮市から参戦した甲陽学院高校チームが優勝した。
缶サット甲子園和歌山地方大会実行委員会(藤木郁久実行委員長)主催。空き缶サイズで自作した超小型模擬人工衛星(=缶サット)を自作したモデルロケットで打ち上げ、放出~着地の過程で技術力や創造力を競う大会で、高校代表チームを対象にして年1回開いている。
民間ロケット射場「スペースポート紀伊」建設が決まって以降は、和歌山市内と串本町内で隔年交互に会場を設けて開いているが、今年は会場設定の都合で前回に続き今回も串本町内で開かれる形となった。
今回は従来の事前プレゼンに当たる概要と動画公開をあらかじめ同大会公式ホームページ上で実施。初日は潮岬にある南紀熊野ジオパークセンターで機体審査があり、缶サットの重量は250~350㌘とするなど複数の規定を全チームがクリアし最寄りの望楼の芝で開会式~打上競技に臨んだ。
開会式では共催代表で田嶋勝正町長、後援代表で鳥羽真司・東牟婁振興局長、協賛代表で浦聖治・クオリティソフト株式会社代表取締役CEO、主管代表で木皮享・県宇宙教育研究会顧問、藤木実行委員長があいさつし、競技を始めた。
主催者の試射を経て抽選で一番となった県立串本古座高校チームから順次15分間隔で同競技に臨み、全チームが空中での缶サットの放出に成功した。
□ □
2日目は西向にある旧役場古座分庁舎で11チームが順番に事後プレゼンに臨み、競技の結果とその分析内容などを発表。山本三七男さん、山本拓司さん、﨑山智昭さんによる審査結果が発表され、甲陽学院高校が優勝、以下兵庫県立芦屋国際中等教育学校、尼崎市立尼崎双星高校、和歌山県立桐蔭高校と続き、それぞれ表彰された。
同日現在で全国大会出場校数は未定だが、正規の地方予選に当たるため優勝したチームの進出は確実。甲陽学院高校チームが設定したミッションは缶サット内部での電気分解。放出後にソーラーパネルから得た電力で密封した硫酸ナトリウム水溶液を電気分解し水素と酸素を取り出す化学工場機能の実証に挑み、打上競技では気体の分離捕集まで成功する性能を発揮した。
2年生4人での挑戦で、リーダーの法貴徹真さんは「今回は想定していたよりもさらに一つ成功できたと思うが、まだまだ詰められる部分もあるのでさらに追究して頑張っていきたい。今までミスなく確実にできたことを徹底し、さらに今回できなかった工夫をみんなと協力してやっていきたい」と今回を振り返り全国大会への意気込みを語った。
藤木実行委員長は「今回は例年通りのミッションも多い中、斬新なアイデアを出したところがいい成績となった。これからもいろいろなアイデアが出てくる面白い大会になることを期待したい」とコメント。同地方大会の次回は隔年交互に基づき、和歌山市内で再度会場設定を試みるという。
(2024年9月10日付紙面より)
那智勝浦町の勝浦八幡神社(髙橋正樹宮司)例大祭=14日(土)宵宮、15日(日)本宮=の準備が進む中、7、8の両日には「子供手踊」の練習があった。勝浦地方卸売市場の2階で、勝浦1区から6区の子どもたち約40人が汗を流した。
「子供手踊」はそろいの浴衣姿の女の子たちがかわいらしい踊りで祭りに花を添える。奉納するのは「勝浦節」と「勝浦音頭」「めはり音頭」。勝浦節は手拭いを持って那智の滝や船をこぐしぐさなどを表現する伝統の踊りで50年以上の歴史を誇る。
子どもたちは村﨑幸さんや内田春奈さんを手本に振り付けを覚えた。初参加の辻井結寿さん(6)は「手拭いを使うのが面白かった。前のお姉ちゃんたちを見て頑張る」。久司あお葉さん(7)は「2回目の参加。だんだん思い出してきた」と話す。
勝浦4区の楠本修一区長は「皆、覚えが早い。祭りの主役は子どもたちだと思う。特に勝浦節は祭りでしか踊らないもので、今後も伝えていきたい。祭りを見て、参加したいという子が増えてくれれば」。村﨑さんは「集中して一生懸命練習してくれた」と話していた。
(2024年9月10日付紙面より)
秋季高校野球大会県1次予選
紀南バレーボール連盟 (第111回連盟杯 )
全日本少年少女空手道選手権など (和道流松本塾 )
KKNとともに県大会へ (JAみくまの旗学童軟式野球大会 )
目撃相次ぎ注意を喚起 (新宮市 )
本紙エリア内で目撃情報が相次ぐツキノワグマを撮影した写真を入手した。場所は新宮市熊野川町九重周辺、日時は4日午後11時23分。同地域では出没が相次いでおり、市は防災行政無線を使って注意喚起を行っている。
