ノンフィクション作家・田中伸尚さん (来年没後100年 )
『大逆事件―死と生の群像』を書いたノンフィクション作家、田中伸尚(のぶまさ)さん(75)が21日、新宮市を訪れ、来年3月に100回忌を迎える「大逆事件」の犠牲者、峯尾節堂(みねお・せつどう)=1885―1919年=の足跡をたどった。7年ぶりに新宮を訪れた理由などについて聞いた。
来年、節堂没後100年を迎え、顕彰碑を建てるという話も聴き、今回7年ぶりに訪れました。節堂はこの地方の犠牲者6人の中で最も注目されていない、人々の関心が薄い人物。獄中手記を読んでもほとんど、大石誠之助や高木顕明のように社会主義、無政府主義に積極的に関わっていなかった。友達の友達という存在で捕まってしまった人物。
そんな節堂を妙心寺派は判決が出る前に擯斥(ひんせき)処分にした。宗教が国家にベッタリだったことが分かる。宗教、教団の国家に対する姿勢をはっきりさせるのは現代的な問題でもあると思います。
「大逆事件」当時の一般の人々は、限られた情報の中で、捕まった人たちを非難した。節堂は、26歳で検挙され、社会的な圧力で離婚もし、動揺が激しかったに違いない。当時は社会的に余裕がなかったという時代背景もある。
節堂は思想的に確立できていなかったし、迷いながらの人生でした。大石との付き合いも薄かったが、「大逆罪」の網にかけられた。
「大逆事件」はまだ生きている事件。まさに形を変えて生きていると思います。今年は大石の生誕150年。節目、節目で思い出され、次の世代に伝えられていくことは大事なことだと思います。
「共謀罪」は国が人の心を支配しようと外堀を埋めていくようなもの。「大逆罪」はその後、「治安維持法」に継承された。戦争の時代と絡んでふくれあがっていく車の両輪です。戦争に対する反対を抑えるためのもので、古今東西、世界各地にある国家の本質です。
節堂はドラマチックではない普通の青年だった。そんなどこにでもいるような人に光をあてることが今、大事ではないかと思います。
もし、今回の取材を本にまとめることができれば、『大逆事件 死と生の群像』(2010年、岩波書店)『飾らず、偽らず、欺かず 管野須賀子と伊藤野枝』(岩波書店、2016年)に続き、「大逆事件3部作」になりますね。
□ □
■峯尾節堂
1885年4月1日、新宮生まれ。京都の妙心寺で修学して臨済宗妙心寺派の僧侶となった。大石誠之助や高木顕明らと出会い交流を重ね、「大逆事件」に連坐。死刑判決を受け、その翌日特赦で無期懲役に減刑されたが、1919年3月6日、35歳で、獄中で病死した。事件後、妙心寺派は節堂を擯斥処分としたが、1996年に取り消した。
妙心寺派は来年3月6日に節堂の100回忌法要を営む計画。それに合わせて「大逆事件の犠牲者たちの人権回復を求める連絡会」が新宮市内で「第4回大逆事件サミット」を開催する予定。
明治天皇暗殺を企てたとして1911年、12人が絞首刑、12人が無期懲役となった「大逆事件」。現在の研究では大逆罪に名を借りた社会主義者、無政府主義者への弾圧で、国家によるフレームアップであったことが明らかになっている。
(2017年5月25日付紙面より)
那智勝浦町身体障害者連盟(鈴木怜子会長)の定期総会が23日、町福祉健康センターであった。本年度事業計画案、規約の改定案など7議案を承認した。参加した22人の会員らは総会後の昼食会などで交流を深めた。
来賓の植地篤延副町長は「福祉の充実と推進については、自ら進んで参加する熱意が大切。積極的に社会参加している皆さんの活動は意義深い。引き続き協力を」とあいさつ。鈴木会長は、和歌山県が発行する、義足、内部障害などで外見からは援助や配慮が必要なことが分からない人のための「ヘルプマーク」を紹介し「制度を広めたい。必要な方は申し出て」と呼び掛けた。事業案として「ホテルフリーゲート白浜」の視察を10月に予定しており、「支配人、コックさん以外は全員障害者が勤務している。励みになることが多いと思う」と参加を促した。
同会は会員の親睦を図り、障害を克服して自立の促進と福祉の増進を目的として活動。本年度は串本町障害者連盟とのグラウンドゴルフ、カラオケ交流会や日帰り研修旅行、郡連スポーツ大会参加、町長との懇談会などを予定している。
