サマーボランティアスクール (太地町 )
太地町社会福祉協議会は24、25の両日、町内の中学生を対象に「サマーボランティアスクール」を開いた。参加した町立太地中学校の生徒5人はボランティアや防災について学びを深めた。
本年度テーマは「学ぼう、防災」。ボランティア活動や福祉への理解を深めるとともに、自分たちに何ができるかを考え、災害時の行動について学ぶことなどが目的。
岡本研会長は「2日間で自発的に行動しようという気持ちを学んでいただけたら」とあいさつ。
町社協の小畑美由紀さんは「ボランティアとは」「どんなボランティアがある」などを問い、生徒はその対応について付箋に書き出した。
小畑さんは「困っている人たちを助けたいと思う気持ちもボランティアになる」と話した。
町社協事務局次長の漁野真司さんが「災害ボランティアについて~災害時でなくても助け合おう~」を講義。「何のために誰のためにボランティア活動を行うのかを知る」「人と人とのつながりの大切さを知る」「他人事ではなく自分事として考え行動する」を柱とし、社協の役割や災害ボランティアの詳細、日頃から自らができること、自身のボランティア体験を解説した。
漁野さんは1995年の阪神淡路大震災が契機となり、災害ボランティアが始まり、ボランティア活動の発展へとつながったと説明。奉仕のイメージが強いボランティアは本来、自発的な意志に基づき、人や社会に貢献することだと話した。
漁野さんは「大切なものをなくさないために何をすべきか、自分にできることを考え、日頃から家族や友人と話し合ってほしい」と訴えた。
「『してもらう人』『してあげる人』の関係ではなく、復興に向け『共に協力しあう』関係」や「自分にできること、できないことを判断し、無理をしない」などのボランティア活動に入る心構えを紹介した。
そのほか、災害ボランティアに関する〇×クイズや防災ゲーム、災害ボランティアセンターについての座学に取り組み、町役場の職員から「太地町事前復興計画」や応急処置も学んだ。
脊古陸駆さん(2年)は「多くのボランティアがあることを知った。今後はボランティアに参加したい」と語った。
翌25日は災害ボランティアセンターの運営体験を実施。受け付け、マッチングを経て、協力者の町民宅を訪問。氏名や最寄りの避難所などの聞き取り調査を行い、活動を報告した。最後はサマーボランティアスクールを振り返り、感想も発表した。岡本会長から生徒に修了証が手渡された。
(2022年8月27日付紙面より)
地域ふれあいネットワーク (那智勝浦町 )
那智勝浦町地域ふれあいネットワークは20日、同町二河の教育センター(旧三川小学校)で「運動遊び」を開いた。町の健康づくりや健康課題改善に取り組む「地域活性化起業人」の島田匡平さんがナビゲーターを務め、参加した町内の小学生16人が遊びを通じて楽しみながら体を動かした。
教育関係者などで組織される同ネットワークは、共働き世代の増加などの環境の変化を受け、放課後や長期休暇中に子どもたちの居場所づくりをすることを目的に活動している。
この日はウオーミングアップのために鬼も逃げる児童も、歩いて5歩で止まり、タッチされると鬼になるという「5歩鬼」を実施。
その後は、チーム分けをしてドッジボールに取り組んだ。異なる学校の児童らは協力しながらボールをキャッチし、声をかけ合って、投球するなどして汗を流した。
参加した畑下波依司君(下里小5)は「ドッジボールが楽しかった。ボールに当たりそうなぎりぎりのところでかわすことができて良かった。ほかの学校の子たちとも仲良くなれた。また、参加したいです」と笑顔で話した。
島田さんは「遊びを通して体力が向上し、各小学校の児童同士で交流を深めることが目的。ぜひ、今後も継続して参加していただけたら幸いです」と話していた。
