ゲアハルト・ヴォルフ所長が講演 (新宮市 )
環境問題研究会(植松晴孝会長)の4月例会・特別講演会が23日、新宮市の井の沢隣保館であり、マックス・プランク財団美術史研究所のゲアハルト・ヴォルフ所長が『遠さと近さ:聖地を測る』をテーマに話した。「聖地は、それだけで成立しているのではなく周辺で暮らす人間、社会が関わることで成立している。地域は違っても同じような構造があるのかもしれない」などと述べた。
ドイツ出身でイタリア・フィレンツェ在住の所長は、イコンなどキリスト教美術研究の第一人者。講演前に那智の滝や神倉神社などを訪れた所長は「滝や岩など聖地になっている場所は、人間が自然と対話しながら生まれてくる」と説明。「那智の滝は、地元の皆さんにとっては何気ない景観かもしれませんが、滝の前に鳥居をつくり聖域になっていることに非常に感銘を受けた」と述べた。
「岩のドーム」「聖カタリナ修道院」などキリスト教、ユダヤ教、イスラム教の聖地や絵画を写真で見せながら解説。現在はどこも観光地としても重要な場所になっているが、景観と調和していない建物もあると指摘。遠い場所から訪れる過程で肉体的、精神的に聖地に関わっていく体験になっていることや、修道士はもともと修道院ではなく、険しい自然の中で暮らしていたことも紹介した。
同席した秋山聰・東京大学教授(美術史学研究室)は、大雨の中、熊野古道「大雲取越」を歩いた際、「円座石(わろうだいし)」に空から光が当たっている景色を目にし「天と地の通路。神が降りる場所」と解釈し、各宗教の普遍性について論文で発表。掲載本を編集したのが所長だったなどと講演会に至った経緯などを説明した。
松﨑照明・東京家政学院大学客員教授(日本建築史)は、各宗教で共通するところと違うところがあると述べ、自然が豊かな聖地は多神教になるのではと推測した。松田陽・東京大学准教授(文化資源研究室、文化審議会委員)は所長の通訳を務めた。
今年の6月9日(土)、10日(日)に新宮市福祉センターで開催される「第42回地中海学会大会」のプレ企画として開催され、約80人が聴講した。新宮市教育委員会と地中海学会が後援。「中世宝物の贈与・寄進に関する比較美術史学的研究」の補助を一部受けて実施した。
(2018年4月25日付紙面より)
全国訪問おはなし隊 (那智勝浦町 )
講談社の全国訪問おはなし隊(窪田泰子隊長)は24日、約550冊の絵本を載せたキャラバンカーで那智勝浦町立図書館を訪問した。町内のわかば保育園(山田眞理子園長)の5歳児19人、太田小学校(尾﨑卓子校長)の1~3年生14人が集まり、絵本の自由閲覧や和歌山市から来た朗読グループ「言の葉」(林多恵子代表)による読み聞かせを楽しんだ。
講談社の創業90周年読書推進事業として1999年7月にスタートした。2台のキャラバンカーで全国47都道府県を巡回し、現在10周目。幼稚園、保育所、小学校、図書館などを訪問し、2017年5月末までに2万705カ所の会場を訪れ、179万人を超える子どもたちに本を読む楽しさを伝えてきた。那智勝浦町へは16年にも訪れている。
友達と一緒に絵本を読んだ太田小の仲地主琉君(3年)は「いろいろな絵本があって楽しかった」と喜び、わかば保育園の村上智哉君(5)は「パンダが出てくる絵本がおもしろかった」と笑顔。引率した太田小の尾﨑校長は「学年によって本への反応が違って興味深かったです。集中して読む子、仲間と声を出して読む子、それぞれ楽しんでいました」と話していた。
(2018年4月25日付紙面より)
出雲で第25回全国決勝大会 (ダイワグレマスターズ )
第25回ダイワグレマスターズ全国決勝大会が21、22の両日、串本町の出雲港を拠点にして開かれ、ブロック予選を勝ち上がった選手12人と全大会シード選手4人が熱戦を繰り広げた。
