新宮市内でも特定外来生物 (オオキンケイギク )
土手や川、道路ののり面、空き地などに群生する鮮やかな黄色の花。一見すると、キバナコスモスやマリーゴールドのようにも見える。名前は「オオキンケイギク」といい、日本在来の野草を駆逐してしまうほどの生命力を持った特定外来生物の一種だ。新宮市内を含む各地で確認されており、環境省では自宅への持ち帰りや育成をしないようにと注意を呼び掛けている。
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元々、日本に存在しなかった外来生物のうち、生態系などに被害を及ぼすものを政府が指定。栽培や運搬、販売、野外に放つことなどが法律によって原則、禁止されている生物のこと。違反すると個人の場合は最大300万円の罰金、もしくは3年以下の懲役が、法人の場合は最大で1億円の罰金が科せられるという。
オオキンケイギクは国が作成する「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」で、対策の緊急性が高く、積極的に防除を行う必要がある「緊急対策外来種」の一つにも数えられ、「日本の侵略的外来種ワースト100」にも名を連ねている。
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北米原産のキク科の多年草。開花時期は5~7月で結実期は6~9月。過去に緑化や園芸などで利用された。そのため、日本各地に拡大し、現在ではほぼ全国に分布している。
繁殖力が強く、在来種と競合し駆逐してしまうため、大きな脅威となっている。
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環境省吉野熊野国立公園管理事務所の藤田道男所長は「花を引き抜いたり、種を持ち帰ることは原則禁止」。
駆除の際には「種ができてしまっては遅い。開花前のつぼみの段階で駆除してほしい。根から引き抜くか、刈り取りを行う。根絶には時間がかかるため、4回ほど繰り返すことが必要になる」と説明する。
刈り取り、引き抜いた個体や種はその時点では生存しているため、そのまま持ち帰ると法律違反になってしまうため注意が必要だと話した。
ビニール袋に密閉して個体を枯らせてから燃えるごみとして処理する。
また、ボランティア団体などによる小規模駆除の際はホームページや新聞などメディアの活用や、広報車、看板などで駆除を事前公表すれば、生きたままでも焼却場まで運ぶことができる。
藤田所長は「国立公園内にある在来種たちが駆逐されてしまうため、繁殖を広げないでほしい。きれいだけど持って帰って育てないでください」と話している。
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個人では申請はできないが、地方公共団体が関わり、審査が通れば国が行う「生物多様性保全推進支援事業」の補助が受けられるという。
近隣では田辺市がその他の総合対策外来種に指定されるアフリカツメガエルの駆除を行うため、同支援事業を活用している。
(2020年5月31日付紙面より)
新宮市
新宮市は29日、新宮市新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開催し、6月1日(月)以降の市主催のイベントや会議、各課所轄の施設などの方向性をまとめた。
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■市主催のイベント
イベントに関しては、感染予防対策を徹底した上で、18日(木)までは、屋内イベントはおおむね100人以下、かつ収容定員の半分以下の参加人数とする。屋外イベントはおおむね200人以下、かつ人と人との距離を十分に確保する。19日(金)以降は、屋内イベントは収容定員の半分以下の参加人数に、屋外イベントは人と人との距離を十分に確保する。ただし、感染リスクへの対応が整わないイベントは原則中止、または延期を含め慎重に対応する。
また、不特定多数が参加、または飲食を伴うようなイベント、「密閉」「密集」「密接」の三つの密の発生が想定されるイベントについては当面の間原則延期または中止とする。生活や健康を維持するために必要不可欠と判断されるものについては、感染予防対策を徹底した上で実施するものとする。
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■市主催の会議など
会議などについては、可能な限り規模を縮小するとともに、会場内の換気や人と人との間隔を十分に確保するなど、感染予防対策を徹底した上で実施する。市が管理する施設において、民間が主体となって行うイベントや会議などについても、市の予防対策に基づいて対応するよう、指定管理者や主催者などへも協力を依頼する。
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■会館や集会所
市内全ての会館および集会所の貸し出しを再開する。利用に当たっては各施設で定める感染予防対策に取り組むことを依頼する。
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■隣保館
隣保館の貸館は8日(月)から再開する。利用の詳細については各隣保館に問い合わせる。
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■福祉センター
集会室および和室のみ15日(月)から貸館を再開。使用用途は「会議」に限定する。使用人数に制限あり。問い合わせは市社会福祉協議会(電話0735・21・2760)まで。
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■子育て支援センター「つぼみ」
1日より再開。当面の間▽新宮市在住者限定▽月・木曜日は2歳以上、火・金曜日は1歳、水曜日は0歳と年齢で参加できる曜日を分ける▽午前9時~10時20分、10時30分~11時50分の午前中は予約制。午後1時以降はフリー対応▽利用の際はマスクを着用する(保護者のみ)▽検温や手指消毒などの協力を呼び掛ける―の対応を図る。5月30日、31日に電話受け付け(電話0735・23・3740、午前8時30分~午後5時15分)も実施する。
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■観光施設
浮島の森、徐福公園売店、道の駅「瀞峡街道熊野川」地域振興等施設 熊野川川舟センターを1日より再開する。旧チャップマン邸は2日(火)から一部再開。貸館は引き続き利用を見合わせる。館内での飲食は当面禁止。
いずれも、発熱やせき、咽頭痛などの症状がある場合は来所自粛を要請する。来所時にはアルコール手指消毒とマスク着用、施設内では対人距離(2㍍目安)を取るよう呼び掛ける。
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■社会教育関係施設など
市内体育施設、元気クラブしんぐう、市立松山教育集会所を1日から再開。市立佐藤春夫記念館、市立歴史民俗資料館を2日から再開する。
発熱やせき、咽喉痛などの症状がある場合は来館や利用の自粛を依頼。手指消毒や手洗いうがいの徹底を呼び掛けるなど「和歌山県感染拡大予防ガイドライン」に準じた対策を講じる。
(2020年5月31日付紙面より)
3カ月ぶりに楽しむ (紀宝町 )
新型コロナウイルスの影響で中断していた紀宝町の各種運動教室が再開した。28日には井田公民館で「ボールを使った健康運動教室」があり、3カ月ぶりに集まった参加者が楽しく体を動かした。
政府の緊急事態宣言が解除されたことを受け、町では3密にならないよう、間隔を空けるなどの対策を取り、介護予防事業の同運動教室と貯筋運動、スポーツボイスの再開を決めた。スマイルヨガ、まちかどエクササイズは再開に向けて検討している。いずれの教室も「みらい健康マイレージ」の対象になっている。
ボールを使った健康運動教室は24人を2グループに分けて行い、今回は7人が参加。健康運動指導士で「High ― Five」の杉浦資史さんが指導した。感染予防のためボールは使わず、椅子を用いてストレッチした。ヨガマットを使って、左右の足を持ち上げる動きや腕、肩などを鍛えるトレーニングで汗を流した。
飛沫(ひまつ)防止のためフェイスシールドを着けた杉浦さんは「家で自粛を続けると筋力、体力低下につながる。体を動かして健康維持することも大事。自宅でもストレッチや足踏みなどで健康運動を続けてほしい」と呼び掛けた。
(2020年5月31日付紙面より)
那智勝浦ゴルフ倶楽部
新宮ソフトテニススポーツ少年団代表・榎本安利さん
cafeそらで手作り弁当 (美熊野福祉会 )
社会福祉法人「美熊野福祉会」の障害者自立支援施設「ワークランドそら」が運営する「cafeそら」(新宮市佐野)は、6月1日(月)から、一般向けに手作り弁当の販売と配達をスタートする。現在は試験的に一部行政機関や各種団体から注文を受けた分を利用者らが各所に配達。新型コロナウイルス感染症の影響で活動が制限される中、利用者からは「配達楽しい」などの声が上がっている。
「cafeそら」は「障害のある人の、働きたいという希望をかなえる場所」としてオープン。カフェの売り上げは、諸経費を除いて全て利用者の工賃となる。「皆にとって楽しい場所、憩いの場所、癒やしの場所」になることを目指して運営しているが、新型コロナの影響で4月後半からカフェを臨時休業としており、いまだ再開のめどは立っていない。
そんな状況の中、「仲間(利用者)たちが働く喜びを感じることができるよう」、手作り弁当の販売と配達をスタート。スタッフらが作った基盤に沿う形で、利用者らが一生懸命弁当作りや配達に努めている。
弁当はからあげ弁当やハンバーグ弁当など5種類(各700円)。コンセプトは「気持ちを込めて、目でも味でも楽しんでもらえるお弁当」。メインのほか、平均7種の総菜も全て手作り。仕入れや旬、彩りによって内容も毎日変えているという。ご飯大盛り無料。
基本的には2日前までに予約が必要だが、当日注文も相談に応じる。一つから配達可能。配達時間は火~土曜日の午前10時30分~午後2時。配達エリアは新宮市~那智勝浦町、太地町。
また、毎週木曜日は「北山村DAY!」と題し、利用者らが北山村に手作り弁当を配達する。
他にも「おそうざいセット」(900円)もあり、希望に応える形で対応していくという。今後は要望に応じてレディース弁当や新メニューも考案していく意向だ。
同福祉会の大代聖子さんは「カフェが再開した時には、より安心して喜んでもらえる環境を整えたい」と希望を語り、「職員一同、利用者さんに働く喜びを感じていただける事業所を目指しています。利用者さんが一生懸命作り、感染対策を徹底した上でお弁当を届けています。応援してあげてください」と呼び掛けている。問い合わせ、注文は同カフェ(電話0735・29・6010、FAX0735・29・6011)まで。
(2020年5月30日付紙面より)
ウミガメ保護監視員の委嘱式 (紀宝町 )
アカウミガメの上陸・産卵シーズンを迎え紀宝町は28日、同町ウミガメ公園で保護監視員の委嘱式を行った。任期は2年間で、保護監視員は萩野進也代表をはじめ、木村一樹さん、西昌志さん、前地敏久さん、杉浦利也さん、前地正喜さんの6人。6月1日(月)から産卵期の2カ月間、井田海岸で上陸がないかパトロールする。
同町はウミガメの産卵地として知られ、旧紀宝町で1988(昭和63)年7月1日に全国でも珍しい「ウミガメ保護条例」を制定。保護監視員を委託し、町ぐるみで保護活動を展開、旧鵜殿村との合併で誕生した新・紀宝町でもこの条例を引き継いだ。
式では西田健町長が保護監視員に委嘱状を手渡し「今年は新型コロナの影響で社会的閉塞(へいそく)感が漂っているが、ウミガメの産卵で元気を取り戻し、町をPRしてほしい」とあいさつした。
萩野代表は「七里御浜海岸、井田海岸にウミガメのシーズンがやってきた。御浜町ではすでに上陸が確認された。われわれは、地元の井田小学校の子どもたちが小さな命を大切にする情操教育の一環として保護活動に取り組んでいる。狭くなった海岸でもウミガメがやって来てくれる。そういう状況がある限り、保護活動を頑張っていきたい」と述べた。
今年も産卵した1頭分の卵を井田小学校のふ化場に移し、ふ化するまで児童が観察する。その他はこれまで同様、自然ふ化で見守る。
(2020年5月30日付紙面より)
高田川などに計36㌔ (熊野川漁協 )
熊野川漁業協同組合(大嶋邦嗣組合長)は29日、熊野川各支流にウナギの稚魚計36㌔を放流した。
毎年実施しており、稚魚は和深養鰻が育てたもの。放流したのは高田川、赤木川上流、赤木川下流、篠尾川、十津川敷屋、大塔川、音無川、四村川、三越川に各4㌔ずつ。
新宮市高田を流れる高田川では、熊野川漁協高田地区の後呂州亮理事と監視員の久保嘉信さんが、体長20㌢、体重40㌘ほどのウナギ約100匹を水温に慣らしてから放った。四方に散ったウナギは、岩の下などに潜っていった。500㌘の成魚になるには4~5年かかるという。
後呂さんは「天然ウナギは年々数が少なくなっている。放流して少しでも数を増やしていけたら」と語り、6月1日(月)のアユ漁解禁について「新型コロナウイルスは心配だが、高田川では密になることはないと思う。ぜひ楽しんでもらいたい」と話していた。
(2020年5月30日付紙面より)
【第13回】砂糖は子どもをキレさせる?
「白い砂糖は体に悪い」という話があるのをご存じですか?インターネットで「白砂糖」を検索すると、ゾッとするような「白砂糖は悪だ!」というような情報であふれています。中には砂糖を食べさせることで、キレる子どもが増えているというようなものもあります。
結論から言うと、これらの情報は真っ赤なうそです。「砂糖は急激に血糖値を上げるために、インスリンが大量に分泌されて、低血糖になるからイライラする」というような話が書かれていますが、これも全く根拠のない情報です。砂糖は炭水化物です。つまり、砂糖も、白米も、小麦も同じというわけです。血糖値への影響も同じです。でも、「ご飯が子どもをキレさせる」なんて話は聞いたことがないですよね。今日は、あまりにまん延してしまったこの「白砂糖」のお話をしようと思います。
砂糖にはさまざまな種類がありますよね。「黒糖」「白砂糖(グラニュー糖)」「三温糖」「和三盆」。茶色い砂糖は白い砂糖より、体に良いと思いますか?
砂糖は全て、サトウキビから作られます。サトウキビを細かく刻み、その汁を搾ります。そして、不純物を取り除くために石灰と一緒に煮るんです。ここまでは、全ての砂糖に共通した作業です。この第一段階で汁をそのまま煮詰めて、固めたものが「黒糖」です。同じようにこの段階で汁を煮詰めて結晶化させ、そこにお水を足して作られるのが「和三盆」です。この段階から、さらに不純物を取り除き、煮詰めて結晶化し、遠心分離器にかけてその結晶を取り出したものが「白砂糖」。その結晶をさらに煮詰めたものが「三温糖」です。
驚きませんか? 「三温糖」と「白砂糖」はほとんど作り方は変わらないんです。ミネラルが豊富といわれていますが、ほとんど変わりありません。「白砂糖は漂白されている!」なんていう情報もありますが、もちろんそれもうそです。それぞれ、味や風味が違う砂糖にすぎないのです。
世界保健機関(WHO)では1日の砂糖摂取量を、総エネルギーの10%未満にすることを推奨しています。でも、こんな論文もあります。「砂糖の摂りすぎはよくないが、適量摂取はむしろ情緒を安定させる。また、脳がエネルギー源として利用できるのはブドウ糖だけである。砂糖は摂取するとすぐに単糖類になるのでブドウ糖の良い給源である」(神戸大学大学院人間発達環境学研究科紀要「幼児の手づくりおやつと砂糖の利用」、2007年)疲れたときやイライラしたときに甘いものが欲しくなるのは、脳がエネルギー源としてのブドウ糖を求めているからで、とても理にかなっています。砂糖は、甘いおやつとして以外にも、和食の味付けや、食品の保水性や防腐効果もあります。どうか白砂糖の誤った情報に流されることなく、甘いものを上手に活用して、幸せな食卓をご家族と共有してください。そして、子どもたちに砂糖の役割を教えてあげてほしいと思っています。
(2020年5月30日付紙面より)
新型コロナの影響受け (新宮市 )
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、毎年8月に新宮市を舞台に開催されている「熊野大学夏期特別セミナー」(熊野大学主催)の今年の開催中止が決定した。台風10号の影響を受けた昨年に続いての2年連続の中止に、関係者は肩を落としている。
「試験もない、校舎もない、校則もない。誰でもいつでも入学でき、卒業は死ぬ時」という熊野大学は、市出身の芥川賞作家・中上健次(1946~92年)が1990年に創立した。中上氏の逝去後は、遺志を受け継いだ有志たちが中心となって活動を続けており、中上氏が亡くなった月でもある8月のセミナーには、墓参りも兼ねて全国から多くの中上文学ファンが熊野地方を訪れる。
同大学創立30年を迎える記念の年だった。9月19、20日に開催を予定していた今年のセミナーでは、中止となり幻となった昨年の企画を引き継ぐ形で音楽家の坂本龍一氏をメインスピーカーとして迎え、生前交流のあった著名人や文化人を招き、夏芙蓉(なつふよう)のごとく対談に大輪の花を咲かせる予定だった。
同大学の松本巌理事長は「瀬戸内寂聴氏など、かつて同大学に講師として招いた著名人や文化人、そして坂本氏も『健次だから』という理由で来てくれる。去年台風で中止になった時には、『おととしちゃんと墓参りができなかったから健次が怒っている』などとみんなで笑ったものだが、2年連続の中止は残念で仕方がない」と話していた。
(2020年5月29日付紙面より)
新宮市議会総務建設委員会
新宮市議会の総務建設委員会(福田讓委員長、7人)が27日、市役所であった。各担当部からの所管事務報告が行われたほか、国が実施する給付金の申請や避難所の運営、財政について議論が交わされた。
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委員は熊野川地域の消毒液とマスクの備蓄の現状を問い、当局からは避難所用のマスク2000枚と消毒液20本の備蓄があると説明があった。委員は台風災害などの発生時における新型コロナウイルス感染症対策を行いながらの避難所運営についてシミュレーションの必要性を挙げた。
消防本部の所管事務の報告後、委員は新型コロナについての救急車の感染防止対策や、感染の疑いがある患者の搬送時の対応、陽性患者が出た際の対処について質問。
当局は発熱を訴える場合の患者に対しては特殊マスクなど完全な装備で現場へ向かい、使用した救急車の消毒などに努めていると説明した。
感染した患者が軽症の場合は市立医療センターで対処し、重症化した際は県内の対応可能な病院への搬送も考えられるとし、搬送は市消防の救急車で行うと話した。
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商工観光課からは、市経営持続化支援金の20日から25日までの申請が221件で、業種別は現在精査中だが、主に飲食店が多いと報告。25日までに受け付け処理したものについては29日に振り込み予定だと述べた。
市の支援金の対応については素早いと評価する委員も。また、ほかの委員は自粛期間の間に、新宮の経済の落ち込み具合の分析が必要であるとし、加えて各業種別での把握も重要と指摘した。
当局は総合的な部分のリサーチは必要であるとし「すぐにコロナがなくなるわけではない。対策は今後の状況にもよるが、店舗の改装補助であったり、教育や福祉の分野でも必要になってくる。庁内で議論していく」と見解を示した。
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総務課からは国の特別定額給付金10万円についての現状を報告した。26日現在でオンライン申請が186件、郵送が1万1859件、窓口が1094件で申請率が88・89%と説明。5月中に全体の約7割の振り込みが完了するとし、振り込み後、振り込み完了通知を発送すると述べた。