本年度は9月10日(土)、10月8日(土)、11月12日(土)、12月10日(土)に開催され、いずれも午前10時から。
(2022年8月27日付紙面より)
小中学生対象に実験工作教室 (わかやま産業振興財団・和歌山工業高等専門学校 )
わかやま産業振興財団(島正博理事長)と和歌山工業高等専門学校(北風幸一校長)の主催事業「おもしろ科学の実験工作教室〈串本会場〉」が24日に串本町文化センターであり、小中学生11人が工作やプログラミングに挑戦し電波やモノのインターネット(IoT)を利用する発想に親しむなどした。
この教室は、生活を豊かにする科学への興味や関心を深めることを目的として1993年度から和歌山会場を設けて実施。2011年度に田辺会場、21年に橋本会場と増え、本年度は串本会場を加えた4会場で順次開くとして参加を呼びかけた。
対象は小学4年生~中学3年生で、事前申し込みは各会場定員15人として電子メールで受け付け。串本会場には田辺市~新宮市から12人の申し込みがあったという。
当日は午前と午後の2部構成。午前の部はラジオキットの組み立てと電波の利用で同校の平野廣佑助教、午後の部はマイコンモジュール「M5Stack」を用いたプログラミング体験で同校の岡部弘佑准教授が講師となり実施した。同校5年生2人と同財団職員3人がサポートし、両部の合間では同校や高専ロボコンの紹介などもあった。
午前の部は基板や部品を組み上げる感覚を体験し、ラジオ放送の受信成功を足掛かりにして電波とは何かを学習。午後の部は同モジュールの加速度センサーが捉えた特定の状況に対して特定の音を出す命令を与えるプログラミングが主な内容で、この作業はIoTの発想に通じると小中学生に紹介しつつ、挑戦を促した。
両部に取り組んた後は修了証書を受け取って終了し、組み立てたラジオは持ち帰り。新宮市から参加した青木尚之君(三輪崎小6年)は「工作やプログラミングが好きなので参加してみた。難しいところは特になかったし、周波数を使って音階が奏でられるのは今まで知らなかった発想で、きれいに音を鳴らすことができて楽しかった。また参加してみたい」とコメントした。
(2022年8月27日付紙面より)
近大新宮中1年が稲刈り体験 (新宮市熊野川町 )
新宮市の近畿大学附属新宮中学校(池上博基校長)の1年生48人は24日、同市熊野川町日足の田んぼで稲刈りを実施した。生徒たちは農業活動に取り組む「MYNS(マインズ)」(南本安信代表)のメンバーに教わりながら、鎌を手に金色の稲穂を刈り取った。
ふるさと教育の一環で2016年から開始。市の教育目標である「郷土への誇りと愛着を育む教育の充実」を目的に、地元農家と協力した体験を通じて地元への愛着を深めようと行われている。作業体験や脱穀、乾燥などを見学することで農家の人たちへの感謝の気持ちと米を大切にする心を養う。田んぼは11年の紀伊半島大水害で浸水被害を受けた場所にあり、地域活性化のため積極的な取り組みで、復興に向けて頑張る地域の姿を伝える狙いもある。
生徒たちは、4月にMYNSが所有する広さ約10㌃の田んぼで田植えを実施。この日はJAみくまのの清水重良さんから鎌の扱い方や作業の説明を受けると、協力しながら稲を刈っていった。
大前美結(みゆう)さん(13)は「田植えから稲刈りまで初めての経験でしたが楽しかったです。自分たちが携わった稲がしっかり成長してくれ、特別な感情がある。改めて作物の大切さを実感しました」。
南本代表は「生徒みんなの一生懸命に作業する姿が見られました。身をもって体験することで、育てることの大切さをいつまでも忘れないでもらえれば」と話していた。
(2022年8月27日付紙面より)
ボーイズリーグ和歌山大会が開幕