この大会は、グローブライド株式会社が主催。磯釣り(ウキ使用のフカセ釣り)によるグレの釣果で競い合う内容で年1回、参加費制で開かれている。第25回は昨年10~12月に全国11カ所で地区予選があり、総勢921人が出場。各地区予選の上位による東西2ブロック予選を経て、全国決勝大会出場選手を絞り込んだ。
地区予選のうち、本紙関係の関西大会は昨年11月25日に串本町内であり、127人が出場、上位9人がブロック予選へ進出した。9人中8人が和歌山県勢、うち4人が紀南の田辺市勢。12月16日に那智勝浦町内で開かれたAブロック大会では各地区予選からの進出選手とシード選手43人が対戦し、和歌山県勢は及ばなかったが、上位6人(大阪府2、埼玉県1、徳島県3)が全国決勝大会へ進出した。
全国決勝大会は当初3月17、18日に開く計画だったが荒天により2度延期し年度をまたぐかたちで本番を迎えたが、前大会優勝者の福原健選手(38、徳島県)らシード選手4人を含む16人全員が都合を合わせて参戦。初日は4グループに分かれて予選リーグ対戦に臨み、各グループの1位選手が準決勝へ進出した。2日目はトーナメント対戦とされ、決勝に勝ち上がったのは江藤義紀選手(45、福岡県)と木村真也選手(31、大分県)の2人。江藤選手が2時間の対戦で2尾1410㌘を釣り上げ優勝した。3位は屋田龍男選手(33、鹿児島県)と藤田賢治選手(42、広島県)だった。
表彰式は串本町サンゴ台にあるホテル&リゾーツ和歌山串本(旧串本ロイヤルホテル)内であり、尾ノ上幸司朗大会委員長と清野武志副町長のあいさつ、鵜澤政則競技委員長の総評を経て上位4人を表彰。その健闘を選手来賓スタッフ一同でたたえた。4人は入賞と同時に第26回大会のシード権も獲得した。
平成27年度(第23回)、28年度(第24回)、29年度(第25回、延期により次年度繰越)と3カ年にわたり、串本町の出雲港周辺を全国決勝の舞台とした同マスターズ。第26回は九州方面に会場変更となるが、関西予選は串本町、Aブロック予選は那智勝浦町を会場とする方向で検討が進んでいるという。選手が釣り上げたグレ(体長25㌢以上)は地元の福祉施設に寄贈する事が慣例になっていて、今回は社会福祉法人串本福祉会(和田利文理事長)が贈呈を受けた。
(2018年4月25日付紙面より)
新宮小売酒販組合が街頭啓発 (新宮市 )
新宮小売酒販組合(辻良治理事長)などは24日、新宮市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店で未成年者飲酒防止・飲酒運転撲滅キャンペーンの街頭啓発を実施した。雨の中、組合員や関係機関の職員や約30人が買い物客らにチラシとティッシュを配った。
毎年4月は「未成年者飲酒防止強調月間」。和歌山県全体では2000年から、新宮組合では1993年から街頭キャンペーンを実施している。太地町のゆるキャラ「ゴン太君」と国税局のゆるキャラ「イータ君」「マイナちゃん」を招き、買い物に来た親子連れなどに呼び掛けた。
未成年飲酒は脳の機能を低下させ、性ホルモンに異常が起きる恐れがある。臓器に障害を起こしやすくなる他、依存症になりやすくなるなどの危険がある。啓発ではたすきを身につけた関係者らが未成年の飲酒防止への協力を求めた。
辻理事長は「キャンペーンを始めて四半世紀になる。少しは浸透したのでは。飲酒運転についても長らく和歌山県は残念な結果になっている。いっそう力を入れて啓発活動をしていきたい」とあいさつ。堀井明新宮税務署長は「未成年者に、なぜ自分たちは飲酒をしてはいけないのかを理解してもらうため、学校や家庭、地域社会一体となって指導していかなければならない。キャンペーンをきっかけとして未成年者の飲酒防止が地域社会に根付くことを願っています」と話した。
