熊野川中学校で防災授業 (国交省 )
国土交通省近畿地方整備局紀南河川国道事務所は28日、新宮市熊野川町日足の市立熊野川中学校(吉田元紀校長、生徒28人)で「大雨が降ったときに身を守る行動を考えよう!」をテーマに防災授業を実施した。生徒らは大型の台風が近づいているときの行動を考え、まとめて発表した。
昨年に続き2回目の取り組みで、今回は保護者や地域住民らが見学に訪れた。同事務所調査課の吉田達也・地域防災調整官が平成30年7月豪雨の雨量や水位の急上昇が起こる理由、それに伴い発生した洪水や土砂災害、紀伊半島大水害時の台風の進路図や雨量などを説明。生徒たちは大型で非常に強い台風が接近しているとの想定で避難する場所、誰と避難するか、避難所に持っていくもの、日常から取り組めることなどを班ごとに考えて発表した。
吉田調整官は「事前に家族や近所で話をしておくだけでも違う。イメージを働かせて考えておいてほしい。普段からできることは、避難場所を知り、歩いてみること。いざというときには自信を持って行動することが命を守るために大事」と締めくくった。
授業を終え「近畿地方整備局管内でも地区、生徒の防災意識が高い。授業は2回目だが台風が来たときの行動が身に付いていて、より意識の浸透が図れていると感じた」と語った。
垣本翼君(2年)は「できる限り高い所に逃げた方がいいと思った。他の班の意見を聞き気付くこともありいいと思った」。奥田将史君(同)は「今年は大きめの台風が来たが事前に備えていたので、家族の誰もけがをしなかった。授業を受けて、災害はどこで起こるか分からないと実感しました」と感想。
授業を見学した西敷屋自主防災会の倉谷修二会長(70)は「防災についての考えがだいぶ浸透していると感じた。今回のことを地域に持ち帰り、参考にして話し合いたい。個人個人がどうすればいいかを考えてもらおうと思います」。
吉田校長は「防災は地域の中ですごく大事なキーワード。日頃から自分のこととして考えるきっかけになれば。地域の方々が来てくれたことで、地域全体で防災を考える機会になれば」と話していた。
(2018年11月30日付紙面より)
画家・田村茂さんが寄贈 (新宮市 )
田辺市出身で大阪府阪南市在住の画家、田村茂さん(71)が28日、新宮市にゆかりのある平忠度(たいらのただのり)を表現した絵画と能面を同市に寄贈した。
田村さんの本業は建築デザイナー。忠度の勇壮さにほれ込み、足跡をたどったところ、新宮市熊野川町音川地区が生誕の地と知り、同市への寄贈を決めた。
絵画は、能の演目「忠度」での、旅僧が桜の木陰で寝入っていると夢の中に忠度の亡霊が現れる一幕を描いたアクリル画(縦65㌢、横53㌢)。背景には三日月と桜の花びらを散りばめ、忠度への思いを込めた。
能面はヒノキを用い1カ月かけて制作。見る角度を変えることで、忠度の喜怒哀楽の表情が浮かび上がるという。
「忠度や平清盛の故郷を巡った。自分の思いが伝わり嬉しく思う。忠度生誕の地に飾ってほしかった」と話す田村さん。これまで手掛けた絵画は寺院などに全て寄贈してきた。2012年に熊野本宮大社へ「六歌仙」の絵を奉納、14年には台湾に15点の能画を寄贈した。
市役所応接室で寄贈を受けた田岡実千年市長は、毎年熊野川町で「忠度まつり」が開かれていることを伝え、「就任して9年になるが初めて能面の寄贈を頂いた。多くの市民の方々に見てもらえる場所に飾りたい」と話していた。
平忠度(1144~84年)は音川地区出身とされている、平清盛の末弟。武将としてだけでなく歌人としても優れていたと伝わっていて、「行(ゆ)き暮れて木(こ)の下かげを宿とせば花や今宵(こよい)のあるじならまし」の辞世の句を残している。
(2018年11月30日付紙面より)
水中クリスマスツリー設置 (串本ダイビング事業組合 )
串本ダイビング事業組合(小松誠司会長、会員22店舗)が28日、ダイビングポイント・備前の海底に「水中クリスマスツリー」を設置した。
平成23年紀伊半島大水害以降の自粛機運で低迷する同事業に再び弾みをつけるため、顧客と会員が共にダイビングに対し意欲的になれるきっかけとして始めた取り組みの一つ。8回目となる今年もより多くのダイバーに串本を知ってもらい、町全体を盛り上げることを目指して準備を進めてきた。
