三佐木蜂伏4地区が合同訓練 (新宮市 )
新宮市の三輪崎、佐野、木ノ川、蜂伏の4地区は26日、合同で防災訓練を実施した。午前9時に訓練開始を知らせる放送が流れると、住民らはそれぞれ近くの避難所や高台に逃げた。その後各地区で給水訓練や防災講演などを行い、意識を高めた。
三佐木蜂伏地区の合同津波避難訓練は今年で4年目。隣接し合う四つの地域が合同で訓練をすることで地域一帯に防災行政無線の放送ができる。
佐野区では佐野会館で防災ビデオの上映と講演があった。参加者らは南海トラフの被害想定を映像で視聴し、市元防災担当理事の上野山巳喜彦さんから「当地方をおそった南海地震の歴史」の演題で話を聞いた。
前田道春・佐野区長は「区では災害発生後、役員が生きていれば裏方としていろいろとさせてもらう。発生時は皆さんがまず自分で逃げること。区としては災害発生前に講演や訓練をやることが努め。互いに助けあいながら発生に対応していきたい」とあいさつ。今後の課題に、参加していない区民にいかに参加してもらうかを挙げた。
三輪崎区では給水車による給水体験と家具倒壊の防災講座があった。住民らは専用の袋に水をくみ、実際に重さを確かめた。80代の女性は「みんなが参加しているので、しなければいけないと思うが、近くの場所にしか逃げられない。給水体験では、水は重たいと感じた」。
湊川大介・三輪崎区長は「相当数が参加してくれている。毎年同じような訓練をしているが、自らの命を助けるのは自分。簡単な作業の中にあることを分かってほしい」と話していた。
(2017年2月28日付紙面より)
天満天神社で春の例大祭 (那智勝浦町 )
学問の神様として知られる菅原道真を主神とする那智勝浦町天満の天神社(髙橋正樹宮司)で25、26の両日、春の例大祭が営まれた。
25日の宵宮では天満交友会(久司益雄会長)が本殿前で獅子舞を奉納。射子たちが天神社祭礼伝統の「そもそも」と「大文字」を舞った後、ふんどし姿で天満海岸へ向かい、海水で身を清めた。
26日の本宮は、天満父母の会子ども神輿(みこし)の元気な「わっしょい」の声で始まった。式典で交友会が獅子舞を奉納し、祭典委員会(鈴木義利委員長)らの行列が地区内を練り歩いた。
続く的場式場のお弓行事では、統侍郎の津本芳光さんが直径約2㍍の的を射て邪気を払い、射太郎頭の森谷正直さんら射子が次々に矢を放った。的の中心に当たると、交友会が射手の家族を胴上げして祝った。餅投げでは的場に多くの住民らが詰め掛け、宙を舞う餅に手を伸ばしていた。
同町出身で20~30年ぶりにお宮参りしたという新宮市在住の溝原一悟さん(82)は「懐かしさに駆られて見に来ました。天神社に来ること自体が久しく、昔とはずいぶん雰囲気が変わった。懐かしさに涙が出る」と感慨にふけていた。
久司会長は「10年前会長になったときは土砂降りだった。今日は晴れただけでもうれしい」と喜んだ。
祭りを終えて鈴木委員長は「事故もなく終わり、ほっとしている。伝統ある祭りなので、これからも続けていきたい」と伝統の継承と発展を願っていた。
(2017年2月28日付紙面より)
次年度当初予算案を発表 (古座川町 )
古座川町は24日、次年度当初予算案を発表した。一般会計案は総額を25億5330万円(対前年度比3億9670万円減)とする内容で、中学校まで給食費、高校生まで子ども医療費の無料化を拡大するといった新規事業を掲げている。町議会3月定例会は3月3日(金)午前9時、役場本庁議場で開会する。
同会計案の歳入に占める自主財源は3億8623万8千円。対前年度比1億1477万8千円減で、福祉基金や町営住宅基金からの繰り入れを抑えたのが主な要因という。他方、依存財源は21億6706万2千円で対前年度比2億8192万2千円の減で、本年度の大規模事業だった七川総合センター整備事業(2億1000万円)完了や県の森林・林業再生基盤づくり交付金6000万円の皆減を主な要因としている。