今年に入り、南紀州や東紀州で多くのツキノワグマ目撃情報が寄せられている。新宮保健所によると、6月1日から7月28日にかけて新宮市熊野川町や北山村で10件の目撃情報があり、それ以降も両地域や那智勝浦町二河で見つかっている。三重県では大紀町大内山で8月14日に、登山者がクマに遭遇して負傷する事故も発生しており、「クマアラート」が発表されている。
これらの状況を受けて新宮市は、熊野川町の住民に対して防災行政無線で「1人での屋外作業はなるべくしないように。クマを見かけてもすぐに立ち去るように」と呼びかけている。市農林水産課の担当職員は「養蜂の箱が倒されたりなどは昔からあるが、民家の近くに出ることはそうそうなかった。目撃しても近寄らないようにしてほしい」と語った。
観光面でも若干の影響が聞かれた。新宮市観光協会によると、大雲取越・小雲取越の古道歩きを考えている遠方の人が、1人で歩くのはクマが怖いからと、大人数で歩く新宮市主催の熊野古道リレーウオークに申し込んできたという。「その他にも、古道歩きはクマは大丈夫かとの問い合わせが、今年は今までより多い。(クマ情報を)インターネットで調べて尋ねてくるのだろう」と話していた。
新宮保健所の担当職員によると、今年に入りクマが多数出没するようになった原因ははっきりしないが、6月から7月は子グマの巣立ちの時期ではあるという。「子グマは好奇心旺盛で、人間ともあまり遭遇しておらず、まだ怖がっていないのかも」と述べた。
なお新宮保健所は、クマは餌を求めて現れるとして▽(レジャーで)食べ物を放置しない▽生ごみや不要農作物を放置しない―などを呼びかけている。クマを目撃したり、痕跡を見つけたりした場合は、新宮保健所(電話0735・21・9631)まで。
(2024年9月8日付紙面より)
高田小中学校が稲刈り (新宮市 )
小規模特認校の新宮市立高田小・中学校(山本健司校長)は6日、同市高田の学校田「たか田んぼ」で稲刈りをした。全校児童5人、生徒5人が保護者や教職員、地域住民らと一緒にずっしりと実った稲を手作業で収穫した。
米作りの苦労や高田の自然の大切さを学ぶ郷土学習の一環で実施。今年で10年目となった。指導者への感謝の心と、日本の文化や生活の知恵を知る狙いもある。5月には田植えを行った。
作業を前に、山本校長が保護者や地域住民の協力に感謝し「連日の猛暑や台風接近などがあり心配しましたが、この日を迎えることができました。熱中症には、十分に気を付けてください」とあいさつ。
生徒代表の長嶋環菜さん(中2)は「自分自身、初めての稲刈りなので少し緊張しています。暑いので休憩しながら水分補給を行い、頑張りましょう」と呼びかけた。
晴天の下、児童生徒らは軍手を身に着け鎌を手にすると、稲刈りを開始。協力しながら作業を進め「結構、わらが縛りにくい」「稲をまとめたら重たいね」などと会話を交しながら刈った稲をわらで縛っていった。
終了後は稲を学校へと運び、干して乾燥させる作業に取り組んでいた。
(2024年9月8日付紙面より)
新設学科の特色化選抜 (新宮高校 )
2025年度の入試で初めて全国募集される、和歌山県立新宮高校(下村史郎校長)の学彩探究科の特色化選抜の実施要項が6日、県教育委員会より発表された。募集枠は10人程度で、15分程度の個人面接と、600字程度、70分の小論文で試験を実施する。受験できるのは県外からのみ。出願受け付けは来年1月24日(金)、検査は同30日(木)、合格内定は2月6日(木)となっている。
同校の学彩探究科は「探究的な学び」を目指す新設の学科。特色化選抜は、各校の特色にふさわしい生徒を求める試験制度で、個性や能力に重点を置き評価する。本紙エリア内では県立串本古座高校の未来創造学科(宇宙探究・地域探究)でも行われる。
試験のうち小論文は、特色化選抜の当日、文章や図表などを読み取り、意見を述べるもの。▽高校での教科や分野の枠を越えた学びを可能にするため、一定の学力が身に付いていること▽社会の課題を発見し解決する力を身に付けるための探究的な学びに主体的に取り組む意欲があること―を満たす生徒を求める。
県外在住であれば受験できるため、三重県紀宝町など東紀州エリアの中学生も対象に入る。たとえ不合格であっても、それ以降に行われる三重県立高校の一般選抜入試の受験が可能となっている。
(2024年9月8日付紙面より)
外務省職員の講話で学ぶ (新宮高校 )