この日は同組合関係のダイバー8人が、あらかじめ飾り付けた高さ約3㍍のクリスマスツリーを持って袋港を出港。備前の水深約18㍍の海底に同ツリーを固定し、アピール用の写真を得るためサンタクロースの衣装を着たスタッフらで同ツリーを囲みながら記念撮影をして作業を終えた。
設置期間は12月25日(火)までを予定。
(2018年11月30日付紙面より)
県警察現場鑑識競技会、県警察剣道大会
2日に和歌山市の鑑識科学センターで開催された「第22回和歌山県警察現場鑑識競技会」で新宮警察署の生活安全刑事課鑑識係の山本和貴巡査長(26)と同課ストーカー・配偶者暴力対策・生活安全捜査係の前田眞輝巡査長(26)のチームが3位の好成績を収めた。また、6日に県立体育館であった「平成30年度和歌山県警察柔道・剣道大会」では女子剣道個人試合で同署警備課の池宮慧さん(26)が2位入賞の快挙を遂げた。
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県内14署の署員が参加して開かれた鑑識競技会では、窓が割られた車内からかばんが盗まれているという事件を想定。30分の制限時間内での作業の手順や効率、基本動作など総合的に評価された。
今年、山本・前田チームは2年ぶり2回目の挑戦。前回は制限時間内に終了させることができなかったが、見事おととしの雪辱を果たし、新宮署としても4年ぶりの入賞を果たした。前田巡査長は「普段現場でやっていることを徹底してやっていこうと作戦会議をしました。それが功を奏したのでは」。山本巡査長は「今後の自分が業務に当たっていく中でも励みになると思います」と話していた。
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県内14署と県警本部の署員らが参加した県警察柔道・剣道大会は毎年1回、技術の向上などを目的に実施している。池宮さんは今年4月に新宮署に赴任。父親が指導者だったことも影響し、小学校1年生から剣道を始めた。同大会では過去にも1位や2位の好成績を収めている。
現在、警察官の稽古の一環で剣道に取り組み、女性署員の指導にも当たる池宮さん。今まで指導してくれた人や関係者に感謝の気持ちを述べ「女性警察官が増えてきた中で、日頃から剣道を通して少しでも強い精神力を養ってくれたらと思い稽古をしています。その結果が付いてきただけだと思います」と謙遜しながらも笑顔を見せた。
(2018年11月30日付紙面より)
もみじ会11月月例杯
JA共済旗学童軟式野球大会
はまゆうカップ開催 (新宮市 )
県新人大会で全部員が近畿出場権獲得 (新宮高校空手道部 )
コウケンテツさん招き試食会 (和歌山県 )
熊野灘捕鯨文化継承協議会(山西毅治会長)は20日、串本町役場古座分庁舎で鯨料理「くじらキッチン」の試食会を開催した。新宮市、那智勝浦町、串本町の飲食店5店舗が開発した新メニューを料理研究家のコウケンテツさん(44)や関係者らが試食した。
同協議会は新宮市、那智勝浦町、太地町、串本町で構成し、熊野灘エリアを訪れる観光客の消費拡大に向けて新たな観光商品の開発を行う事業者を支援している。「くじらキッチン」は取り組みの一環で、同エリアを訪れる観光客の中で、特に20~30代女性が「ランチタイムに食べたいと思う鯨料理」をコンセプトに開発するもの。9月末から10月中旬まで参加する事業者を募った。
開発された商品は各事業者の店舗で販売や提供を予定している。提供店では共通ロゴマークの入ったタペストリーを掲げるほか、作成されるパンフレットで事業をPRする。
この日は各事業者から料理の説明を受け、まずはコウさんが試食。調理方法や食材について事業者らと語り合い、料理の感想を述べた。集まった関係者らはそれぞれのメニューを味わった。
コウさんはあいさつで食文化の重要性を訴え、新メニューについて「驚きしかない。それぞれの店の良さ、クジラの良さが表れていた。どのメニューも地元愛があり、工夫に富んでいてすごくおいしかった。これほどの料理を出すには相当、苦心されたと思う」と評価した。
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参加した5店舗と出されたメニューは次の通り。
■新宮市
▽まえ田「紀州まえ田の鯨寿司」
