研修会やモニターツアー (新宮市 )
新宮市役所別館で27日午前、日本語観光ガイド向け研修があった。全国通訳案内士の澄川恵津子さんが「外部から見た、現地ガイド(語り部)の重要性と連携のあり方について」を演題に講話。観光ガイドや市内の観光事業者ら約20人が参加し、地元ガイドの強みについて再確認するなどした。
観光庁の「インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業」の採択を受け実施。採択事業名は「いにしえの参詣道 世界遺産『海・山・川の熊野古道』を活用したインバウンド誘客促進事業」で、ガイド研修の他、モニターツアーなどを展開する。
モニターツアーでは、外国人や外部スルーガイド(※)を招聘(しょうへい)し、当事業で造成した体験型観光コンテンツを含む市内の観光施設を巡るツアーを行うことにより、インバウンド目線での意見や助言を取り入れることで、造成コンテンツのブラッシュアップを図ることを目的にしている。
観光ガイド育成に関しては、受託事業者のリベルタ株式会社が協力。講義に先立って参加者らは自己紹介を行い、関係や連携の深化を図った。
大学卒業後、JTBルック添乗員として9年間従事し、現在全国通訳案内士として全国各地を案内している澄川さんは、旅行には三つあると説明。一つ目は旅への期待や準備など、二つ目は現地体験、三つ目は旅が終わった後の広がりと説明し「ガイドの皆さんのご協力があって三つ目の旅に連れていくことができる」と伝えた。
外国人観光客は実体験を通して日本の文化や伝統、歴史などに理解を深めると述べ「現地のガイドにはかなわない。ガイドとは翻訳機ではなくパスポート。地域と旅行者のつなぎ役。その重要性を理解して」。
澄川さんは、外部の通訳ガイドや添乗員の印象などについて参加者の意見に耳を傾け「私たちの今後にとってもヒントになる。一緒にお客さまを三つ目の旅に連れていければ」と協力を求めた。
午後には英語スルーガイド向け研修があり、市観光ガイドの西浦康代さんが「熊野古道、そして熊野のガイド(語り部)が伝えたいこと」をテーマに講義。
28日には、アメリカ人、アルゼンチン人、4人の外部スルーガイド、観光庁有識者らがモニターツアーを実施。熊野速玉大社での正式参拝やEバイク(電動アシスト自転車)を活用した市内サイクリング、曼荼羅(まんだら)絵解きなどを体験した。
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※外部スルーガイド=到着地から出発地まで広範囲にわたり、1週間から十数日の間同行して案内するガイド。
(2023年11月30日付紙面より)


和歌山県木材利用推進協議会 (新宮・東牟婁 )
和歌山県木材協同組合連合会や県森林組合連合会、紀州林業懇話会で構成する県木材利用推進協議会は28日、太地町、那智勝浦町、新宮市、北山村で「令和5年度木材利用推進キャラバン活動」を実施。各市町村長に紀州材利用推進に関する要望書を提出した。
キャラバン活動は、紀州材(県産木材)の利用を働きかけることで、公共部門における紀州材の需要拡大や県内の林業・木材産業の振興を図ることを目的に毎年展開している。
要望書提出のほか、市町村で計画中の公共施設などの整備において、構造材や内外装材での紀州材の利用や、木製品などの整備について働きかけも実施している。
那智勝浦町では、植松浩・新宮木材協同組合理事長や前田章博・新宮市森林組合長、田中多喜夫・熊野川町森林組合長、瀧本清吉・那智勝浦町森林組合長、尾添信行・県建築士事務所協会長、鳥羽真司・東牟婁振興局長らが堀順一郎町長を訪問した。
植松理事長が「木材の積極的利用は林業・木材産業の成長産業化などによる地方創生に加え、地球温暖化対策や森林の有する国土の保全、水源のかん養など多面的機能の発揮にも貢献する」などと盛り込んだ要望書を手渡し「公共施設建設の際は、ぜひ紀州材のご利用を」と思いを託した。
尾添会長は、同協会が県より委託を受けている「紀の国木材利用相談窓口」などについて説明。「木材を使い需要を増やすことで、携わる方の育成にもつながっていく」と話し、窓口の利用も呼びかけた。
堀町長は町内に木製ベンチ設置や体育文化会館周辺の公園化時に、あずまやを建設予定だと説明。木材利用については「木は温かみがあり、子どもに良い環境をつくり出す。木を使えば、山も健全化する。町としてもできる限り、紀州材を使っていきたい」と語った。
この日は新宮木協から木製の積み木が、新宮木協理事で板美商店の板谷貴史さんから木製のサッカーボールが町に寄贈された。
近年、新宮・東牟婁管内では▽丹鶴ホール(新宮市)▽紀南学園(新宮市)▽串本町立くしもとこども園(串本町)―などの公共施設で紀州材が活用されている。
(2023年11月30日付紙面より)

串本民話の会(干川正美代表、会員6人)が27日、県教育委員会主催の手づくり紙芝居コンクールにおいて2年連続で優秀賞〈最高賞〉を獲得したことを田嶋勝正町長へ報告した。
紙芝居による民話の継承を目的として1992年、定年退職した教員ら有志が結成した同会。町内の民話を原作とするなどしてこれまでに10作品を制作し、学校などの希望に応え無償で出前上演をするなどしている。
その成果を発揮して昨年、作品「子くじらの恩返し」で同コンクールに挑み優秀賞を獲得。今年は作品「のこされた爺ちゃんの手紙」で同コンクールに挑み優秀賞を獲得した。同コンクールは本年度が最終の実施で、同会はその歴史の終盤にその名を刻むこととなった。
「子くじらの恩返し」は串本に現存する古民家「稲村亭」(現・ニッポニアホテル串本熊野街道)にまつわる民話を原作とした作品で、優秀賞の一特典で審査時の上演の様子をインターネット上で視聴できる(同日現在)。
「のこされた爺ちゃんの手紙」は原作ではなく実在する一族の経験を軸にした同会創作の戦争民話。太平洋戦争の開戦から戦後までの経緯を伝える内容で、終戦から年月がたち記憶が薄れても戦没者はいつも身近なところで見守ってくれているというメッセージで締めくくられる。事実に基づきたいという強い思いで数年来聞き取りと検証を重ね、かつ子どもに分かりやすく情報を精選して仕上げた力作でもある。
同会は受賞と併せて▽串本小と串本西小の児童が6年間を通して10作品に触れている▽大島小も作品「トルコ軍艦エルトゥールル号の遭難」で史実を実感してトルコ軍艦遭難慰霊碑の清掃奉仕に取り組んでいる▽大水崎ふれあいいきいきサロンでも上演実績がある―など活動状況も報告。「無償で上演をさせてもらうので、声をかけてもらえるとうれしい」とし、田嶋町長は「歴史の継承という点でこういった活動は今まで以上に盛んにしてもらえれば」と今後に期待して報告を喜んだ。
同会は文化センターを定例活動の拠点としていて、上演希望は同センター事務所へ申し出てもらえば応対するという。
(2023年11月30日付紙面より)

サッカーJA全農杯東牟婁予選
JAみくまの杯学童女子軟式野球大会
ラグビー「第5回はまゆうカップ」 (新宮RFC )
4年ぶり町民音楽祭 (那智勝浦町 )
第27回那智勝浦町民音楽祭(同実行委員会、町文化協会主催)が26日、町体育文化会館で開かれた。コロナ禍を経て4年ぶりの開催で5団体が出演し、来場者250人が和やかに音楽を楽しんだ。
開会に当たり町文化協会の後誠介会長は「27年間、毎年楽しみに見に来てくださる皆さんに支えられ、続けてきた音楽祭。各団体、コロナ禍中は練習もままならず、久しぶりで声が出ない状況からのスタートだった。来場者の皆さんには、日々の煩わしさを忘れて楽しんでほしい」。堀順一郎町長は「素晴らしいコーラスを聴かせていただけるはず。夕方5時のチャイムで流れている町歌への愛着を深める機会にもなれば」とあいさつした。
出演団体有志による那智勝浦町歌で開幕。初開催時から欠かさず出演している「下里コーラスハミング」は「愛するふるさと」や「夏の思い出」などでふるさとの四季を歌った。続いて初出演の「ジョイア」はフルートとピアノに合わせ、オペラなどで用いられる「コロラトゥーラ」の歌声を披露。当地方唯一の男声ボーカルアンサンブル「コール・ジョーダン」は英語やドイツ語の歌を披露し「上を向いてあるこう」では会場から手拍子が起こった。
「楽団ごっこ」は笛やアコーディオン、バイオリンなどでアイルランド風の音楽を披露。「シコロラ」は、東日本大震災で被災した福島県南相馬市立小高中学校の2012年度卒業生が作詞した合唱曲「群青」を力強く歌い上げた。
最後は会場が一体となり、「赤とんぼ」「ふるさと」を合唱。来場した70代女性らは「久しぶりに気持ちよく音楽を聴かせていただいた。皆さんお上手。コロナ禍でしばらくこんな機会はなかった」「子どもの出演もあり、かわいらしかった。また来年も見に来たい」と顔をほころばせていた。
(2023年11月29日付紙面より)

「丹鶴ホール」にツリーお目見え (新宮市 )
丹鶴ホールプロモーションチーム「ICOLE(いこれ)」(文化複合施設自主事業実行委員会、髙由香委員長)は25日、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」1階ホワイエ・マルチスペースでクリスマスツリーの飾り付けを行った。12月24日(日)までの設置を予定している(25日は月曜のため休館)。
昨年に引き続き2度目の取り組み。ツリーの高さは3・6㍍で、ツリーの周囲に並べるプレゼントなどのオブジェも委員らが手作りした。委員と同施設職員らは、オーナメントをバランス良く飾り付け、さらにクリスマスムードを高めるために電飾も配置。シーズン到来に向けての演出を図った。ツリーの飾り付けには、同施設を訪れていた地元高校生らも協力した。
また、同所では丹鶴幼稚園、正明保育園の両園児による、クリスマスをテーマにした季節展示も行っている。なお、文化ホールでイベントなどが開催されているときは会場へ入場できない場合がある。季節展示も同様に24日まで。
職員は「ぜひ多くの方にご来館いただき、クリスマスムードを感じていただければ」と呼びかけている。
(2023年11月29日付紙面より)


平安時代行列や奉納発表 (熊野姫まつり )
那智勝浦町湯川の熊野古道駿田峠の加寿(かす)地蔵尊で25日、「熊野姫まつり」があった。平安時代行列で加寿姫を祭るほこらを参拝したほか、舞踊や演奏の奉納発表、飲食出店などを実施。近隣住民などが多数訪れて楽しんだ。
加寿地蔵尊世話人会(中田勝康代表)の主催。加寿地蔵尊は、千年前に熊野詣での途中、駿田峠で命を落としたといわれる加寿姫を祭っている。姫の伝承にちなんだ短編映画「熊野古道加寿姫」の制作をきっかけに、それまで営んでいた秋祭りを「熊野姫まつり」と改称して続けている。
今回は、平安時代行列に参加する「姫」を公募。遠くは東京都や千葉県から4人が、平安衣装をまとい参加した。他にも関係者や地元の子どもなどが平安衣装をまとい、行列に加わった。一行はほこらの前で般若心経を唱えて祈った。
会場では、パンや鹿肉カレー、石窯焼きピザ、地元野菜などの販売があった。不要になった衣類などを販売するフリーマーケットも行われていた。平安時代行列での参拝を終えて中田代表は、来場者を前にあいさつ。「熊野姫まつりを始めるまでは、地元の人たちで(祭りを)ほそぼそとやっていた。今日は東京からも来てくれて、天気にも恵まれてありがたい。最後までお楽しみください」と呼びかけた。
この後、奉納発表を開始。息の合った舞踊や美しい音色の演奏が続き、来場者は拍手で称賛した。日本剣道型の演舞奉納や餅つきもあった。最後は餅まきも行われ、にぎわいを見せた。
(2023年11月29日付紙面より)


自動二輪車安全運転講習 (串本LC )
串本ライオンズクラブ(串本LC、小森正剛会長)が26日、串本町古座にある古座川病院跡地で第7回自動二輪車安全運転講習会を開いた。実施に当たっては新宮警察署(井田昌樹署長)が協力。県警本部交通部交通機動隊が主に指導し、参加者27人の安全運転意識を促すなどした。
この講習会は、自己の運転技能の再確認を通して安全運転に必要な知識や技能を高める機会として年1回の頻度で実施。今回は同隊の吉田誠・第1小隊第3分隊長と特別訓練生2人が指導講師となり、同署の山本貴彦・串本分庁舎長や嶝口知宏・交通課長と白バイ隊のOB・OGが補佐する布陣で参加者を迎えた。
始めるに当たり、自動二輪車の愛好者の一人でもある小森会長は「早く走ったりタイヤを端まで減らしたりすることを自慢する方も多いようだが、そうではなく公道でいかに安全に目的地へ着いてまた帰るかが一番だと思う。そのためにこの講習会を体験し、日頃の運転に結び付けてほしい」とあいさつ。同署を代表して山本・串本分庁舎長は「12月の1日から10日まで冬の交通安全運動が展開される。意識を高めて安全運転をしていただきたい」と呼びかけた。
準備運動やバランスチェックを経て運行前点検の概要を学んだ後、参加者は運転に対する自信に応じレベル別3グループに分かれて日頃は実践しにくい▽直Sパイロン(=スラローム)走行▽直角カーブが続く円走行▽ちどり走行―に臨んだ。
公道などでは取り組めない練習内容で自身の運転の限界を実感し、それを超える無理をしない安全運転の心がけと事故の危険に直面したときの対応力を高めるのが回を重ねるこの講習会の一貫した狙い。終盤では三つの体験コースをつないだコースを走行して成果を振り返ったという。
(2023年11月29日付紙面より)


那智勝浦ゴルフ倶楽部
第196回職場対抗ボウリング大会
新宮JC杯中学新人サッカー大会
王子権現親睦会が避難訓練 (新宮市 )
新宮市の王子権現親睦会自主防災の会(矢野隆一会長、約180世帯)は26日、地域で一斉避難訓練を実施した。地域住民らはさまざまな訓練やDVD視聴などを通して防災意識を高めた。
南海トラフで大地震が発生した際、津波で浸水すると想定されていて、古い家屋が多い住宅密集地であることなどから、防災意識が高い地区。
今回は新型コロナウイルス感染症の影響で4年ぶりに開催。2020(令和2)年、住民らの悲願であった王子ヶ浜小学校につながる避難路が完成したが、実際に避難路を使用しての訓練は初となる。
この日、午前9時に和歌山県南方沖で震度7の地震が発生。発生から12分後に津波が到達するといった想定の下に訓練が展開された。住民らは、避難路を使って同小学校へ避難。
体育館に集合した参加者らを前に、矢野会長は「災害は忘れた頃にやってくる、備えあれば憂いなし、の2点が大きなポイントだと思う」と述べ、訓練の実施に協力した関係者らに感謝を伝えた。
田岡実千年市長は「今回、王子避難路を使用した訓練が初めて行われ、以前よりスムーズな避難ができたと思う。今日の訓練を踏まえ、災害発生時の行動についていま一度考えていただければ」。
避難路の整備に向け、住民らと共に要望を行った濵田雅美市議は「市民の方々が安心・安全に暮らしていただける町づくりに全力で取り組む」とあいさつした。
避難訓練に続いて、地域住民らは消防職員から消火器や自動体外式除細動器(AED)の使い方や心肺蘇生の手順を学んだほか、市防災対策課による防災講話を聞きDVD「3・11 東日本大震災 激震と大津波の記録」を視聴。災害の恐ろしさや命の大切さ、早めの避難の重要性などを再確認した。
(2023年11月28日付紙面より)


光泉寺の「イチョウ祭り」 (古座川町 )
古座川町三尾川(みとがわ)にある古傳山光泉寺で23日、法会「イチョウ祭り」が営まれた。今年は4年ぶりに従来の内容で奉仕。法要と併せて餅まきや茶席があり、祝日ともあって三尾川区内外から参拝を集めてにぎわった。
境内にある県内最大級のイチョウ(樹高約30㍍、幹回り約6・3㍍、推定樹齢約400年)が黄葉する晩秋に定着している法会。このイチョウは枝元から垂れ下がる気根に触れると子宝に恵まれるという信心を集めていて、その利益に健勝を求めて寺と地域が両輪となって奉仕している。
この日のイチョウは色づきがやや遅れていて落葉こそ始まっていないが、比較的均一に色づきが進んでいる段階。今年は荒天による傷みがほぼなく、豊かな黄葉の進行が拝観者の観賞や撮影を集めた。
法要は午前10時にあり、本堂内には檀家(だんか)ら約40人が参列。高池にある龍谷山霊巌寺の小原征雄住職らが兼務出仕し、参列一同で安置する仏像群に焼香し拝むなどした。その後に7斗分の餅まきがあり、本堂前の境内を埋め尽くす勢いで参拝者が拾いに集まる活気を見せた。その前後も含めて三尾川婦人学級が境内の六地蔵前に茶席を設けて茶菓を振る舞い。参道中腹では光泉寺の縁起物や地元産品の出店もあり、参拝の延長で買い求める人々でにぎわった。
色づきの遅れは悔やまれるところとなったが、序盤は映える秋晴れに恵まれた今年の法会。小原住職は参拝一同の健康を祈り、季節の変わり目の体調に留意して過ごすようこの機会に呼びかけつつ来寺を歓迎していた。
(2023年11月28日付紙面より)


僧侶で舞踊家の滝山隆心さん (那智勝浦町 )
敷地内をライトアップ中の那智勝浦町下和田の定光山大泰寺(西山十海住職)は23日夜、ライトアップイベント「光明遍照~高野山より滝山隆心氏を招いて~光と舞のコラボレーション」を開催した。光に照らされた境内において、高野山真言宗の僧侶で舞踊家の滝山さんが、繊細かつ表現力豊かなダンスなどを披露し来場者を楽しませた。本堂では「薬師堂修繕チャリティー展覧会~立花雁江書作品及び江戸の水墨・十二題武田勝利コレクション~」も同時開催された。
観光庁が行うインバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業が採択された同寺では現在、参道や敷地一帯をライトアップしている。インバウンドに限らず、地域住民に寺を身近に感じ、親しんでほしいという思いも込められている。
出演した滝山さんは芸術とダンスの道を志し京都造形芸術大学へ。卒業後は得度し、ストリートダンスやコンテンポラリーダンス、宗教舞踊を振付けのベースにパフォーマンスを始める。
2015年にはパフォーマンスで「真言密教」を広めるプロジェクト「高野山×DANCE Project」を設立。森永製菓「森永ラムネ」の受験生応援企画で公開した「合格祈願ダンス」の動画出演も有名。
ライトアップ周知のために、西山住職が大学時代の後輩である滝山さんに声をかけ今回に至った。この日、滝山さんはライトアップされた境内や薬師堂で、神秘的な舞踊などを披露。来場者らは大きな拍手を送った。
滝山さんは「音に限らず環境や人生、この瞬間に合わせて踊っている。お寺がライトアップされる中、お越しの皆さまにお薬師様の光を感じていただけたら」と語った。
西山住職は「ライトアップによって、普段気づかない自然の美しさに触れることができる。昼間だけじゃなく、夜もお寺に足を運び、参拝いただくきっかけになれば」と話していた。
ライトアップは午後9時まで毎日点灯しており、展覧会は12月31日(日)まで連日開催する。
(2023年11月28日付紙面より)


地域医療シンポジウム (紀宝町 )
「地域と共に育む、繋がりと物語」と題した紀宝町地域医療シンポジウムが25日、町生涯学習センターまなびの郷であった。みとりに関する特別講演に続き、トークセッションで参加者全員が地域医療について考えた。
「地域医療を学べるまち紀宝町」をスローガンに発足した、町地域医療研修センター(森本真之助センター長)が主催した。冒頭、西田健町長が「地域医療を学べる貴重な機会」とあいさつし、安心して暮らせる町を実現するための取り組みを紹介した。
講師は、国保名田庄診療所(福井県おおい町)の中村伸一所長。「自宅で大往生―『ええ人生やった』と言うために―」をテーマに講演した。
「治らない病気になったら人生の最後はどこで迎えたい?」と質問。「病院だけにみとりを担わせるのは無理。できるだけ在宅限界を高めることが大事」と語った。
「家でみとる覚悟を一緒に考えよう」と呼びかけ、事例を紹介。「本人か家族か、どちらかが覚悟すれば家でのみとりにつながる。終末期の在宅医療で医療介護職は調整が必要、患者さんは希望が大切」と示した。
みとりにこだわる理由として「日常生活の場で息を引き取ることは本人のためだけでなく、子どもや孫に命のリアリティーを伝える大切な儀式」とした。
トークセッションは森本センター長が司会を務め、副センター長でくまのなる在宅診療所の濱口政也所長、一般社団法人がんサポートナース代表で町地域おこし協力隊の看護師、沼澤幸子さん、中村所長がコメンテーターとして参加した。
みとりに関し「患者さんの話を聞くことの大切さを知り、語ってもらうことで答えが見いだせることを経験した」「末期でも『その人らしさ』がある。その人の良いところに目を向ける必要がある」などと、意見や気持ちを出し合った。
地域と民生委員との関わりへの質問があり、中村所長は「受診していない人を見てくれるのでありがたい。声かけ、チラシを配ったりすることも大事」と語った。
(2023年11月28日付紙面より)



