串本小5、6年生が海の教室 (勝浦海事事務所 )
青少年に海への関心を高めてもらうことを目的とした「海の教室」が6日、那智勝浦町と太地町で開かれた。串本町立串本小学校(堀靖典校長)の5、6年生35人が和歌山県漁業協同組合連合会勝浦市場や太地町立くじらの博物館の見学、紀の松島めぐりを通じ、日々の暮らしを支える海の仕事に触れた。
国土交通省近畿運輸局勝浦海事事務所、紀南海運協会、公益社団法人近畿海事広報協会が主催。「海の月間」(7月1~31日)の協賛行事として毎年実施している。
勝浦市場展望スペースに到着した児童は、勝浦海事事務所の名越正典さんから海運の仕事について学習。四方を海に囲まれた島国・日本では、石炭や石油、天然ガス、鉄鉱石、穀物などの資源を中心に、海外との物の輸送の99・7%を海運が担っていることなどを学んだ。水揚げされたばかりのキハダマグロが出荷されていく様子も見学した。
その後は遊覧船「くじら号」に乗って紀の松島めぐりに出発。くじらの博物館では、中江環副館長からクジラの種類や生態を学び、ヒゲや餌のオキアミなどに触れた。迫力のクジラショーも楽しんだ。
齋藤るなさん(6年)は「祖父が船の関係の仕事をしていたと聞いたことがあるが、実際に働いているところを見たことはなかった。紀の松島めぐりは、風が気持ちよかった。くじらの博物館に来るのは今日が初めてで、生きたクジラを見るのも初めて。とても楽しみ」と話していた。
(2022年10月7日付紙面より)
研修会で上野山巳喜彦さんが講話 (新宮市新宮赤十字奉仕団 )
新宮市新宮赤十字奉仕団(仲富美子委員長)は5日、同市春日の人権教育センター(春日隣保館)で研修会を開いた。元市防災・危機管理担当理事で、現在災害対策講座「減災カフェ」を主宰する上野山巳喜彦さんが「スペイン風邪とコロナとマスク」をテーマに講話。団員約20人が学びを深めた。
研修会に先立ち、仲委員長は「まだまだ新型コロナウイルス感染症に十分に気を付ける必要がある。健康が第一。しっかり予防について学びましょう」。来賓の市社会福祉協議会の大谷康央局長は「講演を通して予防に努めていきたい。皆さまもご無理なさらないよう今後の活動につなげていただけたら」とあいさつした。
上野山さんは演題に関して▽100年前のスペイン風邪の惨禍▽新型コロナの現状▽マスクを中心とする感染対策―の項目ごとに講話を展開。「科学的実験の成果を実生活に役立つよう、合理的に整理・組み合わせて防御力の強い盾にすることが必要」と呼びかけた。
1918年から20年にかけて起こったパンデミック「スペイン風邪」。当時の世界人口約20億人中6億人が感染し、死者は約5000万人とされる。日本では総人口5600万人中2300万人が感染し、39万人が死亡したとされる(諸説あり)。
上野山さんは、世界中にまん延した理由や世界情勢、当時の日本の状況などを解説。「新宮町では人口2万4000人中、1万7000~8000人が感染した。小中学校が次々と休校になった」などと述べ「医療崩壊やマスクの高騰、医療従事者の不足、経済の打撃などコロナと同様の状況が起こった。しかしそれでも収束したし、5600万人中、99%に当たる5550万人が生き延びた」。
新型コロナウイルス感染症における世界や日本の感染者数や死者数を紹介し、予防について▽病原体を体内に侵入させない「感染経路の遮断」の盾▽接する機会を減らす「感染機会の低減」の盾▽病原体そのものを取り除く「感染源の除去」の盾―の三つの盾による多重防御が重要とした。
手洗いは接触感染への強力な対抗策であり、飛沫感染、空気感染に対抗するためのマスクの有効性について言及。マスクの素材によるウイルスのカット率を紹介し「不織布マスクは非常に優秀であり感染対策に最適」。
マスクのより良い装着方法を動画で紹介し「不織布マスクの性能を最大に生かすためには顔にフィットさせることが重要」と呼びかけた。