那智勝浦町在住で和歌山大学客員教授(災害科学・レジリエンス共創センター)、南紀熊野ジオパーク推進協議会学術専門委員を務める後誠介さんが30日付で「紀伊半島大荒れ 大地の成り立ちからみた豪雨災害」(はる書房)を出版する。前作「熊野謎解きめぐり 大地がつくりだした聖地」の姉妹本の位置付けとなる今作について後さんは「前作では大地の成り立ちによってできた熊野の景観や霊場の魅力を伝えた。今回、大地には災害という自然の脅威があることをつづっている。前作が表、今回が裏になる」と話している。
本作は紀伊半島を襲った過去の大水害に着目し、自然災害が大きな災害へとなる仕組みなどを詳細に解説し、後さんが各地で実施した防災講演の内容を基に書き改めたものだ。また、カバー絵に使用している「新宮川水系図」は後さんが自身で手がけている。
これまで後さんが本紙で発表した記事や論文を用いたコラムも掲載されている。写真は自身が撮影したものに加え、那智谷大水害遺族会や本紙が提供している。
本はA5判並製の120㌻カラー(ISBN978―4―89984―202―6)。税込み1430円。3章立てで、「伝えたい災害の記憶」「ちょっとひと休み」「これも知っておこう」などのコラムも掲載。「でき方の違う大地は壊れ方が違う」という点に着眼し、大地の成り立ちから豪雨災害を考える内容となっている。
「平成の大水害は地形図と地質図がそろっており、大地の成り立ちという視点から豪雨災害を考えることができた」と後さん。
第1章「あっという間に避難できなくなる……」では平成の紀伊半島大水害において、事態急変の原因やその根底に迫り、被災者の体験談や土砂災害からの避難情報を課題として取り上げている。
第2章「土砂災害を引き起こしたカギは?」は多発した大規模崩壊と土石流の特徴や紀伊半島の大地の成り立ちをひもとく。「大規模崩壊が北向き斜面で多発」「大きな岩塊を伴う土石流は南向き斜面で多発」「雨量が多かった北山川の上・中流域では崩壊の規模・頻度が低かった」など、紀伊半島大水害の「3つの不思議」を解説。
第3章「避難のタイミング」では、明治、昭和、平成に繰り返し紀伊半島大水害が発生している点に触れるとともに、「土壌雨量指数」が370~480で岩塊を含む土石流や大規模崩壊が発生していることなどを分かりやすく記した。
前作に引き続き、同町在住の新聞記者・須川達也さんが本の構成についての提案や助言を行い、新宮市在住のアーティスト・平野薫禮(ぐれ)さんがキャラクターやイラストを描いている。
後さんは「地質学は歴史科学。新たな視点を加えて、合理的根拠の下に本を執筆した。市町村や学校の職員の皆さま、防災や自然保護に取り組む方々に読んでいただけると幸いです」と語った。
本は和歌山県内や三重県では販売されており、東京や大阪などの全国書店は30日(火)から販売される。通販サイトのアマゾンでは現在、予約を受け付けている。
熊野新聞社新宮本社でも若干数販売している(税込1430円)。直接引き渡し。現金のみ。なくなり次第終了。
(2022年8月25日付紙面より)
観光クルーズの模索進む (串本町 )
海上からのロケット「カイロス」打ち上げ見学を見据えた観光クルーズ事業化の模索が串本町内で進んでいる。その当事者による試乗会が21日にあり、想定航路一帯に理解のある関係者に乗船と事業化に向けた意見の協力を求めるなどした。
このクルーズは昨年9月、必要性を見越した南紀串本観光協会が前述した見学にも対応できる内容を組んで試行。後にその形を収益事業化して町を盛り上げたいと考え旅行業務取扱管理者資格を取得した令和トラベル(岡本将和代表)と漁船「光芽那丸」(瓜田有冶船長)が名乗りを上げ、同協会はその支援協力をする立場に回って実現を目指している。