東牟婁中体連駅伝競走大会
東牟婁支部学童軟式野球新人大会
第57回町展に多くの来場 (那智勝浦町 )
那智勝浦町体育文化会館で25、26の両日、第57回「那智勝浦町展」と「那智勝浦町生涯学習フェスティバル2023」が開催されている。町民らの力作が会場を彩り、多くの来場者が種類豊富な作品を楽しんでいる。
57回目を迎える町展には町内の園児100点、児童・生徒1244点、福祉施設や一般から412点の合計1756点(出展者は計1120人)の作品が並んだ。
作品は▽絵画▽書▽短歌▽写真▽生け花▽盆栽▽編み物▽陶芸▽アートフラワー▽手芸▽工芸▽押し花▽絵手紙▽ペーパークイリング▽レザークラフト▽パステルアート▽イラスト▽友好都市の長野県上松町から絵画―などが展示された。
家族連れや友人同士らで訪れた来場者たちは、子どもから高齢者までの繊細かつ力強い作品を堪能。写真を撮影する姿も多く見られた。
生涯学習フェスティバルでは、今年も「消防のつどい」「農産物品評会」が行われたほか、4年ぶりに歌や踊りなどのロビーステージ、手話や編み物などの体験コーナーもあった。
福祉課や住民課による健康ブースや家庭から環境を考えるブースも並び、福祉団体らによるバザーなども盛況だった。
同町から訪れた60代女性は「毎年素晴らしい作品が多く、元気を頂ける。欲しいなと思う陶芸作品もあった。私も趣味で絵を描いているので刺激になります。来年もまた来ます」と笑顔で話していた。
岡田秀洋教育長は「素晴らしい作品を出展いただき、ありがたい。一つの作品から知人や友人など、さまざまな方々の交流につながる。こういった文化が町づくりの基盤となる。子どもから高齢者までが一堂に会することができる町展は地域に残していくべき催し。今後も継続していきたい」と語った。
なお、26日(日)は午後1時30分から4年ぶりとなる町民音楽祭が開催される。展示時間は午前9時から午後4時まで。
(2023年11月26日付紙面より)


県と町の職員が清掃活動 (那智勝浦町 )
東牟婁振興局健康福祉部衛生環境課(新宮保健所)と那智勝浦町は21日、同町湯川の個人所有地で清掃活動に取り組んだ。ポイ捨てなどで増えた多くのごみを職員ら3人が拾い、景観美化に汗を流した。
同所は荒れ地となっており、以前から多くのポイ捨てや不法投棄などによるごみが散乱している場所。県では抑止を目的に看板や監視カメラを設置するとともに、過去数回にわたり清掃活動に取り組んできた。
この日、職員らは協力して空き缶やビン、ペットボトル、発砲スチロールなどのごみを回収。そのほか、大量の使い捨てライターや漁具、便器も見つかった。
衛生環境課によると、同所に限らず、人目につきにくいところや草が生い茂るなどして荒れ地になっている場所にはごみが捨てられやすいという。また過去には新宮保健所管内で、家庭ごみを不法投棄した住民が罰金刑に処された事例もあるとした。
不法投棄は個人の場合、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科せられる。
県では2020年、違法なごみ捨て行為に対して回収命令を出し、従わない場合は5万円以下の過料措置を取る「和歌山県ごみの散乱防止に関する条令」を制定した。
衛生環境課の世耕直行さんは「適切な維持管理がなされていない荒れ地や民家の少ない場所などはごみが捨てられる可能性が高い。放置したままでは、ごみがごみを誘発してしまう。不法投棄は犯罪で、悪質なケースは警察とも連携して対応している。不法投棄などを見かけた際は保健所か町役場に通報していただけたら」と呼びかけた。
新宮保健所(電話0735・21・9631)、新宮保健所串本支所(電話0735・72・0525)、同町住民課(電話0735・52・0559)。
なお、この日の回収物は約300㌔(可燃物8袋、不燃物5袋、自転車1台、便器1個、タイヤ1本)に上った。
(2023年11月26日付紙面より)


4年ぶり「うどのまつり」 (烏止野神社例大祭 )
紀宝町鵜殿の烏止野(うどの)神社(田中安弘宮司)で23日、秋季例大祭が行われた。これに合わせた「うどのまつり」(同実行委員会主催)はコロナ禍前の形で4年ぶりに開催され、鵜殿地区内ににぎやかな祭り囃子が響き渡った。
例大祭では鵜殿小学校5年の中澤萌衣さん、辻本芽依さん、南野愛さん、日下雅友里さんが浦安の舞を奉納し、餅まきなどが行われた。うどのまつりでは男性、女性、子どもの神輿(みこし)が大きなかけ声を響かせながら、地区内を練り歩いた。
法被を着た子どもたちが諸手船(もろとぶね)を表すだんじりを引いて歩いたほか、町役場などの会場で「鵜殿ばやし」の手踊り、「熊野水軍太鼓」の和太鼓演奏、ハリハリ踊りの披露などが行われ、多くの人でにぎわった。
(2023年11月26日付紙面より)





郡市音楽会 小学校の部
第71回郡市連合音楽会の小学校の部が24日、新宮市文化複合施設「丹鶴ホール」であった。新宮市と東牟婁郡の9校の児童が参加、合唱や合奏を披露した。
東牟婁郡新宮市音楽教育研究会(会長=谷口幸生・新宮市立王子ヶ浜小学校長)の主催。コロナ禍に伴う中断期間を除き、毎年開催している。今回の参加児童は学校により、全学年だったり1学年だけだったりした。
開会に当たり、谷口会長があいさつ。「この音楽会は今回が第71回で、すごい歴史がある。皆さんがその一ページを刻む。今日はしっかりお願いします」と呼びかけた。音楽の言葉の意味について「音を『楽しむ』と『楽しませる』の二つがあると思う」と説明。
ロックギタリストのジミー・ペイジの「音楽はいつだって世界の人の心に訴える最も強い言語である」との言葉も紹介した。「言葉が分からなくても通じ合える、最強の言葉ということを言っている」と伝えた。「今日は音を楽しみ、音を楽しませて」とまとめた。
最初に、「もみじ」の全員合唱があった。児童らは客席で起立して歌った。続いて、各校が発表を開始。ステージに上がり、合唱や合奏で練習の成果を披露した。発表する児童らは懸命に歌い、また演奏した。発表を待つ児童は静かに聞き、盛んな拍手を送っていた。
(2023年11月26日付紙面より)

来年のえと「辰」の色紙 (熊野那智大社 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)で来年のえと「甲辰(きのえたつ)」の色紙作りがピークを迎えた。男成宮司が色紙1枚ずつに直筆で、運が盛んに昇るようにと「昇運」の文字を書き添えている。今月中に1500枚を完成させる予定。
色紙には、那智の滝や水を連想させる青色の昇り龍と、滝頂上付近から新年の朝日が昇ろうとしている様子が描かれている。原画は今年8月中旬に完成した。
同社によると、甲は十干の1番目で物事の始まりを象徴し、辰は万物が成長し盛んになる様子を表すとしている。新たな年が昇り龍のごとく勢いよく活気あふれる1年になるようにと願いが込められているという。
23日は同大社斎館で男成宮司が色紙に文字を書き入れ、巫女(みこ)が社印を押して仕上げるなどの作業を進めていた。
男成宮司は「辰は物語の始まりを意味する。コロナ禍で4年間、苦しみがあったが、ようやく社会が落ち着きだした。来年はコロナ後の始まりの年。世界遺産登録20周年の年であると同時に、次の10年への始まりも指す。昇り龍のように勢いのある年になれば」と語った。
社頭での授与は24日から行い、発送は12月上旬からを予定。1枚2000円。送料は2枚以下600円、3枚以上は1200円。申し込みは、はがき(〒649―5301那智勝浦町那智山1、熊野那智大社)、FAX(0735・55・0643)、または同大社ホームページでメールにて受け付けている。
(2023年11月25日付紙面より)


熊野速玉大社で新嘗祭
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で23日、「新嘗祭(にいなめさい)」が営まれた。10人が参列し、自然の恵みに感謝をささげた。
新嘗祭は古くから伝わる宮中儀式の一つで、天皇陛下がその年に取れた五穀を神々に供え、自身も食して収穫を感謝する祭り。
神前に穀物などがささげられ、上野宮司が祝詞を奏上。巫女(みこ)たちが「浦安の舞」を奉納し、参列者らが玉串をささげた。
また、この日は田辺市の株式会社たがみの田上雅人代表取締役も参列し、熊野米300㌘を100個と2㌔を10個、1俵を奉納した。
上野宮司は「今日は全国各地でも新嘗祭が営まれている。神様に五穀をお供えしてお下がりをいただいて感謝し、神様のおかげを感じてもらう日本の象徴的なお祭り。神様は見守りという尊い徳を授けてくださいます。本日はありがとうございました」と話していた。
(2023年11月25日付紙面より)


木材利用推進キャラバン (古座川町・串本町 )
和歌山県と県木材利用推進協議会によるキャラバン活動が22日に古座川町と串本町であり、両町長へ紀州材(=県産木材)の積極活用を要望し、その利便策や範例を伝えるなどした。
この活動は、公共部門における紀州材の需要拡大、ひいては県内の林業・木材産業の振興を図る目的で毎年、市町村長に要望書を直接届ける形で展開している。新宮・東牟婁地方では先行してこの日の両町、28日(火)に残る4市町村を訪問する計画となっている。
22日は同協議会関係で南紀森林組合の勝山高嘉組合長、稲生商店の稲生直樹代表取締役(代理出席)、山形材木店の山形五六代表、池田製材所の久保太嘉志取締役、県関係で東牟婁振興局の鳥羽真司局長と同局林務課の樹林豊課長ら職員2人、同行者で県建築士事務所協会の尾添信行会長と前田俊紀事務局長、計9人組で活動。両町を順次訪問し、久保取締役から西前啓市・古座川町長、山形代表から田嶋勝正・串本町長へそれぞれ要望書を手渡した。
引き続き半時間ほどの懇談もあり、同協会から利便策として紀の国木材利用相談窓口、範例として冊子「きのくにわかやま紀州材を利用した公共建築物の整備のすすめ」を紹介するなどした。古座川町は当面大きな需要の見込みはないが他方で紀州材を産出する側として人材不足が深刻な課題になっているとし、久保取締役は需要が増しても山から出す人材と技術がなければ応えられない点で早期の育成と技術承継が必要と認識を共有した。串本町はくしもとこども園新園舎に続いて木造の統合小という大きな需要が控えていて、田嶋町長は「うちは積極的に行く」と前向きな姿勢を誇示。活動一行も統合小の需要を大いに期待し、山形代表はその大きな需要で慌ただしくなることのないよう納期に十分なゆとりを持たせて発注をしてほしいと希望した。鉄筋コンクリートを基本にするにしても内外装の木質化で活用する視点も話題にし、鳥羽局長が補助制度(紀州材公共施設木造木質化モデル事業)があることなどを伝えて前向きな検討を促した。
(2023年11月25日付紙面より)


勝浦小でキッズシェフ体験 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立勝浦小学校(山下真司校長)で22日、和歌山県調理師会主催のキッズシェフ体験があった。6年生44人が本格的な和食の技術で地元食材を調理し、おいしく味わった。
子どもたちに調理の楽しさを伝えるため、県調理師会新宮支部の平見一雄支部長(たぬき屋)、新宮調理師会の里中陽互会長(徐福寿司)、中畑光史さん(葵鮨)、平見輝行さん(たぬき屋)の4人が来校した。
この日のメニューは▽缶詰を使った簡単炊き込みご飯▽本格!白だしで作るカンパチのお吸い物▽トンボシビのにぎり(塩とサン酢で)―の3品。児童たちは炊き込みご飯用の野菜を刻み、サバの缶詰や米、調味料と一緒に炊飯器に入れて炊いた。カンパチのお吸い物では、かつお節と昆布で一番だしと二番だしを引いてお澄ましを作り、片栗粉をまぶして湯通ししたカンパチと合わせた。
勝浦を語る上で欠かせない生マグロのおいしさを再発見してもらおうとメニューに加えたトンボシビのにぎりは里中会長が担当。一貫一貫すしを握る熟練の手さばきを見ようと、周囲には自然と児童たちの輪ができ「職人だ」「めちゃくちゃおいしそう」と声が上がった。
鍋割琉奈さん(11)は「お店の方が学校に来てくれて、本格的な料理を教えてくれた。料理人に憧れる」。平井美佑希さん(同)は「料理は難しいと思っていたけれど、実際にやってみると楽しかった」と語り、トンボシビのにぎりについて「今まで食べた中で一番おいしかった!」と目を輝かせていた。残りの2品は、教室に持ち帰り、給食のおかずと一緒に味わった。
(2023年11月25日付紙面より)


全国スポ少交流東牟婁予選バレーボール大会
新宮ジュニアレスリングクラブ
三里小5、6年生が語り部学習 (田辺市本宮町 )
田辺市立三里小学校(髙田典子校長)は20日、本宮町内で語り部学習を実施した。5、6年生10人が保護者や市立本宮小学校(田中活介校長)の4~6年生28人らを招き、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部である発心門王子から三軒茶屋までの約5㌔を案内。道中で歴史などを解説した。
子どもたちが地域の伝承を学び、自らが「語り部」となって熊野地域を訪れる児童や生徒をもてなす「語り部ジュニア」の活動で行われている恒例行事。今年は取り組みに頑張っている子どもの姿を見てもらおうと初めて保護者も参加し日頃、活動に協力している熊野本宮語り部の会の松本茂子さんも同行した。
三里小の児童は▽発心門王子▽水呑(みずのみ)王子▽森のベッド▽伏拝(ふしおがみ)王子▽三軒茶屋―など全8カ所をガイドした。伏拝王子では、熊野詣での道中で月の障りとなった和泉式部の参詣を熊野権現が受け入れたという伝承を紹介。「たくさんの人が熊野本宮大社を前に伏拝王子を訪れていたことを聞いて、頑張ろうと決意していたのだろうと思いました」と語った。
保護者や本宮小の児童からは「解説ボードを掲げながら大きな声で聞きやすい説明だった」「感じたことを自分の意見で発表しているのが良かった」などの感想があった。
語り部を終え、泉一徳君(6年)は「少し失敗したところはあったけど『分かりやすかった』との声があり安心しました。これからも、いろんな人に自分たちの地元は素晴らしい場所だとい
うことを伝えていきたい」と話していた。
(2023年11月23日付紙面より)


歌好き集まりのど自慢大会 (那智勝浦町 )
コーラスグループのシャインズ(坂地あゆみ代表)は19日、那智勝浦町南大居の町立太田小学校体育館で「のど自慢大会」を初開催した。歌好きの出演者が、迫力ある生演奏をバックにカラオケの人気曲を熱唱。来場者から大きな拍手が送られた。
地域間交流や住民の発表の場の創出が目的。シャインズが主催・企画し、交流センター太田の郷が協賛した。
催しには、子どもから大人までの19組が参加。バンド演奏で出演者が歌い、トークするという某人気番組の形式で行われた。
出演者はさまざまな衣装を身にまとい「結婚しようよ」「さよなら大好きな人」「可愛くてごめん」「明日があるさ」「サボテンの花」「世界に一つだけの花」などの名曲を披露した。会場は終始、盛り上がった。
坂地代表は「過去に太田地域でもカラオケ大会があったとお聞きし、地域の皆さんの発表の場ができればと計画した。多くの来場に感謝しています。ぜひ、次回も開催できれば」と話していた。
この日、来場者には投票用紙が配布されており、投票によって優勝者も決定した。
(2023年11月23日付紙面より)



串本文化セで健康フェスタ (新宮薬剤師会 )
串本町文化センターで19日、イベント「薬剤師による健康フェスタin串本」があり適時来場を得てにぎわった。
このイベントは、県薬剤師会の地域分会の一つ・新宮薬剤師会(尾鷲俊和会長)が薬剤師による地域貢献事業として年1回、新宮・那智勝浦・串本の3エリアで会場を持ち回る形で開いている。医師と住民の間に立つ薬剤師の視点から推奨する体験や情報の提供を内容の基軸としていて、尾鷲会長によるとコロナ禍で取り組めない年が続き2019年度の那智勝浦エリア以来4年ぶりの実施になるという。
今回は中湊でひがし薬局を営む薬剤師・畑美恵さんを実行委員長に立てて計画した。薬剤師ら20人が手分けをして▽体組成測定▽認知症予防脳活▽もの忘れ予防▽骨密度測定▽ロコモ度のチェックと予防の提案―といった体験の機会を提供。薬剤師が選んだ腎臓病・糖尿病・介護用の食品サンプル紹介や薬についての疑問の解消を後押しする健康なんでも相談コーナー、薬物乱用防止啓発などにも取り組んだ。
これらコーナーと並行して新宮保健所串本支所も適切な手洗いを紹介して実践を推奨した。講演会もあり、医学博士の小野道夫さんが健康寿命をテーマにして登壇し現状を踏まえて増進の展望を解説するなどした。
事前の触れ込みもあり、当日は序盤から適時来場を得てにぎわいを見せ始めた。畑さんは「このフェスタから何か一つでもいいので情報を持ち帰って日々の健康維持に役立てていただければ何より。薬剤師としてその力になれれば」と込める思いを語り、次々にコーナーを巡る来場者の応対に当たっていた。
(2023年11月23日付紙面より)


施設無料開放や清掃活動で祝う (和歌山県 )
和歌山県の「ふるさと誕生日」である22日、県内で一斉に県立施設や賛同施設の無料開放などが行われた。当地方では「ふるさと誕生日クリーンアップ運動」と称し、県職員が東牟婁振興局周辺の道路などを清掃。美化活動を通して郷土愛を再確認した。
和歌山県は1871(明治4)年11月22日、和歌山・田辺・新宮の3県と、五條県の旧高野山領が統合され誕生。1989(平成元)年7月、県は県民が郷土について理解と関心を深め、ふるさとを愛する心を育み自信と誇りをもってより豊かな郷土を築き上げることを期する日として11月22日を「ふるさと誕生日」として条例で定めている。
昨年3月には、新型コロナウイルス感染症の影響で約半年の延期を余儀なくされたが、誕生150年を祝して和歌山市で盛大に記念式典が催された。
ふるさと誕生152年の今年、新宮市内では市立佐藤春夫記念館、市立歴史民俗資料館、旧西村家住宅(西村伊作記念館)が無料開放された。
(2023年11月23日付紙面より)

全国棚田(千枚田)サミット (那智勝浦町 )
棚田の景観や農村文化を次世代に継承することを目指す「第28回全国棚田(千枚田)サミットin那智勝浦町」が18、19の両日、那智勝浦町の体育文化会館や町内各地で開催された。38都府県から棚田保全団体や中山間地の農業関係者など151団体・530人が参加し、先行事例や課題などの意見交換を行った。
棚田を有する市町村で毎年実施している催し。コロナ禍で中止となり、昨年は3年ぶりに滋賀県高島市で開催された。
今年は同町で「棚田を囲む暮らしを共に~ここにしかない縁がある 来たれ耕す人~」をテーマに、各地の関係者と意見交換を行い、棚田地域の魅力を再発見して発展につなげることが目的。
18日は、同町のわかば保育園の園児による鼓笛演奏で開会した。全国棚田(千枚田)連絡協議会長の福井正明滋賀県高島市長が「棚田を保全し農業・農村文化の多面的特性も合わせ、次世代にバトンタッチをしなくてはならない」とあいさつ。
同サミット那智勝浦町実行委員会長の堀順一郎町長は「皆さまと意見交換をし、各地域の棚田の活性化や地域振興のために情報共有できれば」と述べ、和歌山県の下宏副知事もあいさつした。
棚田振興議員連盟会長で参院議員の鶴保庸介氏と衆院議員の浮島とも子氏、内閣府地方創生推進事務局長の市川篤志さんが祝辞を述べた。
棚田を守ろう会の外山麻子さんが「想像力がつなぐ棚田、私たちは今」と題して事例発表。▽耕作放棄地の復田▽米作りイベント▽会の発足▽農薬・化学肥料は使わず、手作業で米を栽培▽水や人手、資金の不足などの課題―などを紹介した。
各棚田で自身が消費する米を作ることが保全につながり、本来の姿であると主張。「形を守るのではなく、当たり前の暮らしをするための備えとして棚田を残していく。ぜひ、耕す人が増えるような取り組みを」と呼びかけた。
基調講演は島根県中山間地域研究センターの有田昭一郎さんが「次世代に引き継ぐための地域の体制づくり」を講話。人口減の局面で農業・農山村の支援や暮らし続けるための取り組みとして、より少ない人口で安心して暮らすことのできる体制づくりを提案した。
スタッフ体制づくりが重要とし、子育て世代の雇用によって、若い世代の参加や関係人口の誘因にもつながるとした。
有田さんは「若い世代が安心して暮らし、関わりやすい場とすることが棚田などの景観を次世代に継承することにつながる」と語った。
18日午後は、町内各所で専門家らを招き分科会が行われた。翌19日は、色川地域の棚田を見学する現地見学会や世界遺産などを巡る観光エクスカーション(体験型見学会)が実施された。
(2023年11月22日付紙面より)


名付け親の伊藤さんに感謝状 (南紀くろしお商工会青年部 )
「海の美しい勝浦にちなみ、波に夢を乗せて各地に届ける」―。南紀くろしお商工会青年部が発行する会報「ばあむ(波あ夢)」が今年10月に第50号を迎えた。それを記念し20日、那智勝浦町の商工会館で「ばあむ」の名付け親である同町那智山の伊藤松枝さんに感謝状を贈呈した。浦賀英昭部長は「由来には深い意味があり歴史もある。感謝しています。今後も60号、100号と継続できるように頑張りたい」と感謝を述べた。
「ばあむ」は、青年部の部員たちが取材して年2回発行する会報で、1995年7月に創刊された。創刊号には愛称がなかったことから、一般公募を実施した。
三重県桑名市出身で東京から同町へ移住した伊藤さんは、同町の風に波立つ青い海を見て着想を得る。風が起こす波やその波に夢を乗せて、都会にいる人々にふるさとの風を届けてはとひらめき、フランス語で風を意味する「バン」と掛け合わせて「ばあむ」と名付け応募したという。
採用された「ばあむ」の愛称は第2号から使用され、30年以上にわたり関係者や読者に親しまれている。なお、50号から冒頭の説明文が「海が美しい勝浦」から「海が美しい南紀」に変更となった。
50号作成に当たり、井戸大輔総務広報委員長らが創刊号を振り返ったところ、第2号から「ばあむ」の愛称になったことに気付いた。50号の節目の記念と、長らく使用されている愛称への敬意を込め、今回に至った。
伊藤さんは「このような機会を頂き、ありがたい。町には魅力的な商店がたくさんある。ばあむがずっと続き、今後も町の魅力を発信していただけたらと祈っています」と話した。
南紀くろしお商工会の森川起安会長は「良い名前を付けていただいた。波に揺られて頑張りなさいと言われているよう。この名前だからこそ、ここまで続いてきたのだと思う」と語った。
(2023年11月22日付紙面より)