今回啓発に参加したのは▽新宮小売酒販組合▽新宮警察署▽和歌山税務署▽新宮税務署▽大阪国税局▽新宮納税協会▽新宮市▽新宮市立少年相談センター▽新宮警察署少年補導員連絡会▽新宮料理飲食業組合▽フランチャイズチェーン協会▽紀南酒造組合―などの皆さん。
(2018年4月25日付紙面より)
県大会目指し熱戦繰り広げる
全日本ジュニアレスリング選手権で
スーパーカー実行委が寄付 (新宮市 )
スーパーカー新宮ミーティング実行委員会は4日、地域活性化に役立ててほしいと新宮市にイベント会場で集めた金一封を寄付した。受け取った田岡実千年市長は「大変多くの募金をいただき心より感謝します。今後も一緒になって頑張っていきましょう」と述べた。
地域を盛り上げようと始まり今年で2回目のイベント。市と新宮商工会議所後援のもと同市佐野の新宮港緑地公園で3月25日に開催した。全国各地からランボルギーニやフェラーリなどのスーパーカー約60台が集まり、2000人以上の来場者でにぎわった。寄付金はスタッフやレースクイーンが募金箱を持って会場を回り集めた。
実行委員会の床浦勝昭委員長(フリークグループ代表)と岡崎武人大会長、イベントに協力した北道江利さん(チーム雅龍)と畑下和也さん(SP警備保障)の4人が市役所を訪れ、田岡市長に募金を渡した。
床浦委員長は「無事、大盛況のうちに終了することができました。遠くから来てくれたオーナーさんたちにも新宮・熊野ファンになってもらうことができたと思います。募金箱には金額以上にみんなから『頑張れ新宮、大好き熊野』の気持ちをたくさん入れてもらっております」。
田岡市長は「イベント当日は素晴らしい天候にも恵まれ、大成功したことをうれしく思います」と話した。
(2018年4月6日付紙面より)
「南の国の雪まつり」検討会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の町役場周辺で2月18日に開かれた第23回商工祭「南の国の雪まつり」の検討会が4日、同町商工会館で開かれた。実行委員会のメンバーら約30人が出席し、イベント開催の反省点などを話し合った。
今年の雪まつりは好天に恵まれ、約3万人が訪れた。熊野朝市や屋台村などに132店が出店した。実行委員会の森川起安会長は「23回目を迎え、イベントの広がりが実感できた。触れ合いとにぎわいの創出ができたと感謝している」とあいさつ。「年々予算が厳しい状況になっているが、このイベントは経済効果をもたらしている。撤退させるわけにはいかない」と継続への意思を示した。
意見交換では青年部などの部員数の減少で準備作業が厳しかった状況などが報告された。当日のトラブルでは、近隣の営業店への駐車などの問題とシャトルバスの帰りの便で長時間の待ち時間が発生したことなどが挙げられた。
シャトルバス利用者のスタンプラリーで募ったアンケートは260通が集まった。▽初めてシャトルバスを利用したが便利だった▽回りたい店だらけだった▽雪遊びが楽しかった―などの好評な意見が多く寄せられた。
(2018年4月6日付紙面より)
おやこサロンに小中学生も参加 (新宮市熊野川町 )
新宮市熊野川地区民生委員児童委員協議会は4日、同市の熊野川町保健センターさつきで「熊野川地区おやこサロン」を開いた。年度初めのこの日は、未就園児と保護者、小中学生らが災害時の備えを確認した。親子サロンは乳幼児、未就園児と保護者の交流の場。核家族化の時代だからこそ地域の見守りが大切だと、市と熊野川町が合併した2005年ごろから開催している。
災害時の備えは年に1度実施しており、今回で5回目。熊野川地区主任児童委員の浦佳奈美さんが11年3月の東日本大震災と、同年9月の紀伊半島大水害を経験したことから「大変さが分かっているから伝え、つなげていきたい。そのためには一人一人の防災意識を高めていかなければ」との思いで実施している。