▽pizzeria koma「鯨肉のローストとピンクグレープフルーツのサラダピッツァ」
■那智勝浦町
▽鮮魚・創作和食・旨い酒bodai「鯨のカダイフ揚げ トマト大葉ソース」
■太地町
▽いさなの宿 白鯨「白鯨特製鯨パスタランチset」
■串本町
▽サンドリア「くじLoveすきドリア」
(2018年11月23日付紙面より)
ゆうゆうクラブ女性部栄養講習会
新宮市のゆうゆうクラブ(老人クラブ連合会)女性部(石原千里部長)による平成30年度栄養講習会が21日、同市熊野川町の総合開発センターで開かれた。
市保健センターの保健師・植山綾子さんが「高血圧予防」をテーマに話を進め、市食生活改善推進協議会(栃尾眞喜子会長)の会員5人が減塩や食の重要性について説明した。
女性部の17人が参加。はじめに石原部長が「高血圧予防についてしっかり話を聞いてください」とあいさつした。
植山さんは、生活習慣病による高血圧の患者が全国で1000万人いる一方、3300万人が未治療といわれているとし、「自分の血圧を知り、早く気付いて予防することが大事」と述べた。
高血圧の基準や種類(二次性高血圧、本態性高血圧)を説明した上で、「日本人の高血圧の90%が本態性高血圧で、生活習慣の見直しが必要。高血圧の症状は特に出ないが動脈硬化が進行する。動脈硬化は体への血液が行き届きにくくなり、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす」と話した。
肥満にならない体重管理や30分以上の有酸素運動をはじめ減塩、食事などのポイントを示し「野菜を積極的に取り、青魚類を食べるよう心掛けてほしい」と呼び掛けた。
参加者は協議会の会員が作ったどら焼きとホットレモンを試食。会員は▽欠食は絶対に避ける▽動物性タンパク質を十分に取る▽魚と肉の割合は1対1くらいにする▽余暇活動を取り入れた運動週間を身に付ける―といった「食生活10の指針」を紹介した。
(2018年11月23日付紙面より)
那智勝浦町消防が救助訓練
那智勝浦町消防本部(湯川辰也消防長)は21日、同町宇久井の地玉の浜で和歌山県防災航空隊との連携強化を目的にした訓練を実施した。消防本部の救急隊と消防隊、県防災航空隊から計19人が参加。隊員らが緊密に連携を取りながら、活動が困難な場所で救助訓練に取り組んだ。
山菜採りに出掛けた男性2人のうち、1人が山林内で負傷し動けなくなり、消防に救急要請した―と想定して訓練した。救急隊が地玉の浜の斜面付近で負傷者の状況を調べ、航空隊に救助を要請した。消防隊が救助活動を支援。負傷者を浜まで運び、白浜空港から飛来した防災ヘリコプターが上空からワイヤで負傷者をつり上げて機内に収容した。
関谷善文消防署長は「ヘリとの訓練は年に数回しかできないので大変貴重な訓練になった。若い隊員が多いので不測の事態に備えての訓練ができた。無線の交信が場所によって感度が落ちるので、携帯電話など違う道具を駆使しながら連携したい」と話した。
近年は熊野古道歩きの入山者が増え、ヘリの出動までは必要ないが、救助要請は多いという。関谷署長は「時間が遅くなると事故になりやすい。入山の時は余裕を持った計画を立ててほしい」と話していた。
(2018年11月23日付紙面より)
老朽化に伴い更新整備 (串本町 )
串本町消防防災センターで21日、串本町消防団(稲田賢団長)に対する消防車両の納車式があった。今回は和深分団(高尾拓次分団長)の消防ポンプ自動車と串本分団(泉博二分団長)の小型動力ポンプ軽積載車を更新整備。田嶋勝正町長から両分団長にキーが託され、代表して和深分団の高尾分団長は「一日も早く車両に慣れるよう訓練し、町民の生命と財産を守れるよう努力する」と応えた。
和深分団の旧車両は平成8年に整備され、22年が経過。串本分団の旧車両は平成9年に整備され21年が経過。ともに老朽化したため、新車両に更新されることになった。
納車式には両分団とも分団長以下4人が代表出席。稲田団長ら団本部役員と寺島正彦消防長ら職員が立ち会う中、両分団長にキーを渡した田嶋町長は「平成29年度は火災6件。本年度は現時点で10件の火災が発生している。一日も早く新しい車両に慣れ、いざというときに迅速に出動できる体制をつくってほしい」と奮起を期待した。
式後は納車した和歌山日野自動車株式会社新宮営業所や山口商会新宮支店の職員が両分団に仕様の説明をし、主に旧車両にない変更点について質問を受けるなどした。