歳出に占める人件費は職員53人分4億6469万9千円、物件費は5億5491万6千円、公債費は3億6230万3千円。投資的経費の総額は1億5287万3千円で、内訳は普通建設事業費1億5148万3千円、災害復旧費139万円となっている。歳入歳出の諸区分が占める割合は=別図=の通り。
特別会計案は7会計(国民健康保険、国民健康保険七川診療所、同明神診療所、へき地診療所、簡易水道事業、介護保険、後期高齢者医療)合計で15億9235万4千円、対前年度比1億1267万6千円減。一般会計と特別会計案を合わせた次年度当初予算総額は41億4564万4千円で、対前年度比2億8402万円減としている。
同町が掲げる次年度一般会計当初予算案における主な新規・拡充・重点施策事業は次の通り。項目後のかっこ内は予算額。
【新規事業】
■子育て事業拡充
▽保育料軽減=保育料を見直し(階層により無料化および2分の1軽減)、子育て世代の負担軽減を図る。前年度当初予算歳入額857万円を262万6千円と設定し、子育て世帯負担の軽減分を一般会計で補う。
▽給食費無料化拡充(724万4千円)=学校給食の無料化を現行の小学生から中学生まで拡大。
▽子ども医療費助成拡充(435万8千円)=医療費の無料化対象を現行の15歳から18歳まで拡大。
■移住定住者新築住宅等補助事業(400万円)=移住や定住を目的とした住宅の新築もしくは購入に対し、上限を1000万円として総額の8%分を補助する。年5件と想定し予算額を設定。
■入院時室料市町村間差額補助事業(300万円)=医療機関所在市町村民と古座川町民の入院時室料の差額(上限2000円/日、最大で90日分18万円まで適用)を補助し負担を軽減する。
【継続事業】
■読書活動推進事業(391万4千円)=町域の図書環境の充実と活用推進を図る。
■学校教育地産地消推進事業(67万円)=ジビエ料理を用いた食育を図る。
■高齢者生活福祉センター改修事業(3000万円)=同センター「ささゆり」の外壁や屋根の塗装などをし機能強化に努める。
■地域包括ケアシステム推進事業(2093万円)=同システム構築の推進を図る。
■福祉車両購入等助成事業(30万円)=障がい者や高齢者の社会参加を促すため、福祉車両の購入や相応の改造に対し上限10万円の補助をする。
■町道改良事業(4500万円)=町道山申線改良事業(3500万円)と同池田線改良事業(1000万円)の2件。
■有害鳥獣捕獲事業(1633万5千円)=町域における有害鳥獣のサル、シカ、イノシシ、アライグマなどの駆除に対し補助を行う。
■有害鳥獣捕獲従事者確保事業(118万8千円)=同従事者を継続確保するため狩猟登録などの費用を一部助成する。
■ジビエ振興協議会補助事業(100万円)=同協議会事業を促進する。
(2017年2月28日付紙面より)
みつの活性化協が試食会
みつの地域活性化協議会(下阪殖保会長)は25日、新宮市熊野川町日足の熊野川温泉さつきで「熊野川料理試食会」を開いた。地域住民ら約70人が参加し、地元産野菜などを使った料理34種類を味わいながら交流を深めた。
市社会福祉協議会と協力しながら地元食材を使った配食サービス・交流ランチの定期開催を検討していて、試食会はその一環。住民たちは食後、配食サービスの必要性や料理の味に関するアンケートに記入した。
地元で採れたキュウリ、タカナ、シイタケなどを巻いた「みつの巻」、「揚げ出しサトイモ」など玉置達子・熊野川ふるさとキッチン代表らが考案したメニューをバイキング方式で提供。「ほうじ茶プリン」「芋ようかん」などのデザートもあった。