内閣府と共催で防災訓練 (串本町 )
内閣府と串本町の共催による2023年度地震・津波防災訓練とワークショップが19日、堀笠嶋区(東敏洋区長)の協力を得て実施された。
南海トラフを震源域とする地震や津波を想定し、防災訓練としてシェイクアウトと津波緊急避難を実践、併せて日常防災をテーマにしたワークショップなどに取り組む内容。午前9時に地震発生とし、防災行政無線による訓練放送を合図にして自宅でのシェイクアウト行動(揺れから身を守る行動)、10分後に県立串本古座高校第一体育館を避難先として津波緊急避難行動を実践した。
同館に集まった区民は43人。田嶋勝正町長以下総務課職員、兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科の澤田雅浩准教授、内閣府の福本充企画官と合流してワークショップに取り組み、避難所運営の一端で町が備えているパーティション、簡易トイレ、段ボールベッドの組み立て方を教わるなどした。澤田准教授が「災害にも対応できる自分と地域の体力づくり」と題して講演。非常食(アルファ米など)の試食をしつつ昼食休憩し、以降は澤田准教授の提案に基づいて町の介護予防体操動画「ころころ体操」を紹介し内容の一部(下半身関係の運動)を実践した。福本企画官から南海トラフ巨大地震臨時情報と発表された場合に求められる対応の紹介もあった。
最後に田嶋町長が講評を寄せて終了。津波緊急避難や避難所運営には同校の生徒有志も避難誘導や区民と一緒に教わるなどの形で参加し、参加外で一般財団法人関西情報センターのスタッフが始終を撮影記録した。
澤田准教授や福本企画官と共に同訓練の始終を見届けた田嶋町長は、「今日は必ず起こるといわれている南海トラフ地震にどう対応できるかを改めて勉強でき、防災を日常のものにしないと大きな災害には対応できない点を参加いただいた皆さんに認識いただけたと思う。行政としてもいっそう町民と力を合わせて対策に取り組んでいきたい、と気持ち改まる機会になった」と同訓練の実施について語った。
(2023年11月22日付紙面より)

尾﨑酒造で初搾り (新宮市 )
熊野の地酒「太平洋」の蔵元である、新宮市船町の尾﨑酒造株式会社(尾﨑征朗社長)で20日、新酒の初搾りがあった。杜氏(とうじ)が搾り機から流れ出た酒をぐいのみに注ぎ、味や香りを確かめた。作業は来年3月末まで続き、一升瓶で約8万本を造る予定。
尾﨑酒造は、紀伊半島の田辺市以南から三重県松阪市周辺までの間で唯一、本州最南端の蔵元となる。6代目の尾﨑社長(79)が「地元の皆さんにかわいがってもらえるお酒を」と、1880(明治13)年から約140年続く伝統を守っている「太平洋」は新宮出身の文豪の佐藤春夫や中上健次も愛飲していた。
12月上旬まで、正月用の「太平洋しぼりたて生原酒」の醸造作業が行われており、中旬以降に酒屋などに出荷される。
仕込み作業は10月下旬から始まった。熊野川の伏流水や地元産のコシヒカリなどを使用し、こうじや酵母を用いてもろみに。櫂棒(かいぼう)と呼ばれる長さ約2・5㍍の棒でかき混ぜて発酵を促し、搾って日本酒を醸造した。
今年は気温が高く、冷やせるタンクを用いて仕込みを行った。「こんなに気温が高かったのは初めて。最初に米を冷やすが、目的の温度まで下がらずいつも以上に苦労した」と杜氏の小林武司さん(49)。
「仕上がりを心配していたがちゃんとお酒になってよかった」と述べ「甘みは去年より少ないがすっきりとしていておいしくできた」と安堵(あんど)の表情を浮かべる。
尾﨑社長は、コロナ禍が影響を及ぼした酒の消費量に言及。「大きな宴会が減ったことなどが大きく影響した。これからどうなっていくか、引き続き心配しているが出荷量は順調に回復してきているのでありがたい」。
「太平洋しぼりたて生原酒」について「楽しみにしてくれている多くの人のために『熊野の名物』として長く続けている。お正月は太平洋でお祝いしてほしい」と話していた。
同酒は3000本限定の予定で、価格は3300円(税込み)。サイズは1升のみ。商品に関する問い合わせは同社(電話0735・22・2105)まで。
(2023年11月22日付紙面より)


天空ハーフマラソン大会 (新宮市・那智勝浦町 )
第9回「新宮・那智勝浦天空ハーフマラソン大会」が19日、自動車専用道路の国道42号那智勝浦新宮道路を舞台に開催された。4年ぶりかつ最後となる今大会には和歌山県を中心に30都道府県から2204人がエントリー。世界陸上セビリア大会女子マラソン銀メダリストの市橋有里さんをゲストランナーに迎え、秋空の下、健脚を競い健闘をたたえ合った。
当地域に甚大な被害をもたらした紀伊半島大水害(2011年)からの復興と地域の活性化を願い、翌12年にスタートした。全国的にも珍しい自動車専用道路を使用するコースで展開され「世界遺産・熊野古道のまち」である新宮市、那智勝浦町の魅力を体感するとともに、地域の振興につなげることを目的に開かれてきたが、水害から10年が経過したことを受け、今大会で一つの区切りをつけるに至った。
新宮市佐野のやたがらすサッカー場で行われた開会式では、大会長で実行委員長の田岡実千年新宮市長が関係者の尽力に感謝を伝えるとともに参加者を歓迎。「来年、『紀伊山地の霊場と参詣道』が世界遺産に登録されて20周年を迎える。大会後は、周辺の温泉や海の幸・山の幸、観光施設など、当地域の魅力を満喫して」と呼びかけた。
二階俊樹さんが「串本太地道路も着々と事業を前進させており、フルマラソンの大会の実現も夢ではなくなる。高速道路の紀伊半島一周を新宮・那智勝浦からつなげていくという思いを共有しながら、大会を締めくくっていただければ」と二階俊博・衆院議員のあいさつを代読。前大会10㌔女子で優勝した渡辺優希さん(串本町)が「熊野の天空の下、熊野の風景を存分に体で感じながら、最後まで楽しんで駆け抜ける」と宣誓した。
レースは3㌔、10㌔、ハーフの順に行われ、男女別で各部門の総合8位までの選手が表彰を受けた。最後には地元特産品や商品券などが当たる抽選会もあり、会場は多くの人の笑顔であふれた。
10㌔女子で連覇を成し遂げた渡辺さんは「うれしい。コロナ禍を経て、大会の復活はうれしいけどファイナルは残念。今日は天気もよく、楽しく走れた」と笑顔。
ハーフ男子で2位だった日茂優真さん(島根県)は新宮市出身。「大会には2回から7回まで3㌔で参加した。地元ということもあり思い入れが強い大会。ハーフに出るために練習してきた。優勝してさらに連覇を目指したかったけど、最後の大会でさみしいです」と話していた。
(2023年11月21日付紙面より)

「八反田遺跡」一般に公開 (新宮市 )
新宮市教育委員会、(公財)和歌山県文化財センターが発掘調査を行っている同市木ノ川の八反田遺跡が18日、公開された。参加した地域住民らは、遺跡から出土した弥生土器や石器、作業風景などを見学した。
地中に埋まっている土器や石器、建物の跡などの文化財を「埋蔵文化財」といい、埋蔵文化財が埋まっている場所を「埋蔵文化財包蔵地」(遺跡)という。市内には現在、37カ所の埋蔵文化財包蔵地が確認されており、遺跡の範囲内で工事などを行う場合の手続きが文化財保護法で定められている。
工事着工前に、工事予定範囲の一部を調査し、埋蔵文化財の状態を確認。その結果、遺跡に影響があると判断された場合には工事内容の変更などについて協議される。なお、変更が不可能な場合には本発掘調査を実施することがある。
市では、市道比奈久保線交差点改良工事に伴い、埋蔵文化財包蔵地の一つである、八反田遺跡の発掘調査を開始した。なお、過去に佐野川周辺で行われた発掘調査では、弥生時代の竪穴建物などの遺構が確認され、弥生土器や石器が出土している。
今回の調査地は遺跡の西辺りの、西から延びる丘陵の山麓部で、調査を進める中で土器廃棄土坑やくい列、溝などの遺構を確認。約3㍍四方の廃棄土坑では、弥生土器が大量に出土した。
土器は完形に近い個体も複数あり、まとまって出土していることから意図的に廃棄されたものと思われる。現在、調査途中ではあるが、遺構は竪穴建物であった可能性もあるという。また、くい列は柵や塀などがあったと想定され、複数列見られることから、作り替えなどが行われたと考えられる。
遺跡は、出土土器から弥生時代中期から後期(約2200年前~約1700年前)にかけてのものと思われる。出土土器などは後の市立歴史民俗資料館での展示も視野に入れて調査を続けていくという。
(2023年11月21日付紙面より)


「山の章」花火打ち上げ (那智勝浦町 )
那智勝浦町は18日夜、勝浦湾渡の島で「山の章 紅葉と那智の滝しぶき」と題して花火を打ち上げた。計1350発が町の夜空に美しい大輪を咲かせ、大勢の来場者から拍手や歓声が上がった。
コロナ禍で疲弊する町を元気づけようと昨年から始まった取り組み。那智勝浦町花火大会が再開した今年も、町のさらなる活性化を図るべく実施することとなった。
10月にも「海の章 那智勝浦オーシャンビュー」のタイトルで1350発が打ち上げられた。
今回は18、19の両日に開催された棚田の景観や農村文化の継承を目指す「第28回全国棚田(千枚田)サミットin那智勝浦町」に合わせてこの日となった。サミットには、38都府県から530人が来町している。
家族連れなどの多くの来場者は次々と夜空に打ち上がる花火を楽しんでいた。
三重県熊野市から訪れた40代男性は「たまたま友達と食事するのに勝浦に来たら花火があった。時間的にもちょうど良い長さだった思う。とても寒かったが、きれいでした」と話していた。
(2023年11月21日付紙面より)

紀州らんちゅう同好会(植松啓会長)に所属する、那智勝浦町川関の濱田英明さん(36)は、愛知県蒲郡市で3日に開かれた第66回日本らんちう協会全国品評大会の当(1)歳魚の部門で、日本一となる優等賞の東大関となった。前回大会に続き2連覇な上に、環境大臣賞も同時受賞。「すごくうれしい」と喜んでいる。また同同好会から、他にも3人が入賞した。
濱田さんは、前回大会では同じ当歳魚の部門で初の日本一に。その際に「まぐれと言われないために、もう一度日本一を取りたい」と語っており、今回はそれを実現した。同大会の連覇は、約40年ぶりという。「今年は頑張った。結果が出て良かった」とほほ笑む。
また他にも、当歳魚の部門で1匹、弐(2)歳魚の部門で1匹が入賞した。「次は3連覇」と意気込む。
新宮市蜂伏の瀬戸大介さん(44)も、弐歳魚の部門で上位賞である、壱等賞の勧進元一を受賞した。「やっと(上位に)入賞できた。育てるのに苦労があった。らんちゅうのためにローンを組んで小屋も建てたが、そのかいがあった」と話す。今後の抱負として「まずは継続して入賞できるようになりたい」と述べる。他は、当歳魚の部門で2匹が入賞した。
親魚部門で、那智勝浦町井関の辻敏秋さん(67)が参等賞の西前頭三となった。濱田英太さんも当歳魚の部門で2匹入賞した。
同同好会は随時、会員を募集している。濱田英明さんは「泳ぐ宝石を育てて、一緒に日本一を目指しましょう」と呼びかけている。問い合わせは、同同好会の植松会長(電話090・7103・0651)まで。
(2023年11月21日付紙面より)


県新人卓球大会で活躍 (新宮高校 )
バスケット・バレーで活躍 (城南中、光洋中 )
納税表彰式で表彰状や感謝状 (新宮税務署 )
新宮税務署(美馬本進署長)、公益社団法人新宮納税協会(横手章郎会長)、新宮納税貯蓄組合連合会(森川起安会長)は17日、新宮市井の沢の新宮商工会議所で「令和5年度納税表彰並びに感謝状贈呈式」を開いた。管内で国税の申告と納税、租税教育などに貢献した個人や団体に対して表彰状や感謝状が贈られた。
国税の申告と納税および租税教育などに関して、功績顕著な団体または個人、法人を顕彰することにより、広く納税思想の高揚などに資することを目的に「税を考える週間」(11月11~17日)の行事の一環として税務署と関係民間団体の共催で行われている。
開会に当たり、主催者を代表して美馬本署長があいさつ。税務行政への理解と尽力に対して感謝を示し「今後も納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現するという使命を果たすべく、納税者の皆さまからの理解と信頼の下、適正・公平な税務行政の推進に努めていく」とさらなる協力を求めた。
来賓として出席した南守・市総務部長らが「皆さま方の日頃の租税教育の推進による納税意識の高まりは、市の安定した財政確保と市民が夢と希望を持ち、安心して暮らし続けるまちづくりにつながる。今後も納税制度の普及、地域社会の発展のためにご尽力を」(田岡実千年市長代理・代読)などと祝辞を述べた。
受賞者を代表して𠮷田俊久さんが「今後も組織の拡大や活発な事業活動の積極的な推進に協力し、正しい申告と期限内納税の励行に努め、他の模範となるように引き続き努力を重ねていく」と誓いを新たにした。
続いて「中学生の『税についての作文』」(国税庁、全国納税貯蓄組合連合会主催、応募編数44万5945編)で近畿納税貯蓄組合総連合会会長賞を受賞した丸山葵保さん(近大新宮中1)と「税に関する高校生の作文」(国税庁主催、応募編数17万4008編)で公益財団法人納税協会連合会会長賞に選ばれた脊古彩羽さん(県立新宮高1)が作文を力強く朗読した。
(2023年11月19日付紙面より)

三輪崎保でフラワーアレンジ (新宮市 )
11月19日の「家族の日」を前に、新宮市の保育所型認定こども園「三輪崎保育園」(中畑元太園長)で17日、フラワーアレンジが行われた。5歳児22人が同市佐野の花屋「咲(さく)」の漁野昌子さんに教わりながら楽しく花を飾った。
保護者たちに感謝の気持ちを持ってもらおうと毎年実施。フラワーアレンジは生花に触れることで花の名前や色、数を学ぶとともに、園児の心を育むことを目的としている。
園児は漁野さんから説明を受けると、早速作業を開始。それぞれの理想とする箇所でガーベラとカーネーションの茎を切り、丁寧にスポンジへと挿していった。最後はカスミソウ、リキュウソウを飾り、思い思いの作品を完成させた。作業後には、漁野さんにお礼のプレゼントを手渡し「家で花に水をあげ、涼しい場所に置くこと」を約束した。
漁野さんは「どの作品も個性豊かで素晴らしいものでした。改めて、子どもたちの感性に驚かされた。フラワーアレンジを通じて花を好きになってもらい、心優しく成長してもらえれば」と話していた。
(2023年11月19日付紙面より)


保護者ら招き「神内小のつどい」 (紀宝町 )
紀宝町立神内小学校(寺本真奈美校長、児童67人)は17日、体育館で「神内小のつどい」を開催。各学年がこの日のために1カ月以上練習してきた音楽劇やダンス、合奏、合唱などを繰り広げた。
毎年恒例の学習発表の場で、今年は保護者、学校運営協議会のメンバーらを招いた。中前綸太君(6年)が司会し、子ども会の倉本琉希会長(6年)が「6年生は最後のつどい。思い出に残るものにしましょう」とあいさつした。
ピンクシャツウイークの取り組みを紹介した後、1年生が音楽劇「くじらぐも」を見せ、ダンスも披露。2年生は朗読劇とダンス、3年生はボディーパーカッションとリズム演奏を繰り広げた。
3、4年生の合唱「もみじ」に続き、4年生が「きらきら星」をリコーダーで演奏、5、6年生は「さくらんぼ」を合奏、「大切なもの」を歌った。
保護者はスマートフォンで動画撮影するなどし、子どもたちの発表に温かい拍手を送った。子ども会の野地哲平君(5年)が終わりの言葉を述べ、閉幕した。
(2023年11月19日付紙面より)


3校が町消防・防災センターへ (那智勝浦町 )
那智勝浦町立太田小学校(上地巳奈子校長)、市野々小学校(中地直樹校長)、色川小学校(沖平和生校長)の3、4年生計16人が17日、社会科の「安全なくらしを守る」の学習で町消防・防災センターを訪れた。
3校はそれぞれ複式学級となっており、研究会を通じた担任教諭同士のつながりから、合同で校外学習を実施している。
児童は町消防本部の太田真次さんら5人の消防士の案内で、水槽付消防ポンプ自動車「かつうら1」の装備を見学。1台の消防車の中に、延長用ホースや空気呼吸器、はしご、レスキュー用のカッターやスプレッダー、チェーンソーなどが収納されており、火事や交通事故現場、救助活動などさまざまな場面で活躍していることを学んだ。
普段は見ることができないセンター内の中の仮眠室や食堂、シャワールームなども見学。消防士たちは「男性の仕事というイメージが強いかもしれないが、消防士は男女関係なくなることができる。最近は全国的に女性消防士も少しずつ増えているので、皆さんも将来消防士を目指してみては」と呼びかけていた。
(2023年11月19日付紙面より)


合同避難訓練を実施 (王子ヶ浜小と城南中 )
新宮市立の王子ヶ浜小学校(谷口幸生校長)と城南中学校(吉田元紀校長)は16日、地震・津波の合同避難訓練を行った。児童321人と生徒153人が、高台にある近畿大学附属新宮高校・中学校(池上博基校長)のグラウンドに避難した。近大新宮中学校の生徒125人も同様に、校内からグラウンドへと避難した。
新宮警察署や新宮市消防本部、近隣住民などの協力の下で毎年実施している。王子ヶ浜小と城南中では、地震の発生を想定。児童・生徒は、机の下などで揺れが収まるまでやり過ごした後、近大新宮への避難を開始した。
避難の道中では、警察や消防、地域住民などがあちこちに立って、児童・生徒を誘導した。児童・生徒は教職員の引率の下、急ぎ足で近大新宮のグラウンドへと避難した。近大新宮中学校でも同様に、校内で地震発生の知らせがあり、生徒らがグラウンドへと急いだ。
避難後は講評があった。新宮署の担当者は「危険な場所を意識して避難を。中学生は率先避難者となって。(避難について)家の人とも相談して。今後もしっかり訓練を」。新宮消防の担当者は「避難の道と場所を忘れていた人は覚えておいて。自分の命は自分で守る。まず身を守る行動を」などと語った。
参加校を代表し、谷口校長があいさつ。「いつ、どこで、どの程度の災害が起こるか分からない。訓練は、いざというときに適切な行動が取れるようにする練習で、命を守るための大事な行事。自分の命をしっかり守って。今日の避難の話を家でもして、いざというときはどこで待ち合わせるかなどを話し合って」と呼びかけた。
(2023年11月18日付紙面より)


文化通信社「ふるさと新聞アワード」
メディア業界の専門紙を発行する株式会社文化通信社(山口健・代表取締役)=東京都千代田区=が主催する第3回「ふるさと新聞アワード」で、本紙の記事がグランプリに選ばれた。
専門紙「The Bunka News」の発行をはじめ、活字文化推進事業を展開する同社。創業75周年を迎えた2021年、全国各地の社会・経済・文化の発展、活字文化を守るため、主に市町村エリア向けに新聞を発行している「地域紙」を応援する目的で、地域紙のユニークかつ優れた記事や連載、企画などを表彰する同アワードを創設。地域にゆかりのある著名な審査員による最終審査を経て、グランプリおよび各賞を決定している。
今回は全国の地域紙から約200の記事がエントリー。文化通信社内で1次選考ののち▽加来耕三さん(歴史家・作家)▽小山薫堂さん(放送作家・脚本家)▽高橋俊宏さん(ディスカバー・ジャパン代表取締役)▽中川政七さん(中川政七商店会長)▽山崎まゆみさん(温泉エッセイスト)―の5人が最終選考した。
グランプリに選ばれたのは、かつて盛り上がりを見せていた熊野地域の鉄道会社の歩みを紹介した「嗚呼(ああ)!!壮絶かな、観光合戦!!」(担当=西久保勢津子記者、2023年1月1日付掲載)で「『観光合戦!!』と題した華やかな記事で、ひときわ目に留まった。交通・鉄道を軸として、観光地の在り方が論じられており、特に、古資料を丹念に読み込んで執筆されたことが伝わってきた。かつての時刻表、リーフレット、駅の風景など、数々のカラー写真が掲載され、当時を懐かしみながら、記事を読まれた方も多かったのではないか。熊野への強い思いが込められた記者の記事が、熊野の観光・交通の活性化のヒントとなることを願ってやまない」(加来さん)。
「地元の鉄道路線が大赤字であるというネガティブなニュースを起点に、かつて活況であった熊野観光の様子をひもときながら、未来に向けて熊野観光がどうなっていくべきかを取材・提言している素晴らしい記事。切り口や編集も秀逸で読み物記事として面白い。タイトルやデザインにも気が配られている。この方が書いた他の記事も読みたいと思わせる」(中川さん)と高評価を得た。
受賞の報を受け、熊野新聞社の寺本一生代表取締役社長は「3年連続の入賞で、しかも今回は初めてグランプリを頂きました。うれしい気持ちでいっぱいです。記事は熊野学研究委員会研究委員の中瀬古友夫先生のご協力を得て西久保記者が書き、紙面デザインも彼女が制作しました。受賞は今後の大きな励みとなります。ありがとうございました」とコメントしている。
表彰式は12月1日(金)、東京都台東区の東天紅上野本店で行われる。
□ □
■グランプリ
▽熊野新聞「嗚呼!!壮絶かな、観光合戦!!」
■「もの」部門
【最優秀賞】
▽丹波新聞「柏原藩陣屋の秘密穴 藩主の抜け道伝説」
【優秀賞】
▽須坂新聞「100年前のピアノ復活」
▽胆江日日新聞「『いわてリトルベビーハンドブック』作成」
■「こと」部門
【優秀賞】
▽あやべ市民新聞「『ふるさとにエール』10年後の綾部に向けて」
▽人吉新聞「人吉城跡の地下室遺構 ユダヤ教沐浴施設か?」
■「ひと」部門
【最優秀賞】
▽滋賀報知新聞「ガリ版発祥の地に移住」
【優秀賞】
▽いわき民報「草野心平 生誕120周年記念特集」
▽岩手日日「折り紙こつこつ亀1000匹 リハビリで制作」
▽市民タイムス「新聞切り抜きに母の愛」
■文化通信社賞
▽北鹿新聞「若い読者層へ月替わりリーダーがつくる『We』」
▽夕刊三重「『夕飯三重・男の1人暮らし』」
(2023年11月18日付紙面より)