和歌山県立新宮高校(下村史郎校長、583人)で5日、外務省総合外交政策局政策企画室の山崎茉莉亜さんによる外交に関する講話「高校講座」があった。生徒の探究的な学びを目指す「くまの学彩」として実施した。1年生189人が受講、世界から見た日本の姿について考えた。
山崎さんは母親が新宮市の出身で、新宮高は母の母校。2010年に外務省に入省し、政府開発援助(ODA)、首相や閣僚の外交スピーチ原稿の執筆、外交政策の広報、各国との協議などに携わってきたという。フランスに駐在した経験もある。
講座の目的を「日本を外から眺める」と設定した。日本の食料自給率が低く、多くを輸入に頼っていることから「食卓を見ても世界とつながっている」。エネルギーの自給率も低く「輸入しないと日々の生活ができない」などと説明。「日本は世界とつながらないと成立しない」と話した。
山崎さんが生徒に対し「日本は平和で安全な国か」と問いかけ。多くの生徒が「平和と思う」に挙手したが「抑止力に欠ける印象があるので平和とは思わない」との意見を発表した生徒もいた。
山崎さんは国家安全保障会議が、周辺国の状況から「わが国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面」と考えていることを紹介。昨今の防衛費増額も絡め抑止力について「侵略したらやり返されると国際社会に分かってもらい、日本が自分を守る、仲間もたくさんいるとアピールしないと。平和と安全のためには外交努力が必要」と力を込めた。
日本がODAによる、発展途上国への経済的支援を行ってきたことに言及。「日本の経済力が落ちてきているのに、なぜ支援しないといけないか。豊かな国とだけ仲良くしていても安全保障を維持できない。世界中で仲間を増やす必要がある。海外進出する日本企業もたくさん。他も成長しないと日本も成長できない」と語った。
「世界と切り離して日本だけでは生活できない。話し合いや協力、すなわち外交は大切。世界は私たちの生活に密接に結び付いている」とまとめた。外国に出て日本を眺めることを「発見があるのでぜひ」と勧めた。
(2024年9月7日付紙面より)
NIPPON防災資産に
那智勝浦町の和歌山県土砂災害啓発センターが、内閣府と国土交通省の「NIPPON防災資産」の優良認定を受けた。認定を通じ、過去の災害の教訓や今後の備えに対する理解が深まり、災害リスクの自分事化が推進され、地域の防災力の向上につながっていくことが期待されている。
地域で発生した災害の状況を分かりやすく伝える施設や災害の教訓を伝承する活動などを「NIPPON防災資産」として内閣府特命担当大臣(防災)、国土交通大臣が認定する制度を5月に創設。初年度は優良認定、認定それぞれ11件となった。
県土砂災害啓発センターは、2011年の紀伊半島大水害の被災者が自身の被災体験で学んだ教訓を伝承するため、手描きの紙芝居を製作し、語り部活動を多く実施していることや、県内外の自治会、自主防災組織、行政団体などを対象とした団体啓発研修などにも積極的に取り組んでいる点が特に優れているとの評価を受けた。
(2024年9月7日付紙面より)
「人権の花運動」コンテスト (古座川町 )
「第42回和歌山県小学校人権の花運動」写真コンテストの審査結果が発表された。古座川町内にある高池小、明神小、三尾川(みとがわ)小はそろって優秀賞を獲得。高池小の4年連続最優秀賞獲得はならなかったが、明神小と三尾川小は評価を一つ上げて並び立つ結果となった。
このコンテストは、博愛や思いやりを花言葉とするチューリープをみんなで育てて協力や感謝の大切さ、生命の尊さを実感し人権の尊重も含めた豊かな情操を培う目的で年1回実施。県人権啓発活動ネットワーク協議会が主催となり、県内の小学校(相当する教育機関を含む)を対象にして球根とプランターを配り、育てた成果を収めた写真作品の応募を呼びかけている。
今回は123校から応募があり、審査を経て最優秀賞10校、優秀賞40校、奨励賞73校が決まった。古座川町内には小学校が三つあり、その全てが横一線で優秀賞を獲得した。高池小は6年生が年度替わりの引き継ぎをする流れ、明神小は全校児童が縦割り班の持ち回り、三尾川小は児童と教職員が一丸で咲くタイミングを考えながら、とそれぞれの方法で育て上げた成果の写真作品を応募したという。これら作品は12月7日(土)に有田川町きびドームで開かれる行事「人権のつどい」の会場内で展示する予定。串本・古座川関係では串本町の串本小も応募し、奨励賞を獲得している。
