販売わずか、購入制限も
全国的なコメの品薄状態が続いている。当地方の売り場でも、平時は複数の銘柄が山積みされているが、8月29日現在は一つも置かれていなかったり、限られた銘柄がわずかに残るが10㌔の大袋は売り切れていたりする。たまに入荷があってもすぐに売れてしまう。
新宮市内のあるスーパーでは、コメが全て売り切れていた。別のスーパーでは、5㌔以下の無洗米のみが残り、さらに購入できるのは1人10㌔までの制限がかけられていた。入荷時期未定の張り紙がある店もあった。
一方で、新宮市緑ヶ丘のJAみくまの米工房では、山積みまではいかないものの在庫があり、10㌔の大袋も販売され、1人当たりの購入制限もない状態だった。スタッフは「うちは在庫が切れることはなく、何かしらのコメが必ずある」と胸を張る。
ただ、今はちょうど古米と新米の切り替え時期で、かつ精米に時間がかかるため、店先に多くを出せない実情があるという。「他のコメと交ざらないように精米した後に掃除をして次を精米する。最近は土日も休まず精米している」と明かす。実際に、店先に並んでいるのは新米だった。
例年ならこの時期は、誰もが新米を求めるため通常なら古米が残るが、今年は売り切れたとのこと。「大阪にいる家族や親類に送ると買う人もいる。いつも5㌔の人が20㌔や30㌔を買ったりする」と話していた。
なお、新宮市立の医療センターや蓬莱保育所など、給食を提供する公立施設では29日現在、コメの調達が滞るような事態は生じていないという。小中学校は夏休み中のため、給食は不要。また社会福祉法人黒潮園が運営する新宮市の特別養護老人ホーム黒潮園でも、同様に不足は生じていないとのことだった。
コメの品薄の要因としては、昨年の天候不順や、コロナ禍からの回復による外食需要の増加や外国人観光客の急増、パンや麺類の値上がりなどが伝えられている。ただ新米はすでに出回り始めており、品薄は9月以降、解消に向かうと予測されている。
(2024年8月31日付紙面より)

3年生対象に説明会 (矢渕中 )
進路選択の一助にしようと紀宝町立矢渕中学校(岩本拓志校長)は28日、高校説明会を町生涯学習センターまなびの郷で開いた。3年生56人と保護者が、三重、和歌山両県内の3校から特色や進路状況、入学試験について聞いた。
参加したのは、来年4月に開校する三重県立熊野青藍高校と、4月に新設される学科の一部定員が全国募集される和歌山県立新宮高校、私立の近畿大学附属新宮高校。各校の教職員が学科・コースの特徴、部活動、卒業後の進路、入試の内容、学校行事などを説明し、学校を紹介した。
あいさつした岩本校長は「高校再編で選択の幅は広がるが、大切なのはそこで何を学ぶか。将来を思い描き、実現するためには、どの高校に行くべきかを考えてほしい。この説明会が家庭で話し合う際の一助になれば」と呼びかけた。
青藍高校は紀南校舎(現在の紀南高校)に全日制総合学科、木本校舎(現在の木本高校)に全日制普通科と総合学科が開設される。普通科は目指す道に合わせて二つのコースに分かれる。
新宮高校は4月に新設される「学彩探究科」の定員の一部を全国から募集する。国公立大学、難関私立4年制大学を進路目標としており、教科書での知識習得だけにとどまらず、「もっと知りたい」という探究的な学びを大切にする。
近大新宮高校は国公立大学を目指す「アグレッシブコース」と、近大を含めた有名私立大学を目指す「フロンティアコース」があり、医療、教育、地域、水産、難関の五つのゼミでも学びを深める。
各校の教職員は学校行事や部活動、校内の雰囲気などについても話題に挙げ、目指す道への力になりたいと呼びかけていた。
(2024年8月31日付紙面より)


観光フォトコンテスト (新宮市 )
新宮市観光フォトコンテスト審査会が29日、新宮市役所別館であった。9人の審査員が66人から寄せられた力作189点を厳正に審査した。入選作品は市観光カレンダーやパンフレットなど、市のPRに使用される。
市観光カレンダー製作実行委員会(山本大輔委員長=市観光協会事務局長)が主催する事業で13回目を数える。今回は「魅力ある新宮市」をテーマとし、一般の部と学生の部(高校生以下)に分けて作品を募った。一般の部には46人から143点、学生の部には20人から46点の応募があった。
山本委員長や田岡実千年市長、熊野速玉大社の上野顯宮司などが審査員を務めた。作品は会場の机の上に、一般と学生に分けて並べられていた。審査員らは真剣な表情で、熊野速玉大社や新宮城跡、黒潮公園、熊野川、熊野古道など、四季や情緒を反映させた市内の世界遺産や祭り、文化財などを収めた力作の数々を審査。気に入った作品にシールを付けていった。
山本委員長は「今回の応募合計は189作品で、昨年より増加している。テーマにふさわしい作品を応募してもらった」と感想。田岡市長は「写真愛好家以外のいろいろな人にも応募いただいた。いい意味で広がりを見せていると感じている」などと語った。
(2024年8月31日付紙面より)

新宮市子ども・子育て会議
新宮市子ども・子育て会議の本年度第1回の会合が28日、新宮市役所であった。委員11人が出席。勢古啓子会長の再任を決めたほか、2025年度から5カ年の第3期子ども・子育て支援事業計画の策定に向けた協議を開始した。
市が同計画を策定するに当たり、意見聴取のために設置している組織となる。子どもの保護者、子育て支援事業の従事者、保育・教育関係者、学識経験者などで構成する。
役員改選では橋上慶一副会長の再任も決めた。勢古会長はあいさつで、子育て支援に関するアンケート調査の結果、新宮市を子育てしやすい環境と感じているとの回答が約70%だったことに言及。「ほっとしているが、まだまだ課題が多くある。もっと安心して子育てしてもらえるよう、計画を皆さんと作りたい。よろしくお願いします」と呼びかけた。
事務局が第2期の新宮市子ども・子育て支援事業計画の取り組み状況について報告した。さまざまな子育て支援事業についての利用・訪問・稼働実績などを明かした。
委員から、養育者の事情で養育が困難な場合などに子どもを一時的に児童養護施設などで預かる子育て短期支援事業について、委託施設は新宮市の他に田辺市、岩出市、白浜町などもあることから「(令和5年度の利用者数が)30人だが、新宮で利用したのか」との問いがあった。事務局は「空きがない場合に遠方にお願いすることがこれまでにあったが、5年度は市内で受けてもらった」と答えた。
事務局より、本年度中に行う第3期計画策定のスケジュールが示された。子育て支援に関するアンケート調査の概要を委託業者が説明した。「父親の子育て参画が増えている」「共働き家庭が増えている」「保育所や幼稚園に通っていない理由として、経済的な理由で利用できないが(前年度より)増えている」などと明かした。
勢古会長は「共働きが増えている現状や、経済的状況を目の当たりにすると、どの家庭も大変かと思う。そのあたりに支援が向けば」と感想を述べた。
事務局より、病児保育の問題に関しては2025年度中の解決に向けて検討していること。ファミリーサポート制度で本年度より、利用会員の利用料は据え置いたままで、センターから1時間当たり200円の報償費をサポート会員に上乗せして支払っていることが伝えられた。
(2024年8月30日付紙面より)

中央公民館で上映や展示 (古座川町 )
古座川町中央公民館で27日、夏休み平和アニメDVD上映会&「原爆と人間」写真展があり子どもやその家族などの鑑賞を随時集めた。
原水爆禁止新宮東牟婁協議会主催、町教育委員会後援。単独自治体枠で原水協を結成する串本町域を除く市町村域を管内にして初夏の国民平和大行進和歌山―広島コースの主導や各種平和活動への協力をする中、古座川町域で最近平和を考える機会が少なくなったとの相談を受け、できる範囲でこのイベントを計画し町立小中学校経由で告知をしたという。
「核兵器の恐ろしさと平和の尊さを考える」という趣旨で来場を呼びかけ。写真展は核兵器が使用された広島や長崎、水爆実験に巻き込まれた第五福竜丸の写真や絵画と関係するメッセージを対にしたパネルで核兵器がもたらす現実を伝え、それら光景を未来からなくするために立ち上がり活動する人々の姿も織り交ぜて平和を求めることの大切さを考えてもらう構成とした。
上映会は夏休みを過ごす子どもにも平和を考える機会を持ってほしいという思いで特に取り入れた趣向で▽対馬丸▽はだしのゲン―を上映しそれぞれの作品に込められたメッセージを託した。
同協議会の増田弘さんによると、写真展は同協議会が所蔵するさまざまな資料を活用し各地で開かれる平和活動に協力する形で適時開いているそう。今回のイベントは単発実施で、これをきっかけに同町域の平和活動の機運が高まる今後を期待した。
(2024年8月30日付紙面より)


川舟大工の谷上嘉一さん (紀宝町 )
熊野速玉大社の例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」における「御船祭(みふねまつり)」(10月16日)に向け、早船競漕(きょうそう)で使う櫂(かい)の製作が谷上嘉一さん(82)=紀宝町北檜杖=の作業場で進んでいる。
9月末までに、昨年より20本ほど多い80本を作る予定。8月中旬から作業を開始し、28日までに約50本を仕上げた。今後も櫂の長さなど、各地区の要望に応じて作っていく。
練習で舟と接触する部分が傷み、折れてしまうこともあることから、祭り本番はほとんどのチームが新品で出場するという。
谷上さんは舟作りの技術を全て独学で覚え、今では熊野川流域で唯一の川舟大工。軽くてしなりがある地元産シイの厚板を削り、熟練の技で仕上げていく。
櫂の長さは185~195㌢。ヒナと呼ばれる水かき部分は幅約21㌢。柄を付けて完成する。早船競漕は、全長8・9㍍、幅1・4㍍の木造船9隻に各11人が乗り込み順位を競う。
40年以上前から櫂を製作しており「長い歴史と伝統がある祭り。早船競漕はおととし、3年ぶりに復活し、久しぶりに本格的な祭りが再開したと感じた。今年も多くの人に見てもらいたい」と話していた。
(2024年8月30日付紙面より)

第205回職場対抗ボウリング大会
野生動物との関わり方は (那智勝浦町 )
全国的にツキノワグマやニホンザルなどの出没、人身被害が相次ぎ、熊野地方でも野生動物による農作物の被害が年々深刻化している。情報通信技術(ICT)を活用して那智勝浦町で対策に取り組む集落支援員(鳥獣害専属)の阪倉祐貴さん(36)と、解体処理施設「だものみち」を営む原裕さん(34)に、最新の獣害対策や野生動物との関わり方について聞いた。
阪倉さんは2021年4月、獣害に悩む色川地域住民の声を受け、地域おこし協力隊として着任。猟師の原さんらに技術を教わり、現在は市野々、那智、太田、色川地域で住民のサポートに当たっている。
獣害対策でICTの活用が日進月歩で進んでいる。ニホンザルへの対策では、捕獲した個体にビーコン・衛星利用測位システム(GPS)発信器付きの首輪を装着し、群れの行動や活動範囲、頭数を監視。人家や畑に近づいた際には周辺の住民へメールなどで情報共有し、箱わなに獣がかかった時にメールで知らせる「長距離無線式捕獲パトロールシステム」(通称:ほかパト)や、大型おりへの獣の侵入情報や扉の遠隔操作システムを備えた「ロボットまるみえホカクン」なども導入。効果的な追い払いや捕獲、対策の省力化につながっているという。
一方、2人は獣害対策における「環境整備」の重要性も強調。原さんは「例えばニホンザルは日本の固有種でもある。互いに存在を認識しつつ干渉しない『共存』に向かっていくのが理想。一朝一夕にいかないことは承知だが、山と里の間の緩衝地帯整備や、山の環境再生にも目を向ける必要がある。個々の畑の被害を食い止めることから飛躍した話にはなるが、理解を広げていきたい」と思いを語る。
阪倉さんも「どれだけ動物を捕獲したところで柵が不十分だったり、山に動物の食料がなかったりすれば、再び田畑に入ってきてしまう。動物の命をどう扱うかという問いに答えはないからこそ、目を背けずにやっていきたい」と話していた。
(2024年8月29日付紙面より)


日足バイパス下に一面 (新宮市熊野川町 )
新宮市熊野川町日足バイパス下で現在、復興のヒマワリ畑が満開となり、一面に明るい黄色のじゅうたんが広がっている。
熊野川地域フラワーツーリズム推進協議会(下阪殖保会長)のメンバーが植えたもの。2011年9月に発生した紀伊半島大水害後、被災した町を元気づけようと花を育て、コスモスや菜の花畑の名所として地域活性化を図っている。
ヒマワリは14年ごろから植え始め、現在は市立熊野川小学校の子どもらも種まきに参加。品種は、台風などの横風にも強いとされる「ハイブリッドサンフラワーNEO」を選んだ。
下阪会長は「水害がきっかけで始まった取り組み。台風が気がかりだが、近くに来た際にはぜひ足を運んでもらいたい」と話していた。
31日(土)と9月1日(日)午後7時~9時には、同所でヒマワリ畑のライトアップイベント「フラワー ガーデン アット ナイト」が開かれる。日中も「映えスポット」と飲食出店がある。荒天時は中止。
(2024年8月29日付紙面より)

公民館講座に小学生14人 (太地町 )
太地町公民館で25日、生涯学習講座の「かさねて発見!クジラのふしぎ―プラ板でクジラの解体図をつくろう!―」が開かれた。町立くじらの博物館の中江環副館長を講師に、夏休み中の小学生14人が参加した。
解体図は生き物の体の内側と外側のつくりを記録したり、解説したりするための図のこと。教室では、セミクジラを題材にした。
子どもたちはシート状のプラ板にセミクジラと骨格図、内臓図を写し取り、色を塗った。複雑な骨や内臓のラインに苦戦しつつも一生懸命取り組み、トースターで熱を加えて縮ませたらキーホルダーの完成。3枚を重ねることで、体のどの場所にどんな臓器があるのか、骨がどう守っているのかを観察できる。
松下あずさん(7)は「骨を描くのが難しかった。クジラの体の中が分かった」。畑地咲音君(12)は「内臓の線をなぞるのが難しかった」と語った。
中江副館長は「くじらの博物館には大きなセミクジラの骨格標本があり、内臓の展示もある。町内の小中学生は無料で入れるので、ぜひキーホルダーを持参して、観察してほしい」と呼びかけていた。
(2024年8月29日付紙面より)



新宮市役所で防災展示 (紀伊半島大水害から13年 )
紀伊半島大水害から9月で13年を迎える。新宮市では、熊野川町滝本で1828㍉など記録的な豪雨となった。2011年9月4日午前3時50分、市内で時間雨量100㍉を超え、全域で冠水した。広範囲に及ぶ集中豪雨が直撃し、熊野川流域の河川が増水・氾濫、濁流や土砂があらゆるものをのみ込み、市内各地で多くの家屋が浸水・全半壊するなど、甚大な被害をもたらした。
新宮市では各地域で起こった被災の記憶を後世に語り継ぎ、改めて防災について考えてもらおうと、9月5日(木)まで、市役所1階ギャラリーで「あの日を忘れない~未来へつなげる防災・減災~」と題した防災展示を開いている。土曜、日曜日を除く午前8時30分から午後5時15分まで。
ジオラマを操作し、過去の水害を再現するデモンストレーションを8月29日(木)午後2時30分、9月2日(月)午前10時から実施する。紀伊半島大水害と2017年の台風21号で市田川が氾濫した様子や、熊野川河道掘削、市田川の排水ポンプ設置など、被害軽減対策を講じたことによる変化も分かるようになっている。
市災害記録DVD「紀伊半島大水害 豪雨」を上映し、大水害時の写真パネルを展示。非常用持ち出し袋の見本も飾った。
避難所体験コーナーでは、段ボールパーティション、簡易トイレを紹介。耐震関係各事業、旅館等宿泊避難支援助成金制度など、市防災事業のチラシを配布している。
市防災対策課では「今回の防災展示を通じて、改めて台風、大雨への警戒をしていただき、事前準備や早めの避難を心がけてほしい」と呼びかけている。
(2024年8月28日付紙面より)