古座のいきいきサロン (串本町 )
串本町古座にある古座漁村センターで16日に古座のふれあいいきいきサロン活動があり、利用者やボランティアスタッフ10人が認知症について学ぶ機会を持った。
田原の同サロンが8月に取り組んだ紙芝居仕立ての認知症講座の内容をなぞらえて計画。相談を受けた町地域包括支援センターは認知症サポーター養成講座の位置付けで古座のサロンとこの講座の担い手・甲斐優子さん(居宅介護支援事業所アイトワケアサービスのケアマネジャー)をつなぎ、実施へとこぎ着けた。
中継ぎで実働した生活支援コーディネーター3人の活動紹介を経て甲斐さんが登壇。認知症がどの程度高齢者に身近か(75歳以上で12人に1人、85歳以上で3人に1人)を伝え、「85歳以上3人に『2人』の方になるために考えてほしい」と期待を込めて主だった認知症やその要因、生活習慣病の改善による予防や早期発見早期対処で進行を緩やかにする視点などを紹介した。講話中は手書きの挿し絵を順々にスライド上映し、話のポイントとなる部分を印象づけた。
(2023年11月18日付紙面より)


全国花のまちづくりコンクール (那智勝浦町 )
花のまちづくりコンクール推進協議会が実施する第33回「全国花のまちづくりコンクール」で、那智勝浦町下里の花づくりボランティア「下里とも子ガーデン」(岩本カナエ代表、会員7人)がこのほど、団体部門において入選(努力賞)を果たした。届いた賞状を手に、会員一同で努力をたたえ合った。
同コンクールは農林水産省および国土交通省が提唱するもので、1990年の「国際花と緑の博覧会」の理念である「自然と人間との共生」を継承し、91年より「花のまちづくり活動の発展」と「花の社会性の向上」を目的に、全国各地の優れた花のまちづくりを表彰している。対象は全国の市町村や学校を含む団体や個人、企業。
花壇の所有者の故・笠松朝子さんの遺志を受け継いだ地域住民で構成。四季折々の花が楽しめる花壇には町内外からの来場者も多く、看板ネコのやまとも人気だ。
コンクールでは、これまでに入選や奨励賞を受賞している。今回も会員一同で協議を重ね、10日ほどをかけて応募用の書類作りに励んだ。
会員らは「和歌山県から推薦いただいた。賞のためではなく、花づくりを楽しんでいます」。
岩本代表は「努力賞という副題もうれしい。みんなで作り上げてきたものを評価していただけた。感謝しかないです」と喜びを語った。
同ガーデンでは、会員が選んだ花の種のポットに、各自の名札を取り付けて栽培しているほか、同ガーデンのシンボルのカッシアや自宅用のサツマイモも育てている。
現在は、セージやマリーゴールドが花壇を彩っており、会員は来春の準備に取りかかっている。
(2023年11月18日付紙面より)

ガールズサッカーフェスティバル (和歌山県サッカー協会 )
那智勝浦町総体グラウンドゴルフ大会
近畿高校選手権、県なぎなた秋季大会など
Start Up Me硬式野球 (新宮高校OB会 )
【第67回】体調が悪いときの食事
11月に入り、年末が近づいてきたなという気候になってきましたね。急に寒くなって、体調を崩されているという方も多いのではないでしょうか? 今日は、そんな体調を崩したときの食事について、お話ししようと思います。もちろん症状によって、食べるものは変わります。例えば、症状が「鼻水・くしゃみ・せき」くらいで、熱がないときは、基本的に普段と同じ食事で大丈夫です。そんなときでも、喉が赤く腫れて痛いときや、せきがつらいときは、かんきつ系のフルーツは避けた方がいいでしょう。かんきつ系のものは、喉に染みやすく、せきや吐き気を悪化させる可能性もあるので注意してください。
問題は熱があるときですよね。まず最も大切なことは、皆さまご存じの「水分補給」です。脱水にならないようにこまめに水分を取ってください。お子さんがお水を飲むのを嫌がる場合は、リンゴジュースやゼリー、イオン飲料、すりおろしたリンゴなどでも良いと思います。とにかく水分をたくさん取ることを心がけてください。
そして、食事で意識してほしいのは、タンパク質を取ることです! 免疫細胞である白血球を作るのはタンパク質! 卵や魚、お肉、大豆食品に多く含まれますが、肉や魚はなかなか食べづらいですよね? 体調が悪いときでも食べやすい、おかゆやうどんに、卵や豆腐をプラスするのがお勧めです。消化にいいからと、ついつい具材を入れないおかゆを食べがちですが、タンパク質をプラスすることで、病気と戦う力をつけることができます。これは予防という観点からも有効なので、日頃からタンパク質は不足しないようにしてください。
三つ目は、ビタミンAを取るです! 風邪の症状は大抵、喉や鼻などの粘膜があるところから始まりますよね。その粘膜を強くしてくれるのが、ビタミンAなんです。ウナギやアナゴにも含まれますが、風邪のときに食べられるものとしては、チーズ・ノリ・卵・ホウレンソウ・ニンジンあたりがお勧めです。ホウレンソウやニンジンは、細かくカットしておかゆに入れてもいいですし、うどんの具材にしてもいいかもしれません。ビタミンは他にも抵抗力を高める、ビタミンCを取るのもいいでしょう。ビタミンCはキウイや柿、パプリカやブロッコリーに豊富に含まれます。バニラアイスクリームに、果物を添えたりして、お子さんにも食べさせてあげてください。
最後に避けた方がいい食材を三つ紹介しておきます。
一つ目は脂っこい食べ物。二つ目は根菜類です。これはどちらも消化に時間がかかり、胃腸に負担がかかります。感染症と戦っているときは、体力も消耗し、胃腸も弱っているので、避けた方がいいでしょう。三つ目は牛乳です。牛乳は、薬の吸収を邪魔したり、せきを誘発させるともいわれています。風邪のときは、蜂蜜を溶かした「蜂蜜レモン」などがお勧めです。
体調を崩しやすいこれからの季節、参考にしてみてください。
(2023年11月18日付紙面より)
環境保全の取り組みも (新宮高校 )
和歌山県立新宮高校(深野泰宏校長)は15日、国土交通省中部地方整備局紀勢国道事務所の協力の下、熊野市や尾鷲市で近畿自動車道紀勢線の工事現場を見学した。1年生200人が参加、工事の概要と、並行して行われる環境保全の取り組みを学んだ。
同校は文部科学省の普通科改革支援事業の指定校に採択されており、その改革の具体策の一つとして、地域や大学、研究機関と協力した学際的な学びを生徒に提供する「くまの学彩」に取り組んでいる。今回はこの「くまの学彩」の一環として行った。
現場見学に先立ち10月に、事前学習を行っていた。紀勢国道事務所のほか、ヤマネ・いきもの研究所が講師を務め、紀勢線の工事では現場周辺に生息するヤマネの保護の取り組みを行っていることを伝えていた。ヤマネはネズミやリスに似た小動物で、国の天然記念物となる。
現場見学は、生徒らを5班に分けて実施した。見学するのは▽尾鷲市小原野の動植物(ヤマネ)の保全対策現場▽熊野市井戸の熊野道路トンネル工事現場▽熊野市有馬の熊野道路の熊野インターチェンジ(IC)=仮称=工事現場―の3カ所で、生徒らは交代しながら巡った。
熊野IC工事現場では、紀勢国道事務所の紀勢線推進室の高橋誠建設監督官が説明した。熊野道路の概要として「熊野市の大泊から有馬を結ぶ、延長約7㌔の自動車専用道路。今いる所は、熊野ICを造る場所」と話した。
現在行われている工事を紹介。「地盤改良といって、地盤を強くする工事をしている。コンクリートの柱のようなものを打ってもらっている。そのまま土を盛ると崩れたり沈んだりするので、地盤を強くした後に盛って、車が走れる状態までもっていく」と語った。
大矢胡春さんは「私たちの知らないところで地域の発展のために、こんなにたくさんの人が働いていることを知らなかった。もっとたくさんの人に知ってもらえたらと思う」と感想。
この後に見学するヤマネ保全対策現場について「道を造るのは環境を壊すイメージだったので、環境を保全しながら造られていることは興味深く、見学が楽しみ」と述べた。
(2023年11月17日付紙面より)


北山小児童が訪問交流
太地町立太地小学校(海野文宏校長、児童104人)へ10日、北山村立北山小学校(松本広明校長)の全校児童28人が訪れ、各学年で交流会が開かれた。
太地町と北山村は2021年より町村交流を進めており、大人から子どもまでさまざまな機会に互いの地域を訪問して仲を深めている。
両校の5、6年生は混合のグループになり「たまご星人救出作戦(大火事)」に挑戦。大火事から逃れるために高台(1㍍)から飛び降りなければいけない「たまご星人」を救うため、新聞紙1枚、ストロー5本、テープ、はさみを使って戦略を練り、協力して救出グッズの制作を進めた。
福祉学習で手話を練習している太地小4年生は、北山小の4年生にNHK連続テレビ小説「らんまん」の主題歌「愛の花」の歌詞を教えた。見よう見まねで一緒に練習する北山小児童に「今日が初めてなのに、そろっていてすごい」と拍手を送った。
1年生たちは一緒に校内スタンプラリーへ出発。理科室や家庭科室、図書室などを見て回った。一緒にドッジボールをする時間もあり、チームプレーで汗を流した。
北山小の柳原空君(1年)は初めての太地小訪問に「今日は自己紹介とか、体育館で遊んだりとかした。学校の中を見て回るのが楽しかった」と話していた。
(2023年11月17日付紙面より)


串本町観光カレンダー
2024年版串本町観光カレンダーの一般販売が15日、南紀串本観光協会を窓口にして始まった。価格は1部800円(税込み)で、売り切れ次第取り扱いを終了する。
B3判フルカラー13枚つづりで、作製数は750部。23年度同町観光フォトコンテストの入賞作品12点を挿絵とし、月別暦のページではB4判の大きさで鑑賞できる。主だったイベントの実施時期に加え、暦にはフィッシングタウンならではの要素として潮汐(ちょうせき)(満潮・干潮の時間や潮の状態)、日の出・日の入りの時間、月齢図、生活要素として六曜を盛り込んでいる。
作製数から入賞作品撮影者などへの進呈分を差し引いた数が一般販売の対象で、同協会はJR串本駅そばにある串本事業所と同古座駅そばにある古座事業所(通称・同協会古座)の2カ所で取り扱うとしている。販売は現金でのみ対応するとし、郵送を希望する場合は串本事業所(電話0735・62・3171)へ相談してほしいという(別途郵送料の負担が必要)。
問い合わせは同事業所まで。
(2023年11月17日付紙面より)

糖尿病予防などを啓発 (勝浦LC )
勝浦ライオンズクラブ(勝浦LC、西山十海会長)は13日夜、那智勝浦町築地の同事務所入り口に設置したマグロのイルミネーションをライトアップした。青色に輝くイルミネーションで、糖尿病予防などを啓発している。12月4日(月)まで。
2021年現在、世界の糖尿病人口は5億3700万人に上っており、45年には約7億8300万人に達すると試算されている。
そのため、世界規模で取り組むべき重要な健康課題として、各地で予防、治療、療養を喚起するブルーライトアップや講演会などの啓発活動が実施されている。
勝浦LCでは、世界でも有数な疾患啓発の日として知られる世界糖尿病デーのブルーライトアップ活動の一環として、毎年取り組んでいる。
名和千秋奉仕委員長は「糖尿病を広く知っていただき、予防についても目を向けてもらえる機会になれば幸いです」と話していた。
なお、12月4日以降は、クリスマス用のライトアップを予定しているという。
(2023年11月17日付紙面より)

新宮市民スポ祭バドミントン競技
イオンSSカップサッカー大会
市婦連が「愛の日バザー」 (新宮市 )
和歌山県が制定する「愛の日」の15日、新宮市婦人団体連絡協議会(劔持幸代会長)と市社会福祉協議会(濵前泰弘会長)は市福祉センターで4年ぶりとなる「愛の日バザー」を開催した。会場には各家庭から募った商品が並び、来場者らは列を作って好みの品を買い求めた。収益金は全て、地域福祉のために使われる。
「愛の日」は、社会福祉を身近なものと理解し、県民が幸せになれるよう愛の手を差し伸べようと、1968年に制定された。バザーは同日に合わせて開催されているが、過去3年間は新型コロナウイルス感染症の影響で中止としていた。なお、前回2019年の売上金は20万7635円だった。
かっぽう着に身を包んだ市婦連会員を前に、劔持会長は「愛の日は、県民みんなが幸せになれるよう、愛の手を差し伸べようと始まりました。婦人会でも各家庭からいろいろな品物を寄付していただき、少しでもお役に立てれば」とあいさつ。
市社協の大谷康央事務局長は、婦人会の日頃の尽力に感謝。「久しぶりにバザーを開催することができた。一日無事に終えることができれば」。
濵前会長は「こんなに多くの商品が集まって驚いた。全ての商品に値段を付けるだけで大変な作業だったと思う」と会員らをねぎらった。
会場の外には多くの人が列を作り、開始と同時に所狭しと陳列された日用品や衣類、食器などを手に取って品定め。会員や友人らと談笑しながら買い物を楽しんでいた。
劔持会長は「たくさんの品物を寄付していただいてありがたい。地域福祉に役立てられれば」と話していた。
(2023年11月16日付紙面より)

パルバティ・バウルさんらが奉納 (熊野那智大社 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)の別宮飛瀧(ひろう)神社で10日、インドの吟遊行者パルバティ・バウルさんらによる歌と演奏の奉納があった。多くの参拝客が見守る中、パルバティさんらは公演「ポロシュポル・魂の出逢(であ)い」を披露。那智の滝に思いをささげ、心を込めて奉納した。
公演名「ポロシュポル」はベンガル語で「お互いに」。日本の祈りと芸能の地を巡り、日印古来の文化や人生が「互いに出逢う」という意味が込められている。パルバティさんは「バウル」という吟遊行者。バウルの長老である故ショナトン・ダス・バウル氏と故ショシャンコ・ゴシャイ氏の下で数少ない弟子の一人としてバウルの音楽と精神を、次世代への継承に尽力している。
この日は、元ロックバンド「THE BLUE HEARTS」のドラマー・梶原徹也さんと篠笛(しのぶえ)奏者の阿部一成さんが共演した。奉納は梶原さんと阿部さんによる演奏で開始。その後、パルバティさんが右手で一弦琴の「エクタラ」を弾き、左手で腰に結び付けた小鼓「ドゥギ」をたたきながら足首の鈴飾り「ヌプル」でステップをとって舞を披露した。
後半には3人のセッションも行われ、参拝者らはリズムを取るなどして音楽に夢中となり、演奏が終わると大きな拍手を送った。
奉納を終え、パルバティさんは「滝の姿が力強く、神聖に触れるものを感じました。日本の伝統文化を目にすることができて感激している。望んでいただけるようであれば、また訪れたいです」と話していた。
(2023年11月16日付紙面より)


優しく触れコミュニケーション (紀宝町立図書館 )
紀宝町立図書館主催の子育て支援講座「おやこでリラックス ハグモミから絵本まで」が11日、神内の紀宝はぐくみの森であった。みずのかずこさん(子育て支援まいまい主宰)が優しく触って体をほぐすコミュニケーション術を教えた。
ハグモミは「ハグ(抱擁)するように体をモミモミする」をコンセプトにした「タッチ&コミュニケーション術」。ボディケアセラピストが考案し、月刊誌「母の友」(福音館書店)で紹介された。
講座は0歳児親子対象と1歳~年長児親子対象に分けて開かれ、1歳からの親子向けでは背中をゆるませる「流れ星シュー」や、足を揺らす「まるた(丸太)ごろごろ」などを参加者と一緒にした。みずのさんは「子どものぬくもりを感じながら親も精神的に安定してマッサージすると、それが伝わる」とアドバイス。「コミュニケーションの一つとして子どもの機嫌の良いときにしてみて」と伝えていた。
また、子どもと防災についても話し、家の中の安全な場所にお気に入りのシールを貼り、地震が起こったらその場所に逃げられるよう練習しておくことや、災害時の家族の待ち合わせ場所は「○○小学校のどこで、何時と何時に何分間待つか」と細かく決めておくよう呼びかけた。
(2023年11月16日付紙面より)

染色作家・奥田祐斎さんら (那智勝浦町 )
那智勝浦町の那智山青岸渡寺(髙木亮英住職)の行者堂で13日、熊野市出身の染色作家・奥田祐斎さんら作の仏画「青岸不動明王」の奉納式があった。奥田さんは自身の母校・三重県立紀南高校の卒業生で組織される同窓会のメンバーらと行者堂を訪れた。奉納した仏画は縦2㍍、横1㍍。線描画は象山さんが務めた。作品は直射日光によって、色が変化する特殊な技法で染められている。
奥田さんは、1980年に祐斎染色研究所を創業。天皇の第一礼服「黄櫨染(こうろぜん)」を調査・研究し再現に成功した。その後、光によって染め色が変化する独自の染色技法「夢こうろ染」を創出した。
国内のみならず、ヨーロッパやアジア諸国でも活躍。2008年には、ルーブル宮内パリ装飾美術館で作品展示を行い、高い評価を得ている。
これまでに、熊野速玉大社と熊野本宮大社に作品を奉納しており、同窓会の紹介で今回に至った。「青岸不動明王」は、先月開催された母校の文化祭にも展示し、生徒らの目を楽しませた。
奉納式では、関係者ら約30人が参列。髙木住職と髙木智英副住職らが読経し護摩供を執り行った。
同窓会の田尾友児会長は「母校は2年後に統合され、名前もなくなる。祐斎さんの提供で、行者堂に紀南高校同窓会として仏画を奉納できた。名前が残りありがたい」。
奥田さんは「作品は悪いことをしてはいけない、良い行いをするようにと、天から雷が落ちるような思いで制作した。那智山とのご縁を結んでいただき、ありがたい。今後も日本の歴史の原点がある熊野の良さを世界に広めたいです」と話した。
髙木住職は「祐斎先生との出会いは約40年前。現在ではルーブルで個展をされるほど有名になられた。ご奉納いただき感慨無量。これからも、那智山における信仰の礎としてお祭りしたい」と語った。
(2023年11月16日付紙面より)


30人が月例射会に参加
和歌山紫雲会創立二十周年記念錬成大会 (三輪崎剣道クラブ )
県軟連東牟婁支部学童部新人大会
県下小学生男女選手権予選バレーボール大会
レインボーフェスタにぎわう (那智勝浦町 )
レインボーフェスタ那智勝浦実行委員会は12日、那智勝浦町のブルービーチ那智(熊野体験博跡地)で「レインボーフェスタ那智勝浦2023」を開催した。今回で3回目となる多様性を分かち合う催しは、多くの来場者でにぎわった。
レインボーフェスタは性的少数者やLGBTQについて理解を広めるとともに、一人一人が持つ「性の多様性」を祝福し、分かち合う場として、全国各地で実施されている。
県内では和歌山市のみで開催されていたが、2021年に「LGBTQを通して多様性について考える」催しとして同町でも始まった。なお、同町では今年4月にパートナーシップ・ファミリーシップ制度が導入されている。
会場では、豊富な飲食や雑貨のブースが並び、ゲームコーナーもにぎわった。ステージイベントでは、絵本の読み聞かせや手話うた、吹奏楽、ダンス、バンドや太鼓、楽器の演奏、ヨガが披露され会場を盛り上げた。
旗にペイントするレインボーフラッグの作成が行われたほか、会場内のポイントでしおりにスタンプを押して「オリジナルレインボーしおり」を作るイベントもあった。
自身のセクシュアリティーをゲイと公表しているアーティスト・KOTFEさんと、同実行委員会代表で自身がトランスジェンダー(性自認と身体的な性が一致していない当事者)の丸山都さんが多様性についてトークショーを行った。
初の試みとして、多様性に関する作文を募集し会場に掲示。選ばれた作文は、メンバーが読み上げて紹介した。
最後はメンバーや来場者全員で「ハッピープライド」のかけ声を行い、色とりどりの餅をまく「レインボー餅ほり」で締めくくられた。
丸山さんは「多くの皆さまや町のご協力は心強い。僕たちはLGBTQのみならず、多様性に力を入れている。テーマは『多様性は可能性』。多様性を認め合うことで、多くの可能性につながると思う」と話していた。
(2023年11月15日付紙面より)



