新宮発電所が竣工 (株式会社エフオン )
新宮市佐野で22日、全国各地で木質バイオマス発電事業を展開している株式会社エフオン(本社・東京都千代田区、島﨑知格代表取締役社長)新宮発電所(小池久士代表取締役社長)の竣工(しゅんこう)式があった。新宮市、和歌山県や地元関係者ら約60人が出席する中、島﨑代表取締役社長が「地域の明るい未来を共に背負っていきたい」と誓いを新たにした。
100%国産の木質バイオマスをエネルギー源とした発電に加えて、森林資源の最適活用や山林施業技術者の育成に注力するグリーンエナジー事業と、省エネルギー支援サービス事業を展開する総合エネルギー・サービス企業。
同グループは2006年から木質バイオマス事業を展開しており、グループ5カ所目の木質バイオマス発電所となるエフオン新宮は18年に新宮市より新宮港第2期工業用地を購入。翌19年10月に起工式を実施し工事着工に入っていた。
当初は今年春ごろの操業開始を目指していたが、一部の設備にトラブルがあり稼働延期に。このたび晴れて竣工の日を迎えた。
竣工式神事では、熊野速玉大社の佐藤仁迪(ひとふみ)権禰宜(ごんねぎ)が祝詞を奏上。参列者らが玉串を供え、安全稼働などを願った。
来賓の仁坂吉伸知事は「全国でも有数の木に覆われた県。うまく循環すれば、紀の国として復活することができる。需要を伸ばすためには立派な企業に来ていただき事業を展開してもらうのがいい。新宮市を盛り立てていただけるような活動を」。
田岡実千年市長は「当市を木質バイオマス発電所として選んでいただいたことにより、すでに林業をはじめ多岐にわたる産業への効果波及に加え港湾利用も促進されておりありがたいこと。地元企業の一員として、地域と共に歩み、さらには地域をけん引する企業として市の発展の一翼を担っていただけることを願っている」と祝辞を述べた。
島﨑代表取締役社長は関係各位に感謝を伝え「大きな事故もなく竣工の日を迎えることができた。木材産業を盛り上げるきっかけとしてお役に立つことができれば。木材利用の一つのモデルとなるよう、できることがあれば奉仕していきたい」と思いを語った。なお、式典後には施設の見学会も行われた。
発電所建設地の敷地面積は約5万3000平方㍍。発電所の定格出力は1万8000㌔㍗で、年間発電量は約12万㍋㍗。山林事業含む従業員数は約50人で約6割が地元出身者。8月31日から連続運転を開始しており、現在地元チップは約2割だが、将来的に100%の利用を目指していくという。
(2022年10月23日付紙面より)
老朽化や津波に対策 (那智勝浦町 )
那智勝浦町天満の体育文化会館の付近などで、海岸の護岸工事が行われている。既存の護岸が老朽化したことに加え、津波対策にも考慮したもの。海抜で約6㍍の波返しの擁壁を築いて延ばしていく。
工事を行う和歌山県東牟婁振興局新宮建設部によると、全体的には那智川の下流部分からホテル一の滝の裏側辺りまで、延長(距離)1200㍍の護岸工事を行う計画。古い護岸は老朽化で、ひび割れなどを起こしていた。今回の工事は、1200㍍の護岸工事の一部で、体育文化会館の裏手と中本葬祭勝浦斎場の裏手の2カ所で、2018年度から実施している。
工事の延長(距離)は、体育文化会館側が約36㍍、中本葬祭勝浦斎場側が約70㍍となる。上部が海の方向に反り返ったコンクリートの構造物を造る。押し寄せた波はこれをつたって、沖へと戻されることになる。
工事は、2023年6月9日までを予定。事業費は約2億8000万円となっている。和歌山県東牟婁振興局新宮建設部は「工事中はご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をよろしくお願いします」と呼びかけている。
(2022年10月23日付紙面より)
明治安田生命と包括連携協定 (新宮市 )