なちかつキッズの工作教室 (那智勝浦町 )
那智勝浦町地域ふれあいネットワーク実行委員会は26日、同町教育センター(旧三川小学校)でなちかつキッズの夏休み工作教室「万華鏡を作ってみよう!!」を開催した。元教師の久原和子さんを講師に、町内の小学生15人がビー玉万華鏡を作った。
同ネットワークは、教育関係者などで組織。共働き世代の増加などを受け、放課後や長期休暇中に子どもたちの居場所づくりのためにさまざまなイベントを開催している。
子どもたちは鏡を三角形に組み立て、ビー玉と一緒に筒の中に入れて組み立てた。万華鏡をのぞき込むと「万華鏡を回したら見え方が変わる」「反対側から見たら穴がいっぱい見えるよ」とさまざまな発見が。あいにくの雨のため、室内から外の景色などを眺め、光が生み出す不思議な光景を楽しんだ。
参加した長尾然人君(10)は「万華鏡を見るのは久しぶりだけれど、きれい」。弟の碧人君(7)は「工作板のマス目を見たらクモの巣みたいだった」と話していた。
久原さんは「いろんな所に持って行って、いろんなものを見てほしい」と話していた。
(2024年8月28日付紙面より)


和歌山工の2年生6人が (熊野速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)は、世界遺産登録20周年記念事業として、和歌山県立博物館と県立和歌山工業高校の協力を得て、国宝の御神像のレプリカ製作に取り組んでいる。24、25日には同校産業デザイン科の2年生6人が同社で、熊野速玉大神坐像(くまのはやたまのおおかみざぞう)と夫須美大神坐像(ふすみのおおかみざぞう)のレプリカを磨く作業に励んだ。
レプリカ製作は、文化財の保護意識をより広めたいと願う上野宮司が産業デザイン科の児玉幸宗教諭に協力を依頼し、実現した。1月に、県立博物館で産業デザイン科3年生が国宝御神像4躯(く)を3Dスキャナーで計測。2年生が引き継ぎ、コンピューターで全体像のデータ完成度を高め、専門業者に委託して今月、造形が完成した。
像には細かい溝が全体に生じているため、2年生が2日かけて作業に取り組んだ。紙やすりなどで磨き、滑らかな像に仕上げていった。
10月下旬には和歌山大学のミュージアムボランティア指導の下、当地方の子どもたちが着色作業を行う予定。同大社職員で神道芸術家の平野薫禮さんが、木目などを施し仕上げていく。
上野宮司は「長年の悲願がかない、児玉先生をはじめ県立博物館などの方々の協力に深く感謝しています。生徒の皆さんには作業や活動を通して、文化財などの大切さをより感じてもらい未来に語り継いでくれる存在になってもらえれば」と話していた。
来年は、1955年に同大社の古神宝が一括して「国宝古神宝類」に登録されて70年目に当たる。熊野速玉大神、夫須美大神、家津美御子大神(けつみみこのおおかみ)、国常立命(くにとこたちのみこと)の御像が2005年に国宝へと再指定され20年目を迎える。
(2024年8月28日付紙面より)

体験教室に20人 (新宮市 )
東海カップ新人空手選手権 (北道院拳法和歌山支部 )
那智勝浦町総体育スポ少バレー大会
初の勝吹ミニコンサート (新宮市 )
那智勝浦吹奏楽団による初の「勝吹ミニコンサート」が25日、新宮市福祉センターであった。メンバー19人が夏の一夜を華やかな音色で彩った。
今年で創立30周年の那智勝浦吹奏楽団。「歌って踊れる吹奏楽団」を目指して、これまで91カ所で289回の演奏を重ねてきた。今年は11月17日(日)に那智勝浦町体育文化会館で「第5回感謝コンサート」を開催する。
ミニコンサートは多くの人に吹奏楽や楽器に興味を持ってもらおうと企画。新宮市ボランティア・市民活動センターの協力で実現。普段、練習を重ねている市福祉センターを会場に選んだ。
コンサートはファンファーレで開幕。「サウダージ」「ナイルの守り」に続き、120年ほど前に作られた「ワシントンポスト」では、練習風景を披露した。
フルートやクラリネット、ホルン、トロンボーン、チューバなどの楽器紹介、チューバソロなどに続き、来場者全員が演奏に乗せて「ふるさと」を歌った。
アニメソング「限界突破×サバイバー」「ブリンバンバンボーン」や「きよしのズンドコ節」「マツケンサンバ」などおなじみの曲も演奏。歌や踊りも繰り広げ、アンコールに応えて「また会う日まで」を奏でた。
会場には美しくも迫力ある音楽が広がり、観客を魅了した。指揮者の大江伸二さんは、多くの来場に感謝し「私たちは音楽だけでなく、お客さんが喜んでくれる顔を見ることが楽しい。ミニコンサートは3、4カ月に1回程度開催していきたい」と話していた。
(2024年8月27日付紙面より)


勝浦四区の忠魂碑で (那智勝浦町 )
那智勝浦町の勝浦四区(楠本修一区長)は24日、忠魂碑前で戦没者や漁業遭難者の供養会と供養盆踊りを営んだ。今年で47回目。区民らが先の大戦や遭難事故で失われた命に思いをはせ、供養の念を込めて輪になって踊った。
忠魂碑には戦没者ら258柱が祭られており、その横には漁師229人が犠牲となった1892(明治25)年12月28日の勝浦サンマ漁船団遭難の史実を伝える記念碑も建立されている。供養会では正念寺の梶信隆住職が読経し、区民や遺族らが順に焼香し手を合わせた。
盆踊りでは「めはり音頭」や「勝浦節」、子ども向けの「エビカニクス」「勝浦節」などを流し、最後は「勝浦音頭(通称・念仏踊り)」で締めくくった。区民有志によるアイスやジュース、ビールを振る舞い、ヨーヨーすくいもあった。
終戦79年が経過し、遺族らの高齢化などで行事の存続が危ぶまれている中だが、区の防災用バッテリーや発電機、LED照明の使用訓練も兼ねるなど、工夫して実施。楠本区長は「多くの子どもたちも参加してくれてうれしい。亡くなった方に思いをはせる場として、今後もできる限り継続していきたい」と話していた。
(2024年8月27日付紙面より)


初号機の原因とともに公表 (スペースワン株式会社 )
スペースワン株式会社(豊田正和代表取締役社長)が25日、カイロスロケット2号機について12月中の打ち上げを目指している旨を公表した。
同社は串本町田原に射点がある射場「スペースポート紀伊」を運営。3月13日にカイロス初号機を打ち上げたが、約5秒後に自律飛行安全システムにより飛行中断(空中分解)する結果となった。
今月25日に同町内であった県主催イベント「宇宙シンポジウムin串本」で同社の遠藤守取締役が登壇し、初号機について固体燃料ロケット(第1段)の推進力が低い状況を同システムが検知し正常に飛行中断の判断をしたと説明。その原因は初号機が推進薬の燃焼速度を実際より高めに予測していたことや同システムが国内初搭載で飛行正常範囲を厳しく設定していたことに起因すると特定し、現在は推進薬燃焼速度計測プロセスの改善と同システムの飛行正常範囲の設定の見直しを図り2号機の打ち上げは可能と判断しているとした。
目下12月をめどに2号機を打ち上げる準備段階で、遠藤取締役は「たくさんの応援を地域の皆さんから頂き本当に感謝している。これをわれわれは糧として2号機の打ち上げに向け準備を進めていきたい」とし、引き続きの応援を求めた。
(2024年8月27日付紙面より)

沿線8市町村らの部会で (紀勢本線新宮―白浜間 )
紀勢本線活性化促進協議会新宮白浜区間部会の会合が23日、新宮市役所であった。2026年度の新宮―白浜間の1日の特急利用目標数値を1040人に設定した。次回10月の会合で、それぞれが目標達成に向けた施策を示すこととした。
1日当たりの特急乗車数は昨年度▽新宮駅105人(和歌山方面のみ)▽紀伊勝浦駅185人▽太地駅13人▽古座駅13人▽串本駅66人▽周参見駅12人▽白浜駅16人(新宮方面のみ)―の計410人だった。
部会では2026年度▽新宮駅240人(和歌山方面のみ)▽紀伊勝浦駅450人▽太地駅20人▽古座駅30人▽串本駅210人▽周参見駅50人▽白浜駅40人(新宮方面のみ)―を目標に掲げた。
前回、事務局が数値目標を特急列車のみと提示したが、今回は普通列車を加えた全列車の乗車人数の2案を用意。特急のみか、全列車とするか、自治体で意見が割れたが、事務局のとりまとめにより、当初案の「特急」で落ち着いた。
協議会は、紀勢本線の活性化を目的に、県内24市町村で組織。新宮白浜区間部会は、同区間の厳しい収支状況を受け設置した。白浜町以南の8市町村と県、JR西日本和歌山支社、和歌山大学で組織している。
JR西日本和歌山支社によると、JR発足時の1987年と比べ、紀勢線全体の利用はコロナ前で半減、直近では40%の水準になっているという。
(2024年8月25日付紙面より)


伝統の「二河の火祭り」 (那智勝浦町 )
室町時代から続く伝統の荒供養「二河の火祭り」が23日夜、那智勝浦町二河の三光山金剛寺で営まれた。寺の裏山で白装束の若者らがたいまつを回し、炎の輪を描きながら投げ上げた。
1510(永正7)年に始まったとされ、先祖代々の総供養も兼ねて地元で継承。二橋青年会が行事を受け継ぎ、保存会(大江政典会長)を組織して、毎年8月23日夜に実施している。
白装束の若者らが本堂で採り火し、裏山を駆け上がった。途中にある目神八幡の社を経て宝篋印塔(ほうきょういんとう)前で200本のたいまつに順次点火。たいまつは2組を針金でつないだもので、勢いよく回しながら頭上に張られた架線へ投げ上げた。麓の見物人や子どもたちが訪れ「今年はええぞ」「もういっちょ!」と声援が飛んだ。
青年会の大江和貴さん(35)は「人の温かさと炎の熱で、どこにも負けない、いい祭りだと思う」。小学生から参加しているという双子の井本裕大君(13)、陽大君(13)はともに「二河に明るい光をともすところが好き」と笑顔を見せていた。
(2024年8月25日付紙面より)



台風10号に備えタイムライン始動 (紀宝町 )
台風10号の接近に備え、紀宝町は22日午前9時、今年初めて事前防災行動計画「タイムライン」を始動した。23日午後には町、熊野市消防本部紀宝分署、町消防団、県、津地方気象台などとオンラインで連携会議を開き、今後の対応を確認した。
タイムラインは、紀宝町が全国に先駆け2014年に立ち上げた。今回で41回目となり、町総合防災行政アドバイザーの松尾一郎さんは「紀宝町にとって要警戒の台風。皆さんの結束力で対応してもらいたい」と述べた。
連携会議では、ウェブで津地方気象台、紀南河川国道事務所が最新の台風情報を提供した。津地方気象台によると、今後、暴風域を伴って北上し、接近する27日(火)から28日(水)は雨が一層強まり、警報級の大雨となる可能性がある。
高潮や土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水などに警戒するよう伝え、26日(月)までに早めの対策を求めた。
気象防災アドバイザーの村中明さんは、23日午前9時現在の予報円の中心付近を進んだ場合、紀宝町では27日午後6時~午前0時ごろ最接近し、1時間最大80~100㍉、総雨量300~400㍉の予想と伝えた。
その上で「現在の予報より、さらに発達して接近する可能性がある。現状では26日ごろから本格的な雨が降り始めると想定される。降り出しが早まるか、降り方が強まれば、予想の降水量を大きく上回る可能性がある」とした。
町では水防施設、防潮扉の点検などを済ませ、会議終了後、タイムラインステージを2(準備)に移行した。大雨・洪水警報などが発表されるとステージ3(早期警戒)に引き上げ、災害対策本部を設置する。
(2024年8月25日付紙面より)

厳しい残暑予想、注意が必要
新宮市で7月に観測史上最高となる39・6度を記録するなど、今年は異例の猛暑となっている。気象庁の発表によると、9月に入っても厳しい残暑が続くと予想される。
新宮市消防本部管内では、今年7月末までに1070件の救急搬送があった。昨年同期より87件多く、新型コロナウイルスや熱中症の増加が主な要因だった。
熱中症による搬送は、7月中、おととし2件、昨年9件だったが、今年は15件に上った。8月はおととし4件、昨年5件で今年は12日までに7件となった。
市消防本部内での観測によると、7月の平均気温はおととしが26・7度、今年は29度まで上がった。
熱中症搬送は高齢者が多く、室内でも起こる。高齢者は体温を下げるための体の反応が弱くなっており、自覚がないのに熱中症になる危険がある。
熱中症にならないために▽室温をこまめにチェックし、エアコンや扇風機などを活用する▽喉が渇かなくても水分補給をする―などの注意が必要で、世話をする人は、普段と様子が違うと感じたら、ためらわずに医療機関に受診させましょうと呼びかけている。
今後も30度を超える日が予想される。家の中でも室温や湿度が高いために、体から熱が逃げにくく熱中症になる場合があり、注意が必要だ。
(2024年8月24日付紙面より)

工藤勇一さんが講演 (那智勝浦町教育研究会 )
那智勝浦町教育研究会(堺高行会長=下里小学校長)は21日、町内10の小中学校をオンラインでつなぎ、教育講演会を開催した。宿題ゼロや定期テストなしなど、先進的な教育改革で知られている学校教育アドバイザー工藤勇一さんが「社会の変化とこれからの学校教育」と題して講話し、教職員約130人が耳を傾けた。
工藤さんは千代田区立麹町中学校(東京都)の校長時代に▽定期考査・宿題の廃止▽固定担任制の廃止▽服装・頭髪指導の廃止▽数学での一斉指導廃止―といった数多くの改革を行い、生徒の自律を促す教育実践で全国から注目を集めた。現在は学校教育アドバイザーとして活躍している。
工藤さんは各校から出された質問に沿い▽自律(主体性・当事者性)▽不登校対応▽保護者対応▽問題行動対応▽地域対応▽子に応じた指導・学力向上―の6項目で講演。
「ノートを取らないと学力が上がらない」といった従来の教育現場にある思い込みについて「なぜノートを取るのか考えたことはあるか。ノートの目的は、大事なことや自分の感じたこと、疑問を記録する習慣をつけ、思考を整理すること。一方で、読み書きに困難のあるディスレクシアなどの子には、タブレットやパソコンを使ってもらう、聞いて覚える訓練をするなど、ノートを取らない選択肢もある。学び方は人それぞれ。自分に合った学び方を自己決定する機会を」と語りかけた。
堺会長は「夏休みも残すところ10日。南海トラフ地震の不安が払拭されたわけではないが、2学期はやってくる。より充実した2学期、3学期になるよう、工藤先生に示唆を頂き、生かしてほしい」と話していた。
(2024年8月24日付紙面より)