課題解決に向け図上訓練 (那智勝浦町 )
環境省は10日、那智勝浦町の消防・防災センターで和歌山県初の災害時ペット同行避難訓練を実施した。町職員や県職員など30人が参加し、災害時に人とペットの避難を安全・円滑に行うための図上訓練に取り組んだ。
環境省では2011年の東日本大震災を契機に、災害時におけるペットの同行避難を推奨しており「人とペットの災害対策ガイドライン」などを作成。広域的な防災訓練にも力を入れている。
同訓練は、ペットがいることを理由に避難しない飼い主や避難所でペットの受け入れが拒否された各事例を受け、同行避難における受け入れ環境の整備や体制確保、関係組織との連携や連絡体制の確認などを目的に実施。
環境省自然環境局の大嶋達也さんが「ペットの防災対策は人命を守ることにもなる。現場ならではの課題も多いが、訓練を通じて、防災対策の向上につなげていただけたら」とあいさつした。
獣医師で新潟県新発田食肉衛生検査センターの遠山潤所長が「災害時に自治体が行うペット関連の支援活動」と題し講話。ペットの同行避難や避難所対応など、事例を踏まえながら解説した。
図上訓練は、時間経過で状況が変わる形で進められ「発災~3日後」「4日後~2週間」の2回実施。台風上陸に伴う大雨で、県南部を中心に深層崩壊などが多数発生している想定で行われた。
県と町災害対策本部、各避難所の五つのグループに分かれた職員は、遠山所長や特定非営利活動法人ANICEの平井潤子さんらから、諸課題を記したカードが配布され、解決に向けて意見を出し合った。
避難所グループからペットの管理・保護に関する要望や意見を受けた町災害対策本部が、県に協力を求めるなどした。各回、終了後に振り返りを行い、気付きや課題を共有。有識者からの講評もあった。
町防災対策室企画員の柴田通仁さんは「訓練は繰り返すことが重要。まず図上訓練で知識や対応を身に付けていただき、今後はステップアップして、実際にペットと共に訓練ができれば」と話していた。
(2023年11月15日付紙面より)

「じゃばらの里の収穫祭」盛況 (北山村 )
北山村青年会(小林賢司会長)、株式会社じゃばらいず北山主催の「じゃばらの里の収穫祭2023」が12日、同村下尾井のおくとろ公園で開催された。秋晴れの空の下、村内外から大勢の家族連れらが来場。趣向を凝らしたステージイベントやグルメ、買い物などを満喫した。
北山村の特産品であるじゃばらの収穫を祝って開催する恒例のイベントで、同村が後援している。
会場にはじゃばらを使った料理を提供する店舗などが並び、来場者らが長い列を作っていた。「北山村の猟師が作ったしし鍋」の無料配布にも開始時間前から長蛇の列。配布開始後約15分でなくなるなど盛況だった。
ステージでは、毎年恒例の「飛び地でジャンプ 大縄跳び大会」「じゃばらジュース早飲み大会」があり、一般来場者らが参加。白熱した戦いを繰り広げた。ダンスステージもイベントににぎわいを添えた。
じゃばらの木から生まれたヒーロー・じゃばライダーが「カフンアーク」と戦う「じゃばライダーショー」は子どもたちに大人気。また、今年は初めて、出店舗が参加する「じゃばらお料理コンテスト」も開催された。最後には豪華賞品が当たる大抽選会と餅まきもあり、会場は多くの来場者の笑顔であふれた。
小林会長は「天候に恵まれ、また今日は日曜日ということもあり多くの方にご来場いただいた。飲食店にもたくさんの人が並んでくれている。盛大に開催することができて良かったです」と話していた。
(2023年11月15日付紙面より)

冬の風物詩「海霧」発生 (串本町 )
前日に増して冷え込む朝となった14日、串本町の東岸各所で冬の風物詩「海霧」が見られた。
海面から霧が立ち上がる自然現象。河口一帯で河川からの流入量、放射冷却による強い冷え込み、風がない状況など、さまざまな要件が良好に重なった場合に発生する散発的光景でもある。
荘厳さで定評のある田原川の河口一帯では、勢いこそ控えめだったが広く「海霧」が発生した。遠く沖合に雲海があったが、それを越えて太陽が昇り陽光が差し込むと「海霧」もその色彩を帯びてにわかに際立った。国道42号の歩道が見物場所として親しまれていて、現地にある案内板では12~3月が発生シーズンと紹介されている。
この日は田原川以外に津荷川や古座川の河口一帯でも「海霧」が発生し、特に規模が大きい古座川の河口一帯は九龍島(くろしま)をゆうに囲む広がりで海面を覆っていた。
気象庁観測、同日正午までの最低気温は沿岸部の潮岬で9・2度(午前3時51分)、山間部の西川で1・9度(同3時46分)だった。
(2023年11月15日付紙面より)

4年ぶりに茶会を開催 (茶道音無会 )
茶道表千家流音無会(築紫充代会長)は12日、新宮市新宮の本廣寺(清水文雅住職)で「第十三回川上不白を偲(しの)ぶ茶会」を開いた。コロナ禍に伴う中断を経て4年ぶりとなる。献茶式では茶道江戸千家蓮華菴の川上閑雪・十一世家元など、関係者の約30人が参列、仏前に茶を供え、不白の遺徳をしのんだ。式後に副席があり、多数が来場して茶を楽しんだ。
不白(1719~1807年)は、紀州藩新宮領主・水野家の家臣川上五郎作の次男。16歳で京都に出て表千家七代如心斎宗左に師事し「宗雪」の茶名を受けた。25歳で茶の式法「七事式」の制定に参画。江戸で表千家流茶道の普及に尽力し、茶の湯を皇族や大名、豪商、町人まで幅広い層に教授した。本廣寺は水野家の菩提(ぼだい)寺であり、不白が1797年に先祖供養のために建立した「書写妙法蓮華経印塔」(和歌山県指定文化財)がある。
献茶式は清水住職の読経の中で行われた。献茶は、同会の桝田ゆうさんが担当。美しい所作でたてられた茶が、仏前に供えられた。続いて、焼香を実施。まず川上家元が、続いて参列者が焼香し、手を合わせて祈りをささげた。
川上家元は「私たちの流祖である川上不白を、地元の音無会の皆さんが、流派の垣根を越えてしのんでくださることをありがたいと思っています」と感謝。築紫会長は「4年ぶりの開催で、やっと日常生活が戻ってきたかとほっとしている。お茶ももっと広まれば。音無会も新しい人が入ってくれれば」と語った。
(2023年11月14日付紙面より)


神戸神社例祭「火焚祭」 (古座川町 )
古座川町高池の下部地内にある神戸神社で11、12日の2日間、例祭「火焚(ひたき)祭」が営まれた。区内の当番組が宵宮夕方から本祭早朝まで境内で火をたき続け、その残り火で湯を沸かして式典〈湯立神事〉を執り行い向こう1年の無病息災を願うなどした。
この神社は芳流館互盟社(瀧本功社長)の社屋裏手に鎮座し、神木〈神戸大神〉を祭っている。現在は下部区が氏子区域となって護持し、11月15日に近い日曜日を本祭日にして例祭を営んでいる。
境内に人の背丈ほどの高さで木材を積み上げ、宵宮の午後5時から宵宮祭〈火焚神事〉を営み、神火を移して点火。以降は区が人選した当番組が追加の丸太をくべて本祭早朝まで火をたき続けた。
この神社は鳥居がなく、火柱を鳥居より高く上げる奉仕で無病息災を願うという慣習が根付いている。宵宮の夜半は子どもを含む区民が参拝して当番組を手伝い、慣習の利益を求めて火勢を増す奉仕をした。芳流館互盟社も午後6時30分から地区回りを始め、区内一巡後に宮上りをして高々と上がる火に向かって獅子舞(幣の舞と乱獅子)を奉納して多くの見物を集めた。
日の出ごろに火をたくのを終え、残り火の上に鉄釜を置いて湯を沸かし古座神社の石田保宮司に出仕を求めて式典を執行。石田宮司が鉄釜の湯に浸したササの葉の滴で参列者一同の身を清め、参列者代表が玉串をささげ関係一同で二礼二拍手一礼をして祈願した。その後は火をたいた後を囲み獅子舞を交えて直会(なおらい)をした。
参列者の筆頭、森武志区長は「下部は林業で盛んだった歴史があり、向こう1年の無病息災や神様への感謝などいろんな思いを伝えるために火をたき続ける。区民の皆さんが安全に過ごし、来年も無事にこの祭りを迎えられるようやらせていただいている」と奉仕に込める思いを語った。
(2023年11月14日付紙面より)


ウクライナやガザに思い (新宮ユネスコ協会 )
世界平和記念日・第1次世界大戦停戦の日である11日、新宮ユネスコ協会(中谷剛会長)は新宮市薬師町の瑞泉寺(穴沢丈彦住職)で、平和を祈って鐘を打つ「平和の鐘」を行った。16人が参加、祈りを込めて鐘を鳴らした。
新宮ユネスコ協会の恒例行事で、他地域のユネスコ協会との合同実施の関係で日をずらしたこともあるが、基本的には毎年11月11日に行っている。
会員らはまず、本堂に参集。穴沢住職は「幸せとは、平穏無事な生活を送り、相手を攻撃しないこと。それは当たり前で、誰もが望むこと。そういう穏やかな気持ちが広がりますように」と語り、読経を行った。
この後、「平和の鐘」を実施。会員らは順次、鐘つき堂に上がり、1人ずつ鐘を鳴らした。鐘を鳴らした後に手を合わせ、一心に祈る姿も見られた。
中谷会長は、ロシアのウクライナ侵攻や、イスラエルのガザ侵攻に言及。「多くの悲劇を生んでいる。国連を中心とした安全保障は全く機能していない。武力に武力で応じるだけでは、戦争を止めることはできないのでは」と嘆いた。
ユネスコ憲章にある理念「心の中に平和のとりでを」を強調。「(平和の実現のために)この理念を誰もが掲げないと」と語り、その思いを鐘の音に込めた。
(2023年11月14日付紙面より)

世界道路交通犠牲者の日前に (新宮市 )
「世界道路交通犠牲者の日」(11月第3日曜日)を前に12日、新宮市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店で安全運転と交通死ゼロを呼びかける啓発活動があった。紀南交通事故被害者の会(中岡貴恵代表)や新宮警察署、第一生命保険株式会社和歌山支社新宮営業オフィス、県立新翔高校吹奏楽部・地域未来づくりプロジェクトチームメンバーなど約40人が願いを込めて「黄色い風車」を手渡した。
犠牲者を追悼し、遺族の救済や交通犯罪予防の取り組みの重要性を啓発する国際デーで、2005年の国連総会決議で定められた。日本では、TAV交通死被害者の会(大阪府)が「黄色い風車」を統一アイテムとした運動を展開している。
啓発活動では、買い物客らに黄色い風車とチラシなどを手渡した。新翔高校吹奏楽部による「Let's Swing」や「ワタリドリ」の演奏もあった。
新宮警察署によれば、23年に管内で発生した交通事故(10月末現在)は、人身事故51件、死亡事故2件、物損事故1403件。
18年に紀宝町鵜殿の六反田交差点付近の県道で発生した交通事故で母親を亡くした中岡代表は「今日はそれぞれの事故現場に花を手向けさせていただいた。犠牲者を悼むとともに、二度と交通事故が起こらないよう取り組んでいきたい。ドライバーの方々には、ハンドルを握る責任と、事故で奪ってしまうのは人の命だという自覚を持ち、安全運転を心がけていただきたい」と呼びかけていた。
(2023年11月14日付紙面より)

フィステーラ市と協定結ぶ (那智勝浦町 )
那智勝浦町の堀順一郎町長らはこのほど、スペイン・ガリシア州フィステーラ市のアウレア・ドミンゲス・シスト市長の元を訪問し、世界遺産の巡礼道間の交流を発展させるために交流協定書の署名を交わした。来年迎える世界遺産登録20周年や、田辺市が世界遺産の「サンティアゴ巡礼道」を有するサンティアゴ・デ・コンポステーラ市との「熊野古道・サンティアゴ巡礼道 姉妹道提携」の25周年に合わせる形となった。協定は来年1月1日から効力を生じるもので両者は今後、さまざまな交流を図っていくとしている。
コンポステーラ市からおよそ90㌔先に位置するフィステーラ市は、人口が約4700人(2020年)の漁業が盛んな町。
名前のフィステーラは「地の果て」を意味し、市南端にあるフィステーラ岬はサンティアゴ巡礼の最終的な目的地の一つとされている。これまで巡礼者たちは岬で巡礼を終え、自らの服や靴を燃やす慣習があったが、現在は環境保護の観点から禁止されている。
那智勝浦町によると▽熊野那智大社が平安時代における熊野詣での最終目的地であり、フィステーラ市はサンティアゴ巡礼路における最終目的地である▽ともに漁業の町▽5月と7月の年2回、同町の日の出とフィステーラ市の日の入りが重なる瞬間がある―など共通点も多いという。
和歌山県の勧めから今回の協定締結に至っており、訪問には岸本周平知事らも同行した。
同町では今後、町内の観光に関係する民間事業者や青少年の派遣交流事業、共通巡礼なども目指していくとしている。
堀町長は「両者に共通点が多いことから、ドミンゲス市長もぜひやりたいとおっしゃってくれた。フィステーラ市は巡礼者の受け入れ体制も整っているため、多くを学ばせていただけたら。今後は交流を広げるとともに情報交換や互いが行き合う形にできれば」と話していた。
(2023年11月12日付紙面より)

新宮高校と新翔高校
ともに和歌山県立の新宮高校(深野泰宏校長)と新翔高校(宮井貴浩校長)は7日、和歌山市の県庁舎内にある県教育委員会を訪れ、「新宮高等学校・新翔高等学校の再編整備に係る構想案」を提出した。宮﨑泉教育長に手渡し、実現を呼びかけた。
両校の再編整備は、2026年4月をめどに構想している。両校は、住民意見を聴取するなどして、昨年12月に構想案「生徒・地域社会の期待に応えるALL IN ONEの学校」を発表。両校ホームページに掲載したほか、今年2月には説明会も開催し、広く意見を集めた。これらを基に9月に構想案をまとめ、再度意見募集を行っていた。これらを集約した構想案を今回、県教委に託した。
構想案では、全日制課程で自立支援系(仮称)と学際探究科(仮称)の新設を計画。自立支援系は「社会生活に必要な教養と姿勢を身に付け、将来への展望を描く」、学際探究科では「教科や分野を横断した探究的な学び、大学や研究機関と連携した専門的な学びを充実させ、高いレベルの進路実現に挑戦する」ことを目指すとしている。
県教委での提出には、深野校長、宮井校長をはじめ、両校の学校運営協議会の会長など、総勢7人が参加した。宮﨑教育長は「検討していきます」と応じたという。
(2023年11月12日付紙面より)

近大新宮・緑丘中・光洋中 (新宮市 )
新宮市の近畿大学附属新宮高校・中学校吹奏楽部(岡㟢悠士朗部長、部員27人)、市立緑丘中学校吹奏楽部(西谷音歌部長、部員9人)、市立光洋中学校音楽部(下坂唯部長、部員6人)の3校合同チームが11日、同市のJR新宮駅で特別急行列車「WEST EXPRESS 銀河」の歓迎演奏をした。今回初の試みで、総勢42人が「銀河鉄道999」「宝島」で観光客をもてなした。
地域のイベントや祭りで活躍の場を広げている近大新宮吹奏楽部。コロナ禍の影響で部員数が減少している市立2中学校を巻き込み、「銀河」の歓迎でパワーアップした演奏を届けようと企画した。地域活性化への貢献や学校の垣根を越えた同世代とのつながりを築くことも狙いとなっている。
列車がホームに近づくと、軽やかに「銀河鉄道999」の演奏がスタート。観光客らもサプライズに笑顔を見せ、手拍子をして楽しんでいた。
演奏を終えた西谷部長は「楽しかった。同じパートの方に連符の吹き方を教えてもらえ、自分も上達したと思う」。下坂部長は「一緒に演奏してみて、周りの高校生の方々はみんなすごく上手だった」。岡㟢部長は「中学生のフレッシュな演奏が加わり、音楽を通じて一つになれてうれしい。人数も増え、音が前に飛んでいく感覚が良かった」と話していた。
(2023年11月12日付紙面より)


串本町串本出身、越村早百合さん(65)が10日、錦江山無量寺境内にある美術館「串本応挙芦雪館」(館長=東谷洞雲・同寺住職)へ卒業論文「地方美術館の意義と可能性についての考察~串本応挙芦雪館を事例として~」を寄贈した。
越村さんは1958年、串本出身。串本小、串本中、旧串本高(現串本古座高)を経て関西外国語大学短期大学部を卒業。現在は東京都内に在住し、還暦を機に一度挑戦するも家庭の事情で断念した称号・学士取得に再挑戦することを決意し、慶應義塾大学通信教育課程〈文学部〉へ入学した。以降、卒業まで平均8年かかるといわれる在学期間を旺盛な意欲で4年に短縮し、前述した卒論の受理により今秋卒業が決まった。
かねて興味がある美術館をテーマにし、ふるさと串本にある応挙芦雪館と他の美術館を比較検討して地方美術館が持ち得る意義とこれからの時代の発展の糸口を提言する内容。東谷住職、その紹介で元総代長の矢倉甚兵衞さんに協力を求めて串本応挙芦雪館建設の経緯や特色を調べ、他の都市圏や地方の美術館と対比してそれぞれの長短を分析。美術館建設の時代背景などとも照らし合わせて考察をし、持論を記している。3回の面接指導を経て完成した論文は52㌻あり、図表や追記なども含め89㌻構成で製本化して同大学へ託し、念願だった学士の称号を得た。
その内容を確かめ長沢芦雪絵画の素晴らしさや串本応挙芦雪館の位置付け、芦雪研究の歩みなどへの理解が深まると感心した矢倉さんの仲立ちでこの日寄贈するに至り、東谷住職は「(長らく)大事に保管させていただく。これをきっかけに串本応挙芦雪館のこれからの運営維持に対しアドバイスを頂ければ」、越村さんは「執筆を通して出身の自分でも知らなかった串本応挙芦雪館の成り立ちが分かり、論文として書くことができた。それを知るための資料として見られるようにしていただければ」と思いを交わし合い、この卒論が所蔵されることとなった。
矢倉さん経由で串本中、串本古座高と同町立図書館へも寄贈。越村さんは「論文独特の難しさを感じるかもしれないけれど、建設の部分だけでも読んでほしい。串本町は団結力がある町だと皆さんに分かってもらえれば」とふるさとや後輩に期待するところを語った。
(2023年11月12日付紙面より)

19日、新宮・那智勝浦天空ハーフマラソン
自動車専用道路の国道42号那智勝浦新宮道路をコースとする第9回「新宮・那智勝浦天空ハーフマラソン大会」が今月19日(日)に迫った。4年ぶりかつ最後となる今大会には和歌山県を中心に30都道府県から2204人がエントリー。世界陸上セビリア大会女子マラソン銀メダリストの市橋有里さんをゲストランナーに迎えて開催される。
同大会は、2011年の紀伊半島大水害からの復興と地域の活性化を願い、翌12年にスタート。自動車専用道路を走る非常に珍しいコースで、アップダウンは激しいもののコースから見える太平洋や熊野の山々の眺望がランナーに感動を与えている。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響で中止となる前の2019年開催時には、北は北海道から南は福岡県まで1957人(エントリーは2111人)が参加した。
今年は、ハーフマラソンに821人(男685、女136)、10㌔に636人(男444、女192)、3㌔に747人(男353、女394)が挑む。なお、県内からのエントリーは1291人で、うち新宮市からは606人、那智勝浦町からは204人となっている。
当日は新宮市佐野のやたがらすサッカー場で午前8時30分から、オープニングセレモニー、開会式を開く。9時40分(3㌔の部)から順次スタートする。会場には物産、飲食ブースも設けられる。駐車場は新宮港臨時駐車場を設け、会場付近までシャトルバスを運行する。
また、イベント開催に伴い、当日は午前4時30分から午後3時にかけて那智勝浦新宮道路全線(高森交差点―市屋ランプ交差点間)で通行止めとなる。迂回(うかい)路は国道42号。
(2023年11月11日付紙面より)

