再開2年目の商業捕鯨 (太地町 )
太地町漁業協同組合(脊古輝人組合長)の捕鯨船「第七勝丸」(32㌧、乗組員5人)が3日夜、再開され2年目となる商業捕鯨を行うため東北沖などを目指し太地漁港を出港した。駆け付けた家族らが漁の安全を願い船を見送った。
昨年7月に31年ぶりの再開となった商業捕鯨。同船は漁が好調だったため、昨年10月に当初の見込みより早く帰港している。
太地漁協によると、宮城県や千葉県の捕鯨船と協力し、5日から宮城県沖でミンククジラ漁を開始する予定。続いて青森県八戸沖でもミンククジラを、千葉県房総半島沖で国際捕鯨委員会(IWC)規制対象外のツチクジラを捕り、北海道網走沖で再びミンククジラを対象に操業を行う。漁期は11月までとなるが、水産庁が定めるミンククジラの漁獲枠100頭に達し次第、漁が終わる。一時的に太地沖に戻り、5、6月ごろにかけてマゴンドウとツチクジラを捕る予定だという。
同漁協の〆谷(しめたに)和豊業務部長(53)は「大きいクジラが捕れて水揚げできればうれしい。安全第一に操業していただければ」。
竹内隆士船長(41)は「今年は最初から商業捕鯨としての操業になる。今回は天候の関係もあり、安全な操業のため、夜の出航となった」と説明。
「しっかりと漁獲枠を取り終えて、今後の枠の増加につなげていけるように頑張りたい」と抱負を述べた。
(2020年4月5日付紙面より)
飲食業界も悲鳴
新型コロナウイルスの全国的な感染拡大を受け、当地方においても不要不急な外出を自粛する人が増え、客足が遠のいた飲食店が大きな打撃を受けている。そんなさなか、会員制交流サイト(SNS)などで「○○店でコロナ感染者が食事をしていた」「○○で感染者が出た」「感染者が○○に立ち寄った」などといったうわさやデマが流布。業界は悲鳴を上げている。
新宮市内の飲食店経営者は「SNSではあり得ないようなうわさが拡散されており驚いている。営業していることがデマである何よりの証拠なのに」と困惑した表情。「当店だけの問題ではない」と憤りを見せる。
新宮市料理飲食業組合(平見一雄組合長)も現状を問題視。「われわれもコロナウイルスの影響を鑑み、『ご来店ください』とは言えない中で、より一層厳しい状況になっている」と現状を語る。
当地域でも営業を自粛する店舗や閉店、休業を選択した店舗、不安を抱えながらも営業を続ける店舗などさまざまだ。営業を続ける店舗では、普段以上に手洗いやアルコール除菌などを徹底し対策を取っていると強調。同組合は「それぞれに考えた上で下した結論。どの選択が正しいとかではない」と話す。
□ □
先月、米紙「ワシントン・ポスト」に、和歌山県の新型コロナウイルス対策を絶賛する記事が掲載された。県は政府の反応を待たずに知事の強力なリーダーシップの下で迅速な検査と感染ルートの追跡を徹底した結果、封じ込めに成功したとたたえている。
「和歌山モデル」と呼ばれるそれは、迅速な判断と行動によってウイルスの流行を抑制し、感染の連鎖を絶つことができるといった教訓をもたらした。
2月の半ば、湯浅町の病院に勤める男性医師が陽性であることが判明。その後同病院において医師と患者3人に感染の疑いが持たれた。
当時、国は医療機関を受診する目安として「中国・湖北省への渡航歴」や「37・5度以上の発熱が4日以上続く人」に限定。県は基準に当てはまらない人に対しても検査を実施。約3週間後、仁坂吉伸知事は安全宣言を出し、ウイルスの封じ込めに成功した。
現在においても県では、ホームページ(https://www.pref.wakayama.lg.jp/index.html)上で発生状況や情報の更新を続けている。
□ □
新型コロナウイルスという見えない敵との戦いが長期化する中で、不安やストレスを抱える人は少なくない。しかし、出どころ不明なうわさを流布することは、飲食店のみならず商店を廃業に追い込むことも起こり得るという想像力が必要だ。また、不安感から帰国者・接触者相談センターに不要な問い合わせをすることは、本来検査や治療を受けるべき人が手遅れになってしまう危険性もある。県ホームページで状況を確認し、冷静な判断をする必要があるだろう。