対角上の2カ所の窓を開けた上での換気の重要性や3密回避の必要性についても話し「三つの盾を使えば感染リスクは格段に下がる。希望を持って日々を送ってほしい」と締めくくった。
(2022年10月7日付紙面より)
下里とも子ガーデン (那智勝浦町 )
那智勝浦町下里の花づくりボランティア「下里とも子ガーデン(岩本カナエ代表、会員7人)」はこのほど、和歌山県花を愛する県民の集いが主催する「第26回和歌山県花いっぱいコンクール」の職場・地域の部において、特別賞に輝いた。
コンクールは花づくりを通じた美しい環境整備とコミュニティーの活性化などを目的に「花と緑の豊かなふるさとづくり」運動の一環として毎年開催されている。
下里とも子ガーデンは花壇の所有者で、長年にわたり花づくり活動に取り組んできた故・笠松朝子さんの遺志を受け継いだ岩本代表をはじめとする地域住民で構成される。
特別賞は、これまでに最優秀賞を2回以上受賞した団体に贈られるもの。今回の表彰を受け、とも子ガーデンは次回から、審査の対象とならず、無鑑査になるという。
1日、田辺市のガーデンホテルハナヨにおいて、自由民主党の二階俊博衆院議員や仁坂吉伸知事が出席する中、同コンクールの表彰式が開催された。とも子ガーデンから5人が出席し、賞状と花の寄せ植えを受け取った。
岩本代表は「私たちだけの力じゃない。笠松さんや先輩たちから教えていただいたことや基本をしっかりと受け継ぎ、現在の流行などを取り入れさせていただいた」。
受賞については「本当にうれしい。会員みんなで図案を考え、取り組んできたからこそ。作業は私たちにとっても元気のもと。花を通じて多くの皆さまともつながりができた。これが財産だと思います」と話した。
また、とも子ガーデンは県からの推薦を受け、第32回「全国花のまちづくりコンクール」団体部門にも応募している。
現在、同ガーデンでは▽セージ▽スイフヨウ▽ブルーサルビア▽コキア▽メランポジウム▽ヒャクニチソウ―などの花々が見頃を迎えている。
(2022年10月7日付紙面より)
串本駅で昼行対象に町長ら (串本町 )
西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)が運用する特別急行列車「WEST EXPRESS 銀河」の紀南コース〈京都―新宮間〉運行が3日から始まった。JR串本駅では5日の昼行着発に合わせ、串本町の田嶋勝正町長やキャラクター「まぐトル」らが歓送迎。改札付近では特産品販売などもあり、乗客と地域の交流がにぎわいを見せた。
この列車は2020年9月に導入され、山陰、山陽、紀南の3コースで期間限定運行されている。うち紀南コースは沿線からJR西日本和歌山支社への要望で実現した経緯があり、昨年7月~12月の初運行時の好評により3日から来年3月8日(水)まで第2期としての運行が決定。車両編成の工夫により海側席を増やし、昼便はダイヤを2パターンにし地域限定となるがゆっくりと沿線に親しめる形で運営を始めている。
運行周期は週往復2回程度(月・金曜日に下り夜行京都駅発、水・日曜日に上り昼行新宮駅発)。上り昼行は12月まで水曜日が太地・串本パターン、日曜日が紀伊勝浦・古座パターンで掲げた駅の停車時間が長くなる。来年1月以降はその入れ替わりになるという。
串本駅では下り夜行対象で本州最南端橋杭岩早朝観賞を実施(南紀熊野ジオパークガイドがシフトを組んで応対)。上り昼行対象の「まぐトル」歓迎(月1回)や特産品販売(毎回)もあり、今月5日は最初の運行に当たることから特に田嶋町長も足を運んで歓送迎した。この日は短時間停車(4分間)の巡りとなる古座駅でも、同様の趣旨で古座川町の西前啓市町長らが歓送迎。同駅は紀伊勝浦・古座パターン時に24分間停車となり特産品販売を実施する。