復興のヒマワリ畑も開花 (近大新宮中 )
近畿大学附属新宮中学校(池上博基校長)の1年生45人が23日、新宮市熊野川町の国道168号「日足道路」下の田んぼで稲刈り体験をした。手作業で稲穂を刈り取り、収穫を喜んだ。
紀伊半島大水害からの復興や地域活性化に取り組む地域住民の姿を、生徒に伝える狙いもあり、「ふるさと教育」の一環で毎年1年生が同所で米作りを行っている。
地域で休耕田解消の活動を行う「MYNS(マインズ)」や、JAみくまの、和歌山県が協力。田んぼは約10㌃で、銘柄はコシヒカリ。
生徒たちは鎌で稲を刈り取り、コンバインで脱穀。1粒も無駄にしないよう、落ちた稲穂も一本一本丁寧に回収した。収穫量は約400㌔の見込みで、文化祭「近大新宮祭」で販売する。
加藤希乃羽さん(13)は「みんなで楽しく取り組めた。お米が大好き。素材の味が感じられる塩結びや白米で食べたい」。中山悠吏さん(12)は「運ぶのが重くて大変だった」と話していた。
日足道路下では現在、熊野川地域フラワーツーリズム推進協議会が種まきした復興のヒマワリ畑も開花。2、3日で満開を迎える見込みで、下阪殖保会長は接近中の台風10号の影響を心配しつつ「紀伊半島大水害がきっかけで、復興のシンボルとして始まった取り組み。当時を思い出しつつ、きれいなヒマワリを楽しんでほしい」と話していた。
(2024年8月24日付紙面より)


門林三千生さんが日本代表監督に (那智勝浦町出身 )
臨時情報受け、さらなる取り組み (新宮市 )
8日に気象庁が南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表して以降、15日の呼びかけ終了まで、新宮市は災害対策本部会議を設置。地震・津波対策配備をし、24時間態勢で情報収集に当たった。市防災対策課では現在、今回の経験を踏まえ、さらなる地震への備えに取り組んでいる。
今回は「巨大地震注意」だったが、「巨大地震警戒」が発表されると、事前避難が必要な地域がある。
市では「広報新宮2月号」で周知を図ったが、ハザードマップに対象地域の表示がないため、本年度中に盛り込み、市のホームページで公開する予定だ。
事前避難対象地域は、地域の実状などを踏まえ、住民事前避難対象地域(事前避難対象地域のうち、全ての住民などが後発地震の発生に備え1週間避難を継続すべき地域)、高齢者等事前避難対象地域(事前避難対象地域のうち、要配慮者に限り後発地震に備え1週間避難を継続すべき地域)がある。
市内では、住民事前避難対象地域が▽熊野地2丁目▽あけぼの▽王子町2、3丁目の一部―に該当する。高齢者等事前避難対象地域は▽阿須賀1丁目▽熊野地1、2丁目▽あけぼの▽王子町1、2、3丁目▽田鶴原町2丁目▽三輪崎1、2、3丁目―となっている。
市防災対策課の職員は「対象地域で出前講座などの啓発を考えている」と話している。
(2024年8月23日付紙面より)

田原のサロンで健康講演 (串本町 )
串本町の田原ふれあいいきいきサロンが21日に田原山村交流センターであり、前回利用した町地域リハビリテーション活動支援事業の結果説明を交えた健康講演を受講するなどした。
コロナ禍に伴う活動休止を経て現在、基本2カ月に1回の頻度で開設している同サロン。前回は健康と介護の中間状態・フレイル(虚弱)の概念を学びつつ体成分分析や体力の各測定などに取り組み、今回はその結果を踏まえて意識し実践してほしい事柄の説明を受ける機会として参加を呼びかけた。
当日は9人が参加。前半は言語聴覚士の輪野裕理さんが「フレイル予防とお口の健康」と題して登壇し、フレイルの概念を全般的に振り返りつつその中の一つ「オーラルフレイル」に注目して健康の度合いの確かめ方や唇や舌の働きが衰えている場合のトレーニング方法を紹介した。併せて歯も大事にしてしっかりとした食生活を続け、健康寿命を延ばそうと促した。
後半は同事業を監修する株式会社シグの理学療法士・高垣弘行さんが「健康寿命延伸に向けたアセスメント~身体の課題に気付いて予防策を~」と題して登壇し、体成分分析や各測定の目的と結果の捉え方を項目ごとに一通り説明した。体成分分析ではSMI(手足の筋肉量)のスコアが特に注目すべきところで、その値を基準値以下にしないこと、また極端な低下を招かないことが重要だと示唆。高齢者にありがちなところで筋肉量を増やすために運動をしているのに低栄養で筋肉をエネルギー源として消費したら運動をする意味が薄れると指摘し、そうならないよう事前の栄養補給(水分や糖分などの摂取)を心がけるよう強調した。
起きてすぐの散歩前には軽く水分と糖分を補給した方がいいと推奨。75歳を過ぎたら社会でいわれている健康法以上に何でもしっかり食べるで過ごしてほしいと促し、その妨げになるオーラルフレイルの予防の大切さを意識付けるなどした。
講演後はそうめんの振る舞いを受けて散会。10月は地区の敬老会があるため、同サロンの次回は12月に実施予定という。
(2024年8月23日付紙面より)


サマーボランティアスクール (太地町 )
太地町多目的センターを拠点に20、21の両日、サマーボランティアスクールが開かれた。中学3年生4人が参加し、座学や避難所宿泊体験、炊き出し、高齢者向けスマホ教室などを通じ、地域の一員として元気に楽しく暮らしていくために自分にできることを考えた。
町社会福祉協議会(岡本研会長)主催。実践を通じて主体性を養い、地域の人々とのつながりを築くことなどを目的に長年実施している。ボランティアの心構えや災害に関する座学だけでなく、竹灯籠作りや料理なども多く取り入れている。
今年のテーマは「スマホで異世代交流」。デジタルネイティブ世代のスキルを生かし、スマートフォンやタブレット操作に不慣れで情報弱者となりやすい高齢者の悩みに寄り添う企画とした。
前日に想定される質問や説明方法について考え、準備してきた中学生たち。教室には地域から5人が参加し、アプリの入れ方やグーグルマップの使い方、スマホとスピーカーのつなぎ方などについて質問。「どんなゲームを入れているの?」「中学生の皆さんは誰に使い方を教わったの?」と会話に花を咲かせた。
参加した梅野博子さん(84)は「娘がスマホに変えてくれ、本も送ってくれて勉強中。ひ孫の写真が見られたり、音楽が聞けたりとありがたい反面、画面が変わってしまってパニックになることも。今日はスマホで電気代と電話代を確認できるように設定してもらった」と笑顔。
福嶋希良さん(15)は「ゆっくり分かりやすく説明することを意識した。普段自分が使わない機能だと、答えにくいところもあった」と振り返る。田中結仁さん(14)は「泊まった避難所の段ボールベッドは硬くて、やっぱり不便なことも多いと分かった。高齢者の方の話し相手になるなど、自分にできるサポートをしたい」と話していた。
(2024年8月23日付紙面より)

第62回新宮花火大会
熊野徐福万燈祭「第62回新宮花火大会」が20日、新宮市の熊野速玉大社下の熊野川河川敷であり、ナイアガラが水面を照らした。約4万5000人(主催者発表)が夜空に咲く6000発の大輪の花を堪能した。
秦の時代に渡来したと伝わる徐福の遺徳をしのぶために始まった花火大会。当初は13日に予定されていたが、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)のため、この日に延期となっていた。花火大会を前に、12日には同市徐福の徐福公園で徐福供養式典が営まれた。
花火打ち上げに先立ち、新宮仏教会による初精霊供養が斎行された。田岡実千年市長は「例年同様、人気の高い水上スターマインやナイアガラ、ミュージックスターマインなど数々の素晴らしい花火を準備しています。ここ熊野川を舞台に咲く大輪の花を心ゆくまでお楽しみください」とあいさつした。
今年は「世界遺産登録20周年記念」と銘打ち、カウントダウンに合わせてスターマインで開幕した。熊野川を舞台にミュージックスターマインや水上スターマイン、同時早打ちを繰り広げた。河川敷には約300㍍にわたって夜店が並び、多くの家族連れや子どもらでにぎわった。
(2024年8月22日付紙面より)


蓬莱会館で断水時対応実習 (新宮市 )
新宮市の丸山橋町内会自主防災組織(楠本隆幸代表)は20日、同市の蓬莱会館で断水時対応実習を開いた。市水道事業所や市、那智勝浦町、御浜町の防災対策関係の職員ら10人が参加し、同組織が和歌山県で初めて購入した災害用給水タンク「ホリフトウォーター」の設置方法などを学んだ。
南海トラフ巨大地震に備えて生活の中で大切な水の確保と、取り付け手順の習得を目的に行われた。
「ホリフトウォーター」は、産業用包装資材製造販売の堀富商工株式会社(大阪府)が開発した折りたたみ式の給水タンク。軽量かつ手作業で容易に組み立てることができ、1㌧の貯水が可能でコンパクトに収納ができるという。設置することで市が所有する3台をはじめ、応援に駆け付けた給水車の巡回がスムーズに行える。
実習では、同社営業部の中村功一係長が組み立て手順を説明。取り付け位置や固定、向きなどを実演しながら丁寧に伝えた。参加者はのぞき込みながらメモを取り、熱心に質問して理解を深めた。
楠本代表は「想像していたよりも分かりやすくて安心しました。これから自分たちで回数を重ねて慣れていきたい。災害時には地区の住民だけでなく、どんな人でも『ここに足を運べば水がある』と思ってもらえれば」と話していた。
(2024年8月22日付紙面より)

新制服も披露される (熊野青藍高校 )
来年4月に開校する三重県立熊野青藍高校のオープンスクールが20日、木本校舎となる県立木本高校と、紀南校舎となる県立紀南高校で初めて開かれた。制服が初めて披露されたほか、中学3年生約220人と保護者が新校の特色を聞き、授業を体験した。
木本校舎には全日制普通科と総合学科、定時制普通科、紀南校舎には全日制総合学科が開設される。新しい制服は経過措置として2027年度入学生までは入学する校舎にかかわらず、木本・紀南両校卒業生の制服を譲り受けて着用できることにする。最初の卒業生が出た後の28年度入学生以降は熊野青藍の制服のみとする方向性が示された。
木本の普通科(全日制)は入学時から教育課程が異なる二つのコースに分かれ、希望する進路に応じた教科を学ぶ。国公立大や難関私立大の文系、理系への進学を目標にした「特進コース」は現在の選抜コースに当たり、一般入試だけでなく、地域枠推薦、指定校推薦など多様な入試制度を活用し、進路実現を目指す。「普通コース」は私立大の文系学部、短大、看護医療系の各種専門学校、公務員、就職など幅広い進路実現に対応する。
木本の総合学科は2年生以降、「情報ビジネス系列」と「リベラルアーツ系列」に分かれ、多様な科目を選択して学びを深める。
紀南の総合学科は地域デザイン系列と産業マイスター系列の2系列、「総合進学コース」「ビジネスコース」など五つのコースを設ける。
この日午前は木本高校で学校説明があった後、授業体験と部活動見学が行われ、午後から紀南高校でも学校説明と授業体験が行われた。
(2024年8月22日付紙面より)


「英語書籍」が米国で出版
2011年9月に熊野地方を襲った紀伊半島大水害から13年が経過する中、当時の被害実態や緊急対応、その後の防災減災対策などをまとめた英語書籍「(和訳)日本で激甚化する土砂災害―2011年紀伊半島豪雨災害―」が米国で出版された。立命館大学の深川良一教授を編著者に、全国の研究者らが共同執筆した。
未曽有の豪雨により、戦後最大規模の土砂災害が発生した紀伊半島大水害では、直後から地盤工学会や日本地質学会などが総勢78人の「地盤災害合同調査団」を組織して調査を行い、同年11月に報告書を出版。その後も3カ年で災害メカニズム解明や避難・防災対策の提言を目的に研究を続け、16年には地盤工学会誌に提言部分をまとめた全8回の連載も行った。
それらの研究活動が実を結び、22年6月ごろに米国から出版の声がかかった。内容は連載を下敷きに、海外の人々にもイメージが伝わりやすいよう再構築。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の文化財が受けた被害状況や、1889(明治22)年の十津川大水害(明治の紀伊半島大水害)から130年後に田辺市龍神村で行われた水難慰霊碑の墨入れなど、新たな内容や提言も増補した。
8章「(和訳)紀伊半島大水害後の防災減災対策」の執筆者の一人である後誠介さん(和歌山大学客員教授)は「10年以上にわたる研究成果を社会に還元できる良い機会になった。海外の方はもちろん、日本にいる外国人の方々にも、東アジアのモンスーン地帯で起こる水害について知るきっかけになればうれしい」と語る。
豪雨、水害、土砂災害、そして来たる南海トラフ巨大地震。あらゆる自然災害と共にある「災害大国日本」だからこそ、当地方でも過去の災害の教訓を継承し、次なる災害に備えるために多くの取り組みがなされている。地球規模の気候変動で異常気象の頻発化・激甚化が予想される中、これらの知見は必ずや世界の人々の役に立つはずである。
(2024年8月21日付紙面より)

愛友会員など20人が奉仕 (勝浦八幡神社 )
那智勝浦町の勝浦八幡神社(髙橋正樹宮司)の例大祭=9月15日(日)=に向けた準備が始まっている。8月17日には、例大祭で用いる櫂伝馬(かいでんま)の蔵出しがあり、櫂伝馬保存会(林宣行会長)と青年たちで構成する愛友会(小川駿会長)の会員など約20人が奉仕した。
櫂伝馬船は全長約9㍍、幅は広い部分で約1・6㍍の木製の舟。祭り本番は、色とりどりのささ飾りを立てて港をこぎ回り、海上神事では神輿(みこし)を引き合うなど重要な役割を果たす。青年らの「愛友会舟」、中学1年生が乗る「赤舟」、2年生の「白舟」、3年生の「黄舟」などからなり、昨年まで南紀くろしお商工会青年部が乗っていた船には高校生が奉仕する予定だ。
奉仕者らは境内倉庫などに収蔵していた5隻を引き出し、勝浦2区漁民集会所前へ。清掃の後、港に浮かべ、浸水などがないかを確認した。乗船する中学生たちは、近日中に保護者を交えて説明を受けた後、練習に入る。
愛友会の小川会長は「今年は新しく加わるメンバーも多いので、楽しんでやってもらいたいです」と話していた。
(2024年8月21日付紙面より)

5年ぶり太地町花火大会
太地町の太地漁港周辺で19日夜、5年ぶりに町花火大会が開催された。早打ちや仕掛け花火、スターマインなど1000発の大輪が夜空を彩り、人々を楽しませた。
くじらの町として知られる同町では、古式捕鯨を再現する太地浦勇魚祭や盆踊りとともに、長年盆供養花火大会を開いており、コロナ禍の中止期間には町民から多くの再開を望む声が寄せられていた。
今年は14日に予定していたが、南海トラフ地震臨時情報を受けて延期。それに伴い、太地浦勇魚祭と盆踊りは中止したが、会場には夕方から浴衣姿や甚平姿の人々が来場し、夜店と花火を楽しんだ。
友人と参加した東桃子さん(15)は「久しぶりの花火大会。最後にサプライズの打ち上げもあって、地元の花火に感動した」。世古愛奈さん(14)は「きれいだったし、すごく大きな花火でびっくり。新しい浴衣で来ました」と笑顔で話していた。
(2024年8月21日付紙面より)