和深分団の旧車両はオフロード車がベースだったが、新車両はトラックがベースのCD―Ⅰ型。両車両を比較したときの大きな変化の一つにカーブ走行時の安定性があり、今回の更新ではより迅速に現場へ急行しやすいというメリットがもたらされる形となった。
串本分団の旧車両と新車両は時代相応の変化はあるが、小型動力ポンプの仕様(2サイクル)を含めほぼ同等の艤装(ぎそう)がされている。泉分団長は同ポンプの取り扱いについて念入りに確かめるよう指揮しながら新車両を預かった。
(2018年11月23日付紙面より)
国立文化財機構東京文化財研究所保存科学研究センター修復計画研究室の朽津信明室長、徳島大学大学院の西山賢一准教授らが13日、新宮市熊野川町九重を訪れ、過去に同地区で発生した土砂災害を伝える文字が刻まれた石碑を調査した。石碑は地元でも一部の人にしか知られておらず、2011年の紀伊半島大水害後の和歌山大学災害科学教育研究センター客員教授、後誠介さんらの調査で「土砂災害慰霊碑」としての存在が明らかになった。
石碑は1821(文政4)年に医師湯川為善が建立と記され、かつての土砂災害で犠牲者が出たことを伝える何かを発見し、それを記念して建てたという内容が刻まれている。九重地区では紀伊半島大水害で土石流が発生し、後さんらの調査団が2013年に現地入りした。その際に地元の玉置利一さんが石碑の存在を知らせ、15年に後さんが調査した。紀伊半島大水害での土石流現場から北隣の沢筋でも過去に土石流が発生していたことが調査団の調べで分かっており、石碑は過去の発生を裏付ける証拠として注目を集めた。
石碑は倒木で塔が倒れ、砂岩の部分に刻まれた部分が痛み、文字が見えなくなっている。後さんの連絡で和歌山県立博物館の施設活性化事業実行委員会が調査。玉置さんが平成17年に行った解読資料を基に刻まれた文字を訳し、冊子「先人たちが残してくれた『災害の記憶』を未来に伝えるⅣ」に収録した。
朽津室長は石碑の全体像が不明なため、文化財の指定は難しいとしながらも「字の大きさに統一性がなく専門性がある人が作ったものではないとみられる。しかし、だから価値が低いとは言えない。先人が精いっぱい頑張って伝えなければいけないという思いで残したもの。われわれはその内容を受け取らなければならない」と語った。石碑の文字に墨入れがされていることから、過去の土砂災害発生の日などに合わせて地元の人たちで墨入れし、防災の意識を後世に伝えるイベントとしてはどうかと提案した。
後さんは「津波や水害を記録する碑は多いが、土砂災害慰霊碑は珍しい。文化財として残すことしか考えていなかったが、専門家の議論の中で作った人の思い、書かれた内容をどう伝えていくかという考えが生まれた。有意義だった」と話した。城和生区長は「住む人が少なくなっているが、保全に力をいれていく。墨入れの行事も今後の課題にしたい」と話していた。
(2018年11月16日付紙面より)
温泉病院で世界糖尿病デーイベント (那智勝浦町 )
WHOが定める世界糖尿病デーの14日、那智勝浦町立温泉病院(山本康久院長)で糖尿病治療の啓発イベントが開かれた。同病院と同町の糖尿病患者らで組織される「やたがらすの会」などが協力して開催している。今年で5回目、新病院となってからは初。糖尿病患者や健康管理に関心のある地域住民ら41人が訪れた。
病院内の1・2階を会場とし、血圧や血糖の測定体験、フットケアなど各コーナーを回るスタンプラリーも行われた。運動紹介コーナーでは握力を測定後、担当者がいすを使用した筋力トレーニングなどの運動方法を提案。保健師や薬剤師などによる各種相談も盛況だった。
同病院内科の医師、石亀綾奈さんが「災害と糖尿病」をテーマに講演。膵臓でインスリンを分泌する力が弱まり、出なくなる「1型」や高齢者に多く、遺伝や環境が原因とされる「2型」など糖尿病の種類や症状を説明した。
災害については「発生直後は十分な支援が期待できない。最低1週間分の薬、注射キットが必要」と強調した。不規則な避難生活については「患者は日常生活を保つことが難しくなる。血糖は多少、高めでも構わない。低血糖対策にアメなどの準備もしてほしい」と解説した。