新宮市と明治安田生命保険相互会社(永島英器・取締役代表執行役社長)は21日、包括連携協定を締結した。市役所で同日、締結式が行われ同社和歌山支社の大谷力哉顧問と田岡実千年市長が協定書に署名。また、新宮営業所の小堂和彦所長から田岡市長に寄付金などの目録が手渡された。同社と市は今後、市民の健康増進や市民サービスの向上のため、相互に連携・協力体制を図っていく。
「地域社会との絆」を企業ビジョンに掲げる同社では「地元の元気プロジェクト」の一環として2020年度から全国の地方自治体や銀行などと連携協定を締結。これまで、全国の37自治体、800市区町村、地方銀行35行、大学5校と協定を締結した(9月末現在)。県内では和歌山市や田辺市、串本町など16市町と連携関係を構築している。
連携事項は▽健康づくり▽地域の安心・安全▽スポーツ振興▽地域経済の活性化―に関することや、両者が必要と認める事項の5項目。
また、寄付は同社の営業拠点が所在または連携協定を締結している自治体など1018団体に対し、同グループの全従業員が居住地や出身地などゆかりのある地域の寄付先に任意で募金する従業員募金に、会社拠出の寄付を上乗せして総額約5億円の寄付を実施する「私の地元応援募金」によるもので、このたび市には16万9000円と「防災に活用してほしい」との思いから飲料水(ミネラルウオーター)36本などが贈られた。
田岡市長は、寄付に対して感謝を示し、協定締結について「今回の協定締結によって、明治安田生命さまのこれまでの取り組みによる知見や企業ネットワークをご活用ささせていただき、当市にご支援ご協力を賜れますことを大変喜ばしく、心強く感じている」。
「協定締結を一つの契機として、今後さらに連携を深める中で地域活性化や市民サービスの向上にまい進していく」と述べ、さらなる支援と協力を呼びかけた。
大谷顧問は関係者に感謝を述べ「このまちで長い間営業させていただいているのは市民の皆さま方のおかげ。『人に健康を まちに元気を』のスローガンの下、可能な限り応援する体制をつくっていきたい」とあいさつした。
(2022年10月23日付紙面より)
まなびの郷で鵜殿小児童ら (紀宝町 )
三重県公立学校職員互助会主催の「子どものためのクラシックコンサート」が18日、紀宝町鵜殿の町生涯学習センターまなびの郷であり、町立鵜殿小学校(前田幸利校長、児童292人)の児童が美しい音色と歌声に目を輝かせた。
互助会の本年度公益文化事業で、17日から24日にかけて東紀州地域の小中学校などで開催される。鵜殿小ではコロナ禍で芸術に触れる機会が少なくなっていたが、子どもたちに音楽に親しんでもらおうと、まなびの郷を会場に低学年、高学年の2部制に分けて鑑賞した。
この日訪れたのは1979年に結成され、子どもとクラシック音楽との出会いを大切に全国で演奏会を行う「東京アーティスツ合奏団」。低学年の回では、バイオリンやビオラ、チェロ、コントラバス、ハープ、打楽器の紹介をしながら、ネッケの「クシコス・ポスト」やモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」など世界の名曲を演奏。団員は「ハープは47本の弦と、足元の七つのペダルを使って演奏します。ペダルを踏むと音が変わります」と解説したり、児童もよく使うタンバリンは、たたいたり振ったり強弱を付けたりとたくさんの音の出し方があることを演奏してみせたりした。
「歌のおねえさん」の平川めぐみさんが登場すると、ディズニー映画の人気曲「自由への扉」や「アンダー・ザ・シー」、子どもたちにも歌われる「ビリーブ」、「ドレミの歌」などが披露され、児童らは手拍子をしたり、ボディーパーカッションで演奏に参加したりしながら体全体で音楽に親しんでいた。
あいさつした前田校長は「なかなか開催できませんでしたが、ようやく機会を持てました。とても楽しみにしていましたね。素晴らしい演奏と歌を楽しんでください」と呼びかけていた。
(2022年10月23日付紙面より)
周辺地域協の臨時総会で発表 (スペースワン株式会社 )
串本町田原~那智勝浦町浦神にまたがる民間ロケット射場「スペースポート紀伊」を運営するスペースワン株式会社(豊田正和代表取締役社長)=東京都=が19日、ロケット「カイロス」初号機の打ち上げを来年2月末ごろに再延期することを公式発表した。
