避難所運営ゲームで学ぶ (新宮市熊野川町 )
国土交通省近畿地方整備局紀南河川国道事務所による防災授業「避難所運営ゲーム等を通じて水害時の行動を考えよう!」が25日、新宮市立熊野川中学校であった。全校生徒25人のほか、地域住民団体のチームくまのがわの15人などが参加。生徒と地域住民が意見を交わし、避難所運営を考えた。
同事務所や流域市町村などで構成する熊野川減災協議会が、防災授業を行うことを決めており、同校はそのモデル校に指定。2017年度から実施し、5回目を数える。またチームくまのがわは、和歌山県が開発した「きいちゃんの災害避難ゲーム」を使った避難所運営訓練を何度も行っており、有効性を認識し、生徒にも学んでほしいと考えていた。この思いが通じ、防災授業の中で行われることになった。
ゲームは、生徒や教職員、チームくまのがわのメンバーが混成の、7人程度の6班に分かれて行われた。内容は、災害の1日目、2~3日目、4日目~1週間後を想定。さらに▽避難所名簿を作る▽高齢者の生活スペース確保▽感染疑いのある避難者が来所―などのテーマに分かれており、日数とテーマが班ごとで振り分けられた。
各班では、与えられたテーマについて、意見を付箋に書いて模造紙に貼り、可視化する作業が行われた。「避難所名簿を作る」のテーマでは▽住所▽名前▽年齢―など、名簿に必要と思われる情報を提示。さらに▽血液型▽言語―なども必要との考えが示された。続いて必須と補足の情報の分別について、生徒と地域住民が考えを伝え合った。
班ごとでの発表も行われ、その後に同事務所より模範解答が示された。参加者は協議した内容に加え、最良とされる判断や行動について、さらに知識を深めていた。
3年生の内山心巴(ここは)さんは「災害が起こったときにやるべきことがあまり分かっていなかったが、手順やどう行動すべきかが分かって良かった。自分では気付かなかった意見もたくさんあって参考になった。いざというときに生かせたら」と感想。
チームくまのがわの下阪殖保さんは「子どもらもはっきりとした意見があり、すごく意外なものもあった。みんな高齢者に優しい考えを持っていることが分かった。いざというときに役立ってくれると思う」と話した。
なお、これらに先立ち、同事務所の職員による、水害についての講話もあった。熊野川町の水害や土砂災害のハザードマップも示されるなど、現地に即した内容が語られた。
(2023年2月28日付紙面より)
色川クラフトビールプロジェクト (那智勝浦町 )
色川の農産品と水を用いてビール造りに取り組んできた色川クラフトビールプロジェクトは19日、那智勝浦町の小阪集会所で「色川のこれからを語り合う会~みんなが(で)地域を“ちょっとだけ”豊かに!!~」を開催した。メンバーや関係者、地域住民に加え、オンラインによる参加もあった。昨年10月に第4ロットの配布が終了し、一区切りを迎えた同プロジェクトの報告や地域の今後について語り合った。
同プロジェクトは「色川地ビールを育てる会」の会長を務める同町小阪区の峯茂喜さんと、共同代表の和歌山大学の藤本多敬(かずひろ)さんらによって2021年4月に発足された。
色川地域の水(那智の滝の源流の水)と特産物を用いた地ビールを造ろうと、地域おこしのために「色川地ビールを育てる会」を組織した。
酒税法の関係から販売ができないため、非営利の育てる会で経費を会員が負担し、完成したビールを楽しむ仕組みとした。醸造は和歌山市などの醸造所で行われ、第1~4までの各ロットとも好評を博したという。
藤本さんが同プロジェクトについて、地域資源を生かしたビールや色川を知ってもらい、地域と交流するきっかけを提供することで、色川を好きな人の増加や地域の関係人口構築、持続的な地域活性化の効果を目指したと説明した。
活動規模拡大のために、交流サイト(SNS)やメディアなどで情報を発信し、口コミでさらに拡大していったとした。結果、4回ビールを造り、全国の300人以上を色川地域とつなげてきたと述べた。
実現ができなかった点や課題として「善意のボランティアのため、運営メンバーの非持続性」「自家醸造ができず、在庫保管用冷蔵庫がない」「赤字運営」「会員制による負荷のかかる運営」などを挙げた。
地元に醸造所の設立や酒販免許を取得し販売ができれば、持続の可能性はあると主張。それには、主体となる人の存在が必要不可欠と付け加えた。
メンバーや関係者によるトークでは、プロジェクトについて「色川の空気や人に魅力を感じた」「地域やプロジェクトで学んだことを生かしたい」との声が上がった。
今後の地域について住民からは「外だけでなく中への視点も必要」「関係人口を増やすことは大事だが、この土地で暮らしていく人が増えないと問題は解決しない」「負担なくやれ、楽しいと思うボランティアが重要」などの意見が出された。
催しを終え、藤本さんは「この日を迎えられたのは皆さまのおかげ。プロジェクトは今後『ビール以外で、こんなものでもやってみたい』という方々のプラットフォームになれば良い。これからも色川に関わっていきたいです」。
峯さんは「プロジェクトは地域にとって良い刺激になってもらえたのでは。若い人が新しい動きをしてくれるはず。この地域では人のつながりやネットワークが重要になる。事業者の方の参入が、このプロジェクトの継続や拡大につながる」と語った。
なお、3~4月には、プロジェクトの詳細や結果をまとめた冊子型の報告書が完成する予定。
(2023年2月28日付紙面より)
ボラセン設置訓練に120人 (新宮市 )
新宮市社会福祉協議会(濵前泰弘会長)は25日、市福祉センターなどで災害ボランティアセンター(VC)設置・運営訓練を実施した。地域住民ら120人超が、ボランティアの受け入れやマッチングの仕組み、支援時の心得などを学び、防災意識を高めた。
災害VCとは、大きな災害が発生した際に、被災者の困り事を把握し、ボランティアとのマッチングを行う組織。2011年の紀伊半島大水害時にも住民生活の復旧を支援した。
市社協の濵前会長は訓練の目的について「センターの機能を知っていただき、災害発生時に互いに助け合えるようにすることで、災害に強い地域づくりを行うこと」と説明。「トルコ・シリア地震で多くの方が犠牲になったが、日本でもいつそのような災害が起こるか分からない」と防災意識向上を促した。
訓練は、数日前に紀伊半島沖で起こった巨大地震により、千穂第二地区で家屋倒壊・津波浸水被害が発生したことを想定。参加者は受付でのボランティア登録や保険加入を済ませ▽被災者の人権を尊重する▽室内では靴を脱ぐか土足か確認する▽ごみかどうかは自己判断せず依頼者に確認する―といった留意事項を学習。ごみ袋や軍手などの資機材を調達後、実際にグループで指定された場所へ向かい、地域清掃をした。運転代行南紀も訓練に協力し、現地まで参加者を送迎した。
新宮市婦人団体連絡協議会のメンバーは屋外でアルファ米のおこわや備蓄用シチューの炊き出しを行い、参加者に振る舞った。山口商会による防災グッズの展示もあった。
活動の振り返りでは「被害後には町の様子も変わっていることが予想され、運転代行業者の支援があるのは心強い」「ボランティアと一目で分かるよう、名札を赤字にする方がいい」などの意見があった。
和歌山県社会福祉協議会の南出考さんは「ボランティアの方々の気持ちを整えて現場に送り出すのが災害VCの役目。『いってらっしゃい』『気を付けて』といった声かけによる雰囲気づくりも重要」と講評した。
この日は近畿大学附属新宮高校の生徒有志約20人も訓練に協力し、山本みうさん(高2)は「自分の命が一番大切だからこそ、無理な作業はきちんと断るよう言われたことが印象的だった。貴重な経験になった」と話していた。
(2023年2月28日付紙面より)
第12回新宮市伝統芸能大会
新宮市と市伝統芸能大会実行委員会は26日、同市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で伝統芸能大会を開いた。9団体が出演して詩吟や日本舞踊、和太鼓など26演目を披露し、約400人の来場者を魅了した。
新型コロナウイルスの感染状況などを注視する中、今年1月末の実行委員会で開催を決定し今回で12回目を迎えた。
開催に当たり、田岡実千年市長が参加団体や関係者の協力に感謝を伝え「各団体の皆さんの稽古の成果を見てもらい、心豊かなひとときを過ごしていただきたいと思います」とあいさつした。
大会は西川流友千恵会の日本舞踊「新しき年の始め」でスタート。続いて哲泉流紀州支部連合の「江南の春」や正派若柳流美栄の会の「紀州女船」、藤紀和会の「下町育ち」、関西吟詩文化協会華城会の詩吟など、稽古を重ねた得意の演目で舞台を盛り上げた。
最後は、熊野曼荼羅(まんだら)太鼓が迫力ある力強い和太鼓演奏で締めくくり、会場から大きな拍手が送られた。
終演後、藤紀流家元で同実行委員長の藤紀実美さんは「多くの人の協力により、開催することができてうれしく思います。コロナ禍で不安な日々が続いている状況の中、来場者の方々に喜んでいただけるよう、今後もみんなで力を合わせて伝統芸能を披露していければ」と話していた。
(2023年2月28日付紙面より)
新宮市は24日、総額362億7923万9000円(前年度比0・7%増)の令和5年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度同規模の170億7094万8000円(前年度比0・6%増)となった。2月28日(火)開会の市議会3月定例会に提出する。
王子ヶ浜小学校区において放課後児童クラブを開設するほか、生後12カ月までの子どもがいる家庭に対し紙おむつなどの子育て用品を支給するなど、子育て環境の充実を図る事業を多く実施する。
三輪崎庁舎には常設エコ広場を新たに配置し、住民票や各種証明書のコンビニ交付事業を実施するなど、市民生活の利便性向上にも注力する。
また、「災害に強いまちづくり」として、防災無線戸別受信機の追加配備や、指定避難所の改修事業を実施するとともに、林業活性化と定住促進のため、熊野材の家づくり支援事業を実施。「瀞峡めぐり」乗船場の整備や地域おこし協力隊事業など、地域活性化・過疎対策にも積極的に取り組む。
事業推進に当たっては、国費などの財源確保を第一に、財源措置に有利な起債を活用するとともに、健全な行財政運営のため、ふるさと納税のさらなる推進や起債の繰り上げ償還による将来負担の軽減を図る。
□ □
市税は、新型コロナウイルス感染症の影響が次第に改善していくことなどを見込み、総額で2・7%の増となった。地方財政計画において一般財源総額が増加していることに伴い、地方交付税が1・7%の増となっている一方で、臨時財政対策債が44・1%の減となった。それを踏まえ、予算において普通交付税については1・9%の増とし、臨時財政対策債は
50%の減を見込んでいる。
市債は、前述の臨時財政対策債が大幅減となる一方で、市田川水系内水排水ポンプ整備事業や、千穂王子ヶ浜線整備事業分などの増により、過疎対策事業債が増となったことなどから、総額で11・7%の増。繰入金は退職手当基金や減債基金の減により、44・1%の減となった。
歳入の構成比率は自主財源24・6%、依存財源75・4%。
□ □
投資的経費では、三輪崎保育園園舎改修事業補助金の減や神倉小学校屋内運動場改修工事の皆減がある一方で、千穂王子ヶ浜線整備事業や市田川水系内水排水ポンプ整備事業の増などにより、総額で30・2%の増となった。
義務的経費では、人件費で定年延長制度の開始に伴う退職金の減を見込む一方で、人事院勧告に基づく給料表の改定や期末手当の増などから、総額で0・7%の増。公債費では前年度に行った第三セクター等改革推進債などの繰り上げ償還が減となったことなどから、総額で18・0%減少。扶助費では生活保護扶助費などの増により総額で0・5%の増となった。
(2023年2月26日付紙面より)
市野々小で「氷の彫刻」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立市野々小学校(中西健校長)と町公民館市野々分館(古田桂造分館長)は24日、同校に氷彫刻家の小阪芳史さんを招いてショーを開催した。全校児童29人や地域住民が参加し、どんな彫刻が出来上がるのかドキドキワクワクしながら見守った。
氷彫刻とは電動工具などを用いて氷の塊から立体を削り出すアートで、制作・展示時間が短いはかなさも魅力の一つ。小阪さんは新宮市三輪崎の出身で、現在は東京都のプリンスホテル高輪に所属。多くの世界大会で受賞歴がある。同校の中西校長との縁で、ショーが実現した。
児童から「ウサギ!」とのリクエストを受けてショーがスタート。小阪さんは重さ135㌔の氷から、チェーンソーで大きな塊を切り、ドリルで目や鼻の細部を削り出していった。観客席まで氷の粒が飛ぶと、児童から歓声が上がった。2月が誕生月の児童のため、氷の中に花を描くパフォーマンスもあった。
児童からの「今までで一番大きな作品は?」との質問には「アメリカのアラスカで湖の氷を切り出し、6日間かけて8㍍の作品を作った」、「どうやったらそんなに上手になるの?」には「最初は絵を描くところからスタートし、後は練習あるのみ」と答えた。
和田彩音さん(6年)は「ふれあい祭りで彫刻を見たことがあるけれど、実際に作るところを見るのは初めて。お花もきれいだった」と話していた。
(2023年2月26日付紙面より)
瀞峡めぐり、川舟下り3月から始動 (新宮市 )
国の特別名勝・天然記念物に指定されている瀞峡(瀞八丁)を舟で巡る「瀞峡めぐり」と、川の参詣道として世界遺産に登録されている「熊野川」を巡る川舟下りの定期乗合便が3月1日(水)から運航を始める。今季の運航開始に先立って25日、瀞峡めぐりの乗船場・新宮市熊野川町玉置口と、川舟下り乗船場の道の駅「瀞峡街道熊野川」下の河原では運航開始式典が行われ、川舟清めの儀式の後、関係者らを乗せた第1便が出航した。
(一財)熊野川町ふれあい公社(下阪殖保代表理事)が運営する両事業。「瀞峡めぐり」は、川に流入する土砂の増加により航路整備が困難になったこと、新型コロナウイルス感染症の影響による観光客の減少、作業員の高齢化などを理由に2021年1月に休止したウオータージェット船事業を同公社が引き継ぎ、昨年3月に川舟を利用して運航を開始。玉置口から瀞峡までの往復約9・4㌔のルートを約40分かけて巡るコースで、22年度(1月まで)は4266人が乗船した。
川舟下り事業は2005年9月にスタート。同町田長から熊野速玉大社権現川原までの約16㌔を語り部の案内とともに約90分かけて和船で下るコースで、熊野川沿いの景観を楽しむことができる人気の観光メニューとなっている。
最も乗客が多かったのは07年度の5670人。新型コロナウイルスの影響を受け、20年度には1233人にまで落ち込んだが、22年度(1月まで)には2580人が乗船。うち、305人が外国人で、インバウンド復活の兆しも見せ始めている。
式典には、下阪代表理事や田岡実千年市長、榎本鉄也市議会議長、東原伸也副議長、酒井清崇・東牟婁振興局長、濱口太史県議、中川洋・勝浦海事事務所長らが出席した。田岡市長が「今後もさらに多くのお客さまにお越しいただき、熊野川地域からより一層、新宮市を盛り上げていただけると期待している」とあいさつ。玉置口乗船場では、新造船の進水式も行われた。出席者らがお神酒で川舟を清め今季の運航の安全などを祈願した。
下阪代表理事は「水鳥の目線で水に触れることができると好評だった。今季も安全に運航することができれば。多くの人に楽しんでほしい」と話していた。
「瀞峡めぐり」の運航時間は午前9、10、11時、午後1、2、3時の1日6回。料金は大人3000円、小人(4歳~小学生)1500円。
「川舟下り」の定期乗合便は午前10時と午後2時30分。料金は大人4300円、小人(4歳~小学生)2000円。
ともに完全予約制で運航期間は11月30日まで。団体割引、貸切便もある。川の状況などによって運休する場合がある。受け付け、問い合わせは熊野川川舟センター(電話0735・44・0987)へ。ホームページ(http://kawabune.info)からも予約できる。
(2023年2月26日付紙面より)
紀宝町民児協が定例会
紀宝町民生委員児童委員協議会(西村喜久男会長)は21日、同町鵜殿の町福祉センターで定例会を開いた。委員26人が出席し、各部会で新年度の活動を話し合った。
定例会と研修会は毎月開催し、委員間、町、町社会福祉協議会と情報共有をしている。この日は町福祉課、地域包括支援センター、町社会福祉協議会から報告を受けた後、研修会としてふれあい、児童、相談の各部会でグループワークを行い、4月からの活動などを話した。
ふれあい部会では、町社協の職員が全国で広がる「子ども食堂」について説明し、町内では3カ所のうち1カ所を社協が毎月開催しており、多くのボランティアの力を得て運営されていることを紹介。「受付などで運営のサポートをお願いできれば」と協力を求めた。
あいさつした西村会長は民生委員の守秘義務について触れ、委員の活動をたとえ用があっても他人に頼むことはできず、委員ではない人と活動することもできないと注意点を伝えた。「自分だけで悩まず、横の連携で、みんなで助け合いながら取り組んでください。また、この定例会の場で分からないことがあれば相談してください」と呼びかけた。
(2023年2月26日付紙面より)
ロールプレイング説明会で事件解決 (新宮警察署 )
新宮警察署は23日、同署で「目指せ犯人逮捕‼ 体験型ロールプレイング説明会」を開催した。警察官を志望する、管内外の14~22歳の5人が参加。模擬事件の解決などを通して、警察官の仕事を身近に感じる機会とした。
同署が想定した模擬事件を解決すべく、聞き込みや鑑識、取り調べなどの警察活動を参加者に体験してもらうことによって、警察官という職業の魅力を知ってもらうことを目的に実施。今回は12歳から満32歳までを対象に参加を募った。
同署敷地内に模擬交番が設けられ、警察官になりきった参加者らは、白昼に行われた強盗事件の犯人を特定すべく、同署職員扮する被害者や目撃者らに聞き取りを行い、犯人が触れたとされる乗用車から指紋を採取。被害者から犯人の特徴や雰囲気を聞き出し、似顔絵を作成した。
取り調べでは、3班に分かれ3人の容疑者に事件発生時刻帯の行動などを質問。供述内容から「現金10万円などが入った財布が盗まれた、といった事件の詳細を知っていた」などとする矛盾点などを探り、犯人を特定。事件解決に導いた。
近畿大学附属新宮中学校の村田海人さん(14)は警察官志望。「特に取り調べが楽しかった。今日の体験から、警察官に対する憧れがより強くなりました」と笑顔で話した。
警務課の本田斗生多・警務係長は「体験会の様子を見ていて、皆さんとても素質があると感じた。経験してもらうことによって警察官への興味が湧いてくると思います」と話していた。
(2023年2月25日付紙面より)
3年ぶりの通常総会 (和歌山ラオス友好協会 )
和歌山ラオス友好協会(田邉毅一会長)は20日、新宮市井の沢の新宮ユーアイホテルで3年ぶりとなる第9回通常総会を開き、支援への報告と提出議案を全て承認した。その後は懇親会が開かれ、出席者が交流を深めた。
同協会は、ラオス人民民主共和国の観光と教育を援助し、友好的な関係を築こうと2015(平成27)年、日本で19番目に発足。現地訪問や会員らからの寄付による学校への備品の寄贈などの活動に取り組んできた。
小学校の建設支援では、20年11月にルアンパバーン市パノーム村の唯一の学校であるパノーム小学校で建設を進めていた新校舎が完成。同月に生徒らが新校舎で勉学に励んでいる。現地からは感謝と喜びの声が寄せられており、同協会発足以来の念願がかなった。
その翌月には、現地での竣工式および譲渡式を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で中止となっている。
感染防止の観点から、3年ぶりとなった総会では、22年度の事業報告が行われ、23年度の事業計画や予算を承認した。
事業計画では▽国際協力・親善に関する交流事業▽教育支援事業(教育施設設立、教材寄贈)▽パノーム村小学校校舎新設の竣工式▽YMCAホテル学校ラオス校設立を協力支援▽駐日ラオス人民民主共和国大使館、在京ラス人民民主共和国名誉領事館への協力事業▽和歌山県・ルアンパバーン州のフレンドリーシップ協定の締結―などを予定している。
田邉会長によると、YMCAホテル学校ラオス校の設立は、人材を育成し日本で受け入れることで、国内の働き手不足とラオスの就職難を解決する施策になるという。
これまでは新宮市とルアンパバーン市のフレンドリーシップ協定を進めてきたが、今後はエリアを拡大し、和歌山県とルアンパバーン州のフレンドリーシップ協定締結を進めることで、さらなる活動の発展に寄与したいと思いを述べた。