(2024年9月7日付紙面より)
新宮高校や那智山を視察 (和歌山県 )
世界文化遺産「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」を有するスペイン・ガリシア州より、18~30歳の青少年15人からなる交流訪問団が来県している。3日には当地方で、県立新宮高校1年生との交流や那智山ウオークを楽しんだ。
県とガリシア州は、ともに宗教的起源に基づく巡礼道である「紀伊山地の霊場と参詣道」と「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」を有することから、1998年に姉妹道提携を締結。2010年度から互いに青少年を派遣し合っている。
一行は1~6日に県内に滞在し、交流のきっかけとなった参詣道や熊野三山の視察、学校交流、県庁表敬訪問などを行う。
新宮高校では、訪問団代表の4人が生徒たちにガリシア州の海や建造物、食べ物について紹介。各クラスで折り紙や会話を楽しみ、山本七輝さんは「みんな明るくて優しい人たち。いろんなことを話せて楽しかった。言葉は違っても、気持ちは通じ合えたと思う。これからも交流の機会が増えたらいいな」と語った。
ガリシア州フィステーラ市と交流協定を結ぶ那智勝浦町では、堀順一郎町長らが熊野那智大社で歓迎。世界遺産登録20周年記念に作った那智原始林の「熊野の水」ボトルウオーターをプレゼントすると、一行から驚きや喜びの反応があった。
欧州委員会に勤めているというルイス・ガルシア・ベルデさん(26)は那智山青岸渡寺や那智の滝を熱心に視察し「温泉や大鳥居、那智山からの景色など、和歌山県の全てが素晴らしい。ガリシア州も緑が深い場所で、多くの共通点がある」と話していた。
(2024年9月6日付紙面より)
御船祭の練習始まる (新宮市 )
熊野速玉大社(上野顯宮司)の例大祭の中で営まれる御船祭(みふねまつり)の開催に向け、早船競漕(きょうそう)の練習が始まっている。スタート地点となる下札場(しもふだば)には4日午後6時30分現在で、阿須賀、王子、明神の3地区が練習船を用意。御船島を目指し毎夜こぎ上がるなど、前哨戦の様相を呈している。
同大社の例大祭は、10月15日に神馬(しんめ)渡御式、16日に神輿(みこし)渡御式を実施。御船祭は神輿渡御式での川渡御による遡上(そじょう)に際し、御霊(みたま)を乗せた神幸船(しんこうせん)を先導する形で、市内9地区の早船が競漕する。川渡御の後、下りでも競う。
4日夜は、阿須賀が今シーズン初となる練習を行っていた。2年連続で2位だったこともあり、今年こそはと意欲を燃やしている。とも取りの橋本将大さん(35)は「週に1、2回ほど休みを入れつつ、1時間半ぐらいの練習を続けるつもり。メンバーもすでにそろっている。今年こそ勝ちたい、全力で臨む」と力を込めた。
(2024年9月6日付紙面より)
鯨類追い込み漁がスタート (太地町 )
イルカやゴンドウクジラなどの小型鯨類の追い込み漁が5日、太地町で始まり、太地いさな組合の船団10隻が午前5時15分ごろに初出航した。ハナゴンドウ5頭を沖合で発見したが、距離が遠いため漁を諦め、9時ごろまでに寄港。漁獲には至らなかった。
小型鯨類の群れを船団が沖合から入り江へと追い込んで捕獲する漁法。漁の対象は9種で、種類ごとに捕獲頭数が決まっている。解禁は1日だが、台風の影響で延期になっていた。漁期はイルカ類が2月末、クジラ類が4月末まで。
太地いさな組合の松本修一組合長は「台風で出遅れた。これからと思っている。昨年よりプラスになるように頑張りたい」と話した。
漁港周辺では県警や串本海上保安署所属の巡視艇むろづきなどが違法な反捕鯨団体の活動に備え、警戒に当たった。出航する漁船に、国内活動家と見られる数人が「イルカをころさないで」などのプラカードを掲げたが、目立った混乱はなかった。
(2024年9月6日付紙面より)
キャンドルともし故人しのぶ (那智谷大水害遺族会 )
紀伊半島大水害(2011年)から13年が経過し、今年も各地で犠牲者を追悼する慰霊祭や式典が営まれた。本紙エリアでも、遺族や関係者らが故人をしのび、災害から命を守ると誓いを新たにした。
同時多発的な土石流で甚大な被害を受けた那智勝浦町の那智谷にある紀伊半島大水害記念公園では、4日未明に遺族や関係者ら約10人が参列。土石流の発生が始まったとされる午前1時に、死者・行方不明者数と同じ29個のキャンドル型ライトをともし、静かに手を合わせた。