また、市独自の生活支援給付金1万円については国の給付金を申請した際のデータを用いるため、国の方の申請を先に進めてほしいと話した。その旨や注意が書かれた案内状を27日に発送し、振り込みは6月下旬以降に順次行うという。
委員からは「市独自の給付金は振り込み後に通知は届くのか」と質問があり、当局は「市独自分は届かない」と説明した。
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委員は台風災害などの際の避難について、避難所では3密回避や熱中症予防などの対策が必要と主張。当局は「1㍍間隔を空ける」「手指消毒やうがい手洗い」を推進するとともに、避難所はエアコンのある小学校の教室などの使用も検討していきたいと話した。
財政について、委員はコロナで中止となった催しの予算調査について質問。当局は令和2年度の当初予算を見直した結果、凍結分の事業費が約1億円を超えるとし、今後の補正予算として活用していきたいと方針を示した。
市管理の公園の管理が各課にまたぐことから、委員は一元化の必要性を主張。当局は「市公園管理連絡網」を作成し、都市建設課を窓口として受け付けを行い、状況に応じて各公園を管理する各課につないでいくと説明した。
(2020年5月29日付紙面より)
手分けして管内渓流域へ (古座川漁協 )
古座川漁業協同組合(大屋敏治組合長)が28日、管内流域にアマゴの稚魚2万尾を放流した。
県内水面漁業協同組合連合会が取り組む漁業振興対策事業の一環。会下の各組合に実践委託する形で漁場の資源増強を促している。アマゴは渓流を好む魚種であるため、古座川漁協は人海戦術で生育に適した場所まで赴いて分散放流する形を例年取っている。
この日役員の下に届いたのは体長8㌢前後の稚魚。本年度も佐本地区と三尾川(みとがわ)地区に各5000尾、小川地区に1万尾を割り当て、役員が持参した容器で稚魚を預かり、弱らないうちに定着が期待できる瀬をそれぞれに見定めて放った。
同漁協管内のアマゴ漁は3月1日~9月30日。放流した稚魚が漁の対象となる15㌢以上の大きさになるまで1~2年かかり、その段階に達する稚魚は水産庁の統計で約8%とされているそう。大屋組合長は「少しでも多くの稚魚が15㌢以上に育ち、多くの皆さんに釣りに来ていただけることにつながれば」と今後を期待した。
(2020年5月29日付紙面より)
自転車活用推進功績者表彰決定
自転車活用推進本部(本部長・国土交通大臣)はこのほど、「自転車活用推進功績者表彰」の受賞者を発表した。本紙エリアからは新宮市浮島の特定非営利活動法人「SPORTS PRODUCE 熊野」が受賞した。
同表彰は2017(平成29)年5月に施行された自転車活用推進法第15条に基づき、自転車の活用の推進に関して顕著な功績があると認められる個人や団体をたたえ、寄与することが目的。3回目の実施となった。
「SPORTS PRODUCE 熊野」は国際自転車競技連合(UCI)認定レース「ツール・ド・熊野」を主催。海外からのチームも多く参加しており、地域の企業や自治体を巻き込んだ一大イベントとなっている。サイクリングにおける地域活性化、自転車の魅力発信に取り組むほか、所在地域以外の各地のイベントでも支援している。
受賞の決定を受け、同法人の角口賀敏理事長は「国土交通大臣より受賞をいただき、大変光栄に思います。当団体の事業や取り組みに協力し、ご支援やご理解などの力添えをしていただいた多くの方々のおかげ。支えていただいた皆さんに感謝し、地元の方々に喜んでもらえるようなイベントを続けていきたいと考えているので、今後ともよろしくお願いします」と喜びを語った。
(2020年5月29日付紙面より)
御幸町内会で商品券配布 (新宮市 )
新宮市の御幸町内会(今村義郎会長)の役員らは26日、新型コロナウイルス感染症の影響に対する町内会独自の支援策として、町内会123世帯に1万円の商品券を配布した。役員ら10人が各世帯を訪問し、町内会員らに商品券を手渡した。
同町内会では、長期にわたる自粛生活が徐々に快方に向かいつつある現在に当たり、「町内会として何らかの支援策を」と22日に臨時合同役員会を開催。支援策について話し合い「市内の活性化の一助に」との思いを込め、市商工会議所発行の共通商品券の配布を決定した。
支援に係る予算は「こんな時以外にいつ使う」と、長年にわたり積み立てていた町内会館建設費を一部取り崩し充当した。
自ら各世帯を回り、商品券を手渡した今村会長は「自粛、自粛で家にこもっている期間が長かったが、一応全国的に緊急事態宣言が解除され、気分的に良くなってきたように思う。町内会としても、おいしいものでも食べて元気を出してもらえれば、と思います」。
喜んでくれて、気分的に明るくなればと期待を込め、「助け合いの精神を持って、町内会として頑張っていければ」と話していた。
(2020年5月28日付紙面より)
初のウェブ会議開催 (全県市町村長会議 )
和歌山県は26日、令和2年度全県市町村長会議を開いた。新型コロナウイルス感染症拡大予防のため、初のウェブ会議となった。新宮市の田岡実千年市長も市庁舎内でウェブを通して会議に参加。新型コロナ対策に関する意見交換などを行った。
ウェブ会議開催に当たり、仁坂吉伸知事が「県民の安全な生活が大原則。近隣他県との関係も考えないといけない」などとあいさつ。29日(金)に「新型コロナウイルス感染症に係る支援本部」の本部会議を開き、6月以降の対策について協議すると報告した。
田岡市長は「新宮保健所管内においては感染者ゼロの状態であり、知事のリーダーシップや保健所の方々の尽力に感謝している」と述べ、市独自の支援策や市議会臨時会で可決となった経緯などを説明した。
「4月28日の臨時会で上程した飲食店に対する10万円の支援策は『不平等』だと否決され、市民の方々からも多くの批判を頂いた。有事の際には議会としっかりとコミュニケーションを取って、一丸とやっていくことがスピード感につながると、改めて勉強することができた」などと話した。
また、全庁的に「今困っている人に何ができるか」などを挙げてもらっているとし、まとまった案を6月9日(火)に開会する定例会において新たな支援策として上程していきたいと報告した。
高野町の平野嘉也町長や田辺市の真砂充敏市長、白浜町の井澗誠町長などからも現状や対応策などについて報告があり、県に対して「終息後には県を挙げて広域的な観光振興に取り組んでいただきたい」などの意見が述べられた。
仁坂知事は観光振興について「段階的にやっていくことになる」と見解を示し、同日に発表した県観光振興アクションプログラムについて説明。レベル0の現在においては大打撃を受けている観光業者に対し、支援策などを活用しながらなんとか生き延びてほしいと述べ「来たるべき観光の時期に備えて、ネットなどを使って県内の観光の魅力を露出させていけたら」などと説明した。
市町村における行政機能の維持についても意見交換が行われ、県庁は感染拡大防止策として業務フローを作成し、欠点や改善点が見え次第改善を加えていったなどと報告。また、令和2年度の新政策についても説明があった。
会議を終え、田岡市長は「コロナの影響で初のウェブ会議となったが、実際の会議と比べて遜色なく進行したと思う。出張の手間や費用の削減にもなる。これを機にウェブ会議が主流になれば」と話していた。
(2020年5月28日付紙面より)
町シルバー人材セの会員が植栽 (紀宝町 )
紀宝町役場近くの花壇で27日、花苗の植栽作業があった。町シルバー人材センターの会員5人がジニア、マリーゴールド、ペンタスの苗430本を植え、夏にかけて見頃の花に衣替えした。
花壇は交通量の多い場所にあり、これまで地元花づくり愛好者でつくる「うどの地区花づくりグループ」が季節の花を咲かせ、ドライバーや地元住民らを和ませてきた。2007(平成19)年度には花のまちづくりコンクール団体部門で三重県知事賞に輝くなど景観美化に貢献してきたが、高齢化などで13(平成25)年度に解散した。以降、同センターが町からの委託を受けて花壇を維持している。
植栽は春と秋の年2回行っており、毎回、同センターの女性会員「フラワーガール」が担当している。この日は黄色やピンク、白、赤、薄紫など色とりどりの花の配置に気を配りながら植栽作業に励んだ。今後は水やりや除草作業などを行い、美しい花壇の保全に努めていくという。
女性会員たちは「すごくきれいな花がそろった。多くの人に見てもらいたい」と話していた。
(2020年5月28日付紙面より)
本庁内に総合相談窓口設置 (串本町 )
串本町が25日、役場本庁本館2階に町内事業者を対象にした「コロナ(=新型コロナウイルス)生活・事業支援総合相談窓口」を設置し、関係する公支援の情報提供を軸にした申請や相談の受け付け対応に乗り出した。開場時間は平日の午前8時30分~午後5時15分で、8月末まで相談などを受け付けるという。
同ウイルス感染拡大の抑止を目的とした政府の緊急事態宣言によるもろもろの自粛により、経済的苦境を余儀なくされている町内事業者の事業継続を支援する取り組みの一環。同町は過日、町独自の小規模事業者等支援給付金事業を立ち上げ、借り店舗事業者約150件と持ち店舗事業者約750件、計900件規模で申請の受け付けを始めていて、それぞれに感染のリスクを伴う三つの密を避けるため基本郵送の形としている。地域性により役場へじかに申し出るケースも想定されることから、その時の受付相談対応も兼ねて同窓口を設けるに至った。
担当課は役場産業課で、開場中は基本職員2人が常駐。換気や距離、ビニールカーテンなど感染予防策を講じた環境で、同事業に加え自治体の特性を生かして現在発表されている国や県の経済支援策も紹介する形で相談を受けている。
助成や融資など資金繰りを考える上で必要とする情報が給付の域を超える場合は、商工会などより打開に近い機関や団体へ引き継ぐことも視野に入れ、同室を通して町内事業者が極力安心できるよう努めるとしている。
相談は事前予約制だが、飛び込みの相談も受け付ける(対応は事前予約者優先)という。事前配布のチラシでは役場本庁本館1階に同窓口設置となっているが、より広く空間が確保できる本館2階(こども未来課そば)委員会室に変更となっている。事前予約や問い合わせは同課(電話0735・62・0557)まで。
(2020年5月28日付紙面より)
三輪崎少女バレーボールスポーツ少年団代表兼監督・下津修造さん
6月1日の学校再開前に (新宮市 )
新宮市内の公立小中学校で25日、分散登校による登校日があり、学舎に児童・生徒の元気な声が響いた。6月1日(月)の学校再開に向け、徐々に登校日を増やして授業や取り組みを進めるなど、各校で再開を見据えた準備が加速している。
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三輪崎小学校(嶋田雅昭校長、児童371人)では、分散登校に伴い3年1組、2組の半数の児童30人が花の苗をプランターに植え替えた。
理科の一環で、子どもたちに植物の成長過程を学んでもらうことが目的。毎年、各学年でアサガオや野菜などさまざまな植物を育てている。
1組はマリーゴールド、2組はホウセンカを植えた。新型コロナウイルスの影響により臨時休校になる前の4月に種まきしたもの。子どもたちは芽を出した苗を慎重にビニールポットから取り出し、それぞれの名前が書かれたプランターに移して培養土を入れた。各組のもう半分の児童は26日に作業を行った。
植地諒君(8)は「初めての作業で少し難しかった。きれいに咲いた花を見るのが楽しみです」。沖豪二教頭は「植物などの成長を見て命の大切さを学び、観察経過の発表などを通じてコミュニケーション能力を養ってもらえれば」と話していた。
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熊野川中学校(吉田元紀校長、生徒29人)では、2年生6人が新しく完成した学校の畑にサツマイモの苗50本を植え、農作業に汗を流した。
畑作りは今年4月に赴任してきた南地恭太教諭の発案で始まり、地域住民らで組織する「チームくまのがわ」のメンバーの協力を得ながら4㍍×10㍍の区画を開墾。獣害対策で電気柵を設置し、周囲の草や木も刈った。
この日は「チームくまのがわ」の下阪殖保さん、木村康史さんら5人も参加。生徒たちは慣れない鍬に悪戦苦闘しながら畝を立て、苗を植えた。余った場所には3年生が落花生を植え、全学年が協力して草むしりなどをする予定。
泉凜さん(2年)は「地域の方々のおかげで熊中に畑ができて、こんな体験ができてよかった」と感謝。南地教諭は「やっと生徒が登校できるようになり、地域の方々と交流しながら農作業をすることができた。11月の収穫では、畑を一から作ったことも含め、みんなで喜びをかみしめたい」と笑顔で語った。
(2020年5月27日付紙面より)
POSと災害時協定結ぶ (串本警察署 )
串本警察署(﨑口忠署長)が26日、新宮市に本拠点を置く映像企画制作会社「株式会社POS」(堀哲也代表取締役社長)と災害等発生時における無人航空機の運用に関する協定を結んだ。
この協定は、同社が保持するドローンや運用技術、トレーニングにより培ったオペレーターネットワークを有事の初動確立に役立てることへの協力をあらかじめ約束する内容。同社は5機のドローンを所持し同署関係で串本町や古座川町にトレーニングを経た人材もいる状況により同署から協力の依頼を受け、同協定を結ぶに至った。同社にとっては新宮・東牟婁地方各自治体や新宮警察署に続く調印になるという。
この日は堀社長とオペレーターの堀貴人さんが来署。﨑口署長と堀社長の署名と調印により同協定を締結し、堀社長は「民間なのでできることは限られているが、当面は皆さんと一緒に災害時に対応できるようなドローン部隊として協力できれば」、﨑口署長は「必ずやってくる南海トラフの大地震の備えとして協定を結んだ。末永くよろしくお願いしたい」と言葉を交わして今後の展開に意気込んだ。
引き続き同町サンゴ台にある同署代替指揮所で、映像伝達のデモンストレーションも実施。堀貴人さんが実機(PHANTOM4)を操作して150㍍の高さからの空撮や、同所を被災家屋に見立てて周囲撮影や屋上の要救助者発見などに対処する流れを実践し、﨑口署長ら署員も操作やドローンの動向、伝送された映像の内容を確かめて連携の在り方を探る一助とした。
同署もドローンを所持しその業務運用を担う警備課の井口潔課長は「管内は山間部や沿岸部が多く署員が容易に近づけないことも想定される。ドローンの機動性を生かして現場を確認し迅速的確に対応する状況を目指すとともに、運用面での教養を得る上でも連携していきたい」と今後を思い描いた。
(2020年5月27日付紙面より)
下里地区の水田で発見 (那智勝浦町 )
「白いオタマジャクシがいる」―。読者の方から情報を頂いた。先日の太地町の「白いシカ」に続き、半信半疑で「白い生物」を追って、現場である那智勝浦町下里へ向かった。
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情報元である同地区在住の高田義信さん(63)によると、20日の夕方、近所の水田近くで犬の散歩をしている際に白いオタマジャクシを発見。初めて見る個体に驚いたという。
高田さんは単体の白いオタマジャクシはこれまでインターネットなどでも確認したことはあるが、多数見られるのは珍しいと思い、数匹捕まえて家に持ち帰ったという。
白いオタマジャクシの発見例は他県にもあり、今回の個体も遺伝子の突然変異で色素が失われる「先天性色素欠乏症(アルビノ)」の個体と思われる。
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生き物の生態に興味がある高田さんはご飯粒を餌として与えるなど、オタマジャクシの成長を楽しみにしているという。
「25年以上こちらに住んでいるが、こんなことは初めて。アルビノだと思うが、どんな色のカエルに育つのか楽しみ。元気に成長してほしい」と語った。
生き物を飼育するのが大好きな孫の西川寧音(ねね)ちゃん(4)は「大きくなるのが楽しみ。カエルになったら育てたい」と笑顔で話した。
(2020年5月27日付紙面より)
三輪崎区、商品券を配布 (新宮市 )
新宮市の三輪崎区(屋敷満雄区長)はこのたび、新型コロナウイルス感染症の影響に苦しむ区民と区内事業所を支援するため、区内約1080世帯に3000円分の商品券の配布を決定。24日には役員らが三輪崎会館に集合し、配布のための準備に取り掛かった。商品券は組長から班長に手渡され、今週半ばに区内の各世帯へと配布される。
同区では3月25日、新型コロナの感染拡大の影響によるマスク不足を払拭しようと、布マスク教室を開催。その後も継続して教室を実施するなど、区民の不安解消に努めてきた。
先日の役員会では区民に対する経済支援策を協議。当初はお米券の配布を検討していたが「出口の見えないトンネルから一日も早く抜け出し、明るい三輪崎になるように区内のお店で買い物をしてもらえたら」との思いから、新宮市の共通商品券の配布に決まった。
区内で商品券が使用できる事業所は約50店舗。緊急事態宣言が解かれた今、区の経済面の活性化へつなげる狙いもある。なお、商品券の有効期間は6月1日(月)から11月30日(月)までとなっている。
このたびの配布に当たり、役員らは報酬を2割カット。さらに新型コロナの影響で中止になったイベントなどの予算も充当したという。屋敷区長は「休業要請や外出自粛などで子どもも含め我慢の限界だと思う。区としてもいろいろな行事もしたい。最近になって少し落ち着いてきてはいるが、一日も早く活性化することを願っています」と話していた。
(2020年5月26日付紙面より)
町内の約70店舗で利用可能 (紀宝町 )
紀宝町は25日から、町内の約70店舗で利用できる「紀の宝商品券」の引き換えを開始した。29日(金)まで鵜殿体育館、6月1日(月)から30日(火)までは鵜殿地域交流センターで平日のみ受け付ける。時間はいずれも午前9時から午後5時までで、6月1日から5日(金)までは午後7時まで延長する。6日(土)、7日(日)は休日引き換え窓口を開設する。
商品券は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済対策で、生活支援と商工業の振興、地域活性化に寄与することが目的。
町民1人当たり5000円分を配布する。町内の飲食店や小売業、サービス業などポスターが設置してある店舗で6月1日から10月31日(土)まで使用できる。
引換申請書は、町が発送した特別定額給付金申請書などの封書に同封しており、引き換えの際は必要事項を記入して提出する。本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証など)も必要となる。
問い合わせは役場産業振興課(電話0735・33・0336)まで。
なお、1人当たり10万円の「特別定額給付金」は27日から支給が始まるという。
(2020年5月26日付紙面より)
給食再開の足並みそろう (串本町・古座川町 )
串本町と古座川町の公立小中学校で25日、学校給食再開の足並みがそろった。現在は臨時休校中のため、学校が定める登校日に合わせて通学する児童や生徒と教職員の分のみ配食。串本町学校給食センターはこの日767食分を調理し、久しぶりに大量調理の活気を取り戻した。
串本町は自校方式の田原小を除く12小中学校でセンター方式による学校給食を実施。同センターは同町立潮岬こども園と旧組合立の経緯で串本町域を校区に含んでいる古座川町立古座中学校も含めて普段は約1100食分調理をして配食しているが、4月20日以降の臨時休校措置により直近の約1カ月は潮岬こども園にのみ必要数を配食するにとどまっていた。
今月25日付で串本町の公立小中学校の学校給食が臨時休校措置の解除に先立って一斉再開となり、同センターは分散登校をしている学校もあるため今は通常通りとはいかないが1週間後には通常が戻ると見越して再開の一歩を踏み出している。この動きに合わせて自校方式の田原小も学校給食を再開している。
古座川町は同センターから配食を受ける古座中を除く4校で自校方式による学校給食を実施。各校の判断により早いところでは21日から配食を再開している学校もあり、全5校の足並みがそろうのは同センターの配食が再開した25日付となった。