その後は▽ストレスの管理▽十分な食事と水分の摂取▽体を動かす▽ウイルスや感染症を防ぐ―などの避難所で災害を乗り切るための心得を話した。
同町天満在住の80代女性は「今年で2回目。身近で先生たちと話ができるのでありがたい。薬のことなども詳しく聞けた。改めて、注意しなくてはいけないと気が引き締まった」と述べた。
山本院長は糖尿病について、「一人で悩まなくていい。悩みなどをシェアするのがやたがらすの会。年々、人数も増えている」と述べ、「この病気は上手に付き合っていかなくてはならない。医療スタッフがしっかりとサポートするので、仲の良い関係を続けていただけたら」と語った。
(2018年11月16日付紙面より)
全国地産地消推進協賞受賞 (串本町 )
串本町大島にある有限会社岩谷水産(岩谷裕平代表取締役)がこのほど、『紀州梅まだい』の取り組みで全国地産地消推進協議会会長賞を受賞した。
この賞は、同協議会が農林水産省と共に地産地消や国産農林水産物・食品の消費拡大を目的として年1回行っている『地産地消等優良活動表彰』の一賞。本年度は生産・食品産業・教育関係・個人の4部門で団体や企業、個人の取り組みを受け付け、全体で123件の応募があった。その後▽取り組みの持続性▽農林水産業振興への貢献▽安定した生産と供給▽利用促進による消費拡大―などを基準とした審査により13件が受賞し、今月3日に表彰が行われた。
同社は34件の応募があった生産部門で受賞し、同協議会が行った唯一の表彰だという。応募件名は「海と山の融合による『ブランド魚』の開発で地域貢献」。バブル経済崩壊後の苦境を打破するため、同社は平成14年に養殖魚『紀州梅まだい』の開発に着手。17年に魚に適した梅酢配合飼料の特許を取得し、養殖を本格化した。
ウメは古くから健康食材として親しまれる県の特産品。その評価は養殖魚にも当てはまり、『紀州梅まだい』は梅酢配合飼料により抗生物質などの投薬を要しない飼育に成功していて、栄養価も高いマダイとして高い評価を受けている。19年には紀州梅まだい生産組合を立ち上げて独自の販路開発にも着手。県推奨の衛生管理システムに組合独自規定を重ねてブランド魚として信頼性を高め、県推奨品『プレミア和歌山』の認定も受けた。一連の取り組みは第23回和歌山漁業者実績発表会最優秀賞や第16回全国漁業者交流大会全国漁連海面魚類養殖業対策協議会会長賞に選ばれた経緯がある。
現在は同社と太田水産で年間15万匹強を、同組合経由で近隣の宿泊施設などを含む国内外へ出荷。同社取締役の岩谷昇さん(30)を軸とする20~30代の若者6人で養殖の現場を支え、この需要に応えている。『進化前進』をスローガンに掲げて日々研究を重ね、『紀州梅まだい』を筆頭に『紀州梅くえ』や『紀州梅シマアジ』と育てる魚種の幅を拡げ、自ら取り組みを積極的に情報発信するなどして養殖を地場産業として未来へつなぐ努力を重ねている。
次の世代への引き継ぎが思い描ける養殖の確立が同社の目指すところ。その最前線である現場を開発者の父に代わって束ねる岩谷取締役は「父がやってきたことは正しかった。そして自分はこれでまい進していいという確信が得られた。皆がいてくれてこその紀州梅まだいで、この賞は皆がプライドを持ってやってきたことへの評価だ」と語り、共に頑張る新たな担い手を得るきっかけにもなることを期待しながら受賞を喜んでいる。
(2018年11月16日付紙面より)
郡市連合音楽会中学校の部 (新宮・東牟婁地方 )
東牟婁郡新宮市音楽教育研究会(太田雅也会長)主催の「第68回郡市連合音楽会」中学校の部が15日、那智勝浦町体育文化会館であった。下里、高田、色川、北山、城南、熊野川、太地、光洋、那智、宇久井、緑丘の11校の生徒らが歌や合奏を発表。緑丘、光洋、那智、潮岬の吹奏楽部による合同演奏もあった。
尾﨑卓子副会長は教育委員会、設営関係者らに感謝し、生徒らに「無音も一つの音です。思いは音として出ませんが、心の音となります。心に響く音を大事に全ての音を楽しんで。音をやりとりし、良い音を聴き合って良い音楽会にしましょう」とあいさつ。「皆さんご存じのように音は空気を振るわせることで伝わります」と話し、音の科学やピアノの仕組みを解説した。
全員の合唱『もみじ』で始まり、各校が順に全24曲を披露。保護者、一般の来場者らが聴き入った。16日には小学校の部が同じく那智勝浦町体育文化会館で開催される。