幸いにもまだ感染者が出ていない当地域において必要なのは、うわさの流布や真偽を検証することではなく、せきエチケットや手洗い・うがいの徹底を、私たち一人一人が心掛けることではないだろうか。
(2020年4月5日付紙面より)
公式HPをリニューアル (南紀熊野ジオパーク )
南紀熊野ジオパーク推進協議会が3月31日、リニューアルした同パーク公式ホームページ(HP)の運用を始めた。
同協議会は、2014年4月17日に旧HPを開設。以来約6年が経過し、昨今のインバウンド(訪日外国人観光客)の傾向も考慮に入れて、多くの観光客がいっそう快適に利用できる形を目指して内容を再構築したという。
ページデザインを一新し、旧来の日本語、英語に中国語(簡体字)版を新たに追加。地域別一覧で紹介しているジオサイトをフリーワードでも検索できる機能を取り入れ、ジオパークガイド申し込みについて旧来の申込用紙をダウンロードして使用する形に加えて申し込みフォームも利用できるようにしたのが、今回のリニューアルの主なポイントだという。
同ガイドが推奨するコース紹介を随時していたが、その内容をモデルコースとして紹介する要素も導入。旧来と同一アドレス(https://nankikumanogeo.jp)でリニューアル後のHP運用を始めていて、同協議会事務局は「ぜひご覧ください」と呼び掛けている。
今回のリニューアルは、パソコン版とスマートフォン版の両方を対象としている。
(2020年4月5日付紙面より)
新宮市
新宮市の丹鶴城公園(新宮城跡)のサクラが開花。3日現在で七分咲きとなっている=写真①。公園にはソメイヨシノ122、シダレザクラ21、ボタンザクラ5、ヤマザクラ5、カンヒザクラ3の計156本のサクラが植栽されている。
同所は例年大勢の花見客でにぎわうが、今年は新型コロナウイルス感染症予防の観点から、恒例の夜桜ライトアップは中止。市は、日中のサクラ観賞は可能だが、公園内での飲食を控えるとともにせきエチケットの徹底などを呼び掛けている。
文化複合施設建設が進む丹鶴小学校跡地のサクラも開花=写真②。現在八分咲きといったところだ。同所のサクラは建設工事に伴い撤去の案もあったが、地域住民の要望に応える形で保存されるようになったもの。春を待つ通行人やドライバーらの目を楽しませている。
(2020年4月5日付紙面より)
官公庁で辞令交付式
官公庁で1日、辞令交付式があり、新年度がスタートした。熊野地方の各自治体の首長たちは、昇任した幹部職員や新規採用職員らを前に「地域活性化のために一丸となって職務に」などと奮起を促した。
新宮市では、田岡実千年市長が課長以上の管理職員、医療職、新規採用職員などと分けて人事発令通知書を一人一人に手渡した。幹部職員には「極めて厳しい時期ではありますが、全ての職員が一致団結し、課題に向き合いまちづくりを推進していかなければならない。そのためには皆さんのリーダーシップが何より重要」と訓示。
新規採用職員には「現場はあなた方の斬新な発想と、活気に満ちあふれた熱意を心待ちにしている」と激励し「大きな志を存分に発揮し、新宮市を元気なまちにしていきましょう」と呼び掛けた。
新規採用職員を代表して宣誓書を読み上げたのは、就職氷河期世代の新規採用者である金澤愛さん(42)。昨年、同市は県内の市では初の取り組みとして、就職氷河期世代を対象に職員を追加募集していた。
金澤さんは地元新聞社員を経て、市臨時職員や社協、市嘱託職員として勤務。職員試験に合格し、このたび正職員として採用となった。「嘱託職員の時に引き続き税務課での勤務になるが、正職員としてより踏み込んだ仕事ができれば」と意気込みを見せ、「市民の皆さんに分かりやすく、親しみの持てる税務行政を」と新年度の誓いを新たにした。
(2020年4月2日付紙面より)
生徒にイースターを紹介 (ECC古座・串本教室 )
ECCの古座教室(北本淑鈴指導員)と串本教室(名田真佐美指導員)が3月29日、串本町古座にある消防団拠点施設でイベント「イースターパーティー」を開いてネーティブとのコミュニケーションや慣習「イースター(イエス・キリストの復活祭)」に親しむ機会を生徒に提供した。