(2017年5月25日付紙面より)
夏に潮岬で第49回キャンプ (日本ユネスコ協会連盟 )
串本町潮岬にある県立潮岬青少年の家で7月30日(日)から8月2日(水)まで、第49回ユネスコ子どもキャンプが開かれる。日本ユネスコ協会連盟の主催事業で、対象は全国の小学4年生~中学3年生。定員50人で募集するさなかにあり、会場地では実行委員が打ち合わせを重ねて受け入れの準備を進めている。
このキャンプは、ユネスコが掲げる「教育、科学、文化」による平和実現を目的にし、国内各地の地域ユネスコ協会と協力して年次実施している。1968(昭和43)年に始まり、本年度は49回目で、日本発祥の民間ユネスコ運動70周年記念事業として位置付け。次年度の50回目の節目も含め、和歌山県ユネスコ連絡協議会が同連盟と協力する状況にある。
キャンプテーマは「わ(WA)!!自然と深める僕らの絆」。昨年秋に会場地の実行委員会が結成され、テント泊を軸にした3泊4日の体験プログラムを検討していて、期間中は同家外での野外活動や屋内活動、夕食交流会や「ジオリンピック」、キャンプファイヤーや班タイムといった日程が募集要項で告知されている。
今月21日に開かれた実行委員の打ち合わせでは、屋外活動は▽古座川でカヌー体験▽串本海中公園でバックヤードツアー▽橋杭海水浴場でマリンアクティビティー体験▽山間部でジオツアー―の4メニューとし、屋内活動はトルコ記念館を軸にして行い夕食交流会はトルコ料理づくりに挑戦することなどを実践手法も交えて検討した。
一連の体験プログラムを通して、かけがえのない自然環境に親しみ共生の歴史を自らも刻む心と、日本とトルコの友好の歴史から人の絆や助け合いの心を育むきっかけを提供するのが全体目標。着実な達成のため同連盟は子どもと目標の仲立ちをする青年スタッフ(高校生以上)も全国規模で募集をしている。
申し込み方法などその他詳細を知りたい人は早めに同連盟公式ホームページ(http://unesco.or.jp/)か同家などで配布している各要項を参照。問い合わせは同家(電話0735・62・6045)まで。
(2017年5月25日付紙面より)
熊野灘捕鯨文化継承協
第3回熊野灘捕鯨文化継承協議会は23日、新宮市の東牟婁振興局で第3回総会を開いた。本年度は河内祭の御船行事のジオラマを製作し、来年2月末までにJR古座駅に展示する事業(500万円)などを計画している。
昨年4月25日に日本遺産に認定された熊野灘の捕鯨文化に関するストーリー「鯨とともに生きる」を活用した誘客促進と地域活性化を目的とした取り組みを進めている組織。和歌山県、県観光連盟、関係市町、観光団体、文化保存会などで組織している。昨年度は「くじらと人と物語」とのキャッチコピーやロゴマークを作成。総合ガイドブックを増刷し、各駅などに設置したほか、ウオークイベントや企画展を開催した。
今年4月28日には孔島厳島神社の石造物(新宮市)、宇久井半島の山見台跡群(那智勝浦町)、太地角右衛門の墓(太地町)、古座組鯨方石宝(串本町)など10件が構成文化財に追加認定され、計29件になった。
本年度予算は4028万1000円で、うち2408万円は文化芸術振興費補助金(日本遺産魅力発信推進事業)。追加認定を受けた文化財の案内板・説明板などの制作・設置費(795万2880円)、捕鯨の勢子舟を復元するため現存する破片の調査と設計の費用(119万4000円)、日本遺産ガイド養成費(81万9620円)などが盛り込まれている。
(2017年5月25日付紙面より)
もみじ会5月例杯
新宮弓友会5月例射会
新宮市出身・小川洋君、秋田県高校野球春季地区大会で
「にっぽん丸」が入港 (新宮市 )
大型客船「にっぽん丸」(全長166・6㍍、2万2472㌧)が17日午前9時ごろ、新宮市の新宮港に入港した。福岡県の博多港から乗船してきた観光客305人は、バスやタクシーに乗り込み、熊野三山や伊勢神宮へ向かった。同日午後5時ごろ出港する。