那智谷大水害遺族会の岩渕三千生代表は「毎年お盆を過ぎると、当時の事がフラッシュバックする。現在は携帯電話で災害情報が得られる時代。自分の命は自分で守ることが大切。29の御霊(みたま)が、いつまでもこの那智谷を見守ってくれるように」と心情を語る。
水害の犠牲となった中平景都君(当時小2)の同級生ら3人も参列。楠本小太朗さん(21)は、中平君と山や川で遊び、一緒に芋掘りやゲームをした思い出を振り返り「元気な僕らを見守っていてほしい」。現在は通信制の大学で空間デザインを学び、建築分野にも興味を広げている。「地震に強く、迅速に建て替えができる建物を造りたい。知識を身に付け、将来は地元で建築に携わりたい」と語った。
水害当時町長を務め、妻と娘を亡くした寺本眞一さん(71)も参列。「毎年異常気象により、各地で水害や災害が起こり、犠牲になる方がいる。当時と比べれば、線状降水帯の被害予測もできるようになるなど格段に技術が進歩している。一人一人が命を大切に、早めの避難を。防災教育で子どもの頃から知識を身に付けることも大切だと思う」と話していた。
(2024年9月5日付紙面より)
太地町立くじらの博物館
太地町立くじらの博物館は2日、地震と津波を想定した避難訓練を実施した。職員25人が参加。8月8~15日に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発令されていたこともあり、緊張感を持って高台の浅間山(標高58㍍)まで逃げた。
「防災の日」(9月1日)に合わせて実施しており、今年で4回目。防火や水難救助訓練も合わせ防災意識を高めている。
地震を知らせる放送が鳴ると、誘導スタッフたちが自然プールやイルカショープール、博物館、海洋水族館から来館者役を誘導。8分40秒で浅間山山頂まで待避した。町の救急隊員協力の下、救急救命講習もあった。
町役場総務課の森本直樹副課長は「落ち着いて避難できていた。最も津波のリスクが高いのは自然プールと水族館周辺で、津波到達時間の想定は3分49秒。駐車場の高さまで来れば想定上は安全だが、さらに厳しい条件での訓練も検討を。地震によって土砂災害が発生する可能性もあり、複数の避難経路を想定しておく必要もある」と講評。稲森大樹館長は「南海トラフ地震臨時情報発令後も落ち着いてお客さまを迎えられたのも、日頃の備えがあってこそ。いつ何時有事になっても、しかるべき対応が取れるように」と話していた。
(2024年9月5日付紙面より)
慰霊碑前で誓い新たに (新宮市 )
新宮市は4日、同市熊野川町田長の道の駅「瀞峡街道 熊野川」の紀伊半島大水害慰霊碑前で犠牲者追悼献花を営んだ。田岡実千年市長をはじめとした市の三役や幹部職員、三栗章史議長をはじめとした市議会議員など30人が参列。犠牲者の冥福を祈るとともに、災害に強いまちづくりを誓った。
2011年の紀伊半島大水害で、新宮市では13人の尊い命が失われ、1人が行方不明となった。参列者たちは、犠牲者の名前が刻まれた慰霊碑の前で黙とうをささげ、白い菊を献花。故人をしのび、静かに手を合わせた。
田岡市長は「災害でお亡くなりになられた方々の無念の思いと、ご遺族の皆さまの深い悲しみを思うと今も哀惜の念に堪えない」と追悼。
市では災害後、国、県、市民からの多大な支援と励ましを得て復旧・復興を進めるとともに、防災対策を見直し、災害に強いまちづくりに努めてきたと述べ「これからも紀伊半島大水害を片時も忘れることなく、市民の皆さまが安心安全に暮らすことができるまちを築いていく」と決意を新たにした。
大水害で熊野川町日足在住の自宅が被災した竹田和博秘書課長は「あの時から市の職員がだいぶ入れ替わっている。復興に尽力した活動の教訓を生かし、忘れることなく後世につなげていきたい」と話した。
(2024年9月5日付紙面より)
ミャンマーから6人採用 (太地町「南紀園」 )
太地町の東牟婁郡町村新宮市老人福祉施設事務組合の養護老人ホーム・特別養護老人ホーム「南紀園」で2日、特定技能外国人介護士採用に伴う辞令交付式があった。ミャンマーから6人の女性が着任し、管理者である三軒一高太地町長らが歓迎した。
「特定技能」は2019年4月に創設された就労を目的とした在留資格。介護をはじめ、人手不足が深刻で人材確保が困難な産業分野で、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みとなる。