このイベントは、培った英会話を生かして英語圏の文化に触れ感性を高めることが狙い。両教室が連携するのは2007年のイベント「ハロウィンパーティー」以来で、内容を準備する中でECCの県スピーチコンテスト審査員を務めるニュージーランド人、マシュー・ビッグスさん(通称・マット先生)をゲストに迎えることになったという。
ビッグスさんは約16年にわたって県内に定住し、幼児教育を本業として生活している。両教室はネーティブと交流できる貴重な機会だが、昨今の新型コロナウイルス感染拡大抑止の観点で大人数を集められないことも考慮。普段は認めている一般参加を今回に限り見合わせ、ビッグスさんの得手を踏まえて教室生徒の乳幼児~児童のみに呼び掛ける制限をしつつ参加を呼び掛けた。
当日は乳幼児~児童9人とその保護者5人が参加。窓を開けて換気を保ちながら開会し、ビッグスさんは自己紹介を経て色をテーマにした紙芝居やミニゲームで子どもと交流。その後に慣習「イースター」を紹介し、イースターエッグのイラストを着色して貼ったカードを作る形で文化の一端を体験するなどした。
名田指導員は「日本ではクリスマス(イエス・キリストの生誕祭)がよく知られているが、イースターはまだまだ知られていない。対の文化としてこの機会に関心を持ってくれれば」と参加者の今後を期待。北本指導員は「マット先生の力で幼い子どもさんにも英語の楽しさがしっかりと伝えられれば」と願って参加者とビッグスさんのコミュニケーションの後押しに努めていた。
(2020年4月2日付紙面より)
東正寺で子ども坐禅会 (紀宝町鵜殿 )
紀宝町鵜殿の醫王山(いおうさん)東正寺(とうしょうじ、片野晴友住職)で、春休み恒例の「子ども坐禅(ざぜん)会」が開かれている。
春休み中の子どもたちに規律正しい生活を送ってもらおうと39年前から毎年行われている。新年度が始まった1日には学年が一つ上がった小学生4人、中学生1人が参加した。
雨の中、午前7時から始まり、ラジオ体操で体をほぐした後、坐禅堂に入堂した。合掌、互いに礼をしてから壁に向かって座り、約20分の坐禅を行った。
坐禅後は本堂でお経をあげた。片野住職は「信仰を基盤とした青少年の健全育成を願って、毎年、春休み期間中に行っています。今年は新型コロナウイルスの影響で休校措置が取られている。子どもたちの生活リズムが狂わないよう、早寝早起きを心掛けてほしい」と話していた。
保育所年長児から通い、本年度から中学生になる榎本健志君(12)は「中学校では勉強と部活を頑張りたい」と笑顔を見せていた。
子ども坐禅会は坐禅堂や本堂の換気、アルコール消毒など新型コロナ感染防止対策を取りながら5日(日)まで行われる。午前7時から8時までで、対象は小中学生。会費は無料。
(2020年4月2日付紙面より)
利便性を考慮し運用開始 (那智勝浦町 )
那智勝浦町のJR那智駅前やその周辺にあった3カ所のバス停留所(以降、バス停)が1日、「道の駅なち」に統合され運用が開始となった。地域住民や外国人観光客の利便性・安全性の向上を目的に整備したもので、民間と町営バスの円滑な利用が期待される。
これまで那智駅舎前に熊野御坊南海バス那智山線と町営バス色川線・太田線が、国道42号を挟んで熊野御坊南海バス新勝線のバス停があった。国道は車両の通行も多く危険であることや、外国人観光客からバス停の利用が分かりにくいなどの意見があったという。
各公共交通機関や国土交通省、和歌山県などで構成される「熊野外国人観光客交通対策推進協議会」の作成したガイドに従い、町はバス停を「道の駅なち」への1本化を検討。そのためには道の駅の駐車場を区画整備する必要があるため、町は県観光交流課と共に管轄元となる国へ要望活動を行い今日に至った。
同町観光企画課は「バスや列車の交通拠点となる那智駅の整備を行った。民間や町営のバスを地元や観光客の方々に、より一層利用していただけたら幸いです」と話している。
(2020年4月2日付紙面より)