現在はクルーズの催行に必要な条件が整った段階で、内容の立案~商品化が目下の課題。今回の試乗会は巡航先にある各地域資源への理解がある関係者から事業化に向けた意見をもらって内容を磨く趣旨で計画し、同協会の仲介で東牟婁振興局や南紀熊野ジオパークセンター、役場産業課や企画課の各職員が協力した。
当日は和歌山東漁業協同組合の協力で乗降しやすい同組合串本本所の浮桟橋を発着場所とし、橋杭岩~紀伊大島金山下の海食洞~箱島付近〈ロケット「カイロス」打ち上げ見学海域〉~くしもと大橋一帯を巡る約1時間の内容で実施。ガイドも同乗する予定だったが都合がかみ合わず中止となり、瓜田船長は想定時間に沿って船を進めることに専念し、同協会の宇井晋介事務局長と岡本代表が各巡航先で関係者の意見を聞く形で成果を目指した。
同日現在、催行開始のめどは未定。12月のロケット「カイロス」打ち上げ開始が濃厚視される状況にあり、間に合わせる形で事業としての実動を目指したいとしている。
主導する岡本代表は「浮桟橋を使わせてくれる和歌山東漁協の組合員優先で利潤が回る体制にしたい」として引き続き従事する漁船の裾野を広げたい考え。さらに収益事業としての安定を図るため、打ち上げ見学以外の内容も複数考えて利用頻度を高めることも今後に見据えて臨んでいる。
(2022年8月25日付紙面より)
「広報きほう」が200号迎える (紀宝町 )
紀宝町が毎月1回発刊する広報紙「広報きほう」が9月号で200号を迎えた。企画調整課の2人が担っており、大森菜央さんは「担当して1年4カ月になります。今回、200号を迎える上で歴代担当者や町民の皆さんに話を聞いて、その思いも実感できた。皆さんの思いを受け継いで、これからも親しまれる紙面をつくっていきたい」、愛野裕基さんは「内閣総理大臣賞受賞後に担当が決まり、プレッシャーしかなかったが、一生懸命取り組んできた。今後も大森さんをサポートしていきたい」と話す。
広報きほうは、当時の鵜殿村と紀宝町が合併した2006年1月の翌月から発行。これまで県広報コンクールで幾度も特選に輝き、全国コンクールで最高賞の内閣総理大臣賞を受賞するなど数々の賞に輝いてきた。
毎年12月号で特集を組んでおり、2019年度の「LGBT」、20年度の「老いじたく」が2年連続で総務大臣賞を受賞した。
記念すべき200号では、見開き2㌻で歴代担当者や町民へのインタビュー、配布されるまでの流れなどを掲載した。
16年にわたり町の情報を発信し続け、発刊100号の際、広報きほうの永遠のテーマは「笑顔」と紹介した。現在担当する2人は「これからも楽しく、伝わりやすい広報を目指していきたい」と口をそろえた。
(2022年8月25日付紙面より)
中央児で夏休み工作 (新宮市 )
新宮市野田の中央児童館で22、23の両日、夏休み工作「牛乳パックランタンを作ろう」があった。同館に登録している小学1~4年生19人が手作りのランタンを作った。
子どもたちは職員から使用する材料の紹介や作り方、注意事項の説明を受けた後、作業を開始。1日目は三つ折りにした障子紙をコップに入った絵の具に数回浸して色染めに取り組み、破らないよう丁寧に広げて乾燥させた。
2日目には前日に乾かした紙を小さくならないようにはさみで四角形に切り、のりを塗った牛乳パックに貼り付けていった。最後はリボンと革ひもの中から好みの物を選び、パックの上部に取り付けて思い思いの作品を完成させた。
山本梛温(なの)さん(7)は「剝がれてこないように障子紙を貼る作業が少し難しかったけど楽しかった。初めて作ったわりにはうまくいったので出来は90点。家に持ち帰って飾りたい」と話していた。
(2022年8月25日付紙面より)
北山村で健康づくり教室
北山村立北山小学校の家庭科室で7月29日、「健康づくり教室」があった。村民7人と、へき地保健師活動について研修を実施している県立医科大学の学生ら3人が参加。和歌山信愛女子短期大学健康増進プロジェクトチームの西出充德教授の指導を受けながら、酢を使用した夏野菜保存食作りに挑戦した。