同日、串本町サンゴ台のホテル&リゾーツ和歌山串本で開催のスペースポート紀伊周辺地域協議会(会長=下宏・和歌山県副知事)臨時総会に出席した同社の阿部耕三取締役が事業の経緯や現時点での進捗(しんちょく)と併せて報告したもので、国際情勢に伴う物流の停滞が想定以上で期待する時期に必要な部品が届かないなどの諸課題に苦慮し、それらの対処をすると今年12月末ごろの打ち上げは厳しいとの判断に至ったとして理解を求めた。
同総会では初号機打ち上げ時の公式見学場の全体管理を担う株式会社JTBも報告に臨み、会場運営の概要や集客窓口とするホームページ「ロケット『カイロス』初号機打ち上げ応援サイト」の事前登録状況やオフィシャルツアーに伴う宿泊施設の配分などを伝えた。
今回の議事は2社の報告のみ。下副知事は「残念だが、現在の状況などを考えるとやむを得ないと思う。引き続き支援をし、ぜひとも初号機の打ち上げを成功させていただきたい」と総括した。
当初の2021年度内から今年12月末ごろ目標、さらに来年2月末ごろ目標と再延期したことについて阿部取締役は「楽しみにしていただいた地元の皆さまには大変申し訳ないと思っています。引き続きご支援ご声援をお願いしたい」とコメント。来年2月末ごろという期日は関係各者と話し合う中で総合的に判断し示した目標で、実現に向け全力で取り組むとしている。
発表を受け副会長の田嶋勝正・串本町長は「来年2月の閑散期にずれ、商売人は助かりファンも来やすい状況になると思う。渋滞対策などよりいっそう充実し、多くの方を迎える状況をつくっていきたい」。
副会長の堀順一郎・那智勝浦町長は「期間が少し延びたところをうまく活用し、もっと盛り上げて多くの方々に喜んでいただけるような地域振興につなげる期間として前向きに捉えたい」とそれぞれ語った。
(2022年10月21日付紙面より)
笑福亭鶴笑さんが講話 (新宮高校 )
新宮市の県立新宮高校(東啓史校長)で19日、全校生徒561人を対象に人権全体鑑賞会が開かれた。落語家でNPO法人「国境なき芸能団」代表の笑福亭鶴笑さんが、パペット落語などを通じて笑いを届け、難民キャンプで暮らす子どもたちや戦争、平和に対する思いを語った。
鶴笑さんは笑福亭一門の落語家で、世代や国境、言語の壁を超えて世界中の人々が楽しめる新型落語「パペット落語」を考案。戦争や内乱、災害、疫病によって生活を破壊された人々や、紛争地で生まれ育った子どもたちに励ましの「笑い」を届けるためNPO法人を設立し、アフガニスタンやイラク、カンボジアといった国々へ赴いている。
鶴笑さんは、枕として難民キャンプを訪れた経験を紹介し「最初は外国人への不信感からキャンプ内への立ち入りを拒否されたが、芸で子どもたちを笑わせたことがきっかけとなってコメディアンとして認めてもらえた」と語った。戦争の絶えない世界の現状を憂い「なぜ戦争が起きてしまうのか。いろんな人の意見を聞いて視野を広げて。人間らしさを取り戻すためにも笑いが大切。皆さんの家庭や学校生活に楽しい笑いがあふれるように」と語りかけた。
手作りのパペットで1人4役を演じるオリジナルの落語「立体西遊記」では、登場人物たちの軽妙な掛け合いに、生徒たちに笑いが広がった。
弟子の笑音(しょうと)さんも登場し、灯油シュポシュポやパイプ椅子、熊手、クレンザーボトルなど身近な素材を改造した手作りの笛を披露。塩ビパイプで作ったトロンボーンでは「ぞうさん」を演奏した。
山田倫加さん(3年)は「初めて落語を聞いたが、面白かった。大学で海外のことを学びたいという思いが強くなった」。松下穂乃果さん(同)は「難民キャンプの話を聞き、海外でも落語が受け入れられて、笑ってもらえること、人と仲良くなれることを聞いて感動した」と話していた。
(2022年10月21日付紙面より)
紀伊半島沖で採集の2種 (串本海中公園 )