水損資料レスキュー講習会 (太地町 )
太地町立くじらの博物館(稲森大樹館長)と環境教育の普及などに取り組む「結creation」=滋賀県=は9日、同館講演室で自然災害から歴史文化や自然史の資料を守るための「水損資料レスキュー講習会」を開催した。講師は岩手県遠野市文化課の博物館学芸員・前川さおりさんと三重県総合博物館の主査・甲斐由香里さんが務め、資料レスキューの重要性や応急処置について講話。県内外から14人が参加し見識を深めた。
同講習会は、事前防災の心構えと水害によって被災した紙資料の応急処置に必要な知識を学ぶとともに、実習で技術を取得することが目的。和歌山県での開催は初。
くじらの博物館の中江環副館長は「今回の学びを生かして有事の際は、地域の皆さまと共に地域の宝である資料を守ることができれば」とあいさつ。
前川さんは「東日本大震災と台風災害の資料レスキュー~岩手県遠野市の事例~」と題し、震災や2016年の東日本豪雨で、文化財を守るために行った資料レスキューの事例などを紹介した。
前川さんは「資料レスキューは誰にでもできる。日頃から皆さまに、文化財などに親しんでもらえる取り組みを継続することが、災害時に文化財を救う大きな力になる」と語った。
甲斐さんは「被災時の資料の応急処置―保存科学の観点から―」を講話。資料レスキューについて「作業者が心身ともに元気」「処置前と処置後の記録保存を行う」「手袋や防じんマスクの着用」などを挙げた。
甲斐さんは「資料レスキューは、被害拡大を防ぎ、致命的なリスクを除去する方法。簡単な道具でいつでも、誰でもが行える」と解説した。
実習では、実際の古文書を水でぬらすなどして水損資料を再現。グループに分かれた参加者は乾燥方法を実践し▽本をつづる糸を切る▽1枚ごとに分ける▽資料と吸水紙を交互に重ねる▽布団圧縮袋で減圧し、送風乾燥する―の手順で行うスクウェルチ・パッキング法にも取り組んだ。
元学芸員で結creationの北村美香代表は「地域の宝物を地域の皆さんで救うことが重要になる」と話していた。
現在、同館で学芸員実習を行う和歌山大学教育学部4年の西野寿紀さんは「災害発生時は学んだことを生かし、積極的に活動したいと思う」と語った。
(2023年11月11日付紙面より)


「桜カフェ」の利用者ら (古座川町 )
古座川町高池にある集いの場「陽だまり」(旧複合センター)で8日、認知症サロン「桜カフェ」があり利用者17人が幼少期を思い出して昭和の旧高池町の地図作りに協力するなどした。
このサロンは、認知症に優しいまちづくりを目指して町社会福祉協議会と町包括支援センターが共催。「陽だまり」では講座と園芸を活動の柱として5月以降月1回の頻度で開いている。
今月の講座は前述した地図作りがテーマ。町社協見守り員の久保由美子さんが主導し序盤は昭和を振り返る古写真を交えて利用者に幼少期の生活の様子を思い出してもらい、中盤は利用者の幼少期に当たる昭和20年代を目安にして旧高池町の町並みを教えてほしいと申し出た。
久保さんは現在の地図を引き伸ばして壁に貼り出し、昔はどこに何があったかを質問。利用者は当時の旧高池町は貯木と製材業が盛んで、複数の製材所や旅館、劇場「老松屋」や銀行、医院や役場、今よりもはるかに数多くの商店が軒を連ねていたことや古座中一帯は沼地、「陽だまり」一帯は水田だったことなどを思い出して伝え、共催の各職員がその一つ一つを付箋に書いて現在の地図上に貼り当時の町並みを形作った。
あった場所の記憶はほぼ一致したが当時もあったかもうなかったかで食い違ってしまう状況が若干あり、久保さんは最終的に皆さんの思い出の地図として仕上げて町展に出したいと提案。「認知症になっても昔の話ならいくらでもできる。だから今日のように寄り添って話をしてくれると、お互いに心がほっとすると思う」と今回の趣旨も伝えるなどして講座をまとめた。
終盤は園芸活動で、常連の利用者が個々に土のうの鉢で育てているダイコンの間引きをするなどした。
(2023年11月11日付紙面より)

「太田小防災の日」開催 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立太田小学校(上地巳奈子校長)で9日、「太田小防災の日」が初開催された。全校児童21人や教職員、保護者、地域住民らが参加し、豪雨災害への備えについて1日みっちりと学んだ。
同校は風水害・土砂災害の指定緊急避難場所・指定避難所となっており、児童の学習や教職員研修、地域住民参加の避難所説明を含めてプログラムを組んだ。
午前中に、1~4年生はゲーム「ぼうさいまちがいさがし きけんはっけん!」に取り組んだ。河口に広がるまちが、風水害が起きたらどうなるのか、正しい行動・間違った行動を取っているのは誰かを考えた。5、6年生7人は、「きいちゃんの災害避難ゲーム」に挑戦した。
午後からは地域住民も参加し、防災対策室企画員の柴田通仁さんが講話。線状降水帯による豪雨災害(水害)が増加している現状を述べ「地震と異なり、雨は予測行動が取れる」。命を守るために▽防災気象情報に注意する▽早く避難する▽屋外での危険を避ける(道路が冠水した場合は自宅や近くの建物の2階へ一時退避)▽避難場所にこだわらない―の四つを呼びかけた。避難所で使う暖段はこベッドの組み立てなどもあり、アルファ米の非常食試食は「おいしい」「緊急時に食べるって考えたらすごくいい」と好評だった。
仲地励君(6年)は「避難所運営ゲームでは、トイレをどこに設置するのか、高齢者や体の不自由な人の場所をどこにするのかの選択が難しかった」。学校便りを見て参加したという60代女性は「以前は非常用持ち出し袋を用意していたが、季節ごとに服を入れ替えたり、賞味期限があっという間に切れてしまったりと、面倒になっていた。改めて備えをしようと思う」と話していた。
(2023年11月11日付紙面より)


新宮市民スポ祭陸上競技の部
東牟婁老ク親善GG大会
那智勝浦町熊野古道ヒルクライム
幼年消防クラブがパレード (那智勝浦町 )
秋の全国火災予防運動(9~15日)に伴って9日、毎年恒例の防火パレードが那智勝浦町であった。町立勝浦こども園(築紫依美香園長)の幼年消防クラブの鼓笛隊や町消防本部、消防団員ら約50人が町役場から那智勝浦観光機構バスターミナルまで歩き、火災予防を呼びかけた。
パレードは火災予防と防火意識の高揚が目的。役場玄関前の出発式では、公務で不在の堀順一郎町長に代わり、瀧本雄之副町長が「元気いっぱいのパレードで、町の人たちに火の用心の大切さを教えてあげてください」とあいさつ。
園児は「僕たち私たちは、火遊びはしません」と誓いの言葉を述べ「よまわりおじさん」を演奏。代表園児が瀧本副町長や湯川辰也消防長、下地将仁団長らから「ミニまとい」を受け取り、パレードがスタートした。
鼓笛隊の元気いっぱいの演奏や拍子木の音が町内に響くと、住民や観光客らも足を止め、パレードを見物していた。保護者たちもカメラやスマートフォンを手に、園児の姿を追いかけた。
バスターミナルでの解散式では、鼓笛隊が隊列変化に取り組みながら「Habit」を演奏し大きな拍手が送られた。
築紫園長は「皆さまの前での演奏は、子どもたちにとって自信につながる。これからも、火災予防の大切さを広報していきたい」と述べた。
湯川消防長は「寝たばこをしない」「ストーブの周りに燃えやすい物を置かない」「住宅用火災警報器の設置」などを呼びかけ「皆さんの素晴らしい演奏で町の方々にも火の用心の大切さが伝わった。今後も火災予防へのご協力お願いします」と締めくくった。
最後は町消防本部から、園児たちにすごろくやお菓子がプレゼントされた。
なお、令和5年度に町内で発生した火災件数は4件で、建物火災が1件、その他火災が3件だった。
(2023年11月10日付紙面より)


キナン新宮営業所と協定締結 (太地町 )
太地町は7日、同町役場で株式会社キナン新宮営業所(角晃所長)と「災害時におけるレンタル機材の提供に関する協定」を締結した。
協定は町内の災害発生時や発生する恐れがある際に重機や投光器、発電機、仮設トイレなど必要な資機材を同社から借り、被害防止と早期復旧を図る内容。同社は紀伊半島大水害や熊本地震、九州豪雨などの災害時に地元の建設業者への資機材のレンタルや協力、販売も実施しており、さまざまな形で復旧に尽力している。
本紙エリア内では、すでに熊野市、御浜町、紀宝町、新宮市、那智勝浦町、串本町の6自治体と締結。今後は古座川町や田辺市本宮町、北山村、奈良県十津川村とも結ぶ予定だという。
この日は、角所長と石丸賢一さん、塚田康平さんが太地町役場を訪問。角所長は「災害はいつ起こるか分からない。被害を最低限に抑えて少しでも早期の復旧に取りかかることができるよう、これまでの災害現場で取り組んできた経験を生かしたいと思っています。経営ビジョンにもある『キナンでよかった』と言っていただけるように努めたい」と語った。
同役場総務課の由谷陽久課長は「災害時で重要なのは電気やガス、水道といったライフラインの確保。優先的に資機材をお借りできることは、町民の皆さんにとっても非常に心強いと思います。ありがとうございます」と感謝を述べていた。
(2023年11月10日付紙面より)

新宮の速玉祭・早船競漕 (熊野速玉大社 )
熊野速玉大社(上野顯宮司)で8日、例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」の御船祭(みふねまつり)・早船競漕(きょうそう)で入賞した出船区への表彰式が行われた。上り優勝を飾った春日区ほか、上り・下りの3位入賞区に賞状などが贈られた。
晴天に恵まれた今年の早船競漕。9隻の早船が勢いよくスタートし、上札場(かみふだば)を目指す約1・6㌔のコースで競い合った。上りでは、春日区が15分48秒のタイムで競漕を制した。
上り①春日②阿須賀③堤防、下り①大王地②王子③神倉―が表彰を受けた。神職によるおはらいに続いて下地昌宏審判長らから、上り表彰では各地区に賞状、盾、賞金、下り表彰では1位に賞状と盾、2、3位に賞状が贈られた。
各出船区への賞状、盾、賞金は、株式会社R.LinkCorporationの椋野玲史代表取締役会長から、御船祭を後世に伝え、繁栄させてほしいとの願いを込めて贈られた助成金によるもの。同社は例大祭斎行に当たり、御船祭の舞台となる上札場~下札場(しもふだば)、渡御ルート、御旅所周辺の整地にも協力した。
表彰式を見守っていた上野潤権宮司は「皆さんが一生懸命に櫂(かい)をこぐ姿に感動し、励まされた地域の人たちは多い。そのことをそれぞれの心に留めておいてほしい。来年も一丸となって、喜びの中でお祭りを斎行できれば」と述べ、祭り関係者らの尽力に感謝。
春日区を代表し賞状を受け取った前田建人さんは「初優勝だったので優勝の実感は半分で驚きが大きいが、来年に向けて連覇したい、より一層速くしていきたいという思いがある。地域の人におめでとう、よくやった、と言ってもらえた。協力・応援してくれた地域の人たちに恩返しができてうれしいです」と話していた。
(2023年11月10日付紙面より)


郡市音楽会 中学校の部
第71回郡市連合音楽会の中学校の部が9日、新宮市文化複合施設「丹鶴ホール」であった。新宮市と東牟婁郡の中学校から、3年生中心の約450人が参加。美しい合唱を響かせた。小学生の部は同所で、別日の発表を予定している。
東牟婁郡新宮市音楽教育研究会(会長=谷口幸生・新宮市立王子ヶ浜小学校長)の主催。コロナ禍に伴う中断期間を除き、毎年開催している。もともとは基本的に3年生が参加となっていたが、近年の少子化もあり、学校によっては全学年での参加や、小規模校の合同参加もあった。串本町立の潮岬、新宮市立の緑丘と光洋、近大新宮中学校の吹奏楽部は、合同演奏で参加していた。
開会に当たり、谷口会長があいさつ。「音楽に大切な3要素は、メロディー、ハーモニー、リズムといわれている。私はもう一つ、大事な要素として、心、ハートがあると思う。自分たちが生活する中で自分勝手しているとみんなに迷惑がかかる。音楽も同じで、自分勝手だとノイズになる。メロディー、ハーモニー、リズムを大事に、心を一つにして音楽を奏でて。みんなで楽しみましょう」と呼びかけた。
「もみじ」の全員合唱で幕を開けた。生徒らは客席で起立し、美声を響かせた。続いて、各校がステージ上で発表を開始。各校が自由に選んだ2曲を披露した。発表する生徒らは懸命に歌い、発表を待つ生徒らは静かに耳を傾け、盛んな拍手を送っていた。
(2023年11月10日付紙面より)

愛する会らがアジサイを植栽 (新宮市 )
「南紀の自然を愛する会」(岩﨑新太郎会長)と新宮市の三輪崎区(屋敷満雄区長)は3日、同市の熊野古道「高野坂」でアジサイの植栽に取り組んだ。ふるさとを盛り上げようと、岩﨑会長の友人有志や市立三輪崎小学校などの児童も参加し汗を流した。
日頃から、ふるさと・新宮市と両親への恩返しを模索していた東京都在住の岩﨑会長。観光客も訪れる高野坂の魅力を伝えて、活性化を図りたいと考え、自身の好きなアジサイで地域に花を添えることを思いつく。
その後、高野坂(三輪崎側)の鯨山見跡近くにある聖護院宮の休憩所跡地と伝わる土地などを借り、神奈川県の「観音山あじさい路」で有名な長谷寺のアジサイの苗を譲り受けて、2017年に植栽に取り組んだ。
那智勝浦町高津気の「くまの里山」(西美恵子代表)の西比古次さんと愛する会事務局で、三重県の「熊野古道語り部友の会」に所属する紀宝町の谷口昌宏さんも参加し活動を共にしている。
岩﨑会長は自身の親戚で、古くから親交のある屋敷区長と共に三輪崎小に呼びかけ、当日は児童6人が参加した。
今回植えたアジサイの苗100株は、岩﨑会長の友人で、同市在住の中家千恵子さんが育てた。この日、中家さんとその友人らも駆け付けたほか、普段から植栽地を管理している同町高津気の植木職人・佐久間祐介さんや岩﨑会長の娘の長谷川千尋さん、弟の岩﨑隆治さんも参加した。
参加者は和気あいあいとした雰囲気の中、スコップで穴を掘り、苗を入れた後に肥料をまいて水やりを行った。作業後、児童に菓子などの土産が手渡された。
同小6年の中尾悠人君は「楽しかった。自分で植えたアジサイなので、咲いた頃に見に来たいです」と笑顔。
屋敷区長は「岩﨑さんの取り組みは素晴らしく、区としてもありがたい。市にとって高野坂は貴重な場所。都会や海外の方には有名だが、地元の子どもたちが知らないのは問題。学校教育の中で、学びの一つに取り入れてほしい」と語った。
愛する会では今後、中家さん宅で育てているフジバカマをアジサイ近くに植え、アサギマダラの飛来地も目指すとしている。また、駐車場問題の解決や市観光協会に所属するとともに、高野坂を案内するガイドの育成も検討しているという。
岩﨑会長は「三輪崎区や中家さんたちの協力はありがたい。アジサイやアサギマダラをきっかけに、高野坂の魅力を知ってほしい。この素晴らしい場所を後世に伝えていけたら」と話していた。
(2023年11月9日付紙面より)


4年ぶりの戦没者慰霊祭 (下里護国神社 )
那智勝浦町下里の下里護国神社(山本貞夫宮司)は3日、コロナ禍で中止となっていた下里地区戦没者慰霊祭を4年ぶりに営んだ。遺族や関係者ら約60人が参列し、戦没者190柱の霊を慰め、恒久平和を祈った。
旧下里町(浦神東、浦神西、粉白、高芝、八尺鏡野、下里、下里天満)の7区と下里地区遺族会(谷洋一会長)らでつくる「下里地区戦没者慰霊奉賛会」(小谷一郎会長)が主催した。
粉白のふところ山にあった忠魂碑を昭和38年に同神社境内へ移して以降、例年11月3日に営んでいる。
山本宮司が祝詞で各地区代表の英霊の名を読み上げた。小谷会長が「平和で豊かな社会が多くの尊い犠牲の上に築かれていることを決して忘れてはならない。私たちは世界の恒久平和の実現に全力を尽くさなければなりません。英霊の御霊(みたま)に学び、わが国の繁栄、わがふるさと那智勝浦町の繁栄のために精進してまいります」と誓った。
谷会長が「私たち遺族の願いは、戦争の惨禍を繰り返すことのないよう念ずるもの。遺族は助け合いながら、福祉向上のため、一層の努力をすることをお誓い申し上げます」と追悼の言葉を述べ、堀順一郎町長の慰霊の辞を仲紀彦福祉課長が代読した。
その後、参列者が次々に玉串をささげて、英霊の遺徳をしのんだ。
(2023年11月9日付紙面より)


橋杭岩ライトアップ実施 (串本町 )
串本町くじ野川で2日から4日まで、橋杭岩ライトアップがあった。3日間とも好天に恵まれ、点灯中は見物客が随時集まり鑑賞に親しんだ。
午後5時30分~8時30分に国指定名勝・天然記念物の橋杭岩一帯へ投光し、夕闇深まる中に岩々を際立たせる趣向。同町が主催となり、近年は文化の日(11月3日)に近いタイミングで実施していて、その光景は日本夜景遺産〈ライトアップ夜景遺産〉に認定されていることもあって町内外から見物客を集めるところともなっている。
今年も橋杭岩を照らす10色60基のパーライトとその手前を照らす14基の無限発色できる発光ダイオード(LED)ライトをプログラム制御して投光。約20分周期で次々に色彩を変えながらライトアップした。初の試みで商用電源を引き込んで実施し、見物客は発電機に邪魔されることなくその光景を見届け、手にしたカメラで撮影するなどした。
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連動イベントとして3日の日中には同町と明治安田生命保険相互会社和歌山支社による健康増進イベントがあり、同社は野菜摂取レベルや血管年齢、骨密度を確かめる機会を提供し同町は先着200人限定でボトルドウオーター「串本の水」などを進呈して利用を後押しした。
同町消防本部と道の駅くしもと橋杭岩(熊野観光開発株式会社)による消防フェアもあり、同本部は放水や初期消火、地震体験車「ごりょう君」による揺れの各体験を提供し、消防指揮車や救急車、ポンプ車の展示、消化器・住宅用火災警報器の紹介、子ども向けにヨーヨーつりや同町の日本トルコ友好マスコットキャラクター「まぐトル」との記念撮影会などを実施。同駅は参加者にロケットサイダーなどを進呈し、両輪で防火・防災を意識する裾野を広げた。これら連動イベントのにぎわいを期して、キッチンカーや旬の果実販売など物販参加もあった。
(2023年11月9日付紙面より)


町民体育館で音楽鑑賞会 (古座川町教育会 )
古座川町高池にある町民体育館で7日、音楽鑑賞会があり園児~中学生とその家族、教職員ら約260人が県警察音楽隊の演奏を聴き交通安全講話に親しむなどした。
この鑑賞会は、町教育会(会長=井口英夫・古座中学校長)が主催する町立5小中学校合同文化行事の一環。隔年で発表会と鑑賞会を開いていて、本年度は鑑賞会の巡りで計画し貴重な機会でもあり小中学生の家族や町内の園児らも招くこととした。
開演に当たり井口会長は幅広い世代が一同に集まる状況を踏まえ、端的に「思う存分に音楽を楽しもう」とどの世代にも響くようあいさつ。同隊は鑑賞する世代それぞれになじみ深い楽曲を順々に響かせ、演奏に用いている楽器の紹介や町立5小中学校の校歌演奏による小中学生との共演といった趣向も織り交ぜて音楽への興味を誘った。
今回は同隊のカラーガード隊によるパフォーマンスはなかったが半ばで新宮警察署交通課による安全講話もあり、自他の命を守る観点で自転車運転時の▽ヘルメット着用(県内は努力義務だが安全性の高さにより推奨)▽交通ルールの順守(免許不要だが事故を起こした場合は運転者としての責任が求められるのでルールを守り保険にも加入しておくよう推奨)―が呼びかけられた。
演奏が終わるごとに大きな拍手でたたえ、アンコール曲「アイドル」は園児~中学生の流行歌とあって歌詞を口ずさみ手拍子を打ちながらの鑑賞で盛り上がった。
閉演に当たり児童生徒を代表して古座中2年生の山田果奈さんがお礼を述べ、明神中2年の松林風穏さんが花束を贈って出演に感謝。小さくも大きくもない適度な音量で力強く観客に音楽を聴かせる県警察音楽隊の演奏の印象を得て来年の発表会を目指す流れで終了した。
(2023年11月9日付紙面より)


新宮警察署防犯学童軟式野球大会
グッチクラブ杯ソフトテニス大会
白梅保で防災研修会 (新宮市 )
新宮市三輪崎の保育所型認定こども園「白梅保育園」(鈴木晴貴園長)で2日、市幼年消防クラブ防災研修会があった。園児らは防災紙芝居や煙体験などを通して、火災や災害の怖さを学んだ。
白梅幼年消防クラブ(同園年長組、本年度は7人)は、幼年期において正しい火の取り扱いについて学び、消防の仕事を理解することで火遊びなどによる火災の軽減を図ることを目的に1991年10月1日に結成。イベントなどで防火太鼓を披露するなどして周知広報の一端を担うなどの活動を展開している。
同研修会は、秋の火災予防運動期間(9~15日)時期に行われており、コロナ禍を経て今回で3回目の開催。火災が発生しやすくなる時季を迎える中、園児や教員の防火意識向上を目的に、市消防本部が「楽しく学ぶ」機会づくりを創出している。
この日は、市消防本部予防課職員らが来園。同課の後岡賢係長が防災紙芝居を通して、クイズ形式で火事や地震、津波発生時の対応を解説。「火事になったときはハンカチなどで口元を押さえて、低い姿勢で避難しよう」「緊急地震速報が流れてきたら遊ぶのをやめて、すぐに机の下などに隠れよう」などと伝えた。園児らはDVD「火あそびは火事のもと」を視聴し、火遊びの危険性と火事の恐ろしさを学んだ。
園庭では防火衣着装、消防車両乗車などの体験もあり、煙体験では紙芝居やDVDで学んだ「口を押さえて姿勢を低くする」を実践。「煙で真っ白だった」などと感想を口にしていた。
職員による防火衣早着替えの披露では、重たい防火衣を短時間で身に着ける様子に、園児らは大きな拍手を送っていた。最後には、学びを深めた園児らに金メダルカードが授与された。
後岡係長は「このような体験学習を通して、火や煙の怖さを学び、正しい行動ができるようになっていただければ」と話していた。
(2023年11月8日付紙面より)