(2018年11月16日付紙面より)
南紀熊野ジオパーク現地審査 (新宮市 )
日本ジオパーク委員会は7日、新宮市や那智勝浦町などで南紀熊野ジオパークの現地審査を実施した。
両市町と太地町、古座川町、串本町、北山村、白浜町、上富田町、すさみ町、奈良県十津川村の10市町村で構成する南紀熊野ジオパークは2014年8月28日に日本ジオパークに認定された。
4年に1度、再認定の現地審査を受ける必要があり、今回、審査員3人が来訪。地質遺産の保全、活用の仕組みと取り組み、前回審査時からのジオパーク活動の進展などを審査した。
6日にすさみ町、串本町を訪問。7日は那智勝浦町の「まちなかジオツアー」、新宮市で毎月1回開いている「時空の旅」を視察した。
「時空の旅」はジオパークガイドの石坂容子さん、福辻京子さんが紹介した。「川の参詣道」として世界遺産となった熊野川で平安時代の上皇や貴族たちが利用した川舟に乗り、江戸時代の石垣が残る新宮城跡などを巡るツアーで2016年から始まった。
石坂さんが「この城跡の魅力は石垣にある。石の加工や配置などで時代が分かる。石垣は城を守るものか、城主の権力と財力を示すものか、じっくり見てほしい」などと話し、新宮城跡を案内した。
審査員は各所で質問するなど、石垣に興味を示していた。視察後、福辻さんは「ガイドで大事なのは終わりの時間。今回は開始時間が予定より遅れたが、予定通り終わった。この日のために10回ほど下見し、審査員が何に興味があるのか探りながら案内できた。安全に終えることができて良かった」と話していた。
日本ジオパーク委員会による再認定の判断は来年1月18日(金)に公表される予定。
(2018年11月9日付紙面より)
部落解放・人権政策確立要求滋賀県実行委員会(以下、滋賀実行委)の会員18人が6、7の両日、人権研修のため新宮市を訪れた。会員らは「大逆事件の犠牲者顕彰碑」や「中上健次生誕の地碑」、神倉神社、佐藤春夫記念館などを見学しながら同市の歴史や文化を学び、人権問題について理解を深めた。
滋賀実行委は会員の人権学習の一環として毎年「人権スタディーツアー」を実施している。向井雅男副市長が「人権社会の確立に向け、皆さまと共にまい進していきたい」と田岡実千年市長のあいさつを代読。「今回の研修が実り多いものとなれば」と一行を歓迎した。
7日の研修では同市春日の市人権教育センター(春日隣保館)で、佐藤春夫記念館の辻本雄一館長が「大逆事件」について講話した。辻本館長は1891(明治24)年にロシア皇太子が襲撃された「大津事件」がきっかけとなり刑法73条(大逆罪)が成立したと説明。以降、明治期の「幸徳秋水事件」、大正期の「虎ノ門事件」、昭和期の「朴烈(パクヨル)・金子文子事件」、「李奉昌(イボンチャン)事件(桜田門事件)」の四つの大逆事件が起こった。辻本館長は「少なくとも三つは冤罪(えんざい)。中でも大石誠之助ら熊野・新宮の関係者が巻き込まれた明治の大逆事件は規模が大きかった」と述べた。
大逆事件で検挙された誠之助を中心とする関係者らが「紀州グループ」と称されるゆえんについて、辻本館長は「権力の側の命名であってそういうグループが実在したわけではない。危険グループの一掃といった捏造(ねつぞう)になりかねない。彼らはそれぞれの個を基調として時代の動向に時にはあらがい、時には押し流されながら、若者特有の悩みや煩悶(はんもん)を抱えつつ生きていただけ」と語った。
辻本館長は誠之助が名誉市民となったいきさつやその人柄、思想などを紹介。成石平四郎や高木顕明、峯尾節堂ら他の犠牲者についても説明し、研修に参加した会員らは熱心にメモを取るなどして真剣に耳を傾けていた。
(2018年11月9日付紙面より)
城南中でオレンジリボン授業参観 (新宮市 )
新宮市立城南中学校(中田善夫校長)は7日、各学年を対象に授業参観を開き、「オレンジリボン」の授業を実施した。4年目になる取り組みで保護者らが見守る中、生徒たちは児童虐待などへの学びを深めた。
オレンジリボンキャンペーンは2004年に栃木県で子どもが虐待を受け、命を奪われた事件をきっかけに始まった。会場となった体育館には3日の文化祭で教職員や保護者らから集まった子どもたちへのメッセージカードが飾られた。森浦展行教諭が授業を進行し、子育てあんしんネットしんぐうの会員らと、市社会福祉協議会の大谷康央事務局長が見学に訪れた。