今回のクルーズ名は「新緑の和歌山 南紀新宮クルーズ」(2泊3日)。次は博多港。歓迎セレモニーで田岡実千年市長は「熊野は古来、よみがえりの地として多くの人が訪れている聖地。今でも多くの観光客が訪れています。今日一日、熊野の自然と歴史、文化を堪能してください」とあいさつし、二宮悟志船長らに花束を贈呈した。
岸壁では平安衣装の女性らによる出迎え、ミカンやさんまずしなどの地元物産販売のほか、地元で採れたサトイモのコロッケの振る舞いがあった。出港時には「熊野水軍太鼓」が演奏で見送る。
■梛の木見送り隊募集
新宮市企業立地推進課は「新宮港梛(なぎ)の木見送り隊」の会員を募集している。会員特典あり。今後の入港予定は、6月2日(金)「飛鳥Ⅱ」(午前9時入港、午後5時出港)、18日(日)「ぱしふぃっくびいなす」(午前9時30分入港、午後6時出港)となっている。
問い合わせは同課(電話0735・23・3333)まで。
(2017年5月18日付紙面より)
延命寺で鍋島摩利支天大祭 (那智勝浦町 )
那智勝浦町宇久井の鳳凰山「延命寺」(西昭嘉住職)で12日、鍋島摩利支天(なべしままりしてん)大祭が営まれた。宇久井区役員や宇久井漁業協同組合員ら約60人が参列し、海上安全や大漁満足を祈願した。
宇久井湾の西側にある鍋島に祭られている摩利支天の大祭で、毎年5月の「亥の日」に開催している。西住職によると、摩利支天はもとがインドの神で、原語のMarici(まりし)は太陽や月の光の意味があり、光線から立ち上る陽炎(かげろう)は実体がないため、自在の神通力を持っていると考えられた。イノシシにまたがり、弓矢を引いた姿で、日本では武士の守護神として、護身、隠れ身、財宝獲得、論争勝利などを祈願されてきた。宇久井では1769年に、鍋島に安置して水軍が祭ったと考えられている。その後、漁師や漁業関係者の信仰の対象となったという。
西住職は「南紀州で摩利支天を祭っているのは宇久井地区が唯一です。地域の繁栄を支えてくださっていることに参拝者一同感謝しております」と話していた。
前日に、西住職と同寺役員7人が船で鍋島に渡り、祈とうと清掃を行った。
(2017年5月18日付紙面より)
愛好者80人が望楼の芝で (串本町 )
串本町潮岬にある望楼の芝で16日、第3回健康太極拳合同鍛錬会があり、愛好者ら約80人が芝地の一角で一丸となって実践に取り組んだ。
この鍛錬会は、同町健康太極拳協会主催、同町教育委員会後援。串本町やその近隣の愛好者が集い大自然の「気」を健康づくりに役立てる場として、年1回の頻度で開いている。
この日は前回に引き続いて同芝を会場にし、▽新宮はまゆう教室(小西ちか子師範)▽紀宝教室(柳本常盤師範、奥平信子師範)▽ピーアップシングウ▽順心の会▽なごみ▽串本教室(大澤順子師範)▽岩淵太極拳教室(浅川すま子師範)―に通う生徒の中の希望者が参加。取り組みに関心を持った流派上位の役員2人も駆け付けて鍛錬会に加わったという。
メイン講師は地元の大澤師範が務め、他師範2人が補佐。緩やかな流れの音楽に合わせ本場中国で太極拳を普及させるために形作られた型「24式太極拳」を実践。併せて大澤師範から気功の型の紹介もあり、24式とは違った太極拳の側面として習得に努めるなどした。
同鍛錬会の世話役を務める鈴木清同協会理事は「大自然の気を健康維持に役立ててくれれば何より。私たちが太極拳に取り組むのは健康づくりが目的で、この鍛錬会が薬とは違う代替療法として太極拳に取り組むことへの励みになれば」と願い、今後の同鍛錬会継続にも意欲を見せていた。
(2017年5月18日付紙面より)
田辺市長野の長野古城梅(ごじろうめ)振興会(竹内豊代表)は16日、同市本宮町の熊野本宮大社へ収穫したばかりの梅を奉納し、業界の発展を祈願した。
古城梅は長野発祥の希少品種。実の色が美しく「青いダイヤ」と呼ばれていて、ほとんどが梅酒として消費されている。本格的な収穫は今月20日ごろから約10日間で、約350㌧の収穫を見込んでいる。
「ごじろ」に語呂を合わせ、一昨年から毎年5月16日に奉告祭が営まれている。今年は竹内代表ら会員9人のほか、田辺市やJA紀南の職員ら合計15人が参列した。
竹内代表(77)は「今年も出来栄えは良いです。今年は古城梅という名前が付けられて80年の節目。PRに力を入れていきたい」。九鬼家隆宮司は「梅はミカンとともに和歌山を代表する果物。多くの方に召し上がっていただき、業界の発展とともに生産者の方々のご安泰をお祈りいたします」と話した。