紀伊半島西南沖で採集されたイバラスナヒトデとケムシヒトデが標本に基づく記録として国内2例目となることがこのほど判明し、その報告論文が先月20日発行の学術誌「Biogeography」24号に掲載された。
イバラスナヒトデは、串本海中公園センター水族館の平林勲係長が2019年12月30日に有田沖で展示生物の採集をしていた時に発見。見慣れないヒトデ類だったため水産研究・教育機構の木暮陽一主幹研究員に精査を求めたところ、沖縄県の1標本のみ記録されているイバラスナヒトデだと判明した。
木暮主幹研究員は生体調査に加え過去に採集され標本として収蔵されている未同定種も対象として研究をしている専門家。1975年にすさみ町沖で採集され大阪市立自然史博物館に未同定種として収蔵されていた標本を昨年に見つけ、形態観察をした末に小笠原諸島兄島でのみ記録されるケムシヒトデだと判断。紀伊半島西南沖で採集されたこれらヒトデ類は貴重な標本と感じ、平林係長と連名で論文を書き学術誌掲載で公表するに至った。
平林係長によるといずれも南方系に分布するヒトデ類で、公表により分布北限が紀伊半島へと更新される結果になったそう。木暮主幹研究員はこれら2種が採集される背景に越冬を含め生息可能な環境が紀伊半島沖で成り立っている状況を洞察し、いずれもこれまで本州には記録がなく貴重な標本だと評価している。
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以降、平林係長は今月3日に田並沖でのイセエビ刺し網漁で混獲された生物を調査中にケムシヒトデと思われる個体を見つけ、その場で交渉し譲り受けた。
後に確かめたところ間違いなく、希少なヒトデ類として17日から館内Aゾーンで生体展示を始めている。平林係長は「木暮さんが論文で公表した直後に生きた状態で見つかったのはまさに奇跡。国内ではほぼ目にすることがないケムシヒトデを生体展示でじかに知ってもらいつつ、生態の解明にもつなげていきたい」と意気込んでいる。
串本町沖での採集は初で、すさみ町沖で採集されて以来47年ぶりとなる標本記録。木暮主幹研究員は「生体展示をしているのは、自分が持つ情報の中では世界でも同館だけ。何を食べるかさえ分からないほど知見が乏しいが、餌が分かり飼育ストレスを小さくすれば長生きできると思う。ヒトデ類は脚光を浴びることが少ないが、海を描くとほぼ登場するほど意識されている生き物。うまく飼育できたら目玉の一つになると思う」と長期飼育の成功を期待して語った。
(2022年10月21日付紙面より)
新宮保健所による「薬物乱用防止等を目的とした校舎校門前早朝啓発活動」が19日、那智勝浦町立那智中学校であった。新宮保健所職員、新宮地区協議会所属の薬物乱用防止指導員、関係機関職員8人のほか、那智中生徒会の役員5人が参加。登校する生徒に啓発物資を手渡し、乱用防止を呼びかけた。
近年、青少年による薬物乱用、特に大麻乱用が増加しており、令和3年の全国における、大麻事犯の20歳未満の検挙人員が994人、うち高校生が159人、中学生が8人となっている。「大麻は安全で依存性がない」などの誤情報も流れている。
また、10月は「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動」および「薬と健康の週間」に関連する運動月となっている。これらのことから新宮保健所は昨年、下里中学校と新宮高校で啓発活動を実施、今回は2年目となる。那智中のほか、21日に新翔高校でも実施を予定している。
那智中では、薬物乱用防止の啓発標語が書かれたポケットティッシュやばんそうこうのほか、薬と健康の週間の啓発ボールペンなどを配布。登校する生徒に対して「薬物乱用防止の啓発です」と伝えながら、啓発物資を手渡していた。受け取った生徒は標語を眺めるなどしながら、校舎へと入っていった。
生徒会長を務める、2年生の小井谷美央さんは「麻薬を使ったり、犯罪に手を出したりしないよう、啓発活動を通して知ってほしい」と語った。新宮保健所衛生環境課の勝山亮さんは「薬物乱用は遠い世界、都会の出来事として捉えがちだが、インターネットなどで身近に危険があることを感じてもらえれば」と述べた。