「全国唯一の飛び地『北山村』高血圧ゼロのまちプロジェクト」を展開している同村。村民全員の高血圧ゼロを目指し、血圧測定推進や健康教室などの事業を実施している。
山間部に位置する同村では、保存のために塩を用いた調理方法が伝統となっている。そんな食文化を背景に、プロジェクトを通じて血圧に関心を持ってもらう狙いもある。
同教室はプロジェクトの一環で、信愛女子短期大学と共催で開催。この日は「高血圧の改善を目指した保存加工食品の紹介」と銘打ち、西出教授がキュウリとパプリカ、酢を使ったピクルスの作り方を指導した。
調理開始に先立ち、西出教授は「酢を使うと塩分を抑えることができる。酢は疲労回復に効果があり血管をきれいにします」と説明。野菜や酢が高血圧の改善に良いとされているが、持病がある場合などは必ずしも健康改善に適しないことなどを注意事項として挙げた。
参加者らは、水洗いした野菜を板ずりし、瓶に入る大きさにカット。熱湯に浸して消毒して瓶に詰め、赤唐辛子や月桂樹の葉などとともに調味液に浸し、好みによりじゃばら果汁を入れて香り付けを施した。冷蔵庫で寝かせると1、2週間ほどで食べ頃を迎えるという。
古根川やす子さん(78)は「毎日自分で調理しており塩分にも気を付けているので薬も飲んでいません。ピクルスを作ったのは初めて。完成が楽しみ」と笑顔。
西出教授は「伝統ある和食の塩分が高いのはやむを得ないことだが、お酢を合わせるなどのちょっとした工夫が高血圧の改善につながる。伝統を守りつつ健康になるのが一番。北山村にはじゃばらという調味料もある。取り組みが効果を生み出せば、この村から発信できることも多いのでは」と話していた。
(2022年8月3日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で1日、故・白根光夫画伯の六曲屏風(びょうぶ)図「熊野本宮」(131㌢×360㌢)の奉納奉告祭があった。葉月の月首祭に併せて執り行われた奉納奉告祭には、氏子総代会や敬神婦人会ら大社関係者が参列した。
白根画伯は1926年大分県出身。幼くして家族と共に上京し、東京美術学校梅原龍三郎教室に学ぶ。64年、安井賞展に選抜。76年に吉田清志、宮田晨哉らと共に「爵の会」を結成し、86年まで同会展を中心に活躍した。
78年からは奈良県・吉野の桜を素材に「吉野山シリーズ」の制作に取り組み、日本秀作美術展や明日への具象展などを通じて高い評価を受けた。2002年、76歳で逝去。今年は没後20年に当たる。
屏風図を奉納したのは東京都の㈱ダバンラブ・画廊ダバンラブギャラリーオーナーの久岡正人さん。新型コロナウイルス感染拡大状況を鑑みこのたびの来訪はかなわなかったが、没後20年の節目に当たり「画伯の思いを同大社に納めたい」との思いや、新型コロナウイルス感染症の早期終息と世界平和への祈りを込めて奉納を決めた。
屏風図(油彩、アクリル)は1982年に完成した作品で、同大社の旧社地・大斎原(おおゆのはら)、熊野川、音無川、熊野の山々などを背景に、八咫烏(やたがらす)と、同大社の牛王(ごおう)神符が舞う様子が描かれている。大斎原には1889年の「十津川大水害」により流出した社殿も描写されている。
九鬼宮司は、寄贈に感謝を示し「八咫烏や牛王神符が飛んでいる絵は初めて見る。よみがえり・再生の願いを込めてご奉納いただいた。今年は画伯の没後20年であるとともに、当大社にとっては水害を逃れた四社を現在の場所に遷座してから130年を迎える年。くしくもこのタイミングでご奉納いただいたことに意味があると思う。改めて大斎原の意味や大切さを感じていただけるのでは」と話していた。
屏風図は今週いっぱい、同大社黎明殿の幣殿で展示公開される。鑑賞希望者は同大社社務所まで。