(2020年5月26日付紙面より)
花てまりの会が作業 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の花づくりボランティアで構成される「花てまりの会」(おお木博子会長)は同町浜ノ宮のシンボルパーク跡地(那智勝浦町海浜公園)にある花壇で24日、アマランサスやメランポジウム、マリーゴールドなど夏の花を植えた。6月中旬にはきれいに咲いて見頃を迎えるという。
同会は観光客や住民に花を楽しんでもらい、町のPRや活性化に寄与することを目的とし、町内8カ所の花壇整備に取り組んでいる。
12日には植え替えのため、チューリップやピンクパンサーなどを抜き取り、整備を行った。24日は11人が参加し、会員同士の距離を保ちながら花壇のレイアウトを考え、協力し合いながら花の苗植えに取り組んだ。
同会によると、駅ロータリーの花壇もすでに植え替えが終了しており、駅裏とにぎわい市場前の花壇は後日、作業を行うという。
また、毎年6月ごろには同跡地を彩るアジサイが満開になる。今回はアジサイの手入れに力を注いで作業を進めてきたとし、きれいに咲くことを期待していると話した。
おお木会長は「花壇のレイアウトは毎年一緒ではつまらないと思うので工夫させていただきます。行政もしっかりと草刈りをしてくれている。花や景観は手入れ一つだと思う。多くの方々が花を楽しんでくれているのでありがたい」と語った。
(2020年5月26日付紙面より)
※ おお木博子会長の「おお」は、左側が「羽」の下に「令」、右側が「寛」
和歌山県で紀州みらいチケット
「お互い生き残りましょう。今の山を越えれば良くなったところが見えますから」―そう話すのは松竹新喜劇代表で、田辺市に事務局を置くボランティア団体「げんき注入!実行委員会」でも代表を務める渋谷天外(てんがい)さんだ。
新型コロナウイルスの影響を受け、経済的に疲弊する和歌山県内の飲食店や宿泊施設などを応援する目的で、同委員会が「紀州みらいチケット」を作成した。新型コロナ終息後に来店できるように据え置き期間を設け、料金を先払いするもので、客が事業者を支援する仕組みになっている。
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プレミアム商品券などのような特典は一切ない支援型の商品券。広島県内で実施されている「ひろしま飲食店未来チケット」を参考にし、同委員会が企画した。
2000円と5000円の2種類のチケットがあり、加盟店が販売する。購入店舗でのみ使用可能で、1回につき、1人1枚使用できる。使用期限は無期限となっている。
売り上げが減少した事業者にとって、チケットによる収入は当面の運転資金に充てることができる。11日から開始し、加盟店は現在、20店舗に上ったという。
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チケットの今後について渋谷さんは「フェイスブックなど会員制交流サイト(SNS)などで発信しているが、情報弱者の方にどう伝えていくかが課題。店舗を利用するお客さまの方からチケットの存在をお声掛けいただけたらさらに広がっていくはず」。
「コロナ終息など先が見えないのが現状。チケットはお客さまがお店を助ける仕組み。お店の方もきっと未来のお客さまに対し、おもてなしをしていただけると思う。お互いの絆も深まるのでは」と語った。
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同委員会のホームページでチケット加盟店舗の登録ができる。登録後はホームページ上に店舗の情報が掲載される。
なお、チケット販売の上限額は1000万円までとなっており、そのほかの詳細などはホームページで確認できる。
加盟希望やチケット購入などの問い合わせは、げんき注入!実行委員会(電話0739・34・2705)まで。
(2020年5月24日付紙面より)
相談件数200件超える (和歌山県消費生活センター )
和歌山県消費生活センターは22日、新型コロナウイルスの感染拡大に関連した相談が、4月末の時点で215件に達したとして、新型コロナを口実にした悪質商法や個人情報詐取に注意を呼び掛けている。
新型コロナに関連した相談が同センターに寄せられるようになったのは1月下旬以降。3月以降急増し、4月の相談件数は3月のほぼ3倍の155件に及んだ(5月15日時点の速報値)。
相談事例としては「通販サイトでマスク2箱をクレジットカード決済したが、届いたのはマスクの絵が描かれた2冊の冊子だった。メールで返品を申し出ると『1冊分の返品に応じる』と返答があり、納得できないことを伝えると受信拒否された」「6月に予定していた挙式の11月への延期を希望したところ、希望の時間には開催できないと言われたため解約を申し出ると100%の解約料が必要だと言われた」「県を名乗り、健康調査を口実にした不審な電話を受けたため、すぐに電話を切った」など。「特別定額給付金」に関連した相談も確認しているという。
同センターでは、市町村や総務省が▽現金自動預払機(ATM)の操作を求める▽受給に当たり、手数料の振り込みを求める▽メールを送り、URLをクリックして申請手続きするよう求める―などの行為を行うことは絶対にないとし、給付金に便乗した詐欺に注意を払う必要があるとしている。
消費生活全般に関するトラブルの相談は同センター(電話073・433・1551)、同センター紀南支所(電話0739・24・0999)まで。
(2020年5月24日付紙面より)
新宮市のタウンガーデンで
新宮市保健センター横のタウンガーデンで、皇帝ヒマワリが鮮やかな黄色の大輪の花を咲かせている=写真。本来より数カ月も早い開花に、同所の花壇を管理するボランティア団体「タウンガーデン」の平田裕子代表は「毎年秋から冬にかけて咲いていたのに」と驚きを隠せない。
皇帝ヒマワリは熱帯、亜熱帯の地域に広く分布するキク科の植物。日本では沖縄県で自生し、お茶としてたしなまれている。大きいものでは4、5㍍の高さになる。和名「ニトベギク」は、明治末に新渡戸稲造が日本に持ち込んだ説に由来する。
夏に咲くヒマワリが首をもたげるように花を付けるのとは異なり、皇帝ヒマワリは空に向かい真っ直ぐに花を咲かせる。タウンガーデンでは3年前に種を植え、現在は2㍍以上の高さとなっている。昨年は11月後半に花を付けていた。
(2020年5月24日付紙面より)
【那智勝浦町】残ったのはたった1体 (熊野アーカイブ ~熊野に人あり、歴史あり。~ ③ )
私たちが住む熊野地方には、いにしえの時代より脈々と続く歴史と文化、人の営みがあります。そしてそれを伝えてきた人々の姿も。
「熊野アーカイブ」は、そんな当地方の「人」「歴史」「文化」「モノ」「コト」などにスポットを当て、ふるさとの魅力を再認識する機会へとつなげる試みです。
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那智勝浦町立宇久井小学校には、戦前に「親善の証し」としてアメリカから贈られた「青い目の人形」が大切に保管されている。戦前、戦中、戦後の激動の時代を見つめ続けてきたその目に隠された悲しい歴史とは。その秘密をひもとく。
昭和初期、アメリカ本土で日本人の移民を排斥する運動が起こり、日米両国間で問題となった。そのさなか、両国の子どもたちに「友情の人形交換を」という運動が起こった。
1927(昭和2)年、約1万2000体の青い目の人形がアメリカから届き、そのうち177体が和歌山県に贈られた。熊野地方には串本、古座、新宮などにも配られた。当時の新聞紙面では「人形使節」と伝えている。
県内の各小学校では人形を迎える作文を書いたり、歓迎会が開かれたという記録もあり、当時の子どもたちの喜ぶ顔が目に浮かぶようだ。
そのお礼にと、日本全国の小学生たちも「1銭」ずつ募金を集め、選ばれた人形師による58体の和服が着せられた人形が制作された。各道府県名や都市名が付けられ、アメリカの各州に贈られたという。
しかし、平和はそう続かなかった。両国の子どもたちの思いもむなしく、日米間の関係が悪化。41(昭和16)年12月8日、日本がハワイ真珠湾の奇襲攻撃を行い、太平洋戦争へと突入した。
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「敵国の言葉を使ってはいけない」「敵国の歌を歌ってはいけない」―。
戦争が始まるとともに、多くの禁止事項が増えていった。そんな中、国際交流のシンボルであった青い目の人形にもその矛先は向く。
人形たちは「仮面の親善使」「悪魔の親善使」などと言われ、燃やされたものや、竹やりで突かれたもの、中には木刀でぶってから焼かれた人形もあったという。
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その多くが処分されたといわれる青い目の人形。宇久井小の「エミー」は和歌山県内に唯一残っているものだ。同校の沿革史にも記録がある。
人形を壊すのは忍びないと思った当時の校長が天井裏に隠したという話もあるが、エミーが壊されずに現存している本当の理由は資料がないため定かではない。
しかし、時代を超え、現在も友情の証しである人形が残っていることは言うまでもなく事実であり、この歴史的価値はとても大きいはずだ。
エミーは同校にやってきた当時と変わらず、今も静かに子どもたちを見守っている。平和への願いを青い目に宿しながら。
(2020年5月23日付紙面より)
細菌性食中毒に注意を (新宮保健所 )
一年を通して発生する食中毒。気温が25度を超える日も少なくない今の時季から夏にかけて、特に細菌が原因となる細菌性食中毒が多く発生するようになる。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、テークアウトやデリバリーで食事を提供する店舗が増えている中、新宮保健所では飲食店営業者に安全安心な食品の提供を呼び掛けている。
昨年、和歌山県では7件の食中毒が発生し、患者数は99人だった。全国的には食中毒発生総数1061件のうち、細菌性食中毒が385件と約36%を占める。さらに細菌性食中毒は3月から9月にかけて急増している。そのような状況を鑑み、保健所では飲食店に対し消費者に対するアレルゲンや消費期限、保存方法などの情報提供などを要請。また、食品の作り置きや能力を超えた調理は食中毒のリスクを高めるとし、HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(小規模な一般飲食店事業者向け)を参考にした計画的な調理への協力を求めている。
【飲食店への呼び掛け(テークアウト、デリバリーをする際の注意事項)】
▽刺し身や半生など加熱不十分な料理の提供を控える
▽温かい料理と冷たい料理を一緒に入れない
▽調理後の食品を長時間常温で放置しない
▽食品を冷ます場合は速やかに
▽購入後はすぐに食べるように伝える
▽トイレの後や調理前には必ず手洗いをする
▽調理器具は使い分ける
▽肉や魚は密閉容器で保管する
▽冷蔵は10度以下、温蔵は65度以上で保存する
▽中心温度75度以上で1分間以上の加熱を行う
▽調理器具などの殺菌、消毒を徹底する
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学校の休校や不要不急の外出自粛が続く中、テークアウトやデリバリーを利用する消費者も多い。保健所では利用者に対しても「家に到着後はすぐに食べてください。すぐに食べられない場合は必ず冷蔵庫に保管を」と注意喚起を行っている。
また、再加熱する際は、電子レンジなどで中心部まで十分に加熱し、表示がある場合は記載の消費期限や保存方法に従うことが大切としている。受け渡しによる接触を避けるために玄関先に食品を置く場合には、すぐに取り入れ放置しないよう求めており、「お早めにお召し上がりを。おいしく食べて外出自粛要請期間を乗り切りましょう」と呼び掛けている。
(2020年5月23日付紙面より)
公営駐車場など観光施設 (串本町・古座川町 )
大阪府を含む近畿3府県に対する政府の緊急事態宣言が21日に解除された。和歌山県も呼応して使用停止等要請対象施設の変更など協議を進める中、串本町や古座川町は同日正午現在で公営駐車場など主要観光施設の利用制限を月末まで続けるとしている。
両町の主要観光施設は、新型コロナウイルスの感染拡大防止や地域への流入を懸念する住民感情などを背景にしてゴールデンウイーク前にほぼ全面的に閉鎖・閉館した。
串本町の公営駐車場は当初今月6日までと利用制限の期限を設けていたが、同宣言の期限延長に伴い31日(日)までと変更している。古座川町の公営駐車場は当初から当面の間とし、解除のタイミングをうかがっている。
14日に39県の同宣言が解除され、続いて21日には近畿3府県も解除。県はこれら転機に呼応して同対象施設の変更を進めているが、39県解除を受けての変更では目安となる道の駅が特に強く県外からの受け入れ自粛を依頼する施設の一つに引き続き含まれている。近畿3府県解除を受けての変更は同日内に発表となる見込み(正午現在)だが、串本町は主たる観光関係者との協議や拭い切れない住民不安、古座川町は緊急事態を脱しただけで感染が広まる可能性がなくなったわけではない、などの考えで要請解除の有無によらず閉鎖を続けて情勢をうかがうとしている。
(2020年5月23日付紙面より)
徐福公園ブルーライトアップ (新宮市 )
新型コロナウイルス感染症拡大の脅威の最前線で闘い続ける医療関係者へ感謝の意を伝えるため、22日夜から新宮市徐福の徐福公園でブルーライトアップが実施される。
ブルーライトアップ活動はイギリスのロンドンが発祥。「ブルー」がイギリス国営医療サービスのシンボルカラーであることに由来する。以降、アメリカでは「#Light It Blue」キャンペーンにより多くの建造物や施設が取り組みに参加。日本でも全国津々浦々で観光名所や建造物などが青色に染め上げられている。
新宮市でも、ブルーライトアップにより少しでも多くの人の気持ちがつながり、メッセージが広がっていくこと、また取り組みの連鎖が新型コロナの拡大防止と早期終息に向けた力となっていくようにと願いを込めた。
ライトアップは当分の間、午後6時30分から10時まで行われる。
(2020年5月23日付紙面より)
那智勝浦陸上スポーツ少年団団長兼任コーチ・寺岡功好さん
南紀くろしお商工会青年部 (那智勝浦町 )
新型コロナウイルスの影響を受け、観光のまち・那智勝浦町でも観光客が減少。宿泊業や飲食業、小売業などさまざまな業種が打撃を受けている。そんな中、南紀くろしお商工会青年部(成田雅史部長、部員26人)が新プロジェクト「ばあむエール」を立ち上げた。
感染拡大防止のために自宅で過ごす時間が増えた地域住民が、自宅で楽しむための「モノ」や「コト」を提供する商店を会員制交流サイト(SNS)で紹介することで、客と事業所をともに応援することが狙い。フェイスブックやインスタグラムを用いて情報が発信されている。
なお、ばあむエールで紹介した商品を購入し、撮影した写真を1週間に1回「#ばあむエール」のハッシュタグを付けSNS上で投稿すると、抽選で南紀くろしお商工会の商品券1000円分が当たる。
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地域活性化のためにさまざまな催しなどを企画してきた青年部。現在の状況を鑑みて「町のためになにかできないか」と役員で協議したという。
成田部長によると、ばあむエールは同商工会で発行される広報誌「ばあむ」の特別編として位置付けており、コロナの影響を受けている同商工会エリアの那智勝浦町と太地町の各事業者の売り上げ向上や住民らの生活の充実が目的。
フェイスブックでは日にち順で掲載が確認でき、インスタグラムでは写真などを店舗側が更新するため、最新の情報が確認できる。
「テークアウトの実施や、メニューなど身近な情報をSNSで紹介し、お客さまとお店をつなぐものとして活用していただきたい」と話した。
取材の際は感染拡大予防に重きを置き、できる限り接触を避けるためにSNS紹介用の情報を簡潔に書き込める記入シートを用いる工夫をした。
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同商工会中部支部(山縣弘明支部長)とも連携している。中部支部は主にばあむエールの情報発信と青年部の活動を宣伝していく方針だ。
山縣支部長は「町や県など行政と連携し、この状況を打破していかなくてはならない。青年部の活動を応援したい」と話した。
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1号につき、4店舗が紹介されているばあむエール。現在は7号まで出ており、28店舗が紹介されている。今後も掲載数増を目指すという。
成田部長は「お客さまやお店のお互いが応援し合うことで少しでも町が楽しくなり、活気につながってほしい」と述べ、コロナ終息後もばあむエールをなんらかの形で発展・展開させ、地域活性化につなげていきたいと意気込む。
「この地域には人の温かさを感じる。ばあむエールの取材によって多くのお店の方々と交流できる。これを機にもっと各店舗が一つになれるのでは」と語った。
(2020年5月22日付紙面より)
和歌山県
政府は14日、39県で緊急事態宣言を解除。関西においては緊急事態宣言が継続している大阪府、京都府、兵庫県においても21日に宣言が解除される見通しだ(21日正午現在)。全国的には、新型コロナウイルス感染症の発生が報告されていない岩手県以外では、徳島県、長崎県が現在感染者数0と、抑圧に成功している(19日集計分)。
和歌山県においては11日、4月5日以降約1カ月ぶりに感染者数が1桁台となった。翌12日には再び2桁台となったが、14日以降は新規感染者数0人、現在感染者数8人と1桁台をキープしている。
県内では2月13日に50代男性の陽性が判明して以降、累計で63人の感染が確認された。うち、すでに退院済みが52人、死者数が3人となっている。2月14日に開設した専用電話相談窓口への相談は、今月18日までの約3カ月間で6747件寄せられ、これまで3554人が検査を受けている。
厚生労働省が発表している新型コロナウイルス感染者が入院可能な病床数、宿泊施設の確保状況によれば、和歌山県は病床数117、宿泊療養は報告されていない(14日現在)。近隣県では現在感染者数が5人の三重県では病床数171、宿泊療養64、7人の奈良県で病床数240、宿泊療養108と報告されている。
そもそもの病院数、病床数も考慮すべき判断材料ではあるが、現在感染者数17人の滋賀県においては病床数113と和歌山県より病床数は下回るものの、宿泊療養を62確保し課題解決に向き合っているとみられる。
緊急事態宣言が解除され、引き続き他府県への移動の自粛などの要請はあるものの、少しずつ人の営みが活性化されつつある。しかし、「気の緩み」による新たな感染者を出さないためにも、行政が主体となった継続的な感染拡大防止への取り組みが必要となるのではないだろうか。
(2020年5月22日付紙面より)
産卵確認できずも今後に期待 (御浜町 )
御浜町下市木の七里御浜海岸で20日、昨年より2カ月早く産卵のため上陸したと思われるアカウミガメの足跡が見つかった。紀宝町ウミガメ公園の飼育員、伊藤柊也さんが発見し、2時間半かけて産卵巣を掘るなどして調査したが卵は確認できなかった。
足跡からアカウミガメは19日夜に上陸し、産卵のため3カ所で穴を掘ったが卵を産むことなく海へ帰っていった。
伊藤さんは産卵シーズンになると、紀宝町から御浜町の海岸で上陸調査をしており、今年は初の調査で足跡を発見。「波打ち際から70㍍ほどの堤防にぶつかっているので、もっと奥に行きたかったと思う。何度も穴を掘った跡があるので産む場所に迷ったかもしれない。産卵しなかった原因は分からないが、数日中にこの近辺の浜辺で産卵するかもしれない」と話していた。
同町では昨年、7月23日から8月1日にかけて4頭が上陸し、1頭が産卵した。産卵を発見した際は自然ふ化で見守るが、台風などで浸水しそうな卵は移植するという。