学童軟式野球(C級)和歌山県大会
三輪崎とともに県大会へ (全国スポ少大会バレー )
那智勝浦町花火大会
第15回那智勝浦町花火大会が18日、ブルービーチ那智であった。今年は「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年を記念し、約7800発の花火が夜空を彩った。
町民手作りの花火大会として、実行委員会(串俊男会長)が中心となって実施。南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を受け、11日から延期を経て開催した。
日曜開催とあって約2万8000人(主催者発表)が訪れ、大輪の花火を堪能。大会長の堀順一郎町長があいさつで多くの来場者を歓迎した。
1~4章で構成し、世界遺産登録20周年を祝した「山の章」で開幕。那智の滝をはじめ多くの世界遺産を有する町の歴史を語る神秘的な花火を繰り広げた。
第2章の追善供養では、観音浄土に通じるとされる補陀落の浜から故人を追悼。手筒、噴水花火も観客の目を引いた。第3章「海の章」は最新創作花火コレクションなど趣向を凝らした。
フィナーレは「花火大太鼓」「那智勝浦の夢、宇宙へ」と銘打ち、音と光の競演を演出。多くの観客が那智の浜に広がる色鮮やかな花火を堪能した。
会場には「祝 世界遺産登録20周年!」「なちかつ花火楽しみにしています!」「花火大好き!楽しみにしています!」などの応援メッセージを飾った。
(2024年8月20日付紙面より)


木彫り作家の杉本紘子さん (串本町 )
串本町出雲に工房はまなすを構えて創作に打ち込む木彫り作家・杉本紘子さんの作品「おかえり」が国際公募展「サロンドトーヌ」で入選に選ばれた。前回出品した作品「愛」に続く評価で、この結果を受け「周囲と違うのは欠点ではない。だからこそ輝ける場所があると伝えたい」と思うところを語る。
この公募展は120年の歴史があるフランスのサロン審査で、過去にピカソやルノワール、レオナルド藤田やヒロ・ヤマガタなど世界的に著名な作家も入選した芸術家の登竜門として知られる。
杉本さんは元国家公務員で、2019年の辞職後に伝統工芸士から木彫りの基礎を学んで同町へ移住し創作を始めた。後に木彫り工房はまなすを構え、県美術展覧会や全国伝統的工芸品公募展に出品して評価を得ながら技量を高め、町公民館本館教室の講師を務めるなど地域への木彫りの裾野拡大にも献身している。
この公募展へは昨年初応募し、初入選して作家としての大きな励みを得た。今回の作品「おかえり」は紀州ヒノキ材を彫り込んでワオキツネザルの母親が戻ってきた子どもを温かい表情で迎える様子を表現した内容で、大きさは24㌢×53㌢×12㌢。昨年の晩秋に構想を固め3カ月がかりで彫り上げ、今年の3月初旬に応募した。届いた結果は入選で、「正直なところ『これでいいのかな』と半信半疑だったので、連絡を受けたときはびっくりしました」とそのときの心境を語る。作品はすでに送付済みで、現地時間で10月22日(火)から27日(日)まで、パリ市内の特設会場で展示されるという。
人付き合いが苦手で独特な考え方の自分が頑張れる領域として木彫り作家の道を選び、幸せを感じていると歩みを振り返る杉本さん。「人付き合いが苦手故に一人でこつこつ頑張れ、独特だからこそオリジナリティーを発揮できる。短所が長所に変わる証明ができたと思う」と今回の結果を振り返り、「周囲から勝手にダメな烙印(らくいん)を押されて自信をなくしている人が一人でもご自身の可能性を信じて挑戦し、自分らしく生きるきっかけになれば」と思いを掲げ、結果を喜んでいる。
(2024年8月20日付紙面より)


滝の拝で「灯籠まつり」 (古座川町 )
古座川町小川で18日夕方~夜半、イベント「滝の拝を彩る灯籠まつり」があり滝の拝と約700個の色彩や淡い明かりが共演する光景が鑑賞を集めた。
このイベントは、過去にあった趣向の復刻を目指す有志が実行委員会を立ち上げて昨年に試行実施。有志の中核、池田拓哉実行委員長(36)によると、素地となるノウハウを組み上げ、今年は同町を保養先とする和歌山トヨタ自動車株式会社の協賛も得て本実施へと踏み出したという。
今回は滝の拝の周囲へ灯籠約200個、グラスキャンドル約500個を並べ、中へろうそくや発光ダイオード(LED)ライトを入れて午後6時ごろに一斉点灯。薄暗い中での実施となるため会場整理に気を配りながら夕闇が深まるのを待った。
灯籠の傘は手作りで、この日の来場者や保養のため来町中の同社社員家族が好きな絵を描いて仕上げ、同実行委員会へ託した。起伏がある河原は安全確保のため立ち入り禁止とし、見物客は滝の拝橋上や堤防道路上からその光景を眺めた。イベントに連動して線香花火のワークショップやキッチンカーの出店もあり、夕闇が深まるまでの待ち時間や鑑賞後の小休憩時に利用を集めた。
告知は口コミと会員制交流サイト(SNS)、加えて町内でのチラシ配布で行った。今年は那智勝浦町花火大会とほぼ同発の実施となったが、数十台分の駐車場がほぼ満車となる来場を得たという。
池田実行委員長は「幻想的な空間を見てまた戻ってきたいな、と地元の子が離れても帰ってきたくなるまちであり続けられるようなイベントにしたい」とコメント。「春は七川、夏は小川、秋は明神。冬はどこでしょうということで祭りを作る。そういう風に四季折々の祭りがあった方が楽しいまちになると思う。その一環」と思いを掲げ、ゆくゆくは町に託せるような祭りとして育てていければと語った。
(2024年8月20日付紙面より)


大迫力の三尺玉海上自爆 (熊野大花火大会 )
三百有余年の歴史と伝統を誇る「熊野大花火大会」が17日、熊野市の七里御浜海岸であり、夜空と熊野灘に1万発の大輪が咲いた。砂利浜には16万人(主催者発表)が詰めかけ、鬼ヶ城大仕掛けや呼び物の三尺玉海上自爆など〝熊野の花火〟を堪能した。
この日は猛暑の中、朝から青空が広がり、多くの花火ファンが町に詰めかけた。日中、歩行者天国などで遠来の観光客をもてなした。午後7時過ぎ「熊野古道世界遺産登録20周年記念花火」で開幕。台船や鬼ヶ城からの迫力ある打ち上げ、スターマインなどが次々と打ち上がった。
三尺玉海上自爆は400㍍の沖合の海上にいかだを浮かべ、直径600㍍にもなる三尺玉が爆音とともに見事に花開いた。フィナーレを飾る鬼ヶ城大仕掛けは「巌頭(がんとう)のとどろき」と銘打ち、彩色千輪で幕開け。漆黒の夜空を一瞬のうちに極彩色の世界へと変えた。
全国屈指の花火大会が幕を閉じた後、観衆が一斉に携帯電話の明かりをかざし、花火師に「ありがとう」を伝えた。花火師たちは、1発の花火を打ち上げ、感謝への気持ちに応えた。
(2024年8月20日付紙面より)

伝統の「佐野柱松」勇壮に (新宮市 )
害虫駆除や五穀豊穣(ほうじょう)を願う伝統の火祭り「佐野柱松」が16日夜、新宮市の新宮港緑地公園であった。約2000人(主催者発表)が来場し、夏の夜に浮かぶ炎の軌跡を目にしながら、高さ約17㍍にある御柱(おんばしら)上部の籠を目がけて火の付いたたいまつを投げ入れる勇壮な儀式を堪能した。
1959年ごろに途絶えたが、地元の有志「佐野柱松実行委員会」によって93年に復活して以降、多くの観客を集める夏の風物詩となっている。かつては「熊野の花火か佐野の柱松」と称されていた。近年はコロナ禍により中止となっていたが昨年、4年ぶりに催された。
開催に当たり、実行委員会の瀬古尊夫会長が地域住民や地元企業らの協力に感謝し「祭りが復活して32年目。この先、柱松が40、50、60年と未来永劫(えいごう)続くよう会員一同、頑張っていきますので今後ともよろしくお願いします」とあいさつ。田岡実千年市長と垣下純三・佐野区長が、関係者の尽力に感謝と敬意を表した。
祭りは火興し儀式で幕開け。創作太鼓・紀宝楽による演奏やくろしお児童館の子どもたちの創作踊り、花火の打ち上げなどが会場を盛り上げた。同市三輪崎出身の小阪芳史さんがアイスカービング(氷の彫刻)を実演し、来場者を魅了した。
たいまつの投げ入れでは、参加者が佐野木遣り節にのせて立てられた御柱に火の付いたたいまつを勢いよく回し籠を狙って挑戦。あと一歩及ばず、子ども、大人ともに成功はならなかった。
瀬古会長は「雨の心配もなく、無事に催すことができてよかった。何より、大勢の方が足を運んでくれたことがうれしい。たいまつ投げを成功させた人はいなかったが、それも楽しい思い出。来年以降も素晴らしい祭りを見せられれば」と話していた。
(2024年8月18日付紙面より)


700発に歓声上がる (紀宝町 )
第18回紀宝町花火大会(同実行委員会主催)が16日、紀宝町鵜殿の鵜殿港で開催され、約700発の花火に歓声が上がった。
毎年15日に開催しているが、今年は高波の影響で、追善供養のみを予定通り実施し、花火の打ち上げは翌日の16日に延期することを当日に決定していた。
8日に発表された南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を受け、期間中に予定されていた熊野地域の花火大会の多くが延期になり、お盆の恒例の打ち上げ花火が見られない状況が続いていた。
この日は町内外から多くの家族連れ、若者らが集まり、夜空に大きく開いた念願の花火を楽しんだ。花火が打ち上げられると、明かりで海面が色鮮やかに染まり、訪れた人たちは思い出を残そうとスマートフォンのカメラを向けていた。会場や周辺には地震発生時の避難経路を示す看板が設置されるなど防災対策が取られた。
(2024年8月18日付紙面より)

ジャパン選出の新屋岳投手 (那智勝浦町 )
NOMOベースボールクラブのジュニア・オール・ジャパンメンバーに選ばれた中学生硬式野球チーム「和歌山南紀ボーイズ」(増田昇司代表)の新屋岳投手(下里中3年)が16日、那智勝浦町役場を訪れ、堀順一郎町長に18日から25日(日)まで行われる米カリフォルニア州への遠征に向けて意気込みを報告した。
新屋さんは9歳から同町の「那智勝浦少年野球クラブ」で野球を開始。135㌔のストレートやスライダー、ツーシームなどの球種を持つ投手で、中堅手もこなし活躍している。今年3月には、南紀ボーイズ初となる全国大会出場に大きく貢献。県支部の推薦を得て選抜トライアウトに挑んだ。
訪問には、増田代表と父・勝久さんが同行。新屋さんは「貴重な機会を与えてもらいうれしい。現地での練習や試合でいろんな選手の技術を吸収し、自分と南紀ボーイズの向上につなげていきたい」と決意を語った。
堀町長は「日頃の努力が実を結んだことはもちろん、代表をはじめ野球に精通した方々の指導があったからこそだと思う。試合や観戦など、全てにおいて視野を広く持っていただき、今後の野球人生に生かしてもらいたい」とエールを送っていた。
14日には太地町役場を訪問した。
(2024年8月18日付紙面より)

忠魂碑前で戦没者慰霊祭 (新宮市 )
新宮市遺族会は終戦記念日の15日、熊野速玉大社(上野顯宮司)境内の忠魂碑前で「新宮市戦没者慰霊祭」を営んだ。市内の遺族をはじめ、田岡実千年市長、市遺族連合会の池上順一会長ら関係者20人が参列。英霊に対し、追悼の誠をささげるとともに、平和への誓いを新たにした。
戦後79年を迎え、慰霊祭では黙とうの後に神事が営まれた。浦安の舞を奉納し、参列者たちが忠魂碑前に玉串を供え、悲惨な戦争を繰り返さぬよう手を合わせた。
田岡市長は「多くの方が戦後生まれ。風化が懸念されているが、若い世代に知ってもらい、平和な日本を築いていく取り組みを続けたい」と誓った。
熊野速玉大社では毎年欠かさず慰霊祭が営まれており、上野宮司は、沖縄を訪れる意味を説き「来年は戦後80年を迎える。慰霊の誠を続けないといけない。意識が薄れていくのは仕方ないが、伝えていくことが私たちの責務。人間の手によって起こされた戦争は、人間の手によって償わなければならない。この努力を続けることがわれわれの責務」と述べた。
(2024年8月17日付紙面より)



色川盆踊り大会にぎわう (那智勝浦町 )
那智勝浦町大野の円満地公園で14日夜、盆踊り大会があった。色川青年会(東条雅之会長)主催。子どもから大人まで、地域内外から大勢が訪れ、有志で復活させた大ちょうちんの下で輪になって踊った。
色川盆踊り保存会が実施してきた伝統行事で、昨年青年会が運営を引き継いだ。今年も盆踊りを盛り上げようと、倉庫に眠っていた大ちょうちんを有志で復活させ、「色川盆踊り手ぬぐい」も制作するなど準備に取り組んできた。
夕方から色川の特産品などを使った食べ物や飲み物の夜店が並んだ。午後7時に盆踊りがスタートし、青年会や元保存会メンバー、一般の人々が輪になった。見よう見まねで輪に加わった大西みちさん(7)は「唐揚げとベビーカステラ、カレーも食べて楽しかった」と笑顔。
東条会長は「昨年は台風による延期もあったが、今年は多くの方が参加していただけてよかった。とても幸せな空間だと思う。今後も地域を盛り上げていきたい」と語った。
(2024年8月17日付紙面より)


地震臨時情報の終了を受け
「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」の呼びかけ終了を受け、JR紀勢線和歌山―新宮間の特急「くろしお」、名古屋―紀伊勝浦間の特急「南紀」が15日、運転を再開した。8日の臨時情報発表を受け、運休していた。
徐行運転を行っていた普通列車も通常速度の運転に戻り、16日の始発から通常通りの運転を再開した。
16日は台風7号の影響で東海道新幹線が計画運休となったことから、新宮駅を出発する特急の乗客も少なかった。大阪方面、名古屋方面からの特急が到着すると、スーツケースや大きなバッグを背負った人たちが降り立った。改札口付近では、家族や友人らが出迎えた。
新宮駅によると、臨時情報期間中、コロナ禍以前のお盆時期に比べ、乗客はかなり少なかったという。
大阪から初めて観光で来た夫婦は「特急南紀に乗りたくて、名古屋まで行ってから乗った。再開するかドキドキだったけど、無事、到着してよかった。新宮で1泊して熊野三山を巡り、特急くろしおで帰る予定」と語っていた。
(2024年8月17日付紙面より)