在留期間は通算5年が上限。期間中に介護福祉士の資格を取得すると、「介護」の在留資格に変更でき、無期限での就労が可能になる。
三軒町長は「心から歓迎している。太地は移民の町で、多くの先人が海外へ移民した歴史がある。外国で働くのは大変な苦労があり、故郷へ仕送りをする人もいると思う。町・南紀園としても全面的にバックアップする」。金田健治園長は「一部事務組合の公設の施設で外国人介護士を採用するのは県内初では。周辺自治体からも注目されている。活躍が楽しみ」と期待を込めた。
イ・チー・シン・アウンさん(20)は「ミャンマーで高齢者の方をお世話するボランティアをしたことがきっかけで介護に興味を持った。私たちの日本語が高齢者の方々に通じるか不安もあるが、頑張りたい」と話していた。
(2024年9月4日付紙面より)
台風明け、中高生らが汗 (勝浦八幡神社例大祭に向け )
那智勝浦町の勝浦八幡神社例大祭=9月14日(土)宵宮、15日(日)本宮=に向け、勝浦港で2日、櫂伝馬(かいでんま)の練習が始まった。台風の影響で、例年より1週間遅れてスタート。櫂伝馬保存会や愛友会、中高生が汗を流し、夜の港にかけ声と櫂の音が響いた。
櫂伝馬船は全長約9㍍の木製の舟。祭りでは色とりどりのささ飾りを立てて港をこぎ回り、海上神事で重要な役割を果たす。青年らの「愛友会舟」、中学1年生が乗る「赤舟」、2年生の「白舟」、3年生の「黄舟」などからなり、昨年まで南紀くろしお商工会青年部が乗っていた船には高校生が奉仕する。
初めて練習に入る中学1年生は、こぎ方の基礎や作法を教わるところから始め、一生懸命先輩たちを追った。港では多くの家族や同級生、観光客らが見守った。
3歳から憧れてきたという武田蒼久さん(13)は「毎年見てきたかっこいい祭り。本番でも頑張る」。太鼓を務める仲野佑汰郎さん(13)は「すごく緊張しているけれど、祭りを楽しめたらいいな」と語った。
保存会の林宣行会長は「少子化で人がそろわない船もあるが、憧れてくれる子どもたちのため、存続させていきたい。夜の港で船をこぐ高揚感や一体感は何物にも代え難い経験」と話していた。
(2024年9月4日付紙面より)
経年劣化に伴い10日から (那智勝浦町 )
那智勝浦町の那智山青岸渡寺境内にある三重の塔が10日(火)から、外壁の経年劣化に伴う塗り替え工事に入る。工期は12月末ごろまで。期間中は足場が組まれ、正面に垂れ幕をかける予定で、那智の滝と三重の塔の有名な景観はしばらく見納めとなる。
三重の塔は那智山が霊場として全盛期を誇った平安末期に建設されたとされ、熊野御幸の古文書などにも多く記録が残る。しかしながら、1581(天正9)年に豪族の対立により山内の社堂が焼かれた際に亡失。約400年後の1972(昭和47)年に現在の場所に再建された。
鉄筋コンクリート造で外部は木造。12㍍四方で高さは25㍍。塔一層には二の滝の本地仏である如意輪観世音菩薩(にょいりんかんぜおんぼさつ)と三の滝の馬頭観世音菩薩、二層には阿弥陀如来をまつる。千手観世音菩薩を安置する三層からは、那智の滝の滝つぼを望む。
工事の開始後と終了前の一部期間を除き、塔二層までの拝観を可能とする方針で、青岸渡寺では理解と協力を呼びかけている。
(2024年9月4日付紙面より)
那智勝浦ゴルフ倶楽部
第20回串本町バドミントン大会
JAみくまの旗学童軟式野球大会
世界遺産登録20周年に (那智勝浦町の補陀洛山寺 )
那智勝浦町浜ノ宮の世界遺産・白華山補陀洛山寺(髙木智英住職)で1日から、秘仏「三面大黒天像」など3点を初公開している。通常は年3回のみの本尊「三貌十一面千手千眼観世音菩薩(ぼさつ)」(国重要文化財)も特別に開帳しており、期間は11月30日(土)まで。
同寺は仁徳天皇の治世にインドから熊野の海岸に漂着した裸形上人によって開山されたと伝わる古刹(こさつ)。平安時代から江戸時代にかけて、海のかなたの観音浄土を目指して船出する「補陀落渡海」が行われていたことでも知られている。
「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年に合わせて公開しているのは「三面大黒天像」、「日本第一補陀洛山寺」の勅額、補陀洛山寺御寶印(ほういん)の3点。蔵に納められていたものを修繕し、いずれも公開は初。