田邉会長は「延期となっている竣工ツアーを実施したい。また、日本各地のラオス友好協会と合同の総会を新宮市でもやりたいと思う。これまでは学校のあった村に校舎の建設支援を行ってきたが、次は学校のない村に、学校建設を目標とした校舎造りを応援していきたい」と語った。
この日、新理事に田中國雄さん、上田修司さん、宮本昌幸さん、前田良二郎さんが選出された。懇親会では、寺前正和副会長と名誉顧問の堀順一郎那智勝浦町長らがあいさつ。前田良造副会長が乾杯の音頭を取り、出席者らは会話や食事を楽しんだ。
(2023年2月25日付紙面より)
熊野三山で「天長祭」
「天皇誕生日」の23日、熊野三山で天皇陛下63歳の誕生日を祝うとともに皇室の弥栄(いやさか)などを祈願する「天長祭」が営まれた。
今上天皇の誕生日を祝うことを目的とする「天皇誕生日」。光仁天皇在位の775年に天皇の誕生日を天長節としたのが始まりで、1948年の「国民の祝日に関する法律」により他の祝日とともに制定された。
新宮市の熊野速玉大社では、上野顯宮司が祝詞を読み上げた後、巫女(みこ)が神楽「浦安の舞」を奉納。神職や参列者たちが玉串を供えた。
神事を終え、上野宮司は92年5月、皇太子時代の天皇陛下が同大社や、神武天皇が東征の際に登った天磐盾と伝わる神倉山を訪れた際のエピソードを紹介し「史実が残る山に御自ら登られたことに感動した」。
天長祭斎行に当たって「皇室の弥栄はもちろんのこと、喜びも悲しみも分かち合う皇室でありたいと、先の大戦で犠牲となられた方々に対する慰霊の気持ちをずっとお持ちになっている。この日が皇室の存在にいま一度、関心を寄せる日になれば」と話していた。
(2023年2月25日付紙面より)
新年度の当初予算案発表 (古座川町 )
古座川町が22日、2023年度一般会計当初予算案を発表した。予算規模は30億7810万円で、西前啓市町長は「これといった目玉はないが、私なりにまちづくりに対応していきたい」と話している。
予算規模は対前年度で1億3630万円増(4・6%増)。歳入の自主財源は約5億3715万2千円(構成比17・5%)で、対前年度で1億4252万3千円増となっている。地方税収入は対前年度で315万円減の1億9703万7千円を見込んでいるが、他方でふるさとづくり寄付1億3600万円が加わり自主財源増の主たる要因になっているという。
歳出の投資的経費は2億2756万5千円で、対前年度で3446万9千円増。歳出の主な事業として▽住民生活支援事業(539万5千円)▽高速道路関連まちづくり事業(6480万円)▽デジタル防災行政無線整備事業(1821万6千円)▽観光交流施設整備事業(1270万円)▽在宅血液透析導入機器設置補助事業(60万円)▽高校生等就学支援事業(270万円)▽教育指導員配置事業(282万9千円)▽町道維持管理巡視員配置事業(288万円)を挙げる。
住民生活支援関係では交通不便地区高齢者生活支援やし尿処理費補助、移動販売支援の継続に加え、新規で高齢者等粗大ごみ収集運搬補助を導入。65歳以上を対象にし粗大ごみ運搬1回につき1000円を補助して加齢に伴う処理負担増の緩和を図る。
高速道路関連まちづくり関係では新規に残土処理場整備事業を導入。池野山地内の町有林で60万立方㍍規模の受け入れをするとし、その造成を見据えてまちづくり基本構想策定事業〈更新〉も進める。
デジタル防災行政無線整備は23~25年度の3カ年で段階的に防災行政無線を更新する内容。観光交流施設整備はぼたん荘裏用地を購入しキャンプ場や公園、災害時避難所等としての利活用の検討を進めるという。
在宅血液透析導入機器設置補助は新規導入。高校生等就学支援も新規導入で、町内の対象者に月額5000円の支援金を給付する。教育指導員配置と町道維持管理巡視員配置はいずれも新規に人材を起用するという。
併せて特別会計の当初予算案の概要も発表。予算規模は7会計合計12億9662万円で、対前年度で4334万円減(3・2%減)。これら案は3月1日(水)から始まる町議会第1回定例会で上程し、承認を求める流れとなる。
(2023年2月25日付紙面より)
那智勝浦町総体卓球大会
ダブルスも3位と活躍 (黒潮親善卓球大会 )
みさきストロングスが体験会 (新宮市 )
新宮スポ少が「やたがらすアカデミー」
募金箱設置で東日本支援 (補陀洛山寺 )
「東日本大震災を風化させたくないという強い思いで活動を続けている後輩がいます」。そう話すのは那智勝浦町浜ノ宮にある補陀洛山寺の髙木智英住職だ。同寺には現在、「NPO法人3・11ツナグ 東日本大震災の募金」と記された手作りの募金箱が設置されている。震災を風化させないために各地でさまざまな活動を展開するツナグ。理事長を務めるのは、比叡山学院での修業時代に髙木住職と共に学んだ後輩で、名古屋市にある覚王山日泰寺の僧侶・泉智仁さんだ。先輩後輩の絆は今もなお続いており、髙木住職がその活動に感銘を受けたことから今回の設置に至った。
福島県出身の泉さんは震災以前、同県浪江町と南相馬市にあった二つの寺を祖父と共に守り、僧侶としての務めを果たしていた。2011年3月11日、地震と津波が町を襲った。
浪江町の寺は流され、もう一方の寺は残ったが、檀家(だんか)たちの住宅は壊滅的な被害を受けた。さらに追い打ちをかけたのが、福島第一原発事故だった。放射能汚染で町から人がいなくなったという。
泉さんは自らの道を模索し、被災地の現状を伝え、震災を風化させないための活動に尽力することを決意。講演に加え、習得した和太鼓で「復興太鼓」の奉納や指導、各地の特産品を被災地に届ける取り組み、義援金支援、高校生と考える防災教育と防災グッズ作成など、全国各地で活躍している。
髙木住職が補陀洛山寺の住職を拝命した際には、泉さんが駆け付けて勇壮な復興太鼓で先輩の前途を祝福。熊野修験にも太鼓を指導した。
今回の募金箱は、震災への支援に取り組んでいる愛知県立一宮商業高校にツナグが依頼し、作成したもの。泉さんが直接、同寺に届けた。
泉さんは「髙木先輩の住職就任と補陀洛山寺での太鼓奉納はお互いの夢だった。夢がかない、先輩には感謝しかない。募金は被災地への寄付や防災を学ぶ学生たちに使わせていただきます」。
ツナグの会員となった髙木住職は「彼とは同じ寮に住み、共に学んできた。卒業してもその絆は続いている。震災を風化させず、後世に伝えつなげていきたいという彼の思いを応援したい。参拝の際はご協力いただけますと幸いです」と話していた。
(2023年2月23日付紙面より)
「桜フェア」の準備着々 (古座川町観光協会 )
古座川町観光協会(鈴木貴裕会長)が3月4日(土)から4月2日(日)まで、振興企画「桜フェア」を展開する。今回はライトアップを軸にした内容を計画していて、実施に向け今月21日に鶴川公園で試験点灯に臨むなど準備を着々と進めている。
町内で順々に花盛りを迎えるさまざまなサクラをより多くの人々に親しんでもらうことを狙いとした同企画。今回は三尾川(みとがわ)にある古傳山光泉寺のイチョウのライトアップで用いた光源(LED照明4基と大容量バッテリー2基のセット)で期間中の土、日曜日と祝日の午後6時~7時30分に見頃を迎えたサクラを順次照らすという。
計画段階での実施予定日は▽鶴川公園〈カワヅザクラ〉=3月4、5、11、12日▽池野山〈クマノザクラタイプ標本木〉=18、19、21日▽一枚岩〈ソメイヨシノ〉=25、26日と4月1、2日。期間を逸脱しての実施はないが開花の進み具合により日程を変更する場合があるとし、適時公式ホームページや交流サイト(SNS)、道の駅虫喰岩(むしくいいわ)で最新情報を発信するので確認した上で観賞しに来てほしいという。一枚岩は河川敷へ下りるスロープ付近で行うとし、その折は道の駅一枚岩monolith(モノリス)も夜間営業をする予定。小雨決行だが、荒天の場合は中止するという。
普段と違った光景で夜間の町内外からの来訪者を増やすことが今回の狙い。試験点灯は良好な照らし方を見極めるための実施で、担当する同協会事務局の上田柊大郎さんは開花状況に応じて見極めた内容に修正を加え良好に観賞してもらえるよう心がけるという。
鶴川公園には16本のカワヅザクラがあり、ライトアップは道路に面する木以外で行うという。今月21日現在、木によって開花の進み具合に差があるがおおむね咲き始めから三分咲きの段階。問い合わせは同協会(電話0735・70・1275)まで。
(2023年2月23日付紙面より)
今年1月の積雪・低温で
今年1月24日から25日にかけ、熊野地方各地で近年まれに見る積雪が確認された。熊野地方に生育する南方系動植物にも、積雪や寒波によるダメージと推察される影響がでている。
動植物は種ごとに生育可能な環境条件が異なっており、気候は分布を決める重要な環境要因となる。例えば、当地方の海岸線に広く見られるハマユウ(ハマオモト)の分布限界は、年平均気温15度、冬の最低気温マイナス3・5度の等値線と一致していることが知られている。熱帯系の生物では凍結が北限を決める大きな障壁であり、霜が降りるかどうかが分布の境界となることもある。
当地方の植物に詳しい熊野自然保護連絡協議会の瀧野秀二会長によれば「積雪の影響が最も顕著だったのは、石垣を覆っていた外来種のオーシャンブルー(アサガオ)やヒメツルソバなど近年急激に分布を広げていた種で、地上部の葉がほとんど枯れてしまった。在来種では、耐寒性の弱い熱帯・亜熱帯性のシダ『ヘゴ』にダメージがあり、今後要観察」としている。
一方、那智勝浦町の宇久井半島では駒ヶ崎灯台周辺などで集団越冬するオオキンカメムシの死骸が見つかった。7年ほど前から個体数調査を行う浜際康太さんによれば「すさみ町の江須崎で大量死が発見されたとの知らせを受け、宇久井半島でも調査をしたところ、54匹の死骸が見つかった。生存個体は781匹いたが、弱って動けないものも多く見られた」という。
オオキンカメムシは体長2・5㌢ほどになる大型の熱帯性のカメムシで、赤い体色に黒の斑紋が特徴。見つかった死骸の8割は雌で「雄は越冬前にカンコノキに集まって栄養補給をするようだが、雌はそのまま越冬に入ることが影響したのでは。いずれにせよ生態に謎が多く、今後も調査が必要」と話していた。
(2023年2月23日付紙面より)
児童の発明クラブで講座 (新宮市 )
新宮市少年少女発明クラブ(瀧野秀二会長)の講座「プログラミングを学ぼう!」が19日、新宮市井の沢の新宮商工会議所であった。市内の小学生会員26人が参加。ブロック状の学習用キットを使い、プログラミングとは何かを楽しみつつ学んだ。
発明クラブは全国各地にあり、和歌山県内でも11市町で活動が行われている。新宮市では、市内の小学校の4~6年生を対象に、年間を通して講座を開催。児童に理科や科学、ものづくりに関心を持ってもらえるよう、さまざまな制作・野外活動に取り組んでいる。
この日は、近畿大学附属新宮高校スーパーサイエンス部(大石凜空部長)の森田直樹顧問と、部員5人が講師を務めた。森田顧問は、プログラミングについて「決められたことを決められた通りにする」と説明。プログラミング言語も紹介したほか「パソコンやスマホ、冷蔵庫や掃除機などにも入っている」と明かした。
学習用キットの内容物として、電源、振動・明るさ・音を感じ取るセンサー、LED、バイブレーターなどの部品があることを伝えた。これらを組み合わせて「部屋が明るいときだけ、LEDが光る装置を作る」「暗いときだけ光るようにする」などの装置を作るよう出題。児童らは、電源と部品の組み合わせを考え、これらを行った。
出題内容は「明るいときだけ光らない」「手をたたいて振動させると、LEDが光る」「揺らすか手をたたくとLEDが光る」など、だんだんと高度化。児童らは、森田顧問や部員らの助言を受けながら、試行錯誤して装置を組み上げていた。
神倉小4年の⻆真友君は「いろいろ知らなかったことが分かって良かった。結構難しくて、迷ったりもしたけど、楽しかった」と話した。
(2023年2月23日付紙面より)
語り部育成の講演会 (和歌山県観光連盟 )
紀州語り部担い手講演会(座学編)が19日、新宮市野田の福祉センターであった。18人が参加、講演を通して語り部に必要な、熊野や高野山が育んだ歴史や文化などを学んだ。
和歌山県観光連盟の主催で、新宮市のほか田辺市や和歌山市でも実施。内容は同じで、第1部は「熊野」、第2部は「高野山」、第3部は「紀州語り部」の魅力を語るものだった。第1部では、国際熊野学会代表委員の山本殖生さんが講演したほか、熊野家三九郎さんが熊野を題材とした落語を披露した。
山本さんの講演の演題は「日本一の熊野牛玉(ごおう)宝印」だった。山本さんは熊野牛玉宝印について「魔よけのお守り札。家の門口や田の水口に置いた」と説明。「牛玉」の由来について「もともとは牛にできる結石、牛黄(ごおう)のこと。漢方で使われ、中国では万能の解毒薬とされる。牛黄を混ぜた墨や朱を用いて加持祈とうすれば、除災や招福のパワーが得られると考えられた」と話した。
最初は印として額に押すものだったことを解説。「顔を洗うと消えるので、白い紙に印を押すようになった」と語った。熊野本宮大社では、紙に印を押す古い形式の儀式を今もやっていることも発言。「やがて版木でたくさん押すように。それが熊野牛玉宝印の始まり」と述べた。
起請文(きしょうもん)(誓約書)として使われたことにも言及。「日本で2番目に古い起請文に熊野の、那智の牛玉宝印が使われている」と示した。「中世から起請文として使われ、一揆を起こすようなときに書いた。みんなで書いて血判を押し、儀式をやったと思われる」と語った。
古文書にある、熊野牛玉宝印の記述も提示。図柄についても「戦国時代から烏(からす)文字に。日本第一も戦国時代からで、もともとは書いていなかった」と明かした。熊野牛玉宝印が忠誠を誓う際の起請文として▽豊臣秀頼と近畿の大名▽薩摩藩と琉球国王▽代替わりした将軍と各大名―の間で使われたことも伝えた。
熊野比丘尼(びくに)が全国に広めたこと、あまりに有名なため偽物も出回るほどであったことも付け加えた。
熊野家さんの落語は「三枚起請」で、遊女がお客に愛を誓う起請文を3枚も出していたというものだった。参加者の笑いを誘い、盛んな拍手で称賛された。
(2023年2月22日付紙面より)
保護者対象に説明会 (新宮市 )
新宮市役所別館で20日夜、「緑丘中学校・城南中学校統合に関する保護者説明会」があった。城南中学校・王子ヶ浜小学校の保護者らが参加。速水盛康教育長や市職員らが中学校統合に関するスケジュール案などについて説明した。
昨今の生徒数減少に伴う諸問題への対応を行うべく昨年、市教育委員会では緑丘・城南各中学校の統合検討を開始。
統合に向けた話し合いを進めるため、9月に「緑丘中学校・城南中学校統合検討委員会」(板谷貴史・城南中育友会長)第1回会議が行われ、今年1月31日に開かれた第3回会議では、市当局から令和9年4月の統合を想定した統合スケジュール案が示された。
スケジュール案などについて保護者らの理解を得るために開かれたこのたびの説明会は▽城南中学校・王子ヶ浜小学校▽緑丘中学校・神倉小学校―の各保護者を対象に2回に分けて実施した。
市が示す案では、令和5年度から公募やアンケート、パブリックコメントなどを実施した上で新中学校名を検討。その後、校歌や校章の作成、新制服デザインなどに着手する。
令和6年度に教育課程編成等委員会を設置し、経営方針や教育課程、学校行事、部活動、通学路などの検討を進めていく。
統合後の場所を現緑丘中とする案において、令和6年度後半以降に仮設校舎の建設準備を行い、令和7年度に仮設校舎の建設と並行して大規模改修の設計を行い、令和7年度後半以降に生徒・児童、部活動交流や大規模改修、閉校式・開校式に向けた準備を行う計画としている。
開催に当たり、速水教育長は「子どもたちの将来に向けて教育環境を整える必要があると考えている」とあいさつ。市職員がスケジュール案などについて説明した。
質疑応答では、保護者が「教育だけではなく、環境づくりも大事。地域に子どもたちの声が聞こえないのは大きな問題。城南中の跡地の利用も並行して考えていく必要がある。関係各課も参加すべきでは」「困っていること、やりたいことは大人では分からない。子どもたちが気軽に意見を言える場をつくってほしい」などと意見。
対し、市は「まず子どもたちのことを考えて中身を検討していきたいという思いがある」。跡地に関しては「市のまちづくりとして大きな観点で考えていかなければならない」などと理解を求めた。
緑丘中学校・神倉小学校の保護者を対象にした説明会は22日(水)午後7時から、同所で開催される。
(2023年2月22日付紙面より)
色川地区の農園で新企画 (那智勝浦町 )
那智勝浦町口色川の安田裕志さん(42)が同所で営む農園「vegelike(ベジライク)」で18日、新規体験旅行企画「1・2月の旬の時期だからこそ味わえる菜花摘み取り体験と季節限定『菜花』限定ランチ」があった。愛知県名古屋市から友人同士の女性3人が参加、食用の菜花を摘み、創作ランチを楽しんだ。
一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT)が企画立案に協力した。第1次産業の活性化を図るとともに、新たな那智勝浦ブランドを創出し、さらに農業と観光という二つの地場産業を融合しようと考えた。安田さんは菜花を12年前から作っているが、摘み取り体験の実施は初めてという。
ランチは、安田さんの農園で採れた菜花を使用。同町大野の体験レストランAima(アイマ)で提供した。企画はもともと、1月に4回、2月に4回の実施を予定していたが、コロナ禍の影響でこの日が初回の実施となった。
農園では、安田さんが収穫の仕方を説明。「つぼみか、花がちょっとついたぐらいのものを、ハサミで切り取って」などと語り、実演した。「無農薬なので、このままでも食べられる。生でも甘くておいしい」とも伝えた。参加者は、さっそく収穫を体験。ハサミで切ってはポリ袋に集め、また時折生で口に運んでは「甘くておいしい」と笑顔を見せていた。
那智勝浦観光機構の牛久保賢一さんは「色川や太田には、体験コンテンツにできそうな素材がある。これらをPRすることで、町全体を活性化できれば」と話した。
「菜の花」とは本来、アブラナ科の花の総称。安田さんの農園では、菜花の食用品種「花飾り」を栽培している。花が開いてしまう前のつぼみの状態が食べ頃で、旬は1月と2月、収穫は3月上旬ごろまで続くという。天ぷらやおひたしのほか、卵と炒めたり、浅漬けにして刻みおにぎりに混ぜたりしてもおいしいとのこと。
(2023年2月22日付紙面より)
トルコ地震の見舞い交え (串本町 )
串本町の田嶋勝正町長ら一行が17日に駐日トルコ共和国大使館のコルクット・ギュンゲン特命全権大使と面会し、町内外から寄せられたトルコ南東部地震災害義援金〈第1回目分〉1500万円を届けつつ犠牲者への哀悼と被災者への見舞いの意を示すなどした。
この義援金は、トルコ共和国で現地時間6日未明以降相次いだ大きな地震で被災した人々の支援を目的として7日から募集を開始。役場本庁、旧役場古座分庁舎、文化センター、トルコ記念館の4カ所に義援金箱を設置し、10日には振込口座(紀陽銀行串本支店普通449160と三十三銀行古座支店普通7001609、いずれも振込手数料が必要)も開設して受け付けている。
町内外から高額寄託の申し出もあり、15日までに集まった額から1500万円を第1回分として同大使館に託すこととした。17日は同町議会(鈴木幸夫議長)と合同の陳情活動の延長で同大使館を訪問。田嶋町長と鈴木議長以下議員11人、佐藤武治県議会議員と日本トルコ友好議員連盟会長でもある二階俊博衆院議員らが面会を求め、代表して田嶋町長が同義援金寄託の目録を読み上げてギュンゲン大使に手渡した。
町総務課によると、その折に田嶋町長は「現在も救援活動が続き、復旧復興には時間がかかると思われる。われわれはトルコにずっと寄り添いながら義援金協力を呼びかけ続ける」と申し添え、ギュンゲン大使は「困難に直面している時にお目にかかれることを心強く思う。日本、和歌山県、とりわけ串本の皆さまはトルコ人の心の中では大変特別な存在で、本日皆さまが来て下さったこともその証明。心より感謝申し上げる」と応えて申し出に感謝したという。
二階衆院議員もできることを考えてトルコに寄り添う意を示し、復興への足取りを踏み出すことを祈念。田嶋町長は併せて同町立潮岬中学校(平原良一校長)の3年生が手作りしたメッセージボードも託し、串本はさまざまな形で被災を乗り越えることを願っていることも伝えた。
同課は今回の被災からの復旧復興を支えるため、今後も同義援金の受け付けを続けるとしている。問い合わせは同課(電話0735・62・0555)まで。
(2023年2月22日付紙面より)
熊野川町で「清流ライド」 (新宮市 )