町内各地区で高齢者対象のサロンは定期的に開催されているが、全町内会員らが集う場は意外に少ない。下阪会長は「こういう場を定期的に設けることができれば、皆さんの元気のもとにもなると思います」
試食した打越太さん(79)=同町上長井=は「全ておいしかったけど、豚肉の野菜巻きが一番おいしかった。定期的に開催してくれればまた楽しみが増えますね」。田岡実千年市長は「おふくろの味で、どれもとてもおいしかった。地域の方がたくさん集まっていて有意義な会だと思います」と話した。
(2017年2月28日付紙面より)
第59回串本バドミントン競技大会
クリニックと対抗戦で交流深める (和歌山県サッカー協会 )
那智大社、青岸渡寺で節分行事
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)と青岸渡寺(高木亮享住職)で3日、節分行事があった。裃(かみしも)姿の男女が家内安全などを願い「福は内、鬼は外」と豆をまいた。
那智大社の「鬼追い追儺(ついな)式」には責任役員の塩﨑巍朗さん、佐藤春陽さん、森川起安さんをはじめ寺本眞一町長、土井敏弘・東牟婁振興局長らが参列。神職の豆まきの後、鬼の面を着けた役人役が、先の割れた竹筒(鬼やらい用具)を手に「家内安全、延命息災、家運隆昌」と唱え各門の石段をたたいた。
神職が「鬼」と朱書きされた的を狙う「お弓の儀」に続いて、男成宮司や参列者が豆やお菓子をまき、境内は参拝者の歓声に包まれた。地元の町立市野々小学校の1・2年生11人が、ふるさと学習の一環で神事に参列。1年生の村井旭君(7)は「緊張したけど、豆とお菓子が拾えて楽しかった」と喜んでいた。
青岸渡寺では本堂内に参列した信者らが本尊に向かって「福は内」、外に向かって「鬼は外」と豆をまいた。上地實徳さん(78)=御浜町=は「毎年ここに来ないと落ち着きません」と話していた。
(2017年2月4日付紙面より)
土砂災害防止会議 (県土砂災害啓発センター )
那智勝浦町市野々の県土砂災害啓発センターで2日、全国治水砂防協会和歌山県支部による土砂災害防止会議が開かれた。支部メンバーらは県の講演や各種報告を受けた。
今年で4回目の開催。開会にあたり、協会和歌山県支部長の真砂充敏田辺市長があいさつした。「平成23年に起きた台風12号の被害から5年余り経過したが、今なお爪痕が残っている。地域住民ほか観光客にも安心していただけるよう力添えいただき、早期復興できれば」と目標を掲げた。
講演では京都大学防災研究所附属流域災害研究センターの藤田正治教授が、近年の土砂災害調査から見た警戒避難について講話した。大規模土砂災害が発生する前には、いずれも長期的で強い降雨が確認されていたと説明。土砂災害は複合的な要因で起きるため、危険性の評価や早期避難などのソフト面、砂防ダムの設置などハード面の融合が重要と述べた。
国交省近畿地方整備局紀伊山地砂防事務所の吉村元吾所長は、管内で発生した土砂災害の状況について解説。那智川地区では各支流に砂防ダムや保全工事などを施工していると説明した。
一般社団法人全国治水砂防協会の岡本正男理事長は、災害から得た教訓について講話。近年発生した土砂災害や水害の被害とその後の改善策を紹介した。
国交省水管理・国土保全局砂防部の西山幸治部長は「土砂災害を防ぎ命とくらしを守る」と題して、土砂災害の被害事例と対策事業に関して話した。
(2017年2月4日付紙面より)
古座小6年生が紙すき (串本町 )
串本町立古座小学校(道本幸浩校長)の6年生6人は2日、地元産のガンピ(雁皮)を使った紙すきに挑戦した。卒業証書の用紙を自分たちで手作りする歴代6年生伝統の取り組みで、6人は3班に分かれて人数分に予備の分を加えた枚数の和紙作りに励んだ。