紀宝町では井田海岸が産卵地として知られている。毎年6月1日から同海岸をパトロールする町ウミガメ保護監視員の萩野進也代表は「初上陸は毎年ありがたく思う。例年より早く上陸してくれて、今後の産卵にも期待できる」と話していた。
(2020年5月22日付紙面より)
JR串本駅のカジキ模型 (串本町 )
JR串本駅待合所の一角でこのほど、重量1000㍀(約453㌔)のクロカジキ実物大模型展示が再開した。化粧直しで真新しさを取り戻し、その迫力が鉄道利用者らの目を引いている。
この模型は1992ビルフィッシュトーナメントin串本実行委員会が同駅に託したもので、以前は同駅出入り口上につる形で空中展示。スポーツフィッシングの最高峰となるカジキ類の釣果を競う大会である同トーナメント開催地の象徴の一つとして、毎年開かれる大会日程をアピールする役目を担ってきた。
四半世紀超の展示を経て、劣化による地震や台風時の落下を懸念した同駅から相談を受けた同町は昨秋、展示の在り方を切り替える方向でいったん回収。この機に半年を費やして再塗装などの修復をし、先月21日に木の台座に乗せて据え置く形で展示を再開した。
本年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会が中止となったため、当面は同模型の展示のみ行うそう。来年度の大会実施が決まり次第、告知や解説の各プレートを追加して再びアピールに役立てるという。
同トーナメントの最重量記録は361・2㌔のクロカジキ(体長4・12㍍)で、2018年の第29回大会においてチーム「天晴(てんせい)」に所属する同町上野山在住の杉本光作さん(当時43)が釣り上げたことで開催地でも大きな話題となった。後に日本記録として認められ同チームが制作した魚拓2枚のうち1枚が同町に託され、現在は役場新庁舎完成までの暫定としてホテル&リゾーツ和歌山串本の館内に飾られている〈同施設は現在臨時休館中で6月1日(月)午後3時に再開する予定〉。
同模型は大会記録には由来せず、大会挑戦者が憧れる『グランダー(1000㍀のクロカジキ)』超えの目安となる大きさ(最低ライン)で作られている。以前は大会関係者や鉄道利用者の目に触れる片面だけ塗装されていたが、今回の化粧直しで両面(全体)塗装となり、よりリアルさが増している。
(2020年5月22日付紙面より)
31日に職員が町民宅へ配布 (太地町 )
太地町は19日、新型コロナウイルス感染症対策として新たに全町民に対し、マスク50枚と現金5000円を給付すると発表した。マスクと現金は31日(日)に町職員らが各町民の自宅まで届けるという。
同町は4月16日に同町新型コロナウイルス対策本部を設置し、感染予防に係る住民に対する各種支援事業を実施している。
先月と今月で町民1人当たりにマスク60枚を配布した。さらに米5㌔の支給も行っている。
三軒一高町長は当初から「町民にマスクを100枚は配布したい。残り50枚は交渉中」と話していた。今回、その50枚に加え、住民生活支援給付金事業として、町民の家計を支援する目的で1人当たり現金5000円の給付を行う。
職員らが14班態勢で直接、町民の自宅まで届けるため、受け取りの際の手続きが省略でき迅速な給付が可能になるメリットがある。
また、訪問時に町民の健康状態や現状を把握するとともに、要望や意見を吸い上げ、6月議会に生かしていく予定だという。
三軒町長は「町によって状況は違う。商品券より現金の方が使いやすいという町民の声があったため、ベストを選ばせていただいた。今後も町民のために迅速に対応していきたい」と話した。
(2020年5月21日付紙面より)
無数の光、幻想的に (紀宝町 )
紀宝町平尾井の相野谷川沿いで、ホタルが乱舞する時季を迎えた。川岸や草むらで無数の光を放ち、幻想的な光景が広がっている。
町内にはゲンジ、ヘイケ、ヒメの3種類のホタルが生息し、今の時季はゲンジボタルが乱舞し、6月にはヘイケボタル、ヒメボタルが飛び始める。
町内でホタルの保護活動に取り組むほたるを守る会の蔵本一範会長は「観賞する際は密にならないよう、静かに見守ってほしい」と話している。
(2020年5月21日付紙面より)
世界最小の体長2㌢ (新宮市 )
新宮市の一画で、世界最小のトンボの一つとされるハッチョウトンボの成虫が飛び回っている。
体長は2㌢前後で、1円玉硬貨と同じくらい。未成熟の雄は橙黄色(とうこうしょく)みが強いが、成熟すると鮮やかな赤になる。雌は黄色と褐色のしま模様がある。
世界的には台湾や東南アジア、オーストラリアなど温暖な地域に広く分布するが、DNA解析では地域によって大きな違いが見られ、今後の研究で複数の種に分かれる可能性が高いといわれている。国内では水温が低い丘陵地でも発見されている。生育環境が変わるとすぐにすみかを変えてしまい、和歌山県では準絶滅危惧種に指定されている。
当地方のトンボに詳しい熊野自然保護連絡協議会の南敏行会長は「鉱山跡や温泉地など、鉄分を含む赤茶けた水のある草丈の低い湿地で発見されることが多い。草丈が高くなると敵対する大型のトンボの方が優勢となるため、植物が育ちにくい環境を選ぶのでは」と推測していた。
(2020年5月21日付紙面より)
堀地町内会が商品券配布 (新宮市 )
新宮市千穂の堀地町内会は19日、新型コロナウイルス感染症の影響で冷え込む地元経済の活性化と、地区内住民への支援を目的に、1世帯当たり5000円の商品券を配布した。杉浦正会長が各班長に手渡し、班長から地区内92世帯に配布された。
配布したのは、新宮商工会議所が発行する商品券。市内事業所でのみ使用することができる。商品券の配布を支援策としたのは、コロナ禍が及ぼす商店への影響に心を痛めたことがきっかけ。「市内の事業者を救いたい」と役員らに提案したところ、賛同を受けて決定した。配布後には杉浦会長のもとに「ありがとうございます」と感謝を伝える電話もあったという。
杉浦会長は「堀地町内会役員一同、町内会の皆さんと商店の皆さんに少しでも喜んでもらえたら、との思いで配布を決定した。他の町内会さんも協力していただければ」。
事業者に対しては「新宮は商人のまち。厳しい状況だとは思うが、負けずに頑張ってほしい」と思いを語った。
(2020年5月21日付紙面より)
もみじ会、5月月例杯
令和2年度スクラッチ杯
総監督・福島裕さん、事務局長・木戸地潤さん (新宮ラグビーフットボールクラブ )
山東師範大からマスク届く (新宮市 )
和歌山県と友好関係を結んでいる中国山東省。このたび、山東省の山東師範大学生徒有志からマスク1100枚が届いた。19日、新宮市と山東師範大との関係を取り持った丹羽生さんと濱口太史県議が県立新宮高校、市立緑丘中学校、城南中学校を訪れ、届いたマスクを手渡した。
山東師範大は徐福の縁をきっかけに2017年から毎年研修旅行で新宮市を訪れている。昨年7月にも山東師範大学・大学院の学生と教員らが来新。校内案内や授業風景の視察、レクリエーションなどを通して新宮高校、緑丘中、城南中の生徒らと交流を図った。
今年も7月に国際交流を目的とした来日を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響で断念。マスクは昨年訪れた学生らの呼び掛けにより集められ、このたびの寄贈に至ったという。送られた箱には「有事にはお互い見守り助け合う」といった意味の「守望相助」の文字も添えられている。
丹羽さんと濱口県議からマスクを受け取った新宮高校の前田成穂校長は「マスク不足の中集めてくれた熱い思いに感動している。生徒たちにも伝えたい」。丹羽さんは「中国という国は1つのことをしてあげたら10になって返してくれる。まさかこういう形で返してくれるとは思っていなかった。マスクには昨年のおもてなしへの感謝と『今年も来たかった』の思いが託されているのでは」と話していた。
(2020年5月20日付紙面より)
高田小中と地域住民らが (新宮市 )
新宮市立高田小・中学校(大家淳志校長、児童11人、生徒7人)は18日、学校田の「たか田んぼ」で田植えをした。小雨が降る中、泥だらけになりながら6㌃の田んぼに手作業で苗を植えた。
新型コロナウイルスによる臨時休校が続く中、登校日に合わせて実施し、児童・生徒と教職員の他、育友会や地域住民、卒業生らも駆け付けた。
子どもたちに農業の喜びや高田の自然の大切さを知ってもらおうと、2015年に育友会の溝口亮会長らの呼び掛けで米作りを復活させ、今年で6年目となった。
岡本柊君(1年)は「家にも田んぼがあったので、今回で田植えは3回目くらい。いっぱい植えられた」。水口胡都(こと)さん(5年)は苗を学校に持ち帰り「少ない土でも稲が育つのか、理科で実験するつもり」と話した。
溝口会長は「草取りや収穫などなるべく全ての作業に参加してもらい、農業の喜びも悲しみも、楽しさも苦しさも、より深い部分を経験してほしい。より有意義な活動にしていけるよう、今後も続けていきたい」と語り、作業を終えた児童・生徒に「よく頑張ってくれました。登校するときに田んぼの様子を気に掛けてあげて」と呼び掛けた。
(2020年5月20日付紙面より)
条件付きで施設利用を再開 (潮岬青少年の家 )
串本町潮岬にある県立潮岬青少年の家が19日、県内在住者限定かつ新型コロナウイルス感染予防対策の実践を条件にして施設利用を再開した。同家は日本グラウンド・ゴルフ(GG)協会公認3コースを含む競技環境を有し、練習場所とする愛好者のにぎわいがさっそく戻っている。
国の緊急事態宣言の解除を受けた県は、三つある青少年の家について同日付けで前述の条件を設けつつ臨時休館を解除。潮岬青少年の家によると、宿泊も含めて条件を満たす範囲で受け入れを再開しているという。
同家で特に多いのが同愛好者の日常的な練習利用で、普段は月1回以上の頻度で大会もあり200人前後の参加を集めるほど親しまれている。その規模や県外からの参加も少なくないことから大会実施はまだ難しい状況だが、練習利用は数十人程度であることから受け入れを再開。この展開を見越して臨時休館中、同家職員はコースの雑草引きを重点的にこなして環境維持に努めてきた。
この日は午前中だけで約50人が練習利用を希望し、未明の雨も上がり青空が広がり始める中でプレーに励んだ。愛好者の1人で同家を運営する潮岬おもしろらんど体験学習推進協議会の地主春美会長は「県GG協会の自粛呼び掛けもあり、みんなスティックを握らず家で過ごしていた。これではさすがに体が衰えてしまうので、練習ができるようになったのは本当にありがたい。大会はまだ難しいし三重県方面の愛好者がまだ利用できないけれど、6月以降はせめて利用だけでもできるようになれば」と今後に期待した。
同家は青少年など対象の主催事業を月1回ほどの頻度で開いているが、同日現在で再開は未定。問い合わせは同家(電話0735・62・6045)まで。
(2020年5月20日付紙面より)
交通事故の抑止図る (新宮警察署 )
新宮警察署(小畑博昭署長)正面玄関出入り口で、1500㏄の大型白バイが展示されている=写真。白バイは1991(平成3)年に高速道路警察隊に導入されたもの。2017(平成29)年にその役目を終え、啓発イベントの展示などに活用されてきた。
このたびの展示は、国道42号、168号など、管内の幹線道路における重大交通事故防止を呼び掛けるため。
同署では現在、警察本部交通機動隊の白バイ2台が配備されており、交通事故防止の啓発と合わせて指導や取り締まりを推進している。上畑充史交通課長は「車では行けないような狭い所も捜索でき、管内全域で対応できる」とその機動性の高さを誇る。
展示の白バイは触れたり乗ったりはできないが写真撮影は自由。「新宮警察署を訪れた際にはぜひご覧ください」と呼び掛けている。
(2020年5月20日付紙面より)
土砂災害慰霊碑に案内板 (新宮市熊野川町 )
新宮市熊野川町九重地区で、江戸時代に建立された土砂災害慰霊碑に案内板が設置された。同区の植成実さん(67)が北山川沿いの「花井前(けいまえ)」バス停近くに建てたもので、訪れる人に碑の詳細を伝えている。
慰霊碑、手水(ちょうず)鉢を乗せた石碑、石灯籠からなる土砂災害慰霊碑は当時の医師・湯川為善が1820(文政3)、21(文政4)年に建立したもの。石碑には「あばら屋の北の畑の土を掘り返したところ、この器(手水鉢)を見つけた。おそらくはその昔西の峰が土砂崩れに遭ったのだろう。(中略)この器を『潠水(せんすい)の器』とし、喜んで死者の精霊の傍らにささげよう」との旨が刻まれている。
2011年の紀伊半島大水害で土石流の被害を受けた同区を調査していた和歌山大学災害科学教育研究センター客員教授の後誠介さんが倒木の下で石碑を確認し、県立文書館を中心に碑文の解明が進められていた。
昨年8月に市教育委員会が現状調査をした時に、段差下に落下していた手水鉢を確認。9月の慰霊碑復元行事に先立って周辺の草刈りをしたところ「此土先亡等墓」と記された慰霊碑も発見され、石造物の全容が明らかになった。
案内板を設置した植さんは「湯川氏は何らかの形で自分が住んでいるのが昔の土石流の跡だと知り、足元に埋もれた人々への思いから慰霊碑を建てたのだと思う。その思いを感じていただければ、湯川氏も本望なのでは。夏には区で協力して月1回草刈りをし、できる限り整備していきたい」と話していた。
(2020年5月19日付紙面より)
緊急事態宣言解除を受け (新宮・東牟婁 )
政府が39県で緊急事態宣言を解除したことを受け、各校で学校再開に向けた準備が進んでいる。本紙エリアの各教育委員会に今後の公立小中学校再開の日程や登校日について聞いた。なお、今後の県の対応や感染者の状況に応じて変更する可能性がある。
新宮市は6月1日(月)の学校再開後も5日(金)まで分散登校を実施する。臨時休校中の今週は週2日の登校日を設け、給食も再開。各クラスを2グループに分けて月~木曜日の4日間を交互に登校する。5月25日(月)~6月5日の2週間は月~金曜日の10日間を交互に登校する。
那智勝浦町も今月31日(日)まで臨時休校を継続する。学年別、男女別など分散登校の形態は各校で異なるが、今週は1回、25日からは週2回の登校日を設ける予定。詳細は各校で決定する。
太地町は18日から段階的に町立太地小学校、太地中学校、太地こども園、学童保育を再開する。クラスを分けるなどして3密(密閉、密集、密接)を防ぐ他、今週は時間を短縮して授業を行う。
北山村は、今週は午前中のみ分散登校し、25日から学校を再開する。
なお県立学校も31日まで休校を継続する方針だ。
(2020年5月19日付紙面より)
小型ロケットのぼり披露へ (県立潮岬青少年の家 )
串本町潮岬にある県立潮岬青少年の家(山口和紀所長)がこのほど、こいのぼりに似せた「小型ロケットのぼり」3本を手作りした。同家は19日(火)から県内在住者限定で利用を再開することになり、月末までの天気が良い日に本館前に掲げて利用者に披露するとしている。
同町田原で昨秋に小型ロケット発射場の起工式が営まれて以降、できることを形にし2021年度以降の打ち上げに向けた盛り上げに力を入れている同家。今年2月には公表された小型ロケットの全長18㍍までバルーンを上げて大きさを体感する行事やイベント「おもしろらんど春まつり」会場で実物大のイラストを貼り出すなどして話題作りを重ねている。
「小型ロケットのぼり」は職員の長谷洋さんと中村槇也さんが施設外からの提案を取り入れて挑戦。使い古したシーツをつなぎ合わせ、小型ロケットのデザインに合わせて縫い合わせ着色をほどこした。
全長は約6㍍で実物の3分の1の大きさ。初夏恒例の趣向になっている本館前のこいのぼりに混ぜて掲げるつもりだったが、完成直前に新型コロナウイルス感染予防のため臨時休館が始まり今年はその機会を失った。作り方の要領を得た2人はその後、この「小型ロケットのぼり」をこいのぼりでいう真鯉(まごい)と位置づけて緋鯉(ひごい)相当、青鯉相当の少し小さめの「小型ロケットのぼり」も追加で制作。17日現在で3本が完成し、子どもの日は過ぎてしまったが19日から条件付きで開館できる運びになった喜びと新型コロナウイルス早期終息の願いを込め、期間限定で披露することにしたという。
「こいのぼりよりも生地が厚いが、その分過度にたなびかず直線的なロケットの形を保てて都合が良さそう」と2人はイメージを膨らませながら制作に励み、飛ぶ様子を伝えるため赤い噴射炎を後付けするこだわりも込めた。天気に恵まれた17日にリハーサルで掲げ、たなびき具合を確かめて来る披露に備えた。
着色のにじみを避けるため、雨の心配がない日限定で掲げる予定。長谷さん(53)は「今年はできなかったが、来年はこいのぼりと一緒に掲げてロケットといえば串本のアピールに貢献したい。そのためにも新型コロナウイルスが早く終息するよう願いたい」と話した。
(2020年5月19日付紙面より)
補陀洛山寺で春まつり (那智勝浦町 )
補陀落渡海の信仰で知られる那智勝浦町浜ノ宮の補陀洛山寺(髙木亮享住職)が17日、年中行事の一つ「春まつり」を営んだ。毎年40人ほどの信者が集まるが、今回は新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、僧侶のみで法要を行い、コロナ終息も祈願した。
補陀落渡海は、平安時代から江戸時代まで行われた宗教儀礼。観音の浄土、補陀落山に往生しようと多くの行者が渡海した。渡海上人が一度乗り込むと出入り口には板が打たれ、外に出られないようにした状態で、海のかなたへ出航したという。
この日、世界遺産に登録されている本堂では、同寺の国重要文化財の本尊「三貌十一面千手千眼観世音菩薩」を開帳し、髙木亮英副住職らが読経を行い、護摩壇で祈とうが行われた。
その後、同寺裏山にある渡海上人の供養塔と歴代住職の墓地で追善供養も営まれた。
髙木副住職は「昔、飢餓や疫病で苦しまれた人々のために渡海された上人のためのご供養をさせていただいた。人間にはいろいろな悩みや苦しみがある。その中には病の苦しみがあり、現在はちょうどその時期だと思う。その苦しみを乗り越えて、平和で穏やかな世界になっていただけたらと思いを込めて祈願させていただいた」と語った。
(2020年5月19日付紙面より)
能城地区が区民に応援金配布 (新宮市熊野川町 )
新宮市熊野川町の能城(のき)地区(下阪殖保区長)は15日、「コロナストレス応援金」として区に在住している22世帯に2万円を配布した。
新型コロナウイルスの影響により、自粛を余儀なくされていた区民の生活に役立ててもらおうと、日頃同区が主催する旅行やレクリエーションなどに使用している積立金を活用してはどうかと提案。11日に班長会議を開いて協議の結果、全会一致で決定した。
この日は下阪区長と同区の班長4人が手分けしながら各世帯を訪問し、支援金を手渡した。区民の山口一男さん(79)は「こんなに頂けるとは夢にも思わなかった。お金というだけでなく、区民への心遣いに感謝しています。じっくりと考えて大切に使わせていただきます」。
下阪区長は「当地域での感染は伝えられてはいないが、不安やストレスを抱えながら皆さん生活していると思います。生活などに役立ててもらい、少しでも気持ちを和らげるきっかけになってもらえれば」と話していた。
(2020年5月17日付紙面より)
町在住知らせるペーパー配布 (那智勝浦町 )
那智勝浦町では仕事や転居の都合でやむを得ず県外ナンバーの車を使用している人たちに向け、「町在住者」であることを知らせるペーパーを無料で配布している。
ペーパーはA4サイズの用紙に「那智勝浦町在住者です」と印刷されたもので、車内の人から見える場所に置くなどして使用する。
なお、ペーパーは在住を知らせるもので、在住を証明するものではないという。同町役場2階の総務課で発行でき、その際に氏名、住所、連絡先、車両のナンバーの記入が必要になる。
総務課の塩﨑圭祐課長は「お困りの方や不安のある方はぜひ、お気軽にご利用し、役立てていただけたら」と話している。
問い合わせは同町役場総務課(電話0735・52・4811)まで。
(2020年5月17日付紙面より)
緊急事態宣言解除に伴い (和歌山県 )
和歌山県の仁坂吉伸知事は15日、同県を含む区域の緊急事態宣言解除を受け、営業自粛の一部解除と県民に対する要請を出した。
要請では、引き続き「人と人との距離の確保」「マスクの着用」「手洗い」などの基本的な感染予防対策を呼び掛けるとともに、3密を避けることや体調の優れないときの外出自粛などを訴えている。