(2017年5月18日付紙面より)
青葉杯ソフトテニス大会
女子小学生チーム「SMILE.E.T」
第61回近畿ソフトテニス選手権大会
熊野川町で広がるサロン活動 (新宮市 )
新宮市熊野川町で地区と市社会福祉協議会が協力して実施している「ふれあいいきいきサロン」の活動が広がっている。現在は同町34地区中14地区9カ所で毎月1回程度開いており、地域の高齢者を中心に楽しい集いの場となっている。
9日には嶋津地区で豆ごはん作りがあり、参加者の畑で収穫していた豆などを使ってみんなで取り組んだ。炊きあがりを待つ間は漢字クイズや世間話で盛り上がり、お昼ごろになると「いい匂いがしてきた」とにっこり。「おいしいね」「塩加減もええわ」と口々に言い合いながら味わった。平野ミキエさん(87)は「楽しくておいしかった。サロンは楽しいから、毎月参加したい気持ちになってきます」と話していた。
サロンは地域のコミュニティーづくりや介護予防、寝たきりの防止、一人暮らしの人への見守りなどを目的に、平成17年ごろから始まった。社協職員が区長会で紹介・提案し、希望する地区に協力する形で活動してきた。平成23年の紀伊半島大水害以降、人口減少などに伴い地域のつながりを深めるためにより力を入れて取り組んでいる。
26年からは熊野川行政局内にできた熊野川地域包括支援センター職員と一緒に、実施する地区を拡大。今では▽上長井・西・谷口▽大山▽鎌塚・滝本▽赤木▽日足・相須・椋井▽志古▽九重・四瀧▽嶋津▽篠尾―で開いており、10日には相須地区で新たに開かれた。
平均参加者数は6人~20人。かるたやレクリエーション、カラオケ、グラウンドゴルフ、健康講話などをはじめ、地域の食材を使った料理、干し柿やかご作り、季節ならではのメニューも。住民らがやってみたいことを自分たちで考えて、主体的に取り組むため、年々個性豊かになってきている。人数や頻度、開催場所などの関係で毎月1回のサロンを実施できない地区でも、クリスマス会や地区の敬老会など年に数回の催しに市社協も協力し、地域に合わせた活動を一緒になって行う。
人口が少ないからこそ、さまざまなつながりや協力が大切となってくる同町。サロンだけでなく、地域住民が主体となった取り組みに社協や行政が関わることで、官民一体、協働で事業を行え、それにより、さらにつながりが広がっていく。
市社協熊野川ステーションの大江真季さんは「地域とのつながりがあってできること。ありがたいです。みんなが楽しんでくれており、一緒に参加させてもらっている私自身も楽しませていただいています」。
地域とつながることで課題が見え、解決に向けた取り組みも行える。「互いの強みを生かし、知恵と力を出し合っていきたい。地域のつながりを大切に、信頼関係を築き、より良い地域に向けて一緒に歩んでいきたいです」と話していた。
(2017年5月11日付紙面より)
花火大会の第1回実行委員会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町花火大会の実行委員会(委員23団体)は9日、今年度第1回の会合を同町役場で開き、花火大会の開催日を例年通り8月11日(金・祝)に決めた。
花火大会は平成19年に町民手作りの大会として復活し、夏の恒例行事となっている。今年も実施に向けて準備が始まった。日程は、雨天時は12日(土)、21日(月)、22日(火)と順延。予算は昨年より9万9500円多い、1446万2000円。花火打ち上げ費用864万円と花火業者は昨年と同じ。収入は広告費、追善供養寄付が40万円減の見込みで他は前年度並みとなっている。町補助金は300万円。
植地篤延副町長は「わが町の一大イベントとして、例年同様に子どもから高齢者までが楽しめる大会に」と呼び掛けた。委員らは、追善供養寄付の予算減額や、昨年度は利用者の少なかったバスの借り上げについて話し合った。
同実行委員会の会長は区長連合会の会長が務めており、役員選任で区長連合会会長の大田政信さんが再任された。30日(火)に区長連合会の総会が予定されており、役員改変の場合は新会長が同実行委員会の会長を務めることになる。