町内統一の大規模訓練 (那智勝浦町 )
那智勝浦町は4日、「令和5年度町内統一津波避難訓練」を町内各地で実施した。5日の「世界津波の日」を前に、町内27地区を対象とし各自主防災組織らが参加。東海・東南海・南海三連動地震を想定し、住民らは津波から身を守るため高台などに避難した。
2014年に和歌山県が発表した同町の被害想定死者数は、南海トラフ巨大地震で1万1700人、三連動地震で5200人。津波避難困難地域に指定される地区が多いことから、町では避難路整備や津波避難タワーの建設を進めてきた。
訓練では発災時に「避難行動を起こすこと」を重要とし、津波発生が予想される状況下で「自助」「共助」を念頭に置いた避難行動や情報伝達が確実に実行できるように取り組むとしている。
当日は、三連動地震の発生に伴い、同町では震度6弱を観測し最大8㍍の津波が発生する想定で行われた。午前9時に緊急地震速報が町防災無線から流れ、自宅などで各自が安全確保に努めた。
3分後、サイレンと大津波警報発表が放送され、町民らは各地区の津波緊急避難場所などに避難。安否確認後、町災害対策本部に避難状況を伝達した。
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これまで3カ所に分かれ避難訓練を行っていた勝浦六区では今回、町が一時避難場所として提携しているNTT那智勝浦ビルに避難。安否確認後、NTT西日本和歌山支店の職員からビルの門扉解除や外階段3階までの避難経路の説明があった。
その後、同支店設備部災害対策室の山下喜寛さんらが、電話を利用し被災地の人々の安否情報を確認する災害用伝言ダイヤル「171」を紹介。録音や再生、預かり期間などを詳しく解説し、一連の流れを実践した。
山下さんは「本年度、沿岸部の自治体を訪問し訓練協力をさせていただいている。171は皆さんで使える留守番電話と思ってほしい」。
増田晋町防災室長は「NTTさまのご協力はありがたい。沿岸部は津波到達が早いため、日頃から避難場所までの経路を確認していただけたら」と話した。
坂井與己区長は「地震はいつどこで発生するか分からない。避難場所を知ってほしい。災害用伝言ダイヤルも活用し、災害に備えてほしい」と語った。
(2023年11月8日付紙面より)


第47回紀南吹奏楽のつどい (紀南地区吹奏楽連盟 )
紀南地区吹奏楽連盟(森一之理事長)主催の地域合同演奏会「第47回紀南吹奏楽のつどい」が4日に串本町文化センターであり、同連盟加盟9団体が演奏を響かせ仲間や家族、地域の鑑賞を集めてにぎわった。
この演奏会は1967年に始まった県内で最も古い地域合同演奏会として年1回、最近は文化の日(11月3日)に近い週末に期日を定めて開いている。各団体の成果発表と相互鑑賞や合同演奏による交流が目的。新型コロナウイルス感染症の分類移行により、今回は4年ぶりに公開行事として位置付け。中学生と高校生の合同演奏も再開する内容で準備や練習を進めてきた。
開演に当たり同連盟の西野政和副会長は「この芸術の秋に好きな音楽を楽しめるのは今の環境があってこそで、ご家族の支えに感謝してより一層立派なクラブをつくってほしい。ご来場の皆さまには今後とも温かいご支援をお願いし、今日は最後までゆっくりとご鑑賞ください」とあいさつ。
以降は緑丘中、光洋中、潮岬中、近大附属新宮中の各吹奏楽部が合同吹奏楽団を結成して3曲、近大附属新宮高中、串本古座高、新翔高、新宮高の各吹奏楽部が単独で3曲ずつ、さらに高校の合同吹奏楽団を結成して2曲をそれぞれ演奏した。
部員は時折、演奏に仮装や振り付けを上積みして場を盛り上げ。最終は部員の先輩ら社会人が結成する那智勝浦吹奏楽団が出演し、6曲を奏でて発表を締めくくった。
閉演に当たり大江伸二副会長が「演奏を一生懸命にする以上に、皆さんに喜んでもらいたいという気持ちがすごくあった。リハーサルより本番の方がうまく、なぜかと思ったらお客さまの拍手に乗せられているところがありエンターテインメントだなと思った」と講評を寄せ、素晴らしい演奏とそれを響かせるための運営に感謝して締めくくった。
(2023年11月8日付紙面より)



きぼらんせが交流会 (紀宝町 )
紀宝町ボランティア・市民活動センター「きぼらんせ」(有城安子運営委員長)は6日、大里多目的集会施設で交流会を開催。24人が町指定文化財「京城跡(みやこのじょうせき)」の歴史を学び、レクリエーションを楽しんだ。
数年ぶりの再開で、有城委員長が親水公園の清掃、京城跡見学を計画していたが、雨天のためレクリエーションに変更したことを説明。「今日はみんなで勉強しましょう」とあいさつした。
講師は、京城跡保存・活用・整備検討委員会委員長で語り部の寺尾邦義さん(78)。「京城跡と呼ばれているが、昔は要害やサイレン山と呼び、子どもの遊び場だった。7年前、荒れ放題だった山を調査したところ、立派な城跡だったことが分かった」と紹介。今では多くの人が訪れ、3年ほど前には二十数人の女子大学生が東京から来てくれたという。
本能寺の変の3年後、安土桃山時代の1585年に豊臣秀吉の臣下、堀内氏善(うじよし)によって建てられたとの記述があるが真相は不明、などと解説。
敵の侵入を防ぐ堀切や虎口(こぐち)・枡形虎口などが残っているとし「北山と新宮の間を守る城だったと考えられ、防御の跡が色濃く残っている。立派な石垣もある。皆さんもぜひ、足を運んでください」と呼びかけた。
講演後、レクリエーションの「野菜の重さ当て」「新聞じゃんけん」で盛り上がった。昼食時にも会話が弾み、参加者同士、交流の輪が広がった。
(2023年11月8日付紙面より)


新宮市民スポ祭硬式テニス
北道院拳法和歌山支部
新熊野少年野球大会など
落成式開催、発展に期待 (北山村 )
北山村じゃばら加工施設落成式が4日、北山村七色の同施設であった。北山村と株式会社じゃばらいず北山の共催。関係者が多数参列、じゃばら関連産業のさらなる発展に期待を寄せた。
じゃばらは北山村の原産のかんきつ類、じゃばらいず北山は村が100%出資した会社で、じゃばら販売や商品開発などを行う。建設された加工施設は、製品の内製化や生産能力向上を目指し、昨年から工事を行っていた。
加工施設の概要は、加工場が約769平方㍍、発送棟が約225平方㍍。構造は鉄骨造平屋建てとなる。加工場には搾汁機、短時間熱殺菌装置、充塡(じゅうてん)機などを備える。衛生管理の国際的な手法であるHACCP(ハサップ)などにも対応でき、ペットボトルや缶製品が施設内で製造できるようになる。建築工事費は約7億1100万円、プラント設備費は約2億3900万円、設計・監理費は約7590万円だった。
落成式では、主催者として山口賢二村長があいさつ。「新じゃばら加工施設を皆さんにお披露目できることをうれしく思う。建設は2017年に検討を始め、あまたの課題を乗り越えて完成した。費用の一部はふるさと納税を充てさせていただいた。新加工施設が村民や関係者の発展に貢献できるよう祈念する」と語った。
続いて、じゃばらいず北山の池上輝幸・代表取締役社長もあいさつした。「新加工施設はこれまで以上に安全で品質の高い商品の提供が可能となった。じゃばらの風味をより高めた商品を開発し、新しい販路の開拓に取り組む所存。北山村の発展と雇用創出に貢献できるよう、より一層努力していく」と力を込めた。
来賓として、二階俊博・自民党国土強靱化(きょうじんか)推進本部長、下宏・和歌山県副知事、熱田渉・株式会社三十三銀行常務執行役員が祝辞を述べた。「じゃばらドリンク」の入ったたるで鏡開きを行った後、このドリンクを配り全員で乾杯して落成を祝った。
(2023年11月7日付紙面より)


「第14回町民舞踊祭」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町民舞踊祭実行委員会(田中喜世実行委員長)と町文化協会(後誠介会長)は5日、同町の町体育文化会館で「第14回町民舞踊祭」を開催した。コロナ禍で2年間、中止していたが、昨年から再開となった日本舞踊の祭典。今年は西川流友華会から始まり、西川流友千恵会まで8団体が舞台を彩った。
同舞踊祭は日舞の魅力を広く伝え、日々の練習の成果を披露することが目的。
文化協会の後会長は「舞台に上がる子どもたちが毎年成長し、難しい舞踊に挑戦する姿を見るのが楽しみの一つ。ベテランの方々の舞踊には、あでやかな深い味わいがある。素晴らしい秋のひとときをお過ごしください」とあいさつ。
スペイン出張中の堀順一郎町長に代わり、岡田秀洋教育長が祝辞を代読した。
舞踊祭では子どもから大人までの出演者が次々と登場。訪れた多くの来場者は出演者のあでやかな舞を楽しんでいた。
最後は恒例の特別出演で締めくくられた。毎年、各地からさまざまな団体を招く人気の企画で、今年は新宮市の祭りや催しで活躍する熊野曼荼羅(まんだら)太鼓が出演し、迫力ある演奏で会場を盛り上げた。
同町在住の70代女性は「皆さんの素晴らしい踊りに感動した。子どもたちの踊りがとてもかわいらしかった。来年も楽しみです」と話していた。
田中実行委員長は「多くの皆さまにお越しいただき、うれしかった。感謝しております。来年の開催に向け、さらに勉強や研さんを重ねていきたいと思います」と語った。
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出演団体は次の通り。
【出演団体】
▽西川流友華会▽坂東流勝浦柳蛙(りゅうあ)会▽正派若柳流美栄の会▽藤紀流藤紀和会▽やなぎ暁の会▽西川流友彩の会▽若柳流若吉会▽西川流友千恵会
【特別出演】
▽熊野曼荼羅太鼓
(2023年11月7日付紙面より)



串本などで災害対応訓練 (串本・古座川官公署等連絡協 )
世界津波の日に当たる5日、串本町の統合小学校建設予定地などで串本・古座川官公署等連絡協議会の津波災害対応訓練があった。
関係する官公署等の連携による防災力向上を目的とし、コロナ禍で実施できない時期もあったが現在は年1回の頻度で取り組んでいる。訓練内容は高度な救助技術を有する串本町消防本部、新宮警察署、串本海上保安署、航空自衛隊串本分屯基地が持ち回りで立案していて、本年度は同基地が担当。この4者の連携を軸にして最大限対応力を発揮できるよう他の官公署等も連携し、地域総力の対応能力向上を目指している。
南海トラフを震源域とする大地震が発生し大津波警報が発令された想定で同訓練を開始。序盤は情報伝達訓練や、くしもと大橋が一部崩壊して通行不可という前提で須江にある同基地の人員を巡視艇むろづきで串本港まで輸送する訓練を実施した。
自衛隊の災害派遣が到着するまでの間は地域内にある防災力が要という観点で、中盤は消防・警察・海保の3者連携による倒壊家屋救出訓練と多数傷病者対応訓練に取り組んだ。警察と海保が連携して倒壊家屋内の要救助者を救出して仮設救護所へ搬送。消防を加えた3者で多数の傷病者〈あらかじめ複数種類の心身状態を設定〉を同救護所へ移動させ、救急救命士がトリアージをして必要な搬送先へ送り出す段取りを実践した。
終盤は消防と自衛隊が林野火災を想定した消火訓練を実施。自衛隊が水槽付き消防ポンプ車で現場付近まで乗り付けて先行放水し、消防は消防ポンプ自動車で最寄りの持続可能な水利を確保し遠距離中継する体制を構築して追従放水した。
中盤以降の様子は同日行われた町内津波避難訓練の延長で町民も見学。一連の訓練項目終了後、代表して串本町の田嶋勝正町長は「われわれが住むこの地域は必ず南海トラフで巨大地震が起こるといわれている。こういった訓練を重ねていち早く連携し迅速に動ける体制を取っていきたい。今後も一層の尽力を願う」と講評して締めくくった。自衛隊は訓練参加者や見学者に食べてもらう前提で150人分の炊き出し訓練にも取り組んだ。
(2023年11月7日付紙面より)


仲之町商店街で仮装やステージ (新宮市 )
新宮市の仲之町商店街振興組合(松本健理事長)は4日、同商店街で「ひとあし遅れのHALLOWEEN」を開催。思い思いの衣装で仮装した子どもや親子連れらが来場し、一足遅いハロウィーンの雰囲気を楽しんだ。
商店街の周知や集客、地域振興を目的に実施されている催し。新型コロナウイルス感染症の影響で4年ぶり5回目の開催となった。
会場ではさまざまな飲食ブースが並んだほか、ステージでは多彩な出演者らが演奏やダンスなどを披露。マジックショーや電子オルガン演奏、ハロウィーンの雰囲気たっぷりのフォトブースの設置、ワークショップ、バルーンアート、子どもたちへのお菓子配布などもあった。
また、商店街では部分的に照明を落とし光と映像効果でハロウィーンを演出。来場者らはハロウィーン一色に染まった商店街を満喫していた。
松本理事長は「4年ぶりに開催でき、『ひとあし遅れのハロウィーン』というフレーズも良かったのかも。多くの人にご来場いただき、出演者の皆さんにも演奏などで会場を盛り上げてもらえた。お菓子の配布も子どもたちに喜んでもらえたと思う。気候もちょうど良く、盛大に開催できて良かったです。来年にもつなげていければ」と話していた。
(2023年11月7日付紙面より)

新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)を舞台に、新宮商工会議所青年部(新宮YEG、野中亮伸会長)による「和傘の灯(あか)り2023~人と場所、未来へ想(おも)いを繋(つな)ぐ~」が3日、始まった。5日までの期間中、午後5時30分から9時にかけて、約180本の和傘やプロジェクションマッピングで境内を色と光で彩る(雨天時はライトアップは中止)。
市の新たな夜の風物詩として確立すべく、市内の文化財を活用してライトアップを行う事業で、今回で5回目。これまで旧西村家住宅(西村伊作記念館)や新宮城跡公園などで開催してきたが、今回は来年の「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年を前に、機運を高めることを目的に初めて同大社で実施した。
また、今回は近畿大学附属新宮中学校・高校の生徒らも事業に協力。最終日には、同校吹奏楽部が、スペシャルゲストの元「THE BLUE HEARTS」ドラマー・梶原徹也さんとセッションを行う(吹奏楽部の演奏やセッション、梶原さんの単独演奏などは午後4時30分から)。
3日夜には、初日にかかわらず多くの親子連れや写真愛好家らが来場。一眼レフやスマートフォンなどで幻想的な景色を写真に収めるなどしていた。
野中会長は「同大社で開催するに当たって、宮司や権宮司にご協力いただき、さまざまなご提案や前向きなご意見をたくさん頂いた。来年は世界遺産登録20周年。コロナも5類に移行し、インバウンドや観光客も増えているので、相乗効果で多くの人に見ていただけると思う。近大の生徒さんにも感謝したい。多くの人に来場いただいて、待っていてくれたんだなとうれしく思う。実現できて良かったです」と話していた。
なお、期間中は「地球に祈りを~提灯(ちょうちん)奉納チャリティ」を開催している。参加者の思いや祈りが描かれた提灯が期間中に並ぶ。参加費は奉納料含む一つ500円。また、同大社では、イベント開催に合わせて夜間の七五三参りの受け付けができる。同大社神宝館も特別開放中。拝観料は大人500円、高校生以下無料。
(2023年11月5日付紙面より)


南紀くろしお商工会(森川起安会長)が事務局を務め、各種団体で構成される商工祭「南の国の雪まつり」実行委員会は10月31日、那智勝浦町商工会館で第1回の実行委員会を開いた。コロナ禍で3年間中止している第26回商工祭「南の国の雪まつり」の開催や詳細について協議した。
雪まつりは消費者と団体、ふるさととのふれあいをテーマとし、町の商業の活性化や地域振興、ふるさとの再発見、第1次産業の発展への貢献、子どもたちの思い出づくりなどを目的に実施。例年多くの来場者でにぎわう人気の催し。
2020年は暖冬で雪が調達できず「雪のない雪まつり」として開催。その後は新型コロナウイルスの影響で3年間、開催できていない。
実行委員長を務める森川会長は「商工祭はコロナ禍で3年間開催できなかった。協議を重ねて検討したい。条件が整い、実施できれば良いと考えている」とあいさつ。
名誉実行委員長の堀順一郎町長は「コロナも5月から5類移行となった。外国人観光客も増加し、宿泊客数もコロナ禍前に戻ってきた。雪まつりは、多くの方にお越しいただける催し。開催するのかも含めて、協議ができれば」と述べた。
事務局が催しの目的やテーマなどを説明。開催する場合は来年2月18日(日)を予定しているとした。検討課題として「来場者の駐車マナー」「スタッフの確保」「経費節減」を挙げた。
20年の雪不足の際は雪の代わりに、スケートリンクを設置したことに触れ「開催できた際は、雪が調達できなくても、経費節減で代替施設は設置しない」と述べた。
続いて、出席した団体や事業者が自己紹介と各自の企画を紹介。出席者からは「近年はSDGs(持続可能な開発目標)の考えが用いられることが多い。商工祭も持続可能な催しにしてほしい」「催しを通して地域交流を図りたい」「SNS(交流サイト)を利用し広報すべき」などの意見が上がった。
事務局は、商工祭の懸案事項として▽自己財源が乏しい中、老朽化する町商工会館の修繕も控えている▽町補助金や協賛金などはあるが、単独主催のため、財政面が厳しい▽開催は雪のある2月だが、コロナやインフルエンザがまん延しやすい▽2月は確定申告やインボイス制度の対応があり、マンパワーが足りない▽イベント規模が大きくなり、運営には経験値のある職員が必要▽雪の処分を含め、さまざまな対応が難しい―などを挙げた。
運営委員長である浦賀英昭青年部長は「開催となれば、皆さまの協力が必要不可欠となる。その際は、盛り上がるように努めたい」と締めくくった。
(2023年11月5日付紙面より)


「文化の日」の3日、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」敷地内の佐藤春夫筆塚前で、令和5年度「佐藤春夫『筆供養』」が営まれた。関係者ら約50人が参列し、県立新宮高校書道部の關杏珠さん、尾鷲愛美さん、井口愛友花さんに続いて使い古した筆を供養するとともに佐藤春夫(1892~1964年)の遺徳をしのんだ。
「筆塚」は春夫没2年後の1966年、新宮ライオンズクラブ(新宮LC)が認証5周年を記念して旧市民会館前に建立。揮毫(きごう)は春夫の親友だった詩人の堀口大學が行い、佐藤千代夫人と堀口夫妻らが除幕した。塚の中には春夫愛用の毛筆と万年筆が納められている。
市民会館解体により一時的に撤去されたが「丹鶴ホール」完成に伴い、筆塚は同施設敷地内に移設された。昨年6月には、新宮LCが認証60周年記念事業の一環として筆塚に「佐藤春夫筆塚石碑」を寄贈。石碑には51年、春夫が59歳の時に作詞し、文化の日に制定された「新宮市歌」が刻まれている。
式典では、市歌斉唱に続き、速水盛康教育長が「筆供養は1966年から始まって今回で58回目。半世紀以上続くというのは一つの歴史的事業。日本の文学界のみならず、郷土に大きな影響を与えた文化人。春夫先生を通じて、先人の志に思いを致すとともに文化の向上と発展に今後も努めていきたい」。
市立佐藤春夫記念館の辻本雄一館長は、奈良県桜井市の等弥神社に堀口大學と春夫の友情歌碑が建立されていることや二人のエピソードなどに触れ「筆供養の日をきっかけに、春夫だけではなく堀口大學のことも思い出していただければ」とあいさつした。
お供茶式(くちゃしき)では、茶道裏千家淡交会南紀支部の宇戸平宗富さん(お点前)と関宗重さん(半東)がお茶をたて筆塚前にお茶を供えた。式典後には同支部による呈茶もあった。
(2023年11月5日付紙面より)


紀州勝浦漁協がイセエビ奉納 (熊野那智大社 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)で2日、紀州勝浦漁業協同組合(片谷匡代表理事組合長)によるイセエビの奉納があった。片谷代表理事組合長や和歌山県漁業協同組合連合会の職員ら5人が参列。新鮮な地元産イセエビ「南紀黒潮イセエビ」10㌔(約30匹)を神前にささげ、海上安全や大漁、地域の発展などを祈願した。
近年、黒潮蛇行や海水温の上昇などの影響を受け、イセエビの漁獲量が減少している。奉納は例年12月に行っているが、今年は幸先良い漁のスタートを切るためにも、漁期開始すぐに実施した。
神事では、小賀真樹禰宜(ねぎ)が祝詞を奏上し、巫女(みこ)が神楽「那智の瀧舞」を奉納。その後、清めと神徳を授ける金幣(きんぺい)の儀を執り行った。
片谷代表理事組合長は「勝浦だけでなく、全国的に黒潮蛇行や高水温の影響を受けている。そのため、藻場の造成などにも取り組んでいる。大漁はもちろん、資源の維持も合わせて祈願させていただきました」と話していた。
小賀禰宜は「水産業を取り巻く環境が厳しい状況にあるため、皆さまがさまざまな方法で取り組まれているとお聞きしている。今年一年、イセエビが豊漁になることをご祈願いたしました」と語った。
(2023年11月5日付紙面より)