三面大黒天像は、正面に大黒天、右面に毘沙門天、左面に弁財天の三つの顔を併せ持った三天合体の尊像。天下人となった豊臣秀吉の出世守り本尊として知られ、強力な勝負運、良縁、大金運の三尊天の御利益をもたらしたとされる。高さは約30㌢。同寺への来歴は不明だが、安土桃山~江戸時代ごろの作と推定されている。
「日本第一補陀洛山寺」の勅額は古文書などで飛鳥時代の文武天皇(683~707年)の宸筆(しんぴつ)と伝わっており、寺の歴史を物語る。木製の御寶印には本尊「三貌十一面千手千眼観世音菩薩」を象徴する梵字(ぼんじ)が彫られ、かつては本尊と縁を結ぶ際に授者の額に押されていたという。
髙木住職は「まずは補陀洛山寺を知るきっかけになればうれしい。補陀洛山寺は裸形上人が開かれた由緒ある寺で、熊野三所大神社(くまのさんしょおおみわやしろ)(浜の宮王子)と合わせて神仏習合の形が残る場でもある。世界遺産の一部でもあり、地域の方々はもちろん、海外の方にも足を運んでいただきたい」と話していた。
(2024年9月3日付紙面より)
特別支援教育研究会が夏季研修 (新宮・東牟婁 )
新宮東牟婁特別支援教育研究会(河田恵美会長)が8月28日、那智勝浦町の体育文化会館で夏季研修会を開催した。和歌山大学教育学部の米澤好史教授が臨床経験を基に「愛着障害と発達障害の理解と支援」と題して講話し、教職員約80人が学びを深めた。
特別支援学級を利用する児童生徒が年々増加する中、教職員の理解を促進し、障害や特性のある子どもへの教育の充実や環境整備につなげようと開催した。
米澤教授は最初に「これまで『愛着』は赤ちゃんの問題に矮小(わいしょう)化されていたが、愛着障害は子どもから高齢者まで全て年齢に表れる」と言及。愛着を「特定の人と結ぶ、情緒的な心の絆」と定義し「愛着障害は、愛着の形成不全と捉えることができ、誰とも情緒的な絆を結べていない状態。先天的な脳機能障害である発達障害とは異なる」と述べた。
「愛着形成には臨界期があり、3歳以降は手遅れ」との言説について「これは誤り。何歳からでも修復でき、親でない立ち位置の方とでも絆を結べる」。「発達障害と愛着障害は併存しない」との従来の精神医学会の捉え方にも異を唱え「併存するのは当然」と持論を述べた。
愛着の機能について▽安全基地(ネガティブな感情から守る)▽安心基地(ポジティブな感情を生じさせる)▽探索基地(報告によりポジティブな感情を増加させ、ネガティブな感情を減少させる)―の三つを提唱。
愛着障害・発達障害に表れる「困った行動」について「どんなに訳が分からないように見える子どもの行動にも、必ず理由・原因がある。それだけをやめさせようとしてもうまくいかない」とし、具体例や支援の在り方を解説した。
教育現場に立つ教職員らに「愛着障害と発達障害は見分けが難しく、専門家でも間違うことがあるからこそ、子どもたちを近くで見ている先生方の立場が重要。愛着の視点からの支援の充実に生かして」と呼びかけた。
(2024年9月3日付紙面より)
伝統文化子ども体験教室発表会 (新宮市 )
本年度「伝統文化子ども体験教室」の発表会が1日、新宮市福祉センターであった。市内外の幼児~小学6年生の15人が、これまで学んできた着付けや民舞などを披露した。
文化庁の伝統文化親子教室事業の一つ。日本の伝統と文化の体験を通して感謝の心、和の心、思いやりの心を育み、豊かな感性と人間性を養うとともに、日本の心を学んでもらうことを目的に、伝統文化をつなぐ雅の会(萩原眞理会長)が毎年実施している。
本年度は20人が参加。同市の萩原きもの総合学院で、6~8月に12回の稽古を重ねてきた。各分野の先生から、浴衣の着付け、立ち居振る舞い、礼儀作法、茶道、華道、香道、民舞とさまざまな伝統文化を学んだ。
発表会で萩原会長が全員に修了証書を授与。「よく頑張りましたね」とたたえた。来賓の田岡実千年市長は「着付けだけでなく、日本の伝統を勉強してくれた。大人になっても役に立ちます。来年もぜひ体験してほしい」と祝辞を述べた。
みやびな音楽が流れる中、再入場した子どもたちは「よろしくお願いします」とあいさつ。保護者らが見守る中、半幅帯を結び、若吉会の先生と一緒に列を作り「おまつり新宮節」を踊った。
若吉会による舞の後、子どもたちは平安衣装に身を包んで登場し、保護者らと一緒に記念撮影した。会場には子どもたちの生け花作品も展示。来場者が見入っていた。