新宮市熊野川町を舞台に19日、「新宮・熊野川町清流ライド with KINAN Racing Team(キナンレーシングチーム)」が開催された。あいにくの雨となったが、当地方をはじめ、大阪や名古屋などから約50人の自転車愛好家らが参加。「KINAN Racing Team」に所属するプロ選手と共に町内を周遊。自転車を通して同町の自然を満喫し、参加者同士の交流を深めた。
新宮市と市観光協会が主催。自転車を活用した観光(サイクルツーリズム)の推進と、自転車に慣れ親しみ、自転車の魅力を感じてもらうことを目的に、NPO法人「SPORTS PRODUCE 熊野」が後援し、初めての開催に至った。
メイン会場の熊野川ドームでは、開催に当たり田岡実千年市長があいさつ。関係団体に感謝を述べ「今後、サイクルツーリズム推進のさらなる機運醸成を図っていくため、自転車に慣れ親しみ、魅力を感じていただきたいという思いから開催させていただく次第となった。ぜひお楽しみいただければ」と呼びかけた。
この日のコースは、UCI公認国際自転車ロードレース「TOUR de 熊野」の約15㌔に及ぶ赤木川清流コース。3班に分かれた参加者らは、休憩所の小口自然の家を目指して熊野川ドームを出発した。
なお、熊野川ドームと小口自然の家では、(一財)熊野川町ふれあい公社(下阪殖保代表理事)と「かあちゃんの店」による豚汁やめはりずし、同町の野菜を使用したケーキ、くず湯茶が振る舞われた。また、天候を鑑み、参加者らに対し「熊野川温泉さつき」が無料開放された。熊野川ドームでは同チームのグッズ販売コーナーが設けられたほか、Eバイク(電動アシスト自転車)の体験試乗会も実施された。
イベントでは、同チームメンバー7人によるトークショーもあった。各選手らは自己紹介を交え熊野地方や新宮市の魅力、赤木川清流コースの印象、自転車に興味を持ったきっかけなどについて話し「今年こそは『TOUR de 熊野』で総合優勝を。今年も応援してください」と呼びかけた。
名古屋から参加した山口友和さんは「チームのファンなので参加した。あいにくの天気だったが距離も短かったので疲れることもなく楽しめました。また機会があればぜひ参加したい」と話していた。
(2023年2月21日付紙面より)
管内2人に表彰状を伝達 (東牟婁振興局 )
新宮市緑ヶ丘の東牟婁振興局で17日、令和4年度自然公園関係功労者に対する環境大臣表彰の伝達式があった。酒井清崇・東牟婁振興局長が、多年にわたり自然公園の保護とその適正な利用に関して尽力したとして、太地町の白水博さんと那智勝浦町の東定司さんの2人に表彰状を手渡した。
自然保護思想の啓発や普及および自然公園や動植物の保護に関し、15年以上尽力し、その功績が特に顕著であると認められる個人や団体に対して環境大臣が表彰するもの。全国では18人と1団体が選ばれ、県内では白水さんと東さんの2人のみだった。
白水さんは日本野鳥の会和歌山県支部副支部長ならびに、熊野自然保護連絡協議会の運営委員を務め、吉野熊野国立公園などで、絶滅危惧種をはじめとする鳥類の調査や保護活動に取り組んできた。子どもや地域住民を対象とした野鳥観察会を通して、自然保護思想の普及啓発に努めるとともに、公園内の安全利用のためにも尽力している。自然公園指導員の活動期間は36年に上る。
同じく日本野鳥の会和歌山県支部幹事で、熊野自然保護連絡協議会事務局員を務める東さん。同公園などで自然観察会や野鳥観察会を企画・運営し、希少生物の実態や保全の必要性の指導など、自然保護思想の普及啓発や自然公園・動植物の保護などに尽力してきた。自然公園指導員歴は30年6カ月。
酒井局長は「お二人は地域の誇り、受賞本当におめでとうございます。これを機会に、後進の方々にご指導いただき、今後も熊野地方の自然や鳥類などの研究保護に努めていただけましたら幸いです」と二人の受賞を祝福した。
白水さんは「観察会を継続し開催していく中で、このような表彰を頂き、非常に光栄です。これからも大好きな鳥を通して、自然保護につなげていきたいと思います」。
白水さんとは友人で、仲間として長年活動を共に続けてきた東さんは「二人で受賞できるとは思いもしなかった。最近の観察会では小学生が増えてきた。しっかりと教えて、若い皆さんに引き継いでもらいたい」と語った。
(2023年2月21日付紙面より)
美し国三重市町対抗駅伝
津市から伊勢市までの42・195㌔を10人のランナーがたすきをつなぐ「美(うま)し国三重市町対抗駅伝」が19日、3年ぶりに開催された。県内29市町の選手たちが力走し、市の部(14市)で熊野市は2時間48分14秒の14位、町の部(15町)で御浜町は2時間47分09秒の13位、紀宝町は2時間44分04秒で11位だった。
新型コロナウイルスのため2年間中止になっていたが、今年は沿道からの声援を受け、1区の小学生女子が津市の県庁前を一斉にスタート。市町対抗駅伝が幕を開けた。
2区の小学生男子から中学生男女、40歳以上男子などが各区間で激走。伊勢市の三重交通Gスポーツの杜伊勢でゴールテープを切った。市の部は鈴鹿市が2時間17分36秒、町の部は川越町が2時間21分27秒でそれぞれ優勝した。
(2023年2月21日付紙面より)
天神社で春の例大祭営む (那智勝浦町 )
学問の神様・菅原道真を主神として古くから厚い信仰を集める那智勝浦町天満の天神社(髙橋正樹宮司)の春の例大祭が18日宵宮、19日に本宮の日程で営まれた。今年もおととし、昨年と同様、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から神事のみの斎行となった。
順番に始まる那智谷筋の祭りの最後を飾る同例大祭。例年は古式弓法で大的を射抜いて鬼の邪気を払うお弓神事や祭典委員会(楠本實委員長)が先導する行列が区内を練り歩く。
天満交友会(山東平〈さんどう・たいら〉会長)による獅子舞の地下(じげ)回しもあり、最後は餅まきが盛大に実施され多くの住民でにぎわっている。
今年は雨天のため、社務所内で関係者ら12人が参列して静かに祭りが進められた。髙橋宮司が祝詞を奏上し、関係者が玉串をささげた。
この日、髙橋宮司はお弓神事の際に、的場で神に供え物をするときに用いられる梅島台と松島台について、元は食べ物を載せる台であったなどと、解説。「この地域で台を手作りしているのはこの天神社のみだと思う。準備は大変だが、この伝統を後世に伝えていけるようにお祈りしました」。
楠本委員長は「年末から検討を重ね、今回の形に至った。3年間、祭りができないのは残念だが、コロナ禍のため仕方がない。伝統ある祭りを絶やさないように、来年こそは例年通りの祭りを斎行したい」と話した。
同社責任役員の越水政憲さんは「少子高齢化で担い手も減ってきた。しかし、伝統を絶やさないように続けていきたい」と語った。
(2023年2月21日付紙面より)
第187回職場対抗ボウリング大会
みさきストロングスが卒団式 (新宮市 )
和田禎佑杯サッカーU―9
新宮市立城南中学校(吉田元紀校長)で17日、和歌山県警察の派遣講師による非行防止教室「キッズサポートスクール」があった。1年生53人が受講、中学生が被害者にも加害者にもなり得る、身近な犯罪について学んだ。
規範意識の向上を目的として、学校と警察が連携し、和歌山県内の小中学校で行っているもので、城南中でも毎年、1年生を対象に実施している。今回は2人の講師が訪れ、組ごとで行われた。
1組は、生活安全部少年課少年サポートセンター紀南分室の今西和之さんが講師を担当、生徒23人が受講した。今西さんは▽友人と3人で万引を計画したが自分は用事で現場には行っていない▽店員が間違えてお釣りを多めに渡したのに気付いたが黙っている▽お釣りが多かったのに後で気付いたが返さない―などは全て犯罪となることを語った。
殴る蹴るに加え▽耳元で大声を出す▽髪の毛を引っ張る▽唾を吐きかける▽水をかける―なども全て暴行罪となること。▽体操服に墨汁をかける▽運動場にくいを打ち授業を妨害▽上靴を隠す▽給食用食器に唾をかける―などは器物損壊罪となること。▽悪口▽無視▽仲間はずれ―などは傷害罪になることを明かした。
学校内外や交流サイト(SNS)内など、あらゆる場所での暴言・暴力が許されないことを強調。「ネット上の誹謗(ひぼう)中傷など、言葉の暴力も駄目。いじめは犯罪」と力を込めた。
児童ポルノや児童買春にも言及。裸の写真がネットで拡散されてしまったり、同級生に転送した裸の写真で児童ポルノの罪に問われたりするケースもあることを伝えた。「他人に見られると良くないようなものは送信しない。ネットの情報は信用しない。写真や学校など個人情報は掲示しないように」と呼びかけた。
「何かやってしまう前に、心のブレーキを。またやってしまった場合は、一人で悩まず相談を」とまとめた。
(2023年2月19日付紙面より)
福祉委員研修会で上富田町の取り組み学ぶ (新宮市社協 )
新宮市野田の市福祉センターで16日、福祉委員研修会があった。市内8地区の福祉委員42人が出席する中、上富田町まちかどカフェの中本多比子会長、山際冨子副会長、上富田町社会福祉協議会の前地加容次長、生活支援コーディネーターの関口玲子さんが「上富田町ふれあい・ささえあいの地域づくり」をテーマに同町の取り組みを紹介した。
開催に当たり、前地次長は「こういう機会を頂いたことをうれしく思う。ボランティアとして活動している中本さん、山際さんの活動を、生の声で伝えられたら」とあいさつした。
関口さんが上富田町の概要や支え合い事業などを説明。同社協が2014年から展開する、町内の会館や空き家、寺、喫茶店などを借りてカフェを展開する「まちかどカフェ」の取り組みについて「できるだけ住民主体の活動につなげるように取り組んでいる」「元気な人は皆さんがボランティアです」などと紹介した。
新型コロナウイルス感染症の影響で現在、休止しているカフェもあるが町内各地域で30カ所のカフェが開かれており、内容は▽おしゃべり会▽健康マージャン▽見学会▽ボランティアによる演奏会▽新年会、忘年会、クリスマス会などの季節イベント―など多岐にわたる。
中本会長は「まちかどカフェマップ」をスライドで示しながら、町内におけるまちかどカフェの広がりや運営、活動内容やカフェの現状などについて紹介し「元々あったおしゃべり会などが広がって新たにカフェとして運営している所もある」。
関口さんは、葬儀社からエンディングノートや終活について話を聞いたり、寺で住職の法話を聞いた後、供物のお下がりの茶菓子を食べたり、防災について学びを深めたりといった各カフェの様子を案内。「カフェを行っていく上で必要な知識やノウハウを取得するため、年に数回講義や演習、実習などを行っています」と話した。
また、コロナ禍によりカフェが休止され、再開に至っても「今まで出てきた人が来なくなった」「カフェに歩いていけなくなった」などの理由で参加者が減少している状況に対応すべく開始した「軒先カフェ」の取り組みについても説明。
中本会長は「認知症の人への対応」「男性の参加」「リーダー育成」「参加者を増やす(地域の人や若い人を誘う)」を今後の課題として挙げた。
講話後には4班に分かれてグループワークが行われ、参加者らは上富田町の取り組みの感想や各地域における課題などについて意見交換。
班ごとに代表者が「男性の参画を進めるためには男性が興味を持てることを取り入れていくことが必要では」「上富田町ではお寺や喫茶店などいろいろな所を借りてやっている。参考にしていきたい」「新宮市は会館の使用料の一考を」などと発表した。
(2023年2月19日付紙面より)
商店街情報コーナーも (新宮市「丹鶴ホール」 )
新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」エントランスに「だれでもピアノ」が設置された。
市民に音楽に親しむきっかけを提供するとともに、「丹鶴ホール」のにぎわい創出を目的に設置。昨年11月、同施設の大階段へ電子ピアノ「YAMAHA P―515」を設置したところ、子どもから大人まで想定以上の利用があったことから設置を検討し、ピアノへの影響などについてピアノ技師と協議の上、設置が決定した。
新たに設置したのはフルコンサートグランドピアノ「YAMAHA CF」で、岩﨑正夫さんが1976年に市に寄贈したもの。開放時間は午前9時~午後6時(休館日や催しもののある日は除く)。使用の際は同施設総合事務室で確認を。
また、同施設ではこのほど、市商工会議所の協力を得て「新宮市商店街情報コーナー」を2カ所に設置。市内の商店街を網羅した「しんぐう商店街MAP」を紹介するとともに、「仲之町商店街を歩く。」「駅前本通り商店街 えきまえ散歩」「たんたんタンカク商店街」などの各商店街のパンフレットも設置しており、同施設では「お気軽に手に取っていただき、まちなかを周遊していただければ」と話している。
(2023年2月19日付紙面より)
熊野那智大社で「祈年祭」
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で17日、「祈年祭」が営まれた。献穀講員の大江清一代表らが参列し、実りへの感謝と五穀豊穣(ほうじょう)を祈った。
「としごいのまつり」ともいい、古くから定められた国家祭祀(さいし)が起源。旧暦2月4日に行われていたが1873(明治6)年の改暦後は17日となった。
11月の新嘗祭(にいなめさい)と対になる祭りで、日本列島各地で神々に食べ物やささげ物を奉り、豊かな実りに感謝し人々の幸せを祈る祭祀・儀礼が行われている。
同大社では、男成宮司が神饌(しんせん)が供えられた拝殿で祝詞を奏上。巫女(みこ)が神楽「浦安の舞」を奉納し、参列者らが玉串をささげ、春の訪れや農作物の豊かな実りに感謝した。
神事を終え、男成宮司は「毎年のご奉納に対し、感謝を申し上げます。今年も一年、穏やかな天候に恵まれて、秋には多くの実りを収穫できることを祈念しております」とあいさつとした。
その後、別宮「飛瀧(ひろう)神社」でも同様に神事が斎行された。
(2023年2月19日付紙面より)
日本消防協会が消防団活動車を交付 (新宮市 )
(公財)日本消防協会はこのたび、新宮市消防団に消防団活動車を交付した。17日、市消防本部で車両交付式が行われ、市地域消防協会会長の田岡実千年市長が中谷健兒団長にレプリカキーを手渡した。
(公財)日本消防協会は、消防団員、消防職員および地域において自主的に消防防災活動を行う者の福祉厚生、消防施設設備などの改善充実、消防知識技能の向上、消防防災思想の普及徹底などにより、消防活動の強化、地域防災の向上などを図り、もって国民生活の安全、社会公共の福祉の増進に寄与することを目的としている。
このたびの交付は、同協会の令和4年度消防団員等福祉共済事業(福祉増進事業)として行われるもので、同共済は1969年に消防団員福祉共済制度として発足。全国の消防団員等の相互扶助による共済制度として運営されている。
交付車両は三菱自動車の「エクリプスクロス」(SUV型5人乗り4WD)で、「衝突被害軽減ブレーキシステム」など安全機能も充実。配備先は団本部で、平時は防火・防災、入団促進啓発活動などに使用される他、災害時は市民への情報伝達などに活用される予定となっている。
交付に当たり、田岡市長は団員らの日頃からの尽力に感謝を伝え「団本部には団幹部をはじめ、女性団員9人が在籍されている。今後、災害活動や防火広報など、さまざまな場面でこの車両を存分に活用いただき、市消防団がますます活躍・発展されることを期待しています」とあいさつ。安全運転の徹底を呼びかけた。
中谷団長は「有事の際も含め、有効活用していけたら」と話していた。
(2023年2月18日付紙面より)
明神小中など4校で講座 (古座川町 )
古座川町で16、17日の2日間、日本航空株式会社(JAL)のキャリア教育出前講座が順次あり参加した児童生徒が将来を考えるきっかけを得た。
この講座を発案した同社産学連携部の丸島拓郎さんが挑戦するきっかけを託したいという思いで希望する学校に届けている機会。同町では2年前から参加の経緯があり、本年度は古座川町青少年育成町民会議の中継ぎにより4校が順次受講した。
初日午後は明神小5、6年生と明神中1~3年生が明神中体育館へ集まり、丸島さんと同社地域事業本部の三輪祥子さんを迎えて合同受講した。2人は飛行機や同社にまつわるクイズを出題し、JALグループでは131社3万6000人がそれぞれに仕事をこなしそのつながりで1機の飛行機を飛ばしていることを紹介。新型コロナウイルスの影響で飛ぶ数が減った時期に社員は大学講師や地域留学、有名アニメとのコラボレーションなど挑戦してみたい企画を会社に提案して取り組むなど、自身や会社の向上に頑張っている側面にも触れた。
英語力や相互理解など2人それぞれに仕事をしていく上で大切だと感じていることも伝え、それらに苦手意識があっても避けずに挑戦し続けた成果は将来役に立つと信じて頑張ってほしいと促すなどした。
最後に児童や生徒があらかじめ準備した質問に応えて学びを後押し。小中それぞれ代表1人を立てて感想を述べ、講座の実施に感謝した。
同会議事務局によると、明神小中のほか、古座中1年生が16日の4時間目、高池小4、5年生が17日の2時間目を充てて受講。三尾川(みとがわ)小は過去に受講した経緯で今回は参加を見送り、未受講の児童生徒に機会を譲ったという。
(2023年2月18日付紙面より)
高校生向け企業説明会
高校生向け地元就職促進事業「地元企業知っとこガイダンス」が16日、新宮市王子町の市立総合体育館であった。新宮、新翔、串本古座、紀南の4高校から約140人の生徒が参加。企業から説明を聞き、就職について考えた。
熊野地方就職フェア実行委員会の主催。同委員会は新宮市、新宮商工会議所、那智勝浦町、南紀くろしお商工会、新宮地区職業安定協会で組織する。同ガイダンスは、熊野地方の高校生を対象に、将来地元で働きたいという気持ちを向上させ、若年層流出による地域活力の低下を抑止することを目的としている。
コロナ禍に伴いおととしは中止だったが、基本的には毎年実施している。今回は、串本出張所も含むハローワーク新宮、ハローワーク尾鷲熊野出張所の管内から、27社が参加した。製造、建設、福祉、金融、運送、宿泊など、さまざまな業種があった。2部構成で、生徒は約70人ずつに分かれて行われた。
生徒が興味のある企業ブースを訪れ、担当者の話を聞くかたちで行われた。時間は20分と決められており、その時間内で概要説明と質疑応答を行うように決められていた。生徒側は事前に、説明を受けたい企業を第3希望まで選んでおり、これに沿って実施された。
企業担当者は、自社の歴史や業務内容、やりがいなどを、丁寧に説いていた。生徒らは、熱心に耳を傾け、メモを取るなどしていた。新翔高校2年の松井弥土(みと)さんは「どちらかといえば地元就職を希望している。どんな職種を目指すかは、まだ検討中。今日は説明を聞き、知らないこともあったので良かった。話をよく聞いて進路をしっかりと考えたい」と話した。
新宮信用金庫のブースで説明を担当した、総務部の野田健太さんは「普段の業務で高校生との接点は多くないので、こういう機会はありがたい。金融機関はお金を扱うので、真面目で誠実な人材が欲しい。加えて、受け身ではなく積極性があればなお良い。今日はしっかりPRしたい」と述べた。
(2023年2月18日付紙面より)
田端賢太郎さんが神倉山に奉納 (熊野速玉大社 )
みなべ町在住の田端賢太郎さん(83)は16日、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)を訪れ、「神倉神社の参拝者の方に使っていただければ」と、梅の木で作製した参拝用の杖(つえ)50本を奉納した。同日、同大社で奉納奉告祭が営まれ、上野潤権宮司は「梅の木を育てるのに一日一日を積み重ね、丹精を込めて杖をお作りいただいた」と感謝を伝えた。
梅農家を営む田端さん。農作業の傍ら、寒に入って新月の3日間に切り込んだ枝を1カ月乾燥させ、何度も磨いて艶を出し、蜜ろうを塗って仕上げた。1本制作するのに係る時間は約1時間半。杖には「無病息災」の文字を書き入れ完成させた。
作業を始める前には般若心経を唱える。「今まで約80年間、大過なく過ごさせていただいた。神倉山にお礼の気持ちを込めた」と一本一本に思いを込めて制作した。
かねて梅の木の枝の有効活用を思案していた田端さん。7年ほど試行錯誤を重ね、ようやく現在の杖の形に仕上げた。「人生残りわずか。杖の作り方を誰か継承してくれたら。(奉納した杖は)ぜひ多くの人に使っていただきたい」と思いを語った。なお、田端さんは2020年10月にも梅の木を使った杖40本を奉納している。
上野権宮司は「以前、奉納いただいた杖はすでに短くなってしまった。多くの人に愛用いただいた証だと思う。世間ではあまりにも身勝手な行為が散見されるが、田端さんの利他の心、慈しみの心は神様や多くの人に伝わっていると思います」と話していた。
(2023年2月18日付紙面より)
【第58回】過剰な健康志向は危ない!