開運暦の発送作業大詰め (那智山青岸渡寺 )
那智勝浦町の那智山青岸渡寺(髙木亮英住職)で、来年の「那智山開運暦」の発送作業が大詰めを迎えている。1日は髙木住職ら4人が作業の追い込みに入った。今週中に北海道から沖縄県までの全国各地の信者約1万7000人に発送する予定。
那智山開運暦はB6判32㌻で、平常公開されない同寺秘仏の如意輪観世音菩薩(ぼさつ)のお前立ち像が表紙を飾る。
▽方位吉凶図と解説▽九曜星の年齢と吉凶▽六曜星と七曜星の吉凶▽結婚の吉凶▽1月から12月の運勢▽二十四節気の解説―などに加え、このほど完成し落慶式を迎えた熊野信仰・山岳宗教のシンボルである「行者堂」の建築時の写真なども掲載されている。
この日は開運暦と優待参拝券などを封筒に詰める作業を進めた。同寺では発送作業を終えた後は、祈とう札の準備や大すす払いなどの迎春準備に取り組むという。
髙木住職は「悲惨な戦争など、現在は世界的に暗雲が立ちこめている。来年は観音様の慈悲や思いやり、慈しみのみ心を知っていただき、平和で明るく和やかな年になってほしいと願っている。そんな思いを込めながら、作業をさせていただいております」と語った。
希望者には1部300円(送料込み)で発送する。問い合わせは那智山青岸渡寺寺務所(電話0735・55・0001、〒649―5301 那智勝浦町那智山8番地)まで。
(2023年11月3日付紙面より)


野村グループが出前授業 (近大新宮 )
新宮市の近畿大学附属新宮高校(池上博基校長)は10月30日、同校で野村グループによる「金融・経済に係る教育プログラム」を初開催した。高校2年生104人が、将来の夢や目標をかなえるためのお金との付き合い方を考えた。
日々の家計管理や資産形成について学ぶとともに、契約リスク、ローン、クレジットに関わるトラブルから身を守るための知識と判断力を養うことが目的。成人年齢引き下げを受け、生徒たちが責任を持って行動できるようにとの思いで実施した。
野村ホールディングス株式会社のシニア・アソシエイトの佐藤由紀さんは冒頭、生徒たちに「皆さんが将来やりたいことを実現するために、一体どれくらいのお金が必要でしょうか」と質問した。
お金との関わり方として▽借りる(ローン)▽殖やす(投資)▽備える(保険)▽稼ぐ(労働)▽使う(支出)▽貯(た)める(貯蓄)―の6項目を紹介。収入の支出のバランスを取る「家計管理」について「使うだけでなく、将来やりたいことの準備のために『貯める』『殖やす』ことも考える必要がある。まず貯蓄額を決め、収入から貯蓄を引いた額を支出にするのがポイント」と伝えた。
生徒たちはワークシートに将来の目標を記入し、結婚、出産や子どもの進学、マイホーム購入などのライフイベントを予想し、どのくらいのお金が必要かを計算した。
投資についての話もあり佐藤さんは「投資は、社会の血液ともいわれる『お金』の循環にとっても重要。どんな会社や事業に投資するかという選択は、皆さんがこれからどんな社会をつくりたいかということに直結している」と呼びかけた。
沖勇汰さん(17)は「高校から私立に進学するときに、今後のお金のことは考えていた。将来についてイメージできないことも多いけれど、35歳でマイホームを買う想定で計算すると、たくさんのお金がかかると分かった」と話していた。
(2023年11月3日付紙面より)


ジョン・ホッキングスさん来校 (潮岬小 )
オーストラリアのトレス海峡で事業を展開して栄えたホッキングス家の子孫、ジョン・ホッキングスさんが1日に串本町立潮岬小学校(水上茂秀校長、児童144人)を訪問し、往時の家業の様子を紹介するなどして交流した。
ホッキングス家は同町域、とりわけ潮岬出身のダイバーを高く評価して明治期に積極起用し木曜島があるトレス海峡で展開してきたが、プラスチック製ボタンの世界的普及やトレス海峡における深刻な原油流出の影響で事業の継続が困難となり断念を余儀なくされた。
ホッキングスさんは同名のイギリス人創業者の4代目子孫(ひ孫)。家業の継承はできなかったが、父の代まで継承が続き幼少期に親しんだ家業への思いが強く、現役引退後の時間を生かして今は2隻しか現存していない当時のパーリングラガー(採取船)を再進水させるために修復するボランティアに取り組んでいる。
その船名は「ペンギン号」で、同町出身者が現地で建造した船の1隻。出身者のルーツを町へ問い合わせ、移民史に詳しい木曜島遺族会の尾鼻悟さんが調査し回答した。その対応を喜び、直接感謝を伝えるべく訪日を決め、曽祖父が2度にわたり多額の寄付を届けた潮岬小への訪問も希望してこの日交流するに至った。
児童は校歌斉唱をして来校を歓迎し、ホッキングスさんは家業の様子を画像や父の代に記録撮影した映像を交えて紹介し、「ペンギン号」修復の様子をアピール。画像には潜水服や水深数十㍍での採取の様子、操業中のパーリングラガーも含まれ、それらに解説をつけてダイバーの活躍のイメージを伝えた。
児童はトレス海峡の真珠の相場や「ペンギン号」の修復はどこまで進んでいるのかなど、気になった事柄などを質問。ホッキングスさんは「自分は特別賢かったわけではないが、頑張って仕事をして今の生活ができている。皆さんもたくさん勉強をして立派な大人になり、楽しく生活し得たものを社会に返せるようになってほしい」とメッセージを託し児童らのこれからの頑張りを願って締めくくった。
(2023年11月3日付紙面より)


基準値超のヒ素など検出 (国道168号 )
和歌山県は1日、開通に向けて工事を進めていた新宮市相賀―高田間の国道168号「仮称2号トンネル」において、今後莫大(ばくだい)な工事費となることが予想されることから、トンネル事業をいったん休止すると発表した。現在、工事打ち切りに向けて受注者と協議を行っているという。
新宮市と奈良県五條市を結び、南和地域集積圏と新宮地域集積圏の連携を強化する、紀伊半島の核となる五條新宮道路。一部区間として計画されている延長4・8㌔の一般国道168号相賀高田工区は▽新宮市街への通勤通学など、沿線住民の日常生活における移動支援▽落石やのり面崩壊、冠水などによる通行止めを回避し、第1次緊急輸送道路の機能強化▽2次救急医療機関へのアクセス向上▽世界遺産などの観光拠点を結ぶ周遊ルートの信頼性向上―を目的に計画され、2017年度に事業化された。
仮称2号トンネルは同工区のうち、相賀から白見の滝に至るまでの延長2658㍍、幅員8・5㍍のトンネルで当初、工期は26年2月14日までを予定していた。契約金額は約70・6億円だった。
21年度から工事が進められていたが、全掘削延長の約1割を掘削したところ、全区間で基準値以上のフッ素やヒ素が検出された。
県建設発生土管理基準に基づき、御坊市にある管理型処分場へ搬出していたが、今後も同様の地質が続くことが予想されることから、このまま掘削を継続した場合、莫大な工事費(約200億円増)となるため、事業のいったん休止を決定した。
なお、工事の再開については、土壌汚染対策法に基づいた残土処分コスト縮減策の実施と見通しが立った後の再発注を想定しているという。
(2023年11月3日付紙面より)


田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で1日、来年のえと「甲辰(きのえたつ)」の大絵馬と小絵馬が完成した。神門大絵馬は12月1日(金)に、大しめ縄と共に大社神門に掲げられる。
神門大絵馬は、横232㌢、縦117㌢。ピンク色の桜吹雪が舞う中、赤い太陽を背に雲海を力強く乗り越えていく銀龍を描いた。「道」と描かれた玉を手にしている。九鬼宮司が「平和(Peace)」の文字を描き入れ、完成させた。
白浜空港の大絵馬は、鮮やかな朱色で白浜の夕焼けを表現。中央に銀龍と、「無」を表す白を背景に、進むべき道を示す八咫烏(やたがらす)を描いた。新宮、周参見、白浜、紀伊田辺のJR各駅に掲げる小絵馬は、白浜空港大絵馬とデザインを同じくし、緑を背景にそれぞれの地域をイメージする色を八咫烏のバックに配した。今月13日(月)に紀伊田辺駅、20日(月)に新宮、周参見、白浜の各駅に授与する。
また、全ての絵馬には「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録20周年を記念し、観光交流協定を締結している、スペイン・サンティアゴ巡礼のシンボルである帆立が描き添えられている。
九鬼宮司は「地球は一つ。人種、言葉、宗教、性別などが違ってもお互いを認め合い、思い合うことが平和につながる。来年は世界遺産登録20周年。世界遺産を通して、ユネスコ憲章の持つ本来の意義を再確認する年になれば。また、桜で縁起のいい門出を表現した。多くの人の思いが花開けば」と絵馬に込めた思いを語った。
(2023年11月2日付紙面より)

自治会連合会と市議らが懇談会 (新宮市 )
新宮市自治会連合会(榎本義清会長)の役員4人と市議会(三栗章史議長、15人)は10月31日、市役所で懇談会を開いた。榎本会長らが市内自治会の現状などを報告し、自治会や市の課題について意見を交わした。
開会あいさつに続き、榎本会長は同連合会の状況や活動内容などを報告。▽子ども医療費の18歳までの無料化▽町内会の防犯灯の維持管理▽エコ広場の運営▽ごみ分別品目、戸別収集▽自主防災組織の現状▽介護職員、ケアマネジャー、看護師の不足の問題▽なぎ看護学校の状況▽市議会議員定数―などの課題や要望について町内会に関する会員へのアンケート結果を示し、意見や見解を求めた。
役員らはアンケート結果を基に「91件の回答の内、自主防災組織をつくっている町内会は33件。さらに活動しているのは15件で、稼働率は約16%。実質ないに等しい」と指摘。現状把握の必要性を訴えた。
さらに「広域大規模災害が起こったとき、避難所は大丈夫なのか、物資は移動できるのか。小動物の避難や福祉避難所の取り組みはどうか」「市は防災倉庫の中身を把握しているのか」などと問題提起した。
榎本会長は「自治会の運営と自主防災組織の活動は重なるところが多いということがアンケートに集約されていると思う。何かにいいものが見いだせれば、問題の解決が近づくような気がする。皆さんで協議していただいていい結果を出していただければ」と伝えた。
また、議員定数に関して各議員の見解を確認。「削減に対する民意が高いのであればそれを乗り越えていくための議論が必要なのでは」と意見した。
同連合会には市内131自治会、約9400世帯が加入している。本年度総会において、市政要望事項を事業計画に追加。アンケートの実施や意見の聴取などを行い、市長や議長に要望を届けている。このたびのアンケートでは「町内会」(町内会独自で行っている活動やイベント、市から依頼されて行っている活動はあるか/町内会長、役員のなり手はあるか/町内会内での加入世帯・未加入世帯の割合は。未加入世帯はどういう理由で町内会に入らないのか/町内会を運営していく上での課題は、など)「町内会の自主防災組織」「エコ広場」について意見を聴取した。
(2023年11月2日付紙面より)

明神小で出前宇宙教室 (古座川町 )
古座川町立明神小学校(布引伸幸校長、児童12人)が10月30日、県立串本古座高校宇宙教育専門教員・藤島徹教諭による出前宇宙教室に参加し水ロケットの工作と発射に取り組むなどした。
この教室は、藤島教諭が中学生以下の子どもへ届けている体験の機会。町内では三尾川(みとがわ)小と三尾川へき地保育所に続いての実施で、今回は同校コーディネーター2人と一緒に訪問し全校児童を対象にして指導した。
この日は2人欠席により10人が参加。藤島教諭は自身の経歴を振り返って宇宙開発の一端を伝えるなどして興味を引き、水ロケットの作り方を解説した。容量500㍉㍑前後の炭酸飲料用ペットボトル(底に足が五つ付いている形が特徴)やA4サイズのクリアファイル、紙コップや新聞紙といった身近な材料をセロハンテープで組み合わせて作る方法を紹介し、児童はロケットの下部から見て足し算の「+」の形となるよう意識しながら厚紙の羽根4枚を追加で貼り付けて水ロケットを完成させた。
炭酸飲料用以外のペットボトルは発射前の加圧に負けて破裂しやすく危ないので使わない▽ロケットは上部に重さがないとうまく飛ばないので紙コップのノーズコーンに新聞紙を丸めて詰める―など今後自分で工作する場合に気を付けるべき点も指導した。完成後はボトルに半分よりやや多めに水を入れ、専用の噴出口を付けて発射台へセット。タイヤ用の空気入れでボトル内を5気圧まで加圧し、カウントダウンをして発射した。
全体的なバランスの加減で真っすぐ飛ばない水ロケットもあったが、もっともよく飛んだ水ロケットは運動場の玄関前からのぼり棒付近まで、きれいな弧を描いて飛んだ。
児童を代表して津本楓真君(6年)が感想を述べて指導に感謝。藤島教諭は作ったロケットを1週間ほど玄関に飾って家族に体験したことや学んだことを話してほしいと呼びかけ、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の解説付きクリアファイルを児童にプレゼントして締めくくった。
藤島教諭は同日午後に串本町立古座小学校も訪問し、4年生を対象にしてこの教室を実施した。
(2023年11月2日付紙面より)


こども園と合同避難訓練 (宇久井小、中 )
11月5日の「世界津波の日」を前に、那智勝浦町立宇久井小学校(芝﨑勝善校長、児童174人)、宇久井中学校(川口徹校長、生徒72人)、宇久井こども園(荘司千保園長、園児60人)が1日、地震・津波を想定した合同避難訓練を実施した。
授業時間中の午前9時35分に巨大地震が発生し、直後に津波が到達することを想定。校内放送が鳴ると、子どもたちは一斉に机の下などに潜り込んで頭部を保護した。児童・園児はライフジャケット、中学生はヘルメットを身に着け、一次避難場所である中学校グラウンド(海抜約26・6㍍、安全レベル3)へ逃げた。点呼の後、中学生を先頭に、さらに10㍍高い中学校の校舎屋上へ二次避難した。この日、午前7時34分ごろに紀伊水道を震源とする震度3の地震が起きたこともあり、真剣に取り組んだ。
川口校長は「まず皆さんが率先して避難することで、地域の人々も逃げることができる。登下校や友達と遊んでいるときなど、子どもだけで過ごしているときに地震が起きたらどうするのか、よく考えて家の人とも話しておいてほしい」と呼びかけた。
同日には、新宮市立光洋中学校や緑丘中学校など、多くの学校でもシェイクアウト訓練が行われていた。
(2023年11月2日付紙面より)

東牟婁地方中学校秋季陸上競技大会
近畿少年少女空手道選手権大会
来年の大絵馬が完成 (熊野速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で10月31日、来年のえと「甲辰(きのえたつ)」の大絵馬が完成した。12月から大社拝殿に掲げられる。
大絵馬はヒノキ製で、縦約1・5㍍、横約2㍍。上野宮司が数年間かけて構想を練り、今年4月ごろから制作に着手。手直しなどを加えて今日に至った。「地球の命がいつまでも続くように、世界に平和が訪れ、それが長く続くように」との思いを込め「天地悠久」の文字を揮毫(きごう)し完成させた。
アクリル絵の具を使用し、筆とエアブラシで描き上げた。広い宇宙を背景に、梛(なぎ)の葉を封印した霊玉を手にした金龍が、厳しくも慈しむ表情で地球を抱き抱えている。
上野宮司は「龍はえとの中で唯一架空の生き物で、大きな力を持つ自然神の象徴だと思う。太陽の光も、風も、水も、生き物の生命も森羅万象の営み。実は高いところからこうして自然神が守ってくださっているという大きな力に気付くと、地球のために祈るということがもっと身近に感じられるのではないか」。
青と緑で表現された地球には、所々黒い影。「豊かで、人類の喜ばしい営みがある一方、地球では疫病や戦争などつらいこと、苦しいこと、悲しいことも起こっている。この黒いところが減って、本来の地球の姿を取り戻してほしいという願いを込めた。来年は戦争がやみ、世界の子どもたちが元気で幸せを感じられる年になってほしい」と思いを語った。
毎年、JR新宮駅に掲げている小絵馬は、12月半ばごろに授与を予定している。
(2023年11月1日付紙面より)

国総研・長屋和宏さん招き (下里小 )
那智勝浦町立下里小学校(堺高行校長)で10月27日、茨城県つくば市の国土交通省国土技術政策総合研究所道路地震防災研究室の長屋和宏・主任研究官(つくば科学教育マイスター)を講師に迎えた防災学習があった。6年生19人が作成した自宅周辺の防災マップについて発表し、アドバイスをもらった。
6年生は総合的な学習の時間に、土砂災害や地震・津波などに関して幅広く学んできた。現在は「下里防災隊」として学んだ内容を地域防災に生かそうとマップ作りに取り組んでおり、学習に協力している和歌山県土砂災害啓発センターとの縁で、地震防災の専門家である長屋さんを講師に迎えた。
児童たちはそれぞれの住んでいる地域ごとに▽高芝▽八尺鏡野▽下里駅▽太地道▽浦神―の5グループで防災マップを披露。地域の特性や危険箇所などについて「地域に高齢者が多く、空き家やブロック塀もあって危険」「砂が多い場所は液状化現象が起こる可能性がある」「太地道の周辺には津波避難場所が4カ所もある」「ガソリンスタンドは防火・防水設備がしっかりされていて、意外に安全」など調べたことを発表した。
長屋さんは「非常によくできている。町の中の危ないものだけでなく『災害後に役に立つもの』もまとめるとより良い地図になる」と講評。「2021年に震度6弱以上の地震を経験した人は約130万人で、交通事故で亡くなったりけがをしたりした人の36万人よりも3・6倍も多い。交通事故なら周囲に助けを求められるけれど、災害のときはみんなが困っており、すぐには助けられないこともある。だから、自分で備えることが大切」と防災意識を持って行動することの大切さを伝えた。
中地彗斗君(6年)は「マップを作って、地域の危険な場所、安全な場所が分かった。飲み物が買える自動販売機やコンビニのトイレが、災害後に役に立つことがあるというのが勉強になった」と話していた。
今後は、実際に防災マップを地域に配布することを目標に学習を進めるという。
(2023年11月1日付紙面より)


オオサンショウウオ大会 (古座川町 )
第18回日本オオサンショウウオの会古座川大会が10月28、29日の2日間にわたって古座川町内であり、町内外の約300人が古座川に生息する個体の経緯や現況、取り巻く環境を踏まえてその価値を探るなどした。
この大会は日本オオサンショウウオの会(清水善吉会長)が総会の開催地に主催を求めて実施している記念行事。その紹介を古座川で8年来調査活動をしている清水会長から受けた地域振興団体「古座川らんど」が自然保護活動のシンボルとする古座川のオオサンショウウオに脚光を当てる思いで同大会実行委員会(田上智士実行委員長)を立ち上げ、実施した。
会場は高池にある町民体育館で、田上実行委員長が開会を宣言し西前啓市町長があいさつ。初日は「古座川がつなぐ山と海」をテーマにした記念講演があり、愛媛大学の山田寛之さん〈山担当〉、県立自然博物館の平嶋健太郎さん〈川担当〉、近畿大学の澤田好史さん〈海担当〉が順次登壇した。山、川、海に空も加えて眺める淡水循環における古座川の環境や息づく生き物、生き物は河川増水にどう適応して息づいているかなどの世界観を基調として広げた。
その上で「古座川らんど」提供のオオサンショウウオ学習に2回参加した町立高池小学校の5年生16人が学んだ事柄を劇仕立てで発表し、今後の共生の思いをアピール。清水会長が古座川水系への個体移入の経緯と定着状況や県内他水系の生息経緯を報告し、現に古座川にいる個体に対する固有種でないが故の認識については意識改革が必要だと訴えるなどした。
2日目は京都大学の西川完途さんがオオサンショウウオの交雑問題に触れ、古座川の個体は他の移入の経緯がない点で年々希少となる固有種の血統を保っているといった価値を付与。写真家の内山りゅうさんが古座川の個体や取り巻く環境と約30年向き合って思う事柄を掲げ、今後の意識改革の意欲を後押しした。
その他、生息各地の報告も実施。大会後は事前申込者対象の現地観察会、大会と連動して高池にある中央公民館では物販や展示もあり、物販は生息各地からの参加も含め町内外21の出店が適時利用を集めていた。
(2023年11月1日付紙面より)




絵本作家よしながこうたくさん (那智勝浦町立図書館 )
那智勝浦町立図書館に10月28日、「わんぱく小学校」シリーズなどで知られる絵本作家のよしながこうたくさんが来館した。子どもから大人まで50人以上が集まり、絵本「給食番長」の読み聞かせを楽しんだ。
よしながさんは福岡県在住の絵本作家で、デビュー作「給食番長」が人気となり、「飼育係長」「あいさつ団長」「おそうじ隊長」「ちこく姫」など多数の作品を出版している。
和歌山市、有田川町の小学校での講演のため、アトリエを兼ねた車中泊仕様の車両で来県。旅行で当地方へ立ち寄る予定があったことから、急きょ那智勝浦町での読み聞かせが実現した。予想以上の人出で、2回に分けて実施した。
三線(さんしん)を鳴らしながら登場したよしながさんに、子どもたちは「変な帽子かぶってる」「何かこわ~い」と大笑い。笑顔と拍手で迎えた。
よしながさんは「給食番長」を読み聞かせ。クラスの番長にそそのかされて給食を残してばかりのわんぱく小学校1年2組の様子に、悲しんだ給食のおばちゃんたちが家出してしまい、番長たちが大張り切りで給食を作ろうとするハチャメチャなストーリーを博多弁で披露した。「給食も棚も机も、身の回りにあるものは、全部作ってくれた人がいるんだよ」と伝えた。読み聞かせの後は、ファンからのサインにも応えていた。
吾妻錬君(8)は「学校とか図書館で、シリーズを全部読んだことがある。面白い人だった。『変なおじさんバッジ』をお土産にくれたよ」。石橋しずくさん(6)は「登場するところから全部面白かった。本を読むのが好き」と話していた。
(2023年11月1日付紙面より)