(2022年8月3日付紙面より)
サンゴ台中央線全線開通 (串本町 )
串本町の町道サンゴ台中央線未供用区間の通行が1日午前11時から開始された。これにより同線は全線開通となり、国道42号からサンゴ台区へ出入りする第3の連絡道として主要公共施設の高台移転に伴う通勤時間帯の混雑緩和や地域防災力の向上、すさみ串本道路開通以降の国道42号への移動分散化などさまざまな整備効果が期待されている。
この区間は、すさみ串本道路・串本太地道路の串本インターチェンジ〈仮称〉など工事に伴う大型車両の作業道として国土交通省紀南河川国道事務所が整備。沿線にくしもとこども園新園舎や統合小学校校舎の用地があり、工事終了後も町道として再活用する方向で国と町が協働し、開通を目指してきた。
未供用となっていたのは西の岡―サンゴ台間(延長約1242㍍)。車道は幅3㍍強あり、通学路想定で幅3・5㍍の自転車歩行者道が伴う構造。当初は7月1日開通予定だったが、直前で発生した国道42号に影響する土砂崩れ対応のため1カ月ずれこむ形で開通へとこぎ着ける形となった。
この日は開通に先だって式典があり、田嶋勝正町長と国土交通省紀南河川国道事務所の渡邉泰伴所長や関係諸課職員、町議会の鈴木幸夫議長ら議員一同と旧地権者らが出席。代表して田嶋町長が平時より連絡道路として住民に有効活用される状況を見据えつつ国交省をはじめとする関係各位への感謝を掲げ、渡邉所長がこの町道を生かして一日でも早いすさみ串本道路開通を目指す意思を掲げた。鈴木議長が基幹道路としての機能発揮を期待し、以上あいさつ3人によるくす玉割りや出席一同による通り初めで未供用区間の完成を祝った。当初予定していた園児バスによる通り初めは新型コロナウイルスの情勢により実施を見送った。
この町道は、国道42号上浦海岸前(須賀漁港北詰)と橋杭園地交差点付近を連絡する。すさみ串本道路などの工事に伴う大型車両は踏切経由の出入りが難しく従来は橋杭小前経由に集中していたが、今後は2経路への分散化が進む形となる。
(2022年8月3日付紙面より)
太田の夏休みプログラム (那智勝浦町 )
那智勝浦町南大居の交流センター「太田の郷」で1日、「夏休みプログラム」があり、小学生9人が地元の高齢者6人に教わって竹とんぼや水鉄砲を手作りした。
太田地域の子どもたちに、体験活動や地域住民との交流を通じて楽しく長期休暇を過ごしてもらおうと、保護者主催で始まった取り組み。今回は、小刀やドリルといった工具の使い方、遊びの工夫など、地域の人々が培ってきた「生きた知恵」を伝えたいとの思いから、普段同所で健康体操などを行う「中里福祉プログラム」の参加者たちに協力を依頼した。
子どもたちは近くの山で切ったばかりの青竹を使い▽竹とんぼ▽水鉄砲▽紙鉄砲▽竹灯籠―を制作。竹を割ったり削ったりして完成させた後は、早速水を飛ばすなどして遊んだ。
細い竹筒にぬれた新聞紙を詰めて空気圧で飛ばす「紙鉄砲」の作り方を教えた生駒善一さん(84)は「昔は遊ぶ物も何でも手作りで、スギの花粉の硬いのを詰めて飛ばしたりもした。近くに子どもが住んでいないから、どこの子やろうと話してみるのが楽しい」。参加した仲地励君(太田小5)は「竹とんぼを作って、ちょっとだけ飛んだ。去年流しそうめん台を作ったけれど、今日は竹を細く削るのが難しかった」と話していた。
(2022年8月3日付紙面より)
那智勝浦ゴルフ倶楽部
三重カップ空手親善大会 (北道院拳法和歌山支部 )
矢口樹君が関西ブロック代表に (和歌山南紀ボーイズ )
熊野芸術文化セミナーに50人 (新宮市 )