(2022年10月21日付紙面より)
初の近畿大会に向け練習に励む (近大新宮 )
とちぎ国体レスリング競技 (新宮高校 )
新熊野少年野球大会など
常設エコ広場が開設 (新宮市 )
新宮市役所第4駐車場(JR新宮駅側)内に常設エコ広場が開設した。開設日時は市役所開庁日(土・日・祝日と年末年始除く)の午前9時~午後4時。
市内171カ所にある通常のエコ広場の時間帯(地区ごとに異なるが、基本的に午前7時~8時)に広場に行けない人や、クリーンセンターまで行く手段(車など)がない人のため、また、資源物収集量の増加による燃やせるごみの減量化と市民の利便性向上を図ることが目的。
「エコ広場の常設」は田岡実千年市長が昨年の市長選の折に公約に掲げており、本年度当初予算において「常設エコ広場運営事業」として835万8000円が計上。可決を経てコンテナなどを収納するための倉庫を建設するなどして運営開始へつなげた。
なお、常設エコ広場には開設時間中、市民生活課の職員1人が常駐。ごみの分別や捨て方などについて案内する。
運用初日の3日、多くの市民が缶や瓶、新聞紙などを持ち込み、職員の案内を受けながら品目ごとにごみを捨てていた。
カセット式ガスボンベなどを持ち込んだ同市野田在住の大竹文子さんは「今までクリーンセンターに持ち込みしていたけどとても便利になった。お友だちにも教えてあげたい」と笑顔。
田岡市長は「常設エコ広場開設に当たっては、多くの市民から要望があった。今日からスタートすることができ、大変うれしくありがたい。住みやすいまちづくりを目指して、今後も生活に密着した施策を行っていきたい」と述べ「三佐木・蜂伏地区にも必要だと感じている。まずは様子を見てから検討していきたい」と話していた。
分別品目は通常のエコ広場と同様で、燃やせるごみを除く18品目。燃やせるごみと長辺30㌢以上の粗大ごみ(家電製品など)の持ち込みはできない。資源物は事前に分別・洗浄すること。開設時間外は資源物の持ち込みはできない。また、倉庫前は駐停車禁止。駐車スペースに車を止めてから利用を。
分別について不明な点は、生活環境課(電話0735・23・3333、内線2001、2003)まで。
(2022年10月4日付紙面より)
「第13回町民舞踊祭」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町民舞踊祭実行委員会(田中喜世実行委員長)と町文化協会(後誠介会長)は2日、同町の町体育文化会館で3年ぶりとなる「第13回町民舞踊祭」を開催した。おととし、昨年は新型コロナウイルスの影響から中止となった日本舞踊の祭典。今年は西川流友華会から始まり、若柳流若吉会まで7団体が舞台を彩った。なお、西川流友彩の会は都合により、欠演となった。
同舞踊祭は日舞の魅力を広く伝え、日々の練習の成果を披露することが目的。
文化協会の後会長は「大人の舞踊には、大人ならではの微妙な心情の深い味わいがあり、子どもの舞踊にはかわいらしさがある。あでやかな舞踊を楽しみながら、ぜいたくな秋のひとときをお過ごしください」とあいさつ。
舞踊祭では子どもから大人までの出演者が次々に登場し、さまざまな人生模様などを表現した。多くの保護者や関係者が来場し、動画撮影する人や拍手で応援する姿が見られた。
串本町から訪れた50代女性は「新聞で知った。出演者に知人はいないが、日舞に興味があったので来ました。皆さんの踊りが素晴らしかったです」と話していた。
田中実行委員長は「300部のプログラムを用意していたが、全く足りないほど、多くの方が来場してくれた。無事、終えることができて良かった。来年はさらに勉強を重ねて、開催したい」と話していた。
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舞踊祭には毎年、各地からさまざまな団体が特別出演として参加し、会場を盛り上げている。