(2024年9月3日付紙面より)
宇久井バレーボール教室 (進め!!青春 )
第10回王子カップ
都道府県対抗中学バレーボール大会
形試合壮年男女の部で (和道流空手 )
太田川流域農泊振興協議会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の太田川周辺の事業者などで組織する太田川流域農泊振興協議会(西山十海会長=大泰寺住職)がこのほど、アトリエちきゅうの道の絵地図作家・植野めぐみさんと共に「太田川つれもていこら絵図」の英語版マップを完成させた。
農林水産省の農山漁村振興交付金(農山漁村発イノベーション対策)を活用した訪日外国人(インバウンド)対応事業の一環で、ポータルサイトの多言語化やマップ作りに取り組んできた。
同町色川、太田、下里、浦神にまたがる太田川流域の魅力について西山会長は「海外の方にとっては、キリスト教の教会に禅宗寺院、密教寺院、修験道といった宗教的多様性、そのベースにある熊野の自然という、日本人の精神世界を感じてもらえる地域。そこに漁業者や農業者の文化が密接に関わっている」と話す。
マップでは飲食店やビーチ、イチゴやブルーベリー農家、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部である大辺路の市屋峠や二河峠、浦神峠も紹介。中辺路ルートに比べてまだ知名度が低い大辺路ルートだが「ヨーロッパ系の方を中心に『熊野古道を歩いていて夜になってしまったので、テントを張らせてもらえないか』との問い合わせもあり、少しずつ宣伝効果も出ているのでは」。リモートワークで世界中を旅する「デジタルノマド」誘致などにも注目が集まる中「長期滞在して、この地域の『生活』を体験してほしい」と展望を語っていた。
(2024年9月1日付紙面より)
新宮高校で医療出前講座
和歌山県立新宮高校(下村史郎校長)で8月26日、市立医療センターの専門職員7人による出前講座があった。医療や看護分野への進路に興味がある1~3年生39人が、業務内容や魅力などの講話に耳を傾けた。
医療職に興味を持ち、今後の進路に生かしてもらおうと実施。将来の地域医療に貢献してもらおうという狙いもある。同センターからは中央手術室看護師の津呂橋慶さん、助産師の山本悠さん、薬剤部の野尻幸江さん、診療放射線技師の見座昌平さん、リハビリテーション科の河井基宏さん、臨床検査技師の南熊野さん、臨床工学部の坂本亮輔さんらが来校した。
7人は各専門医療の仕事内容や概要、勤務体制を紹介。苦労やつらさもある一方、喜びとやりがいを感じる瞬間を自身の経験を交えて伝えた。
後半には、生徒たちが採血や血圧測定、手術時に身に着ける滅菌ガウンの試着などを疑似体験。各担当の職員から説明を受けながら、医療について学びを深めた。
松岡紗菜さん(2年)は「将来、医療系の仕事がしたくて参加しました。具体的な話をしてもらい、明確に理解することができた。これからの進路に生かしていければ」と話していた。
(2024年9月1日付紙面より)
ジャパン・ツーリズム・アワード
北山村の「筏(いかだ)流し文化の継承と観光産業への転換~小さな村の観光筏下り事業~」が、第8回ジャパン・ツーリズム・アワードの審査員特別賞を受賞した。ツーリズムの発展・拡大に貢献し、国内外の優れた取り組みを表彰するもので、119件の応募があった。和歌山県内では唯一の受賞となった。
今回は「旅のチカラ」の再生と持続可能性の確保につながる組織、企業、団体、個人の取り組みをポイントとした。審査員からは「日本一といわれる筏師の伝統技術を観光コンテンツとして生かすことで、雇用と技術の継承・育成につなげていくというアイデアは興味深い。海外からも伝統文化に歴史を感じられるアクティビティとして高く評価されている点も素晴らしい」との講評を受けた。
北山村の泉清久村長は「観光筏下りとして今年で45周年を迎えた村独自の観光事業が評価されたことはとても喜ばしく、伝統文化を観光という形に変えて継承してきた筏師さんたちのおかげ」とコメントした。
ジャパン・ツーリズム・アワードは日本観光振興協会、日本旅行業協会、日本政府観光局、経済産業省や国連観光機関と有識者による審査団により選考される。授賞式は26日(木)に東京ビックサイトで開かれるジャパン・ツーリズムEXPO2024のオープニングセレモニーの一環として行われる。
(2024年9月1日付紙面より)