2年生の授業では森浦教諭が社会運動に対して支援や賛同を表す「アウェアネス・リボン」の色と意味を説明した。生徒らは協力してオレンジリボンのバッジを作り、カードにメッセージを記入した。最後は生徒を代表して玉置七彩(ななせ)さんがあいさつし、授業が終了した。
大谷事務局長は「地域と学校がつながることで、一つのきっかけができてくれれば」。子育てあんしんネットしんぐうの川嶋ひとみ委員長は同校の積極的な取り組みに感謝し「『虐待』という言葉は重たいですが、皆が笑顔で相手を思いやる気持ちを忘れないでくれれば」。
森浦教諭は「温かい気持ちになってもらい、一人で抱え込まずに誰にでも相談してもらえれば」と話していた。
(2018年11月9日付紙面より)
つばき園舎で小児科講座 (くしもと町立病院 )
くしもと町立病院小児科による公開講座が6日に串本町立くしもとこども園つばき園舎であり、保護者や保育教諭ら約30人が医療機関への救急搬送が必要な子どもの症状などへの理解を深めた。
この講座は、同病院と地域を身近にする取り組みの一環として前年度から始まった。同病院の勤務医が講師登壇する点を特色にして回を重ねていて、本年度は3回目、前年度からの通算で7回目の実施になるという。
講師は同病院小児科医員の草野信義さんで、演題は「急ぐ症状・急がない症状」。名田倍也・同病院事務部事務長のあいさつを経て登壇し、新宮・東牟婁地方において小児科医は「絶滅危惧種」と対比できるぐらい数が少なく対応力が限られている点を前置きし、すぐに治療が必要な子どもが円滑に受診できる医療環境づくりへの理解と協力を求めて話を進めた。
急ぐ症状を判断する目安について▽発熱▽咳や鼻水▽下痢や嘔吐▽皮疹▽けいれん▽頭をぶつけた―といった主訴別に説明。これらの目安は日本小児科学会のサイト「こどもの救急」でも示され、小児救急相談(電話#8000、平日午後7時~翌日午前9時、土・日・祝日午前9時~翌日午前9時)もあるので迷ったときは利用してほしいとアピールした。
目安に該当した場合が急ぐ症状であり救急搬送が必要だが、けいれんの目安に該当した場合については自家用車で運ぶのは危険(運転者が子どもに気を取られて運転を誤る可能性が高い)なのですぐに救急車を呼ぶよう呼び掛けた。
草野さんは「(小児科医は)皆さんのためにありたい」と改めて思いを掲げ、診療時間内は気軽な来院、診療時間外や日曜応急診療時は事前に電話連絡をすることへの協力を求めた。余った時間で質問にも気さくに答えて、地域との歩み寄りを深めた。
(2018年11月9日付紙面より)
「世界津波の日」前に各地で訓練
「世界津波の日」(11月5日)を前に1日、県内全域で地震・津波避難訓練が実施された。国や県、市町村、教育機関、自治会などが取り組み、適切な避難の定着を図った。
「世界津波の日」は2015(平成27)年12月に国連総会で制定された。和歌山県の偉人、濱口梧陵が安政南海地震の際に稲むらに火を付けることで津波から多くの命を救い、その後私財を投じて堤防を築き、村を復旧、復興に導いた故事にちなんでいる。
那智勝浦町立下里小学校(岡史博校長、児童96人)では、午前10時25分に地震の発生を知らせる放送の後、地震の鳴動を表すアラーム音が2分間流れた。グラウンドの児童らは身を低くしてかがむなどして安全を確保。アラーム音が終わってから体育館横の大丸山(標高50㍍)まで避難した。
同校では、日頃から地震の発生に備え、授業中や遠足時などさまざまなパターンを想定して訓練を実施している。今回は、休憩時間中の発生を想定した訓練で、放送や教員からの避難指示は出さず、児童各自の自主判断で避難することに取り組んだ。
訓練後、6年生の宮井聡子さん、田中沙知さんは「グラウンドに集まった後、山に登る前にすぐ一列になれなかった」と反省しながらも「実際起きた時はどうなるか分からないけど、今日の訓練のように頑張る」と話した。
(2018年11月2日付紙面より)
3県が合同訓練
田辺市本宮町の七越峯付近で10月31日、新宮市、田辺市、熊野市の各消防本部、奈良県広域消防組合消防本部、奈良県防災航空隊による合同訓練があった。3県4消防本部1機関から消防車両13台が出動し42人が参加。相互の連携と防火体制の強化を図った。