営業自粛の一部解除に伴い、全業種に対するガイドラインなどに沿った感染予防や小規模イベントの感染防止対策の徹底なども要請している。
集団生活を行っている施設に対する職員の感染防止対策や個別での食事の提供、面会の自粛なども継続する。
行楽や旅行など不要不急の他府県への移動や他府県からの来客受け入れに関しても引き続き自粛を呼び掛けている。
臨時休校に関しては、県立学校は引き続き31日(日)まで。18日(月)以降、各学校で登校日を設定し健康管理と家庭学習の指導を行う。
また、県内および近隣府県の感染状況が一定の基準=別図=を上回った場合には、自粛要請レベルの再引き上げを含む見直しを行うなど、県民の安全の確保に努めていくとしている。
【緊急事態宣言の解除による休業要請対象施設の変更】
※詳細は県ホームページ(https://www.pref.wakayama.lg.jp)を参照
■営業に当たってガイドラインなどによる感染防止対策の徹底を要請する施設
▽運動施設(屋外・屋内施設)▽遊興・遊技施設▽劇場など▽集会・展示施設▽博物館など▽大学・学習塾など▽商業施設
■営業自体の自粛の法的要請をする施設
▽遊興施設▽運動・遊技施設▽文教施設
■特に強く県外からの受け入れ自粛を依頼する施設
▽道の駅(地域振興施設に限る)▽農林水産物直売所▽自動車教習所・自動車学校▽キャンプ場▽海水浴場、海浜公園、釣り公園その他類する施設▽釣具・えさ店▽遊漁船▽内水面遊漁承認証販売所▽ゴルフ場▽ホテルまたは旅館(宿泊の用に供する部分)▽従来から県外からの客が多い飲食店および販売店
□ □
解除に伴う県民への要請は次の通り。
5月14日、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部において、緊急事態措置を実施すべき区域から、本県を含む39県を解除することが決定されました。
これまで本県は感染拡大防止のため、行政・医療における努力や行動・営業の自粛といった県民の努力を重ねてまいりました。特に県民の皆さまの行動・営業の自粛のご協力については心より感謝申し上げます。おかげさまで本県の新規感染者はほぼゼロに近づき、そのことが評価されこのたびの解除につながったものと思います。
これを受けて、本県でも、外出や営業の自粛などについて次の三つの視点(安全な生活・安全な外出、他府県などへの配慮、段階的に)により見直すこととしました。これまでの不要不急の外出の自粛から、今後は自らが安全な生活や安全な外出に努めていただくとともに、大阪などの特定警戒都道府県に隣接していることもあり、そのような状況にも配慮しながら、できるところから段階的に見直すこととしました。
県民の皆さま等におかれましては、今後も、継続的に感染拡大防止の取り組みが必要なことから、ご理解とご協力をいただきますようお願いします。
(2020年5月17日付紙面より)
県の緊急事態宣言解除受け (紀宝町 )
三重県が緊急事態宣言解除されたことを受け、15日から紀宝町内の町立鵜殿図書館、鵜殿運動場、深田運動場、田代体育館、生涯学習センターまなびの郷、井田公民館、ふるさと資料館、ふるさと歴史館の各施設が利用を再開した。
18日(月)には町民限定で地域子育て支援センターが利用可能となる。特別定額給付金受け付け会場となっている鵜殿体育館は6月1日(月)からの予定となる。
体育施設は原則、利用の範囲を町内在住者に限定。県外からの帰省者は帰省から2週間程度利用を控える。利用人数は1団体50人までで、利用時は▽3密を徹底的に避ける▽室内の換気や人と人の距離を適切にとる▽手洗い、せきエチケット―など基本的な感染対策の徹底を求めている。
問い合わせは町教育委員会教育課(電話0735・33・0341)まで。
鵜殿図書館(岸葉子館長)では、貸し出しと返却のみの利用を開始した。午前9時30分から午後6時までで、休館日は月曜日、祝日と毎月の最終木曜日。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、長時間滞在しない形でサービスを提供。利用は同町在住・在勤に限定し、マスクの着用を呼び掛けている。
施設内ではいすや机の使用を禁止し、入り口でアルコール消毒をして、来館者カードへの記入を求めている。カウンターにはビニールカーテンを設置した。
岸館長は「本の返却はブックポストへお願いします。ご不便をお掛けしますが、ご理解とご協力をお願いします」と話している。
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16日には道の駅「紀宝町ウミガメ公園」が再開した。物産館、情報コーナーは午前8時30分から午後2時30分まで、テークアウトコーナーは午前10時から午後5時まで営業している。一方、資料館、水族館、レストランは引き続き休館している。
物産館では、地元の土産物を集めた特設コーナーを設置し、300~500円で販売。これらの商品を詰め合わせにした「南紀応援セット」も用意し、ホームページか同館(電話0735・33・0300)で予約を受け付けている。
同公園を運営するウミガメフーズの石本慶紀社長は「4月22日から休業し、今月7日に再開を予定していたが、再延長していた。緊急事態宣言解除を受けて再開の運びになりました」と語った。
(2020年5月17日付紙面より)
有志が200万円を寄付 (新宮市 )
新宮市在住の青沼正男さんと岡知行さんは15日、市役所を訪れそれぞれ100万円を寄付した。田岡実千年市長は「大切に使わせていただきます」と感謝を述べた。寄付金は市の「新型コロナウイルス感染症対策基金」の財源として、新型コロナ対策に充てられる。
「新型コロナウイルス感染症対策基金」はふるさと納税を通じた寄付や指定寄付を財源とし新型コロナ対策の実施に要する経費に充当するもの。13日の市議会臨時会で条例が可決されていた。
青沼さんと岡さんは同級生同士。条例の制定を受け「愛する新宮市のためにぜひ協力を」と寄付を決めた。
寄付に当たり、青沼さんは「基金創設に当たりスピード感を持ってやってくれた。基金の使い道を明確にし第3、第4の支援策を。『頑張ろう新宮市』の機運が高まれば」。
岡さんは「新宮のまちが大好きで愛情を持っている。新宮市ほど飲食店が多く、質も高いまちはない。このままではまちの灯が消えてしまうと思った。これからも熊野の中心であってほしい」。
また、市に対し「困っている人、大変な思いをしている人はたくさんいる。市にはそれを分かってほしい。『市民あっての新宮市』という気持ちを持って少しでも寄付を」と思いを語った。
田岡市長は「基金を創設したタイミングで、多額の寄付金を頂いた。有効的に使っていきたい。お二人の思いや志が広く伝わり、寄付に賛同していただける人が増えれば」と話していた。
(2020年5月16日付紙面より)
臨時議会後、申請書郵送開始 (那智勝浦町 )
那智勝浦町議会(荒尾典男議長、12人)は15日、同町役場議場で臨時議会を開いた。同町は専決処分の報告7件と、国が行う「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」である特別定額給付金給付事業などを盛り込んだ令和2年度一般会計補正予算案を町議会に上程し、承認・可決された。同給付金事業の申請書類の郵送が15日より始まっており、18日(月)から受け付けが開始となる。振り込みは22日(金)から開始される予定。
同補正予算案は、前述の給付事業に加え、児童手当の受給者に対象児童人数に1万円を上乗せした手当を給付する子育て世帯への臨時特別給付金給付事業も含まれている。歳入歳出にそれぞれ15億629万円を追加し、総額103億2240万1000円とするもの。
曽根和仁議員は「他の自治体もさまざまな支援が実施されている。町独自の支援は考えなかったのか」と質疑。当局は「今後、さまざまな支援策を6月議会でお示ししたい」と答弁した。
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堀順一郎町長は感染症対策本部を設置し、▽経済対策や町内の状況把握▽各課の対応や感染が発生した場合の対応▽役場や消防、町立温泉病院などの業務継続の態勢整備―などを実施・協議してきたと報告した。
各種の納税についても、国が示す徴収猶予ができる特例や介護保険料の減免などに触れ、「コロナの影響で収入が減少し、納税が不安な方々への支援策をしっかりと知らせていく」と述べた。
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堀町長は「まちなか商品券以外にもさらなる対策が必要だと考えている」とし、6月議会に上程する議案の検討を急いでいると説明。
国から交付される地方創生臨時特別交付金を財源として、「主力である観光産業への支援」「緊急に対策が求められている避難所の感染症対策」「収入が減少した方や小規模事業者へのさらな
る支援」の三つを軸に対策を提案したいと訴えた。
□ □
町の歳入の大幅減少が見込まれていることから、苦しい状況である町民に寄り添い、痛みを分かち合うためとし、堀町長は「私自身の給料の減額についても6月議会に上程させていただきたい」と話した。
(2020年5月16日付紙面より)
実行委員会の総意固まる (串本町 )
串本町が14日、真夏を盛り上げる2大イベント群「熊野水軍古座河内祭(こうちまつり)の夕べ」「串本まつり」の中止が決まったことを発表した。いずれも町内外から集客があり、主催者の事務局を担う役場産業課は中止の広報に努めている。
新型コロナウイルス感染予防対策に伴う地域経済の苦境や3密回避の機運などを背景にした判断。両イベントとも企画の中軸に花火大会を据えているが寄付で支えられている点で今回は情勢的に実施が難しいこと、他の企画も3密回避が求められる情勢により実施が望ましくないなどで主催する各実行委員会の役員会から中止の方向性が示されていた。
決定は総会の判断を要し、「串本まつり」の実行委員会は総会相当の書面決議、「熊野水軍古座河内祭の夕べ」の実行委員会は口頭による全委員の意思確認で総意が成り中止が決まった。後者は今後の書面決議で中止を確定するという。
「熊野水軍古座河内祭の夕べ」は古座川河口域の祭礼「河内祭」(例祭日は7月25日の直前の日曜日)の奉賛行事として例祭日夕刻~夜半に営まれているイベントで、花火大会のほか夜店やビアガーデン、ステージアトラクションといった企画で納涼のひとときを提供している。
「串本まつり」は近年7月最終の日曜日と8月最初の土、日曜日を期日にして開いていて、昨年は▽橋杭ビーチサマーフェスタ▽串本ダンスフェスin橋杭▽串本節踊り▽花火大会▽ふれあい広場〈フリーマーケット〉・アユのつかみ取り・ビンゴゲーム大会▽サマーBANDライブ―といった企画を実施した。
関連イベントのビアガーデン(花火大会に連動)も中止。同じく海上保安フェア(最終日に連動実施)を主催する串本海上保安署は関連先の中止を受け実施有無の検討を進めている。
(2020年5月16日付紙面より)
少林寺拳法南紀熊野スポーツ少年団部長・上平幸生さん
【第12回】偏食克服レシピ
前回までは、偏食克服のヒントをお伝えしてきました。どんなに声かけしても、一緒に作っても、生活リズムを整えても、そんなに簡単に偏食は克服できない!!と言う方もいらっしゃると思います。そこで、今回は偏食克服レシピをお伝えしようと思います。
子どもたちが嫌い!!と言うものは大抵お野菜ではないでしょうか? ピーマンやセロリ、ブロッコリーなど、緑のものは嫌われることが多いですよね。あとはニンジンやトマト、ナスなんかも嫌いというお子さんは多いと思います。ここに挙げたものは全て、細かくカットして加熱することで食べられることが多いものです。カレーやハンバーグに入れるというのは、偏食克服の常とう手段ですよね。これも、細かくカットして加熱しているわけですね。もしもカレーでも嫌がるお子さんの場合は、細かく切るの「細かく」を「もっともっっと細かく」してみてください。これで大抵のお子さんが食べられるようになります。
野菜が苦手な子どもたちのほとんどは「食感」「香り」「苦味」が嫌というケースです。その「食感」を感じないほどクタクタに加熱して、「香り」や「苦味」を感じない味付けにすることが食べられるポイントです。私の一押しは「そぼろ丼」です。ひき肉と野菜を炒めるだけの超簡単料理なのですが、大切なのは、とにかく野菜を細かくすること。ではそのレシピをお伝えしますね。
◇ ◇ ◇
【そぼろ丼(材料2~3人前)】
・鶏ももひき肉…………200㌘
・ニンジン………………1/3本(40㌘)
・ピーマン………………1個
・小松菜…………………1株(45㌘)
・長ネギ…………………1/3本(30㌘)
・ショウガみじんぎり…小さじ1
・目玉焼き・ご飯
《A》
・酒………………………大さじ1と1/2
・砂糖……………………大さじ1と1/2
・しょうゆ………………大さじ1と1/2
・油………………………大さじ1/2
①ニンジン、ピーマン、長ネギをみじん切りにし、小松菜は葉と茎を分けて茎は縦に細切りにし小口切り、葉は粗みじん切りにする。
②フライパンに油を熱し、鶏ひき肉とショウガ、ニンジンを入れて炒める。ひき肉の色が変わってきたら残りの野菜とAを加えて汁気が少なくなるまで炒め合わせる。
③丼にご飯をよそい、そぼろを乗せて目玉焼きを添える。
◇ ◇ ◇
たったこれだけです。ポイントは甘辛味! しょうゆと砂糖の甘辛味は、子どもの大好きな味付けなので、しっかり味だと食べてくれることが多いんです。卵黄を乗せて食べたいところだと思いますが、殻に付いたサルモネラ菌がお子さんに感染すると大変なので、目玉焼きがオススメです。ここで余談ですが、目玉焼きって皆さんどうやって作りますか? お水やお湯を入れて蓋をして少し蒸し焼き? 時間があるときはず~っと弱火で一切触らず、蓋もせず焼いてみてください。食品サンプルのような美しい目玉焼きが焼けます。テレビに出す目玉焼きは全て超弱火で時間をかけて焼いているものなんです。
もちろんレシピはアレンジ自由なので、お子さんの苦手な食材を入れて、冷蔵庫にあるもので作ってみてくださいね。
3回にわたって偏食についてお伝えしてきましたが、「偏食はそんなに気にしなくていい!」というのが私の持論です。ご心配は分かりますが、年齢が上がると克服できることがほとんどですし、神経質になる必要はありません。時には一緒にお料理しながら、食べられたら思い切り褒めてあげて、今できるコミュニケーションを楽しんでみてください。そして何より、食事は楽しい!という意識を持たせてあげることが、偏食克服につながると確信しています。
(2020年5月16日付紙面より)
城内太鼓【新宮市】 (熊野アーカイブ ~熊野に人あり、歴史あり。~ ② )
私たちが住む熊野地方には、いにしえの時代より脈々と続く歴史と文化、人の営みがあります。そしてそれを伝えてきた人々の姿も。
「熊野アーカイブ」は、そんな当地方の「人」「歴史」「文化」「モノ」「コト」などにスポットを当て、ふるさとの魅力を再認識する機会へとつなげる試みです。
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キーンコーンカーンコーン。今日(こんにち)も授業の開始や終了を伝えるチャイムがまちなかに響く。耳慣れたこのチャイム音が日本で初めて導入されたのは戦後のこと。東京都の中学校で採用されて以来、全国の小中学校のチャイムとして普及。現在では「学校のチャイム」として定着している。
戦前の新宮のまちで、子どもたちや地域住民に登校の時刻を知らせていたのが「城内太鼓」。現在は市立神倉小学校に保存・展示されている=写真。1970(昭和45)年、市有形民俗文化財に指定された。
ケヤキの大木をくりぬいて作られたこの太鼓は、「熊野年譜」に江戸時代後期の1855(安政2)年「御城内にて登城の御太鼓を初めて打つ」と記されており、当時新宮城で使用されていたことが分かる。
その後、新宮藩庁の役人の出庁、退庁の合図に使用され、73(明治6)年、新宮藩庁の建物を使用した新宮小學校が誕生してからは、登校の合図として使われていた。新宮小學校は明治8、9年にかけて千穂、龍鼓、丹鶴、堀地、蓬莱の各小學校に分かれた。太鼓は丹鶴小學校に引き継がれ、1938(昭和13)年ごろまで午前午後の授業開始の合図に打ち鳴らされていたという。
旧丹鶴小学校に伝わる由来には「本校は、創立以来この大太鼓を使用し、毎朝校門をあける際、打ちならしたといわれる。子供達は『太鼓なった、門あいた。』といいながら登校した。~略~本校に在学した者は皆思い出の最も深いものとしている」(原文ママ)と記されている。制作年月日は不詳。1868(明治元)年、皮を張り替えたと記録。台座は文化財指定の2年前の1968(昭和43)年に寄進されたもの。
2012(平成24)年、丹鶴小学校と千穂小学校が統合し、現在の神倉小学校が誕生。かつて子どもたちの登下校を見守り続けた太鼓は、今は静かに歴史を子どもたちに伝え続けている。
(2020年5月15日付紙面より)
関係予算専決し施行を急ぐ (串本町 )
串本町が14日、新型コロナウイルス関係の経済支援5施策を発表した。町民への不織布マスク配布や県外ナンバー車利用者への在住マグネットシート配布に続く町独自施策で、関係予算を専決処分する方向で施行を急いでいる。
今回発表したのは、13日にあった町議会新型コロナウイルス感染症対策特別委員会への報告に盛り込んだ新規施策で、▽子育て世帯への臨時特別給付金〈こども未来課〉▽まちなか・子育て応援弁当事業〈同〉▽小規模事業者等支援給付金交付事業〈産業課〉▽学生生活支援事業〈教育課〉▽準要保護児童生徒昼食費援助事業〈同〉―がある。
概要は後述の通り。いずれも準備が整い次第施行するとしている。問い合わせは各担当課(電話0735・62・0555〈役場代表番号〉)まで。
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■子育て世代への臨時特別給付金〈こども未来課〉
4月分の児童手当受給者を対象にし、対象児童1人につき1万円を上乗せ支給する。町からの支給対象者は申請不要で、受給を拒否する場合は届出書の提出が必要〈締め切りは29日(金)〉。支給対象者が公務員の場合は所属庁の案内に基づく申請が必要になる。
■まちなか・子育て応援弁当事業〈同〉
令和3年3月末時点で満18歳以下の町内在住者を対象にし、その保護者に1人につきクーポン券5000円分(利用期間は6月から8月までの3カ月間)を郵送配布する。「まちなか応援ごはん」登録店舗で弁当などを購入する時に使える。学校などの臨時休業に伴う家庭の負担軽減と登録店舗の経営支援を目的とし、鋭意活用を呼び掛けている。
■小規模事業者等支援給付金交付事業〈産業課、要申請〉
町内において借り店舗で営業する事業者に家賃(補助対象上限5万円)の8割×3カ月分を支給。持ち店舗(自宅含む)で営業する事業者に一律3万円を支給する。対象条件の設定あり。申請期間は5月下旬から8月末までで、詳しい申請方法は後日チラシなどの媒体で公表する。
■学生生活支援事業〈教育課、要申請〉
同支援給付金交付要綱を定め、支援を必要とする町出身の学生に一律3万円を交付する。対象は大学や短期大学、学校教育法に定める専門学校、その他町長が認める学校に在学する出身者で、原則本人か家族の申請が必要。申請期間は5月下旬~8月末までで、申請方法は後日公表する。
■準要保護児童生徒昼食費援助事業〈同〉
町内の同児童生徒に対し、学校の臨時休業で家庭の負担となっている昼食費(学校給食費2カ月分相当)を援助する。給付額は1人につき小学生が8400円、中学生が9000円。
(2020年5月15日付紙面より)
条件付して事業者に5万円も (新宮市 )
新宮市議会(前田賢一議長、15人)は13日、臨時会を開き、新型コロナウイルスの影響における経済支援策としての一般会計補正予算案などを審議し「新宮市生活支援給付金」と「新宮市経営持続化支援金」の給付を定めた同案を全会一致で可決した。
「生活支援給付金」は、新型コロナの全国的な感染拡大の影響を受けている市民に対し、マスクなどの衛生用品の購入や家計への支援として一律1万円を給付するというもの。支給は6月下旬ごろを予定している。