(2017年5月11日付紙面より)
姫ひじき新物加工始まる (串本町 )
串本町姫の特産品「姫ひじき」の新物加工がこのほど始まった。姫ひじき生産組合(堀喜代子会長)は需要に応えるため4月18日以降、収穫時期の合間を縫う形で断続的に生産を重ねている状況で、収穫が一段落する今月下旬から本格的に加工に専念するという。
姫産ヒジキは古くから茎が太く柔らかくておいしいと定評があり、その加工品「姫ひじき」は1976(昭和51)年、旧西向漁業協同組合婦人部が地元に伝わる製法で生産を始めた。1985(昭和60)年に同組合が設立されてから今日まで生産が続いている。
直径1㍍強の鉄釜で天日干しした姫産ヒジキ60㌔をじっくりと炊き上げ、再び天日干しするのが同組合の加工方法。仕上がった乾燥ヒジキを選別して袋詰めし「姫ひじき」として出荷している。
今季の姫産ヒジキの収量は約4・7㌧(乾燥重量)で、昨年よりわずかに少ないがほぼ例年並み。今年はゴールデンウイークに向けた予約が相次ぎ、加工できる姫産ヒジキの在庫がなかったため一足早く新物の加工を始めた。加工作業は天日干しに適した気象条件を見越して進めていて、今年は10月いっぱいまで続く見込みだという。
(2017年5月11日付紙面より)
新宮市三輪崎の海岸で
新宮市三輪崎の海岸で9日、アワビなどの漁が口開け(解禁)となった。この日を待ちわびた三輪崎漁業協同組合員たちがウエットスーツ姿で船や磯から素潜りを繰り返し、海中の岩に張り付いたアワビを採捕した。漁は8月下旬まで続く。
例年は4月中旬に口開けとなっているが、今年は熊野川の濁水の影響で視界が悪く潜れない日が続いたことなどから、1カ月近く遅くなった。海の深くまで潜って貝などを採る人は「あま」と呼ばれるが、女性は「海女」、男性は「海士」と漢字で書く。潜らないで浅瀬で採る人は「あさりど」と呼ばれる。口開けは「あさりど」に合わせ、波の静かな日にしている。
頭に「磯メガネ」、岩から貝をはがす「磯ノミ」と採った貝などを入れた網袋を手に海からあがってきた「あさりど」の女性たちは「数はあったよ。大きいのもようけ採れた」。「密漁された跡みたいな石もあったね」などと話していた。
4年前に大阪からUターンしたという竹内覚さん(69)=同市三輪崎=は昨年から「あさりど」として貝を採っている。「母親もあまで、弟もあまやからね。面白いよ」と話していた。
(2017年5月11日付紙面より)
観光筏下りがスタート (北山村 )
北山村の北山川で3日、今シーズンの観光筏(いかだ)下りが始まった。テープカットの後、第1便の筏が出航し、日本各地から訪れた観光客たちが、水量豊かな北山川の急流と渓谷美を味わいながら川下りを満喫した。
スギの丸太8本で組んだ床(とこ)を七つ連結している筏は、全長約30㍍、幅約1・6㍍で、中央部に座席と手すりが設けられている。訓練を積んだ筏師たちが櫂(かい)で操船する。
ライフジャケットを着た乗船客たちは、急流で歓声を上げながら約5・5㌔を約70分かけて下った。昨年までの総乗客数は19万7781人。昨年は5120人だった。
開航式では、神職が今シーズンの安全を祈願。山口賢二村長は「今年も筏のシーズンを迎えました。今年で39年目。今年でお客は20万人を突破する予定です。筏流しの技術は県の無形民俗文化財にも指定されました。周辺市町村と連携して観光振興に取り組んでいきたい」とあいさつし、『北山音頭』を歌った。
日本唯一の飛び地の村、北山村には最盛期、数百人の筏師が住んでおり、村民は1000人以上いた。昭和40年代に北山川水系にダムができ、道路が発達。木材がトラック輸送に代わったことで筏流しは衰退し、村民は現在約450人になっている。
筏下りは1979年、元筏師や村民の努力で観光筏下りとして復活。特産品のかんきつ系果実「じゃばら」とともに村の基幹産業になっている。初年の乗客は219人だったが年々人気が高まり、2005年には過去最高の9287人を記録した。
運航期間は9月末までの5カ月間。問い合わせは同村観光センター(電話0735・49・2324)まで。