子育てでお料理をしているお母さんたちは、みんな真面目で、少しでも体に良いものをお子さんに…と考えている方が多いです。そのために、できるだけ添加物を避けたり、有機野菜を使ったり、無添加のおやつを用意したり。そういった食意識は、もちろん悪いものではありませんが、こだわりが行き過ぎるとご自身がしんどくなってしまうことがあります。今日はそんな、こだわりが過剰になることで患ってしまう、新型摂食障害のお話をしようと思います。これは、アメリカの医師が1997年に提唱したもので「オルトレキシア」と言います。この摂食障害は、拒食症でも過食症でもなく、「自分が健康的だと思っているもの以外を拒否してしまう」という症状が出る病気です。
最近は健康志向の高まりもあり、食事にこだわる人は増えています。小麦粉を排除する「グルテンフリー」や、動物性のものを取らない「ビーガン」、ダイエットを意識した「糖質制限」もその一つです。でもこの「オルトレキシア」になってしまうと、自分が健康的だと思い込んだもの以外は一切受け付けなくなってしまい、人と食事をすることもできなくなってしまうと言います。自分が決めた食事ルールを破って、食べてしまうと、罪悪感で苦しんだり、体調が悪くなってしまったりするわけです。逆に、自分のルールに合った「健康的だと思う食事」を取ると、自己肯定感が高まっていくというのも特徴です。30代以降の女性に多く、子育て世代も当てはまるため、子どもにも自分が思い込んだ「正しい食事」を強要して、栄養を偏らせてしまうということもあります。そして、「子どもに良いものを」という考えから始まり、発症してしまうお母さんもいるのです。ハリウッドセレブなどの間でも「オルトレキシア」になったとカミングアウトして、ヘルシーな食事に執着するのをやめるという人がいました。この病気が怖いのは、自分でも過剰なこだわりだと分かっているけど、やめられないというところだそうです。
健康的な食事を心がけることはとても良いことですが、健康的な食事を追求するあまりに、不健康になってしまうのでは本末転倒ですよね。今はインターネットにさまざまな情報があふれていて、ついついうのみにしてしまいますが、科学的根拠のないものもたくさんあります。心と体を健康に保つためにも、「正しい食事」よりも「楽しい食事」をぜひ心がけてください。楽しくおいしく食べる食事こそが、一番健康にいいと私は思っています。野菜が足りないとか、脂が多いとかは、翌日にでも少し調整すれば大丈夫。お子さんのいる方も、いない方も、健康的な食卓がまず目指すのは「楽しい、おいしい食事」なのです。
(2023年2月18日付紙面より)
キナンレーシングチームが市長表敬 (新宮市 )
新宮市に本社を構える㈱キナン(角口賀敏会長)をメインスポンサーとし、国内外でレース活動を行う「KINAN Racing Team(キナンレーシングチーム)」は15日、田岡実千年市長を訪問し、19日(日)に同市熊野川町で開催される「新宮・熊野川町清流ライド with Racing Team」への意気込みを共有するとともに、熊野地域で毎年開催されているUCI公認国際自転車ロードレース「TOUR de 熊野」における躍進を誓った。
「TOUR de 熊野」の優勝とレースイベントの成長を最大の目標とし、それによる当地方への貢献、地域活性、スポーツ振興、自転車文化の発展に力を尽くす同チーム。
今年は、新たに6人をチームに迎え、13人となった新生チームで「ニュージーランド・サイクルクラシック」(1月11~15日)、「シャールジャ・ツアー」(1月27~31日)に参加するなど、精力的に活動を展開している。
19日に開催されるイベントでは「TOUR de 熊野」の赤木川清流コースを自転車で周遊するほか(参加受け付けは締め切り済み)、同チームの選手らによるトークショー、Eバイクの体験試乗会、地場産品などの振る舞いも予定されている。
選手らの自己紹介を受け、田岡市長は「新宮市にレーシングチームがあるのは自慢できること。角口会長に心より感謝している。観光や市民の健康増進など、自転車を活用したまちづくりを進めていくために、今後もご指導を」と感謝を伝え、選手らの一層の活躍を祈念。
新城雄大主将は「メンバーが大きく変わり、レースを大きく動かす力もあるチームになった。今年こそはチームが掲げる『TOUR de 熊野』の総合優勝を取れるように一丸となって頑張っていきたい。また、19日のイベントでも、皆さんと交流して一緒に楽しく走ることができれば」と意気込みを語った。
石田哲也・代表取締役社長は「移籍してきたメンバーは各チームのエースクラスなど、活躍していた選手なので間違いなく日本一のチームだと思う。しっかり成績を出して、会長と市長に報告できるような活躍をしたい。今年こそは創設から掲げている総合優勝を勝ち取れるように頑張りたい」と話していた。
(2023年2月17日付紙面より)
和歌山県立新翔高校(藤田勝範校長)で7日、1年生と2年生を対象とした人権講話があった。1年生65人は、聴覚障害についての講話を受講。聞こえない人の不便を知り、理解を深めた。2年生108人は、デートDVについての講話を聞いた。
1年生の講話では、新宮市在住で新翔高校の出身、和歌山県聴覚障害者協会理事の辻山尚美さんが講師を務めた。演題は「聞こえない人のこと、手話のことを知ろう」で、社会福祉法人美熊野福祉会の大代聖子さんが通訳した。手話通訳派遣事業を行う同福祉会が新翔高校から、障害者福祉の人権講話の依頼を受けて協力、毎年実施している。
辻山さんは、生後6カ月ごろに耳が聞こえなくなったことを紹介。「言葉の習得前だった。口の形を読み取る訓練ができる民間の学校が大阪にあり、そこに行った後、大阪のろう学校に入った」と明かした。
発音の訓練として、先生の胸に手を当て、舌の動きを教わるなどして、五十音を学習。次は「黒板」「柱」「机」など、物に名前を貼って覚えたと説明した。「間違ったら怒られ、苦しくて泣いていた。昔は手話は言語とは認められず、使わないように言われていた」と伝えた。
小2の頃に丹鶴小学校に編入し、緑丘中、新翔高校と進んだことを示した。「先生は、話すことをなるべくたくさん黒板に書き、分からない時は友達も教えてくれた。先生は口元を見せながらゆっくり話し、英語のヒアリングテストは別の問題を用意してくれた」と紹介した。
手話以外のコミュニケーション術として、「口話」「筆談」「空書」「身振り」などがあることを解説。紀伊半島大水害の際に避難所に行き、聞こえないため不安だったことも明かした。「命に関わるときに助けてもらえる場合もある。聞こえない人がいることを気付いてほしい」と力を込めた。大代さんによる、障害者差別解消法の合理的配慮についての説明もあった。
(2023年2月17日付紙面より)
トルコ・シリア地震救援金 (古座川町 )
古座川町が15日、2023年トルコ・シリア地震救援金の受け付けを始めた。▽役場本庁▽役場各出張所(小川・三尾川〈みとがわ〉・七川)▽保健福祉センター▽中央公民館▽七川診療所―の計7カ所に同救援金箱を設置したので、そちらへ協力を寄せてほしいという。
トルコ共和国ガジアンテプ県で現地時間6日未明以降続く地震の被災者救援が目的。集まった救援金は日本赤十字社和歌山県支部の窓口に託すとし、受付期間は5月下旬までとしている。
海外メディアの情報によると、同日早朝時点で両国合わせて死者数が4万1000人を超え、トルコは3万5000人を超え過去最多だった1939年の地震を上回っている状況。推計値で両国計約2600万人が被災していると伝えられている。問い合わせは町住民生活課(電話0735・67・7900)まで。
(2023年2月17日付紙面より)
宇久井中2年が大敷へ (那智勝浦町 )
那智勝浦町立宇久井中学校(坊信次校長)の2年生20人が16日早朝、宇久井漁業協同組合の協力の下、漁業体験学習に臨んだ。第三十宇久井丸と第三十六宇久井丸に乗船した生徒たちは、大型定置網(通称・大敷)から旬の地魚が引き揚げられる様子を見学し、漁師の仕事に触れた。
宇久井大敷の歴史は1926(大正15)年に始まる。黒潮の影響を受ける好漁場であり、ブリやサバ、アジ、サワラなどを主に四季折々の魚種が取れる。48(昭和23)年にはブリの大漁によって宇久井中学校の旧校舎が建設されたとも伝わっている。
漁業とのつながりの深い同校は20年以上海洋教育に取り組んでおり、地元漁師が講師となって漁業の歴史や漁法、魚種、料理法などを生徒たちに伝えている。漁業に関わる人々の苦労や水揚げの喜びを共にすることで、将来の後継者育成も視野に入れている。
明け方の宇久井漁港を出発した生徒たちは、漁師と共に沖合約3㌔の定置網へ。この日の漁獲量はサバを中心に約1・7㌧で、大きな寒ブリが引き揚げられると、生徒たちから「お~!」と歓声が上がった。
清水漣さんは「朝早くから大変な仕事だと思ったけど、体験できて楽しかった」。谷口美香さんは「船酔いして少し大変だったが、日の出の景色に感動した。サバの唐揚げが食べたい」と話した。
(2023年2月17日付紙面より)
新宮弓友会主催の月例射会
キッズサッカーフェスティバル
若鷲・若獅子旗争奪貴志川剣道優勝大会
バレーボール体験会 (新宮バレーボールスポ少 )
セミナー通して課題共有 (近畿総合通信局、WIDA )
総務省近畿総合通信局と和歌山県情報化推進協議会(WIDA)は9日、県立情報交流センターBig・Uでわかやま地域情報化フォーラム2023・臨時災害放送局(以下、臨災局)啓発セミナー「臨時災害放送局のこれから」を開催した。フォーラムの様子はオンラインでも配信され、WIDA会員や県内自治体、一般市民らが視聴した。
臨災局とは、暴風、豪雨、洪水、地震などの災害が発生した場合に、被害の軽減に役立つよう、被災地の地方公共団体など(災害対策放送を行うのに適した団体)が開設する臨時かつ一時の目的のためのFM放送局。1995年の阪神・淡路大震災の経験などを踏まえ、同年2月に制度化された。なお、総務省が全国自治体を対象に行った調査によれば▽独自に機器整備をしている(36)▽開設に向けた協定締結(198)▽何らかの準備を進めている(236)―となっている。
近畿総合通信局とWIDAは、有事の際の情報共有手段として臨災局が有用であると考え、可能な限り早期に開設するための準備を展開。これまで、県内で可聴域調査を行い、送信機の設置場所や電波の到達範囲の確認を実施しており、2020年2月には和歌山放送ラジオや地元高校生らの協力の下、新宮市で臨災局設置・運用訓練を行っている。
同フォーラムは、臨災局の位置付けや、有効活用するための準備が自治体ごとに必要となってくることから、開設に関わる自治体や団体、個人に利活用の現状や他地域での動向などの情報を提供し、課題を共有するために開催した。
開催に当たり、近畿総合通信局の井上知義局長が「臨災局の出番がないことが一番望ましいが、本日のセミナーが災害に強いまちづくりのため臨災局への理解を深めていただける機会となれば」とあいさつした。
基調講演では、NHK放送文化研究所メディア研究部研究主幹の村上圭子さんが「災害情報を確実に届けるために~臨時災害放送局の役割~」を題目に講話。自身の体験を踏まえながら、臨災局の歩みや、最新動向取材を基に全国に広がる開設に向けた取り組みなどを紹介した。
災害の現場で怖いことの一つはデマや情報がないことに対する不安であるとし「災害情報伝達とは命を守り安全を確保するため、被災地・者が求める情報を提供すること。阪神・淡路大震災の際には地域目線で情報を伝えることができていなかった」。
東日本大震災(11年)では「被害甚大な地域ほど情報が入ってこず、マスメディアでは報道されなかった」と振り返り「コミュニティーFMの有無で地域に情報の格差が生じていた」と話した。
同震災を受け、ヒアリング調査で得た結果から▽臨災局の認知を広げ、素早い支援で早期開設▽職員以外にも放送を担える人材を準備▽伝わる・聞いてもらえる情報と構成―が必要と問題提起。「大規模災害でなければラジオである必然性がない」「訓練のためのイベント放送に煩雑な手続きと費用がかかる」などと課題にも触れた。
他、近畿総合通信局の中屋敷安則放送部長が「臨時災害放送局の概要と開局手続」をテーマに講話。登壇者らによるパネルディスカッションも展開された。
(2023年2月16日付紙面より)
古座分庁舎のリノベ事業 (串本町 )
串本町の旧役場古座分庁舎リノベーション事業の最終段階、宇宙関係の展示スペースや図書スペースなどの企画提案・設計・施工・施工監理業務の委託契約先が14日実施の町議会臨時会で承認された。同契約先は株式会社ムラヤマ関西支社で、契約金額は1億3739万円。町企画課の名田倍也課長は「秋ごろ、遅くとも今年中の完成を目指す」としている。
現在の役場本庁舎完成以降、地域振興拠点としてのリノベーションが進んでいる同分庁舎。その構想に掲げる機能のうち、先んじてサテライトオフィスやコワーキングスペースが2階、8K映像コンテンツにも対応する上映室「臨場感シアター〈仮称〉」が3階でそれぞれ仕上がり、残る展示スペースと図書スペースを同社が形作る。
臨時会で承認を求めるに当たり名田課長は、プロポーザル形式の入札で契約先候補を募ったところ4社が参加。3日に審査員5人(うち2人は外部有識者)を立てて各社の提案説明を受けた結果、株式会社ムラヤマ関西支社と仮契約を結ぶに至ったと経過を報告し、同社の提案内容も伝えた。
同社の提案は▽ウエルカムゾーン▽宇宙WORK▽ロケット物語▽ロケットが串本に来たヒミツ▽宇宙とつながる仕事にチャレンジ▽私たちとつながる人工衛星▽宇宙とつながる場所スペースタウン串本―といったストーリー展開に基づく展示スペース構成を思い描き、そこへ宇宙の地につながる拠点としての図書スペースや既存のエレベーターの工夫で「臨場感シアター〈仮称〉」を関連付け、さらに屋外装飾で機能の存在感を増す内容。名田課長は具体的にどのようなアイデアが盛り込まれているかも説明し、審査員は見学者視点で一番ワクワクしたという点でこの提案を選んだとした。
展示スペース、図書スペースとも1階を使用し、玄関から入って右手全体に展示スペース、左手の一角(現時点で町企画課ロケット推進室やスペースポート紀伊周辺地域協議会事務局があるフロア)に図書スペースを配置。承認を経て名田課長はほぼ提案通りの内容で完成を目指すとし、翌15日から同社と詳細を詰める作業に取りかかっている。
(2023年2月16日付紙面より)
オンラインでビブリオバトル大会 (井田、成川、御浜の3校 )
紀宝町の井田小学校、成川小学校、御浜町の御浜小学校をオンラインで結んで13日、ビブリオバトル大会が開催された。3校のバトラー(発表者)計9人がお気に入りの本の魅力を熱く語った。
ビブリオバトルは、お薦めの本の魅力をスピーチして競うもの。今大会は、新しい本と出合って読書の楽しさを知り、他校の児童と交流することが目的。はじめに、ビブリオバトル三重県大会中学生の部でチャンプ本を勝ち取った藤井春奈さん(尾鷲市立輪内中2年)によるエキシビションがあった。
この後、いずれも6年生の岸﨑美悠さん(成川)、橋本将君(井田)、榎本源太君(御浜)、谷口友絃君(成川)、福田結愛さん(井田)、竹平春翔君(御浜)、廣里凪咲さん(成川)、奥地來知君(井田)、今西夢果さん(御浜)の順で、心引かれた1冊を紹介した。
バトラーは3分間で発表し、オーディエンス(観戦者)から質問を受けた。全員の発表が終わった後、各自の学習用端末(ノートパソコン)から「一番読みたくなった本」を各校1票ずつ投票し、チャンプ本を決めた。
成川小は谷口君の「きまぐれロボット」、井田小は橋本君の「『絶体絶命ゲーム』シリーズ」、御浜小は竹平君の「風の又三郎」がチャンプ本に選ばれた。
(2023年2月16日付紙面より)
生徒会のバレンタイン企画 (近大新宮 )
近畿大学附属新宮高校・中学校の中高生徒会が14日夜、同校の中庭で「バレンタインランタンFes.」を開催した。13個のLEDスカイランタンが夜空を彩り、生徒らが幻想的な光景に歓声を上げた。
発案者は高校生徒会の前田一成副会長(高1)で「放課後の地域ゼミに参加する中で、自分も地域活性化につながるイベントをやりたいと考えるようになった。最初は花見の時季に丹鶴城跡でランタンを揚げられたらと思ったが、こうした大きな行事の運営や機材発注の経験がなく、まずは学校でやってみようと思った」。イベントの実施を公約に掲げて生徒会入りし、延期を経験しながらも実現にこぎ着けた。
当日は有志生徒もランタンの準備に協力。高校生徒会の梅崎光会長(高2)のカウントダウンでランタンを揚げ、中庭で多くの生徒が記念撮影をして楽しんだ。
福田美心さん(中3)は「部活を早めに切り上げてもらって参加した。すごくきれい」。谷口優依さん(高2)は「バレンタインらしいし、自分たちだけが見られる特別感もある」と語った。
前田副会長は「LEDが外れてしまったり、時間が30分遅れたりと、計画通りにいかないことも多かったが、有志の皆さんのおかげで無事にイベントを成功させることができ、本当にありがたい。この経験を生かし、七夕にはもっとたくさんのランタンを揚げるイベントができれば」と話していた。
(2023年2月16日付紙面より)
候補演説を聞き思い託す (王子ヶ浜小で児童会選挙 )
新宮市立王子ヶ浜小学校(谷口幸生校長)で10日、2023年度前期児童会役員選挙があった。4~6年生178人が、会長に立候補した5年生5人の演説を聞き、一票を投じた。初の試みとして、投票箱や記載台も用意され、実社会の選挙さながらの実施となった。
同校ではこれまで、各教室で候補の演説放送を聞き、意中の候補に丸を付けた用紙を教室で集める形で選挙を行っていた。今回は、22年度後期児童会が、実社会の模擬選挙を兼ねた投票を提案。投票箱や記載台は、新宮市立光洋中学校が所持しているものを借りた。投票所は学校内の会議室に設け、準備や運営も22年度後期児童会が受け持った。
23年度前期児童会の会長には、いずれも5年生の馳平花杏さん、宮地さつきさん、榎木谷莉叶さん、樫本なるさん、前山百花さんが立候補した。候補者は、1月30日の公示日から、学校内にポスターを掲示したり、児童に支持を呼びかけたりしていた。投票日となる10日は、候補と応援演説者がカメラに向かって演説。有権者の児童は、教室のモニターでそれを聞き、投票所に出向いて投票した。
候補者はカメラに向かい「クリーン作戦を行い、校庭をきれいにします」「雨の日に廊下を走らないよう、体育館を開放します」「やりたいことボックスを設置して、意見を聞きます」など、公約を発表。「清き一票をお願いします」と力を込めた。応援演説者は「優しく、友達思いで、頼りになる人です」などと伝えた。
投票は、クラスごとで順次行われた。有権者の児童は、記載台で思いを託す意中の候補を記し、投票箱に用紙を投じていた。谷口校長は「今は校内だけだが、社会に出たら、声が届く場所として政治に興味を持ち、まち全体を良くするにはどうすべきかを考える、一つのきっかけになれば」と話した。
なお、今回の選挙の得票数の順に、会長1人、副会長1人、役員3人に選ばれる。任期は3月1日から、23年度の1学期終業式までとなる。
(2023年2月15日付紙面より)
東大人文熊野セミナー (新宮市 )
新宮市と東京大学大学院人文社会系研究科・文学部は12日、同市浮島の浮島児童館での対面とオンラインを併用して東大人文熊野セミナーin新宮「東大の授業をのぞいてみよう!」を開催した。同大学の教員や研究者らが、それぞれの専門分野について分かりやすく説明した。
同市と同大学大学院人文社会系研究科・文学部は2021年3月に連携協定を締結。以降、協力体制の下、人文学を応用しての地域振興や交流促進、地域連携活動などを図っている。
このたびのセミナーは、同大学大学院人文社会系研究科の教員や研究員が11日から14日にかけて同市を拠点に実施した「熊野研修」の一環として開催。さまざまな分野で多様な研究教育活動を行う教員らが、それぞれの専門分野を紹介し、研究や教育の面白さを広く伝えることを目的に開いた。
開催に当たり、田岡実千年市長が「当地域には大学はないが、このような形で東京大学において行われている研究や教育に触れることができるというのは本当にありがたいこと。お集まりの皆さまには、充実した時間を過ごしていただければ」とあいさつした。
セミナーには▽秋山聰さん(美術史学)▽阿部公彦さん(英文学)▽加藤隆宏さん(インド哲学)▽小島毅さん(中国思想史)▽納富信留さん(哲学)▽松﨑照明さん(日本建築史)▽村本由紀子さん(社会心理学)▽和田真生さん(文化資源学・歌舞伎)▽ストルティーニ・パリデさん(宗教学)―の9人が登壇した。
同大学大学院人文社会系研究科長の秋山さんは「東大(文学部)にとっての熊野と紀州」と題し、自身の研究分野を紹介しつつセミナーの趣旨を説明。
13年、大雲取越を歩いた際、光に照らされた円座石(わろうだいし)を目にした時に、エルサレムのキリスト昇天教会にある「キリストの足跡」と重なったことが、日本の宗教文化や熊野に興味を抱いたきっかけと話した。
また、「東大人文・熊野プロジェクト」の概要や同大学文学部の歴史や構成、教員らの著書、今後プロジェクトで計画している熊野関連事業などを紹介し「熊野、紀州、紀伊半島の持つ伝統文化、宗教文化が、国際的にも重要なものだと認識されていくのではないか」と述べた。
発表後には松﨑さんの司会の下、国際熊野学会代表委員の山本殖生さん、熊野学研究委員会委員長の中瀬古友夫さん、太地町歴史資料室学芸員の櫻井敬人さんによるディスカッションがあった。登壇者らはセミナー内容や同大学の取り組みに対し「非常に幅広い分野に関心を持たれていると感じた」「若い人たちの心をつかむ工夫を引き続きお願いしたい」などとコメントした。
閉会に当たり、秋山さんは学生らに対し「聞いて分かる、はつまらない。聞いたけど分からないを見いだすことが学問の醍醐味(だいごみ)だと思う。地元の若い人たちには、面白い所に住んでいるということに気付いてほしい」と呼びかけた。