【第74回】フードマイレージ
毎日暑い日が続きますね。夏は年々気温が高い日が増えているような気がします。今回は、そんな温暖化にも関わる食育のお話をしようと思います。
皆さんは「フードマイレージ」という言葉をご存じでしょうか?「フードマイレージ」とは「food(食べ物)」と車や飛行機などの輸送距離を表す「Milage(マイレージ)」を合わせた造語です。フードマイレージはどれくらいの食べ物がどれくらいの距離運ばれてきたか、を数値化したものです。計算方法は結構シンプルです。
「食料の総輸送量(t)」×「輸送距離(㎞)」=フードマイレージ(t・㎞)となります。例えば、10tのトウモロコシを、100㎞輸送した場合は、フードマイレージは、10t×100㎞で1000t・㎞となります。日本は島国なので、輸入食材に頼ってしまうと、そのフードマイレージはかなり高い値になってしまいます。現在の日本のフードマイレージは、9002億t・㎞といわれています。この値は世界トップクラスなんです。これは、韓国やアメリカの約3倍、イギリス・ドイツの約5倍と際立って大きい数字になっています。品目別に見ると、飼料穀物(トウモロコシなど)と油糧種子(大豆・菜種など)がその大部分を占めています。
フードマイレージが高いと、何が問題か、それは環境への影響です。フードマイレージが高いということは、それだけたくさんの食料を長い距離、飛行機や船・トラックなどで輸送しているということですから、CO2の排出量が上がり、環境への負荷も上がっているというわけです。このフードマイレージに、輸出手段ごとの二酸化炭素排出係数をかけると、輸入食材が日本の港に到着するまでに排出される二酸化炭素の量は、1700万tと試算されるそうです。
では、このフードマイレージを減らすために、私たちにできる取り組みはなんでしょうか。その一番身近な解決方法は、ズバリ地産地消です! 地元で取れた魚やお肉・野菜を、地元で消費することこそ、フードマイレージを最も低くすることができるわけです。しかも新鮮で、旬なものが多く、栄養価も高くなるので、いいことずくめですよね。紀南地方は、お魚も新鮮なものも多いですし、果物や野菜もたくさん取れるので、地産地消にはあまり困らないのではないでしょうか? それ以外にも、スーパーなどで食材を選ぶ際に、国産のものを選ぶというのも、お勧めです。この夏休み、ぜひお子さんとお買い物に行った時などに、一緒に地域のものや国産のものを探してみてください。そして、フードマイレージの話もしてみてほしいと思います。一人一人の心がけが、地球の環境全体につながるということが、よく分かると思います。食と環境問題につながりがあるということを、少しでも伝えられたら、うれしいです。
(2024年8月17日付紙面より)
市屋地区で5年ぶり盆踊り (那智勝浦町 )
「盆の供養に感謝を込めて 老いも若きもこよいは踊る」。熊野地方各地の盆行事を彩る地踊り。13日には那智勝浦町の市屋地区で、コロナ禍を経て5年ぶりの盆踊り大会が開催され、地域住民や帰省中の家族ら約100人が歌に踊りに、にぎやかな盆の一夜を過ごした。
市屋地区には、古くから伝わる「鈴木主人 白糸くどき」や「シャシャ坊くどき」、昔ながらの盆踊り歌のメロディーに引地貞子さんが地元の池の歴史にまつわる歌詞を付けた「与根河の池音頭」などが伝わる。
盆踊りはおなじみの「めはり音頭」「炭坑節」「東京音頭」でスタートし、地踊りでは「鈴木主人 白糸くどき」を踊った。昨年地元に帰ってきたという西田幸江さん(77)は「子どもの頃は踊れるおじさん、おばさんがたくさんいて、当時の方々を思い出します。踊れる人は少なくなっても、地域の方々が踊りを守ってきてくれたことがありがたい」と語る。大勢の子どもたちもかき氷の振る舞いに集まり、踊りの輪に加わる姿もあった。
カラオケ大会では初盆供養や故人をしのび、「おふくろさん」「おかあさん」「蛍」などを歌う姿も。会場全体で「ふるさと」を歌い、最後は豪華抽選で締めくくった。
音頭取りを務めた東佐平さん(80)は「これほど多くの人が参加してくれたのは初めて。途切れていた盆踊りを1996年に復活させ、今年は5年ぶりの開催。昔ながらの行事をこれからも引き継いでいきたい」と語る。
今年、それぞれの地域の盆行事に参加する際には、地域の歴史ある地踊りの歌詞にも注目してほしい。
(2024年8月15日付紙面より)


平和の歴史展関係の講演 (串本町 )
串本町文化センターで11日、東京都立第五福竜丸展示館の学芸員・安田和也さんによる講演があり約20人が聴講して核兵器の危険性を考える一助にするなどした。
この講演は、第五福竜丸建造の地平和の歴史展実行委員会(西野政和実行委員長)が6日から11日まで同センターで開いた企画展「ビキニ被爆70年 平和の歴史展」関係行事の一つ。同委員会は10日に映画「第五福竜丸」上映会、11日にこの講演を計画し、企画展と併せての参加を呼びかけた。
実施に当たり西野実行委員長は旧古座町、旧串本町、現串本町の平和を求める取り組みの歴史には誇るべきものがあると全国でも先鋭的な現・原水爆禁止串本町協議会の立ち上げや意見書提出の実績を振り返って自負。「核兵器が使われる危険性が世界で今かつてなく高まっている中、まちを挙げた伝統があるということは私どもも誇りに思う。核兵器禁止条約の前文には核兵器の残虐性、非人間性に目を向ける必要性がうたわれている。われわれも若い人や子どもたちに伝えていく使命がある」とあいさつし、聴講を促して参加を歓迎した。
安田さんは「ビキニ水爆実験70年~第五福竜丸から世界のヒバクシャへ、核なき世界を~」と題して登壇した。1980年代半ばに約7万発に達し、以降高まる廃絶気運で現在は推定1万2120発と減少しているが、実戦配備数は増える傾向にあると核兵器の現況報告。核実験は世界でこれまでに2063回繰り返されその状況に巻き込まれた第五福竜丸の被ばくの経緯を原爆マグロなど後の影響拡大も交えて振り返り、さらに日本だけでなく実験の場となったマーシャル諸島の住民、実験に立ち会った兵士、原料のウランを採掘する先住民(ネーティブアメリカン)など核実験でさえ安全とは言い難い被ばくを広げていることを伝えた。
英国、フランス、中国、旧ソ連の実験回数と方法も振り返って同様の状況が世界に広がり、さまざまな形で反対論が巻き起こった末に国連で採択された核兵器禁止条約が発効するに至っている。
安田さんは「広島、長崎の惨状を見るまでもなく、実験を繰り返しただけでこれだけの被害が出ている。そのことをたくさんの人と考え、伝え、知らせる中で本当に核兵器をなくしていく声をもっと広げることが必要だと思う」と思いを掲げて講演を締めくくった。
(2024年8月15日付紙面より)

「予定通りに帰省」
南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)発表中の異例のお盆休みは半ばに差しかかろうとしている。旅行や帰省を含めて日常生活における社会経済活動を継続しつつ、地震への備えを再確認するよう呼びかけられており、熊野地域でも帰省した人たちが束の間の休暇を取っている。
第62回新宮花火大会が予定されていた13日午後、同市相賀の高田第1自然プールの駐車場には関西や中京ナンバーを中心とした車で満車になっていた。お盆の期間だけ配置されている警備員が、他に駐車できる場所を案内するなどして対応していた。
河原には日よけのカラフルなテントが並び、ライフジャケットや浮輪を身に着けた子どもたちが泳いだり、網を持って生き物を探したりしながら水遊びを楽しんでいた。
第1自然プールの監視員によると、日曜日だった12日は今夏最多の682人が訪れた。監視員の男性は「地震の影響もあり、一番多い日で700人以上だった昨年のお盆より少ない。5割程度は地元外から。駐車場が空いておらず、残念ながら帰ってしまう方もいた」と話していた。
愛知県北名古屋市から家族で紀宝町に帰省した女性(58)は「臨時情報は心配だが、愛知県も同じ状況なので、予定通り帰省することにした」。大阪府枚方市から家族3人で那智勝浦町に帰省した女性(38)は「子どもが海に行きたがっていたが、閉鎖されているので川に遊びに来た。高田川は子どもの頃によく来た場所。新宮花火も行きたかった」と残念がっていた。
(2024年8月15日付紙面より)


サマーサッカーフェスに18チーム
ジャパン選出、米国遠征へ (和歌山南紀ボーイズ )
供養式典に60人が参列 (新宮市 )
新宮市徐福の徐福公園で12日、徐福供養式典が営まれた。熊野徐福万燈祭運営委員長の田岡実千年市長をはじめ、一般財団法人新宮徐福協会の里中陽互代表理事や濱口太史県議、市議、市民ら約60人が参列し、徐福の遺徳をしのんだ。
徐福は今から約2200年前、中国を統一した秦の始皇帝の命を受け、不老不死の霊薬を求めて熊野に渡来したという伝説がある。公園内には、紀州藩初代藩主・徳川頼宣の命で1736年に建立された墓碑(市指定文化財)がある。
式典で里中代表理事は「今年も徐福さんに思いをはせる日がやってきた。徐福さんが取り持つご縁は、国内外を問わず友好的で平和的な交流の礎構築に寄与してきた。混沌とした世界情勢に鑑み、今こそ徐福さん顕彰の理念である友愛の絆を見つめ直さねば」と述べた。
日本関西崇正会の城年徳名誉会長は「徐福先生は私たちの大先輩。新宮市の皆さまが長きにわたり、弔っていただき感謝しております」と伝えた。
徐福の墓前で田岡市長が、農耕や捕鯨などの技術を日本に伝えたとされる徐福に感謝し「新宮市の発展と日中両国や徐福の縁(えにし)につながる多くの人々、国内伝承地のより一層の繁栄と友好、そして永遠(とわ)の平和へのお導きとともに、お守りくださらんことを祈念します」などと祭詞文を読み上げた。参列者たちは、新宮仏教会の読経の中、墓前に線香を手向けた。
翌13日に予定されていた世界遺産登録20周年記念「熊野徐福万燈祭(第62回新宮花火大会)」は、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の発表を受け、20日(火)に延期となった。当日は、注意喚起など安全確保対策を講じる。
(2024年8月14日付紙面より)


ペルセウス座流星群極大 (串本町 )
真夏の天体ショー「ペルセウス座流星群」が12日深夜に極大(出現するピーク)となり、真夏の夜空をさっと流れる様子が各地で見物を集めた。
ふたご座やしぶんぎ座と並んで特に出現する数が多いことで三大流星群に数えられているペルセウス座流星群。冠する星座の名前はその星座付近を中心にして放射状に流れることを示していて、その星座が頭上(天頂)に近づくほど広い範囲で見られるようになる。
ペルセウス座流星群の極大は例年13日ごろとされているが今年は12日午後11時ごろとやや早めの予想が出され、月明かりの影響が少なくさらに深夜~未明が見頃とされる中で比較的早い時間帯に極大を迎える好条件と全国的に注目されたところでもある。
熊野地方の10、11日の深夜~未明は時折雲が夜空を覆い隠す不安定な状況だったが、12日は終夜ほぼ晴天で、暗い夜空では天の川も見て取れる観察日和に。道の駅くしもと橋杭岩では自家用車から付かず離れずの距離で見物する人の姿があり、極大前後では比較的長く明るい火球が出現する頻度も高まりその光景が目に付くたびに興奮の声が響き渡っていた。
(2024年8月14日付紙面より)


帰省客や観光客でにぎわう
南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表された異例のお盆休みが始まった。熊野地域の観光スポットなどは帰省や観光で訪れた人でにぎわっている。
紀宝町井田の道の駅ウミガメ公園には11日、県外ナンバーの車やバイクが次から次へと途切れることなく訪れた。無料で入場できるウミガメ水族館は多くの家族連れでにぎわい、情報提供休憩コーナーにはソフトクリームやかき氷で涼を取る人でいっぱいになっていた。
ただ、普段の連休に比べると利用者は2割ほど少なく、ウミガメ公園は臨時情報が影響しているとみている。公園には今年3月、防災拠点の一つとして円筒型鉄筋コンクリート造2階建ての一時避難場所が完成した。地震発生時には海抜約20㍍の屋上に最大200人が避難できる。物産館3階や下り場地区への避難誘導も想定している。
河部友彦駅長は「(臨時情報を受け)地震が発生した場合は、お客さまをどう誘導するかスタッフ間で改めて話し合った。普段の連休より少なめだが、忙しさは変わりない。県外の方が多く立ち寄られている」。
山梨県甲府市から家族3人で熊野市の知人宅を目指すという女性(36)は「海も川もきれいな所と聞いていたので、行きたい気持ちが強く、予定通り行くことにした。津波とは無縁の地に住んでいるので怖さは感じているが、備えもしてきたし、避難場所なども確認しているので楽しみたい」と話していた。
(2024年8月14日付紙面より)


「乳幼児の命を守る会」に聞く
8日夕方に起きた宮崎県沖の日向灘を震源とする地震を受け、気象庁は次の地震に注意を呼びかける「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を初めて発表した。自治体は避難場所・避難経路の確認、水や食料の備蓄、家具の固定などを必要な備えとして呼びかけている。子育て家庭に防災の大切さを伝えている新宮市の「乳幼児の命を守る会」に日頃から意識すべき備えを聞いた。
普段の生活の中でできる備えは①非常用持ち出し袋の用意②非常食、水の1週間分の備え③寝室の安全確保④枕元には靴を用意⑤窓ガラスに飛散防止シートを貼る。カーテンを閉める⑥扉付近や階段には物を置かない⑦かばんの中に健康保険証や母子手帳のコピーを入れておく(家族の写真をビニール袋に入れておく)⑧ビニール袋や新聞紙は身近に確保⑨利用しているスーパーなどの出口の確認⑩避難場所を家族で話し合っておく⑪ガソリンは半分になったら給油⑫防災について情報を集める⑬防災行政無線の登録をしておく。
守る会は、ビニール袋でご飯を炊く方法を防災キャンプなどで伝えており、災害時に役立つ調理法をあらかじめネットや交流サイト(SNS)で調べておくことも備えの一つになる。キャンプなどアウトドアでのメニューや、調理方法も参考になる。
トイレについては、非常用トイレの備えがなければ身近なもので代用できる。組み立てた段ボールの上部に丸く穴を開け(便座のようにする)、ガムテープで補強し、ごみ袋を二重にかぶせる。新聞紙を入れたり、紙おむつを入れたりして吸水材の代わりにし、使用後はごみ袋を1枚残して捨てる。
守る会の勢古啓子委員長は「臨時情報で怖さを感じている人も多いと思う。明日はわが身なので、慌てずに行動してほしい。普段食べているものを少し多めに買い置きしたり、枕元に懐中電灯や靴を用意したりと、できることから備えてほしい」と話している。
(2024年8月11日付紙面より)



井田観音で盆踊り (紀宝町 )
紀宝町井田の井田観音で9日、盆踊りが開かれ、ほうきで害虫を追い払う様子を表現した「ほうき踊り」に子どもから大人まで多くの人が大きな輪をつくった。
井田観音は1258(正嘉2)年に西忠次氏が海岸で見つけ、家に祭ったのが始まり。江戸時代から続くという盆踊りは、農作物の収穫を終える時期に観音へ感謝の念を込めて奉納している行事で、その中で踊られる「ほうき踊り」は町指定文化財になっている。
盆踊りは地元の人たちでつくる井田観音ほうき踊り実行委員会が、井田観音を開帳する毎年8月9日に開催している。
堂の横に組まれたやぐらの周りには浴衣姿の子どもたちが集まり、地元の人に教わりながら「甚句」などの昔踊りに挑戦した。「ほうき踊り」では歌い手の音頭に合わせ、ほうきを突き上げたり、払ったりしながら踊っていた。
実行委員長の前地敏久さんは「天気がよく、無事に開催できてよかった。たくさんの人が参加してくれ、楽しんでくれてうれしい」と話していた。
今年は小学生以下の子どもを対象にしたじゃんけん大会が行われたほか、恒例の抽選会も盛り上がった。
会場では焼きそばやフランクフルト、飲み物などが用意され、子どもたちはヨーヨー釣りをしたり、かき氷で涼んだりしていた。
(2024年8月11日付紙面より)