同支社の金岡裕之支社長も道路経由で先行し、途中停車駅で着発状況を確認した。JR西日本和歌山営業部の上段貴司部長は、銀河の運行期間内でいかに沿線の魅力を多くの皆さんに伝え、特急くろしおの持続的な利用につなげるかが勝負どころだとコメント。田嶋町長は「第2弾の運行が始まり大変うれしい。銀河の限りある運行期間を本格的な誘客のための起爆剤の一つとしていきたい」とこの局面に思うところを語った。
(2022年10月7日付紙面より)
日本一周の福浪弘和さん、熊野へ
「人力車を通して笑顔をつなぎたい」―。兵庫県明石市の福浪弘和さんは、人力車を走らせて日本一周を目指している。3月13日に兵庫県を出発。大阪、京都、滋賀、奈良を巡り、7月20日に和歌山県に到着。9月下旬に熊野地方入りした福浪さんは10月2日、新宮市の熊野速玉大社境内にある新宮道場に立ち寄り、新宮剣友会(宮戸伸之会長)の剣士たちを人力車に乗せ、交流を図った。
福浪さんと人力車との出会いは2019年。観光で訪れた東京は浅草で初めて人力車に乗り、その目線の高さや車夫との会話を楽しんだ経験から人力車に心を奪われた。
「地元の人にも感動を味わってほしい」との思いから、地元に戻って約190万円で人力車を購入。明石市内で無料で引き始めたところ、全国から多くの人が人力車を経験しようと福浪さんの元を訪れた。
多くの人との出会いから「人力車でつなぐ笑顔の輪」をテーマに旅を計画。元々、旅が好きだったことから当初は3年半ほどの予定で日本一周を企てた。
行く先々で、出会った子どもたちを人力車に乗せ、地域の人たちとの交流を深める福浪さん。「予定では今頃、東北地方にいるはずなのですが」と笑顔を見せる。
和歌山県入りしてからは、約1000人の人を人力車に乗せた。夏休み期間だったこともあり、1日に複数回、福浪さんを訪ねてくる子どももいた。「予定通りいかなくても、人との出会いが旅の醍醐味(だいごみ)。さっきも(川原家横丁の店舗の主人から)ミカン持ってけ、って。人の温かさを感じる。本当に楽しい」。
ちなみに、げた履きのフルマラソンで3時間58分43秒のギネス記録も所持する福浪さん。新宮市で子どもたちと触れ合った後、数日後に人力車を引いて三重県入りする予定で「ワクワクする。毎日が修学旅行。人力車で笑顔になってほしい。姿を見かけたら声をかけて」と呼びかけている。
(2022年10月5日付紙面より)
体育文化会館の休憩スペース (那智勝浦町 )
那智勝浦町はこのほど、体育文化会館1階ロビーの「休憩スペース」に本棚を設置した。本棚には図書館の廃棄本が並べられており、休憩時などに読書が楽しめる配慮となった。
今年3月末に内装改修を終えた同館。研修室を改修した「アクア」と「ウエーブ」の2室も完備。体を動かしたり、ストレッチマシンを使用するための部屋となった。
「高齢者を中心とした町民健康増進事業」の一環であり、堀順一郎町長が掲げる同会館周辺の公園化構想も含め、さまざまな年齢層が集える場所を目指す第一歩として行われたという。
休憩スペースは勉強や会話などを楽しむことができる憩いの場として整備。テーブルといすが設置され、誰もが利用できる。
そのほか、同町出身でロサンゼルス、ベルリンの両オリンピックの棒高跳びで銀メダルを獲得した西田修平氏と同町出身で日本サッカーの開祖・中村覚之助氏らの功績をたたえる名誉町民ブースもある。さらには佐藤春夫の「秋刀魚の歌」や町歌が展示されている。
同町教育委員会によると家族連れなどの幅広い利用も目指しているという。設置した本棚には今後、児童図書も並べて、和室の開放も予定しているという。
担当者は「大人から子どもまで、さまざまな年齢層、家族連れ、多くの方々に広く利用していただけたら。今後は地域ふれあいネットワークの活動や、子どもの居場所づくりの場などにも使用できないかも検討しています」と話していた。