(2017年5月4日付紙面より)
大物の水揚げ続き、単価も過去2位 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の勝浦地方卸売市場では冬から春にかけての近海マグロはえ縄漁が終盤を迎えている。市場を運営する和歌山県漁業協同組合連合会がまとめた2016年度の取引額は71億7626万5946円となり、前年に続いて70億円台を維持した。
過去10年で最も取引額が少なかったのは13年度の60億5353万1226円。翌年に8年ぶりに70億円を回復し、3年連続70億円台を維持している。
16年度の水揚げ量は1万474㌧で13年度よりも約375㌧下回ったが、金額は11億2273万4720円増となっている。
300㌔を超える大物クロマグロの水揚げが多く、今年1月7日に揚がった307㌔の記録が次々に更新され、3月5日に勝浦市場歴代最大の446㌔が揚がり、全国から注目を浴びた。キロ当たりの単価では、平成2年の過去最高値2万7000円に次ぐ2万5900円という結果が出ている。
県漁連では、水揚げ量の過半数を占めるビンチョウマグロを関東で広めようと、水揚げの当日に白浜空港の航空便を使って東京へ届ける手段を検討中だという。
県漁連勝浦市場の丸山一郎参事は「勝浦へ入港してくれる漁業者のためにも、勝浦産のマグロの価値を高めたい。関東で知名度の低いビンチョウを、百貨店などに直接売り込むことも考えている。大物はたくさん揚がったが、水揚げ量は低迷している。マグロ資源問題についても、地域から発信していかなければ」と話していた。
(2017年5月4日付紙面より)
三尾川小稲作体験始まる (古座川町 )
古座川町立三尾川小学校(濵地久夫校長、児童11人)の稲作体験が1日、同町三尾川字下地にある日下恵夫さん(74)の水田を借りる形で始まった。今年も児童と教職員が一丸になってもち米「若草もち」の苗を手植え。収穫は9月初旬ごろの見込みで、収穫した米は来年1月の餅つき大会で使い、余った分は毎日の給食でも味わうという。
長年の伝統となっている全校行事。日下さんは過去10年間にわたって協力した兄・隆夫さんの後を継ぎ、2年前から児童に稲作の機会を提供している。もち米「若草もち」は児童が夏休みではなく学期中に稲刈りできるよう、みくまの農協とも相談して取り入れた晩生の品種。初栽培した前年度は日下さんの読み通り2学期が始まってすぐが刈り時になり、今年もその苗を準備して児童を迎えた。
歩いて日下さんの水田を訪ねた児童はさっそく素足になって田植えの準備。2年生以上は過去にも経験があるので自主的に、1年生は先生や高学年と一緒に作業に励んだ。水田の広さは約2㌃で、日下さんは児童が植えやすいようにとあらかじめ約25㌢間隔で縦横に筋付け。苗の草丈は20㌢弱で、筋の交わるところに3~4本を植え込んだ。2年生以上の経験に加えて隆夫さんら近所の人の手伝いもあり、田植えは30分ほどで完了。近くの水路で泥を洗い流し、日下さんに収穫までの管理をお願いしてこの日の作業を締めくくった。
手際よく田植えをこなす児童を見守った日下さんは「米は日本人の主食。ただ食べるだけでなく、どうやれば作れるかもしっかりと経験し、大きくなった時に思い出して自分で稲作ができるようになってくれれば」と期待した。
(2017年5月4日付紙面より)
チラシなど配り注意喚起 (新宮警察署 )
新宮警察署(谷本克也署長)は4月30日、新宮市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店で万引防止キャンペーンを実施した。警察署員、少年補導員らが買い物客らにチラシやポケットティッシュを配布した。
同署管内の万引の発生件数は3件で、前年同期比14件減だった。しかし4月に入り4件発生している。住民の規範意識を高め、犯罪抑止を目指して街頭啓発を実施した。
のぼりを立て、「万引きは犯罪です」「万引きをしない させない 見逃さない」などと注意喚起をするチラシなどを手渡した。万引は窃盗罪で10年以下の懲役、50万円以下の罰金となる。
(2017年5月4日付紙面より)
大矢・清水組が2年連続6度目の優勝