南海トラフ地震臨時情報受け
那智勝浦町は南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を受け、町内施設の対応を発表した。
町営バス各路線や道の駅なちの那智駅交流センター・農産物直売所は通常通り営業予定。交流センター内の丹敷(にしき)の湯は、おおむね1週間をめどに閉鎖する。
玉の浦海水浴場は9日をもって閉鎖。なお、ブルービーチ那智(那智海水浴場)は毒クラゲ「カツオノエボシ」のため7日に閉鎖判断をしていた。
住民には▽避難場所や避難経路の確認▽自宅内の安全(家具の固定など)▽非常持ち出し品の準備▽家族との連絡―などを呼びかけている。
(2024年8月11日付紙面より)

振興局に給水スタンド (新宮市 )
プラスチックごみ削減を図るため、新宮市の東牟婁振興局1階の入り口に8日、給水スタンドが設置された。無料でマイボトルに水を補充でき、早速「普段からマイボトルだが、家から持ってくる分では足りない」と水筒を持参する職員の姿もあった。
プラスチック製品は今や生活に欠かせないものだが、みだりに捨てられて散乱し、海に流れ着いて環境や生物に影響を与える「海洋プラスチックごみ問題」が世界的課題となっている。
これらの状況を受け、和歌山県では率先してマイボトル利用を促進しようと、昨年度は県庁に、本年度は日高、西牟婁、東牟婁の三つの振興局に給水器を設置。使い捨て容器の原料となる資源の節約や、容器の製造・運搬で発生する二酸化炭素の排出削減、使い捨て生活の見直しなどを目的にしている。
給水器は水道直結型で、フィルターを通した冷水・常温水が出てくる。一般の来庁者も利用可能で、連日の猛暑の中、活用を呼びかけている。
(2024年8月11日付紙面より)


南海トラフ地震臨時情報受け
気象庁は8日、日向灘を震源とする地震に連動し、巨大地震が起きる可能性が平常時より高まっているとして「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を初めて発表した。1週間程度、注意を呼びかけている。これを受け、熊野地方の各市町では花火大会などの対応に追われている。(9日正午現在)
那智勝浦町は、11日(日・祝)に開催予定の第15回那智勝浦町花火大会を当面延期とした。予備日の12日(月・振休)も開催しない。今後については現在、中止を含めて検討中のため、開催日時(もしくは中止)が決定次第、改めて町ホームページや交流サイト(SNS)で公表するとしている。
新宮市は、13日(火)の熊野徐福万燈祭(第62回新宮花火大会)について検討しており、現在のところ、開催の有無は未定。決定次第、市のホームページで発表する。12日の徐福供養式典は通常通り開催する。三輪崎海水浴場は、16日(金)までをめどに閉鎖する。
太地町は14日(水)の太地町花火大会と太地浦勇魚祭を予定通り開催する。
紀宝町花火大会は15日(木)に予定通り開催する方針で、町では避難路の案内や避難誘導員を増やすなどの対応を強化する。熊野市は17日(土)の熊野大花火大会を開催の方向としているが、今後、協議を進めるという。
(2024年8月10日付紙面より)

大人向けのおはなし会で (広島原爆投下から79年 )
広島に原子爆弾が投下された1945年8月6日から今年で79年を迎えた。新宮市を拠点に活動する読み聞かせボランティアグループ「おはなしの玉手箱」による「おとなのおはなし会『ちっちゃい こえ』をきく」が8日、新宮市の市福祉センターで開かれ、昼下がりに集まった約20人が物語を通して命の尊さを考えた。
おはなしの玉手箱は新宮市内の保育所、学童で読み聞かせ活動をしている。子どもたちへの絵本を選ぶ中で、丸木俊・丸木位里の「原爆の図」の絵を基にしたアーサー・ビナード脚本の紙芝居「ちっちゃい こえ」(童心社)に出合い、「大人や中高生に向けて読んでみたい」と初めて大人向けのおはなし会を計画した。
メンバー9人が3月ごろから準備に取りかかり、命、平和な日常の尊さを感じさせる絵本を選んだ。「よあけ」(ユリー・シュルヴィッツ、福音館書店)に始まり、東日本大震災を描いた「ひまわりのおか」(ひまわりをうえた八人のお母さん・葉方丹、岩崎書店)、「100万回生きたねこ」(佐野洋子、講談社)、紙芝居「ちっちゃい こえ」、「うみのハナ」(すけのあずさ、BL出版)、「ふしぎな月」(富安陽子、理論社)と夜明けから夜に向けて時間が流れるよう構成した。
「ちっちゃい こえ」はネコの視点で家族のこと、体の中からの声、原爆の恐ろしさが描かれ、どうすれば生きていけるのかを訴えかけている。集まった人たちは読み手の声に耳を澄まし、物語に思いをはせていた。
代表の谷中きよ子さんは「大人に読んでみたいという気持ちで企画し、一生懸命練習してきた。8月6日を意識したこの日に自然と向かっていった。命について考えてもらうきっかけになれば」と話していた。
(2024年8月10日付紙面より)


お盆の帰省にも影響か
「南海トラフ地震臨時情報」に関連し、鉄道にも影響が出ている。9日の和歌山―新宮間の特急「くろしお」、名古屋―紀伊勝浦間の特急「南紀」が全て運休となった。両区間とも普通電車は運行している。
お盆の帰省にも影響が出る可能性が高く、今後について新宮駅では、JR西日本、JR東海のホームページで確認してほしいとしている。
新宮駅では、放送や掲示などで状況を知らせるとともに、9日朝から駅を訪れた観光客らに説明した。仕事で新宮市を訪れたという男性(53)は「くろしおで和歌山の実家に帰る予定だった。急きょ、レンタカーを手配した」と話していた。市内でゲストハウスを営む男性は「初めての経験なので、今日、新宮を出る外国人のお客さまにどう説明していいか分からない」と困惑した表情を浮かべていた。
気象庁は、南海トラフ巨大地震の想定震源域でマグニチュード8クラス以上の新たな巨大地震が起きる可能性が平常時より高まっているとし、南海トラフ地震臨時情報を発表。「今後の政府や自治体などからの呼びかけなどに応じた防災対応を取ってほしい」と呼びかけている。
(2024年8月10日付紙面より)

新宮高校と新翔高校の両学校運営協議会委員による本年度の第1回再編整備協議会が7日、新宮高校会議室であった。2026年4月に両校が統合して誕生する、新高校の校名候補を「新宮高等学校」に決めた。校名候補は和歌山県教育委員会に提出する。9月以降、県教委が発表する予定だという。
校名候補は6月1~30日に公募し、地域の住民、中学生と保護者や両校の生徒、卒業生などから2565件の応募があった。
結果、「新宮」が93・6%を占める2402件だった。「新宮という地名の付いた高校を残したい」「歴史と伝統のある新宮高校の名前を残したいから」「元は一つの高校だったから」などの理由が多数だった。新翔は10件(0・4%)、その他153件(6%)となった。
統合校の制服は、両校の生徒らによるプロジェクトチームで進めており、「アクティブで活発なイメージの制服を」「LGBTQの観点を」などの意見があり、本年度中の完成を目指している。委員からは「保護者は金額面を気にしている。親の意見も取り入れてほしい」といった声があった。体操服はすでに決まっている。
校名が新宮高校となった場合、校歌は現新宮高校校歌を引き継ぐ方針で、校章は新しく作る方向で進めていく。
□ □
■校舎名
校舎は現新宮高校を「新宮校舎」、現新翔高校を「新翔校舎」として、両校の校名を残していく。新宮校舎は学彩探究科と普通科の1~3年生、総合学科の1年生、新翔校舎は総合学科の2、3年生と自立(仮)の1~3年生が使用する。定時制と通信制は新宮校舎となる。
(2024年8月9日付紙面より)


松實海斗・陸斗兄弟が表敬訪問 (新宮市 )
新宮市出身の松實海斗さん(17)と陸斗さん(17)が7日、新宮市役所を訪問し、日本代表として出場したレスリング「U―17アジア選手権」男子フリースタイルの結果を報告した。兄・海斗さんは51㌔級、弟・陸斗さんは48㌔級でそれぞれ3位に入賞した。
双子の2人は3歳からレスリングを始め、中学校卒業まで新宮ジュニアレスリングクラブで練習に励んできた。和歌山県内屈指の強豪、県立和歌山北高校に進学し、現在2年生。
アジア選手権は6月にヨルダンのアンマンであった。
訪問には、和歌山北高レスリング部の三輪大珠監督が同行。海斗さんは「ヨルダンは、湿気が少ないけど気温が高く、体調管理の維持を心がけました。試合ではインドの強豪選手に勝った時、手応えを感じた」と報告。将来の夢として「五輪で活躍できる選手になれるよう、練習を重ねていく」と決意を伝えた。
陸斗さんは「結果はうれしいが、優勝できなかった悔しさもあり複雑な気持ち。体を大きくし、技術とメンタルの両面のレベルアップを図りたい」と今後への意気込みを語った。
田岡市長は「アジアで二人そろっての銅メダル獲得は十分、世界で活躍できる可能性がある。ぜひ4年後のロサンゼルス五輪を目指して、新宮市の名を広めてくれる選手になってもらいたい」とエールを送っていた。
□ □
那智勝浦町の体育文化会館で6日から、「令和6年度紀の国わかやま国体開催記念レスリング強化合宿」が行われている。県内外の中高生など約300人が10日(土)までの5日間、練習に励んでいる。
参加者の技術向上と、地域のスポーツ振興を図ろうと15年ほど前から実施。2015年に催された国体の競技会場となった同会館は、宿泊施設が近いことなどから全国の選手が集まる強化合宿の会場として定着している。
今年は関西大学、全国高校総体(インターハイ)を制した鳥栖工業高校(佐賀県)などや県立新宮高校レスリング部の選手とOB、OGをはじめ県内の中学校・高校のほか、新宮ジュニアレスリングクラブの選手たちも参加した。
指導は、アトランタ五輪銅メダリストで中央大学レスリング部ヘッドコーチの太田拓弥さん(新宮市出身)と同五輪男子フリースタイル57㌔級に出場した阿部三子郎さん、昨年の全日本選抜選手権、アジアの両大会で優勝した遠藤功章さん、アジア選手権2位の鈴木絢大さんが務めた。
7日には、全体のスパーリングとヨガを実施。選手たちは2人一組になって太田さんらから「手だけではなく、足も使う」「相手の体勢を崩しやすい方法を考えて」などのアドバイスを受けながら組み手や引き落とし、「がぶり」の練習に汗を流した。
太田さんは「大勢の選手が技術の向上を目指し参加してくれた。年々、レベルも上がっており楽しみです。さらなる高みを目指し、一人でも多くの五輪で活躍する人が出てくれれば」と話していた。
(2024年8月9日付紙面より)


Kidsアカデミー近大新宮
サマースクール「Kidsアカデミー近大新宮」に参加する高学年の児童30人が7日、新宮市役所を訪れ、市の仕事を学んだ。議場も見学し、当局と議員に分かれて一般質問を繰り広げ「夏休みを増やしてください」などと質問した。
スクールは近畿大学附属新宮高校・中学校とNPO法人Go―Kuma―Kids(大西章夫理事)が主催する、学童スタイルの初の催し。地域の小学生72人が9日まで、さまざまな自然体験やふるさと学習に取り組む。
Go―Kuma―Kidsは子育て世代が中心となり、新宮市を拠点に2022年に設立。未来を担う子どもたちに、ふるさとへの愛情を育んでもらうことなどを目標に遊びや学びの場を提供している。
この日、高学年は市役所内の市長室を訪問。田岡実千年市長に市消防団の団員数、市役所の建物の広さなど、鋭い質問をぶつけた。
別室に移動し、市職員が「将来の新宮市をこんなまちにしたい」と決めた目標を実現していくため、誰がどんなことに取り組んでいくのか具体的にまとめたものが市総合計画、と紹介。▽安心・安全に暮らせるまちづくり▽心豊かな人を育むまち▽共に支え合い幸せ感じるまち▽安定した雇用を生み出すまち▽魅力ある文化がつなぐにぎわいのまち▽健全かつ効率的な行財政運営―の六つの目標を説明した。
(2024年8月9日付紙面より)


9月の追い込み漁解禁前に (太地町 )
太地町で9月からイルカなどの小型鯨類の追い込み漁が解禁されるのを前に、和歌山県警警備企画課と新宮警察署は6日、同町多目的センター横の敷地内で特別警戒本部現地警戒所(増田雅美本部長)の開所式を行った。漁期が終わる来年3月末まで24時間態勢で警察官が常駐し、捕鯨を巡るトラブル防止と治安維持に当たる。
くじらの町として知られる同町ではこれまで、反捕鯨団体によるドローン飛行や無許可撮影などで住民とトラブルが起きており、2011年から現地警戒所を設置している。
県警によれば、コロナ禍による外国人の入国制限が解除された昨年には国内外合わせて約50人(うち10人が外国人)の反捕鯨団体関係者の来町を確認。今年はさらに多くの海外活動家の来町が懸念されると警戒感を強めている。
開所式には関係者20人が出席。増田本部長は部隊員15人を前に違法行為の未然防止と、海上保安庁、町役場、町漁協などとの連携強化の重要性を訴え「半年以上にわたる警戒活動では、早朝から深夜まで過酷な勤務が予想される。町の住民が安心して生活ができるよう、一丸となって最善を尽くし、目的を完遂することを期待する」と訓示。警察官たちがパトカーなどでパトロールへ出発した。
(2024年8月8日付紙面より)


文化セで「平和の歴史展」 (串本町 )
企画展「ビキニ被爆70年 平和の歴史展」が6日、串本町文化センター2階ホワイエで始まった。11日(日・祝)までの実施で、開場中は入場無料で随時鑑賞できる。
この企画展は第五福竜丸建造の地平和の歴史展実行委員会(西野政和実行委員長)主催。1954年3月1日にビキニ環礁であった水爆実験(ブラボー実験)に伴う降灰で第五福竜丸とその乗組員が被ばくして70年が経過した節目に、後に第五福竜丸として改装されたカツオ漁船・第七事代丸建造の地として核兵器廃絶の願いを共にするため実施している。
会場はフォトジャーナリストの豊崎博光さんが核実験の影響を受けたマーシャル諸島など世界各地の住民や自然を写真として残すという使命感を持って撮影した作品「世界のヒバクシャ」パネル(東京都立第五福竜丸展示館所蔵)を中心にした構成。世界唯一の被爆国・日本が受けた被害や核実験に関係する人々の証言、非核・平和の町宣言をしている串本町の平和活動史や現在の町長の思い、核兵器の禁止に関する条約の条文や資料となる書籍なども織り交ぜ、核兵器や核実験の愚かさをさまざまな角度から伝える構成としている。
開場時間は午前9時~午後5時。関連して10日(土)午前10時と午後1時の2回、映画「第五福竜丸」上映会(鑑賞無料、定員先着50人、予約不要)が開かれるほか、11日午前10時から東京都立第五福竜丸展示館の学芸員・安田和也さんによる講演会(受講無料、予約不要)も実施する。
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初日の6日は町立串本中学校(濱﨑和司校長、生徒106人)が同センターで平和登校日活動(=映画鑑賞会)を実施し、その延長でこの企画展も鑑賞して知識と平和への思いを培った。新田凜さん(1年)は「実際にけが(=被爆)をした人の写真を見てとても心が痛かった。争い事は小さいうちになくしてこういうことを引き起こさないといけないと思った」とコメント。この機会に生徒との対話に努めた西野実行委員長(76)は「核兵器やその実験は広島や長崎だけでなく、世界各地でさまざまな影響を与えている。普段は話題にならないその実態を、この機会にぜひ知ってほしい。論議はさまざまだが、核兵器がいかに危ういものかを非核・平和の町として伝えるのがこの展示の目的。いろいろな角度から何かを感じ取り、関心を持つ機会にしてもらえれば」と込める思いを語った。
この企画展の問い合わせは同実行委員会事務局の町教育委員会教育課(電話0735・67・7260、平日午前8時30分~午後5時15分)まで。
(2024年8月8日付紙面より)