「経営持続化支援金」は売り上げが減少している中小事業者を対象に事業継続を支援するため、1事業者につき5万円を給付する。条件は今年1~6月内のひと月の売り上げが前年比30%以上減となっていること。7月以降に開業した事業者については、開業してから12月までの売り上げ平均より30%減少していることが条件となる。来週あたりに申請受け付けを開始する予定で、給付は早ければ今月末。受付期限を7月31日(金)までとしている。申請書は市役所、別館、支所、行政局、商工会議所などに設置する。
採決に当たり松畑玄議員が賛成討論。「市は財源が少ない中、工夫と努力をもって政策を進めていかなければならない。今回は知恵を絞った施策が打てたのでは」と述べた。
可決を経て、田岡実千年市長は次のコメントを寄せている。
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市民の皆さまにおかれましては、日頃の新型コロナウイルス感染予防対策に多大なご理解・ご協力を賜り厚く感謝申し上げます。
このたび、マスクをはじめ衛生用品購入など、家計負担の増加状況を踏まえ、生活支援策として「市民一律1万円」の給付を行うことといたしました。また、経済支援対策として、前年比収益減 30%以上などの条件を付しますが、幅広い業種の経営持続化を支援するため、「1事業者につき 5万円」の給付を行うこととしました。
詳しくは後日広報などいたしますが、多くの方に申請いただけますよう市民・市内事業者の皆さま方にお知らせいたします。
なお、市役所別館に「新型コロナウイルス感染症経済対策室」を設置しております。手続きなどにお困りの方は、何なりとご相談いただきますようお願い申し上げます。
長引く自粛要請により社会生活の不安が大きくなっています。体の健康と共に、心の健康も大切です。こういう時こそ、温かな人間関係が求められます。市民一丸となってこの難局に打ち勝っていきましょう。
(2020年5月15日付紙面より)
近大校友会が近大新宮に (新宮市 )
近畿大学校友会熊野新宮支部の石垣俊光支部長ら6人は12日、近畿大学附属新宮高校・中学校(池上博基校長、生徒486人)を訪れ、マスク2000枚を寄贈した。
校友会は近畿大学と近畿大学工業高等専門学校の卒業生で組織し、同支部には串本町~熊野市在住の130人が所属している。年1回の総会の他、母校の教育活動支援や地域の祭りへの参加など多方面で活動している。
石垣支部長は「ぜひ学校で役立てていただきたい。新型コロナウイルス感染症の一刻も早い終息を願っている」と述べ、池上校長は「ちょうど今日から4日間、グループ別に生徒の登校日を設けており、教職員・生徒ともにマスクが必要になる。校友会が応援してくださり大変ありがたい」と感謝した。
(2020年5月15日付紙面より)
新型コロナ対策基金条例を可決 (新宮市 )
新宮市議会(前田賢一議長、15人)は13日、臨時会を開き、新型コロナウイルスの影響における経済支援策としての一般会計補正予算案などを審議。市民に一律1万円を給付する「新宮市生活支援給付金」と、幅広い業種の事業継続支援のために条件付きで5万円を給付する「新宮市経営持続化支援金」について議論した。13日正午現在。
先月28日に開かれた臨時会では、市が上程した支援策について「新宮市飲食店経営持続化支援金」に係る予算を除いた修正案で可決。市は新たな支援策の提案を求められていた。
「生活支援給付金」は、新型コロナの全国的な感染拡大の影響を受けている市民に対し、マスクなどの衛生用品の購入や家計への支援として一律1万円を給付するというもの。
「経営持続化支援金」は、売り上げが減少している中小事業者を対象に事業継続を支援するため、1事業者につき5万円を給付する。1~6月の売り上げが前年比30%以上減となっているなどの条件を付す。
事業費は合わせて4億3650万円。財政調整基金繰入金と前年度繰越金を充当する。
また、寄付金などを原資として、新型コロナに関する対策の実施に要する経費に充てるため「新宮市新型コロナウイルス感染症対策基金条例」を可決。ふるさと納税を通じた寄付や指定寄付などを財源としていく。田岡実千年市長は「コロナの終息にはまだまだ時間がかかると予想される。今後、第3、第4の施策が必要になってくる。その時のために利用できれば」などと説明した。
(2020年5月14日付紙面より)
10万円給付金の郵送申請 (新宮市 )
新宮市は、1人当たり10万円を支給する国の新型コロナウイルス感染症緊急経済対策「特別定額給付金」について、郵送申請の受け付けを14日(木)から開始する。
給付金の申請方法は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、郵送申請または国の専用サイトでのオンライン申請(7日に先行して受け付け開始)を基本としている。支給対象者は、令和2年4月27日の基準日において同市の住民基本台帳に登録されている全ての人(外国人登録を含む)。
対象者の属する世帯の世帯主へ13日に申請書が発送される。郵送申請を希望する場合は、届いた申請書に必要事項を記入し返送する。郵送申請・オンライン申請のいずれも期限は8月13日(木)まで。
支給方法は、原則として受給権者(世帯主)の口座への振り込み。通帳を持っていないなど特別な事情がある人に限り、窓口での受け取りも可能だが、口座振り込みの場合に比べて日数がかかる。
振り込みは5月末から開始する予定で、申請から振り込みまでは2週間程度を要する見込みだという。
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市では「特別定額給付金を装った詐欺の被害が報告されています。国や新宮市が『特別定額給付金』に関連して、現金自動預払機(ATM)の操作をお願いしたり、手数料の振り込みを求めたりすることは絶対にありません。振り込め詐欺や個人情報の詐取に十分ご注意ください」と呼び掛けている。
(2020年5月14日付紙面より)
秋の稲刈りなど体験に向け (古座川町 )
古座川町立高池小学校5年生の稲作体験(通称・米米クラブ)に協力している同町池野山の淡佐口幸男さんらが12日、新型コロナウイルス感染予防のため同体験の第一歩を踏み出せない本年度の5年生に代わって田植えに取り組んだ。
例年はゴールデンウイーク明けに児童を迎えて同体験の第一歩となる田植えをしているが、本年度は同予防目的の臨時休業によりそれができない状況。近所の中根和夫さんや奥根公平さんの協力を得つつ十余年来機会提供をしている淡佐口さんは「今は無理だが収穫の頃には状況も変わって稲刈りはできるだろう」と見越し、今年は自分たちで田植えをすることを3人で申し合わせて例年通りの準備を進めてきた。
3人の動きを田植え直前に知った大畑眞校長はすぐさま手伝いを申し出て、この日は児童の代わりに若手の教員4人を連れて合流。淡佐口さんは例年と同じ広さ1・5㌃の水田を仕立てて提供し、一丸でもち米「かぐらもち」の苗を3~4本ずつあらかじめ付けられた30㌢間隔の筋目に合わせて植え込んだ。
稲刈りは9月初旬ごろになる見込み。学校が再開してもすぐに同体験を始めるのは難しいと考え、例年は5年生が取り組んでいる草引きなどの中間管理も今年は淡佐口さんらが担当する方向で申し合わせた。
淡佐口さんは「(大豊作なら45㌔採れる水田で)去年は18㌔しか採れなくて申し訳なかった。今年はせめて30㌔以上は採れるよう管理していきたい」と大畑校長らに伝え、改めて本年度の5年生11人が秋に稲刈り~脱穀~精米を体験しに来ることを希望した。
(2020年5月14日付紙面より)
新型コロナ対策総合相談窓口設置 (那智勝浦町 )
那智勝浦町は11日、同町役場1階(選挙時の期日前投票所)に新型コロナウイルス感染症対策総合相談窓口を設置した。現在は国が緊急経済対策として実施する「特別定額給付金」10万円の給付を円滑に行うための作業を進めているが、窓口業務が開始される18日(月)からは個人や事業者からの新型コロナに関する相談を受け付けるという。
同町によると、窓口では飛沫(ひまつ)感染を予防するためのビニールなどの取り付けやアルコール消毒などを室内に準備するとともに、「3密」を避けながら国の給付金の申請書類を整え、封入する作業に取り組んでいる。
給付については、15日(金)の臨時議会で給付金関連の予算議案が議決された後に申請書類を全町民に発送する。18日に申請受け付けを開始し、1回目の振り込みは28日(木)を予定しているという。受け付けは8月17日(月)まで。
窓口では申請書類についての質問や問い合わせに対応する。電話でも可能。また、新型コロナに関する個人の生活支援や事業者からの相談に対しては「国の貸付制度などは町として対応できない部分もあるかと思うが、できる範囲で各担当課がこの窓口でワンストップで対応いたします」と話している。
総務課の仲紀彦副課長は「10万円給付が素早く行き渡るように準備をさせていただいている。それ以外のコロナ関連のご相談でもアドバイスなど、適切に対応できるように努めていきたい」と話した。
(2020年5月14日付紙面より)
千鳥会が会員に支援金配布 (新宮市 )
新宮市の町内会・千鳥会(濱優治会長)は11日、新型コロナウイルス感染症に対する支援策として、町内会の62世帯に対し支援金として1万円を配布した。
同町内会では1カ月ほど前から「会員のために何かできないか」と協議を重ねてきた。当初は感染予防に役立ててもらおうとマスクや消毒液の配布を模索していたが、確保が難しい状況から断念。「先の見えない不安な日々が続く中、何かの役に立ててもらえれば」との思いから現金での支給に至った。
支援金配布は9日の役員会で正式決定。町内会で長年にわたって積み立ててきた街路灯の維持管理費などを充てた。また、同町内会では昨年から今年にかけて、災害対策として古くなった街路灯を撤去し電柱に新たに電灯を取り付ける工事を実施。工事は維持管理費の低減にも一役買っているという。
この日は濱会長と会計補助の佐藤輝子さん、会計監査の上平忠司さんが会員宅を一軒一軒訪ね、支援金を手渡した。支援金を受け取った女性は「ありがたいの一言に尽きます。喜びが支えになりますね」。
濱会長は「こういう時のための町内会ではないか。いいことも苦しいことも分かち合って共助の気持ちを大切に、今後も千鳥会が発展・維持していくことができれば」と話していた。
(2020年5月13日付紙面より)
日本環境開発㈱がマスクを寄贈 (新宮市 )
新宮市王子町の日本環境開発株式会社の中村進太郎代表取締役は11日、市役所を訪れ、マスク3万枚を寄贈した。目録を受け取った田岡実千年市長は「大変な枚数のマスクを寄贈いただき、心よりありがたく思います」と感謝を述べた。
マスク製品事業を展開する株式会社エリートグリップ(本社・東大阪市)の会長と中村代表取締役が知人であったことから、このたびの入手に至った。「私利私欲ではなく市民のために」と協力を求めたという。寄贈に当たり、中村代表取締役は「困っている人や必要としている人の元に行き渡れば」と話していた。
寄贈されたマスクは、現場の最前線で従事する医療スタッフや、一般的に肺炎などになった場合に重症化する可能性があり、レントゲン撮影や使用できる薬剤に制限がある妊婦などに配布される予定。
(2020年5月13日付紙面より)
図書館所蔵の方向で調整中 (串本町 )
トルコ軍艦エルトゥールル号(以下エ号)の1990年以降の遺品発掘調査の記事などを収めた記録冊子がこのほど、串本町に寄贈された。同町は図書館を所蔵先にし、日本トルコ友好史関係書棚で見られるようにする方向で調整しているという。
この冊子は同町域のダイビング事業の創成に関わった榎本広志さんが30年越しで作成。子どもがいる大阪へ転居した機にかつてダイバー仲間として一緒に活動していた熊野古道大辺路刈り開き隊隊長の上野一夫さんに「管理してほしい」と求め、ふるさとに残すべく引き継いだ。
上野さんは自分よりも同町が管理して町民に見てもらった方が良いと考えて同町総務課国際交流担当の岡嵜達史さんに相談。同町姫の旧養春小学校内にあるエルトゥールルリサーチセンター(ERC)も所蔵場所候補として挙がったが、上野さんの希望に沿う形で調整が進むに至っている。
冊子はA4判固定40ポケットのクリアブック2冊構成。ポケットの両面で内容を見られるようにし、計160㌻の枠内に発掘調査やそれに基づく日本トルコ友好関係の記事と榎本さんの所見、発掘調査時などの写真資料などが収まっている。
エ号発掘調査は1978年に第1回、90年に第2回を実施。最近では2006年から数年がかりでトルコ人海洋考古学者のトゥファン・トゥランルさんを団長とする調査団が発掘に臨み、大鍋や砲弾など8000点余りを引き上げその一部が保存処理を経てトルコ記念館で展示保存されるところとなっている。
この寄贈について上野さんは「自分(=上野さん)に管理するよう言ってきたが、内容を見てこれはみんなに見てもらった方が良いと感じて役場にお願いした。図書館に置いてくれることになりそうで、そのことを話したら本人(=榎本さん)も喜んでいた」と話した。
(2020年5月13日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)の旧社地「大斎原(おおゆのはら)」の大鳥居が11日夜からスカイブルーに染まった。
大鳥居建立20周年記念と新型コロナウイルス感染症の影響により国内外の医療関係者をはじめ、国民の生活や命を守るために働いているエッセンシャルワーカーなどへの感謝や応援、「不要不急の外出を控えよう」とのメッセージを込めた。土・日曜日を除き21日(木)までの期間中、午後8時から9時までライトアップされる。
同大社では「大社のホームページに写真を掲載するのでご覧いただきたい。医療崩壊へとつなげないためにも不要不急の外出自粛をお願いします」と呼び掛けている。
(2020年5月13日付紙面より)
佐野区でマスクなど配布 (新宮市 )
新宮市の佐野区(前田道春区長)は10日、佐野区加入の約1200世帯と賛助区民18社に対し、マスク1箱(50枚入り)と消毒液(500㍉㍑入り)を配布した。佐野会館に集合した15人ほどの代議員らが世帯数のマスクと消毒液を仕分けし、各自家用車で各地区の班長へと物資を届けた。
佐野区では、いまだ終息のめどが立たない新型コロナウイルス感染症に対し、区民の不安解消につなげようと「区として、区民のために何ができるか」を協議し、模索を続けていた。
緊急事態宣言を受け、佐野会館が使用できなくなって以降、区民から一人の感染患者も出ないことを願い、予防策の一助として「予防用マスク」と「消毒液」の配布を検討し奔走した。
マスクは入手な困難な状況の中、「安心して使えるかどうか」に配慮。東京の業者と連絡を取り合い入手に至ったという。消毒液(次亜塩素酸水)は600㍑を購入。前田区長をはじめとした役員らが協力し合い、500㍉㍑ボトルに詰め、手作りのラベルと使用用途や注意事項を印刷した用紙を貼付した。余ったマスクや消毒液は学童や保育所に配布する予定。
このたびの配布に関して、前田区長は「最初は不可能だと思ったが、役員の協力のおかげで配布にこぎ着けることができてほっとしている。マスクや消毒液を調達することができて本当に良かった」と胸をなで下ろす。
緊急事態措置期間中に配布できたこと、区民の日頃の協力に恩返しができたことに触れ「協働をモットーに、佐野区民で良かったというまちにしていけたら」と話していた。
(2020年5月12日付紙面より)
かづこ先生に聞く新型コロナ対策
新型コロナウイルス感染症が拡大する中、多くの人が経済的な打撃を受け、生活の変化にさらされています。中でも、出産を控えた妊婦や乳幼児を抱える母親の不安は計り知れません。もし妊娠中に新型コロナに感染したらどうなるのか、ウイルスからわが子を守る手段はないのか…。
今回は那智勝浦町でかづこ助産院を営む本舘千子(もとだて・かづこ)院長にお話を伺いました。安心して出産、子育てができる環境を整えるため、少しでも参考になれば。
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Q1=妊婦が新型コロナに感染した場合、どのような影響がありますか?
A1=妊娠中に新型コロナにかかる率は一般の人と同じで、重症化率も同じといわれています。
しかし、妊娠中は大きくなった子宮が横隔膜を持ち上げて肺を圧迫するため、新型コロナにかかわらず一般的に肺炎が重症化する可能性があります。
加えて、治療法や使用できる薬剤に制限があります。新型コロナの治療薬として薬事承認される予定の「アビガン」も胎児に影響があるため、妊娠中は投与できません。
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Q2=胎児に影響はありますか?
A2=母体の新型コロナ感染によって胎児の異常、流産、死産のリスクが高くなるとの報告は今のところありません。しかし、新型コロナが広がり始めてまだ5カ月。妊娠初期の影響は本当に分かりません。
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Q3=どのような対策が有効ですか?
A3=基本的には手洗いとマスク、3密(密閉、密集、密接)を避けて出歩かないこと。そして免疫が落ちないように食事に気を付け、規則正しい生活を送ることです。
ただ、お産には体力も必要です。家の掃除やマタニティーヨガ、人混みを避けての散歩など、できる範囲で体を動かしてください。
また、喫煙は重症化リスクの一つとされる他、喫煙家庭では乳幼児突然死症候群(SIDS)の率が高くなります。妊婦本人はもちろん、家族もたばこはやめてください。
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Q4=妊婦健診は受けに行った方がいいですか?
A4=病院に行くのが不安でも、できる限り受診してください。
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Q5=立ち会い分娩(ぶんべん)や産後の面会はできますか?
A5=現在は基本的にどちらもできません。家族が赤ちゃんに会えるのは退院後になります。
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Q6=里帰り出産は自粛するべきですか?
A6=一概には言えませんが、里帰り出産では家族のサポートがある一方、住民票が当地方にないので役所の支援が届きにくいというデメリットもあります。現在住んでいる場所で産後も問題なく生活できる場合は自粛を検討してください。
通常里帰り出産をする場合、事前に受け入れ施設を探し、かかりつけの産科病院からの紹介状を持って妊娠34週目までに帰省することになっています。急な里帰り出産は避けてください。
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Q7=感染が心配なときはどこに相談したらいいですか?
A7=体調に不安がある場合は新宮保健所、串本なら串本支所に相談し、かかりつけ産科医療機関に電話で相談してください。
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Q8=家族や友人ができるサポートはどんなことがありますか?
A8=今は産後のお祝いやお見舞いは控えてもらった方がいいでしょう。しかしそれでは母親が孤独になってしまいます。産後はホルモンバランスが崩れ、気分が落ち込みやすくなります。そんなとき、電話やオンラインで誰かと話すだけでも気分が良くなります。
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Q9=働く妊婦がいる企業や事業者が気を付けるべきことはありますか?
A9=医師や助産師からの指導内容を企業に伝える「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」を活用しましょう。
厚生労働省は7日、働く妊婦を感染から守るため、申し出があれば感染リスクの低い作業への転換や在宅勤務、休暇取得を認めるよう義務づけました。指導に応じ必要な対応を取ってください。
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Q10=お勧めのストレスケアはありますか?