新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で7月30、31の両日、軽井沢美術文化学院提携「2022熊野芸術文化セミナー」(市、市教育委員会、熊野芸術文化セミナー実行委員会主催)があった。約50人が参加。ルヴァン美術館評議員や日本美術家連盟講師、熊野美術協会の講師陣の指導の下、2日間にわたって実技を通して文化・芸術に触れる機会とした。
「生活を芸術として」という生涯を送った、文化学院創立者であり名誉市民の西村伊作(1884~1963年)。創立当時の文化学院の建物を再現し設立したルヴァン美術館と提携して開催されており、今年で21年を数える。
30日の開講式で清水雅昭・実行委員長が「新型コロナウイルスの影響でおととし、昨年と中止となったが、こういった形で開催できたことを心から感謝している。新宮保健所管内でも感染が拡大しているが、お互いに十分に気を付けていただきながらセミナーを楽しんで」とあいさつ。
田岡実千年市長は「市の芸術の取り組みとしてこのセミナーが定着している」と、講師陣や関係者、参加者らに感謝を伝え「2日間という限られた期間ではあるが、日々の生活に『文化奏でる潤いの時間』が流れ、すてきな出会いと交流がありますよう期待しています」と呼びかけた。
今回の講義科目は「○○○(あなた)・ワールドを体感してみよう。」。ルヴァン美術館評議員の上野秀一さん(元・文化学院総合芸術学科常勤講師)による実技セミナーを経て、参加者らは水彩と中世の没食子インクを使って、パネルに心象風景などを表現していった。
同セミナーに初めて参加した今西信子さん(67)は「新聞で告知を見て参加を決めた。普段からパッチワークやウクレレ、書道をしているけど絵を描くのは初めて。先生方が失敗してもいいっておっしゃってくれたので自由に描くことができて楽しかったです。機会があればまた参加したい」と笑顔で話した。
(2022年8月2日付紙面より)
新宮市の県立新宮高校(東啓史校長)美術室で7月30日、新宮市出身の写真家で同校美術部OBでもある鈴木理策さんによるアウトリーチ授業があった。美術部員20人が、構図の基礎などについてプロの指導を受ける機会を得た。
鈴木さんは1963年新宮市生まれ。87年東京綜合写真専門学校研究科を修了した。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科教授。地理的移動と時間的推移の可視化を主題に、東京から新宮の御燈祭(おとうまつ)りに至る63枚の写真をシークエンスで構成した、自身初の写真集「KUMANO」(光琳社出版)を98年に発表。翌年、《Osorezan》と《Izanami》の二つのシークエンスによる「PILES OF TIME」(同)を出版し、2000年に第25回木村伊兵衛写真賞を受賞した。
今年3月には、市文化複合施設「丹鶴ホール」オープニングイヤー事業(前期)として、同施設で写真展「瀧を見に行く」を開催。今回の授業は写真展の継続事業として実施された。
午前中、鈴木さんは絵画・写真の歴史や、絵画の巨匠たちが写真から受けた影響、絵画と写真との関わりなどについて講義。写真の登場によって絵画に「瞬間」が描かれるようになり、構図にも変化をもたらしたなどと説明したほか「カメラは記録を捉える道具であると同時に、何を伝えたいのかを表現する部分として機能するものだと思う」などと話した。
午後からは「みんなが考える熊野の魅力」「自分が考える熊野の魅力」に沿って、当地方の世界遺産や自然、身近な風景など、生徒たちが事前に撮影した作品を鈴木さんが講評。「言葉と写真は違う道具。見えていることを実際には説明していくと、うまく重ならない場合があるが、違う道具で意味を拾っていくこともある。写真にも触れてもらって、写真がどういう形で物を表し、それを見る自分がどう感じるかということを経験してもらえれば」と呼びかけた。