すぽとれ、市消防の水上安全教室 (新宮市 )
NPO法人スポーツトレーニングクラブ(通称すぽとれ)と新宮市消防本部は3日、新宮市高田の高田川で「水上安全教室」を開催。夏休み中の小学1~6年生30人が川で溺れたときの対処法を学んだ。
夏休み中は川で遊ぶ機会が多いことから、安全に楽しんでもらおうと昨年に続いて企画した。市消防本部の救急救命士、長尾知明さんが指導し、すぽとれスタッフ15人がサポートした。
長尾さんは、溺れている人を発見した際、浮輪などを投げ、助けを呼び、119番通報するよう呼びかけ「川に入り助けに行った人が亡くなるケースが全国で多く発生している。浮いて待ってもらうことが大事」と伝えた。
消防署員の実演を通して「自分が溺れたら浮いて待つことが大原則。服を着たまま泳ぐと思うように体が動かない。服の浮力を利用して浮くことで助かる可能性がある」と説明した。
子どもたちは川に入り、ライフジャケット着用時と服を着た状態での浮き方の違いを確かめた。溺れている人に浮力となるペットボトルを投げる練習にも取り組んだ。
市立三輪崎小学校5年の松下凌光人君、福田庵吏君は「服だけでも浮いたけど、ライフジャケットを着ていたときの方が浮きやすかった」と話していた。
(2024年8月8日付紙面より)

初のKidsアカデミー開校 (新宮市 )
新宮市の近畿大学附属新宮高校・中学校とNPO法人Go―Kuma―Kids(大西章夫理事)による初の学童スタイルのサマースクール「Kidsアカデミー近大新宮」が5日に開校した。地域の小学生72人が参加し、9日(金)までの5日間、さまざまな自然体験やふるさと学習で夏の思い出をつくる。
Go―Kuma―Kidsは子育て世代が中心となり、新宮市を拠点に2022年に設立。未来を担う子どもたちに、ふるさとへの愛情を育んでもらうことなどを目標に遊びや学びの場を提供しており、思いを同じくする近大新宮との共同で開催に至った。夏休み中の子どもたちの預け先に困っている保護者に寄り添う目的もある。
子どもたちの先生は近大新宮の生徒有志や教職員、地域のボランティアら。初日の5日には普段中高生が学ぶ教室で夏休みの宿題に取り組んだ他、吹奏楽部による歓迎演奏やスーパーサイエンス部のペットボトルロケットの発射実験・理科実験があった。今後はなぎなた部やダンスサークルの他、同校の地域ゼミ、医療ゼミ、教育ゼミも協力し、まちについて考えるグループワークや救命講習のプログラムを提供する予定だ。
楢原彩未さん(10)は「いろいろ体験してみたかったし、他の学校の子とも仲良くなれるかなと思って参加した。ドッジボールもあるって聞いたから楽しみ」と笑顔。
大西理事は「学校教育では学びきれない自然の遊びや体験を通じ、この地域への愛情を持ってもらうきっかけになれば」と話していた。
(2024年8月7日付紙面より)


緑丘中・城南中統合検討委 (新宮市 )
緑丘中学校・城南中学校統合検討委員会(委員長=板谷貴史・元城南中学校育友会長)の第9回会合が5日、新宮市役所別館であった。
委員13人が出席し、新校歌と新校章の作成方針について協議した。次回の会合で事務局が方針案を提示する。
委員会は、両中学校の校長や育友会などの関係者で組織。緑丘中と城南中の2027年4月の統合を目指して協議を進めている。新校名は市議会6月定例会で議決され「新宮中学校」に決まっている。
統合後の制服について9月にアンケートを実施する予定。統合後の給食は神倉小学校での調理実施に向け検討を進めている。新校舎の緑丘中は大規模改修工事を進め、城南中跡地の活用は今後、協議するという。
開会に当たり速水盛康教育長があいさつ。「新しい校名の協議を頂き、結果を基に教育委員会、議会で承認いただきました。今回は新しい校歌と校章についての方法の意見を頂き、次回、事務局から提案したい」と述べた。
議事では、新校歌の作成方針に関し、歌詞や曲などを募集する公募か、専門家への委託か意見を求めた。委員からは「公募で募って専門家に委託を」との声が多くあり「良い校歌に」という意見で一致した。
新校章は「絵で募集するのは難しいので、キーワードを募集して委託しては」「緑丘と城南を基にデザインしては」「いろいろなデザインから選択すれば」「最後はプロに委託し、たたき台は小中学生に考えてもらっても面白い」「プロの3~4案から選んでは」などの意見があった。
校歌、校章ともに開校前の2025年度中の完成を目指している。
(2024年8月7日付紙面より)

夏休み一日消防体験会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町消防本部(湯川辰也消防長)は3日、同町の消防・防災センターで「夏休み一日消防体験会~集まれ!未来の消防士~」を開催した。町内の児童7人が参加し、消防士の仕事を身近に感じた。
子どもたちに消防士の仕事について理解を深め、興味を持ってもらうことが目的。実施は2年目。
午前中には職員の案内でセンター内や隊員の防火装備着装の様子を見学。救急救命講習も受け、傷病者の社会復帰のため▽心停止の予防▽心停止の早期認識と通報▽一次救命処置(心肺蘇生と自動体外式除細動器)▽二次救命と心拍再開後の集中治療―の四つからなる救命の連鎖の重要性を学んだ。
車両見学や放水体験もあり、速水一進君(10)は「友達と一緒に参加した。消防車や救急車の中を見て、こんなにいろんなものがきれいに詰め込まれていてすごいなと思った」と話していた。
(2024年8月7日付紙面より)


2024熊野大学夏期セミナー
2024熊野大学夏期セミナー「中上健次×大江健三郎」が3日、新宮市福祉センターであった。150人以上がノーベル文学賞作家・大江健三郎と、芥川賞作家・中上健次の関係を聞いた。
「試験もない、校舎もない、校則もない。誰でもいつでも入学でき、卒業は死ぬ時」という熊野大学は1990年、中上健次(1946~92年)によって設立。中上の逝去後は、遺志を受け継いだ有志たちが中心となって活動を続けている。新宮市、市教育委員会が後援、中上健次顕彰委員会が協力した。
中上健次研究の第一人者で2008年まで熊野大学コーディネーターを務めた高澤秀次さんが「初期中上世界にみる大江症候群」をテーマに基調報告した。
高澤さんはこれまでも熊野大学で2人を取り上げており、デビュー当時の中上が大江の世界に染まっていたか再検証した。
「後に『十八歳』に改題した中上健次の『俺十八歳』は、大江の『セヴンティーン』を踏まえて書かれた作品。その後、『十九歳の地図』を書いた。中上は大江を意識しながらデビューした」と切り出した。
大江の文体、テーマに露骨に影響を受けた中上の作品や、大江の初期の文体の特徴を示し、初めて芥川賞にノミネートされた「十九歳の地図」あたりから自分の世界に飛躍していったと分析。「中上健次の『紀州 木の国・根の国物語』は優れた作品。この作品なくして後の大成はあり得なかった」とした。
三島由紀夫賞の選考委員、フランクフルトでの日本ブックフェアへの参加、1992年の中上の東京葬に大江が姿を見せたことなど、2人の接点を挙げ、大江が中上に送った最後の言葉も紹介した。
参加予定だった小説家で文芸評論家の川本直さんは、「中上健次をクィア・リーディングする」をテーマにビデオメッセージを送り、「讃歌」「異族」の作品の背景をひもといた。
シンポジウムでは、高澤さんと浅田彰さんが日本文学や日本人画家など幅広い分野で語り合った。浅田さんは集英社版「中上健次全集」の編集委員でもあり、熊野大学では8年ぶりの登壇。三島由紀夫と大江の作品を持ち出し、「大江はきれいな絵に収まらない、野生なものをつかんでいる。美とエロスの混合に身を投じていた」とし、長編小説「われらの時代」を薦めた。
(2024年8月6日付紙面より)


和歌山県吹奏楽コンクール
第60回和歌山県吹奏楽コンクールが3日、和歌山市の県民文化会館で開催され、地元から県立新宮高校と近畿大学附属新宮高校・中学校が高校小編成部門で金賞を受賞した。両校おしくも関西大会出場の座を逃して悔し涙を流し、夏のコンクールを終えて2年生へとバトンタッチした。
新宮高校の吹奏楽部(指揮=速水真美教諭、戸塚日和部長、部員28人)は「エンジェル・オブ・バトルフィールド~クララ・バートンに捧ぐ~」を選曲。米国の赤十字社を設立し、南北戦争でも看護師として献身的な働きを行ったクララ・バートンの生涯をドラマチックに描いた楽曲だ。
これまで3年連続で県代表に選ばれてきただけに、部員らの悔しさもひとしおだったが、戸塚部長は「結果に納得がいかないところもあるが、後悔はない。3年間で一番楽しく、上手な演奏ができた。全部の経験が自分にとってプラスで、みんなのことが大好き」と語った。
近大新宮の吹奏楽部(指揮=南木啓司さん、岡㟢悠士朗部長、部員26人)は、昨年と同じ「想ひ麗し浄瑠璃姫の雫」でコンクールにリベンジ。奥州を目指して東へ下る源義経と浄瑠璃姫の悲恋物語から着想を得た叙情的な曲だ。
岡㟢部長は「先輩たちの思いを受け継いで、もう一度チャレンジしようと選んだ曲。悔しさもあるが、今年やれることは全部やった。部員一人一人が本当に頑張ってくれて、たくさんの思いが詰まった夏だった」と話していた。
同コンクール高校小編成部門では、県立新翔高校、串本古座高校が銀賞、中学校小編成部門では緑丘中学校が銅賞を受賞している。
(2024年8月6日付紙面より)


串本漁港で花火大会挙行 (第17回串本まつり )
第17回串本まつりの花火大会が3日夜、串本漁港で挙行された。今年は寄付も順調に集まり、4000発余りを75分間にわたって打ち上げ。夜空を彩る大輪の数々が見物客2万人(主催者発表)を魅了した。
このまつりは、7月下旬~8月上旬の主だったイベントを包括する大枠の呼称。第17回は7月28日実施の橋杭ビーチサマーフェスタ、8月3日実施の串本節総おどりと花火大会、4日実施のビンゴゲーム大会とサマーBANDライブを一括し、関連イベントとして定着している巡視船体験航海も含めて事前周知し誘客を図ってきた。
その告知ポスターの背景となっているのが、毎回群を抜く来場を集めている同大会。打ち上げ場所と見物場所の最短距離がごく短く頭上から降り注ぎそうなぐらい至近の迫力で定評があり、今年もその期待に応えるため例年並みの規模と内容を目指して寄付集めなどの準備をしてきた。
先行して恒例の夜店街が見物客の往来でにぎわいを見せ、夕闇も深まる午後7時45分から同まつり実行委員会の島野利之会長によるあいさつを経て打ち上げを開始。株式会社人見建設協賛の大スターマインがオープニングを飾り、計18演目にわたる打ち上げが続いた。最終は株式会社小森組協賛の特大スターマイン。今回もこの場所でできる最大規模の炸裂でフィナーレを飾り、見物客も歓声を上げ拍手をしてその光景をたたえた。
今年は3日間とも好天に恵まれ、巡視船体験航海も含めて関係する全てのイベントが計画通り実施される結果となった。
(2024年8月6日付紙面より)


那智勝浦ゴルフ倶楽部
紀南バドミントン選手権大会
新宮ジュニアレスリングクラブ
色川盆踊り大会に向け (那智勝浦町 )
那智勝浦町の円満地公園で14日(水)に開催される「色川盆踊り大会」に向け、色川青年会が2日、復活させた大ちょうちんに筆入れをした。平田久乃さん(16)が「祭」、浦勝良さん(73)が「色川」と書き入れ、祭りムードを盛り上げた。
地域伝統の盆踊り大会は、昨年色川青年会が盆踊り保存会から運営を引き継ぎ、コロナ禍を乗り越えて5年ぶりに復活させた。今年も本番に向け、青年会メンバーが踊りや歌の練習を重ねている。
大ちょうちんは、破れた状態で倉庫に眠っていたもので、メンバーが発見し「どうにかできんかね」と復活プロジェクトがスタート。「自然素材クラフト部」(德森和寛部長)が協力し、口色川の山中からミツマタを採取し、網戸で巨大な和紙をすいて補修した。
元盆踊り保存会の後呂光さん(84)は「青年会が生き生き活動してくれることが一番の地域活性化。人と人とのつながりという、あるべき日本の姿」と目を細める。
この日は完成した「色川盆踊り手ぬぐい」のお披露目もあった。壽海千鶴さん(54)がデザインしたもので、山並みと雨上がりの雲海、棚田と伝説のひとつだたら、色川の未来を導く八咫烏(やたがらす)などが描かれており、最近住民を悩ませるウサギやイノシシは餅つきや盆踊りをしている。1枚1500円で販売しており、売り上げは青年会の活動費に充てられる。
盆踊り大会は午後5時開場で、7時から踊りがスタートする。色川青年会の東条雅之会長は「代々受け継がれてきた色川の盆踊りをつないで、子どもからお年寄りまで、みんな笑顔で輪になれる場にしたい。当日は地域の特産品などの出店もあるので、ぜひご参加ください」と呼びかけている。
(2024年8月4日付紙面より)


地元の高校生9人が体験 (新宮市立医療センター )
新宮市蜂伏の市立医療センターで2日、和歌山県看護協会の「ふれあい看護体験」があり、地元の高校3年生9人が病棟で看護師の仕事を体験した。
看護職を目指す人に看護の意味やその仕事について理解を深めてもらおうと高校生以上を対象に毎年開催しており、今夏は7月26日から8月9日(金)にかけて県内48カ所の医療機関などで行われる。
医療センターでは新宮高校、新翔高校、串本古座高校、近畿大学附属新宮高校の生徒が参加した。
開会時にあいさつした栗原久美子副院長兼看護部長は「皆さんを心待ちにしていました。40年近く医療に身を置いていますが、日々、看護の素晴らしさを感じています。医療は進歩し、変わっていくが、看護の大切さは変わらない。今日はそれを感じてほしい」と呼びかけた。
参加者は各病棟で看護を体験したほか、1、2階の外来や、関係者以外は入れない検査室の裏側を見学し、現役看護師と参加への思いや体験の感想などを懇談した。
循環器内科や心臓血管外科、呼吸器外科の患者が療養している5階東病棟では、近大新宮高の上野小雪さん(17)と新宮高の阪口玲奈さん(17)が車いすを押したり、洗髪を体験したりした。
上野さんは「医療系の道を目指している。看護師はたくさんの業務があり、大変だと感じた。車いすを押すのも力がいることを実感した」。阪口さんは「小学生の頃に医療センターの看護師さんにお世話になって憧れ、看護師を目標としている。患者さんからありがとうと言葉をもらい、やりがいを感じた」と話していた。
(2024年8月4日付紙面より)