(2023年2月15日付紙面より)
樫野埼灯台内部一般公開 (串本古座高校 )
串本町樫野にある樫野埼灯台で11日、県立串本古座高校CGS(地域包括的支援)部による内部一般公開があり約170人を普段入ることができない内部へ案内した。
この公開は、航路標識協力団体としての活動の一環。同校は同部を軸とした協力内容を掲げて昨年2月に樫野埼灯台付けの同団体指定(指定期間は2025年3月まで)を受け、以降は部員が振興策を考えて動いている。
協力内容は▽敷地内植生管理(スイセンの再生)▽灯台内部の一般公開―とそれら現地活動時の本体点検の3系統。同公開は指定前に年1回程度だった頻度を5回に増やすとしていて、昨年5月の下準備を経て7月に1回目を実施した。以降9月と11月は天候不良のため中止。本年度最終となる今年2月は、約半年ぶりに実施する形となった。
この日は部員11人が受付、解説、感染症予防(内部の適時アルコール消毒)と役割分担をして内部見学の希望者を歓迎。今後の活動費を得るため1人につき100円の協力金をお願いし、併せてボトルドウオーター「串本の水」や緑茶飲料の提供もした。
同部は中止が相次いだ間、1回目の反省を基にして同公開の在り方を検討。解説をしやすくするためパネル資料を自作して内部に置くなど、検討の成果を発揮して臨んだという。解説役を担当した雑賀和さん(2年)は「役割分担もしっかりと決めたことで、以前よりスムーズに案内ができたと思う。解説にも余裕ができ雑談もする中で、京都や岐阜など県外のいろいろな所から串本へ来てくれていて、串本をよく知っている人もよく知らない人もいると分かった」と振り返り、その気付きも糧にして今後、さらにしっかりと同灯台や地域を伝えていけるよう部員一同で頑張りたいと意気込んだ。
この日は同校生徒会も合流し、トルコ南東部地震災害義援金の募集を内部見学希望者に呼びかけた。これを足掛かりにして校内でも協力を求め、集めた額を15日に同町の窓口へ寄託するという。
同部は次年度も年5回の頻度でこの公開を考えるとし、次はゴールデンウイークごろの実施を目指したいとしている。
(2023年2月15日付紙面より)
那智中で火災避難訓練 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立那智中学校(岡史博校長)で9日、火災避難訓練があった。全校生徒142人が町消防本部の協力の下、垂直式救助袋の使い方や初期消火、けが人の搬送法について学んだ。
学校生活を安全に送ってもらうだけでなく、将来進学や就職で都市部へ出た際にも都市火災などへ対応できるよう、年3回の訓練を計画している。
1年生は垂直式救助袋を使った避難を体験。避難経路の複数確保の観点から同校南館の3、4階に設置されている器具で、袋内部のらせん状の通路を滑り降りることで、階段が使えない場合でも建物外部の安全な場所へ逃げることができる。
実際に救助袋を使った政所さくらさんは「最初は落ちてしまうんじゃないかと思って怖かったけれど、中に入ってしまえば大丈夫だった」。片原凛睦さんは「最初見た時は仕組みが分からず、怖かった。初見で使うのは勇気がいるかも」。髙出成二さんは「怖そうと思ったけれど、実際には傾斜に沿って安全に下りることができた」と話していた。
2年生はけが人の搬送法、3年生は消火器を使った訓練に取り組み、それぞれに災害時にできる行動を考えていた。
(2023年2月15日付紙面より)
文化講演会でバイマーヤンジンさん (新宮ユネスコ協会 )
新宮ユネスコ協会(中谷剛会長)は12日、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」でユネスコ文化講演会を開いた。チベット出身の歌手・バイマーヤンジンさんが「チベットと日本 異文化をこえて」をテーマに講話。約350人が耳を傾けた。
新型コロナウイルス感染症の影響で、約3年ぶりとなった同講演会。開催に先立ち、中谷会長は「イギリスのホーキング博士は、人類に迫る幾つかの危機を戦争、感染症、地球温暖化としている。1918年、スペイン風邪と第1次世界大戦で多くの犠牲を払ったが、約100年の歳月を経て、人類は同じような間違いを犯していると言わざるを得ない。今日は異文化に対しても理解を深めることができると思っている」とあいさつ。
来賓の田岡実千年市長は、同協会の取り組みに感謝を伝え「バイマーヤンジンさんの美しい歌声を交えたお話を聞けることは、私にとっても大変意義深いこと」と祝辞を述べた。
ヤンジンさんは中国国立四川音楽大学を卒業後、同大学専任講師に就任。1994年、日本人男性と結婚し来日。日本でただ一人のチベット人歌手としてチベットの音楽や文化を紹介する講演会やコンサート活動を展開。チベットでの学校建設活動(9小学校、1中学校)や、20年以上にわたって経済的に苦しい大学生への奨学金支援を続けている。
大きな拍手を受けながら、チベットの民族衣装で登場したヤンジンさん。日本での生活や、標高4000㍍を超える山々が連なるチベットの文化や人々の生活などをユーモアたっぷりに話し、会場を沸かせた。
ヤンジンさんは、牛と羊の放牧の生活を営む貧しい家庭の11人兄弟の9番目として生まれた。両親は文字が読めず「人権や法律を知らない世界で悔しい思いをたくさんしてきた」。
唯一の燃料となる牛のふんを拾う生活の中、縁あって高校に進学する機会に恵まれた。命懸けで勉強し大学に合格。しかし「野蛮人が来た」などと民族差別からくるいじめを受けた。いじめに耐えながら大学を卒業。卒業式に日本人の夫と運命の出会いを果たした。「チベットはいい所ですね」と言ってくれた。
快適で便利、衛生的。そして教育や医療システム。そんな日本の成長を夫に聞いた。「教育のおかげ。資源に恵まれない日本は一生懸命人を育て、技術を極めてきた」。終戦時に中国・ハルビンから苦労して帰国した義母は「日本もずっと豊かなわけではなくいろいろな時期があった。日本人だって汗を流して涙を流して頑張ってきた」とヤンジンさんを一喝した。
その時「チベットのために何かしたい」と決意したヤンジンさん。中国の教育施策やチベットにおける教育の現状についいて話し「1人でも2人でもチベットの子どもたちを幸せにしたい。努力して民族の発展に協力したい」。
また、少子化が進む日本について「日本の立ち位置、世界に対してどう立ち向かっていけばいいか。次の世代をしっかり育てていかなければならない。これからも日本人の優しさ、知識、能力で世界の困っている人たちを助けてほしい」とまとめ、チベットの民謡「太陽と月」を披露した。
(2023年2月14日付紙面より)
2年ぶりとなる和歌山県市町村対抗ジュニア駅伝競走大会が12日、和歌山市で開催された。北山村などを除く県内28市町からオープン参加を含む42チームが出場した。本紙関連では、串本町が地元勢トップの1時間14分09秒で8位に入った。
コースは紀三井寺公園補助競技場をスタートし、県庁前をゴールとする全10区間21・1㌔。晴天の下、各市町代表の小学5、6年生と中学生の男女10人が1本のたすきをつないでいった。大会は和歌山市が1時間10分27秒でゴールし、優勝を果たした。
本紙エリア内の那智勝浦町は16位、新宮市は20位、古座川町は27位となった。中学生女子の8区(2・5㌔)では、串本町の久保凛さん(潮岬中3年)が前回大会の記録を3秒上回る7分44秒で区間新記録を達成。18、19回大会の3区、20回大会の8区に続き、4大会連続で区間賞を手にした。
□ □
本紙関連の各チーム記録は次の通り。敬称略。
■大会結果
⑧串本町 1時間14分09秒
⑯那智勝浦町 1時間16分15秒
⑳新宮市 1時間18分02秒
㉗古座川町 1時間25分38秒
〈オープンチーム〉
那智勝浦町OP 1時間21分16秒
串本町OP 1時間21分33秒
■区間賞
▽第8区(中学生女子)2.5㌔
①久保 凛(串本町)7分44秒=区間新記録
(2023年2月14日付紙面より)
那智勝浦町の下里神社(山本貞夫宮司)で11日、「御弓祭」が営まれた。御弓行事で地元の中学生が、災厄や疫病を閉じ込めた的を弓矢で射抜き払った。
御弓祭は、かつては旧暦の正月11日だったが、現在は毎年、2月11日に行っている。いずれも下里中学校で、2年生の西正眞さん、西地琉夏さん、吉村颯汰さん、3年生の楠本琉惺さん、德村奏磨さん、道尻幸宜さんが射手を、1年生の川口慶次さん、桃井勇起斗さん、2年生の城本匡規さんが矢拾いを務めた。
御弓行事は、17㍍先にある直径102㌢の的を射抜くもの。射手は、昔の狩猟衣装である直垂(ひたたれ)と烏帽子(えぼし)を着用し、日置流の流儀で行う。的の裏には、災厄や疫病を意味する「鬼」の字が書かれている。射手は6日から練習を重ね、御弓祭に備えていた。
御弓行事ではまず、山本宮司が弓矢で天地を射て、災厄や疫病を的に閉じ込めた。続いて、射手が2人ずつ順に射的。狙いをすまして矢を引き絞り、見事に的を射抜くと、見守っていた保護者や下里中の教職員、地域住民などから拍手と歓声が上がった。矢拾いも挑戦し、的に命中させる一幕もあった。
西地さんは「今年初めて挑戦した。緊張したけど2本が的に当たり、拍手をもらえたのでうれしかった。来年も挑戦できたらいいな」とほほ笑んだ。
御弓行事に先立ち、神事があった。同神社の総代役員や剣道の団体である下里剣友会、射手など約30人が参列。玉串をささげ、五穀豊穣(ほうじょう)や無病息災、新型コロナウイルスの早期収束などを願った。
下里剣友会による、日本剣道形や基本技の奉納もあった。剣士らが力強く、木刀や竹刀を振るった。
山本宮司は、下里中や下里剣友会の協力、多数の観覧への感謝を強調。「御弓祭は伝統ある行事。今後も継続していけたら」と述べた。
(2023年2月14日付紙面より)
大島の水門神社で例大祭 (串本町 )
串本町大島にある水門(みなと)神社で11日、例大祭が執り行われた。今年も規模を縮小したが、技術継承のため御前の儀後にお的の儀と獅子舞奉納も実施。獅子屋台のはやしが大島区内に響き渡り、区民も3年ぶりの活気の一端を喜びその宮上りや辻舞わしに注目した。
この例大祭は本来、渡御を含む神事の流れに東牟婁地方屈指の数の行事が伴い、総じて「水門祭」=県指定無形民俗文化財=の通称で区内外に親しまれているが、おととし、昨年に続いて今年も在り方を判断する時期に新型コロナウイルス感染拡大の状況があり規模縮小を決断。御前の儀で信仰をつなぎ、併せて青年団体「大同会」による獅子舞の奉納と同団体協力によりお的の儀も営むこととした。
この日は午前9時30分から、来賓を交えず区の役員や祭典諸役の代表者のみ参列し御前の儀を執行。本殿を開扉して寺町忠区長が祭詞を奏上し、一同で玉串をささげ二拝二拍手一拝の所作を交えて信仰を注いだ。
その後に境内でお的の儀があり、「大同会」代表・吉田龍さんの仕切りで会員の福永晃太さん(26)と山本歩夢さん(23)が弓頭の所作をこなして奉射。それぞれ3巡6本を放った直後に子どもらが直径1・8㍍の的を引きちぎり、門先の魔よけとして持ち帰った。
獅子舞は鈴門越しに本殿と正対する位置に座を設け、吉田鴻大君(大島小6年)によるてんぐの舞も含めて奉納。山腹にある境内まで上がれる健脚の区民やてんぐの縁で大島小の児童や教職員、南紀串本観光協会の問い合わせ対応により見物客が集まりにぎわった。
「大同会」は奉納後、大島港や田代漁港でも辻舞わしに臨んだ。大島港のてんぐ役は吉田伊吹君(同)、田代漁港のてんぐ役は稲田羽琉君(同)が担当。区民らに祭りの活気を届けて喜ばれた。
本来には及ばないものの、活気の一端を取り戻した今年の例大祭。寺町区長(71)は「このように境内でにぎやかな声を聞きながら御前の儀ができ、本当にうれしい。大同会や祭典保存会が協力して一生懸命盛り上げてくれたからこそで、これは来年への弾みにもなると思う。来年は必ず良い祭りができるようみんなで頑張りたい」と高まる思いを語った。
(2023年2月14日付紙面より)
那智勝浦町総体スポ少バレーボール大会
シンボルは今年も咲かず (那智勝浦町 )
那智勝浦町浜ノ宮のJR那智駅のカンザクラ(寒桜)の開花が始まった。早咲きで知られるこのサクラは毎年1月初旬から咲き始め熊野地方の春を一足早く知らせてくれる。道の駅なち側にある地域のシンボルとされていたカンザクラは、今年も開花しなかった。
カンザクラは栽培品種で、カンヒザクラとヤマザクラの雑種。早咲きで有名なカワヅザクラよりも開花は早い。これまで、本紙などでもカンヒザクラとして紹介されてきた木だ。
日本クマノザクラの会会長も務める国立研究開発法人森林研究・整備機構「森林総合研究所」の勝木俊雄さんによると、那智駅の木々と枯渇している道の駅側の木はいずれもカンヒザクラではないと解説した。
開花している駅ホームの2本は、8日現在で七、八分咲きほど。美しいピンク色の花の蜜を求めて小鳥やミツバチでにぎやかとなり、その様子をスマートフォンなどで撮影する駅利用者や地域住民らの姿が見られた。
□ □
隣接する道の駅なち側のカンザクラは、地域のシンボルとして、来駅する人々の目を楽しませていたが、3年前から樹勢が弱り始めた。
管理する町農林水産課では、これまでに東牟婁振興局林務課や県の林業試験所に相談し、肥料を与えて除草するなどの対策を進めてきた。
その努力もあってか、おととしは勝浦側(西側)の幹の花は咲いたという。今年は西側・東側ともに花を付けず、枯渇状態となっている。
町では、全て枯れてしまった場合に対応するため、生きている幹から出た枝を採取してヤマザクラを台木に接ぎ木をして育てる取り組みも行っている。
大阪府からバイクで訪れた50代男性は「以前に来た際はきれいに咲いていた覚えがあるので、元気がないのは寂しい。駅側にもあったのは知らなかった。こちらはきれいに咲いていたのでうれしく思う。この2本は枯れないでほしい」と話していた。
(2023年2月11日付紙面より)
古座中で薬物乱用防止大会 (古座川町 )
古座川町立古座中学校(井口英夫校長、生徒73人)で9日に薬物乱用防止大会「わかやまNO!DRUG!フェスティバル」があり、生徒らが不正薬物の経路や誘いの断り方などを教わって手を出さない強い心を培うなどした。
この大会は、県が各保健所を架け橋にして学校や不正薬物等関係諸機関・団体と連携して共催している全校規模の啓発行事。この日は新宮保健所串本支所の和田安彦支所長が実施の趣旨、井口校長が学びの動機付けをして開会した。
序盤は大阪税関和歌山税関支署新宮出張所の市口知さんが「税関の仕事と不正薬物等の密輸について」と題して講演。不正薬物などの摘発で活躍する麻薬探知犬「エスメ」号のデモンストレーションも織り交ぜ、さまざまな不正薬物等がさまざまな手口で国内へ持ち込まれようとしている現実を印象づけた。
中盤は同支所保健環境課の藪内弘昭さんが○×クイズで正しい認識を深め、県福祉保健部健康局の榎本章さんが薬物事犯の検挙状況を説明。県内の検挙者数は人口比率で考えると決して少ないとは言えず、10~20代の占める割合が高く好奇心や雰囲気に飲まれて手を出すケースが多いなどの状況を伝えて自衛の必要性を諭した。
終盤は生徒を代表して西脇大貴さん、巽乙葉さん、橘心優さん(以上2年)、山田果菜さん(1年)、大屋孝太さん(3年)と教員がペアになり、どのように誘われるかや断り方(話題をそらす、何度も同じことを聞く、延々とためらう、誘ってくる相手が引かないようなら何か理由をつけて立ち去る)を実演。生徒会の谷口菜乃会長(2年)が「薬物の誘惑に乗ると心と体を壊し、他人にも迷惑を掛けてしまう。身を守るためには一人一人が手を出さない強い心を持たなければならない。『ダメ。ゼッタイ。』の合言葉をみんなに呼びかけて薬物をこの社会から無くすることを決意する」と宣言して気持ちを引き締めた。
最後に大会の始終を見届けた県薬物乱用防止指導員串本地区協議会の堀正会長は「薬物を断る実演をして、『ダメ。ゼッタイ。』の強い意志を生徒さん全員が持ってくれたと思う」と確信を掲げ、税関や同支所の説明で必要な知識も身に付いたと振り返って締めくくった。
(2023年2月11日付紙面より)
無料券でフッ化物塗布 (紀宝町 )
予防のため定期的に歯科を受診する習慣をつけてもらおうと紀宝町は2015年度から、小中学生に年2回分のフッ化物歯面塗布の無料クーポン券を送っている。本年度分クーポンの使用は3月末までで、早めの受診を呼びかけている。
町では歯の健康への意識を高めてもらうため01年から歯科衛生士が常勤し、さまざまな歯科保健事業に取り組んでいる。
乳幼児期には歯科健診でのフッ化物歯面塗布、保育所・幼稚園でのフッ化物洗口(うがい)を希望者に行っており、小中学生になると、歯科でフッ化物塗布を受けられるクーポンを送付している。
本年度は昨年4月に対象者へ2回分を送っており、なくした場合でもみらい健康課で再発行できるという。
受診すると、年齢に適した歯ブラシや好みの風味の歯磨き粉がもらえる。クーポンを利用する場合は、町内の協力歯科医院に予約し、当日、クーポンを持参する。
フッ化物塗布は高濃度のフッ素を歯科医師や歯科衛生士が歯に塗り、歯の質を強くするもので、歯の生え始めや、永久歯へ生え替わる時期の子どもの虫歯予防として行われている。半年に1回の頻度で塗布すれば効果的だという。
同課の歯科衛生士、竹田仁香さんは「虫歯ができてしまってからの治療ではなく、予防として歯科を受診する習慣をつけましょう」と呼びかけている。
(2023年2月11日付紙面より)
王子ヶ浜小で地震・津波避難訓練 (新宮市 )
新宮市立王子ヶ浜小学校(谷口幸生校長、児童325人)で9日、地震・津波避難訓練があった。児童らは落ち着いて避難経路をたどるなどして防災への意識を高めた。
避難経路の確認や方法を身に付け、災害への危機意識を養ってもらおうと毎年実施している。この日は当地方に震度5強の地震が起きた後、津波が発生したと想定。緊急放送が流れると児童らは防災頭巾をかぶって身を守り、教職員の指示に従って海抜20・6㍍の学校屋上へと逃げた。
避難完了後、谷口校長は話をせず、素早く避難できていたと講評。あらゆる状況を想定しておくことが大事と語り「いつ、どこで、どの程度の災害があるか分かりません。いざという場合のために『心の準備』『物の準備』『連絡の準備』など、家族の人たちと話し合って確認して」と話した。
避難時に重要な「押さない、走らない、しゃべらない、戻らない、近寄らない」を略した「おはしもち」を伝え「訓練を通じて常に意識し、もしものときには実行できるように覚えておいてください」と呼びかけていた。
(2023年2月11日付紙面より)
北方領土返還求め県民大会 (和歌山県 )
「北方領土の日」(2月7日)に合わせて、北方領土返還要求運動和歌山県民会議(会長=尾崎要二県議会議長)は8日、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で「第42回北方領土返還要求和歌山県民大会」を開催した。同会議加盟団体や地域住民ら約300人が参加。式典や講演、中学生による学習報告などを通して、北方領土問題に理解を深める機会とした。
1945年8月、北方領土(歯舞群島・色丹島・国後島・択捉島)がソ連に不法に占拠されたことから発生した北方領土問題。これにちなみ、日本では8月を「北方領土返還運動全国強調月間」としており、1855年2月7日に「日魯通好条約」が締結され、北方領土は日本の領土であると国際的に明確になったという歴史的意義などを背景に、同日を「北方領土の日」と設定している。
和歌山県民会議は、北方領土の返還を平和的な話し合いで実現し、日露間に真の友好関係を築くための「北方領土返還運動」を推進とすることを目的に1981年に発足し、翌82年から県内各地で県民大会を開催している。現在は112団体が加盟し、問題解決に向けて活動を展開している。令和4年度の北方領土に関する標語は「四島(しま)還せ! 声出し合って 動く今」。
式典では、国歌・県民歌静聴に続き尾崎会長があいさつ。ロシアのウクライナ侵攻などに言及し「こんなときだからこそ領土問題を共に考え、なんとしても北方領土を取り戻そうという思いを強くしていかなければならない」と協力を求めた。
岸本周平知事(代読)と田岡実千年市長が来賓のあいさつ。(一社)新宮青年会議所(和田祐幸理事長)と那智勝浦町立那智中学校(岡史博校長)が、返還要求運動の積極的展開や、北方領土学習への取り組みなどに尽力したとして尾崎会長から表彰を受けた。
式典後には、那智中学校の3年生4人が、オンライン授業などを通して北方領土について学んだ成果を発表。北方領土の暮らしや領土問題発生の経緯、返還に向けて行われている活動などを紹介し「問題解決のためには正しい認識を深め、身近な問題として認識すること、そして人々の意志と熱意を受け継ぎ、幅広く粘り強い運動を展開して返還への一日も早い実現を訴え続けることが大切。皆さんも北方領土の発信者です」と伝えた。
講演では、拓殖大学の名越健郎・特任教授が「これからの北方領土問題」を題目に講話。「プーチン政権が続く限り交渉は困難。ウクライナ戦争がどう終わるか分からないが、戦後処理やロシアの動向を注視することが必要。改革派政権誕生後をチャンスと捉え、過去の失敗から新しい体制を考えていくことが大事」などと話した。
最後、来場者らは「この大会を契機として決意を新たにし、北方領土の一日も早い返還の実現に向けて、今後も粘り強く運動を推進していく」とした大会宣言に、拍手をもって賛同した。
(2023年2月10日付紙面より)
和歌山県子ども会連絡協議会(中上清之会長)は4、5の両日、那智勝浦町のホテル浦島で2022年度「和歌山県子ども会指導者研修会」を開催した。新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から3年ぶりとなる研修会で「『部落差別の解消の推進に関する法律』の具体化に向け、さらなる行動を展開しよう!」をテーマに進められた。