山口結人部長(3年)は「これまで写真を撮る機会はあまりなかったけど本格的に写真に興味を持つ機会となった。写真と絵画の違いもこれまではぼやっとしていたが、授業を受けて言語化することができた。写真の構図も絵に転用できると思うので、これから意識して描いていきたい」と話していた。
□ □
現代日本を代表する写真家・鈴木理策さんはこのほど、待望の新作「冬と春」を赤々舎から出版した。ライフワークでもある「White」「Sakura」「Water Mirror」シリーズにおける未発表の新作を主に収録している。写真集の問い合わせは赤々舎(http://www.akaaka.com)まで。
(2022年8月2日付紙面より)
移住ウェブセミナー (紀宝町 )
移住に関する情報や地元の生の声を伝える紀宝町と大紀町の「移住ウェブセミナー」があり、両町の移住者ら担当職員がオンラインを通じて、それぞれの町の魅力を発信した。
新型コロナウイルスの影響で移住相談会の開催が困難な状況となっていることから、昨年に引き続き、両町がウェブセミナーとして開催。紀宝町は、元町地域おこし協力隊で浅里地区在住の福田由美子さんらが参加し、役場内を会場として生配信した。
町の移住・定住支援員を務める福田さんは兵庫県尼崎市から移住。2018年1月から20年12月まで協力隊として、飛雪の滝キャンプ場に勤務した。
移住した際の印象について「熊野古道が近いのにほとんど観光客の姿がなく驚きました。早朝から日暮れまで、畑仕事や草刈りに精を出す高齢者の姿をよく見かけ『元気だな』と感心しました」と振り返り、「自然に寄り添った生活を実践しています。住んでいる場所、仕事、遊び、食べ物など自分自身も常に自然体で過ごすことを意識しています。以前より大きなストレスはあまりなく、心穏やかに理想的な生活ができています」と語った。
視聴者に対し「まずは旅行気分で遊びに来てください。移住している方々と実際に会ってお話してみてください。もしかしたら自分たちが探していた理想の暮らしが見つかるかもしれません」と町をPR。役場職員は「お試し住宅」「就労体験」などを紹介し、「ぜひ紀宝町に一度お越しください」と呼びかけた。
(2022年8月2日付紙面より)
人見建設がサプライズ花火 (串本町 )
串本町の串本漁港で7月30日、株式会社人見建設=串本町=によるサプライズ花火の打ち上げがあり事前の口コミで察知した住民らの観賞を集めた。
平年であれば串本まつりで町内が盛り上がる時季だが、最近3年は新型コロナウイルス感染症の情勢により中止続き。社会貢献活動の一環で会社を挙げて美化を重ねている橋杭ビーチは予防対策を講じて海開きをしているものの、年間でも特ににぎわう同まつりの花火大会がないことによる物さみしさを何とかできないかと考えた同社の人見翔専務取締役(36)が発起人となり、その光景を短時間でも描き出すことを目指した。
打ち上げ場所は同大会同様、巡視艇が停泊する桟橋先に設定。ゴールデンウイーク明けごろから有限会社紀州煙火=有田川町=や管理関係各所との交渉を重ね、同日午後8時から約10分間にわたって打ち上げた。同大会のフィナーレが3カ所からの同時打ち上げであるのに対し、この日は序盤と終盤に5カ所からの同時打ち上げを組み込んだ構成。最大5号玉の大輪(直径約180㍍)を織り交ぜて、串本の夜空を彩った。
夕立などの支障もなく予定通りに打ち上げを終了し、サプライズは住民からの喝采を浴びながらの終幕となった。人見専務取締役は「串本まつりの中止が続き、いつもならある(ふるさとの)花火を子どもらが見られないのがかわいそう、というのが一番の動機。他のまちも中止続きで見せようがなく、もう自分で上げようと思って準備をしてきた。見てくれた皆さんを元気づけられたら何より」と打ち上げに込めた思いを語った。
(2022年8月2日付紙面より)