今回は三重県鈴鹿市から、加藤訓峯(さとみね)会主率いる加藤流訓峯会のメンバー10人が出演した。
津軽三味線の全国大会・団体部門において、優勝を果たしている訓峯会が「秋田甚句」「津軽タント節」などを披露。力強く、美しい音色を会場に響かせ、会場からは大きな拍手が送られた。
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出演団体は次の通り。
【出演団体】
▽西川流友華会▽藤紀流藤紀和会▽坂東流勝浦柳蛙(りゅうあ)会▽宇久井千弘会▽哲泉流清流支部▽西川流友千恵会▽若柳流若吉会
【特別出演】
加藤流訓峯会
(2022年10月4日付紙面より)
秋晴れの下、2年半ぶり斎行 (花の窟神社 )
熊野市有馬町の花の窟(いわや)神社(山川均宮司)で2日、秋季例大祭が斎行された。2年半ぶりに県無形民俗文化財の「お綱掛け神事」が復活。綱に触れると御利益があるとされ、秋晴れの下、県内外から多くの人が訪れた。
同神社は高さ約45㍍の巨岩をご神体とし、毎年春と秋の2回、例大祭を実施。農作物の収穫に感謝し、五穀豊穣(ほうじょう)を祈願するお綱掛け神事は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年10月から中止が続いていた。今年は感染状況が落ち着いてきたため、人数制限をして開催した。
午前10時の花火を合図に開始。白装束の氏子が、花や扇で飾った長さ約170㍍の大綱の片方を巨岩の一番上に結び付けた。参拝者らがもう片方を持ち、近くの国道42号を渡って七里御浜海岸まで引っ張った後、境内南隅の支柱に固定した。
いずれも有馬小学校5年の光山智彩さんと前東子さんが浦安の舞、西美有さんと細川果純さんが豊栄の舞を奉納し、厳かな雰囲気に包まれた。
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コロナ禍で、ここ2年は自粛していた「お白洲(しらす)引き行事」も有馬町で同日開催され、祭りムード一色となった。
お白洲引き実行委員会(和田仁祭典委員長、西村茂之実行委員長)の主催で、七里御浜海岸の白石を花の窟神社に奉納する行事。感染拡大防止のため、規模を縮小した。
法被姿などの参加者が威勢よく花車を引き、伊勢音頭や餅まきも盛り上がった。
和田祭典委員長は「3年ぶりに行うことができた。好天にも恵まれ、本当にうれしい」と笑顔を見せていた。
(2022年10月4日付紙面より)
保健セの健康教室で40人 (串本町 )
串本町保健センター主催の健康教室が9月29日に役場本庁舎であり、田嶋勝正町長と事前に申し込んだ40人が口腔(こうくう)フレイル予防をテーマにして学ぶ機会を得た。
町民の健康増進を目的として毎年開いている同教室。今回は前述したテーマでくしもと町立病院公開講座を役場へ招致する内容を計画し、町民に受講を呼びかけた。
当日は田嶋町長が65歳以上町民の要支援・要介護認定率が県平均より高い(前年度実績で全体の24・2%)一方で支援・介護の担い手不足が社会問題化している現状を伝え、「フレイルは早期に発見し適切な療法を行えば十分に改善していけるという。今日の受講でいろいろ勉強をしていただければ」と呼びかけて開会。
同病院は「いつまでもお口から食べられるように~食べることに関わる専門職の視点~」と題したシンポジウムを準備し、リハビリテーション部の岸尾俊尚技師長〈理学療法士〉によるコーディネートで秋山裕由院長代理〈内科医〉、看護部の吉田裕子さん〈摂食・嚥下(えんげ)障害看護認定看護師〉、リハ部の江川泉さん〈言語聴覚士〉、栄養部の大屋舞依子さん〈管理栄養士〉がそれぞれの専門性を発揮して基調講演。口腔フレイルの概念やその状況からの悪化で懸念される誤嚥(ごえん)性肺炎などの生活支障、対局にある健康へ向かうためのトレーニングや日々の口腔衛生管理、元気の源である栄養をしっかり摂取するための食生活の工夫を一連の情報として紹介した。