他県消防本部との連携強化や、各消防本部の消防力の把握や連絡体制の確認を行い、和歌山、三重、奈良の県境付近での災害時における円滑な消防活動の構築を図ることが目的。訓練の一部は災害を見据えて、進行やシナリオを与えないブラインド型で実施された。
新宮市消防本部管轄の県境付近で山火事が発生し、強風にあおられ延焼拡大中との想定で訓練を開始。三重、奈良両県の各管轄の消防本部と、新宮市消防本部からの応援協定により田辺市消防本部が出動した。隊員らは熊野川から水を吸い上げ、連結したホースを使い約200㍍離れた山の上下から放水し消火活動を行った。奈良県の要請により同県の防災ヘリが上空から放水し鎮火。約1時間の訓練を終えた。
新宮市消防本部の川嶋基正消防長は「ブラインド型訓練ということで難易度も高かったが、実践に近い訓練ができた。大きなミスもなく懸命に頑張ってくれたと思う。今回の結果に満足することなく、反省や検討を重ねて今後の円滑な消防活動に役立ててもらえれば」と講評。「これからも地域住民の協力を得ながら、皆さんの安心安全のために頑張っていきたい」と話していた。
(2018年11月2日付紙面より)
病院跡地で「エコ祭り」 (つばさ福祉会 )
串本町古座の国保古座川病院跡地で10月27日に交流イベント「平成30年度エコ祭り」があり、最寄りの施設「エコ工房四季」の利用者やその家族と地域が一体になって、出店や抽選などの趣向を楽しみ、親交を深めた。
このイベントは社会福祉法人つばさ福祉会(藤田勝彦理事長)と同法人が運営する施設・エコ工房四季が主催。本年度は「演・食・楽」をテーマに会場を構成し、ステージ発表、各種軽飲食出店、バザーやミニゲームなどが並んだ。
開会に当たり藤田理事長は、近況としてエコ工房四季は農協と共に農福連携の活動を始めていることを報告しつつ来場を歓迎。引き続いてダンス教室「PHAT DANCE STUDIO」やフラダンスグループ「HAPUNA」のダンスの披露があり、午後は太地町のユニット「ポップバンドBAO」や歌い手「シンガーアツシ」が出演してステージ発表を盛り上げた。
午前と午後の半ばでは飛び入りカラオケ大会もあり、エコ工房四季の利用者も出演して合唱を披露した。各種軽飲食出店は、当日配布の抽選券が本年度から2店舗を利用してスタンプを集めると挑戦できる形式になったこともあり、早々に完売御礼となる店も出る勢いで利用を集めた。
終盤では約400枚の抽選券から、藤田理事長による無作為抽出で各景品の当選者を選んだ。農福連携の延長で本年度はJAみくまのの職員が育てたもち米60㌔が提供され、その贈呈式を経て餅まき・菓子まきを行い締めくくった。
藤田理事長は、農福連携により利用者がエコ工房四季から地域へと出て活動する機会が増え、地域の一員としての感覚が一段と増している状況を喜びつつ来場者の応対に努めていた。
(2018年11月2日付紙面より)
昨年並みの100㌧見込む (北山村 )
日本唯一の飛び地の村、北山村で1日から、特産品じゃばらの収穫が始まった。女性らが色づいたものを枝切りばさみで丁寧に切り取って籠へ入れた。今年の収穫量は昨年並みの約100㌧の見込みで、作業は今月いっぱいまで続く。
じゃばらは村内の農家24戸と村営農場の計8㌶ほどの畑で約6000本栽培している。生しぼり、ジュース、ぽん酢、ジャム、シャーベットなどさまざまな商品があり、昨年度の売り上げは前年度より約4000万円増の約2億6600万円だった。今年3月にテレビ番組で紹介されたことから、本年度の売り上げはさらに伸びると見込んでいる。
村営じゃばら農園管理責任者の宇城公揮さん(42)は「台風にも負けず、今年は果汁もたっぷりで品質の良いものが育ちました」と話していた。
じゃばらは温暖多雨な気候で寒暖差が大きい北山村の自然条件が生み出したかんきつ系果実。ユズや紀州みかんの自然雑種とされていて、江戸時代から村に分布。名前は「邪(じゃ)を払う」からきているという説がある。大きさはテニスボールほどで、疲労回復に良いとされるビタミンAとC、風邪予防に効果があるカロテンを含むなど栄養価に優れ、皮には抗アレルギー作用があるフラボノイド成分が多く含まれている。予約はインターネットや電話で受け付けている。問い合わせは村じゃばら村センター(電話0735・49・2037)まで。
(2018年11月2日付紙面より)