約70年前に、部落差別を背景とした当時の子どもたちの長欠や不就学といった課題を解決し、子どもたちに生きる力を育むことを目的とし、同県に子ども会が結成された。
子ども会は、相談活動を通して教育や生活、福祉に関する課題の解決に取り組むとともに、人権や子育てに関する法を活用し、課題ある子どもたちと支援制度をつなぐ役割や地域防災の中心的な役割なども担っている。
4日は、同協議会に加え、学習支援推進教員や各市町子ども会専任職員、県教育委員会などが参加した。
中上会長は昨年創立100周年を迎えた全国水平社に触れ、子ども会としても意志を引き継ぎ、活動を展開していくとし「コロナのパンデミックで定例会や行事も実施できない状況もあったが、各地域で工夫して常に子ども会活動を止めることなく進めていただいた。われわれには、子どもたちが本当に行きたい学校、将来なりたい職業に就かせていく使命もある。3月には入試もあるため、受験生のサポートをお願いします」とあいさつ。
来賓の堀順一郎町長は「日頃から子どもたちのために、皆さまのご尽力に感謝します。ウィズコロナがしばらく続くと思うが、その中でも子どもたちが、生き生きと過ごすための支援をしていきたい」と祝辞を述べた。
辻岡龍閣事務局長が基調提案を行い、新宮市立王子ヶ浜小学校元校長の山本眞也さんが「新宮市の子ども会活動から学んだこと」をテーマに講演。山本さんは自身が子ども会活動を行う中で向き合った事例などを紹介し、課題の根本や要因、その解決への道のりなどを話した。
その後、「インリーダー研修会」「高校生・青年リーダー交流会」の報告があった。翌5日は、3会場に分かれ、「子どもの実態から、これからの子ども会活動を考える」をテーマに分散会を開いた。最後は全体会でその報告を行った。
(2023年2月10日付紙面より)
高池小地震・津波避難訓練 (古座川町 )
古座川町立高池小学校(大畑眞校長、児童63人)が9日、地震・津波避難訓練に取り組み日頃の備えを改めて考える機会を持った。
児童が迅速で安全に避難行動をすること、教職員はそのための行動をすることを目的とした同訓練。今回は約5年ぶりに地震体験車「ごりょう君」を迎え、大きな地震の揺れも経験する内容で実施した。
授業中の午前9時25分に大きな地震が発生した想定で始め、担任はすぐに教室の戸を開けて逃げ道を確保し児童は身を守る行動をした。揺れが収まった直後に「大津波の危険がある。(避難路が崩れて津波緊急避難先の)愛宕山へは行けない。3階図書室へ避難」と放送が入り、児童は防災頭巾をかぶって同室へ駆け上がった。
全員が集まるのに要した時間は1分22秒。大畑校長は津波避難三原則を振り返り、愛宕山に行けなかったのは途中の避難路が大きな揺れで崩れてしまったためで、そのような状況が起こってもできる最善を考えることを呼びかけ。トルコの地震で被災した人々に思いをはせて児童の気を引き締めつつ、避難行動を締めくくった。
その後は低学年から順に「ごりょう君」で大きな地震の揺れを経験。初めて体験したという大屋想太君(4年)は「想像していたのより10倍ぐらいひどくて怖かった。しっかりと机の下に隠れたら乗り越えられると思った」と、身を守る行動の大切さへの気付きを得つつ印象を語った。
(2023年2月10日付紙面より)
横町ちびっこ広場を整備 (新宮市 )
新たな遊具が設置された、新宮市の「横町ちびっこ広場」が9日、利用可能となった。ブランコや滑り台のほか、ストレッチができる健康器具もあり、子どもから高齢者まで幅広く利用できるようになっている。
横町ちびっこ広場は、遊具が修繕や撤去が必要な状態になるなど、老朽化が進んでいた。このため新宮市は、宝くじ助成金を活用。1月中旬から新たな遊具の設置工事を始め、8日に完成した。ブランコ、滑り台付き複合遊具、健康器具などが設置された。工事費用は1133万円で、うち1000万円が助成金となる。
横町ちびっこ広場を管理する新宮市子育て推進課は「新宮市でも少子化が進んでおり、子育て支援の一環として整備したので、気軽に利用してください。高齢の方にも使ってもらえる健康器具も用意したので、世代を超えた関わりを持ってもらえたら」と伝えている。
(2023年2月10日付紙面より)
全国少年少女選抜レスリング選手権大会 (新宮ジュニアレスリングクラブ )
12日(日)午前11時スタート
新型コロナ5類引き下げ (新宮市 )
国は5月8日に、新型コロナウイルスの感染症法上の分類を、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に引き下げることを決定。あらゆる場面での制限がなくなり、自由な生活が戻ることになるが、それに伴って感染者が増加し、医療体制が逼迫する可能性も指摘されている。5類への移行に対する期待と不安を、飲食と医療の関係者に尋ねた。
新宮市料理飲食業組合の平見一雄組合長は、5類引き下げの決定に期待を寄せる。「やっと組合活動が再開できるようになるという思いがある。今年こそイベントを行おうと、すでに市や商工会議所と話し合いをしている」と明かす。
これまでも制限のない連休はあったが、客足が戻ったとは言い難い状況だったという。「ただ、今回の年末年始はある程度、人出が多かった。外国人旅行者が増えたことが幸い」と述べる。「引き下げは明るい兆し。ようやく光が見えた。客足が少しずつでも、戻ってくれれば」と願う。
ただし、浮かれてばかりでもない。「お客さんは良いが、店の人間はできるだけマスクをするなど、引き続き感染対策に気を付けながら盛り上げていきたい」とまとめた。
一方で、新宮市医師会の米良孝志会長は、やはり不安を口にする。「12月と1月はコロナで市内も外来や入院がいっぱいで、医療センターや紀南病院でクラスターが発生したりもした」と語る。
「一般の日常生活や社会活動と、医療や介護の関係は別問題。引き下げにどう対応すべきなのか」と苦悩する。国は当面は現状維持と伝えてはいるが、将来的には検査や入院の際の自己負担も発生すると予想される。「そうなると、受診控えも増え、まん延していくのでは」と危惧する。
5類に移行した場合にも行うべきことについて「手洗い、うがいは引き続き、しっかりとやった方が良い。マスクも、密になる場合はすべきかと。また、家族に高齢者がいる人は、移行後も引き続き感染防止対策を行ってほしい」と力を込めた。
(2023年2月9日付紙面より)
親子対象にイベント実施 (和歌山ロケット応援団 )
串本町西向にある旧役場古座分庁舎で4日、イベント「『カイロス』のモニュメントをみんなで作ろう!」があり新宮市~串本町の親子ら15組33人が打ち上げを応援する気持ちを込めた記念碑作りに協力した。
このイベントは、和歌山ロケット応援団(青木圭団長)が主催。串本町田原~那智勝浦町浦神にある民間ロケット射場「スペースポート紀伊」周辺で得られる紀州材を使った木工を楽しみながらロケット「カイロス」と関わるという趣旨で計画し、親子を対象にして参加を呼びかけた。
当日は紀南木材新緑会の会員らが親子らの制作を支援。山形材木店提供のスギ、ヒノキ、ケヤキの各材木から子どもの手のひら大の木片を切り出し、紙やすりで角を取り名前を書いて同団事務局(USPジャパン串本オフィス)の朱蟹あかにさんが主になって準備したモニュメントの土台(円形部分の直径90㌢、ロケットの突き出しを含めた全長140㌢)に貼り付けた。
土台には噴煙を巻き上げながら離陸する瞬間のロケットの様子を表現する下書きがあらかじめ描かれていて、子どもらは指定場所の気に入ったところに木片を貼り付け。この日はモニュメントの大枠を形作るところまで作業が進み、今後は団員が微調整(木辺間の目詰めやシーグラスの装飾など)をして仕上げ、本年度中に寄贈して旧役場古座分庁舎内に記念碑として飾ってもらうという。
このイベントを主担当した同団事務局の八代popi奈穂子さんは「『カイロス』をテーマにして何かに取り組むところから応援する気持ちを高めよう、というのがこのイベントの狙い。参加をきっかけにしてロケットの打ち上げを楽しみにしてもらえれば」と参加した家族の気持ちの高まりを願った。
(2023年2月9日付紙面より)
寺地優太さんが受賞報告会 (近大新宮中 )
近畿大学附属新宮高校・中学校(池上博基校長)で4日、第66回日本学生科学賞で内閣総理大臣賞を受賞した寺地優太さん(中2)による受賞報告会が開かれた。地域の子どもら約130人が参加し、研究「ウミホタルは血の匂いを感じて餌をみつける」の内容に触れた。
ウミホタルは砂地の浅海に生息する甲殻類の仲間で、体長2~3㍉の動物プランクトン。刺激を受けると青白く発光することが知られている。
寺地さんは2019年に新宮市少年少女発明クラブ(瀧野秀二会長)の活動でウミホタルに触れ、探究活動を開始。「野外採集実験の際、ウミホタルがうどんに多く集まったことに疑問を持っていた。中学1年生の時に飼育を始めたところ、魚のあらを入れていた小皿にも集まっているのを発見。魚のあらを触った手でうどんを触り、その血の匂いに反応したのではと仮説を立てた」と説明した。
血を付けたうどんや石、サバの内臓、さまざまな動物の血液、血液の匂い成分(トランス―4、5―エポキシデセナール)を含むさびた鉄くぎや紅茶を使って行動実験を行い「ウミホタルは動物の血液を感じて集まる。血液に集まる動物としてはサメなどがよく知られているが、無脊椎動物では初めての発見では」と結論づけた。
トランス―4、5―エポキシデセナールへの感度については「10億分の1の濃度でも反応する」。さらにウミホタルの味覚についても研究を深め、いりこや昆布、かつおだしを使った採集実験から「味覚にはイノシン酸が関係していることが示唆された」とまとめた。
今後も研究を継続する予定で「甲殻類養殖の人工飼料の開発にも役立てたい」と意欲を見せた。
飼育中に撮影した抱卵個体やふ化したばかりの幼体の写真も公開し、瀧野会長は「飼育自体が非常に難しく、全国の水族館でも例がないのでは」と高く評価。「子どもたちにこの地域でしかできない自然体験をと思ってクラブを立ち上げたが、寺地君がここまで疑問を追究していくとは予想していなかった」と語った。
この日は吹奏楽部とダンスサークルによるパフォーマンス、スーパーサイエンス部による空気砲の実演もあった。ウミホタルの生体の展示には、子どもたちから注目が集まり、科学の面白さに触れた。
小林壱太君(神倉小5)は「ウミホタルを見たのは初めてで、ちょっと難しかったけれど、すごいなと思った」。日下部颯君(王子ヶ浜小5)は「うどんとかカツオを使った実験が面白かった」と話していた。
(2023年2月9日付紙面より)
2025年度から木本校舎4学級、紀南校舎1学級 (紀南地域高校活性化協 )
紀南地域高等学校活性化推進協議会が7日、県熊野庁舎であった。木本高校と紀南高校を統合し、それぞれの校舎制(木本校舎4学級、紀南校舎1学級)とする意見をまとめ、県教育委員会に提言した。
「学科は普通科3学級を木本校舎、総合学科1学級を木本校舎、紀南校舎にそれぞれ配置する」なども盛り込んだ。県教委では、協議会の提言を基に検討を進め、2025(令和7)年度から2校を統合して校舎制を適用する方針だという。
協議会は三重大学教育学部の平山大輔教授を会長に、熊野市、御浜町、紀宝町の各教育長、紀南PTA連合会長、木本、紀南両校の校長、同窓会長、地域有識者、小中学校長の代表など20人で組織。
今回は本年度6回目の協議会。意見案は賛否を取らず、会長、副会長で協議して採択した。委員からは「2校存続は考えないのか。納得も賛成もできない」「木本校舎3学級、紀南校舎2学級を配置すべきでないか」「クラブ活動はどうするのか」「統合はやむなしだが、4学級、1学級に反対」のほか「子どもたちの夢や希望に応えられる教育環境を目指してほしい」「校舎制の魅力度を上げてもらいたい」などの意見があった。
(2023年2月9日付紙面より)
古式床しく神事斎行 (新宮市神倉神社 )
熊野地方に春の訪れを告げる「御燈祭(おとうまつ)り」が6日夜、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の摂社、神倉神社で営まれた。新型コロナウイルス感染防止のため、3年連続で上(あ)がり子の入山が中止となる中、神職と介釈(かいしゃく)の一行が古式床(ゆか)しく神事を斎行。御神火をともした大松明(たいまつ)と共に下山した。
新宮節の一節に「山は火の滝、下り竜」とうたわれ、1500年以上の歴史と伝統を誇る勇壮な火祭り。2016年3月、熊野速玉大社例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」と合わせて国の重要無形民俗文化財に指定された。
今年は、斎行に向けて前向きな検討が行われていたものの、昨年末に新型コロナウイルス第8波の状況を受け、3年連続の上がり子参加中止を決断していた。
午後5時過ぎ、神倉神社で修祓(しゅうばつ)を終えた介釈らは熊野速玉大社へ。神職らに導かれ一行は神倉神社に向かった。
神倉神社で神事を執り行った神職と介釈らは、御神火をともした大松明と共に下山。阿須賀神社に向かい、御神火を奉安し奉幣神事を執り行った。
熊野速玉大社に戻った神職らは同様に神事を斎行。厳かな雰囲気の中、今年の火祭りは幕を下ろした。
猪飼三雄・神倉神社奉賛会長は「3年連続の上がり子参加中止は寂しいがコロナだけは仕方ない。上がり子も関係者もみんな残念がっているはず。毎年、祭りが終われば新しい年を迎える気持ちになる。祭りはやりたかったが今は気張らなければ。来年こそは必ず」と思いを語った。
祭事を終えた上野宮司は「熊野に生まれたことを誇りに思い、そしてどんな年であっても一日というものを大切に、そして祖先が感じた神様の尊さを感じる。大神の心、神々の伝言というものを今日、私たちはこのお祭りで聞くことができたと思う」。
「今年はさらに厳しい年になるかもしれないが、神様の力を頂いて乗り切れるように、蘇(よみがえ)りの熊野にふさわしい民として生きていきたい」と話し、市消防団や市消防職員、新宮警察署、関係者らに対する感謝を述べた。
(2023年2月8日付紙面より)
6日のトルコ地震を受け (串本町 )
トルコ共和国南東部で6日午前4時17分(日本時間同日午前10時17分)ごろ、マグニチュード7・8の地震があった。日本とトルコの友好発祥地・串本町は刻一刻と深刻さが増す被災状況を受け、翌7日から義援金の受け付けを始めるなど支援に動き出している。
この地震はシリアとの国境に近いガジアンテップ県で発生。その一帯で大規模な余震が続いて被災が拡大し、救助活動にも支障が及ぶ状況にある。
串本町も6日正午前に事態を察知。未明の発生とあって序盤こそ把握が進まなかったが現地の夜明けを経て被災状況が刻一刻と伝わり、田嶋勝正町長はただちに義援金の受け付けを始めるよう指示。7日の開庁と同時に役場本庁住民課窓口に義援金箱を設置し、今後は旧役場古座分庁舎、文化センター、トルコ記念館へも設置し、在日トルコ共和国大使館とも連絡を取り、送金の段取りを進めるという(7日正午現在)。
田嶋町長は「大きな被害が出ている様子を見ると、心を痛めるばかり。日本トルコ友好発祥の町として義援金を募集するので、頑張ってください」と被災者向けのメッセージを発表し、注視を続けている。
(2023年2月8日付紙面より)
42年、毎月欠かさず発行 (紀宝町 )
紀宝町鵜殿の醫王山(いおうざん)東正寺(とうしょうじ)が発行する寺報「醫王」が、2月で500号を迎えた。寺と檀家(だんか)、地域とのつながりになればと片野晴友住職(69)が42年前に始めた取り組みで、編集印刷を一人で担いながら毎月欠かさず作り続けてきた。
B4判を二つ折りにした両面モノクロ印刷で、毎月1日発行。僧侶仲間のエッセーや、「せいゆうのひとりごと」と題したコラム、前の月の行事報告、寄付金の状況などを載せ、今は860部を檀家や縁のある人に届けている。
始まりは大本山永平寺(福井県)での修行から戻った27歳の頃。「お葬式や法事以外、どんなことをしているか知られていない」と感じ、寺と檀家をつなぐものとして寺報を当時の眞道住職に提案した。
創刊号は1981年に発行。鉄筆で手書きし、いわゆるガリ版印刷(謄写版印刷)で仕上げた。表紙となる1面には今すぐに取り組もうという意味の道歌をつづり、イラストも描き入れた。「当時は笑われることもあった」が、先代の住職は何も言わず温かく見守ってくれた。
創刊した年は計4回発行し、翌年からは毎月発行へ。83年からは文字をワープロ書きに変え、読みやすくした。「文才がないので、1面だけは何とかしたいと思って」。元々交流のあった北海道の僧侶仲間に依頼し、エッセーを執筆してもらうなど試行錯誤してきた。
これまで最も多い時で1350部発行し、3日間をかけて熊野市から那智勝浦町まで原付バイクで配っていたが、2年前に膝を痛めてからは多くを郵送に託すことにした。今はパソコンで編集し、業務用プリンターで印刷。「元気だよと、分かってもらえたらという気持ちで続けている」という。
晴友住職のそばでは日々、長男で副住職の智博さん(37)、次男で徒弟の道雄さん(32)が励んでおり、21年からは智博さんがインスタグラムでの発信を始めた。先代の住職が背中を押してくれたように、信頼して任せている。
晴友住職は「500号だからという意識はしていない。毎月出すという最初の気持ちをずっと持っている。続けられる間は続けていきたい」と目を細めていた。
(2023年2月8日付紙面より)
「かつうら渚の会」 (那智勝浦町 )
「かつうら渚(なぎさ)の会」(猪飼伸会長、会員22人)は5日、串本町田原のスペースポート紀伊から発射されるロケット「カイロス」初号機の公式見学場の一つである那智勝浦町浦神の旧浦神小学校周辺で清掃活動を実施した。会員や区民、和歌山ロケット応援団、那智浦神郵便局、町役場有志、和歌山県など41人が参加し、作業に汗を流した。
昨年11月末に串本町の公式見学場・田原海水浴場で実施されたビーチクリーンにも参加した渚の会。今回は応援団が駆け付け、協力した。
堀順一郎町長が「ロケット発射が延期となった。本町では盛り上がりが少ないため、盛り上げるために努めていきたい。けがには注意して、きれいにしていただけたらありがたいです」とあいさつ。
その後、参加者はごみ袋や火ばさみなどを持って、学校や周辺の海沿い、漁港、道路などに落ちている空き缶やビニール、粗大ごみなどを回収し、雑草なども除去した。
浦神西区の並川廣区長は「今日は多くの皆さまに清掃していただけて、とてもありがたい。台風シーズンは漂流物が多く、清掃が大変。ロケットを楽しみにしている方も多いため、漂流物が多い台風シーズンの際にもご協力いただければうれしい」と語った。
猪飼会長は「この場所以外にも近くで清掃したい場所もあるため、別の機会で取り組みたい。多くの方が楽しみにしているロケット打ち上げのためにも、今日はしっかりときれいにしたい」と話していた。
(2023年2月8日付紙面より)
第14回ミックスダブルス大会 (紀南テニス協会 )
新宮市スポ祭兼松村杯バドミントン大会
ラグビー「第3回はまゆうカップ」 (新宮RFC )
新宮・名取RCが勧請900年記念事業
「名取老女勧請(かんじょう)900年記念事業実行委員会」(新宮・名取ロータリークラブ〈RC〉)は5日、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で名取老女勧請900年記念事業「名取老女はなぜ1000kmを超える道のりを熊野へ48回も来たのか」を開催した。地域住民や地元高校生らが来場。パネルディスカッションなどを通して名取市との関わりについて学び、熊野の魅力を再確認する機会とした。
新宮市の姉妹都市・宮城県名取市。平安時代に名取老女が設けたと伝わる熊野三山(新宮・本宮・那智)が祭られ「東北の熊野」と呼ばれるほど熊野信仰と縁深い。今年は名取老女の徳が、熊野三山の名取熊野三社への勧請につながって900年を迎える。
2011年の東日本大震災の際に、姉妹都市の縁で名取RCを訪問して以来交流を重ねてきた両RC。このたびの記念事業は、名取老女を通して地域の人が熊野の魅力を再発見する機会につながればとの思いから実施に至った。
開催に当たり、福田一郎・新宮RC会長があいさつ。名取RCとの関係や事業実施に至った経緯を説明し、関係者や来場者に感謝を伝えた。
続いて、国際熊野学会代表委員の山本殖生さんが「名取老女熊野参詣伝承」を演題にビデオ講演。熊野信仰の広がりや誘因などについて話し、名取老女研究会の虹乃美稀子さんが、名取熊野三山や名取老女の墓、民家の敷地内にある「もう一つの熊野三社」などを紹介した。
パネルディスカッションでは、新宮高校から磯﨑咲良さん、問芝璃音菜さん、新翔高校から中村美優さん、苫谷雄基さん、近大新宮高校から前田一成さん、月輪覚嗣さんが登壇し「実際に三山を自転車で回って、名取老女や参詣者らがはるばるこの地を訪れた気持ちが分かる気がした」などとそれぞれが感じる熊野の魅力を発表。
名取老女研究会メンバーは「名取老女はなぜ48回も足を運んだか。熊野の神様はもちろんのこと、熊野の人々も何でも受け入れるという魂のありようをしていたのでは」と語り、紙芝居「名取老女物語」を披露。新宮高校吹奏楽部による演奏もあった。
また、文化ホール前では、事前に市内高校3校の生徒から「熊野の魅力再発見」をテーマに募った作品55点を展示。開演前に来場者らによる投票があり、イベント内で審査結果の発表と表彰が行われた。新宮高校の寺地鷗さんが最優秀賞に輝き、郷内知明・名取RC会長が熊野材で作られた盾と商品券を手渡した。
新宮高校の磯兼美栞さん、東里佳さん、久保絆さんが東日本大震災の被災者の声を代読。震災当時に名取市長だった、名取RCの佐々木一十郎(いそお)さんが「2008年に姉妹都市の盟約を締結し、その3年後に震災が起こったが、新宮市の方々にたくさん応援いただいた。熊野や名取老女が取り持つ縁が今もこのような形で続いている」とあいさつした。