終盤では質疑応答の時間もあり▽加齢に伴う味覚低下への対処方法▽声の出しにくさやかすれは口腔フレイルの初期現象(呼吸が弱まっている)でこの段階から早めに受診や予防を目指すのが良いこと▽好みだが健康維持のため控えている高栄養食品は一口なら過剰摂取にならないので控えるよりむしろ食の楽しみとして食べた方が心身に良いこと▽むせたりたんが出た場合に何科を受診すればいいかが分かりにくい(大半は内科でその診断によりより適切な科が推奨される)―といったやりとりがなされた。
(2022年10月4日付紙面より)
市制施行記念日に伴い (新宮市 )
新宮市制施行記念日(10月1日)に伴う令和4年度市政功労者表彰式が1日、市役所別館であった。田岡実千年市長が地方自治や社会福祉、消防水防などで市に貢献した個人12人と1団体を表彰。賞状と記念品を贈った。
この日をもって、旧新宮市が市制を施行して89年、旧熊野川町が町制を施行して66年、2005(平成17)年に旧新宮市と旧熊野川町が合併し、新しい新宮市が誕生してから17年を迎える。
この表彰は1977(昭和52)年度から始まり、本年度を含め個人1012人と102団体を表彰。2011(平成23)年のみ、紀伊半島大水害の被害を考慮し中止となっている。
式典では田岡市長が一人一人に表彰状を贈呈し「各分野で献身的な活動をいただき、地域社会の発展や住民福祉の向上、市の発展に多大なご貢献をいただき敬意を表します」とあいさつ。
新型コロナウイルス感染拡大防止に対する協力に感謝し「これまで先人たちが営々として築いてくださった故郷を守り、愛する新宮市のさらなる飛躍を切に念願したい」と述べた。
榎本鉄也・市議会議長は「今日の市政は、皆さま方が長年にわたって培ってこられた豊かな経験と弛まぬ努力、地道な活動の支えがあって築かれたもの。今後も豊富な経験を存分に生かし、変わらぬお力添えを」。
濱口太史・県議会議員は「皆さまのご活動はそれぞれの仕事の傍ら、市政や市民のためにボランティア精神を発揮されており尊いもの。市民の見本として引き続きご活躍を」と祝辞を述べた。
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表彰を受けたのは次の皆さん。
【社会福祉功労】
▽榎本友子=民生委員・児童委員として社会福祉のために尽力
▽中野末子=同
▽苅屋企世子=同
▽タウンガーデン=ボランティア活動を通じて地域の活性化・清潔な環境づくりに尽力
【産業経済功労】
▽打越 保=熊野川舟下りの船頭として観光産業の発展・振興に尽力
▽前田英利=農業委員として農家の地位向上と農業振興に尽力
▽植 豊治=同
【消防水防功労】
▽津呂 進=消防団員として消防防災活動に積極的に従事
▽中道活好=同
【保健衛生功労】
▽松本欣士=健康づくり地域推進員として健康増進活動に尽力
▽木下かや=学校の薬剤師として学校保健・健康教育に尽力
【教育文化功労】
▽湊川大介=教育委員として教育行政の向上に尽力
【特別功労】
▽(故)小池㬎二=新宮港埠頭株式会社で専務取締役・代表取締役社長として新宮港発展に尽力
(2022年10月2日付紙面より)
新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で9月25日に開催された令和4年度読書推進フォーラムの中で、シンポジウム「ことばの力で想像力を~読書のむこうでみんなとつながる~」が開かれた。
佐藤春夫記念館の辻本雄一館長をコーディネーターに、那智勝浦町絵本の会「よむよむ」の伊藤松枝代表、「Youth Libraryえんがわ」留守番係の並河哲次さん、元新宮市立図書館司書の山﨑泰さんが登壇した。
「読書のむこうでみんなとつながる」というテーマについて、伊藤さんは「子どもは絵本や昔話から、その物語を自分の中に意味付けして取り込む力がある」と語り、紙芝居や絵本を通じてさまざまな感情と対峙し、共感力を育んでいく読み聞かせの重要性に改めて言及した。