A10=人と話すことや人混みを避けて散歩をすること、妊娠中の方は旦那さんとの時間を大切にすることです。歌ったり、声を出すのもお勧めです。
子育ては一人ではできませんが、周囲に相談できずに煮詰まり、インターネットのいいかげんな情報に振り回されて余計に困ってしまう人もいます。友人や家族に電話で相談し、情報を探すときは厚生労働省など信頼のおけるサイトにしてください。
かづこ助産院でも相談を受け付けていますし、「オンライン子育てママ会」も開催しています。ぜひ相談をお寄せください。(かづこ助産院=〒649―5333 那智勝浦町北浜1の13、メールsanba-kazuko@nifty.com、電話0735・52・6798)
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※一般社団法人日本産婦人科感染症学会ホームページの「新型コロナウイルス感染症(COVID―19)について、妊娠中ならびに妊娠を希望される方へ 第9版」で中国やイタリアでの感染事例を掲載しているので、気になる方は参照してください。
(2020年5月12日付紙面より)
串本発のアプリ「イエメシ」
串本発のテークアウト地図アプリ「イエメシ」(アドレスhttps://iemeshi.jp/)串本町版の運用が先月30日から始まった。以降テークアウト実施店舗などが登録を希望し、今月10日現在で14件が登録。このアプリのフレームワークは誰でも自由に開発や運用ができる仕組みになっていて、同日現在10都府県12地域版の運用が始まるなど他地域での活用の裾野も広まっている。
このアプリは、プログラマーとして20年来活動する串本町くじ野川在住のIターン者・宮内隆行さん(53)が開発。1年半ほど前に独自の地図ソフトを組み上げ株式会社GEOLONIAを起業して活用の裾野拡大を目指す中、串本地内の古民家活用を進める株式会社一樹の蔭代表取締役の博多敏希さん(36)から相談を受けたのがそのきっかけだという。
博多さんは新型コロナウイルス感染予防に伴う苦境を乗り切る手段としてにわかに広まるテークアウトを地域に伝えるアイデアを求め、宮内さんは自身の地図ソフトを活用すれば可能だと応答。高校生を含む社員からも開発のアイデアを受け、1カ月弱でこのアプリのソースを組み上げ公開までこぎつけた。
前述のアドレスでこのアプリのホーム画面が開き、一覧の中から和歌山県、串本町と順次選ぶと「イエメシ」串本町版が開く。地図上にテークアウトをしている店舗の位置を示すマークがあり、選ぶとその店舗の情報が分かるというのが情報源として利用する場合の手順。店舗が情報の登録を希望する場合は画面下側の「イエメシについて」を選び、次に出てくる画面の下側にあるプラスボタンを選んだ先の登録画面で必要事項を入力して送信すると、串本町版を運用する宮内さんや博多さんが情報を受け取り反映するという。
「団体が周知する場合は会員であることが条件になるなどの制約で地域全体の情報網羅が難しい。この仕組みなら周知を必要とする誰もが利用でき情報の網羅も目指せる」と博多さんはこのアプリの可能性の一端を談話。宮内さんは「開発を除けばプログラミング初心者でも運用を始めることができ、全国には高校生が運用しているところもある。地域のために運用するというモチベーションがある人材と周知を必要とする店舗がそろえば、地域版がすぐに作れるようにしている」という。
宮内さんは自身のブログや会員制交流サイト(SNS)を通してこのアプリの開発を伝えていて、当面は無償のオープンソースとしてインターネット上に置いておくという。地域版を作る場合はホーム画面下側などにある「地元のアプリを作ろう」を選ぶと手順を知ることができる。
情報源としての利用、店舗情報の登録、アプリの運用とも無償。博多さんは「このような時期に高校生や大学生にできることがある、という感じで活用の輪が広まれば」、宮内さんは「地域版の形を作れば店舗が情報を寄せ合い必要とする人々の輪が自然に成り立つ。時間をかけてでもこのアプリが広まってくれれば」とそれぞれ今後の展望を期待している。
(2020年5月12日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)の旧社地「大斎原(おおゆのはら)」の大鳥居が建立20周年を迎えたことに伴い11日、同大社で「大鳥居建立20周年奉告祭」と大斎原で「大鳥居清祓(きよめはらい)式」が営まれた。
大鳥居は2000年1月に建設工事が始まり、同年5月11日に完成。33・9㍍の高さは日本一を誇る。当時、先代の九鬼宗隆宮司がバブル崩壊や連日報道される事件や事故に心を痛ませ、「よみがえりの地、熊野で平和と平穏を願ってほしい」との思いから建立に至った。
この日の祭事は新型コロナウイルス感染症の影響で、奉告祭、清祓式ともに規模を縮小し、大社職員や役員など一部関係者のみで斎行された。建立20周年を記念し、また国内外の医療関係者らへの感謝や応援、そして「不要不急の外出を控えよう」とのメッセージを込め、土・日曜日を除く21日(木)までの期間中、午後8時から9時まで大鳥居をスカイブルーにライトアップする。
祭事を終え、大鳥居で九鬼宮司は「時代に応じて熊野の在り方を示す大きな一助であると、大鳥居の意味を改めて深く感じた。熊野は多くの人々の心を癒やす場所。事態が収束した折には、ぜひ多くの方にご参拝いただければ」。
また、大鳥居ライトアップに関して「大社のホームページでも写真を掲載するのでご覧いただければ。医療崩壊につながらないためにも不要不急の外出の自粛をお願いします」と呼び掛けている。
(2020年5月12日付紙面より)
新宮市立図書館 (熊野アーカイブ ~熊野に人あり、歴史あり。~ ① )
私たちが住む熊野地方には、いにしえの時代より脈々と続く歴史と文化、人の営みがあります。そしてそれを伝えてきた人々の姿も。
「熊野アーカイブ」は、そんな当地方の「人」「歴史」「文化」「モノ」「コト」などにスポットを当て、ふるさとの魅力を再認識する機会へとつなげる試みです。
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新宮市井の沢の市立図書館が現在地に開館したのが1974(昭和49)年のこと。それから実に46年にわたり、市民の知的好奇心に応え、文化の発展に尽くしてきた。
来年完成予定の市文化複合施設への移転が決まっている同図書館。終戦後起こった図書館の移転独立運動や昭和40年代の新図書館建設運動などを経て今、建物は静かに時代の移り変わりを見守っている。
その歴史は1900(明治33)年にさかのぼる。前身は丹鶴同窓会付属図書館。しかし経営難のため10年後に閉館。移転や移管を経て14(大正3)年に付属図書館としての歴史に終止符を打つ。
終戦後の48(昭和23)年、占領政策によって設けられた市公民館(旧丹鶴小学校講堂)運営審議会で、公民館活動の一環として図書部を設け、有志の寄贈図書と購入新刊書をもって旧市役所(旧市民会館)玄関階上の東側一室を図書館に充てた。
図書館の移転独立運動が起こったのは51(昭和26)年1月のこと。運動は各方面に広がり、2年後、市議会は杉本大二氏が所有していた旧新宮税務署本館を、市立図書館建物として市へ寄付する申し出の受け入れを可決した。移転工事が始まり、53(昭和28)年、横町1丁目1番地(現横町公園)に念願の市立独立図書館が開館した。
それから16年後。市内有志による市立図書館建設促進委員会が発足。新図書館建設運動が起こり、その後結成された促進常任委員会が市や市議会、教育委員会などへ請願を行った。請願活動の結果、71(昭和46)年に新図書館の移転先敷地を旧紀南学園跡地(現在地)に決定。3年後の開館に伴い、佐藤春夫文庫が設置された。
以降、自動車文庫「なかよし号」巡回開始や中上健次資料室の設置、ボランティアグループ「ブック・ブック」の発足など、46年の間には快適な読書環境の整備、利便性の向上、図書館サービスの充実を図るため、さまざまな取り組みがなされてきた。
知識は好奇心を満たし、広げ、世界はいかに広いかを教えてくれる。歴史や携わってきた人々の思いが図書館を育てたと言っても過言ではない。横町から井の沢、そして下本町の旧丹鶴小学校跡地へ。時代とともに新しい姿と可能性を示しながら、市立図書館はこれからも市民の知的・文化活動の聖地であり続けるだろう。
(2020年5月10日付紙面より)
新たな緊急一時避難場所 (御浜町 )
御浜町下市木の国道42号沿いに鉄筋コンクリート造の津波避難タワー=写真=が完成した。町として3基目の整備で、大畑覚町長は「津波から逃げる基本は『少しでも早く、少しでも高い所へ』。万が一逃げ遅れたときなどのために備えてこの施設を建設した。公約に掲げた防災事業の一つで、ソフト面では自主防災組織の強化を図っていきたい」と話していた。
建設地は、県が公表した理論上最大クラスの地震が発生した際の津波浸水深が2㍍と想定されており、避難タワーは海抜12㍍の沿岸部に位置する。
最寄りの高台までの避難経路・距離の状況から、津波発生時に逃げ遅れる可能性がある地元住民の安心安全を確保するために整備した。
建物は2階と屋上に避難スペースを設け、約120人の収用が可能。屋上まで避難できるスロープを設置し、車いすでも利用できる。地上からの高さは2階5㍍、屋上7・7㍍。
総事業費は8394万5650円。敷地内の舗装は本年度中に行うという。
今後、津波発生時における新たな緊急一時避難場所として適切な利用方法を周知するとともに、地区の防災意識向上のための拠点として有効活用する。
(2020年5月10日付紙面より)
三輪崎保で花まつり (新宮市 )
新宮市三輪崎の太興山龍雲寺(中畑弘士住職)は8日、釈迦(しゃか)の誕生を祝う「花まつり」を開いた。隣接する保育所型認定こども園三輪崎保育園(中畑元太園長、園児108人)の5歳児26人が参加し、生花で飾った花御堂(はなみどう)の誕生仏に甘茶を注いだ。
釈迦誕生の時に竜が現れ、甘露の雨を降らせたという伝承に倣った行事。本来は4月8日に行うが、園児が生活に慣れるまで1カ月ずらしている。
釈迦が描かれた冠をかぶった園児は、紙芝居で行事の由来を学び、「花まつり」を歌って祝った。甘茶を飲むと「甘い」と驚き、おかわりをする園児もいた。家族への土産に甘茶のあめを持ち帰った。
中畑園長は「お釈迦様は、小さな命も大切にし、みんな仲良しなのが好きです。皆さんも『ありがとう』と『ごめんね』を言えるようになってください」と語り掛け、「新型コロナウイルスの影響で、行事も少なくなっているが、なるべく中止せずにやっていきたい」と話していた。
(2020年5月10日付紙面より)
町建設業組合がマスク寄贈 (那智勝浦町 )
那智勝浦町建設業組合の上地秀和組合長ら役員3人が8日、同町役場を訪れ、新型コロナウイルスの影響で全国的に不足している不織布マスク5000枚(1箱50枚入り100箱)を町に寄贈した。マスクは医療現場などで使用されるという。
同建設業組合はこれまでも、町内の保育所、小学校などの運動場や花壇の整備、遊具のペンキ塗り、海岸清掃など奉仕活動に取り組んできた。
不足しているマスクを医療現場などで使用してほしいという思いから今回の寄贈に至った。
この日は上地組合長(カミジ技建)と田中大介理事長(大和建設)、瀧本和明理事(朝日建設)が役場を訪れ、マスクの入った段ボール2箱を堀順一郎町長に手渡した。
上地組合長は「こういったご時世。マスクが大変不足しているため、医療施設や福祉施設などで役立てていただけたら幸いです。一日も早いコロナウイルスの終息を願っています」と語った。
堀町長は「町には平成23年の紀伊半島大水害の際に頂いたマスクを備蓄している」とし、各現場でそれらを使用していると説明。
寄贈については「コロナウイルスの終息がまだ見えていないため、長期戦になることも考えられる。医療現場でもマスクの節約などが懸念されるので『罹患(りかん)しない、させない』ためにも寄贈していただいたマスクは有効に使わせていただきます。大変、ありがたい」と述べた。
町立温泉病院の下康之事務長は「マスクはなかなか新規では手に入らない状況にある。在庫分でやりくりしているため、寄贈は大変ありがたい」と話した。
町によると、マスクは医療施設以外にも、国からのマスク支給が遅れて困っている妊婦や、保育所の職員などに配布を予定しているという。
(2020年5月9日付紙面より)
商工会議所女性会が要望 (新宮市 )
新宮商工会議所女性会(速水洋子会長)一同は7日、新型コロナウイルス感染症対策に係る市内全中小・小規模事業所への10万円の支援金支給などを求める要望書を田岡実千年市長に提出した。この日は速水会長に加え、竹内弥生副会長、清水朝子副会長、下地雅子副会長ら役員3人が同行し、事業者の現状や声を田岡市長に届けた。
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同会によると、要望書は新型コロナの感染拡大やそれに伴う非常事態宣言の発出から、市内の飲食業や宿泊業、サービス業、小売業、卸売業などほぼ全ての業種で経営状態が悪化し、営業形態の変更や休業が余儀なくされる事業所が出ているため、リスク回避と安定した経営が持続的に営める経済支援策を求めることが目的だという。
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要望書には「新宮市内全中小・小規模事業所への支援金の支給。新型コロナウイルス感染症の終息時期など先行きが見えない状況が予想され、中小企業・小規模事業者の経営不振が長期化することが懸念される。そのため、人件費・家賃などの固定費の捻出が非常に困難になっている。このようなことから、早急に新宮市内全中・小規模事業所への支援金(1事業所当たり10万円)の支給をお願いしたい」と記されている。
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速水会長は「新宮市の支援はほかの自治体と比較すると遅い。先日の臨時議会の結果が残念だった。最初の支援策で止まってしまったため、第2、第3弾の策が出せず、戻ってしまった。皆が困っている。できればゴールデンウイーク前までにやってほしかった。一日も早くお願いします」と訴えた。
田岡市長は要望について「新型コロナは長期的な施策になると考える。要望を重く受け止め、思いをかなえられるように努力していきたい」。
「市民の皆さまに引き続き、ご協力いただき、早く経済活動が再開できる日が来ればと思う。スピード感を持って支援策を進めていきたい」と語った。
なお、支援策などが決定する臨時議会は来週の開会を予定しているという。
(2020年5月9日付紙面より)
㈲小川耕太郎∞百合子社が寄贈 (御浜町 )
室内専用ワックスなど販売する㈲小川耕太郎∞百合子社(小川百合子代表取締役)=尾鷲市=は7日、紀南病院(管理者・大畑覚御浜町長、加藤弘幸院長)へマスクなど大量の医療用品を寄贈し、関係者から感謝された。
同社は毎年、売り上げの0・3%相当額を社会貢献のために寄付している。今年は新型コロナウイルス感染の影響で病院の医療用資材が不足していると知り、東紀州地区の中核病院である尾鷲市の尾鷲総合病院と御浜町の紀南病院への寄付を決めたという。寄贈式は同町役場内で行われ、同社の小川耕太郎代表から大畑町長と加藤院長に目録と資材が引き渡された。
贈られたのはサージカルマスク1000枚、使い捨て白衣3点セット(白衣、キャップ、マスク)45セット、フェイスガードや使い切り手袋など多数で、どれも一度使えば交換が必要な品ばかり。金額にして約30万円という。小川代表は「少しでもお役に立てれば。院内感染が起きれば医師も患者も共倒れになる。共に頑張っていきたい」と話し、大畑町長は「素材不足で切羽詰まった状態。ありがたい」、加藤院長は「患者が増えるといつ足りなくなるか、不安の中で仕事をしている。大量に頂き、職員も感謝すると思う」とお礼を述べ、大切に使わせてもらうことを約束した。小川代表は、基金を立ち上げて広く寄付を募ることも提案した。
尾鷲総合病院への寄贈は4月30日に行われた。
(2020年5月9日付紙面より)
特別定額給付金の申請 (串本町 )
申請により国民1人当たり10万円を給付する特別定額給付金―。串本町は18日(月)に申請書などを世帯主宛てで一斉郵送する予定で準備を進めている。マイナンバーカードによるオンライン申請は先行して9日(土)から受け付けを開始。給付は今月下旬以降順次行う形になるという。
この給付は、新型コロナ感染症緊急経済対策の一環で実施。申請方法はオンラインと郵送の2系統があり、申請先はいずれも在住する市町村。オンライン申請は1日から順次受け付けが始まっていて、串本町はDV避難者への着実な給付環境を整える期間を取ったため、9日からの開始となっている。申請方法の詳細は総務省の同給付金ポータルサイト(https://kyufukin.soumu.go.jp)を参照。
郵送申請は世帯主宛てに郵送される申請書で行う方法。届き次第、申請書に振込先口座など必要事項を記入し、同口座確認書類(金融機関名と口座番号と口座名義人が分かる通帳やキャッシュカード、インターネットバンキング画面の写し〈コピー〉)と本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証や健康保険証などの写し〈同〉)の3枚を同封の封筒で在住市町村に返送すると申請となる。
いずれの方法も申請した内容の確認作業があり、不備がなければ同作業後に指定した口座へ同給付金を振り込む形になる。給付開始は月末に近いタイミングになる見込みだという。
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古座川町は1日からオンライン申請の受け付けを開始。郵送申請は15日(金)までに申請書などを世帯主宛てで一斉郵送することを目指して準備を進めている。申請後は串本町同様に申請内容の確認作業があり、給付の開始は郵送申請分が下旬後半、オンライン申請分は中旬半ばになる見込み。同町総務課は「給付を希望する方には申請期限までに申請書を郵送するようお願いする」と話している。
(2020年5月9日付紙面より)
青年神職らが疫病退散祈願祭 (熊野速玉大社 )
大型連休最終日の6日、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で「新型コロナウイルス感染症早期終息祈願祭」が斎行された。全国47都道府県にある青年会から構成される「神道青年全国協議会」(神青協、金田祐季会長=宇倍神社禰宜(ねぎ))が主催。同大社では、神道青年近畿地区連絡協議会長の上野潤権宮司が斎主を務め、世界平和と終息に向けた祈りをささげた。
神青協は、全国津々浦々の神社に奉職する若手神職が集う会。祖先から受け継いだ伝統を大切に守りつつ、より良い未来を見据えて、道義国家再建に向けてさまざまな活動を行っている。
この日の祈願祭では、古来、疫病流行に際して各地で終息の祈りがささげられてきたことにのっとり、全国の青年神職が一斉に祈りをささげた。また、参拝したくてもできない一般の人のために神棚拝詞を作成。神青協ホームページで公開し、各家庭で神棚を通した祈願を呼び掛けていた。
同大社では、上野権宮司の祝詞に続き、巫女が「神なぎの舞」を奉納。同大社神職や上野宮司、大社崇敬会の杉本義和会長が玉串をささげた。
祭事を終え、上野権宮司は「言葉の力は大きい。このような時だからこそ、危機感だけではなく学べることも多いのでは」とあいさつ。祈りと言霊の重要性に触れ、「合理的か、非合理的か。単純な物差しで測られるようになってきた今の時代だからこそ、豊かな心で人生を送るために精神的なことが必要になってくる。祈りを大切に、日本人が心を一つにして挑んでいかなければならない」。
上野宮司は「どんなに文明化が進んでも、『きっとこうなる』と願いを込めれば不思議な働きが起こる。それが言霊の力」。全国の医療従事者に対して感謝の意を述べ「日本は医療崩壊ギリギリで持ちこたえている。少しでも事態を悪化させないために国民がそれぞれ自粛しながら思いを一つに取り組んでいるおかげでは。心をさらに引き締めて、感染防止に努めていきたい」と話していた。
(2020年5月8日付紙面より)
熊野地方
本来であれば心躍るゴールデンウイーク。今年は、新型コロナウイルスの影響で全国的に休業要請や外出自粛が呼び掛けられる中、熊野地方においても観光地や交通機関は例年の混雑は見られず、閑散としたまま大型連休が終了した。
新宮市徐福のJR新宮駅によると、連休中の乗車率は前年同時期の1、2%程度だという。同市の熊野速玉大社でも、「参拝者数は体感的に99・9%減」。同大社の摂社、神倉神社では、参拝や散歩に訪れる地元住民以外に観光客の姿はほぼ見られなかった。
また、熊野地方の駐車場や公衆トイレの一部、道の駅などが閉鎖していたことから車中泊なども減少した。連休中の交通状況、車両数について各地域の住人などに聞いたところ、大きな渋滞の発生もなかったという。
4日、国は31日(日)までの緊急事態宣言期間延長を決定。各都道府県と連携を図り、感染拡大の防止に向けた取り組みを徹底していくとの方針を示した。
(2020年5月8日付紙面より)
感染予防に努め引き換え (串本町 )
串本町が3日、町内15カ所で町民に不織布マスクを配布した。諸事情でこの日に受け取れなかった町民は29日(金)までの平日午前8時30分~午後5時15分に文化センターで、事前に個人宛てで送付したマスク引換券(はがき)と交換してほしいという。
この配布は、同町が福祉基金を切り崩して取り組んだ新型コロナウイルス対策。長らく品薄が続き町内での確保が難しくなっているマスクを一括購入し1人当たり30枚の割り当てで配り、当面の感染予防を後押しする方向で準備を進めてきた。
映画「海難1890」制作に協力したMODECOM(モードコム)株式会社・真野南海子社長の協力により、町民配布用約47万枚と備蓄用13万枚、計60万枚(Mサイズ40万5000枚とSサイズ19万5000枚)を無事入荷。この日は同町職員約120人が手分けして町内15カ所に引き換え窓口を設け、断続的に訪れる町民に事前送付した引換券相応のマスクを配った。
この日の配布に先だって、同町は防災行政無線で繰り返し家族代表による引き換えや十分数を確保していることを背景にして特定時間に集中せず引き換えに行くことへの協力を呼び掛け。窓口自体も三つの密を徹底回避するなど感染予防に努めて町民を迎えた。可能な場所では窓口対面に加えドライブスルー風の引き換えも実施。この機会にマスクの着用や手指消毒など、今望まれている基本の感染予防対策の実践を促す窓口もあった。
潮岬地区の窓口では町職員に加え、ボランティアで佐藤武治県議会議員や町職員OBも配布に協力。和深地区の窓口では地区区長会の協力もあったという。田嶋勝正町長も串本地区の窓口で序盤の様子を見守り、その半ばから自らも引き換え作業を実施。「配った時に『ありがとう』と言ってもらえるのがなんともうれしい。今や新型コロナ対策の長期化は避けがたい状況。今回は真っ先にマスクを配らせていただいたが、町民の皆さまにはマスクの着用はもちろん手洗いや手指消毒、三つの密を避けるなど基本の予防対策を今しばらく心掛けてほしい」と町民の今後に願いつつ、職員と共に励んだ。