この日は熊野川中学校の生徒が初めて参加した。「子ども広場くまっこ」の児童らとともに、災害に対する備えやビニール袋を使った雨具作り、非常食の試食などを体験した。
浦さんは「想定される場面を考えて必要な備蓄を用意しておく」をテーマに、かばんの中に入れておける「防災ポーチ」や避難バッグの中身、備蓄している食料を災害時だけでなく普段も食べ、減った分を補充していく「ローリングストック」などを紹介。東日本大震災の際に東京都で帰宅難民となったことや、紀伊半島大水害では避難していた町総合開発センターからボートを使ってより高台へ逃げたことなどを写真を交えて説明した。
「熊野川中の生徒たちは去年町で開かれた防災の講演会にも出席しており、今回参加することになりました。災害時、中学生の力は即戦力になりますね。熱心に聞いてくれていました」と話していた。
熊野川中の大槻湧山君(14)は「7年前の災害の時にどう逃げたか、どのくらい水が上がったか、食品の備蓄は家にあるインスタントやレトルトを災害時に食べていたことなどが勉強になった。雨具は腕がぬれずに作業しやすいものを作りました」。
4カ月の莉詩(りた)ちゃんと参加した平田早紀さん(33)は「防災に関しては初めての参加です。子どものために災害時への備えをしていこうと思いました。子どもに必要な物の用意を話してくれたので、この経験を生かして防災に向き合いたいです」と感想を語った。
(2018年4月6日付紙面より)
KCRが町長に発行を報告 (串本町 )
株式会社KCR(本田景士代表取締役)=白浜町=が4日、トルコ軍艦エルトゥールル号遭難救助の史実を基にした創作絵本「タイヨウのくにとツキのふね」を発行した事を串本町の田嶋勝正町長に報告した。
この絵本は潮岬出身の作家・山口小百合さん(同社マネジャー)が串本出身の本田代表取締役、田辺市出身の同社デザイナー・千根章吾さんと共に制作。同町樫野で1890年にあったエルトゥールル号遭難救助の世界観を主人公・ヒノキチの目線で伝える内容で、5歳児以上を対象にし「親子で楽しみ考える」をコンセプトにして作り上げ、今年3月に発行までこぎつけた。
ヒノキチは史実にはない架空のキャラクターで、子どもに着実に世界観を託し後に本来の史実を知る足掛かりにしてもらう工夫として設定した。絵本はほぼA4用紙大で、フルカラー48㌻。売価は1890円(税抜き)。発行元は同社で、初回3000部には作中に出てくるアイテム「ツキのくにのおまもり」が特典としてついている。同社商材の一つとして、白浜町内で運営する「紬カフェ」や商材販路のホテル売店など数十カ所に並べるほか、書店にも取り扱いを交渉しているという。
この日は本田代表取締役と山口さんが田嶋町長を表敬訪問し、3冊を託して発行を報告。『3年計画で10万部を目指す』という目標の下、愛読の裾野を広げるため今月25日(水)にクラウドファンディングを立ち上げて▽47都道府県の図書館約100館に寄贈(100万円達成時)▽県内の小学校や幼稚園、図書館など約420カ所に寄贈(150万円達成時)▽大型絵本を作成し出張読み聞かせなど催しを実施(200万円達成時)―といった段階的目標の実現を目指すことなども伝えて応援を願った。
田嶋町長は史実を常に受け継ぐためのアクションを出身者が思いを持って起こしてくれたことを喜び、機会を見て宣伝したいと応えた。3冊のうち1冊は駐日トルコ共和国大使館に贈り、残り2冊は町内の読み聞かせグループに預ける方向で活用を考えるという。
同絵本の問い合わせは同社(電話0739・33・7683)まで。
(2018年4月6日付紙面より)