最後に、会場内の全員で東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」を合唱。12年前の東日本大震災と紀伊半島大水害に思いをはせるとともに、両市の末永い友好を願った。
(2023年2月7日付紙面より)
紀伊半島地域連絡意見交換会 (那智勝浦町 )
和歌山、三重、奈良3県の行政や民間事業者などで構成される紀伊半島地域連絡意見交換会のメンバーらは2日、那智勝浦町を訪れ、一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT)が実施する「生まぐろ競り(入札方式)ガイドツアー」や現地を視察した。機構の南條絢子さんらがガイドを務め、参加した23人は勝浦地方卸売市場やにぎわい市場を巡り、生マグロの魅力に触れた。
意見交換会は一般財団法人奈良県ビジターズビューローが主体となり、行政やバス・鉄道事業者、観光地地域づくり法人(DMO)などが集まり設置。3県をまたいだ広域周遊・長期滞在の促進および紀伊半島としての海外プロモーションの展開や商品・ツアーの造成などを議論することを目的としている。
第1回は奈良、第2回は三重で実施され、和歌山での開催は初。1日は田辺市本宮町の世界遺産熊野本宮館で、令和4年度広域周遊促進事業実施状況や紀伊半島エリアブランド化に向けての話し合いが行われ、講演もあった。
2日は、観光分野の有識者である独立行政法人国際観光振興機構の蔵持京治理事長代理と株式会社Intheoryの村木智裕代表取締役も視察に加わった。
南條さんに加え、NACKT公認ガイドの山縣弘明さんと寺本亜衣さんも参加し、3班に分かれてツアーを行った。
一行は軽量無線機を取り付けて、活気ある市場の様子やマグロの入札、漁船を見学。南條さんらは、那智勝浦町で水揚げされるマグロの種類を紹介。はえ縄漁にも触れ、マグロに傷やストレスを与えず、持続可能な方法であるなどを解説した。
参加者はにぎわい市場に移動し、ツアーオプション「まぐろのっけ寿司体験」に取り組み、新鮮なマグロに舌鼓を打った。株式会社ヤマサ𦚰口水産の職員が、マグロや持続可能な資源の活用、取り組みを説明した。
和歌山県観光局観光交流課の板谷吉浩さんは「外国人観光客はサステナブルな観光を重視する。このツアーはインバウンド向けの商品として、絶好のコンテンツだと思う」と話した。
南條さんは「交換会の皆さまとつながることができ、ありがたい。観光のプロの方々にアドバイスを頂けた」。
ツアーについては「多人数の対応は初。良い経験になった。可能性のあるツアーだと思っている。今後はモデルチェンジも含め、試行錯誤しながら磨き上げていきたい」と語った。
その後、一行はNACKT職員の案内で那智山へ。続いて、熊野本宮大社や熊野速玉大社も視察した。
(2023年2月7日付紙面より)
消防防災セで津波対応訓練 (串本・古座川官公署等連絡協 )
串本・古座川官公署等連絡協議会の津波災害対応訓練が4日に串本町消防防災センターであり、13官公署等が各訓練項目に取り組んで相互連携を見据えた防災意識を培った。
同協議会は地域防災力を高める上で関係官公署等の連携は不可避かつ重要との観点による職員等発起の結び付きで、おおむね2カ月に1回の頻度で各官公署等の防災担当者が集まり話し合う機会を持っている。うち年1回、同訓練を計画し有事に求められる連携の実践に充てている。
2019年度に当時の串本警察署代替指揮所で実施して以降、新型コロナウイルスの情勢で20、21年度は中止を余儀なくされたため今回は3年ぶり。同日午前9時30分に紀伊半島~四国沖でマグニチュード9・1の地震が発生し3分後に気象庁が同町沿岸に大津波警報を発表したと想定し、県や国の救援活動が本格化する前段階(発生から約72時間程度)に対処する流れで実施した。
参加した官公署等の内訳は▽新宮警察署▽串本海上保安署▽航空自衛隊串本分屯基地▽串本町役場▽古座川町役場▽串本国道維持出張所▽県水産試験場▽東牟婁振興局串本建設部▽新宮保健所串本支所▽県立潮岬青少年の家▽関西電力送配電株式会社▽JR西日本串本駅▽串本町消防本部―で、約80人が各訓練項目に臨んだ。今回は会員外だが前段階での連携が考えられる県防災航空隊も参加し、一部訓練項目で連動した。
訓練内容は避難広報、情報収集、現場指揮本部設置、情報伝達、倒壊家屋救出(警察と自衛隊が救助隊、海上保安庁が搬送隊として連携)、多数傷病者対応(同本部救急隊によるトリアージ)、県防災航空隊連携(同本部と連携し孤立避難者ピックアップ救出を展開)、建物消火など。これら項目に直結しない官公署等の参加者は傷病者役として協力しつつ見学し、実動する官公署等の連携やその状況の把握に努めた。
約2時間にわたる連携を前提とした実動の始終を見届けた官公署等の長を代表して訓練講評を寄せた串本町の田嶋勝正町長は、「南海トラフの巨大地震が高い確率で発生する地域であることを踏まえると、こういった組織が一丸となって行動し防災意識を高めていくのは大事なこと。大変有意義な訓練だと思う」とコメント。同訓練をきっかけにし各官公署等の有事を見据えた連帯がいっそう深まることを願った。
(2023年2月7日付紙面より)
神事で供える特別な餅 (御燈祭り )
新宮市の熊野速玉大社双鶴殿で6日午前、夜の御燈祭(おとうまつ)りで神倉神社神殿に供える特別な餅「かがり御供(ごく)」作りが行われた。祭りで介釈(かいしゃく)を務める神倉青年団員たちが、祭りで使用するヒノキの介釈棒で回りながら餅をついた。
この日は、中山忠吏団長をはじめとする団員と上野顯宮司、猪飼三雄・神倉神社奉賛会長ら約10人が参加。ふかしたもち米を石臼の中に入れ、6升分をついた。出来上がった餅は細長く伸ばしてはさみで約3㌢の正方形に切り、3枚に合わせてわらひもで十文字に縛り、男結びにしていった。
上野宮司は関係者らに感謝し「通常の祭りが斎行できた際には、上がり子の皆さんに心構えや責任をより強く持っていただくことを願っています」。
中山団長は「コロナの影響で3年連続となる少人数での神事ではありますが、思いは例年と同じです。『来年こそ』の思いを込めて奉仕していければ」と話していた。
(2023年2月7日付紙面より)
なちかつGGCクラブ大会
LC杯東牟婁地方少女バレーボール大会
新宮市の熊野速玉大社、那智勝浦町の熊野那智大社、田辺市本宮町の熊野本宮大社で3日、節分行事が営まれた。境内に「福は内、鬼は外」の声が響く中、参拝客らは疫病退散や除災招福などを祈願した。
□ □
熊野速玉大社(上野顯宮司)では、鬼を払う追儺式(ついなしき)と正月に飾ったしめ縄などを燃やすどんど焼きがあった。
追儺式では境内に赤鬼と青鬼が登場。上野宮司をはじめ大社関係者らが「福は内、鬼は外」と豆をまき、鬼を鳥居の外に。子どもたちも加わり、元気いっぱいに鬼を追い払った。
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、最後に行われる福豆やお菓子まきは中止とし、上野宮司らが子どもたちにお菓子を配った。
毎年多くの人が求める縁起物の「吉兆(きっちょう)」は同日午前中に完売。どんど焼きでは午前中から多くの人が訪れ、境内に掘られた穴に御神火がついたお焚き上げたいまつと一緒にしめ縄などを投げ入れていた。どんど焼きに協力した新宮市消防団丹鶴分団は、火災防止のために午前8時から神社敷地内に放水を行った。
上野宮司は「冬と春が分かれる日に新しい命と力を得るため邪気を払って福を呼び込む神事。このような伝統神事を続けていくことは意味深いこと。健康な1年であることを心から願っています」と話していた。
□ □
熊野那智大社(男成洋三宮司)は、午前と午後の2回に分け、2年ぶりに「鬼追い追儺式」を営んだ。午前の式では、大檀那(だんな)と呼ばれる特別崇敬者の約60人が参列。鬼役が面を着けて福升の豆をまき、社殿前の石階段を青竹で3回打ち付け、「家内安全、延命息災、家運隆昌」と唱えて邪を払い、福を呼び込んだ。
「お弓の儀」もあった。神職が弓を引き、「鬼」の字が書かれた的を射抜いた。放った2本の矢はどちらも命中し、見学者や参拝者の拍手と歓声が湧いた。宝物殿の回廊からの、男成宮司や大檀那による豆まきもあり、福を求めて多くの人が手を伸ばす姿が見られた。
男成宮司は「鬼に例えて邪を払い、福を呼ぶ伝統的な行事。こういう時代こそ絶やさないことが大事」と語った。
□ □
熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)では、神職や大社役員らが参加する中、3年ぶりに通常規模で節分祭と追儺式が執り行われた。
追儺式では、神職や大社関係者らが豆をまきながら拝殿の回廊を3周。鬼を前に、泣き叫ぶ子どももいる中、九鬼宮司が天に向かって3本の矢を放ち鬼を追い払った。
追儺式後には、多くの地域住民らが集まる中、大社関係者や今年厄年を迎える人らによって餅やお菓子などがまかれた。
九鬼宮司は「昨年はコロナの影響で餅まきも控えたが、今年は一歩でも前進するという意味で餅やお菓子をまかせていただいた。久しぶりににぎやかな節分。子どもたちにも力をもらいました」と述べた。
(2023年2月5日付紙面より)
歴探スクールで速水盛康さん (新宮市 )
熊野学研究委員会歴史部会・新宮市教育委員会が主催する令和4年度熊野学講座「第37回歴史探訪スクール」が2日、同市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」であった。熊野学研究委員会の速水盛康さんが「世界遺産・熊野の聖地信仰―その価値と意義―」を題目に講話。約30人が聴講した。
速水さんは、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」について「文化遺産でありながら自然の占める割合が多い。個々の資産の価値ではない、道と
霊場、自然が一体となった人と自然との共同作品(文化的景観)」とその概要や価値を説明。
「かつては山、川、海など自然と一体となった生活をしていた。単なる文化財という『もの』から、人々の視点も構成要素として考えていくと面白い見方ができる。地域の持っている力を大切にしていくことが必要」と話した。
同じく世界遺産であるサンティアゴ・デ・コンポステラの巡礼路を挙げ「ヨーロッパ的思考では征服地に自分たちの文化をつくる。道が先にあって信仰の文化を築いていく」と特徴的な違いについて述べ「文化的景観には歴史的な背景を持った目には見えないものの存在がある。熊野には人と対比する空間が今もなお生きている」と話した。
補陀落渡海、小栗判官伝説、熊野比丘尼(びくに)などを挙げ「これらのストーリーを先人たちが神仏を仲立ちとして聖地熊野で創り上げていったのは事実」と熊野地域の個性に言及。
「物証がなくても十分なストーリーが存在する。見えないものの存在を一つの価値観として発信していく力が、グローバル的な発信力になり得る。これはお金では買えない宝物。文化から多様性を国際的に発信していける。挑戦できる世界遺産、そういう捉え方をしてもいいのでは」と話していた。
(2023年2月5日付紙面より)
近大新宮中でテスト運用
近畿大学附属新宮中学校(池上博基校長)で4日、「ハイブリッド・サタデー」と題し、在宅オンライン授業を併用したハイブリッド授業のテスト運用が行われた。1年生48人中39人が在宅、9人が対面で授業を受け、その感触を確かめた。
同校は現在の中学1年生より、生徒に1人1台のタブレット端末「iPad(アイパッド)」を配布し、学習に活用している。授業で配布するプリント数が激減し、アプリ「Kahoot!(カフート)」を用いた復習クイズが定着するなど、さまざまな変化が生まれている。
今回のテスト運用について教務部の松田頼義部長は「先日の大雪で教職員や生徒の通勤通学に大きな影響が出た。遠方から通う生徒も多いため、天候によるアクシデントが起きても、いつでもどこでも授業ができるようICT(情報通信技術)機器の活用を進めたいと考えた。本校は土曜日も授業があるが、中体連などのスポーツ大会と重なることも多い。今回の検証を経てハイブリッド型授業が導入されれば、こうした場合も役に立つのでは」と語る。
この日は生徒自身が在宅・通学を選択する形で実施し、午前中に社会、理科、道徳、数学の授業が行われた。
在宅でのオンライン授業を選択した前田里空さんは「思っていた以上に画質がきれいで、クラスとの一体感を感じることもでき、特に不足は感じなかった」。対面授業を選んだ小谷恵菜さんは「分からないことがあっても直接質問できるので、通学を選んだ。A組で教室にいるのは4人だけなので、少し寂しい感じもある」と話していた。
(2023年2月5日付紙面より)
3団体がボランティアで (御浜町 )
御浜町山地の町道平山寺前線の沿道で、昨年11月ごろから、不法投棄が目立つようになった。この状況を改善し、環境美化に努めようと地元団体が3日、ボランティアで撤去作業に取り組んだ。
町道平山寺前線は夜になると通行する車両が少なく、2~3年ほど前からペットボトルや空き缶などが道路脇の斜面に不法投棄されていたという。
撤去作業には、NPO法人環境ファースト連合会事務局、山地地区企業会、山地地区と六部海岸の環境を守る会が参加。町も協力した。
約30人が作業し、急斜面に不法投棄されたタイヤや水槽、瓶、缶、ペットボトル、扇風機、炊飯器、照明器具などの一般廃棄物、コンテナ、消毒用容器、マルチシートなど農業廃棄物を集めた。
約1時間の作業後、回収した廃棄物を分別して処理した。今後、現場にはフェンスと不法投棄禁止を呼びかける看板を設置する。
同連合会事務局では「今後、このような不法投棄が多発するようであれば法的手段も考える」としている。
(2023年2月5日付紙面より)
太田小で児童受け入れ (那智勝浦町 )
和歌山県内初となる「親子ワーケーション」が現在、那智勝浦町で実施されている。1月29日~2月7日(火)に株式会社ガイアックス(東京都、上田祐司代表執行役社長)の社員らとその子ども計22人が同町に滞在。2、3の両日には、ワーケーションに同行中の児童2人を町立太田小学校(上地巳奈子校長、児童19人)へ受け入れ、交流学習が行われた。
ワーケーションとは、「ワーク(労働)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語で、テレワークを活用して観光地やリゾート地など非日常の土地で仕事を行うこと。企業には労働者の生産性や心の健康を高めるメリットがあり、地域にとっては新たな旅行機会の創出や都市部との関係人口増加につなげるチャンスとなる。
ガイアックスはソーシャルメディアサービス事業などを展開する企業で、リモートワーク普及に伴い、通勤圏外の地方や海外在住のメンバーが37%まで増加。一方、定期的にワーケーションを通じた交流機会を設けることで、部署・年次を横断した関係づくりや事業推進を目指している。
今回は単身者だけでなく、子育て中のメンバーも交流へ参加してもらおうとプログラムを企画。那智勝浦観光機構も協力しており、観光庁の「ワーケーション推進事業」の企業と地域によるモデル実証事業にも採択されている。
社員らは株式会社シェアウィングが展開する「OTERA STAY(お寺ステイ)」のサービスを利用し、2泊3日~6泊7日の日程で「Temple Hotel大泰寺」に滞在。居住地もライフスタイルもさまざまなメンバーが集まり、業務時間外の余暇活動として観光や田舎料理教室、ビーチクリーニングなどに参加する。
太田小には、普段は奈良県橿原市で暮らす木村奈摘実さん(6年)、茉菜さん(1年)姉妹が通学。奈摘実さんは「太田は海も近いし自然がいっぱいで、すてきな所だと思う。クラスの子と好きなユーチューバーの話をして、みんな優しいし、面白い」と話していた。
上地校長は「2日間だけですが、全校児童が2人増え、子ども達もとても喜んでいる。初日から給食もたくさん食べ、一緒に走り回っている姿を見て安心した」と話していた。
(2023年2月4日付紙面より)
花の窟神社で春季例大祭 (熊野市 )
熊野市有馬町の花の窟(いわや)神社(山川均宮司)で2日、春季例大祭が斎行され、県無形民俗文化財に指定されている「お綱掛け神事」が行われた。
日本書紀にも記され、日本最古の神社と伝えられている花の窟神社。イザナミノミコトとカグツチノミコトを祭り、毎年2月2日と10月2日に例大祭が営まれている。
この日は、地元をはじめ県内外から多くの人が参拝。五穀豊穣(ほうじょう)を祈願し、熊野灘に面した高さ45㍍のご神体の巨岩にかかる約170㍍の大綱を張り替える伝統のお綱掛け神事が始まった。
白装束姿の氏子らが巨岩に登り、季節の花々や扇子などを結び付けた日本一長いといわれる大綱の端を頂上に固定。参拝者が大綱を七里御浜海岸の波打ち際まで引き、境内の南隅にある支柱に結び付けた。
この後、境内で山川宮司が祝詞を奏上。有馬小学校5年の前東子さんと岡田結奈さんが浦安の舞、西美有さん、細川果純さん、光山智彩さんが豊栄の舞を奉納した。
農作物の収穫に感謝し、五穀豊穣を祈願するお綱掛け神事は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年10月から中止が続いていたが、昨秋から復活した。
(2023年2月4日付紙面より)
高池小の寒川智美教諭 (古座川町 )
令和4年度きのくに教育賞の贈呈式が先月25日にあり、本紙関係で古座川町立高池小学校の寒川智美教諭(48)が受賞者の一人としてその誉れを受けた。
この賞は、県内の学校教育振興のため特に優れた実践をし成果を上げていると認められる教職員などをたたえる制度。実践は各市町村の教育委員会もしくは学校長の推薦により把握し、審査を経て年1回の頻度で県教育委員会が贈呈を重ねている。
受賞者は幼稚園(幼保連携型認定こども園を含む)、小学校、中学校、高校・特別支援学校の部門別で審査選考していて、本年度は全体で10人、うち小学校の部は3人が選ばれている。
寒川教諭の実践は、児童を引きつけるきめ細やかな工夫と複式学級経験で培った児童主体の授業展開で確かな学力の定着に尽力し、聴く力や発信する力を高める研究にも努力。その集大成で児童の意欲を引き出す手腕には他の教員からも定評があり、東牟婁地方へき地複式教育研究会における発表を通して校内にとどまらず広く地方全体の模範となり教員の授業力向上に貢献しているといった内容で、同町教育委員会が同賞の学習指導分野の成果に当たるとして推薦し受賞に至った。
寒川教諭は同日実施の贈呈式出席のため会場へ向かったものの、雪の影響で断念。この賞の価値を重んじる同町教委は1日に中央公民館内で伝達の場を設け、高池小の大畑眞校長立ち会いの下で中道悟教育長から賞状を手渡した。寒川教諭は「私がもらってもいいのかなという思いですが、賞を頂けたことを励みにしていっそうレベルアップしていきたいと気が引き締まりました」と心境を語り、自分一人ではなく自分に応えてくれた子どもたちと一緒に頂いた賞だと受け止めて自宅に掲げ、これからの日々の励みにしたいと喜んだ。
□ □
県南部では寒川教諭のほか、田辺市域で2人、上富田町域で1人が同賞を受賞。田辺市域では別の1人が上位評価の「きのくに教育の匠」に選ばれている。
県教委義務教育課は近日中に本年度受賞者を公式ホームページで紹介する予定。町教委教育課によると本年度の同賞受賞者は全員、県教委の推薦により文部科学大臣優秀教職員表彰の被表彰者にも選ばれているという。
(2023年2月4日付紙面より)
東仙寺で節分星祭 (新宮市 )
新宮市新宮の丹鶴山東仙寺(鶴田隆寛住職)で3日、「節分星祭」が営まれた。厄年の男女が訪れる中、鶴田住職がご本尊・弘法大師の前で護摩供養を行い、信者たちの身体健康や家内安全などを祈った。
同寺は「東海白寿三十三観音霊場」の一番札所。星祭は、人がそれぞれ生まれた年によって持っている「本命星」の巡りが悪い人たちの災いが少しでも和らぐようにと祈る祭りで「星供養」とも呼ばれている。午後5時からは地域住民らが境内に掘られた穴で正月のしめ縄や松飾りなどを焼く「どんど焼き」が行われる。
市内から訪れた参列者は「毎年、足を運んでいます。家族の健康と家内安全を願いました。近年、猛威を振っている新型コロナウイルスの感染状況も不安でならないため、一日も早い収束も祈りました」。
鶴田住職は「諸説ありますが、節分は立春に移る前夜とされています。参列者の皆さんやその家族の悪い星を少しでも弱め、平和に過ごせるきっかけになってくれれば」と話していた。
(2023年2月4日付紙面より)
熊野古道歩き交流深める (那智勝浦町 )
那智勝浦町立下里小学校(泉一代校長)の4年生12人は1月31日、「なちかつ古道を守る会」(地庵晋司会長)の協力の下、身近にある世界遺産の熊野古道「清水峠」を歩き、道普請を行った。児童は歴史を学びながら古道や自然に触れ、清水峠入り口付近のぬかるんだ道に石を置くなどして整備に汗を流した。
同校によると、今回の古道歩きと道普請は総合的な学習の一環で地域の歴史や文化、生活を学ぶことが目的だという。今回で3回目。
児童は同会の太田耕二さんから昔の下里地区の様子や世界遺産、熊野古道などを事前に学んでおり、1月中旬には太田さんと共に清水峠を下見している。
JR紀伊浦神駅に集合した児童は同会が準備していた石をリュックに詰め、出発。太田さんやメンバーの案内の下、交流を深めながら元気いっぱいに古道を歩いた。
児童は清水峠の入り口付近に到着後、石を丁寧に敷き詰めた。さらにはメンバーや町職員、同校の職員と共に、古道歩きに障害物となる周辺の倒木や枯れ草、石などを片付け、道普請に取り組んだ。
西麻陽さんは「この場所に熊野古道があることは知らなかった。道普請は楽しいし、道もきれいになってうれしい。いろいろ勉強になった。また来たいです」と笑顔で語った。