家庭の副収入や子どもが小遣いを稼ぐ手段として古座小周辺でも盛んだった紙すき。複数ある原料の中でもガンピは近くの山でたくさん採集でき、その恵まれた自然環境を生かして十数年前、総合的な学習の時間が学校教育に新設された頃にこの取り組みが始まった。
本年度の6人は昨年12月に学校近くの山でガンピの枝を採集。皆で取り合いだった昔と違って今は手に入れやすいが、かなりの量が必要になるため地元の猟師も枝集めに協力してくれたという。今年1月に集めた枝から紙の原料になる内皮をはいで乾かすなどした。
この日は当時の学校長から紙すきの手順を教わった元教員谷本節代さん(72)が6人に作り方を指導した。内皮を水と一緒にミキサーにかけてほぐして得た繊維を、横約45㌢、縦約30㌢、底面に簾(すだれ)を張った木型に流し入れ。軽く水を切って型から簾を外し、繊維にさらしをかぶせてスポンジで余分な水を吸い取るなどして乾燥前の紙を仕上げた。
森風香さん(12)は「ガンピを使って卒業証書(の紙)を作る難しさを知らなかったので、今日はそれが知れて良かった。スポンジで押した時にたくさん水が出てきて『こんなに?』と思った。この紙で作った卒業証書をもらうのが楽しみ」と笑顔。
谷本さんは「身近にある自然の中のものでいろいろなことができることに目を向け、自然に恵まれたふるさとを思い続ける大人へと育ってくれたら」と6人の今後に期待を込めた。
同校の卒業式は3月23日(木)実施。この日作った紙はさらにアイロンで押し固め、谷本さんと道本校長が卒業証書に仕上げて6人に授与する。
(2017年2月4日付紙面より)
クルーズ客船観光セミナー
近畿運輸局主催の「熊野エリアクルーズ客船への観光魅力向上セミナー」が2日、那智勝浦町役場であった。新宮港周辺の観光協会、自治体の関係者ら約40人が出席して意見交換した。長谷潤・同局勝浦海事事務所長は「皆さまが連携、団結すれば、熊野地域の発展の大きな力になると信じています。熊野を全国、世界にアピールできれば」と呼び掛けた。
同局の調べでは、昨年のクルーズ客船による外国人入国者数は前年比78・5%増の199万2000人。寄港回数は38・8%増の2018回(日本船社574回、外国船社1444回)で、いずれも過去最高。寄港回数が最も多かったのは博多の312回で、次いで長崎190回、那覇183回。関西で最も多かったのは神戸で32回。
新宮港は本年度9回の寄港があり、3月に2回を予定していて過去最高の11回になる見込み。来年度は上半期だけで10回近くの予定が入っていて、過去最高を更新する可能性が高い。
長谷所長は、新宮市立神倉小学校の木造体育館に感動した宮崎駿監督から手紙が届いたことを例に挙げ、「木造体育館に個人的に興味はなかったが、すばらしい建物であることに気付いた。熊野地域にはまだまだ発見されていない観光資源が眠っているのではないか」と述べた。
福西謙・同局観光部長は「クルーズ受入のための地域の取り組み~京都舞鶴港を事例として~」をテーマに講演。クルーズ誘致協議会を設立し、地元高校生による書道パフォーマンス、肉じゃがの振る舞い、座禅体験などのおもてなしを行い、2013年にはクルーズ・オブ・ザ・イヤー2013特別賞を受賞したと紹介した。
福西部長は、客船に繰り返し寄港してもらうためには乗客だけでなく乗組員にも満足してもらうことや、他の港と重ならないオリジナルのおもてなしを考えることなどをアドバイス。新宮港は客船が横浜から出港し、寝ている間に到着する恵まれた位置にあると述べ、「世界遺産など観光資源にも恵まれていて、非常にチャンスがある」と今後の展開に期待した。
熊野交通の岡嶋信行社長は「日帰りでは行く場所が限られてしまう。2日以上停泊し、温泉で1泊してもらえると、いろんな広がりができるが」と質問。福西部長は、宿泊は厳しく、リピーターになってもらうのが現実的と回答した。
(2017年2月4日付紙面より)