(2020年5月8日付紙面より)
新型コロナ緊急経済対策 (太地町 )
太地町は3日、新型コロナウイルスの緊急経済対策として、町民に米5㌔の支給を行った。町や町社協の職員に加え、町議会議員などの有志が参加し、協力して各戸に米を届けた。
町は先月24日に新型コロナ対策として、町民一人当たりにマスク60枚の配布と、米5㌔の支給を決定。マスクの1回目の配布は同26日、27日に行われた。
米の支給も2回に分けて実施される。1回目となる3日、4日で全世帯に5㌔ずつ届けられ、2回目の23日(土)、24日(日)には1世帯の残り人数分が配布されるという。
3日は町立太地小学校の体育館に運び込まれた米を協力して軽トラックなどに積み込み、班に分かれて各戸に届けられた。
漁野洋伸副町長らと共に積み込み作業などに汗を流した三軒一高町長は「町民の皆さまの安心安全のために町が全力を挙げて頑張るのは大事なこと。日頃から職員らが町民宅を訪ねているため、場所や人の把握をしている。配布することによって各戸の皆さまの現在の状況も分かる」。
「役場が全力で行動する姿を見ていただくことは今後、発生が懸念される災害の際にも町民の皆さまの安心にもつながると思う」と語った。
米を受け取った須川時夫さんは「町長はじめ、皆さまの温かいお心遣いが大変うれしく、ありがたい。配布、本当にご苦労さまです。町民の方々、みんなが喜ぶと思う」と笑顔で話した。
(2020年5月8日付紙面より)
㈱キナンがマスク寄贈 (新宮市 )
新宮市浮島の株式会社キナンの角口賀敏会長らは1日、新宮市役所を訪れ「新宮市での対応に役立てていただければ」との思いを込め、マスク5000枚を寄贈した。マスクは、新型コロナウイルス感染症の影響で帰省できない学生への「仕送り」として、地元を離れる学生らの元へ送られる。
市の「帰省自粛学生応援事業」は、帰省を自粛している市出身の学生に対して地場産の米やレトルト食品などの物資を仕送りする取り組み。市内外の事業所から「仕送りとして送って」と支援の輪が広がっている。
対象の学生は約400人を見込んでおり、寄贈されたマスクは10枚1セットで学生らに届けられる。保護者による申し込み申請が始まっており、早ければ2日から配送がスタートする。
田岡実千年市長にマスクを手渡した角口会長は「マスクの入手が困難な中、学生さんたちに喜んでもらえるのでは。(帰省自粛学生応援事業は)いい取り組み。有効的に使っていただけてわれわれとしてもありがたい」。
田岡市長は「厳しい状況の中、温かい心遣いに感謝します。多くの学生たちに届けることができます」と感謝を伝えた。
残り1000枚のマスクについては、慢性的なマスク不足にあえぐ市立医療センターのスタッフに配布されるという。
(2020年5月3日付紙面より)
区役員らで協力し作業 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の勝浦八幡神社(髙橋正樹宮司)境内にある勝浦護国神社で3日(日・祝)に営まれる第65回例祭を控え4月30日、勝浦6地区で組織される勝浦地区区長会(前地俊秀会長)が清掃活動を実施した。各区長や役員、有志ら15人が参加し、さまざまな作業に汗を流した。
同護国神社は日露戦争以降の大戦に出兵、または消防団員として尊い命を国にささげた人たちを神霊として祭っている。
同会によると、新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、清掃活動への参加者を募ることができず、少人数での作業になったという。
この日、参加した住民らは草抜きや忠魂碑の清掃、碑に覆いかぶさった木々の伐採などに取り組んだ。
前地会長は「新型コロナの関係で区の行事なども全て中止になっている。収まる見通しは立たないが、早く終息してほしい」と語った。
なお、3日の例祭当日は忠魂碑前での式典は実施せず、役員のみが出席し同神社で式典を行う予定。
(2020年5月3日付紙面より)
3カ月分の水道料金無料に (御浜町 )
御浜町は、国民1人10万円の「特別定額給付金」の支給について、連休明けの7日(木)から申請書の受け付けを開始し、13日(水)から振り込みを開始すると発表した。また、町内全世帯、全事業所の4~6月の3カ月分の水道料金を無料化することを決めた。
同給付金は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策として政府が打ち出した事業で、町では一日でも早く必要な町民に届けるため早期に手続きを開始する。
申請書は町ホームページからダウンロードできるほか、役場本庁舎、支所、連絡所で受け取ることができる。必要事項を記入し、運転免許証や通帳のコピーを添付して郵送または役場に設置する特設ポストへ投函(とうかん)する。
なお、早期給付を希望しない場合は、19日(火)以降に役場から郵送される申請書様式に記入し申請手続きを行う。
水道料金の無料化は、家庭や事業所の負担軽減が目的で、町全体の3カ月分の水道料金見込みは約4800万円。1日に会見した大畑覚町長は「外出自粛を要請しており、全ての人を支援したいとの思いで実施した」と話した。
(2020年5月3日付紙面より)
公園や公衆トイレを閉鎖 (太地町 )
太地町は1日、新型コロナウイルス感染拡大を防止するため、町内の公園や公衆トイレなどを閉鎖した。期間はゴールデンウイーク最終日の6日(水・振休)までを予定しているが、状況によって延長するという。
閉鎖したのは平見公園や梶取﨑園地などの公園施設と夏山園地、太地漁港ふれあい広場(通称・東の浜)の一部など。加えて、森浦、JR太地駅、大東、太地漁港施設内トイレの4カ所を除く全ての公衆トイレも閉鎖した。
ゴールデンウイーク中の県外からの来町者に対し、利用などの自粛を促して感染拡大を防止することが目的。同町によると、4月20日には公衆トイレに設置されているジェットタオルを感染拡大予防のために使用中止とし、27日から対策準備を進めていったという。
同町産業建設課の瀬戸睦史課長は「最初は自粛を促す内容を各所に貼り出していたが、町民からの不安の声も多く、使用中止に至った。町のホームページで周知を行います。ご不便をお掛けしますが、なんとか局面を乗り切るためにご協力をお願いいたします」と呼び掛けた。
この日、三軒一高町長と漁野洋伸副町長が閉鎖した各所を確認して回った。三軒町長は「町民の安全安心を最優先に考え、対策は徹底的に行っている。コロナについては今後も対策を進めていきたい」と語った。
(2020年5月3日付紙面より)
回覧や看板で呼び掛け (那智勝浦町 )
那智勝浦町の色川地区区長連合会(浦勝良会長)は、地区独自の新型コロナウイルス対策を取っている。4月14日には区民に外出などの自粛や細心の注意などを呼び掛ける回覧を回し、27日には車のドライバーなどに訴え掛ける看板も設置した。
同連合会は田垣内、坂足、直柱、樫原、大野、口色川、熊瀬川、小阪、南平野の9地区で組織され、色川への移住・定住の受け入れなどを行う色川地域振興推進委員会を立ち上げている。
国内外で甚大な被害を発生させている新型コロナ感染拡大を受け、同連合会は色川地区へウイルスを持ち込まないための対策として▽不要不急の他地域からの移動▽当地域からの往来の自粛▽やむを得ず往来した住民は2週間の自宅待機―などを呼び掛けるビラを作り、回覧した。
さらに「新型コロナウイルス感染拡大防止の為、県外からの当地区への不要不急な往来は自粛願います」と書いた看板を作り、往来の自粛も呼び掛けている。
浦会長(69)は現在、移住の受け入れなどの活動も停止しているとし、「色川は、地元の方や移住された方の家族が都市部にいるケースが多い。連休中に往来が増える可能性が大きいため、我慢していただきたい。地域が一つになって対応しなくてはならない」と話した。
浦会長によると、現時点での自粛期間は最も人の移動が懸念される連休中を予定。国が定める6日(水・振休)までとしているが、状況によって臨機応変に対応するという。
事務局の大西俊介さん(39)は「行政だけに任せていてはいけない。熊野地域では現在、感染者の発生はない。持ち込まない努力をすれば耐えられるはず。住民内で感染防止の自覚を持っていただけるムードづくりになる。他の地域でも適用できる取り組みだと思う」と話した。
浦会長は「自治会という身近な組織からの呼び掛けは住民にとっても受け止め方が違うはず。高齢者も多いため、発生した際の不安がある。持ち込まないようにしっかりと水際で止めたい」と語った。
(2020年5月2日付紙面より)
あんじゅが手作りマスク寄贈 (那智勝浦町 )
那智勝浦町天満のデイサービスセンター「あんじゅ」(松下昂平統括主任)は、新型コロナウイルスなどの感染症予防のために子ども用マスクを手作りした。職員や利用者合わせて約120人が曜日ごとに色とりどりのマスクを作った。
地域密着型デイサービスとして日頃の感謝や、地域に役に立ちたいとの思いで4月14日から作業を始めた。型紙に合わせて切った布にゴムひもを取り付け縫っていき、アイロンで仕上げをするなどして100枚を製作した。
利用者たちは「感染しないように気を付けてもらい、一人でも多くの子どもたちに早く届いてほしい」「自分たちが作ったマスクで少しでも地域の安全を守りたい思いで縫いました」「子どもたちに愛を込めて作りました」と語った。
28日には松下統括主任と梅村英義代表取締役、利用者代表の御前(みさき)タカ子さんが同町の勝浦学童保育所「くろしお」を訪問。松下統括主任が「少しでもあんじゅから元気を届けられればと思い作ったので、ウイルス対策に役立ててください」と、子どもたちにマスクを寄贈した。
御前さんは「全員が楽しみながらも思いを込めて一生懸命作りました。感染への不安が募るからこそ、地域に貢献し助け合っていきたい」。松下統括主任は「手作りマスクが普及し始める中、喜んでもらえるか心配でしたが子どもたちの姿を見て安心しました。今後も地域のために協力していきたい」。
学童保育所の松下亜美指導員は「マスク不足が伝えられている中、思いが詰まったたくさんのマスクを頂きありがたい。新型コロナウイルス防止対策などの重要アイテムとして大切に使わせていただきます」と感謝していた。
マスクは宇久井地区の「しらぎく1」と「しらぎく2」、下里地区の「はまぼう」の各学童保育所にも贈られる。
(2020年5月2日付紙面より)
本年度事業計画など決まる (讃寿会 )
紀宝町鵜殿の老人クラブ讃寿(さんじゅ)会(牧戸光彦会長)は、新型コロナウイルスの影響で本年度の総会を取りやめ、会員287人に議案書を配布。過半数を上回る会員から返答があり、賛成多数で事業計画案、予算案を可決した。
1968(昭和43)年4月1日に旧鵜殿村老人クラブとして設立。町内最大の老人クラブで、本年度はグラウンドゴルフ大会や小学生との交流会、趣味の作品展への参加などを計画した。
新規事業として、高齢者の移送(外出)支援の構築に向けて町内の福祉4団体と連絡会を立ち上げた。住み慣れた地域で生活を続けられるよう、買い物や通院の支援ができないか先進地の事例を参考に研究を開始した。
牧戸会長は「本年度事業は新型コロナの状況を鑑み、時期をずらすか、変更するなどして対応する。移送支援は福祉の観点から互助が拡大するよう取り組みを進めたい」と話していた。
4月30日には、事業の一つで社会奉仕の一環として30年以上前から同地区の中曽公園で続けている草刈りと清掃活動を実施した。公園は住宅地の一角にあり、利用者も多いことから毎年9月20日の全国一斉「社会奉仕の日」と3月、7月の年3回、ボランティアで取り組んでいる。
今回は25人が参加。マスクを着用するなど、新型コロナ対策を取った上で作業した。早朝から開始し、草刈り機で公園内の雑草を刈り取り、雑草を集めてビニール袋に回収するなどして、1時間半ほどで終えた。
(2020年5月2日付紙面より)
JAみくまのと農福連携し (エコ工房四季 )
串本町古座にあるエコ工房四季(平原正雄施設長)の利用者や職員が4月28日、古座川町潤野で田植えに取り組んだ。みくまの農業協同組合と共に取り組む農福連携の一環で、約40㌃の水田を管理して初秋の収穫を目指すという。
エコ工房四季は、社会福祉法人つばさ福祉会(北野好美理事長)が運営する就労継続支援〈B型〉事業所。授産事業を通して利用者の就労機会を創出し、他方では交流行事「エコ祭り」を開いて立地の古座区をはじめとする地域との接点を培いながら努めている。
みくまの農業協同組合との農福連携は平成30年度から取り組むようになり、上田原の耕作地を借りてニンニクを栽培するなどしている。利用者の農業生産に対する関心も高まり、本年度は同組合職員が休耕地解消を兼ねて取り組んできた稲作の仕組みを受け継ぎ、挑戦の拡大に踏み出した。この日の田植えはその第一歩となる取り組み。新型コロナウイルス感染予防を鑑みつつ、今踏み出さなければ先が続かないと考えが至り地域交流も盛り込んだ当初計画を縮小して実施した。
利用者は同組合職員の段取りに沿って約2㌃の水田にコシヒカリの苗を手植え。その後は約4㌃の水田を田植え機で仕立てる様子を見学するなどした。同組合職員から受け継いだ水田は全体で約40㌃。稲刈りまでの管理は同組合職員や地元潤野の組合員が支援し、利用者も月1回程度の草引きに取り組んで8月下旬ごろ予定の収穫を目指すという。
これから管理する水田は潤野橋そばに位置。将来的には上田原のニンニク畑を水田のそばで借りた耕作地へ移し、これら全体をエコ工房四季の農園として管理するという。挑戦の第一歩となるこの日の作業は西前啓市町長(同法人理事)ら町職員や藤田勝彦・前理事長、県職員や保護者会有志も後見。北野理事長はJAの多大な支援と同町の協力による耕作地の確保に感謝し「今までの委託事業を整理してこの挑戦を始めたが、これだけの広い土地なのでまずは自分たちに管理できるかどうかからの出発。うまく軌道に乗ればエコ工房四季の新規授産事業の柱として立ち上げていきたい。地域との交流ができなかったのは残念だが、稲刈りの時に収穫祭も計画し改めて地域と交流することを考えたい」と今後の展開を思い描いた。
(2020年5月2日付紙面より)
【第11回】偏食改善のヒント②
前回は食育改善のヒントとして「一緒に子どもの話をしながら食べる」「ポジティブな声掛けをする」この2点をお伝えしました。今日はさらにもう二つ、ご紹介したいと思います。
今回ご紹介する一つ目は「規則正しい食事・間食を心掛けよう!」です。偏食と何の関係があるのか…と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、私はこれはとっても大切なポイントだと思っています。大切なのは「腹ペコ」という感覚です。大人でも、変な時間に食事を取ってしまうと、おなかがすかず、大好きなものが次の食事で出てもイマイチ楽しめないっていうことがありますよね。子どももそうなんです。おなかがグゥ~となるくらい空腹を感じて食べるものは、どんなものでも「おいしい!」と感じられると思うのです。子どもの偏食と生活習慣を研究した論文にはこんな記述があります。「3、4歳では、間食を食べない子に偏食なしの割合が高かった(中略)一方5、6歳では間食の有無との関連は認められなかったものの、間食を食べる時間が『決まっていない』子に偏食の割合が高かった」(日本民族衛生学会「幼児の偏食と生活環境との関連」、2008年)。つまり、間食の時間を決めて夕食までに腹ペコになることが大切ということです。他にも、就寝時間や食事時間なども偏食に関係があることが報告されています。食べたい時に与えるのではなく、時間を決めて食事と間食を与えてみてください。おなかがすいて「食べたい!!」という欲求が強い時なら、苦手なものも「おいしい!」と感じて食べられるかもしれません。そして、もちろん食べられたら「おいしいよね!食べられたね!すごい!」と大げさに褒めてあげてください。
さて、二つ目は「一緒にお料理をしよう!」です。偏食はどの論文を見ても、女の子より男の子に多いのです。私はこの理由は調理体験の有無と関係していると思っています。最近は随分この男女区別がなくなってきていると信じていますが、女の子の方が興味を示す割合も多いのか、やはりお手伝いや調理体験をする子が多いのではないでしょうか。いずれにしても「親子で食事作りをする」という体験は、年齢が上がるほど有効で、偏食に効果があると考えられています。小さいお子さんでも、手でちぎる・野菜を洗う・お鍋に入れるなどできる調理はたくさんあります。これをやるのとやらないのでは偏食率が変わるんです。食にまつわる問題は、そのほとんどが「食に関心があるか」「食事を楽しいと思っているか」ということに深く関係しています。子どもたちが、食事を楽しいと思えるように、食事作りに参加してもらいましょう。自分で作ったという自信が、食べられるという喜びを生み出してくれるかもしれません。今は特に外出自粛で家での時間が増えています。お子さんの偏食でお悩みの方には、偏食を改善できるチャンスかもしれません! ぜひ規則正しい食習慣と、楽しい食事作りで偏食を改善してみてください。
(2020年5月2日付紙面より)
各事業者が食品寄贈 (新宮市 )
新型コロナウイルス感染症拡大予防に伴い大型連休中の外出、帰省の自粛などが呼び掛けられる中、新宮市出身の学生に対して帰省の自粛を求める代わりに地場産の米などを「仕送り」する市の「帰省自粛学生応援事業」に対する支援の輪が広がっている。
4月30日には、串本町で食品飲料製造販売を営むユウキ株式会社の神田玄太取締役と、同市緑ヶ丘の株式会社エムアファブリーの竹原真奈美代表取締役と堀由起取締役が市役所を訪れ「仕送りの箱に同梱を」と、食品を寄贈。田岡実千年市長は「厳しい状況の中で温かい申し出を頂けて心よりうれしく思う」と感謝を示した。
ユウキ株式会社は「濃縮ふかひれスープ」400箱を贈り「都会で一人だと心細いし、親御さんも心配だと思う。せめて食べている時だけでも嫌なことを忘れてほしい」とコメント。
株式会社エムアファブリーは、自社開発製品の熊野の香りのチョコレート「4896」にメッセージを同封した400袋を寄贈した。竹原代表取締役は「帰ってこれずに頑張っている子たちに届けば。ふるさとを思いながら今後につながる学びの時間としてほしい」。
田岡市長は「こういう時こそ助け合いが必要だと改めて感じた。助け合ってこのコロナウイルス禍を乗り越えられたら」と話していた。
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同市では帰省を自粛している市出身の学生の保護者に対し、「帰省自粛学生応援事業」の申請を呼び掛けている。
対象は市出身の帰省を自粛している大学、短大、高専を含む専門学校、高校生。申し込み期間は31日(日)まで。
申請書は市役所別館の自粛学生支援事業窓口もしくは市ホームページ(https://www.city.shingu.lg.jp)からダウンロードできる。申請書の提出場所は自粛学生支援事業窓口。申請には印鑑(認め印可)が必要。申請は原則、学生の親族のみで対象学生1人につき1回のみとする。
(2020年5月1日付紙面より)
新型コロナ対策の一環で (和歌山東漁協 )
和歌山東漁業協同組合(吉田俊久代表理事組合長)が4月28日、全組合員と市場関係の職員や仲買人らに不織布マスクを配ることを発表した。
同組合は27日、市場内における新型コロナウイルス感染予防対策の一環で従来の衛生対応に上乗せする形でマスクの着用を新たに義務化した。他方で地域におけるマスクの品薄により対応が難しい状況も出ることを見越し、不織布マスク4万枚を購入して前述の対象者1人につき20枚ずつ配ることとした。
マスクは三層構造の普通サイズ(17・5㌢×9・5㌢)で中国製。ここ最近、衛生管理不十分で流通するマスクが問題となっているため、一度開封して不備がないかを確かめ本所と10支所経由で順次配っているという。
同本所市場にあっては週6日の頻度で開場して消費を支えているが、これが感染発生により休場を強いられると大変なことになるという考えからマスク着用の義務化や不織布マスクの配布を決断した。吉田組合長は「組合員あっての組合だが、平成21年の本組合設立時に約3300人いた組合員も今は約1800人となり高齢者も多い。自身の健康を守ることでもあるので、くれぐれも感染予防には留意してほしい」と今回の取り組みに込めた思いを語った。
(2020年5月1日付紙面より)
貴祢谷神社で春の例大祭 (紀宝町鵜殿 )
紀宝町鵜殿の「貴祢谷(きねがだに)神社」で4月29日、春の例大祭が執り行われた。同神社保存会の日比野勝良会長のみが参列し、新型コロナウイルスの早期終息と地域の発展を願った。
神社は矢渕中学校の裏手にある参道を抜けたところに位置し、祭神は熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)、家津御子大神(けつみこのおおかみ)。例祭は1979年に地元有志が保存会を立ち上げて再興し、毎年4月29日に営まれている。
例大祭は厳かな雰囲気の中で進み、熊野速玉大社の佐藤仁迪(ひとふみ)権禰宜(ごんねぎ)が祝詞を奏上し、巫女(みこ)の川脇鈴奈さんが浦安の舞を奉納した。例年、例大祭後に矢渕中運動場で餅まきが行われているが、今年は新型コロナの影響で中止となった。
神事後、日比野会長は「毎年、ゴールデンウイークで帰省した方々も参加してくれるが、今年は苦渋の決断で中止とした。新型コロナの終息は私たちの我慢と神様にお願いすることしかできない。今年はコロナ消滅と皆さまのご健勝、ご多幸を祈願しました。前向きに頑張っていきましょう」と述べた。「今年の札を希望する人は鵜殿の日比野生コンで、連休を除く5月9日(土)までの午前8時30分から午後5時にお渡しします」と話している。
(2020年5月1日付紙面より)
熊野那智大社で昭和祭 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で4月29日、昭和祭が営まれた。本社と別宮の飛瀧(ひろう)神社で皇室の繁栄と国の隆昌(りゅうしょう)、国民の安泰を祈念するとともに、新型コロナウイルスの終息を祈願した。
昭和天皇の誕生日である昭和の日は、2007年に国民の祝日に加わった。熊野那智大社ではこの日にちなみ、在位六十余年のご聖徳を仰ぎ、神事を営んでいる。
昨年はゴールデンウイークが10連休だったため、多くの参拝者でにぎわったが、今年は新型コロナの影響で同大社や那智山青岸渡寺(髙木亮享住職)は静まり返っていた。
本殿では男成宮司が祝詞を奏上後、巫女(みこ)による浦安の舞(錦千早・鈴舞)が奉納された。
男成宮司は「新型コロナの影響で参拝者がいらっしゃらないのはお宮としてさみしく思う」。
「お祭りでは昭和天皇をおしのび申し上げた。さらに新型コロナの終息の祝詞も奏上させていただきました」と語った。
(2020年5月1日付紙面より)