(2022年10月5日付紙面より)
「特急くろしおサイクル」 (JRきのくに線 )
JRきのくに線白浜―新宮間で1日、特急「くろしおサイクル」の運行が始まった。6号車をサイクリスト専用車両とする新たなサービスで、西日本旅客鉄道株式会社和歌山支社の松田彰久副支社長は「普通列車以上の快適性と利便性で利用を伸ばしていきたい」と意気込んでいる。
「きのくに線サイクルトレイン」は昨年9月に御坊―新宮間で導入した、追加料金不要で普通列車に自転車をそのまま持ち込めるサービス。以来6000人を超える利用を集めるなど好評を得る一方で▽本数が少ない▽混んでいるときに気兼ねする―といった声もあり、検討した末に空いている資源を有効活用する意味も込め「特急くろしおサイクル」の運行を始めることにしたという。
特急くろしおは京都・新大阪―白浜間の乗車率が高いため普通列車より区間が短くなるが、6号車をサイクリスト専用車両とすることで他の乗客への気兼ねの課題は解消。1人分の料金で横並び4席(伴い1車両の定員は15人となる)を使用でき、普通列車利用時にはない専用カバーを乗車駅改札で借りてつけ座席に立てかけて固定する手間が加わるが特急列車の持ち味である快速さや快適さで利便性は一段と向上している。
同日の特急「くろしおサイクル1号」は7人が利用し、うち6人が串本駅で降車し改札へ専用カバーを返却してツーリングへと出発した。6人と同乗し駅舎外まで送り出した松田副支社長は「普段電車に乗らない方に乗っていただくのが大切だと思っています。例えば普通電車のサイクルトレインで40年ぶりに列車に乗ったというお声もあり、需要を掘り起こすことができたと私たちもうれしく思うところ。この特急も同じようにより多くの方に使っていただけるよう活性化できれば」と今後を見据えて語った。
「特急くろしおサイクル」の利用可能駅は白浜駅、串本駅、紀伊勝浦駅、新宮駅の四つ。最繁忙期(正月やゴールデンウイーク)に運行しない日があり、まれに1号車へ変更する場合がある。詳細はきのくに線サイクルトレイン公式サイトで確認してほしいという。
(2022年10月5日付紙面より)
企業版ふるさと納税で寄付 (那智勝浦町 )
大阪市に本社を置く機械部品メーカーの株式会社サントウが、企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)で那智勝浦町に500万円の寄付をした。同制度を利用した町への寄付は今回が初で、3日には那智勝浦町役場で同社代表取締役の瀬田令二さん(67)へ感謝状の贈呈式が開かれた。
企業版ふるさと納税とは、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに企業が寄付をした場合に、税制上の優遇措置を受けられる仕組み。
瀬田さんは同町北浜出身で、県立新宮商業高校(現・新翔高校)を卒業後、第三銀行(現・三十三銀行)へ就職。勝浦支店、大阪支店で10年ほど勤めた後、鉄工所の経理職を経て、1988年に独立して歯車などを製造する有限会社三頭産業を創業した。
新型コロナウイルス感染拡大によって全国的にマスク不足が深刻だった2020年5月には、町に不織布マスク1万枚を寄贈するなど、ふるさとへの貢献を行ってきた。
瀬田さんは児童・生徒数の減少が進む町の現状を憂い「那智勝浦町まち・ひと・しごと創生推進計画」の「活気ある産業で雇用が生まれるまちづくり」に使途を指定して寄付。「これからも仕事を頑張り、また寄付や支援をさせていただきたい」と語った。
堀順一郎町長は「大変ありがたい。町が元気になるよう大切に活用していく。会社設立から今まで、大変なご苦労をされてきたと伺い、私自身も励みになった」と感謝を述べた。
(2022年10月5日付紙面より)