作業を終えた児童にマスクやあめ、ミカンをプレゼントした太田さんは「おかげさまできれいになり、歩きやすくなった。これからも歴史や世界遺産に興味を持って、熊野古道も歩いてもらえたら。その際にごみなどを見つけたら、拾ってもらえるとうれしいです」と呼びかけた。
地庵会長は「作業を通して、道具の名前や使い方も知ってもらうことも大切。子どもたちの頑張りのおかげで景色も明るくなって良かった」と話していた。
(2023年2月3日付紙面より)
新翔高校が交通安全優良学校に
新宮市佐野の和歌山県立新翔高校(藤田勝範校長)はこのほど、第63回交通安全国民運動中央大会で、「交通安全優良学校」に選ばれた。先月18日、東京都新宿区の新宿区立新宿文化センターで開催された同大会本会議において表彰を受けた。
(一財)全日本交通安全協会、警察庁が主催(内閣府、文部科学省、国土交通省後援)する同大会。交通安全優良学校は、交通安全教育活動を積極的に推進し、児童、生徒の交通安全教育と交通事故防止に顕著な功績があった学校に対し贈られるもので、今回は全国で45学校が表彰を受けた。なお、同校は昨年11月、和歌山県警察と県交通安全協会による「交通安全優良学校」にも選出されている。
同校では、2015年度より「自転車マナーアップ推進リーダー」活動を実施。委嘱を受けたリーダーが、他の生徒に自転車の交通ルールを守るよう呼びかけたり、警察や地域団体と共に交通安全の街頭啓発を行ったりするなどして、交通事故防止に向けた取り組みを展開している。
昨年12月には、リーダーとして委嘱を受けている同校ブラスバンド部が新宮市文化複合施設「丹鶴ホール」で開催された「新宮ハートフルコンサート~交通事故防止の願いを込めて~」で演奏を披露。交通事故防止や命の大切さを訴えた。
今回の表彰はそういった一連の活動を評価されたもので、県内での受賞は同校のみだった。
このたびの結果を受け、藤田校長は「警察やJA、地域のご協力の下、自転車マナーアップ推進リーダーの活動や自転車安全教室の実施など、地道な活動が評価いただけたものと思っている。いろいろな人と一緒に協働していただけた賞。地域の中にあって、一緒に交通安全を啓発していくことはすてきなこと。今後も交通安全だけではなく、さまざまな分野で地域を盛り上げるために、積極的に活動していければ」と喜びを語った。
(2023年2月3日付紙面より)
文化セで令和4年度人権講演会 (串本町人権委員会 )
串本町人権委員会(西野政和会長)が1月31日夜、文化センターで令和4年度人権講演会を開き、約230人(同委員会事務局発表)が沖縄の思いの一端に触れて思想を培う機会を得た。
この講演会は町、町議会、町教育委員会、町PTA連絡協議会、町教育研究会、町職員労働組合後援。同委員会が年間を通して取り組む啓発活動の一つとして開いていて、本年度は▽沖縄戦40周年記念映画「戦場(いくさば)ぬ童(わらび)」上映▽まーちゃんバンドトーク&ライブ―の二部構成で内容を準備し当日の来場を呼びかけた。
開会に当たり西野会長は昨年の沖縄本土復帰50周年を意識した内容だとし、太平洋戦争における沖縄戦で軍人ではない住民が直面した状況の筋道を説明して鑑賞を求めた。映画は1985年制作の作品で、記録映像と住民の実直な訴えを交えて太平洋戦争から本土復帰後までの沖縄の実態を伝える内容。その理解を持って西表島出身の三線アーティスト・南(ぱい)ぬ風人(かじぴとぅ)まーちゃんうーぽーさんを講師として迎え、率いるまーちゃんバンドを交え「歌って踊って平和をつかめ」を合言葉にして繰り広げるトーク&ライブを鑑賞して込められたメッセージを受け止めた。
まーちゃんうーぽーさんは手にする三線が600年前の琉球王国時代に中国から伝わり独自の発展を遂げたように、周囲と仲良く生きていくところが沖縄の素晴らしさだとアピール。祭りを介してその教えを受け継ぐ長老に感銘を覚え、その裾野を世界へ広げるのが自分だとして、情熱豊かに伝えたい思いを語りと歌でつづった。この講演会の趣旨もくみ、顔も合わせず簡単に戦争をしてしまう状況を憂いて「二度と戦争を起こさないため、誰もが笑顔で仲良くする世界を作りたい」「みんなが希望を持てる世界を作るのは私たち」とメッセージを寄せ、そのために伝え広めている沖縄の素晴らしさが生かされる今後を願うなどした。
閉会に当たり猪村和己副会長は「自然や命、平和に対する思いが心に響いた」とたたえて講師登壇に感謝し、平和と人権は表裏一体とする捉え方を掲げるなどして締めくくった。
(2023年2月3日付紙面より)
高齢者地域見守り隊が定例会 (紀宝町 )
紀宝町の高齢者地域見守り隊(伊藤俊介代表)は1日、町役場大会議室で本年度の第3回定例会を開催。隊員ら約20人が参加し、今後の活動内容や詐欺被害の状況などを確認した。
見守り隊は2012年9月に発足。現在24人が所属し、月1回の街頭啓発活動などを通して、高齢者の特殊詐欺被害防止を呼びかけている。
今回は本年度最後の定例会で、伊藤代表が「コロナの影響で本年度も活動を自粛したこともあったが、これからも自分のペースで参加してほしい。特殊詐欺が多く発生しており、皆さんの意見を活動の参考にしたい」とあいさつした。
成人年齢の引き下げによる若者の詐欺被害、各地で相次ぐ広域強盗事件など、全国的に消費者問題が大きく取り上げられており、紀宝警察署管内では今月、御浜町の20代女性が現金5万円をだまし取られる詐欺が発生した。
参加者は四つのグループで、特殊詐欺の手口などを話し合い「スマホを使ったSNS(交流サイト)による詐欺は若者の被害が多いのでは」「ATM、コンビニに誘導する詐欺もまだある。頭に入れておくべき」「電話による詐欺の手口も新しくなっている。これから気を付けないといけない」「自宅の鍵をかける習慣を付けたほうがいい」と発表。全員で情報共有した。
来年度も街頭啓発や寸劇による啓発活動を継続し、スキルアップ研修会、消費者問題講演会などにも取り組むという。
(2023年2月3日付紙面より)
那智勝浦ゴルフ倶楽部
新宮信金経営者塾100人会「紀蹴カップ」
「勝小まるごと防災」開催 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立勝浦小学校(山下真司校長)の5年1組22人が1月31日、町体育文化会館で学習発表「勝小まるごと防災」を開催した。地震・津波から命を守る方法について、学んできたことや未来に向けての提言を発信し、地域住民や保護者、町の防災関係者ら約60人が耳を傾けた。
5年生は本年度、町内外の防災専門家の支援を受けながら、1年かけて地震・津波の学習に取り組んできた。その成果を発信し、地域の人々に防災意識を高めてもらおうと企画した。
発表は劇でスタート。2人の児童が地震津波の研究者・奥川博士と、東日本大震災が発生した2011年へタイムスリップし、その被害や津波の恐ろしさを振り返った。昭和東南海地震が起きた1944年にも行き、同町木戸浦から流れ込んだ大津波が天満、下地、須崎地区などの民家をのみ込んでいく様子を述べた。
「まるごと防災!お役立ち情報コーナー」では、夏休みに実施した「防災意識アンケート」を基に、未来に役立つ提言を発表。地震に備えて家具の固定をしていない人が73・6%に上ったことから「とても不安に感じた。たんすやテレビの下敷きになるなど、被害が大きくなる可能性がある。家具を固定し、配置を見直すことも大切」。避難バッグを用意していない人が52・5%だったことから「1人一つ用意し、年2回は点検して」と呼びかけた。
発表を終え、仲野佑汰郎君は「校区内の安全な避難場所や新聞を使った食器の工作について話した。これから災害が起きる可能性が高くなっていくので、みんなで備えることが大切」。村瀬桃梨さんは「大人も子どもも必ずみんなで助かりたいから、声をかけ合って逃げてほしい」と語った。
発表を聞きに訪れた清水彩加さんは「市販の持ち出し袋を買ったけれど、中身や必要なものを詳しく解説してくれ、役に立った」と話していた。
3日(金)の午後2時30分~3時30分には、同所で5年2組の発表も開催される予定で、児童たちは来場を呼びかけている。
(2023年2月2日付紙面より)
臨時総会で進捗確認 (スペースポート紀伊周辺地域協議会 )
スペースポート紀伊周辺地域協議会(会長=下宏・和歌山県副知事)の臨時総会が1月31日、串本町サンゴ台にあるホテル&リゾーツ和歌山串本であった。スペースワン株式会社と同協議会それぞれの事業進捗の確認が今回の議題で、同社の阿部耕三取締役はロケット「カイロス」初号機の打ち上げについて今年2月末ごろを今年夏ごろに改めて考えていることを報告。同協議会事務局は打ち上げ時の誘客対策と渋滞対策の考え方を会員に伝えるなどした。
序盤はスペースワン社の報告で、阿部取締役は世界的な物流の混乱で当初想定していた時期に海外からの部品が調達できず今年2月末ごろの初打ち上げが困難になったと状況を伝え、「初号機の打ち上げについては本年夏ごろを目指していきたいと考えているが、3月中の部品の調達状況を見極めた上で4月ごろに打ち上げの時期について改めて皆さまに説明させていただきたい」とした。
度重なる延長についての謝意を示しつつ引き続きの支援を求め、下副知事は地元も期待して準備を着々と進めているだけに非常に残念な気持ちでいっぱいだと伝えつつ「4月には着実な打ち上げについてきちっと説明をしていただきたい。ぜひお願いしたいと強く言わせていただく」として同社の前進を期した。
中盤以降は同協議会事務局が、今年2月末ごろの打ち上げを見据えて詰めてきた誘客対策や渋滞対策の基本的な考え方を報告。ロケット「カイロス」初号機打ち上げ応援サイトの事前登録者数が1万人を超えている状況を受け、上限5000人の公式見学場に加えてウェブ配信やサテライト会場も展開して当日の流入を抑制、かつ交通規制による通過交通の円滑化を図る方向性を説明して会員からの質問を受けた。
当初の2021年度中から昨年末ごろ、今年2月ごろ、そして今年の夏ごろ、と3度の延期報告を受けて副会長の田嶋勝正・串本町長は「ものすごく残念だが、立派な打ち上げ場が完成しロケットの関係者も一生懸命に取り組みを進める中での結果だと思う。われわれは今後の打ち上げに向け全力で協力したいし、町民にも今の状況を説明して共にもっとこれからも頑張ろうと話をしていきたい」。同じく堀順一郎・那智勝浦町長は「非常に残念だが、社会情勢を見ると致し方ないところもあるのかなと思う。万全の体制で臨み必ず成功するための準備と思って、(われわれも)打ち上げまでの準備を進めていきたい」とそれぞれコメントした。
(2023年2月2日付紙面より)
令和9年4月を想定 (新宮市 )
新宮市役所別館で1月31日夜、「緑丘中学校・城南中学校統合検討委員会」(板谷貴史・城南中育友会長)の第3回会議があった。市から委嘱を受けた学校・教育関係者ら10人が出席。統合スケジュール案などに対し意見を交わした。
2007年、学校や幼稚園などの適正規模と配置などについて審議するために設置された市教育環境整備計画審議会は、多感な中学生の教育の充実や指導が難しくなることから、両校の2校を残すことを答申。
そんな中、08年に市総合計画において10年後には両校とも適正規模から外れることが予想されるとして、統合をしていく方針が出された。方針を受け、中学校統合について再度検討が行われたが当時は統合により適正規模を大きく上回ることが予想されることから統合は見送りに。適正規模から外れる10年後をめどに再度検討することとなっていた。
現在の両校の生徒数は、緑丘中学校228人、城南中学校152人の計380人。千穂・丹鶴小学校、蓬莱・王子小学校が統合された小学校再編が完了した2013年度当時の489人と比較して109人(22・3%)減少している。学級数も緑丘中は8、城南中は6となっており、両校とも法律上の基準と和歌山県基準の適正学級数を下回っている。
この日の会議では、事務局から統合スケジュール案が示された。案によると、令和9年4月の統合を想定し、令和5年度から公募やアンケート、パブリックコメントなどを実施した上で新中学校名を検討。その後、校歌や校章の作成、新制服デザインなどに着手するという。
令和6年度に教育課程編成等委員会を設置し、経営方針や教育課程、学校行事、部活動、通学路などの検討を進めていく。
また、統合後の場所を現緑丘中とする案において、令和6年度後半以降に仮設校舎の建設準備を行い、令和7年度に仮設校舎の建設と並行して大規模改修の設計を行う。
令和7年度後半以降に生徒・児童、部活動交流や大規模改修、閉校式・開講式に向けた準備を行う計画としている。
事務局案を受け、委員らは「令和9年ということで決めてしまうのであれば、急ぐ必要や無理のある部分も出てくるのでは」などの意見があった。対し、速水盛康教育長は「余裕を持たせたスケジュールとしている。今後、修正を加えながら進めていきたい」とした。今後、市では案を基に保護者説明会を開催し、保護者らの意見を募っていくという。
(2023年2月2日付紙面より)
新宮青年会議所が街頭啓発 (新宮市 )
「北方領土の日」(2月7日)を前に、新宮青年会議所(新宮JC)は1日、新宮市徐福のJR新宮駅前で北方領土返還要求街頭啓発活動を実施。北方領土問題への理解を深めてもらおうと、駅利用者らに啓発チラシなどを配布した。
日本青年会議所では、1970年に北方領土現地視察団を派遣したのを皮切りに、北方領土返還運動への取り組みを全国規模で展開。新宮青年会議所でも「北方領土返還運動全国強調月間」(2月、8月)を周知しようと毎年2月に街頭での啓発活動を続けている。
この日は、同駅を含む県内12カ所で「北方領土返還要求運動和歌山県民会議」(1981年12月12日設立、加盟団体112団体=1月現在)主催による啓発活動が展開され、各地域の青年会議所や同会議加盟団体などが運動を実施した。令和4年度北方領土に関する標語は「四島(しま)還せ! 声出し合って 動く今」。
JR新宮駅では、新宮JC会員と県職員の4人が、通学する生徒らに啓発物資を手渡した。和田祐幸・2023年度理事長は「啓発活動は毎年実施していたが、新型コロナウイルス感染症の影響で2年ぶりとなった。今年は、北方領土返還要求運動和歌山県民会議が新宮市で開催される。この地から声を上げていきたい」と話していた。
北方領土問題は、北海道根室半島沖合にある島々の領有権を巡るもの。現在ロシアが占拠、統治する択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島の島々に対し、日本が返還を求めている。北方領土の日は、国民の関心と全国的な返還要求運動の推進を図り、1981年に閣議決定。日露の国境が択捉島とウルップ(得撫)島の間に定められた日魯通好条約が調印された1855年2月7日にちなんでいる。
(2023年2月2日付紙面より)
ロケット「カイロス」初号機 (スペースワン株式会社 )
人工衛星の宇宙輸送サービス実現を目指すスペースワン株式会社=東京都=が1月31日、ロケット「カイロス」初号機の打ち上げを今年夏ごろに延期することを発表した。この日串本町内であったスペースポート紀伊周辺地域協議会臨時総会で、同社の阿部耕三取締役が報告。理由は必要な部品の調達が完了しないためだとしている。
同社は串本町田原~那智勝浦町浦神地内(浦神半島内)に民間としては国内初となるロケット射場「スペースポート紀伊」を所有。射点は浦神半島の東側の谷あい(田原地内)にあり、当初は2021年度中の打ち上げ開始を目指していたが、新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻などの世界情勢に伴う部品調達難などにより昨年末ごろ、今年2月ごろと2度にわたる打ち上げ開始の先送りを余儀なくされた。
阿部取締役は昨秋に2度目の延期を同協議会に報告した時点で納入を見込んでいた部品の一部が依然として届かないことが3度目の延期を判断した要因とし、打ち上げにかかる事前の試験も最終段階に差しかかり部品がそろえばさほど時間を要さず打ち上げられるとコメント。3月中に残る部品納入のめどを見極め、4月中にその結果を示したいとしている。
(2023年2月1日付紙面より)
熊野家三九郎さん「夜話」 (新宮市 )
新宮市丹鶴の旧チャップマン邸で1月28日夜、当地方で活動する社会人落語家・熊野家三九郎さん(68)による「夜話(二席)」があった。地域の落語愛好家ら約25人が来場し、新作落語と古典落語を披露。会場は温かい笑顔と拍手で包まれた。
新宮市出身の三九郎さん。中学生の頃、ラジオで聞いていた笑福亭仁鶴や桂文枝らの深夜放送がきっかけで落語にはまった。新宮高校では落語好きの友人と落語同好会を立ち上げ。立命館大学では落語研究会(落研)に入部し、本格的に落語に打ち込むように。当地方に帰ってきてからも寄席を開いたり、地域の集まりで披露したりするなど精力的に活動。落語の魅力を伝え続けている。
コロナ禍で地域のイベントも減少し落語を披露する機会も少なくなる中、突然の訃報が飛び込んできた。昨年10月、三九郎さんの幼なじみが亡くなった。長い闘病生活を経て、社会復帰を果たした矢先のことだった。
同イベントは、幼なじみの「鎮魂」の祈りを込め、自身が2年前に創作した新作落語「未練袋」と、熊野三山の熊野牛王神符(くまのごおうしんぷ)がストーリーの核を成す「三枚起請」を初披露する機会にと企画。かねて「この場所で落語ができれば」と希望していた同所で開催するに至った。
「未練袋」は、思いのほか若死にした旧友の2人が、小学生の時に幼なじみ3人で55年後に開封しようと埋めたタイムカプセルに対し、残る1人にその開封を期待するも当人も死亡。悔やみながらも新仏の幼なじみを出迎えるが、幼なじみは白い大きな袋を担いで「あの世」にやって来た。その中身に感激する2人、そして3人は数奇な縁に驚愕(きょうがく)するのであった。
一方、「三枚起請」は友達同士の3人の男と遊女の間で熊野牛王神符を通したやりとりが落ちへとつながる古典落語。なお、熊野を題材にした落語は少なく、五代目桂文枝さん(2005年死去)が、「紀伊山地の霊場と参詣道」世界遺産登録を記念して04年に創作した「熊野詣」がある。
若かりし頃の幼なじみの写真が見守る中、軽妙な語り口で来場者の笑いを誘った三九郎さん。イベントを終え「いい会場で久しぶりに落語ができて良かった。来場者が集中して聞いてくれたことは冥利(みょうり)に尽きる。またこういった機会を設けることができれば」と話していた。
(2023年2月1日付紙面より)
中家永理さんがフラ奉納 (熊野那智大社 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)で1月27日、和歌山市でフラ教室「Hula ‘Alohi mau loa(フラ アロヒ マウ ロア)」を開いている中家永理さんによるフラの奉納があった。ハワイにある「アカカの滝」を曲名とした「AKAKA FALLS(アカカフォールズ)」が流れる中、中家さんは那智の滝やアカカの滝に思いをはせ、心を込めて踊りを奉納した。
中家さんはフラの本場・ハワイで学び、研さんを積んできた。教室名の「フラ アロヒ マウ ロア」は「永遠に磨きをかける教室」という意味だ。
以前から同町の海や山など自然に興味があり、愛するハワイとの共通点を感じていたことから、何度もこの地を訪れていたという中家さん。昨年からは、同町の天満公民館で月に1度、フラダンス教室もスタートさせている。
この日は、和歌山市と町内の生徒たちが同行し、中家さんの奉納を見守っていた。中家さんについて生徒らは「先生の踊りに魅了されて、自分も習いたくなった」「基礎から丁寧に教えてくださる。本当に素晴らしい先生」と口々に太鼓判を押した。
奉納を終え、中家さんは「アカカの滝と那智の滝はほぼ同じ落差。滝に至るまでの道中も多くの自然に囲まれ、共通する部分が多い。いつか、こちらで踊りたいと思っていた。感謝の気持ちでご奉納させていただいた。そして、生徒の皆さんの健康と長く踊ることができるように祈願しました」。
フラについては「踊りで海や山、川を表現するが、裏の意味もある。母や恋人など大切な人への思いなども含まれていてそれらが表現できるのもフラの魅力の一つです」と笑顔で語った。
伊藤士騎(しき)禰宜(ねぎ)は「これまで神社とフラはあまり接点がなかった。今日の曲は滝の曲であり、ご本人さまにとっても、思い入れのある曲だったと聞いている。心を込めてご奉納いただけたと感じています」と話していた。
その後、一行は飛瀧神社に向かい、同社のご神体である那智の滝を身近に感じながら、再び踊りを奉納した。
(2023年2月1日付紙面より)
技術家庭科・科学作品展 (太地町公民館 )
太地町公民館で1月28、29の両日、「東牟婁地方中学校技術・家庭科作品展示会」と「東牟婁地方科学作品展示会」が同時開催された。3年ぶりの展示会に、多くの家族連れが来場した。
東牟婁地方科学教育研究会主催の科学作品展示会では、当地方の小中学生が夏休みの自由研究で行ったリポートや標本など約250点を展示。山や川、磯などの自然環境を生かして考察を深めた研究が多く見られ、来場者は気になるテーマを見つけては内容を確かめた。
技術・家庭科作品展示会は東牟婁地方中学校技術家庭科研究会主催。ブックシェルフやトートバッグ、刺しゅう、郷土料理のまとめなど、夏休みや授業で取り組んだ中学生の作品を展示した。
ぬまくらこう君(潮岬小1)は「海のエビと川のエビを観察した。海のエビの方が色がきれいだった。セミの観察の研究が面白そうだった」。渡邉小姫さん(那智中2)は「技術・家庭科作品展ではタブレットケースを作り、科学作品展では黒インクの色素をペーパークロマトグラフィーで分離させる実験をした。牛乳からプラスチックを作る研究をしている人がいて、身近な材料からも作れるんだとびっくりした。自分でもやってみたい」と話していた。
(2023年2月1日付紙面より)
県高校バドミントン新人大会 (新宮高校 )
トヨタカップ県小学生サッカー東牟婁予選