フライデナイトにぎわう (新宮市 )
新宮市の丹鶴商店街の一部を歩行者天国にした「タンカクフライデナイト」が2日夜に開催された。若者ら約1800人(主催者発表)でにぎわい、露店グルメやステージパフォーマンスで夏の一夜を楽しんだ。
路上ビアガーデン、ダンス、ライブをミックスした交流イベントで、丹鶴商店街振興組合(上浦マリオ理事長)主催。毎年たくさんの子どもも参加する夏の風物詩になっており、今年は分煙のための喫煙所を設けるなどの工夫もした。
ステージには、フライデナイト出演を熱望していたというMC ROKUDENASHIが登場。ジャズダンス、フラダンス、よさこいなどの地元12団体と会場を盛り上げた。市立図書館ブックブックによる怖い話の読み聞かせもあった。
上浦理事長は「商店街にこれだけ人が来てくれるのはうれしい限り。ステージにもバラエティーに富んだ団体が参加してくれ、新宮は文化のまちと再認識した。今後も10回、20回とイベントを育て、新宮独自の文化を楽しめる機会を提供したい」と話していた。
(2024年8月4日付紙面より)


今年に入り、新宮市などでツキノワグマの目撃情報が相次いでいる。新宮保健所では「クマを引き寄せないために、釣りやキャンプをするときは、食べ物の置き場所に注意し、ごみは必ず持ち帰りましょう。生ごみや不要になった農作物を放置しないように管理を徹底してください」と呼びかけている。
保健所によると、6月1日から7月28日にかけて、新宮市熊野川町の宮井、九重、四滝、西敷屋、北山村の小松、大沼、竹原の各地区で10件の目撃情報があった。宮井地区の国道169号から北山川を横断し、三重県の熊野市紀和町に渡ったケースもあったという。
昨年、新宮市内での目撃は3件だった。今年は民家から遠くない場所で目撃が多発しており、どこで遭遇してもおかしくないという。
子グマの目撃情報もあり、近くに親がいる可能性が高い。1日の移動距離は約50㌔とされ、発情期になると縄張りを越えて雌を求めて移動する雄もいる。
クマが生息している森に入るときは、2人以上で行動し、クマに自分の居場所を知らせる工夫が必要。出合ってしまったら、静かに身を引くことが大切だという。
世耕直行副主任は「クマは基本的に臆病な動物だが、餌に対する執着が強い。2㌔先まで匂いを嗅ぎつけるといわれており、餌がなくなるまでその場所に現れる。餌さえなければ人里に来ない。クマを引き付けない対策をお願いしたい」と話している。
クマを目撃したり、足跡などの痕跡を見つけた場合は▽場所▽日時▽大きさ▽移動方向▽何をしていたか―などの情報を新宮保健所衛生環境課(電話0735・21・9631)か、最寄りの市町村に連絡を。
(2024年8月3日付紙面より)

新翔高でオープンスクール (新宮市 )
和歌山県立新翔高校(宮井貴浩校長)で1日、中学3年生対象のオープンスクールがあった。新宮東牟婁地方の12校116人の生徒が講座やクラブ見学などで進路への考えを深めた。
総合学科への理解と進路に関する目的意識の高揚、学習意欲の育成を図ろうと毎年実施。保護者、各校教員が同行した。開催に当たり、宮井校長が「新翔は当地方で唯一の総合学科がある。高校の授業を生で目にし、いろんなことを実感してください」とあいさつ。「オープンスクールを通じて、新翔高校への理解を深めてもらいたい」と呼びかけた。
学校説明では、同校有志の団体「地域未来づくりプロジェクトチーム」の生徒3人が授業風景や行事、クラブ活動などを映像で紹介。中学生は「ショベルカーに乗ろう」「名物を産み出そう!」「介護の世界に歩みを進めて」など、8講座から事前に申し込んでいた内容を受け、高校の授業を体験した。
「ショベルカーに乗ろう」の講座を受けた那智中学校の生徒は「普段はできない授業を受けたいと思い、申し込みました。レバーがたくさんあり操作が難しかったけど、いい経験になった。これからの進路の幅を広げていければ」と話していた。
(2024年8月3日付紙面より)


少年消防クラブが学ぶ (新宮市 )
新宮市の王子ヶ浜少年消防クラブの夏季研修が1日、同市相賀の高田川と河原で行われた。小学6年生17人が川などで流され救助を待つ時に大切とされる正しい浮き方を学んだ。
少年消防クラブは地域や家庭で防火防災への意識を高めようと毎年度、王子ヶ浜小学校の6年生でつくられている。第12期となる本年度は17人が参加し、毎月活動している。
この日の研修では自分以外の人が溺れた時の対処法と、自分が流された時の対処法を実践しながら学んだ。
新宮市消防本部予防課の後岡賢さんと亀井剣太さんが主に指導を担当。誰かが溺れた時は助けに行った人が亡くなることも多いため、絶対に助けに行ってはいけないことを伝え、浮輪代わりになる空のペットボトル(少し水を入れると重りとなり投げやすくなる)や、ボールを投げるなど陸からの救助方法を教えた。
自分が流された時は浮いて待てば浅瀬に流れ着くとし、あおむけの状態の背浮き、顔を水面につけた状態のくらげ浮き、だるま浮き、伏し浮きを練習し、流れのある場所での泳ぎ方、増水時の浅瀬の横断方法なども伝えた。
馳平栞奈さん(11)と松井絢人さん(11)は「背浮きはうまくできたけど、川などに落ちた時に落ち着いてできるかは分からない。今日はたくさん練習して身に付けたいです」と話していた。
(2024年8月3日付紙面より)

ボランティアスクール開校 (新宮市 )
新宮市社会福祉協議会による本年度の「ボランティアスクール」が、1日に開校した。市内の近大附属新宮中学・高校、光洋中、緑丘中、城南中、新宮高校から20人が参加し、6日(火)まで各施設で体験学習に取り組む。
社会福祉への理解と関心を深め、ボランティア活動への参加のきっかけとし、心豊かな人間形成を築くことを目的に毎年開催。コロナ禍で3年間中止したが昨年から再開した。今年の参加者は中学生、高校生各10人。老人ホーム、障害者施設、保育所、保育園の13施設が協力した。
初日は市福祉センターで開校式があり、市社協の大谷康央事務局長が「保育所では子どもの笑顔、保育士の関わり方、障害者施設、高齢者施設での日々の生活、支える職員など感じる部分があると思う。SNS(交流サイト)やネットなど便利な時代になったが、困っている人を助けるのは心と心のつながりが大事。信頼関係があって手助けができる。福祉の役割は大きくなっている。4日間、楽しんで福祉を体験してください」とあいさつした。
オリエンテーションに続き、実習施設へ移動。佐野保育所で実習を開始した光洋中2年の瀧川愛海さんは「子どもが好き。保育所での仕事に興味があったので参加しました」、下坂唯さんは「一緒に保育士の仕事を体験してみたかった」と話していた。
最終日の6日に全員が福祉センターに集まり、実習のまとめを発表する。
(2024年8月2日付紙面より)


水ロケット・缶サット合宿 (串本古座高校 )
和歌山県立串本古座高校(中西浩子校長)の1年生12人が7月28日から30日まで、水ロケット・缶サットミッション合宿に取り組み缶サット甲子園2024和歌山地方大会出場へ向けた準備を進めた。
この大会は9月7日(土)と8日(日)の2日間、串本町内で開かれる予定。同校からはCGS部ロケット班が出場を目指していて、7月14、15日に町内であった同大会実行委員会主催の講習会にも参加し求められる技術の習得やその工夫に励んだところでもある。
合宿に参加した12人の内訳は同班11人とその活動に興味がある1人で、講師は東京大学大学院工学系研究科中須賀・船瀬・五十里研究室の中須賀真一教授と院生2人。県立潮岬青少年の家を会場にし、最近では超小型探査機エクレウスの打ち上げで注目された同研究室のエキスパートから助言を受ける破格の状況の中で12人は2組に分かれ①缶サット(超小型模擬人工衛星)の打ち上げと射出ができる水ロケットの開発(中須賀教授が指導)②電子機器を搭載した缶サットの開発(院生が指導)―の各ミッションに挑戦した。
一から開発を進め、2日目の夕方に2組の成果を組み合わせて試射。①はミッションを達成、②はカメラ以外の電子機器が不動という結果になったが缶サットを動作させる筋道はついたと受け止め3日目は課題の解消に取り組むなどした。
中須賀教授は県宇宙教育検討会議の座長を務め、同校未来創造学科宇宙探究コースなどのカリキュラム素案作成に関わった人材。今回の合宿はその教育を提供する人材の一人しての協力だとし「この授業は、どうやってミッションを実現するかを自分で考え工夫する道筋を勉強するプロセス。試行錯誤や失敗をしながらだんだん実現へ近づいていく感じをうれしいと思ってもらえたら」と取り組んだ12人の今後に期待した。
(2024年8月2日付紙面より)


きいちゃんの夏季講習 (那智勝浦町 )
那智勝浦町にある和歌山県土砂災害啓発センターで1日、特別展示「きいちゃんの夏季講習」が始まった。夏休み中の親子らに、気軽に土砂災害について学んでもらう内容で、期間は31日(土)まで。
展示は1~6限で土砂災害の種類や起こりやすい地形、身を守るために大切なことなどを学び、まとめテストをすると記念品がもらえる。職員に声をかけると、土石流模型装置の実験も見ることができる。
2011年の紀伊半島大水害から13年が経過し、当時を記憶していない子どもたちもいることから、発災直後から復興に向けた歩みを写真で振り返るモニターも用意。館内では、水害で家族を亡くした防災士・久保榮子さんが自身の体験をつづった紙芝居も見ることができる。
同センターの峐山雄亮さんは「親子で一緒に展示を見て『これは何?』『お父さんも初めて知ったよ』と会話しながら考えてほしい。職員への質問も大歓迎。台風シーズンを前に頭の片隅に入れておいていただきたい」と話していた。
(2024年8月2日付紙面より)

紀陽銀行新宮支店に感謝状 (新宮警察署 )
投資を名目とした詐欺を水際で防止したとして、新宮警察署(矢野勝正署長)は7月30日、株式会社紀陽銀行新宮支店業務課の森裕子チーフと窓口担当の松島由佳さんに感謝状を贈呈した。
被害者の70代女性は6月13日、知人を通じて知り合った証券会社の営業をかたる外国人に投資を任せようと、外国人名義の口座に100万円を振り込むよう指示を受けて銀行に来店。振り込み依頼を受けた松島さんが▽投資目的の高額の振り込み▽振込先が外国人の個人名義▽早く振り込みたいと焦っている▽ずっとスマートフォンを操作している―といった様子を不審に思い、個室で事情を聞いた。上司の森チーフと連携し、新宮警察署に通報した。
矢野署長は第三者が介入しづらい投資関連の詐欺防止における金融機関の重要性を強調し「今後も一件でも多くの被害を防いでほしい。お客さまへの聞き取りや通報で困り事があれば、警察も協力する」と述べた。
森チーフは「毎月朝礼で詐欺被害防止について周知し、高額の振り込みではヒアリングなどの対策をしている。今後も社内や警察と連携してお客さまの財産を守りたい」。松島さんは「投資関連の高額振り込みでは、投資経験や普段の口座の動き、振込先の方と会ったことはあるかなどを細かく聞き取るようにしている。新しい手口も出てくると思うので、情報共有を大切にしたい」と語った。
和歌山県内では今年、6月末時点で交流サイト(SNS)型投資詐欺が48件約5億319万円、架空料金請求詐欺が42件約1億3304万円、SNS型ロマンス詐欺が20件約1億3460万円など、計8億8606万円の深刻な被害が発生。新宮警察署管内では7月にSNS型投資詐欺で1件約150万円の被害が出ている。
和歌山県警は特殊詐欺被害防止専用フリーダイヤル「ちょっと確認電話」(0120・508・878)を開設しており、「『必ずもうかる』『投資の仕方を教える』などの電話やメール、SNSがあった際は確認を」と呼びかけている。
(2024年8月1日付紙面より)

町教委からトラディさんへ (串本町 )
串本町教育委員会の坂本善光教育長が7月29日、5年間にわたって外国語指導助手(ALT)を務めたトラディ・レボガング・レラト(レボ・トラディ)さん(30)の尽力に対し感謝状を贈呈した。
トラディさんは南アフリカ共和国出身。自治体国際化協会の語学指導などを行う外国青年招致事業(通称・JETプログラム)により町教育委員会のALTとして2019年7月29日に任用され、古座小、橋杭小、串本小、出雲小、くしもとこども園の英語教育を支援し、町公民館本館英会話教室の講師として国際交流の素地づくりにも貢献するなどした。
単年度契約を更新し、今年7月28日付で最大5カ年の任期を満了。子どもたちの英語力向上と町の国際交流推進に対する功績は多大だとたたえ、今後の活躍も期待して満了の節目に感謝状を贈ることにしたという。
贈呈式はトラディさんが通い慣れた役場本庁舎内にある町教育委員会教育課で挙行。課員立ち会いの下で坂本教育長から感謝状を手渡し、トラディさんは「最初は串本で生活できるかなと心配だったが、町民の皆さんや先生、子どもたちの優しさのおかげでその心配はなくなった。本当にこの5年間で成長できたし、貴重な体験ができた」と応えて町教育委員会への感謝を返した。
トラディさんは今後、白浜町へ生活拠点を移して日本への滞在を続けるという。
(2024年8月1日付紙面より)

国交省が新宮紀宝道路に建設 (あけぼの町内会 )
新宮市のあけぼの町内会(連田吉孝会長)は7月28日、防災訓練を実施。熊野地会館で市の防災対策を確認した。国土交通省が今秋開通予定の新宮紀宝道路に建設した避難待避所を初めて見学した。
要望していた災害時待避所が完成したことから、見学と南海トラフ地震への防災を兼ねて実施し、50人以上が参加。熊野地会館で連田会長が「自動車専用道路に災害時待避所などが造られるのは全国的にも珍しいとのこと。命を守るために、防災訓練を通じて日頃から防災意識を高め、町内会で協力し合って、いざというときに慌てず避難できるようにしましょう」とあいさつした。
市防災対策課による出前講座では「大地震に備えて」と題し、全国で発生した過去の地震、津波の写真、南海トラフ地震の想定震源域図をスライドに映した。
「地域の災害リスクを知っておくことが重要」とし、市複合ハザードマップの津波浸水域、浸水深、到達時間を基に浸水想定を説明。「まずは地震の揺れに備えてください」と呼びかけた。
国土交通省近畿地方整備局紀南河川国道事務所が、避難待避所を説明。熊野地会館周辺の海抜は約4・8㍍。和歌山県が想定した最大津波高は14㍍とされ、避難待避所は15㍍の場所に設置した。
この後、参加者は5分ほど歩いて新宮紀宝道路に向かい、階段とスロープで避難待避所に到着。避難方法や待避所の広さなどを確認し、道路を歩いた。参加者の女性は「これからも訓練を継続して、近所の人にこの場所を知ってもらう必要があると思う」と話していた。
(2024年8月1日付紙面より)


第204回職場対抗ボウリング大会