辻本館長が「昔は『言葉』と『暴力』は対立的概念だったように思う。しかし昨今、特にインターネットの世界で『言葉の暴力』という問題が広がっている。言葉とは非常に難しく、恐ろしい一面を持っている」と問題提起。並河さんは「インターネットや資源の輸出入などで否応なく世界とつながっている時代だからこそ、コミュニケーションが重要」と述べ、「ふとした瞬間に本や読書と出合える場があることで、そこで言葉を獲得し、対立や分断を乗り越えていくきっかけになるのでは」と語った。
山﨑さんは、多くの郷土資料に当たって滝廉太郎が旧新宮女子高等小学校の祝賀歌を作曲した経緯を探ったエピソードを紹介し「郷土資料を残した人の多くは既に亡くなっている過去の人々だが、読書を通じて多くの著者と対話し、自分の中に多様性を育んでいくことができる。その多様性こそ、言葉の暴力にあらがう一番の基礎」と話していた。
(2022年10月2日付紙面より)
「銀河」3日から運転開始 (JR西日本 )
新宮市徐福のJR新宮駅で1日、長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」の車両見学会があった。事前申し込み・抽選の上、見学の機会を得た親子連れや鉄道ファンなど約100人が参加し、瑠璃紺色の車体とくつろぎ感あふれる内装を見学。列車での旅に思いをはせた。
観光を中心とした西日本エリアの活性化のためにJR西日本が運行する長距離列車。「多様性」「カジュアル」「くつろぎ」をキーワードに、鉄道の旅の実現を目指し、1両ごとに異なる座席タイプを配置している。紀南コースは昨年7月16日に運行を開始し、12月22日までの約5カ月間にわたり、延べ約3000人が乗車した。
紀南コース2年目の運行は3日(月)からで、今回は、海側座席を倍増するなど進化。県を挙げた「おもてなし」を充実させるなどして、さらに鉄道の旅と当地方の魅力のPRを図っていく。
運行開始初日は、午後9時15分に京都駅を出発し、翌4日(火)午前9時37分に新宮駅に到着する。新宮駅発の初便は5日(水)午前9時50分。新型コロナウイルス感染症の状況により変更となる場合があるが、来年3月8日(水)までの間で夜・昼行それぞれ36本の運行を予定している。
運行開始に先立ち、JR西日本では試運転期間中であるこの日に車両見学会を企画。100人の定員で希望者を募ったところ、県内外から201通565人の申し込みがあった。
この日、同駅では参加者らが7班に分かれて見学。「きれいやね」「広い」などと口にしながら、スマートフォンやカメラを手に写真や動画を撮影していた。また、駅前では見学会に併せて和歌山大学・自主学生プロジェクト「きのくに線活性化プロジェクト(きの活)」が、鉄道玩具「プラレール」を用いた交流会を実施。子どもたちは興味深げにジオラマの町並みを疾走する電車に見入っていた。
(2022年10月2日付紙面より)
熊野古道巡礼旅復活プロジェクト
伊勢神宮から熊野那智大社までの200㌔を歩く「熊野古道巡礼旅復活プロジェクト」の参加者が9月30日、紀宝町を踏破した。10月2日には那智勝浦町の青岸渡寺を目指す。
熊野古道伊勢路は伊勢から熊野にわたる全長200㌔余りの長い巡礼路で、一部に世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」が含まれている。昭和初期まで実際に巡礼利用されてきたといわれ、現在も熊野街道・熊野古道と結ばれ、当時から続く1本の道が続いている。
伊勢から熊野への巡礼旅の未来の可能性を探ることを目的とした、大杉谷自然学校(大西かおり校長)によるプロジェクトの第1弾。9月20日からスタートし、伊勢を出発して11日かけて紀宝町入りした。
この日は6人が世界遺産の七里御浜、熊野川沿いを歩き自然豊かな風景を満喫。鮒田から三反帆(さんだんぼ)の川舟に乗り、御船島を1周して新宮市の熊野速玉大社に出向いた。
三重県を踏破した大西校長は「豪雨の中を歩いた日もあったが、熊野川に着いて感慨深い思いがある」と話していた。
(2022年10月2日付紙面より)